コスモス寺花だより 4・23
まだ四月なのに夏のような陽気が続いています。そして五月の花が待ちきれず次々に咲き出しています。
境内にバナナのような香りを漂わせているのが「唐種小賀玉木(からたねおがたまのき)」です。いつの頃にか中国から伝わったそうですが、花は全く目立ちません。通称では「バナナの木」と呼ばれます。
「行春を 近江の人と をしみける」松尾芭蕉
〔いま咲いている花〕
〇山吹:≪散りはじめ≫
〇射干(しゃが):≪見ごろ≫
〇蒲公英(たんぽぽ):≪見ごろ≫
〇蔓日日草(つるにちにちそう):≪見ごろ≫
〇牡丹:≪見ごろ≫
〇紫雲蘭:≪見ごろ≫
〇矢車草:≪咲きはじめ≫
〇花菱草:≪咲きはじめ≫
〔四季の花暦〕
・春:山吹(4月)
・夏:初夏咲きコスモス(6月)
紫陽花(6月)
・秋:コスモス(9月~11月)
・冬:水仙(12月~2月)
その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。
〔小林一茶の俳句〕
「陽炎や むつまじげなる つかと塚」
訳: 陽炎よ仲良さそうに並んでいる敦盛のつかと直実の塚。
・埼玉県熊谷市にある熊谷寺は熊谷直実が平敦盛の菩提を弔って建てた寺で、敦盛の塚と直実の塚がある。
〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕
〈帝室博物館にて〉
「はつなつの かぜとなりぬと みほとけは
をゆびのうれに ほのしらすらし」
(初夏の風となりぬと御仏は お指の末に仄知らすらし)
≪ニュース≫
◇参詣入口の変更:
当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。
なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。
バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。
◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。
《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1022
『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下
(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)
『西大寺光明真言会縁起』
(さいだいじこうみょうしんごんええんぎ)
◆【現世遂富貴長寿望。除鬼神病苦愁。乃至有縁無縁亡者等。皆離苦得楽無疑〈云云〉。不空三蔵両本儀䡄幷不空羂索経廿八巻之釈如此。】
〔現世にては富貴長寿の望みを遂げ、鬼神病苦の愁いを除く。乃至、有縁無縁の亡者等、皆な離苦得楽は疑いなし、云々。不空三蔵(ふくうさんぞう①)、両本儀軌幷に不空羂索経廿八巻の釈はかくの如し。〕
① 不空三蔵=真言付法第六祖。(七〇五-七七四)
(つづく)
《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》
古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。