« 2010年12月 | トップページ | 2011年2月 »

2011年1月

2011年1月31日 (月)

般若寺水仙:1~3月  * 2分咲き

厳しい寒さです。各地の大雪に引きかえ奈良では雪は全く降っていません。雨も降りませんから乾燥がきついです。

冬の花、水仙にとってもこの冬は過酷なのか、人影が少ないからじっと待ち構えているのか、蕾のままが長いです。花も人も春のぬくもりを待っているのでしょう。

今週は寒さも緩むそうですからひたすら待つことです、春を。

「冬空に 心ぬくもる 水仙花」 仙花子  

〔俳句〕

「水仙の 二本を挿せば 二本の香」  石垣幸子

「水仙や 枯淡を旨の くらしにて」  味村志津子

「水仙花 心のねぢれを ほぐしけり」 塩野きみ

〔和歌〕

「春風に したゆくなみの 数みえて

のこるともなき うす氷かな」

従二位家隆・風雅35

「春風に立つ波が、氷の下を動いて行くその数さえも数えられるほどに見えて、川面に残るといってもごくかすかな薄氷よ。」

・したゆくなみ=氷の下を流れ動く波。それが見えることで氷の薄さを表現する。

〔釈教歌〕

「いさしらず この世をうしと いとひても

またなにの身に ならんとすらん」

中原師季朝臣・玉葉2711

「さあ、どうなるやらわからないよ。この世を辛いといって厭ってみても、来世は又何の姿に生まれ変り、輪廻することやら。」

・「輪廻生死」の心を詠む。「輪廻とは人界おはりて六道にさまよひ又業尽きて六道より人界に出るがごとき、まことに車輪のめぐりやむ事なく生死のきづなにひかれて、万劫かくのごとくあらんは、まことにやくなき事也。是をかくは云也。」(類題法文和歌集注解)

Img_5855

Img_5863

Img_5854

Img_5855_3

Dscf8578_2

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月30日 (日)

般若寺水仙:1月~3月  *2分咲き

きょうは思いついて『平家物語』の冒頭の文章を読み返しました。

「祇園精舎の鐘の声

諸行無常の響あり

沙羅双樹の花の色

盛者必衰の理をあらわす

おごれる人も久しからず

ただ春の夜の夢のごとし

たけき者も遂には滅びぬ

   偏に風の前の塵に同じ・・・」

諸行無常、盛者必衰は世の常、真理です。

お釈迦様は二千年前にこの真理を悟り解脱の道を説かれました。今うまくいっているからといっていつまでも続くと思うこと勿れ、いずれ衰え滅びていく道を歩んでいるに過ぎないのです。無常と必衰を忘れた成功、繁栄は虚構です。心して生きてゆきましょう。特に自分は別だといううぬぼれに生きている人は要注意。

「霜おいて 水仙の花 薄化粧」  仙花子

〔俳句〕

「水仙の 蕾を擡ぐ 凛々しさよ」  おかたかお

「晩年の ことば尊ぶ 水仙花」   吉田陽代

「水仙を 見てゐて肩を 凝らしけり」 大橋敦子

〔和歌〕

「ふる雪の 雨になり行く したぎえに

をとこそまされ 軒の玉水」

前大納言為家・玉葉986

「降る雪が雨になって行くにつれ、積った雪も下からとけ出して、軒から落ちる玉のような雨しずくの音は一層まさることだ。」

〔釈教歌〕

「ながき夜に まよふ夢ぢも さむばかり

心をあらふ 滝のをと哉」

前大納言忠良・玉葉2710

「長い無明の夜に迷っている煩悩の夢も覚めるばかりに、心を洗うような滝の音が聞える。(あれこそ御仏の恵みの、智恵の水だろうか)」

・滝のをと=「智恵水」(煩悩を絶つ仏智を水に喩える)を表現する。

Dscf8578

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月29日 (土)

般若寺水仙:1月~3月  * 2分咲き

ここで何度も指摘した乾燥状態のことについて昨日の天気情報で大阪の少雨についての話がありました。例年の1月の雨量は43ミリのところ、今年は1ミリも降っていなくて観測史上最少だそうです。寒さのほうは毎日実感できるのでいつもの冬と違うなあと思いながら、少雨乾燥は数値を見て初めて異常さが分かります。水仙の開花が遅いのにも影響しているかもしれません。これからしっかり水遣りをします。

北の地方では大雪、テレビの映像では家が埋もれそうなほど積っています。まだこれからこの冬一番の寒気がやってくるそうです、日本の冬はもう警戒状態に入っているんですね。インフルエンザは鳥だけでなく人間も流行しそうです、御用心を。

「ナルキソス 己に見入り 花となる」 仙花子

〔俳句〕

「水仙に 幻惑されて ゐて至福」  大橋敦子

「池畔梅 水仙と香を きそひをり」 阿部ひろし

「凪の日の ひかり真っ直ぐ 野水仙」 渡辺昭

〔和歌〕

「かすみあへず 猶ふる雪に 空とぢて

春ものふかき 埋火のもと」

前中納言定家・風雅34

「霞むに霞めず、今も降る雪に空は暗く閉ざされて、春とはいえ室内に引きこもり、心の奥深くその到来を思い味わっている、この埋み火のもとの閑居の趣よ。」

  かすみあへず=霞む季節であるのに霞み切れず。

  ものふかき=奥深い。居所と心中にかけていう。

〔釈教歌〕

「うらにすむ あまのぬれぎぬ ほしわびぬ

さのみなかけそ おきつしら波」

蓮生法師・玉葉2709

「海岸に住む海人の濡れた着物は干すに干しかねてしまう。この上そんなに寄せかけてぬらしてくれるなよ、沖の白波よ。(そのように恋の濡衣を着せられ、弁解もできず苦しんでいる。これ以上俗世の悩み事で、心を煩わせるような事をしてくれるなよ。)」

  観無量寿経の序文第七の「為煩悩賊」を詠む。

  おきつしら波=「白波」は「賊」の異名。「煩悩賊」を利かせる。

Img_5882_2

Img_5878

Img_5887

Img_5892

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月28日 (金)

般若寺水仙:1月~3月  * 2分咲き。

いま奈良は冬の休眠状態にあります。きのう奈良公園へ行きましたら、平日でもあるためか人影もまばらでほとんどオフシーズンという感じでした。こう寒いとのんびり観光や散歩というわけにも行かず、皆さん足早に目的地へ車で移動していかれます。般若寺でも訪れる人は年間の最低人数が続いています。おかげで普段出来ないような庭の整備作業がはかどっています。境内で切り取った青竹、黒竹を使って垣根を作ったり、早咲きコスモスの種まきをしたり楽しい庭仕事が存分に出来ます。晴耕雨読といいますが、ここのところ晴れ続きで読書の時間はとれません。購入した本は積みあがったままです。これではいけないと思うのですが外で作業するのが好きなんですね、寒さもなんのその常に野外に居ます。でも一回雨がほしいですね、雨は命を蘇らせます。

水仙の香りに包まれ元気に観音様と過ごせることに感謝。

「身をかがめ 水仙の香に 酔ふるかな」 仙花子

〔俳句〕

「一月の 水仙畑の 朝日子よ」  伊丹さち子

「水仙の 威に風神の 鎮もれる」 稲畑広太郎

「無学へと やがて至らむ 水仙花」小澤克己

〔和歌〕

「山あらしの 杉の葉はらふ 曙に

むらむらなびく 雪のしら雲」

伏見院御製・玉葉980

「山嵐が杉の葉を払って吹きすさぶ曙、空にはむらむらにわだかまりなびく、雪の気配を含む白雲よ。」

〔釈教歌〕

「たづねよと をしふるやどを よそにみて

むつの道には あしもやすめず」

雅成親王・玉葉2708

「尋ね求めよと教えて下さる、御仏の宿である浄土は敬遠して、迷いの世界である六道を廻るためには、足も休めず悪業を作りつづけることよ。」

  むつの道=六道。

  あしもやすめず=休む時もない意。「たづね」「宿」「道」とともに縁語を連ね、人間の業の深さを詠む。

Img_5882

Img_5834

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月27日 (木)

般若寺水仙:1月~3月  *咲きはじめ。2分咲き。

また各地で大雪の予報が出ています。今年は積雪の記録を更新しているところが多いです。雪国の方々はさぞやお困りのことでしょう、春が来るまでがんばってください。奈良は低温と乾燥がきついですが、おかげで雪害からは逃れています。今日も何回目かの寒気がやってきました。氷点下3度ほどに下がったようです。この寒波も世界中の異常気象の一つですね。この程度の寒さならまだ軽いほうかもしれません。お隣の韓国ソウルでは-17度となり大きな川が凍結しているそうです。皆さんお体を大切になさってください。

水仙は少しづつ花数が増えています。見頃は大きくずれ込んで2月からになりそうです。当初の予想ではお正月の頃に咲くとしておりましたからほぼ1ヵ月のおくれです。だんだん自然は予測不可能となってきました。

「冬空に 水仙の白 立ちのぼる」 仙花子

〔俳句〕

「水仙に 近寄り影を 淡くする」  松本鷹根

                   

「水仙の ねじれ葉一枚 拗ねてゐる」西村葉子

「水仙の 咲くか咲くかと 見る蕾」 三井孝子

〔和歌〕

「みよしのの 吉野の山の 春霞

たつをみるみる 猶雪ぞふる」

紀貫之・風雅32

「(吉野では)吉野山の春霞がもう立っているのを見ていながら、まだやはり雪が降ることだ。」

  みよしのの=吉野の美称。「吉野山」の枕詞のように用いる。

  みるみる=見ているにもかかわらず

〔釈教歌〕

「さながらや 仏の花に たをらまし

しきみの枝に ふれる白雪」

後鳥羽院御製・玉葉2707

「そっくりそのまま、御仏に捧げる花として手折りたいものだよ。樒の枝に降り積もった、清らかな白雪は。」

・しきみ=樒。モクレン科の常緑灌木。香気があり、仏前に供える。また葉と樹皮で抹香を作る。

Img_5801

Img_5803

Img_5559

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月26日 (水)

般若寺水仙:1月~3月  *咲きはじめ。2分咲き。

九州へとついだ娘がかわいい女の子とともに里帰りしました。9ヶ月ぶりの再会です。孫は「咲」といい、コスモス寺にお似合いの名前です。前に見たときは立ち上がるのが精一杯だったのに今はよく歩き走るほどになっています。子どもの成長って早いものです。その分こちらは年々年老いてゆきます。

水仙の花は少しづつ歩んでいます。

「幼き子 水仙の庭 あゆみしや」  仙花子

〔俳句〕

「水仙の スキッと白く 卒業す」  児玉豊子

「野水仙 一輪ひらき 木の墓標」  笹倉さえみ

「水仙の 匂う机辺の 起居かな」  鹿野佳子

〔和歌〕

「かきくらす 軒ばの空に 数みえて

ながめもあへず おつる白雪」

前中納言定家・玉葉979

「一面に暗くなった軒先の空に、舞う雪片の数を、一つ、二つと見上げる間もなく、はらはらと盛んに降り落ちて来る白雪よ。」

〔釈教歌〕

「山ふかみ 苔のしたには むもるれど

人をぞわたす 谷のかけ橋」

盛弘法師・玉葉2706

「山の深い所にあるために、苔の下に埋もれてはいるが、それでもよく人を渡す事のできる、谷の桟よ。(それと同じく、尊い無量義経の一ゲ一句をでも唱えれば、自らは往生せずとも他者を彼岸に渡す事ができるのだ)」

・無量義経の「未だ自ら度せずと雖も、出でて能く他を度す」の心を詠む。

Img_5775

Img_5767

Img_5803

Img_5810

Img_5815

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月25日 (火)

般若寺水仙:1月~3月  *咲きはじめ。1~3分咲き、場所によって咲き具合が違う

昨日、早咲きコスモスの種まきをしました。何で今頃、とご不審の向きもあろうと思います。しかし初夏の6月に咲かせるには今が最適です。コスモスの発芽温度はは20度以上ですから外気温では不可能です。発芽させるにはちょっと仕かけがいります。まずトンネル栽培用の透明ビニールシートとアーチ型の支柱、ガーゼのような不織布と黒いネットを用意します。作業手順は水をたっぷりとやり、種をまき、シートでトンネルを作り、風に飛ばされないよう足元を土で押さえます。このまま10日か、2週間置くと発芽します。夜は保温用の霜よけネットを被せてやらないといけません。芽が出てからは空気の入れ替えと水遣りが必要です。苗が10センチ程度になったら庭の地面に植えつけます。それからが大変です。コスモスにとって霜が大敵ですから。

この先の作業はまた別の機会にご報告しますので今日はここまで。

「水もらい 水仙の花 生き生きと」  仙花子

〔俳句〕

「水仙の 芽うごくかうごく かと見つむ」 杉田さだ子

「水仙や 日の衰へに やすけき日」  瀧春一

「庭園の 池に漣 水仙花」   与川やよい

〔和歌〕

「はつせ山 かたぶく月も ほのぼのと

かすみにもるる 鐘のをとかな」

前中納言定家・風雅30

「初瀬山で眺めれば、傾きかかる月もほのぼのと霞み、その立ちこめた霞の隙を漏れて、これもほのかに(長谷寺の)鐘の音が聞えて来るよ。」

〔釈教歌〕

「あすよりは あだに月日を をくらじと

思ひしかども けふもくらしつ」

慶政上人・玉葉2705

「明日からは無駄に月日を送らず、仏道に精進しようと決心したのだけれど、それを実行にうつさず、今日も空しく暮らしてしまったよ。」

  梵網経の序、「空しく過ごして以って徒に疲労を設け、後代深く悔ゆること莫れ」の意を詠む。

  梵網経序=梵網経は大乗菩薩戒の根本経典。菩薩の階位と戒律を説き、十重四十八軽戒を示す。ここに引くのは梵網経菩薩戒序の末尾、人生の無常を説き、怠惰を戒め、一心に三宝を念じて戒を守るべき事を説く部分。

Img_5749

Img_5760

Img_5761

Img_5763_2

Img_5765

Img_5767

↑ロウバイ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月24日 (月)

般若寺水仙:1月~3月  *咲きはじめ。1~2分咲き。

一昨日の「まかばら石」に続いてもう一つの「かんまん石」をご紹介します。十三重石塔の近くに大きな石、というより岩があります。長さ3m、高さ1,5mほど、目方は約10トンあります。その上部に銅製の不動明王が祀られています。石の材質は十三重塔と同じ笠置山系の結晶の粗い花崗岩ですこし赤みがかっています。20年前に山から持ってこられた新参の石で、初めは何か仏像を彫刻をしてもらおうかと考えましたが、石には手を加えずそのままにしてお不動様をまつりました。特別な理由はなく自然とそうなったのです。仏様がこの石を選ばれたのでしょう。お不動様はたいへん霊験のある仏で、除災招福の祈願本尊です。お姿は大抵岩座に立っておられます。大石に比べ小さいながらも信仰を集め、石には常にお賽銭が載っています。昨日こちらにも竹で結界を作り丁重におまつりできる様にしました。そして石の名はお不動様の種字(仏を象徴する梵字)にあやかり「かーん・まーん」としました。この霊石の少し変わったご利益は、石の出っ張りにお腹や背中に押し当てると体調が良くなる事です。これは寺の「マー様」のお説で、実際私もやってみました。なんだかお腹をマッサージされているようで調子がいいです。背中も筋が延びて気持ちいいです。その上楽に空を仰げて気分爽快になります。御来寺の節はお試しあれ。

「水仙を 活けたる部屋は 春いっぱい」 仙花子

〔俳句〕

「水仙や 託されし道 一筋に」  山田夏子

「水仙の ふるへどほしや 何を待つ」福岡もも

「一握り 切る水仙の 香にむせぶ」 古川さかえ

〔和歌〕

「はれそむる 雲のとだえの かたばかり

夕日にみがく 峯のしら雪」

右大臣二条道平・玉葉956

「晴れはじめた雲の切れ間の所だけ、さし込む夕日の光に映えてきらきらと輝く、峰の白雪よ」

〔釈教歌〕

「たづねいる 道とはきけど 法の門

ひらけぬものは こころなりけり」

入道前太政大臣実兼・玉葉2704

「仏道とは自ら尋ねて入って行くものと聞いているけれど、さてその入口までたどり着いても、開かないのは仏法の門ではなく、自分のかたくなな心の方だったのだ。」

  法の門=「法門」の訓読語。仏の道に入る門の意で、仏法をたとえていう。

  ひらけぬ=開放されない。悟れない。「門」の縁語。

Img_5738

Img_5744

Img_5754

Img_5746

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月23日 (日)

般若寺水仙:1月~3月  *咲きはじめ。1~2分咲き。

大寒。寒いのにも慣れてしまいました。今日は温かったので昼から水撒きをしました。年末から雨はほとんど降ってませんから境内中カラカラに乾いています。水をまくとしっとりとして落ち着きます。昔だったら異常乾燥と言うのしょうね。昼間の暖かさに引きかえ夜は寒いです。寺の住まいの寒さは格別です。室内でもマイナス温度の時もあります。ストーブを入れても利きません。厚着は普通です。庭仕事で動けば熱くなり、着ているものを一枚づつ脱皮します。そして寒くなればまた着ます。寝る時は湯たんぽを入れ、靴下を履いて、時にはジャンパーを着て布団に入ります。みんなからこんなに寒い家は珍しいと言われたりします。しかし住めば都、慣れです。よそへ行って暖房の利いた部屋に入ると顔がほてり頭がボーっとします。寒さ慣れしているからホテルなんかでは良く眠れません。いつぞやは窓を開けて寝たこともありました。でも昔はもっと寒いでした。火鉢の炭火が唯一の暖でしたし、隙間風がヒューヒュー音を立てていました。朝、水道は出なくなっていて、ため置き用のカメから氷のような水を勺で汲み顔を洗っていました。しかしそんなに苦になりませんでした。「仏道は貧道なり」と説いた高僧もいます。寒さは精神と身体を鍛えてくれる修行かもしれません。

「山焼きの 花火に映えし 水仙花」  仙花子

〔俳句〕

「俳書展 つつましやかに 水仙花」  坂本ひさ子

「だしぬけに 少女等の声 水仙郷」  川崎光一郎

「見栄えよき 向きに水仙 植え替ふる」 鵜飼紫生

〔和歌〕

「のどかなる かすみの空の 夕づくひ

かたぶくすゑに うすき山のは」

従二位為子・風雅28

「のどかに霞こめた空に沈もうとする夕日よ。傾きかかるその行手には、うっすらとしか見えぬ、山の稜線がある。」

〔釈教歌〕

「たかせ舟 くるしき海の くらきにも

のりしる人は まどはざりけり」

入道二品親王覚性・玉葉2703

「小さな高瀬舟で、荒れて渡りにくい海の暗い所を漕いでいても、航法を知っている人は迷いはしないよ。(はかない人間の身で、生死輪廻の苦しみに満ちた暗い現世に生きていても、仏法を知る人は彼岸への道を迷いはしない)」

  たかせ舟=ここでは単に「小舟」の意で用いる。

  くるしき海=「苦海」の訓読語。生死の苦悩が海のように広がっている有情の俗世。

  のりしる=「乗り知る」と「法知る」をかける。

Img_5615

Img_5614

Img_5612

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月22日 (土)

般若寺水仙:1月~3月  *咲きはじめ。1~2分咲き、寒さが緩み花が動き出しました。

近年、各地のパワースポットが注目を集めています。何か霊気を感じさせる場所や自然の景物が多いです。街中にもありますが、やはり自然に恵まれた所が多いですね。古代の信仰では大きな岩や大木に神様が宿っておられると信仰を集めてきました。現代のパワースポットはさまざまです。これはどうかな、と首を捻るものもあります。しかし信じるものは人様々、とやかく言うことではありません。

実は当寺にも其れらしい霊石がありまして「まかばら石」と呼んでいます。この名の由来は「光明真言」という仏の光明遍照を讃えた陀羅尼(呪文のようなもの)の中にある語句からです。数年前、東京から当寺へ来られた90何歳かのご老人が、昔この寺の住職(先代良光和尚)に会社の名前をつけてもらったところ事業は順調に伸び大きくなったそうです。その社名が「まかばら」です。その方は霊能力があるそうで事業もそれに基づいて拡張されたようです。今は会長に退いて何十年ぶりかに奈良へ来られました。懐かしそうに当寺の境内を一巡して受付に戻って来るなり、あそこにある庭の石を譲ってほしいと言い出されたのです。それは私も昔から気になる石ではあったのですが、何気なく庭に置かれた長さ80センチほどで赤茶色の丸みを持った石です。この石が大きな霊気を発しているとのことです。しかし昔から寺にあるものはお譲り出来ないと丁重に断ったところ、それじゃあ末代まで大切にしてくださいと言い置いて帰られました。それ以来「まかばら石」と呼び習わしています。昨日その結界の竹柵を設置しました。ご参詣の皆様に御利益が授けられ、運気上昇がかなうことをお祈りいたします。

「水仙と 法の花咲く 般若寺は」  仙花子

〔和歌〕

「野水仙 行き交う子等の 会釈受く」 森理和

「人住まぬ 庭に水仙 咲き競ふ」  大日向千鶴子

「水仙や 売りに出されし 友の家」 高倉恵美子

〔和歌〕

「しがらきの と山ばかりに ふりそめて

庭にはをそき 雪にもある哉」

尚侍藤原項子朝臣・玉葉953

「信楽あたりの近い山には降りはじめていながら、私の庭にはいつまでも降って来ない雪だこと、まあ。」

・しがらき=近江の歌枕、信楽。しばしば「信楽の外山」と続ける。

〔釈教歌〕

「なにとして 跡もなき身の うき雲に

心の月を へだてそめけむ」

聖戒法師・玉葉2702

「一体どういうわけで、あともなく消え去るはかない浮雲のようなこの身の迷いのために、真如の月、明らかな悟りの心を隔てはじめてしまったのだろう。」

・心の月=「心月」の訓読語。仏道の悟りの心。

Img_5552

Img_5547

Img_5548

Img_5622

Img_5619

Img_5614

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月21日 (金)

般若寺水仙:1月~3月 *咲きはじめ。1~2分咲き。

明日、奈良では「若草山の山焼き」があります。昔は115日成人の日にあったのに、毎年日にちが変わるようになってから忘れてしまいそうです。午後6時ごろから花火が上がり、それを合図に点火された火は一重目から三重目まで山肌をかけ上がり7時ごろクライマックスになります。夜空を焦がさんばかりに燃えあがる枯れ草の赤い炎は生命の再生を象徴しているのでしょうか。焼かれた芝や薄は春になると鮮やかな緑と変わります。もともとの起りは東大寺と興福寺の境界争いを調停するため山を焼いたという説があります。調停役は西大寺であったそうです。起源はどうあれ、なにかとおしとやかな奈良では珍しい勇壮な祭典行事ですね。

「軒先の 揺れたる籠に 水仙花」  仙花子

〔俳句〕

「石に坐せば 水仙の咲き 始めたる」  山田六甲

「活け直す 水仙の丈 迷ひたり」   牧原佳代子

「倒れるも 立つも真っ直ぐ 水仙花」 安田青葉

〔和歌〕

「しずみはつる 入日のきはに あらはれぬ

かすめる山の 猶おくの峯」

前大納言為兼・風雅27

「沈み切ろうとする入日の、その最後の逆光の中にくっきりとあらわれたよ。霞みこめた山のなお奥にあって、今まで見えなかった高峯の姿が。」

  おだやかに暮れゆく春霞の中、逆光に突如姿をあらわした高山のシルエットは、自然のエネルギーの力強さ、その刻々の変容が示す意外性を見事に表現している。このような景に着目し、描破しえた歌人は古来稀であろう。(岩佐評)

〔釈教歌〕

「もろともに 行くべき道の しるべとて

月もかたぶく にしの山のは」

円空上人・玉葉2701

「連れだって行くはずの道の案内役として、月も傾いて行く西の山の端よ。(その彼方に、目ざす西方極楽浄土があるのだ)」

Img_5595

Img_5596

Img_5602

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月20日 (木)

般若寺水仙:1月~3月  *咲きはじめ。2分咲き。

いま全国の水仙名所はどうなんでしょうか。この間、越前海岸の水仙が新聞で紹介されていました。私も一度だけ行ったことがあります。でも海岸では5分と立っていられません。日本海からの冷たい北風が間断なく吹きつけます。風を逃れて物陰に入れば暖房に出会ったように暖かかったことを憶えています。あの寒風の中で咲く水仙は貴重です、感動しました。今年は雪も多く寒いからよけい値打ちがあると思います。太平洋側の海沿いではもう見ごろを迎えているんでしょうね。

般若寺の水仙は今月中では見頃にならないかもしれません。

「水仙や 花の重さで たおれ伏し」  仙花子

〔俳句〕

「ありがたう そのひと言を 水仙花」  吉野のぶ子

「水仙の 蕾に夜の 緊まりたる」   小林愛子

「薄皮を ぬぎつつ春の 水仙は」   山田六甲

〔和歌〕

「雲井ゆく つばさもさえて とぶ鳥の

あすかみゆきの ふる郷の空」

土御門院御製・玉葉949

「空を行く翼も寒さに凍えて飛ぶ鳥の様子を見ても、明日は雪が降ることかと思われる、古い廃都、飛鳥の里の空よ。」

・『白氏長慶集』の『歳晩旅望』中の「鳥雀群飛欲雪天」という句題を詠む。

  とぶ鳥の=実景と、「あすか」の枕詞とをかける。

  あすか=奈良の旧都、「飛鳥」に「明日か」をかける。

  みゆき=旧都への「御幸」に「み雪」をかける。

  ふる郷=雪の「ふる」に「故郷」をかける。

〔釈教歌〕

「おどろかす 心もほかに なかりけり

われとぞよはの 夢はさめける」

前僧正実伊・玉葉2700

「自分を驚かせ、悟りに目覚めさせる契機といっても外にはないのだ。自分でひとりでに夜中に夢から覚めるように、自分の心の成熟によっておのずから迷いから脱することができるのだよ。」

Img_5603_2

Img_5605

Img_5572 

Img_5567

Img_5589

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月19日 (水)

般若寺水仙:1月~3月  *咲きはじめ。1~2分咲き。

雪国は大変そうですね。雪下ろしでお疲れのことだと思います。くれぐれも事故に遭われない様にお気をつけください。奈良はカラカラに乾燥して咽、鼻、目がおかしくなってきました。乾燥すると風邪やインフルエンザが流行するそうです。マスクなどが欠かせませんね。食事、睡眠を規則正しくすることが病気予防の基本です。

北海道へ行った寺の顕さんが今夜帰ってくる予定です。どんなお土産を持って帰るのか楽しみです。

「水仙や わが寺の庭 春きたる」  仙花子

〔俳句〕

「水仙は 大きな岩を 背負ひけり」  山田六甲

「吾が思ひ 断ちきりがたし 水仙花」 西田久子

「水仙の ひらくに足らふ 日をあつめ」間宮陽夫

〔和歌〕

「春くれば 雪げのさはに 袖たれて

まだうらわかき わかなをぞつむ」

崇徳院御歌・風雅17

「春が来ると、雪の消えて水のまさった沢に袖を垂れて、まだ本当に瑞々しい若菜を摘むよ。」

  雪げ=雪消。雪どけ。

  うらわかき=末(うら。草木の先端)が若々しく未熟な。

〔釈教歌〕

「あきらけき ひじりの御代に ふたかへり

心の玉を 又みがくかな」

二品法親王尊助・玉葉2699

「明らかに世を治められる聖天子の御代に、二代にわたって御出家の戒の師をつとめ、我が君の御心の玉を磨かれる儀に奉仕することよ。」

  後嵯峨院=文永5年(1268)十月五日出家、49歳。

  後深草院=正応三年(1290)二月十一日出家、47歳。

  戒の師=戒律を授ける師僧。

Img_5592

Img_5578

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月18日 (火)

般若寺水仙:1月~3月  *咲きはじめ。2分咲き。

日の過ぎ行くのは早いもので1月はもう後半に入っています。寒いのは相変わらず、でも今年の水仙はどうなっているのでしょうか。去年だったらそろそろ満開に近くなっているはずなのに、いまだに三分咲きにも至りません。この分ですと2月から3月へとずれ込みそうで花の時期を変更しなければなりません。今年は異常に寒い冬になりました。

「寒風に 水仙の花 ゆらゆらと」  仙花子

〔俳句〕

「真っ直ぐと いふ水仙の 気品かな」 稲畑広太郎

「水仙よ 太陽に目を 向けてみや」  山田六甲

「夕暮の 寺の水仙 風を呼ぶ」    山元海郎

〔和歌〕

「朝あけの こほる波まに たちゐする

羽をともさむき 池の村鳥」

広義門院・玉葉942

「早朝の、半ば氷っている波間に、立ったり居たり羽づくろいをしている、その羽音もいかにも寒そうな、池の水鳥どもよ。」

〔釈教歌〕

「よもすがら にしに心の ひくこゑに

かよふあらしの をとぞ身にしむ」

前大僧正忠源・玉葉2698

「夜を徹して、西方極楽浄土に心を誘うように唱える引声念仏の声に、声を合わせるように吹き通ってくる嵐の音が、実に身にしみて尊く聞える。」

  常行堂の引声の念仏を聴聞して詠む。

  常行堂=常行三昧法(阿弥陀仏のまわりを歩きながら念仏を唱える行法、90日間を限って行う)を行う堂。ここでは比叡山横川の常行堂か。

  引声の念仏=インジョウの念仏、声に高低・伸縮の曲調をつけて唱える念仏。

  心のひくこゑ=「心を引く」に「引声」をかける。

Img_5557

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月17日 (月)

般若寺水仙:1月~2月  *咲きはじめ。1~2分咲き。

写真で何度も紹介したジョウビタキのことを調べました。この鳥はスズメくらいの大きさで黄・黒・白と色彩豊かなかわいい小鳥です。寺では氷室神社のバンビ、「アーちゃん」にあやかって「アイちゃん」と呼ぶことにしました。本当に人なつっこい鳥で人の後ろから付きまとい、2メートルほどの距離に近づき私たちの働きぶりを見守っています。この鳥は渡り鳥で繁殖地はアジア大陸東部、チベットから中国東北部、沿海州、バイカル湖周辺です。非繁殖期は日本やインドシナ半島で越冬します。だから日本では冬鳥です。冬が終れば遠い故郷へ帰っていきます。今は虫や木の実を食べて体力をつけているようです。

黒い両方の翼には白い紋があるので「紋付鳥」とも呼ばれます。また人を恐れず近づくので「バカビタキ」とか「馬鹿鳥」とも言うそうですが、これはちょっとひどい呼び名ですね。もっとかわいい名前があってもいいのにと思います。それから越冬期間中は一羽だけで過ごすそうです。大変縄張りを大事にするそうで同種の他の鳥が入って来ると攻撃して撃退するそうです。どうやらアイちゃんはここ般若寺が縄張りのようです。どうぞ気兼ねなく冬を過ごしてください。ネコさんに気をつけてね。

16日に撮影されたNHKの映像は1/19日(水)の夕方6時台の「奈良ナビ」で放送されるそうです。ご視聴ください。

  *今日から本ブログの更新を担当している顕さんが旅行に出ますので23日休ませていただきます。あしからず。

「水仙の 花を愛でるか ジョウビタキ」 仙花子

〔俳句〕

「水仙の 芽を踏みたまふ こと勿れ」  稲畑汀子

「崩れねば ならぬ水仙 今盛り」  稲畑広太郎

「水仙や 改装すすむ 堂のあり」  青木陽子

〔和歌〕

「かすがのの 雪のむらぎえ かきわけて

たがためつめる 若菜なるらん」

源俊頼・風雅15

「春日野の、雪のまだらに消え残った所を掻き分けて、一体これは誰の為に摘んだ若菜なのだろう。(誰でもない、あなたの為にこそ摘んだのですよ)」

・かすがの=春日野。大和の歌枕。

奈良市

春日山の裾野一帯。

〔釈教歌〕

「やよやまて かたぶく月に ことづてん

われも西には いそぐ心あり」

法橋顕昭・玉葉2697

「おおい、待ってくれ。傾く月に言伝をしよう。月よ、私もお前と同じに、西方極楽浄土へ早く行きたいと願う心だけはあるのだよ。」

・「月に寄せて極楽を願ふ」という題を詠む。

Img_5312_2

Img_5225_2

Img_5240_2

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月16日 (日)

般若寺水仙:1月~2月  *咲きはじめ。1~2分咲き。

今朝は冷え込みました。奈良では氷点下4℃まで下がりました。盆地特有の底冷えです。

日差しはあるけれど風が冷たいです。この寒い中、NHKの奈良放送局から境内の撮影に来られました。目的は水仙の花です。昨年末から何度も問い合わせがあって、水仙の開花情報を聞いておられたのですが、一向に咲かないので痺れを切らしたように今日の朝一番に来られたのです。余りに早く来られたので花は凍てついて萎れたようになっていました。でも時間が立つにつれ霜も融けて花はしゃんと立ち上がりました。まだ花数は少ないのでどのような映像になっているのかちょっと心配です。撮影スタッフの皆様、寒い中ごくろうさまでした。

「水仙の 花を供えん み仏に」

〔俳句〕

「水仙に 寝起きの顔を 見られけり」  秋千晴

「水仙の 風に耐えねば ならぬ岬」   稲畑広太郎

「花終えて なかでも水仙 草仲間」   丸山冬鳳

〔和歌〕

「山河の みわたによどむ うたかたの

あわにむすべる うす氷かな」

前大納言為家・玉葉936

「山河の流れの曲がり目に水の淀んでいる水の泡の、そのあたりにはかなげに張った薄氷よ」

  みわた=川の流れが曲がって水の淀んでいる所。

  あわに=「泡に」と「淡く、ほのかに」の意をかける。

〔釈教歌〕

「ふたつなき たまをこめたる もとゆひの

とくことかたき 法とこそきけ」

待賢門院堀河・玉葉2696

「世に二つとない貴重な珠を髻の中に籠めている転輪聖王が、元結を解いてその珠を勇者に与える事が非常に稀なように、御仏がお説きになる機会に遇う事は大変にむずかしい、そういう貴重な教であると聞いているよ、この法華経は。」

  ふたつなき=法華経安楽行品の髻中の明珠の喩。

  とく=元結を「解く」意に教を「説く」意をかける。

Img_5283

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月15日 (土)

般若寺水仙:1月~2月  *咲きはじめ。1~2分ていど。

昨日までの晴天が終わり、今日から天気は下り坂。全国的に雪模様、奈良も降るかもしれません。

水仙は遅ればせながら次々に花を咲かせています。寺の庭には、名前は分かりませんが色とりどりの野鳥が来ています。木の枝を飛び交ったり地面を啄ばんだりと忙しそうです。おそらく渡り鳥だろうと思われます。雀ほどの小さな体で広い海を渡るのですから、今は体力をつけるため食事に専念しています。小鳥たちのためにも自然を残しておきたいですね。

「水仙に 小鳥のあそび 春ちかし」  仙花子

〔俳句〕

「水仙の 右左より 香りくる」  秋千晴

「風折れの 水仙束ね 独り言」  上林孝子

「水仙や しづかに人を 諭しをり」 小澤克己

〔和歌〕

「のどかなる けしきを四方に をしこめて

霞ぞ春の すがたなりける」

進子内親王・風雅8

「のびやかな雰囲気を、あたり全体に漲らせて立ちこめているその様子。霞こそは、「春」そのものの姿だったのだなあ。」

・をしこめて=あたりをすっかり覆って。「をし」(押し)は強意の接頭語。

〔釈教歌〕

「草枕 ただかりそめに まよひいでて

あはれいく夜の たびねしつらん」

読人しらず・玉葉2695

「草枕を結ぶような、ほんの仮の旅路と思って迷い出たのだが、ああ、思えば幾晩の旅寝になってしまった事だろうか。(目的地である解脱には程遠いことだ)」

  「流来生死」の心を詠む。「流来生死は迷心の初めを指す」(本覚讃釈)

  かりそめ=草を「刈り初める」意に、「仮初」をかける。

ジョウビタキ↓

Img_5114

Img_5234

Img_5259

Img_5137

Img_5037

Img_5033

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月14日 (金)

般若寺水仙:1月~2月 *咲きはじめ。1~2分ていど。

先日来の植木の伐採で出た大量の枝葉の後始末をどうしようかと思案していたところ、奈良公園にある氷室神社の息子さん(ご親戚になります)が枝を引き取りに来てくれました。最初、太い目の枝を持ち帰られたところ、枝先についていた葉っぱを鹿がよろこんで全部食べたそうです。氷室神社には境内で生れた鹿の子供(名前は「アーちゃん」だそうです)が母鹿と共に住み着いています。今の時期は草も無くひもじい思いをしているのです。そこで樫とカナメの葉がよく茂っているのを軽トラで3台分運び鹿達にプレゼントしました。こちらとしても片付くし大助かりです。出来れば鹿さんに当寺までご出張願いたいほどです。これぞ一石二鳥ですね(野鳥を守る立場からはあまり使いたくない言葉ですが)。

「水仙や 花と仏に 手を合わせ」  仙花子

〔俳句〕

「水仙の どれにも視線 そらさるる」 安達風越

「水仙の 香の漂へる 参観日」    岸直人

「水仙は わが故郷の 香かな」    林敬子

〔和歌〕

「風のをとの はげしくわたる 梢より

むら雲さむき 三日月のかげ」 

永福門院・玉葉909

「風の音が激しく通り過ぎて行く梢の間から、むら雲の中にいかにも寒々と鋭く光る三日月の姿が、見えかくれするよ。」

〔釈教歌〕

「いかにせん 十のさかひに 旅だちて

もとのみやこの とをざかりゆく」

前大僧正道玄・玉葉2694

「どうしたらよかろう。十界を転生して行く道に旅立ってはみたものの、迷界にさまようばかりで、本来の都、目的地である仏界には遠ざかって行くよ。」

・もとのみやこ=本覚真如の浄土のこと。

キリ―ク=阿弥陀如来↓

Img_5053

Img_5044

Img_5049

Img_5051

Img_5056

Img_5057

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月13日 (木)

般若寺水仙:1月~2月  *咲きはじめ。

冬の季節、般若寺は人も少なく、石仏・花・人と調和のとれた景色が絵になります。水仙がもっと咲いてきたら香りも加わり最高です。水仙の芳香はそばを通るだけでも匂ってきます。いろんな小鳥たちも楽しげに動き回っています。早く満開にならないかなあ。

「美しき おみなのありて 水仙花」  仙花子

〔俳句〕

「水仙の 斜面ゆるやか 水の照り」  山村桂子

「日の差せば 日のわびしさに 水仙花」 前迫寛子

「水仙の 香り残して 消燈す」  船越美喜

〔和歌〕

「わが心 はるにむかへる 夕暮の

ながめのすゑも 山ぞかすめる」

花園院御歌・風雅7

「私の心が、[ああ、春だなあ]と納得した夕暮の、はるかな遠望の彼方には、まあ、山もおのずから霞んでいる。」

  はるにむかへる=「むかふ」は「向き合う、正面から対応する」意。いかにも春であると容認し、その状態に素直に向い合う。

  ながめのすゑ=眺めの末。遠望する、その果ての景色。「霞」と連動して用いられる事が多い。

〔釈教歌〕

「あひがたき みのりの花に むかひても

いかでまことの さとりひらけん」

前大納言為家・玉葉2693

「遇う事のむずかしい仏法の精華、妙法蓮華協に向い、これを読誦するにつけても、どうやって本当の開悟解脱を果せるだろうか。(どうかその境地に至りたいものだ)」

・みのりの花=「法華経」を和らげていう。「ひらけん」は「花」の縁語。

Img_5033

Img_5036

Img_5017

Img_5018

Img_5029

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月12日 (水)

般若寺水仙:1月~2月 *咲きはじめ。日差しと空気が春めいて花も増えてきました。

2010年の中国の自動車生産販売台数が1800万台を超えました。2位アメリカと3位日本の合計よりも多いそうです。急速な経済発展の当然の帰結でしょう。今年は2000万台に届くそうです。でもこのまま増え続けてもガソリンは足りるのでしょうか、環境は大丈夫なのでしょうか。中国だけではありません。インド、ブラジル、ロシア、東南アジア各国、何れも驚異的な発展を遂げています。一人日本だけが控えめでおとなしくしています。車離れ、お酒離れはいまや常識になって来ました。でも地球温暖化の元凶である二酸化炭素の削減は一向に進んでいません。いまこそ知恵を出し合い、我慢もして、資源の消費削減に取り組まなければなりません。このままでは人類文明衰亡の道を歩むことになります。個人のレベルでも食料やエネルギーを自給する時代になって来たのかもしれません。

当寺では生ごみの堆肥作りを再開しました。3年前まではきっちりやっていたのですが、病気など人手の問題で休止していたのです。堆肥、雨水利用、ストーブの薪つくり(これは自家用ではなくご親戚用です)などから始めています。そして将来は自然エネルギーによる発電も取り入れたいと思います。

「夕暮に 水仙の白 浮き立ちて」  仙花子

〔俳句〕

「水仙花 診察を待つ 間の長し」  沼口蓬風

「遅咲きの 水仙ひくく 香りけり」 鎌倉喜久恵

「背筋に 疲れ溜まって います水仙」森須蘭

〔和歌〕

「しほれふす かれはのすすき 霜さえて

月かげこほる 有明の野べ」

右兵衛督雅孝・玉葉905

「生気を失って倒れ伏した薄の枯葉の上に、霜がきびしく置いて、月光も氷りつくような有明方の野の景色よ」

〔釈教歌〕

「みつのくに ながれたえせぬ 法の水

わが寺ならで くむ人ぞなき」

前大僧正良信・玉葉2692

「天竺・震旦・日本と、その流れが絶えずに伝わって来た法相宗の法脈は、私の寺、興福寺でなくてはその流れを汲み、発展させる人はいないのだ。」

  法相宗=7世紀、玄奘三蔵がインドから中国に伝えた「成唯識論」を根本教典として窺基が大成した宗派。4回にわたり日本に伝来したが、第4伝の玄ボウが興福寺で弘め、最も栄えた。

  ながれ=流派。「くむ」とともに「水」の縁語。

  法の水=「法水」の訓読語。衆生の煩悩を洗い清めるものの意で、仏法をさす。

  わが寺=作者は興福寺別当であるからいう。

Img_4512

ジョウビタキ↑

Img_4854

ロウバイ↑

Img_4920

ミカン↑

Img_4912

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月11日 (火)

般若寺水仙:1月~2月 *咲き始め。咲き方は一様ではありません。早いところと遅いところがまちまちです。

水仙の花が早く咲いている場所はどこかといえばやはり陽だまりのようなところです。北側の背後は樹木などで風を防がれ、南はひらけ日がよく当たるところです。半日しか日が当らないところはどうしても開花はおそくなります。

大きな観音石像のあたりは遅いほう、小さな地蔵石仏の周りは早いほうです。コスモスのように平均的には咲かないですね。

「ひだまりに 石地蔵立つ 水仙と」 仙花子

〔俳句〕

「水仙花 師に相対す ごと正座」  仙石君子

「香を風に 託し揺れゐる 野水仙」 柴田毅

「優しくも 冷たくもあり 水仙花」 斉藤裕子

〔和歌〕

「ながき夜の 霜のまくらは 夢たえて

あらしの窓に こほる月影」

二品法親王覚助・風雅780

「冬の長い夜の、霜の置く程の枕もとの冷えこみに夢もとぎれて、見れば嵐の吹く窓に、氷るような月の姿がかかる。」

〔釈教歌〕

「ながむれば 心のそこぞ すみまさる

三井のし水に うつる月かげ」

前大僧正道珍・玉葉2690

「眺めていると、心の底が実に清らかに澄み切って来るよ。三井の清水に映っている月の姿よ。」

・三井の清水=大津市園城寺の中にある御井の清水。天智・天武・持統三帝の産湯に用いられたと伝え、三井寺の称の起りとなる。「そこ」「すみ」と縁語を連ねる。園城寺長吏である作者の三井寺讃歌。

ロウバイ↓

Img_4835

Img_4896

Img_4892

Img_4882

Img_4863

Img_4844

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月10日 (月)

般若寺水仙:1月~2月 *咲き始め。開花がおくれていますが、日に日に花数は増えています。

この3連休最後の日は成人の日です。奈良は今日も寒いながらもお天気は上々、穏やかな祝日です。

新成人は今年も減っています。そして日本の全体人口も減少を続けています。その原因のあれこれを言ったり、人口が減少すれば未来社会はどうなるという話題が盛んになってきました。近い将来、活力を失い社会が崩壊するのではないかという不安予測もあります。しかし冷静に考えれば、これは増え過ぎたものが減るという自然の摂理なのではないでしょうか。もともとこの国の人口許容量は7千万から1億人が限界だという説もあります。いま自然界による人口調節が始まっているのです。あがいてもどうにもなりません。なるようになるということです。

かつてない社会変動の最中に成人された方々の前途は多難です。しかし若さをバネにいろんなことにチャレンジしてください。まずは本を読むことです。いま日本の若者は世界でもまれなくらい読書をしません。本には未知の世界や豊かな知恵の宝が盛られています。若者よ、本を読みましょう。そして世界に目をひらきましょう。

成人おめでとうございます。

「雪の中 花あたたかき 水仙や」 仙花子

〔俳句〕

「来年の 在る水仙を 活けにけり」  伊藤多恵子

「白水仙 活けゐて嘘の なきくらし」 野口香葉

「ゆったりと 日の濃き生家 水仙花」 田代ヨシ

〔和歌〕

「うき雲の ひとむらすぐる 山おろしに

雪ふきまぜて 霰ふる也」

民部卿為世・玉葉1006

「浮雲が一むら過ぎて行く、その雲を運んで来た山おろしの強風の中に、雪を吹きまぜて霰がさっと音立てて降るよ。」

〔釈教歌〕

「夜もすがら 窓のうす霧 きえつきて

心にみがく 秋の月かげ」

前大僧正源恵・玉葉2689

「一晩じゅうかけて、窓辺の薄霧が次第に消え失せ、きらきらと秋の月の光が輝き出るように、心中の迷いを次第に払い去ってあらわれる、真如の世界よ。」

Img_4798

Img_4807_2

Img_4809

Img_4820

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月 9日 (日)

般若寺水仙:1月~2月 *咲き始め、寒さのため開花が遅れています。

いま最低気温は毎日、マイナス3度から4度を記録しています。近年にない寒さです。奈良は寒いところで、中でも般若寺の辺りは町より780m高く、尾根の頂上部で北風がよく通るため、平地に比べ温度は12度低いです。

気象予報によると今年の寒波は西太平洋の海水温が下がるラニーニャ現象の影響で、太平洋の周辺各地域で異常気象が起っているそうです。北半球は寒波、南半球は大雨洪水、雨と乾燥が極端です。日本では去年は猛暑、今年は酷寒、この先どんな異常気象が待ち受けているのでしょうか、心配です。

地球全体の食料供給は危機的だそうです。穀物生産量の減少に加え新興国の急速な経済発展による需要増、更に投機マネーの穀物先物相場への大量流入が食料価格を押し上げています。自給率40%の日本は大丈夫でしょうか。

もう飽食、グルメの時代は終わりにして、質素で健康的な食生活に戻るよい機会かも知れませんね。昔のお坊さんは精進食を一日2回摂っていただけです。それで充分健康を維持できます。いま日本人はカロリー過剰、そしてレストランやコンビニなどの外食産業では料理の何割かは廃棄されているそうです。作り過ぎ、食べ過ぎなんですね。

「はつ春や 水仙の花を み仏に」  仙花子

〔俳句〕

「水仙へ 白波瑠璃を ひるがへし」  落合絹代

「水仙や 柳生に残る 武家屋敷」   白石とも子

「水仙の 咲きはじめたる 夜空かな」 戸栗末広

〔和歌〕

「山のはを 出づる朝日の かすむより

春のひかりは 世にみちにけり」

西園寺兼実・風雅5

「山の端をさし出る朝日が、おだやかに霞んで見えると、ああもうそれだけで、豊かな春の光は世の中一ぱいに満ちあふれてしまったよ。」

〔釈教歌〕

「かりそめに こころのやどと なれる身を

あるものがほに 何おもふらん」

永福門院・玉葉2688

「ほんの仮に、心の宿りとして存在しているにすぎない、この我が身であるものを、いかにも永久にあるもののような顔をして、なぜこんなに心労するのだろう。」

Img_4727

Img_4737

Img_4745

Img_4750

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月 8日 (土)

般若寺水仙:1月~2月 *ちらほら咲き

ここ2,3日の朝の冷え込みは厳しいです。毎日氷点下を記録しています。土までが凍りつき表面はコチコチです。試しにクワで土を掘ってみると厚さ3センチほどの板状になって剥がれました。今が寒の最中です。土起こしを旧年中に済ませておいてよかったです。きょうも立ち木をせん定し後片付けをしました。ノコギリと軽トラがご活躍でした。まるで植木屋さんのような日々を送っています。いま青竹と黒竹と樫の木の枝がいっぱいあるので欲しい方には差し上げています。よろしかったらどうぞお持ちくださいませ。

「み仏の ほほえみの中 水仙は」

〔俳句〕

「一本の 水仙の香を みんな言ふ」  隅田恵子

「水仙や かなぐり捨てむ 依存心」  池田倶子

「水仙を 活けて客間と なりしかな」 稲畑汀子

〔和歌〕

「はる霞 かすみなれたる けしきかな

むつきもあさき 日数と思ふに」

従三位為子・玉葉6

「はる霞はまあ、まるで霞むのには馴れ切っていますという様子だね。正月になってまだ何程もたっていない日数だというのに。」

・むつき=睦月、正月。

〔釈教歌〕

「朝な朝な 雪のみ山に なくとりの

こゑにおどろく 人のなきかな」

後京極良経・玉葉2687

「朝ごとに、大雪山で鳴く寒苦鳥の声にはっと気づき、真に現世の苦を逃れて仏道に入ろうと決意するような人は、一向に無いものだなあ。」

・雪のみ山になくとり=インドの大雪山(ヒマラヤ山)に住むという寒苦鳥。夜は寒さに苦しんで、夜が明けたら巣を作ろうといって鳴くが、朝になると寒さを忘れ、巣を作らずに怠ける。衆生の懈怠して成道を求めない事をたとえる(録内拾遺、五)

Img_4687

Img_4688

Img_4693

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月 7日 (金)

般若寺水仙:1月~2月 *ちらほら咲き始め

今年の水仙は花が遅いですね。なかなか前へ進んでくれません。ご近所の花壇を見てもまだ花は見られません。寒さが厳しいからか、それとも昨年の猛暑の後遺症か、蕾は沢山付いているのに開かないのです。年末の予測には、お正月過ぎには見ごろを迎えるとしていたのに、みごとはずれました。この分では今月半ば以降になるかも知れません。

水仙を目あてに寺を訪れていただいている方々には、本当にお気の毒で申し訳なく思っています。

もうすこしお待ちくださいませ。

「春待てる 心いとほし 水仙花」  仙花子

〔俳句〕

「竹垣に そうて咲きをり 水仙花」  鈴木幾子

「水仙や ろうたけたるは 端山の日」 伊丹さち子

「水仙の 香に筆止めて 筆進め」   稲畑汀子

〔和歌〕

「ふりはつる 我をもすつな 春日野や

をどろがみちの 霜の下草」

前大納言実教・風雅770

「全く老人になってしまった私をも、どうか捨てて下さいますな、春日の神よ。春日野の草木の生い茂った道の、霜に打ちひしがれた下草のようなこの身を。(どうか下積みの私に、官途を開いて下さい)」

  ふりはつる=「旧り」と霜の縁語「降り」をかける。

  春日野=春日野によそえて藤原氏の祖神、春日の神に呼びかける形。

  をどろがみち=「棘路(きょくろ)」の訓読語。中国の政庁で左右に各九株の棘(ナツメの一種でとげのある小潅木)を植えて諸卿の位置を示した所から、公卿の異称。一方、「をどろ」には「とげのある木の生い茂っている所」の意があり、実景をしてはこれをかける。

  霜の下草=下積みで不遇の身をたとえる。

〔釈教歌〕

「しなじなに ひもとく法の をしへにて

今ぞさとりの 花はひらくる」

入道前太政大臣(西園寺実兼)・玉葉2686

「経巻の各品ごとにさまざまの形で説かれる仏の教え、その精髄である般若心経によって、今こそ花のように美しい悟りの世界が開けるよ。」

・ひもとく=経巻の紐を解いて「読む」意に、花のつぼみの「開く」意をかける。「花」の縁語。

Img_4191

Img_4208

Img_4190

Img_4236

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月 6日 (木)

般若寺水仙:1月~2月 *ちらほら咲き

きのうに続いて木の話。クスノキです。実は境内に推定樹齢六百年の巨樹があります。根周りが12m、樹高は十数年前までは25mの避雷針を超えるところに枝が見えており、

おそらく30mはあったでしょう。たぶん奈良一番の樹冠を持っていたのだと思われます。しかし悲しいかな、その真下に人家があり台風が来るたびに枝が折れて被害を及ぼさないかなとひやひやします。そこで枝払いを決断しました。その時は50cmていどの枝まで切ってもらいましたがそれでもトラックで10台以上の容量がありました。枝きり代しめて300万円なり。これはかなわないな、と思っている内に10年がたち、新たな枝が元のように枝を張りました。そこで3年前奈良の東山中の木材商の方にお願いして再び枝を切りました。10年ごとにこんな大金がかかるようでは財政が持ちません。それで思い切って高さ8mの、枝が5本に分かれているところで切りました。枝といっても直径1mあります。あとの片付けは寺でやることにしたので、このときは費用30万円で済みました。大型クレーン一台と作業員2人、刃の長さ1mのチェーンソーであれよあれよという間に切り下ろされました。楠には大変気の毒なことです。600年も生きてきてこんなことになるとは。これも遠因は明治維新の廃仏廃寺政策にあります。木の生えているところはそれまで寺の真ん中であったのに、土地が奪われ境内の端っこになってしまったからです。でも楠は不死身です。今また新たな枝を伸ばしています。楠木にとって六百年は若い盛りだそうです、日本列島には二千,三千年と生きている木もあります。楠よ、永遠に生きてください。そのうちにあなたの時代がやってきます。

「霜とけて 水仙の花 よみがえる」  仙花子

〔俳句〕

「水仙の 香に風筋の ありにけり」  稲畑汀子

「水仙や すでに東風吹く 波がしら」 水原秋桜子

「水仙の かほりて背筋 あたたまる」 天野きく江

〔和歌〕

「春きぬと おもひなしぬる 朝けより

空も霞の色になりゆく」

伏見院御製・玉葉5

「ああ、春が来た、と心に思い決めたその朝から、空だってほんのりとした霞の色になって行くのだよ。」

  おもひなす=考えて・・・だと決める。心の働きを示す、京極派好みの表現。

  あさけ=朝明け

〔釈教歌〕

「をみなえし わがしめゆひし 一もとの

外に心は うつさざらなむ」

前大納言長雅・玉葉2685

「女郎花はいくら沢山咲いても、自分がこれと思ってしるしをつけた一本の外に、あれこれ気を移してはいけないよ。(美しい女性はいかに多くとも、自分が契りを結んだただ一人の外に、心を移してはならない。)」

・「不邪淫戒」を詠む。

Img_4641

Img_4627

Img_4633

Img_4517_2

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月 5日 (水)

般若寺水仙:1月~2月

昨日は庭の初仕事をしました。樹木の枝きり、せん定です。10年前に隣家との境に植えた樫の木が大きくなって高さ5m太さ10cmほどで枝も良く茂っています。以前から何回かはしごをかけて3mの高さに切り揃えていたのですが、もう限界です。これ以上大きくなったら手に負えなくなるので目の高さで胴切りすることにしました。ちょっと大掛かりでした。はしごで上のほうにロープを架け、電動チェーンソーで切ります。ロープの引き手と声を掛け合って倒すタイミングをとります。何度も経験を積んでいることなので仕事は速いです。午後からで10数本切りました。簡単そうですがチェーンソーは危険ですから緊張します。以前、服を巻き込まれたことがあって、もう少しで大怪我するところでした。慎重、慎重。倒す時もロープの引き手と呼吸を合わせることが大事です。最後の一瞬で倒れる方向が決まります。タイミングを誤ると自分のほうへ倒れるか隣のおうちへ倒れてしまいます。なんとか無事終了しました。でも腕、肩、腰、太腿、全身あちこち痛いです、筋肉疲労と緊張疲れです。昨日でまだ半分、あと二日はかかりそうです。体力気力を整えるため今日はお休み。孫と近くの温泉へ行ってきます。

「水仙花 凍れる朝に ひとり立つ」  仙花子

〔俳句〕

「起き抜けの 目に水仙の 花一輪」  木村茂登子

「水仙や ホテル住ひに 隣なく」  久保田万太郎

「水仙の 風を拒んで をりにけり」 稲畑広太郎

〔和歌〕

「たちそむる 春の光と みゆる哉

星をつらぬる 雲のうへ人」

後法性寺入道前関白太政大臣(九条兼実)・風雅3

「今日はじめて立つ春の、そのうららかな光かと見えるよ。さながら天上に星を連ねたように、きらびやかに居並ぶ、公卿殿上人の姿は。」

  「元日宴」を詠む。

  星をつらぬる=中国の天文思想で、天帝を紫微星、大臣を三台星、以下諸臣を群星になぞらえる所から、廷臣の居並ぶさまをいう。

〔釈教歌〕

「日にそえて ふかき道にぞ いりにける

うき世の中を いではてしより」

源季広・玉葉2684

「一日々々と、仏道の深い真理に入って行くことよ。厭わしい人間の世の中をすっかり脱却してしまってから。」

Img_4593

Img_4597

Img_4610

バク字=釈迦如来の種字

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月 4日 (火)

般若寺水仙:1月~2月 *ちらほら咲き

毎日氷が張るほどの寒い朝、少しずつ夜明が早くなっています。お正月も終わり日照時間がのびて、季節は節分、立春に向かっていきます。とはいえど冬の真ん中です。

水仙には霜が降りて葉はしおれたようになっています。しばらく見ていると、しおれた葉が朝日を浴びて、霜が解け一枚ずつ立ち上がっていきます。自然の息吹を発見したようで見とれてしまいました。辺りは真っ白。

「新春を 水仙の花と すごしけり」  仙花子

〔俳句〕

「水仙の 芽の伸びのびの みどり濃し」 長村雄作

「水仙の 咲いて一日 中ゆたか」  丸山敏幸

「風ふくれ かげが翳生む 水仙花」 沼田巴字

〔和歌〕

「春くれば ほしのくらゐに かげ見えて

雲井のはしに いづるたをやめ」

前中納言定家・玉葉3

「新春が来ると、列星のように立ち並ぶ公卿殿上人の前に姿を見せて、紫宸殿の東階の上に立ち出でる内侍の美しい姿よ。」

〔釈教歌〕

「たれもみな わたる心を はしとして

かみなき道に すすむなりけり」

前参議教長・玉葉2683

「往生する人は誰も皆、極楽へ行きたいと思う心を頼りにして、これより上はないという最高の道、仏道へ進むのであるよ。」

  「増進仏道楽」を詠む。十楽の一つ。極楽往生を志し、弥陀の本願にあずかろうと勤める楽しみ。

  はし=橋。「わたる」の縁語。

Img_4495

Img_4520

Img_4492

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月 3日 (月)

般若寺水仙:1月~2月 *ちらほら咲き

奈良は盆地ですから寒いです、底冷えします。でも雨、風、雪もなく比較的おだやかなお正月でした。山陰から北の日本海側は記録的な大雪で大変そうですね。去年に続いて今年も寒い冬のようで、これからも雪の日が多くなると思われます。

事故のないように用心して下さい。油断禁物。

水仙の花は寒くても平気です。しかし雪には弱いです。多く積れば花が倒されてしまいます。奈良はだいたい雪は少ないところで助かっています。例年は3月になってから10cmほど積もることがありますが、その頃には水仙は終わりに近づいていますので大丈夫。今年はどうなることやら、お天道様にお任せですね。地球よ安穏なれ。

花はまだこれからです、お楽しみに。

「あおき葉に しろき花立つ 水仙や」  仙花子

〔俳句〕

「水仙を 活けて身ぬちの 引き締まる」 白鳥彰子

「水仙へ きれいな声の 近づけり」  加古みちよ

「水仙へ 地に入る前の 夕日ざし」  真保喜代子

〔和歌〕

「あし引の 山のしら雪 けぬがうえに

春てふけふは 霞たなびく」

前大納言為兼・風雅1

「山の白雪はまだ消えもしないのに、さあ、春だ、という今日は、霞がたなびいている」

・風雅和歌集の巻頭歌、立春の心を詠む。

〔釈教歌〕

「むらさきの 雲にたなびきて はたちあまり

いつつのすがた 待ちみてし哉」

従三位為子・玉葉2682

「私の死ぬ時には、紫の雲がたなびいて、それに乗って阿弥陀仏のお供をして来る二十五菩薩のお姿を、どうか待ちもうけて拝みたいものです。」

Img_4535

Img_4518

Img_4536

Img_4529

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月 2日 (日)

般若寺水仙:1月~2月  *咲きはじめ、ちらほらです

昨日の元旦は奈良では予想に反して穏やかなお天気でした。ときどき日が差し、雪はまったく降りませんでした。今年一年がこのように温和な気候であったらいいのになあ、というのが元日の感想、希望、願いでした。

      年の始めにあたり、今年般若寺の庭に咲く花たちの開花時期をお知らせします。これはあくまで予想です。気象条件により変りますのでその都度お確かめください。

*水仙:1月~2月あるいは3月上旬まで、1万本。

  梅:白梅は1月下旬~2月上旬。紅梅は3月上旬~中旬。

*山吹:4月上旬~中旬、白と黄一重は早くに、黄八重は遅くに咲く、数百株。

  椿、桜、しゃが、レンギョウ、ボタン、うつぎ等45月。

*山あじさい:5月下旬~6月中旬、200本。

  あじさい:6月中旬~7月上旬。

*初夏のコスモス:6月上旬~7月上旬、3万本。

  ひつじ草、百合、サルスベリ:7月~9月。

  秋のコスモス:9月下旬~11月中旬、

20種類10万本。

去年のような干天猛暑が来ないことを願います。

「水仙や 寒をよろこぶ 雪中花」  仙花子

〔俳句〕

「水仙や 神話の中に 花言葉」  我妻一男

「水仙に 涙目となる 風の音」  荒井和昭

「山道の 右に左に 水仙花」   加納花子

〔和歌〕

「けふにあけて 昨日ににぬは みな人の

心に春の たちにけらしも」

紀貫之・玉葉1

「今日、こうやって夜が明けてみて、昨日とは似ても似つかぬ感じがするのは、外でもない、すべての人の心に、春が来たからであるらしいなあ。」

・詞書に「はるたつ日よめる」とあり、立春の歌である。

〔釈教歌〕

「草のいほの 霧きえぬとや 人はみる

はちすの花に やどりぬる身を」

藤原資隆・玉葉2681

「草庵の寂しい人生を、草の葉の露が消えるように空しく終ったと人は見るだろうか。諸菩薩のお迎えをいただいて、極楽浄土の蓮の花に宿った幸せな身であるものを。」

・「聖衆来迎」の心を詠む。聖衆来迎楽=往生要集欣求浄土門に説く、十楽の一.念仏行者の臨終に、阿弥陀仏が諸菩薩を従えて迎えに来られること。

Img_4517

Img_4514

Img_4512

Img_4526

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年1月 1日 (土)

般若寺水仙:1月~2月  *咲きはじめ、ちらほらです

あけましておめでとうございます。旧年に続きまして本年もどうぞよろしくお願いいたします。

ことしの干支である卯年の守り本尊は文殊菩薩です。当寺のご本尊は文殊様、今年は人々を正道へ導く智慧を授けるためさぞやご活躍されることと期待しています。文殊の智慧は学業だけではなく、人生全般にわたる様々な場面で道を切り開くための智慧を授けてくださいます。どのような困難に遭遇してもまずはじっくり考えることです。思案に窮したら仏様に向かい祈ること、そして悔いの残らない努力をすることです。創意工夫、専心努力こそが成功を勝ち取る王道です。

今年も精一杯がんばりましょう、道は開けます。

「初春を 祝いて咲ける 水仙花」  仙花子

〔俳句〕

「ふくらみて 筆の穂ほどの 水仙花」  井出やすはる

「水仙の 群立ちあちら こちら向き」  成井アキラ

「人前に 立ちてふるえて 水仙花」   平野貴

〔和歌〕

「初雪の 窓のくれ竹 ふしながら

をもるうは葉の ほどぞ聞ゆる」

前中納言定家・風雅812

「初雪の降る、窓辺の呉竹よ、寝ながら聞けば、積る雪になびき伏しつつ、次第に雪の重みが上葉に加わって行く様子が、竹のきしむかすかな音として聞えるよ。」

  白氏文集巻六の「策々たり窓戸の前、又聞く新雪下るを」という句題を詠む。

  「策々」は竹の葉に雪が積り、幹がきしむ音の形容。竹のきしむ音が、しきりに窓や戸の外側で起り、更に新雪の積る様子を聞くことだ。

  ふしながら=「竹」の縁語「節」に、「臥し」「伏し」をかける。

〔釈教歌〕

「うけかふる とをのすがたの さまざまも

ただ心より なすにぞありける」

従三位為子・玉葉2680

「前世のありようによって転生して行く、十の姿の様々の世界も、結局はただ自分の心から生じて来るものなのであったよ。」

・十界の心を詠む。十界=迷いと悟りの世界を十種に分けたもの。地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上の六つの迷界(六凡)と、声聞・縁覚・菩薩・仏の四つの悟界(四聖)。

Img_4471

Img_4467

Img_4374

Img_4370

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2010年12月 | トップページ | 2011年2月 »