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2011年5月

2011年5月31日 (火)

初夏のコスモス   5・31

  初夏の早咲きコスモス:《見ごろ》5月下旬~7月上旬

5万本

  今咲いている花:花菱草、山あじさい、すいかずら、

てっせん、ていかかずら

  これから咲く花:紫陽花

ひつじ草につづいて睡蓮も咲き出しました。当寺に咲く睡蓮は日本産か外国産かわかりませんが、いずれにしても小さい種類です。花は5センチ内外の大きさで、ひつじ草にくらべると大きいですが睡蓮としては小さいほうです。よく池に生えているのは蓮に負けない大きさのものがあります。これから夏の終わりまで咲きつづける水草は、暑い夏にも涼をもたらしてくれます。

きょうの般若寺詠句。

「春の鵙 鳴かず思惟の 石菩薩」 白雲卿

「辿り来て 慈眼涼しき 文殊かな」 東子

〔俳句〕

「一人静 咲き出で旅の こときまる」 水原秋桜子

〔和歌〕

「風わたる 田のものさなへ 色さめて

        入日のこれる をかの松ばら」

太上天皇(光厳院)・風雅356

「風の渡って行く田の面の早苗は、(風の道筋だけが、暮れかかる光の中で)色があせたように見え、一方では入日がきらきらと残っている、岡の松原よ。」

〔釈教歌〕

「背かずは いづれの世にか めぐりあひて

          思ひけりとも 人に知られん」

寂然法師・新古今1957

「出家して恩を断つことをしなかったならば、いつの世にめぐりあって、恩を思っていたのだと、父母に知られることであろうか。」

・『悲華経』の句「恩を棄てて無為に入る」を詠む。

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2011年5月30日 (月)

初夏のコスモス   5・30

  初夏の早咲きコスモス:《見ごろ》5月下旬~7月上旬

5万本

  今咲いている花:花菱草、山あじさい、すいかずら、

ていかかずら

  これから咲く花:紫陽花

ここ数日は、早い入梅と台風の影響で天気は荒れ模様でした。おかげで紫陽花もコスモスもたっぷりと水をもらって葉を広げました。しかし花と一緒に草も伸びています。雨が上がれば草取りに精出さねばなりません。

きのうに続いて当寺を詠んだ句を紹介します。

「門入るや東風吹きぬける般若寺」  莞人

「般若寺の胡蝶の舞や児文殊」    治元

50年以上昔の作です。般若寺はその頃、奈良でも随一の荒れ寺として有名でした。でも荒廃の中に歴史文化の余光があり、からっとした明るさがありました。そこに美を見出し愛惜される文人が多かったようです。

〔俳句〕

「スヰートピー 三花ととのへ 四花に伸び」中村汀女

〔和歌〕

「けふといへば あやめばかりぞ ふきそふる

          軒ばふりぬる よもぎふの宿」

           権中納言公雄・玉葉343

「今日、五月五日といえば、菖蒲だけはさすがに葺き添えるよ。軒端は古びて、(本当は板を葺き添えて修繕しなければならない)蓬の生い茂った荒れ果てた家だが。」

〔釈教歌〕

「草深き 狩場の小野を 立ち出でて

          友まどはせる 鹿ぞ鳴くなる」

           素覚法師・新古今1956

「草の深い狩場の野を一人のがれ出て、友を迷わせている鹿が、せつない声で鳴き悲しんでいるのが聞えることだ。」

  『摩カ止観』の句「悲鳴ヨウ咽して、本群を痛恋す」を詠む。

  草深き狩場=煩悩の迷いにいる衆生の憂き世を暗示。

  鹿=独覚の人、縁覚を暗示。

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2011年5月29日 (日)

初夏のコスモス   5・29

初夏の早咲きコスモス: 《見ごろ》5月下旬~7月上旬

              5万本

  今咲いている花:花菱草、すいかずら、山あじさい、

         ていかかずら

  これから咲く花:紫陽花

台風接近で天気は荒れ模様です。今日は庭仕事はお休みで、文字通りの晴耕雨読の一日になりそうです。

以前から気になっていた当寺の古い案内パンフを読み返しました。50年前のものなので、写真や絵がなく文字がびっしりと詰まっていてその字の小ささにおどろきます。有名な学者さんの解説なので内容は充実していて読みごたえはあります。いずれ復刻してもよいものです。そのパンフに掲載されている俳句を少し紹介します。

「卯月草に 坐像立像の たたづまひ」  葛丈

「外向に 立たせる諸仏 鵙(もず)高音」 玉骨

般若寺には多くの文学が残っています。少しづつ発掘して世に出したいと思います。

〔俳句〕

「阿弥陀堂 閉して雨の 金鳳華」  長谷川史郎

〔和歌〕

「さなへとる たのもの水の あさみどり

          すずしき色に 山かぜぞ吹く」

           前参議忠定・風雅353

「早苗を取り植える、田の表面に張った水は浅く、そこに早苗の浅緑の葉がなびいて、いかにも涼しげな色に見えるように、山風が吹いている。」

〔釈教歌〕

「今日過ぎぬ 命もしかと 驚かす

          入相の鐘の 声ぞ悲しき」

 

           寂然法師・新古今1955

「今日が過ぎてしまった。命もまたそれだけ過ぎて少なくなったのだと、はっとさせる入相の鐘の声が悲しいことだ。」

・『出曜経』の「この日すでに過ぎぬれば、命即ち衰滅す」を詠めるか。

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2011年5月28日 (土)

初夏のコスモス   5・28

  初夏の早咲きコスモス:《見ごろ》5月下旬~7月上旬

5万本

○今咲いている花:花菱草、てっせん、山あじさい、

すいかずら、ていかかずら

  これから咲く花:紫陽花

今日は同宗縁故寺院の不退寺で、「業平忌」に参列しました不退寺は業平の父、阿保親王の開基とされ、いにしえの一条大路、佐保路に沿ってたつ閑静なお寺です。本堂など重要文化財の伽藍を持ち本尊は業平をモデルにしたと伝わる尊像で、その周りに侍する五大明王もりっぱなものです。今日はあいにくの雨でしたが、業平ファンの女性方が大勢参詣されていました。業平さんは平安時代、9世紀の人で古来美男子の代表に数えられ、また古典文学では『古今』の六歌仙や三十六歌仙にも名を連ね、また「伊勢物語」の主人公とも見なされるなど日本文学の世界ではなくてはならない人物です。

不退寺はこの伝統を守り、中世にも南都の歌合の舞台でもあったようです。これからも永く奈良の文学を顕彰する寺であってほしいと思います。

現代に生きるコスモス寺も未来への文学遺産を刻んでいます、よろしく。

〔俳句〕

「山寺に 絵像かけたり 業平忌」 高浜虚子

〔和歌〕

「五月まつ 花のかほりに 袖しめて

         雲はれぬ日の 夕ぐれの雨」

藤原景綱・玉葉341

「五月を待つ花、昔の人を偲ぶ橘の香りに袖を深々と薫らせて、雲の垂れこめて晴れぬ一日を過ごした夕暮の、静かな雨の風情よ。」

〔釈教歌〕

「闇深き 木のもとごとに 契りおきて

          朝立つ霧の 跡の露けさ」

            寂然法師・新古今1954

「夜の闇の深い木の根もとごとに約束しておいて、朝に立って消えていった霧の跡の、露っぽいことよ。」

  「法華経」寿量品の「この教へをなしをわりて、また他国に至る」の句を詠む。

  闇深き=煩悩の迷い。木のもとごとに=衆生。契りおきて=仏法の救い。霧の跡の露=仏。悲しみの涙をも暗示。

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2011年5月27日 (金)

初夏のコスモス   5・27

  初夏の早咲きコスモス: 《見ごろ》

・今季の花は7月上旬まで、5万本

○今咲いている花:花菱草、てっせん、すいかずら、

山あじさい、ていかかずら

  これから咲く花:紫陽花

いよいよ梅雨です。少し早いような気がします。天気予報では南の海に台風もあって、この先1週間、雨か曇りのようです。梅雨はじめじめして蒸し暑いので嫌われます。しかしこの雨がないと夏は乗り切れません。大雨は被害を出しますが、そこそこの雨は必要です。梅雨があるから夏の暑さに耐えられるのかも。でも降れば洪水、降らなければ渇水と最近は極端な気象が多いですね。集中豪雨には気をつけたいですね。当寺ではこれから、雨の日は紫陽花が生き生きします。晴れの日はコスモスと二つの花が仲良く咲くのが梅雨です。ながい梅雨と上手に付き合っていきましょう。

〔俳句〕

「あけぼのの 芍薬にむかひ 憂なし」 水原秋桜子

〔和歌〕

「まだとらぬ さなへの葉ずゑ なびくなり

          すだく蛙の 声のひびきに」

前大僧正慈鎮・風雅350

「まだ取り分けない、苗代田の早苗の葉末がなびくように見えるよ。(風もないのに)集まり鳴く蛙の声の響のために。」

〔釈教歌〕

「吹く風に 花橘や にほふらん

        昔覚ゆる 今日の庭かな」

寂然法師・新古今1953

「吹く風で花橘がにおっているのであろうか。昔、灯明仏が『法華経』を説かれた時のことが思い出される、今日の法の庭であることよ。」

・「法華経」序品の「栴檀の香風、衆心を悦可す」を詠む。

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2011年5月26日 (木)

初夏のコスモス   5・26

  初夏の早咲きコスモス: 《見ごろ》

      ・今季の花は7月上旬まで、5万本

  今咲いている花:花菱草、てっせん、すいかずら、

山あじさい、ていかかずら

  これから咲く花:紫陽花

境内の水鉢で「ひつじ草」の一番花が咲きました。日本の睡蓮の原生種で、自然界では絶滅が危惧される貴重な植物です。当寺ではいつから植えられているのか分りません。小さな睡蓮なので直径30センチくらいの鉢でも育ちます。今まで7鉢あったのを今年、20鉢に増やしました。これから9月ごろまで咲き続け、暑い夏に清涼感をもたらしてくれます。夏場は水を切らさないことが大事です。

コスモスは順調に育ち、今五分から七分咲きぐらいになりました。6月が一番の見ごろです。

〔俳句〕

「すひかづら 今来し蝶も 垂れ下がり」  東中式子

〔和歌〕

「月のこる ねざめの空の 時鳥

       さらにおきいでて なごりをぞきく」

        前大納言為兼・玉葉340

「有明月の残る、寝覚の空を鳴き過ぎた時鳥よ。感動に堪えず、更に起き出して月を眺めながら声の余韻を味わうよ。」

〔釈教歌〕

「雲はれて むなしき空に 澄みながら

          憂き世の中を めぐる月かな」

寂然法師・新古今1952

「雲が晴れて、虚空にすがすがしく澄みながら、衆生のつらい世の中を照らしめぐっている月であることよ。」

・「華厳経」の「菩薩は清涼の月。畢竟空に遊ぶ」を詠む。

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2011年5月25日 (水)

初夏のコスモス   5・25

  初夏に咲く早咲きコスモス: 《見ごろ》

        ・今季の花は7月上旬まで、5万本

  今咲いている花:花菱草、てっせん、すいかずら、

山あじさい、ていかかずら

  これから咲く花:紫陽花

もう梅雨に入ったのでしょうか。今日一日だけの晴れ間、明日からはしばらく雨が続くようです。

今、次のコスモスを育てています。花は8月に入ってからでしょうが、毎日少しづつ種まきをしています。今度はタキイとサカタで品種をそろえましたので20種類をこえると思います。秋の分は6月中ごろからまきします。だいたい種をまいて80日ぐらいで開花しますので開花時期を調節します。当寺では苗床プランターに種をまき、大きくなれば庭に定植します。苗プランターは1000鉢用意してあり、一鉢に100150本育てるので都合10万本以上になります。10万本を3人でやりますから、夏中大変な作業です。よくコスモス畑で100万本とか1000万本と自称しているのは、まいた種の量ということでしょうか。まいた数と植えた数には違いがあります。

〔俳句〕

「ゆふべみつ 夜を見つ 野ばら 真白なり」 篠田悌二郎

〔和歌〕

「あふちさく 梢に雨は ややはれて

         軒のあやめに 残る玉水」

           前大納言経親・風雅346

「アウチの咲く梢に、雨はようやく晴れて、軒に葺いた菖蒲の葉には、まだ玉のような雨水の雫が残っている。」

・あふち=センダンの古名。初夏の頃、薄紫の小さな花が樹上に高く群がり咲く。

〔釈教歌〕

「道のべの 蛍ばかりを しるべにて

         ひとりぞ出づる 夕闇の空」

          寂然法師・新古今1951

「道のほとりの蛍の光だけを道案内として、一人出かけることだ。夕闇の空に。」

・『摩カ止観』の「二乗は但空にして、智は蛍火のごとし」を詠む。

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2011年5月24日 (火)

初夏のコスモス   5・24

  初夏の早咲きコスモス: 《見ごろ》

        ・今季の花は7月上旬まで、5万本

  今咲いている花:花菱草、てっせん、すいかずら、

山あじさい、ていかかずら

  これから咲く花:紫陽花

蔓性の野草である「定家蔓」(ていかかずら)が咲き出しました。この花はあの有名な歌人、藤原定家にちなんで命名されています。樹木や塀などに取り付いてどんどん広がります。当寺では庫裏の門に上り半分ほど被っています。花弁は2センチほどと小さく、5つに分れ「大」の字状で強い芳香があります。お能の『定家』では式子内親王に恋した定家が死後蔓に変身し、内親王の墓に取り付いたそうです。今の時期、卯の花やスイカズラなどと香りの強い花が多いです。

〔俳句〕

「沢水の 川となりゆく 蕗がくれ」  高浜虚子

〔和歌〕

「わがための 初音とのみや 時鳥

          おなじね覚の 人はきくらん」

           平宣直・玉葉333

「自分のためにわざわざ鳴いた初音だと、今鳴いた時鳥を、私と同じ時に目をさました人は、やはり私と同じように思って聞くのだろうな。(嬉しいような、口惜しいような)」

〔釈教歌〕

「いにしへの 鹿鳴く野べの 庵にも

            心の月は 曇らざりけり」

 

           前大僧正慈円・新古今1950

「昔の鹿野苑の野辺の草庵でも、仏法の悟りである心の月は曇らなかったことだ。」

・「法華経」五百弟子品の「内秘菩薩行」の心を詠む。

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2011年5月23日 (月)

初夏のコスモス   5・23

  初夏の早咲きコスモス: 《見ごろ》

       ・今季の花は7月上旬まで、5万本

  今咲いている花:花菱草、てっせん、すいかずら、

山あじさい

  これから咲く花:紫陽花

昨日からの雨のせいか少し寒いですね。6月までまだ少し日があるのに梅雨のようなお天気です。花も次々と移り変わり空木、卯の花も盛りをこえました。替わって山あじさいの可愛い花が咲いてきました。額花もテマリも色づいています。

コスモスは背が伸び花が目の高さになってきました。今日は雨でおじぎをしていますが晴れればコスモス日和となるでしょう。

〔俳句〕

「花満ちし 桐の下まで 行かんとす」 山口誓子

〔和歌〕

「あやめをば ふきそふれども 五月雨の

         ふるやの軒は もるにぞありける」

前大納言尊氏・風雅344

「菖蒲を(五月の節句に)葺き加えるけれども、それでも五月雨の降る、古い家の軒は雨漏りがするのだなあ。」

  あやめ=菖蒲。端午の節句に軒にさして邪気を払う。

  ふるや=五月雨の「降る」に「古家」をかける。

〔釈教歌〕

「深き夜の 窓うつ雨に 音せぬは

        憂き世を軒の しのぶなりけり」

寂蓮法師・新古今1949

「深い夜の窓を打つ雨に音をたてないのは、つらい浮世をしりぞきのがれて、耐え忍んで住む草庵の軒の忍草であることだ。」

・「法華経」法師品の「若しこの経を説く時、人ありて悪口もて罵り、刀杖瓦石を加ふるも、仏を念ずるが故にまさに忍ぶべし」の句を詠む。

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2011年5月22日 (日)

初夏のコスモス   5・22

  初夏の早咲きコスモス: 《見ごろ》

・今季の花は7月上旬まで、5万本

  今咲いている花:花菱草、てっせん、すいかずら

  これから咲く花:山あじさい

当寺で写真を撮るとしたら、1番目は十三重石塔、2番目は花と石仏でしょうか。その石仏は、お地蔵さんとよく間違われますが、実は観音様で数は33体あります。これは西国観音霊場を一堂におまつりしています。石仏としては年代も古く、約300年前の元禄年間に奉納されています。「花と石仏」と言えば般若寺の石仏と言われるほどに有名です。こんな立派な観音様なのに名前を書いた石標がなかったのです。

それがこのたびやっとできました。

高さは10センチで表には

「般若寺西国三十三所観音石像」

裏には

「仏暦二五五四年建之 現住 良任」

と彫りこまれています。

石仏はだいたい150センチですからあまり目立ちすぎず丁度いいくらいの大きさです。

以前からあった説明板も別の場所に残しました。江戸時代にこの霊場観音を奉納された寺嶋さんもお浄土で喜んでくださることでしょう。

〔俳句〕

「塔仰ぐとき新緑に 染まりつつ」  稲畑汀子

〔和歌〕

「ほととぎす 空に声して 卯花の

         かきねもしろく 月ぞ出でぬる」

永福門院・玉葉319

「時鳥が空に一声、鋭い声で鳴き過ぎ、卯の花の咲く垣根も一入白々と映えて、月が出たことよ。」

〔釈教歌〕

「さらずとて 幾夜もあらじ いざやさは

          法に替えつる 命と思はん」

正三位経家・新古今1948

「そうしないとしても、幾年も生きていないであろう。さあ、それでは、『法華経』の一乗法をお守りするために捨てた命と思おう。」

・「法華経」勧持品を詠む。

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2011年5月21日 (土)

初夏のコスモス   5・21

  初夏の早咲きコスモス: 《見ごろ》

  今季の花は7月上旬まで、5万本

  今咲いている花:花菱草、梅花うつぎ、

てっせん、すいかずら

  これから咲く花:山あじさい

毎日暑いです。奈良では昼間は28度、29度と夏のようです。明日は久しぶりの雨模様で少し涼しくなるのでしょうか。でも今日はからからに乾いていたので、朝から久しぶりにコスモスに水遣りをしました。早咲きコスモスは秋にくらべて水遣りの手間がずっと少ないです。大体は自然の雨で足りていますから助かっています。

もう1メートル30センチに達した花もあります。これから雨が降るごとに大きくなって秋のコスモスにまけないほどになるでしょう。

今の作業は花柄つみです。花が大きいので、咲き終わった花は摘まないと種が実って幹が弱ります。忙しくなります。

〔俳句〕

「駿河路や 花橘も 茶の匂ひ」  松尾芭蕉

〔和歌〕

「ゆふかけて いづちゆくらむ ほととぎす

          神なび山に 今ぞなくなる」

藤原仲実朝臣・風雅339

「夕方になったよと告げつつ、どこへ行くのだろうか、時鳥は。神南備山に今こそ鳴くのが聞える。」

〔釈教歌〕

「底清く 心の水を 澄まさずは

      いかが悟りの 蓮(はちす)をも見ん」

入道前関白太政大臣(藤原兼実)・新古今1947

「底まで清く、心の水を澄まさなかったならば、どうして、悟りの蓮華をも見ようか。」

・仏のそなえる五智の一つ、「妙観察智」を詠む。「蓮華智」ともいい、巧妙に諸法を観察し正邪を区別する智。

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2011年5月20日 (金)

初夏のコスモス   5・20

  初夏の早咲きコスモス: 《見ごろ》

        ・今季の花は7月上旬まで、5万本

  今咲いている花:しゃが、花菱草、梅花うつぎ、

てっせん、グラジオラス、すいかずら

  これから咲く花:山あじさい

境内で草取りをしていて気がつくと、崩れかけた土塀にからまっていた蔓に白い香りのよい花が咲いていました。形は唇状に開いた花です。これはスイカズラです。酔蔓と書くのでしょうか、別名では「忍冬」(にんどう)と言います。漢方薬の材料で茎・葉は利尿、健胃、解熱薬となり、花は吹出物の洗浄薬となるそうです。冬でも葉が枯れないので、忍冬と言うそうです。花は徐々に黄色に変わるので「金銀花」の名もあります。

コスモスの他にもいろんな花が咲いています。この時期が一番、自然界の生命力が盛んな時なのかもしれませんね。

〔俳句〕

「まっさをな 雨が降るなり 雨安居」 藤後左右

〔和歌〕

「月だにも 心つくさぬ 山のはに

         まつよひ過ぐる ほととぎす哉」

           前大納言為氏・玉葉311

「月でさえも気をもませずに山の端に姿を見せたのに、その山の端に声がするかと待っている夕暮を過ぎても、ちっとも鳴かない時鳥だなあ。」

・心つくさぬ=心づくしをさせない。いらいらと待ちかねさせない。

〔釈教歌〕

「朝日さす 峰のつづきは 芽ぐめども

           まだ霜深し 谷の陰草」

            崇徳院御歌・新古今1946

「朝日のまずさす峰の続きは、すでに草木が芽を出しているけれど、まだ霜が深い、谷の陰の草は。」

・「華厳経」の「先照高山」を詠む。「華厳経」の教えを悟るのに遅速あるを説いた言葉。仏を日に、菩薩を高山に、縁覚・声聞を幽谷に、衆生を平地にたとえた。

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2011年5月19日 (木)

初夏のコスモス   5,19

  初夏の早咲きコスモス: 《見ごろ》

・今季の花は7月上旬まで、5万本

  今咲いている花:しゃが、花菱草、梅花うつぎ、

てっせん、グラジオラス

  これから咲く花:山あじさい

参詣の方から今咲いているコスモスは秋のものと違うのですかと、よく質問されます。実は今のコスモスは「センセーション」と言う種類で、秋のものとまったく同じなんです。ただ混合の種なので中には「ピコティ」や「サイケ」や「ベルサイユ」などが混じっているのでとても一種類の花とは思えません。だいたいコスモスは群集して育つと自然に交配し変種が生れやすい花です。よく見ると色合もさまざまです。中にぼかしの入ったのもあります。いずれにしても今年の花は一つ一つの花が大きいので存在感があります。また秋に比べて人出も少ないのでゆっくり鑑賞できます。きのう来られたご婦人は「秋に来た時には人が多くて押し出されるようでした。それにこんな石仏さんが居られたとは知りませんでした」と言う感想を述べておられました。初夏のコスモスは秋にはない良さがあります。

〔俳句〕

「渋柿の 花散る里と なりにけり」  与謝蕪村

〔和歌〕

「ほととぎす 横雲かすむ 山のはの

          在明の月に 猶ぞかたらふ」

          式子内親王・風雅333

「時鳥は、横雲がほのぼのと霞んで明けて来る山の端に残る、有明の月を惜しんで、今もまだやさしく語りかけるように鳴いているよ。」

〔釈教歌〕

「おしなべて 憂き身はさこそ なるみ潟

          満ち干る潮の 変るのみかは」

           崇徳院御歌・新古今1945

「昔、一様に、無常の世に漂うつらい身は、そのように変わる身であることよ。鳴海潟の満ちたり干たりする潮が変わるだけであろうか、変わるのはそれだけではないのだ。」

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2011年5月18日 (水)

初夏のコスモス   5・18

  初夏に咲く早咲きコスモス: みごろ

今季の花は7月上旬まで

  今咲いている花:しゃが、花菱草、梅花うつぎ、

てっせん、グラジオラス

  これから咲く花:山あじさい

コスモスは背丈が1メートルをこえて来ました。秋に比べるとまだまだ低いですが、葉は青々として若さが見られます。花は大きく平均10センチ、中には13センチのもありコスモスとしては巨大です。今年の花はここ10年のうちで最も成績がいいのではないかと思います。何しろこの季節にコスモスが咲くなんて50年前には考えられないことでした。昔の今ごろはアジサイに専念していたのです。やっぱりコスモスはいいですね、花が華麗です。コスモスの花を前にすると心がなごみ、自然と心にやさしさが芽生えます。とくに女性に大きな人気があるというのもうなずけます。どうか皆さま、コスモスの花のような美しい心を大切にしてください。美しい心は若さのみなもとです。

〔俳句〕

「宇治に似て 山なつかしき 新茶かな」  支考

〔和歌〕

「時鳥 なくべき里を さだめねば

       けふも山ぢを 尋ねくらしつ」

        源道済・玉葉307

「時鳥は鳴くはずの里をきちんと決めていないものだから、今日もあちこちの山を尋ね歩いて、一日中過ごしてしまったよ。」

〔釈教歌〕

「おしなべて むなしき空と 思ひしに

            藤咲きぬれば 紫の雲」

          慈鎮和尚(慈円)・新古今1944

「すべて一様に、何もない空だと思っていたのに、藤の花が咲いたところ、紫の雲が現れたことだ。」

  「法華経」普門品の「心念不空過」を詠む。原文は「心に念じて空しく過ぎざれば、能く諸有の苦を滅す」

観音を念ずればさまざまな苦をなくし、極楽浄土に救われる。

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2011年5月17日 (火)

初夏のコスモス   5・17

  初夏の早咲コスモス: みごろ

今季の花は7月上旬まで、5万本

  今咲いている花:しゃが、花菱草、梅花うつぎ、

てっせん、グラジオラス

  これから咲く花:山あじさい

アジサイの蕾がふくらんできました。月が替わって雨が降り出せばアジサイの天下です。しかし当寺ではアジサイだけでなくコスモスも満開になります。雨の日はアジサイ、晴れればコスモス。初夏は花ばなの季節です。夏が来るまでのすがすがしいこの季節をお楽しみください。

〔俳句〕

「葉がくれに ありと思ほゆ 実梅かな」 高浜虚子

〔和歌〕

「おりはへて いまここになく 郭公

           きよくすずしき 声の色かな」

            前大納言為兼・風雅322

「ずっと引続いて、今ここで鳴いている時鳥よ。(聞けば聞くほど)清らかに涼しい声の味わいだなあ。」

・おりはへて=折延へて。ずっと時を引きのばして。引き続いて。

〔釈教歌〕

「鷲の山 今日聞く法の 道ならで

         帰らぬ宿に ゆく人ぞなき」

慈鎮和尚(慈円)・新古今1943

「霊鷲山で今日聞く「法華経」の仏法の道ではなくては、迷界に帰ることのない宿である極楽浄土に行く人はないことだ。」

・分別功徳品の「或住不退地」を詠む。

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2011年5月16日 (月)

初夏のコスモス   5・16

  初夏の早咲コスモス:見ごろ

今季の花は7月上旬まで、5万本

  今咲いている花:しゃが、花菱草、梅花うつぎ、

てっせん、グラジオラス

  これから咲く花:山あじさい

今日の夕方、境内の石塔と経蔵の間に新しく立った歌碑の除幕式を行いました。

歌は

「うれしくも人と生れて御仏の

み名を称えて年を重ぬる」

という念仏信仰者としての釈教歌です。作者は斑鳩吉田寺の山中かをる女史、前住職夫人です。当寺のマー様のご母堂様で、80歳を超えられた今もご健在で、吉田寺御本尊丈六阿弥陀如来さまを熱心に信仰しておられ、日夜御念仏三昧の日々を過ごしておられます。この歌は先年、ある雑誌に紹介されたもので念仏信仰の模範的な歌との評価を与えられています。また歌碑の立つ場所には薬師礼拝所があり、そこには吉田寺前住職様、山中長悦師の揮毫された「薬師如来」の扁額が掲げられていて歌碑を見守っておられるようで、いい位置に立っているのではないかと思います。どうぞご長寿をたもたれ、またいい歌をお残しください。

〔俳句〕

「葉桜の 影ひろがり来 深まり来」  星野立子

〔和歌〕

「月かげの もるかと見えて 夏木立

          しげれる庭に さける卯花」

           前中納言経親・玉葉306

「月光がさし込むのかと見えるほどに、夏の木立の透間もなく茂った庭に咲いている、まっ白な卯の花よ。」

・夏木立=夏のよく茂った木立。月影の洩る余地もないにもかかわらず、卯の花が咲いて月光に見まがう意。

〔釈教歌〕

「思ふなよ 憂き世の中を 出で果てて

          宿る奥にも 宿はありけり」

           前大僧正慈円・新古今1942

「これが最高の宿だとは思うなよ。つらい浮世をまったくのがれ出て宿る所の奥にも、さらに、すばらしい宿はあることだ。」

・「法華経」化城喩品の「化作大城郭」を詠む。

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2011年5月15日 (日)

春の花だより   5・15

  初夏の早咲コスモス:見ごろ

今季の花は7月上旬まで、5万本

  今咲いている花:しゃが、花菱草、梅花うつぎ、

てっせん、グラジオラス

  これから咲く花:山あじさい

コスモスの開花情報を訂正いたします。昨日まで3分咲きとしていたのを「みごろ」と変えました。この季節のコスモスは秋のように一斉には咲きません。5分咲きの状態で1ヶ月間あまり咲き続け夏に入り終わります。去年は710日ごろ刈り取り、希望者の皆さんにさしあげました。今年もその頃に「初夏咲コスモス」は終了します。ただし今年は初めて「真夏のコスモス」に挑戦しようと思い、本日種を播きました。この分は8月上旬から開花します。そして8月中花が咲き続け、9月からの秋本番へとバトンタッチします。秋は11月一杯まで花がありますので、7ヶ月間のコスモスです。暑さとのたたかいですが、コスモス寺の名にかけてがんばろうと思います。暑さとの格闘です。乞うご期待、ご支援を。

〔俳句〕

「馬鈴薯の 花もながめと 肩を貸す」 篠田悌二郎

〔和歌〕

「年をへて おなじ鳴くねを 時鳥

        なにかはしのぶ なにかまたるる」

         徽安門院・風雅318

「昔から長い年月、同じ声で鳴いているのに、時鳥よ、何でなつかしみ慕うのか、何でその音が待たれるのか。」

〔釈教歌〕

「いづくにも わが法ならぬ 法やあると

           空吹く風に 問えど答へぬ」

前大僧正慈円・新古今1941

「どこにもわたしの信じる「法華経」の仏法でないすぐれた仏法があるかと、空を吹く風に問うけれど、答えないことだ。」

・「法華経」方便品の「唯有一乗法」を詠む。

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2011年5月14日 (土)

春の花だより   5・14

  初夏の早咲コスモス:3分咲き

見頃・5月下旬~7月上旬、5万本

  今咲いている花:しゃが、花菱草、てっせん、

梅花うつぎ

  これから咲く花:山あじさい

晴れ、梅雨のような湿気も消えこの春一番の爽やかなお天気になりました。早咲コスモスは昨日まで2分咲き程度かなと見ていたのですが、今日はもう三分咲となりました。いつも言うようにどれも大きな花です。葉っぱは青々しています。花は秋と少しも変わりません、ただ葉の色が秋とすこし違います。夏を越したコスモスはどうしても下葉が枯れて茶色くなります。今のは上から下まで若葉のように瑞々しく生き生きとしています。この若々しいコスモスを大勢の人に御覧いただきたいですね。6月が見頃ですが、今日明日が気候としては絶好のお出かけ日よりです。

〔俳句〕

「申分 なき日和得て 初夏の旅」 高浜年尾

〔和歌〕

「時やいつ 空にしられぬ 月雪の

         色をうつして さける卯花」

          二品法親王覚助・玉葉305

「一体、季節はいつなんだろう。空では関知しない月や雪の色をそっくりそのままにまねて、盛りに咲いている卯の花よ。(今は夏か秋か、それとも冬なのか)」

〔釈教歌〕

「立ち帰り くるしき海に 置く網も

            深きえにこそ 心引くらめ」

            寂蓮法師・新古今1940

「極楽浄土から現世に帰ってきて、生死の苦海に沈んでいる人々を救い取るために張り置く網も、深い縁のある人に心が引かれることであろう。」

  「引接結縁楽」を詠む。

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2011年5月13日 (金)

春の花だより   5・13

  初夏の早咲コスモス:2~3分咲き

見頃・5月下旬~7月上旬、5万本

  今咲いている花:しゃが、花菱草、てっせん、

梅花うつぎ

  これから咲く花:山あじさい

アジサイの季節になって来ました。中でも山あじさいが早く咲きます。これは元来、少し深い日本の野山に自生しているもので数百種類あります。「黒姫」「富士の滝」「紅」「伊予の薄墨」「清澄沢」「虹」「深山八重紫」などと命名され、白・紅・紫・青・緑、など色も多彩で形も額咲き・手まり咲き・房咲きと様々です。いずれも510センチの小ぶりで可愛い花です。これから6月中ごろにかけて花が見られます。

コスモスは大きくなりました。1メートル達するものもあります。昨日までの雨で一気に伸びたようです。でも花は晴天が似合います。一方、あじさいは曇りか雨の日がいいですね。

〔俳句〕

「紫陽花や 白よりいでし 浅みどり」 渡辺水巴

〔和歌〕

「あはれとや 神もみあれに あふひ草

          二葉よりこそ 憑みそめしか」

            兵衛督・風雅313

「いとおしい者と、神も御阿礼の神事に際して御覧下さるだろうか。二葉葵に象徴される賀茂の社を、私のほんの幼い頃から信仰して来たことだ。」

・神もみあれに=祭神降誕の意で、賀茂祭の前日に行う神招きの神事。

  あふひ草=賀茂祭に鬘として用いるフタバアオイ。賀茂社の象徴。

  二葉=芽を出したばかりの双葉。人の幼少の時をたとえる。また「葵」の縁語。

〔釈教歌〕

「春秋も 限らぬ花に 置く露は

        後れ先立つ 恨みやはある」

            寂蓮法師・新古今1939

「春の花とも秋の花とも限らない蓮華に置く霜は、消えるのが後れるとか先立つとかいう恨みがあろうか、ありはしないのだ。」

  「快楽不退楽」を詠む。

  本歌「末の露もとの雫や世の中の後れ先立つためしなるらん」(僧正遍照・新古今753

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2011年5月12日 (木)

春の花だより   5・12

  初夏の早咲コスモス:咲きはじめ、12分咲き

見頃・5月下旬~7月上旬、5万本

  今咲いている花:しゃが、紫雲蘭、花菱草、てっせん

  これから咲く花:山あじさい

今日は3日続きの雨で久しぶりに京都へ出かけました。連休も終ったので京都の町も混んでなくて静かでした。目的地は東西の本願寺さんです。今年は親鸞聖人の750年御遠忌でいろいろと催事があり賑わっているようです。お東さんでは漫画家井上雄彦さんの描かれた親鸞聖人屏風を拝観し、極度の障害を乗り越えて信仰の道を歩まれた中村久子さんの遺作展を見ました。今日は法要がなく人も少ないのでゆっくりと拝見できました。それからお西さんの龍谷ミュージアムへ行ったのですが、たまたま御遠忌法要の時間に当っていたので本願寺御影堂の周囲は団参の人で一杯でした。私は部外者なので外で法要の様子を拝聴しました。少し堂内を覗かせてもらうと何千人もの門徒さんが整然と静粛に椅子に座っておられ、その中で御門主様が導師となり法要が営まれていました。何しろ50年に一度の大遠忌で、日本仏教最大の教団の法要儀式ですから盛大で厳粛な有様に立ち会うことが出来感激いたしました。又ミュージアムも大変落ち着いた雰囲気で、ベゼクリクの復元壁画をはじめインドから日本への仏教伝来を仏像を中心に展示されていて心地よく拝観できました。できれば又行ってみたいです。

〔俳句〕

「森いつも 何かこぼして ゐる五月」   岩岡中正

〔和歌〕

「卯花の ちらぬかぎりは 山里の

       このしたやみも あらじとぞ思ふ」

         前大納言公任・玉葉302

「卯の花の散らないうちは、その白さに映えて、山里でも木の下闇なんてものはないだろうと思うよ。」

〔釈教歌〕

「これやこの 憂き世のほかの 春ならん

           花のとぼその あけぼのの空」

         寂蓮法師・新古今1938

「これが、あの、つらい無常の世のほかの、極楽の春なのであろうか。蓮華の戸が開いて見る曙の空よ。」

・「蓮華初開楽」を詠む。

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2011年5月11日 (水)

春の花だより   5・11

  初夏の早咲コスモス:咲きはじめ、1~2分ていど

見頃・5月下旬~7月上旬、5万本

  今咲いている花:しゃが、紫雲蘭、花菱草、

てっせん、梅花うつぎ

  これから咲く花:山あじさい

昨日今日明日と3日間雨です。明日は台風の影響もあって風雨が強まりそうです。この雨の中、卯の花である梅花うつぎが咲き出しました。旧暦卯月はこの花にちなんでいるようです。卯の花に雨はつきものです。ふつうの空木は房状の花をつけますが、梅花うつぎは4弁の白い花が一つづつ離れて咲き、その花の形状が梅に似ているところから名付けられています。花は甘そうないい匂いがします。ですからミツバチをはじめいろんな虫たちが集まります。空木、アジサイと季節は進み、いよいよ初夏のコスモスのシーズンです。春の花はこの雨で幕が下ろされました。

〔俳句〕

「卯の花の こぼるる蕗の 広葉かな」 与謝蕪村

〔和歌〕

「うすぐもりる 青葉の山の 朝あけに

          ふるとしもなき 雨そそくなり」

権大納言公宗・風雅311

「薄曇りの、青葉に包まれた山の明け方に、降るとも見えない雨が細かに降りそそいでいるようだ。」

〔釈教歌〕

「紫の 雲路に誘ふ 琴の音に

       憂き世をはらふ 峰の松風」

            寂蓮法師・新古今1937

「極楽への紫の雲の道に誘う琴の音に和して、つらい無常の世を吹き払う峰の松風の音が聞えることだ。」

・「十楽」の「聖衆来迎楽」を詠む。

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2011年5月10日 (火)

春の花だより   5・10

  初夏の早咲コスモス:咲きはじめ、12分咲き。

見頃・5月下旬~7月上旬、5万本

  今咲いている花:白山吹、しゃが、紫雲蘭、花菱草

おがたまの木、てっせん

  これから咲く花: 山あじさい、梅花うつぎ

今日は梅雨のような蒸し暑さです。奈良では予報ほどの雨は降っていませんが、とにかく暑いです。この暑さはアジサイにとってもコスモスにとっても最適です。同時に草も茂ってきました。これからは時間を見つけてこまめに草取りをします。

ここ二日ほどでコスモスの種まきをしました。まだ秋咲きには1ヶ月早いのですが、試験的に夏じゅう花を咲かす予定です。約3ヶ月で花が見られますので8月上旬から見頃です。夏は植え付け数は少なくして新品種を充実し、17種類を咲かせます。真夏のコスモスもお楽しみに。

〔俳句〕

「座敷まで 届かぬ夏の 木陰かな」  野ば(土+皮)

〔和歌〕

「うすみどり まじるあふちの 花みれば

        面かげにたつ 春の藤波」

永福門院・玉葉301

「薄緑の若葉にまじる、紫のオウチの花を見ると、ありありと目の前に見るように思い浮かべられる、過ぎ去った春の藤の花房よ。」

あふち=オウチ。栴檀の古名。初夏、樹上に小さな薄紫の花を群がり咲かせる。

面かげにたつ=「映像として浮ぶ」意に、「波」の縁語「立つ」をかける。

〔釈教歌〕

「色にのみ 染めし心の 悔しきを

       むなしと説ける 法のうれしさ」

小侍従・新古今1936

「世の現象である色にばかりとらわれていた心が悔しく思われるのに、その色は、仮の相で、実体のない空なのだ、と説いているみ法のうれしさよ。」

・心経の心をよめる。

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2011年5月 9日 (月)

春の花だより   5・9

  初夏の早咲きコスモス:咲きはじめ、12分ていど。

見頃・5月下旬~7月上旬、5万本

  今咲いている花:白山吹、しゃが、紫雲蘭、

おがたまの木、花菱草、てっせん

  これから咲く花:山あじさい、梅花うつぎ

長い連休が終わりました。これで参詣者も途絶えて一休みできるかなと思いきや、今日もお天気がいいからかけっこうお見えです。まあ、花や緑に囲まれてくつろいだ時間をすごすにはいい観光スポットなのかもしれません。

コスモスは今日から開花情報として入口に掲示することにしました。皆さんおどろいておられるようです。こんな時期にコスモスが見られるなんて信じられない、と。これからどんどん花数が増え秋のような風景が広がります。秋といえば、これから麦が実ると麦秋と言います。昔から春にも秋は有るんですね。

〔俳句〕

「どくだみや 真昼の闇に 白十字」  川端茅舎

〔和歌〕

「夏あさき みどりの木だち 庭とをみ

       雨ふりしむる 日ぐらしの宿」

           前大納言為兼・風雅310

「夏もまだ浅い、緑鮮やかな木立が、庭を奥深く見せて、雨が一面に降りしきっている、終日垂れこめて過ごす私の家よ。」

・庭とをみ=庭遠み。庭を遠く見せて。木が繁って植込みの陰影が深くなった趣。

〔釈教歌〕

「奥山に ひとり浮世は 悟りにき

      常なき色を 風にながめて」

摂政太政大臣(藤原良経)・新古今1935

「奥山で、一人、はかない世は悟ってしまった。無常の姿を、風にしみじみと見て」

・縁覚の心を。

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2011年5月 8日 (日)

春の花だより   5・8

  今咲いている花:白山吹、しゃが、日本桜草、紫雲蘭、

花菱草、おがたまの木

  これから咲く花:山あじさい、梅花うつぎ、てっせん

  早咲きコスモス:ただ今咲き始め、チラホラ咲き。

大きな花が見られる。

見頃・5月下旬~7月上旬、5万本

もう初夏の気候になりました。Tシャツ一枚の人もおられます。これからの野外作業は日差しがきつく日焼けしそうです。そこで新しく帽子を買いました。サンバイザーに日よけ覆いが着いてます。形から見るとどうも婦人用です。色は黒ですから男がかぶっていてもまあいいでしょう。当寺で即売していたコスモスのポット苗が好評であと少しになってきました。完売できそうです。2週間前に買われた方が来られて、庭に植えると買った時の3倍ほどの大きさになったと喜んでおられました。初夏はコスモスの季節です。アジサイに負けないように立派に花を咲かせてください。

〔俳句〕

「行春や 撰者を恨む 歌の主」  与謝野蕪村

〔和歌〕

「春はすて まだ時鳥 かたらはぬ

       けふのながめを とふ人もがな」

         式子内親王・玉葉296

「春は捨て去り、まだ時鳥は親しげに鳴いてもくれぬ、今日の私のつれづれの物思いを、尋ねて来る人があってほしいなあ。」

・かたらはぬ=「かたらふ」は特に時鳥の声低く鳴く地鳴きをいう。「話を交わす」「親しく語る」意をかける。

〔釈教歌〕

「わが心 なほ晴れやらぬ 秋霧に

      ほのかに見ゆる 有明の月」

権僧正公胤・新古今1934

「私の心は、まだ晴れきらない秋霧の中にほのかに見えている、有明の月のようだ。」

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2011年5月 7日 (土)

春の花だより   5・7

  今咲いている花:山吹(終り近し)、白山吹、しゃが、

日本桜草、紫雲蘭、おがたまの木

  これから咲く花:山あじさい、梅花うつぎ、てっせん

  早咲きコスモス:只今咲きはじめ、チラホラ咲きです。

花は大きい。

  見頃・5月下旬~7月上旬、5万本

花壇の隅に咲く「花菱草」が満開になりました。ケシ科で多年草、カリフォルニアポピーとも言います。冬の間も根が残るので一度植えると毎年咲きます。丈夫な花です。もう一つ紹介します。こちらは野の花で、金襴草です。まるで金襴のようなつやつやした黄色です。別名、馬の足形と言います。葉の形が足形に似ているところから付けられたのでしょう。

〔俳句〕

「逢わぬ宵 さくらんぼうも 飽きにけり」日野草城

〔和歌〕

「あさまだき 卯の花山を みわたせば

        空はくもらで つもるしらゆき」

           前大納言経房・風雅309

「朝早く、卯の花山を見渡すと、空は曇っていないのに山はまっ白で、まるで白雪そのままの姿だ。」

卯の花山=越中の歌枕。富山県西部ト波山付近か。

〔釈教歌〕

「極楽へ まだわが心 ゆき着かず

      羊の歩み しばしとどまれ」

          慈円・新古今1933

「わたしの心は、まだ、修行がたりず、極楽へ行き着くまでになっていない。一歩一歩死に近づいていく命の歩みよ、しばらくとどまっていてくれよ。」

はなびし草↓↓

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金襴草↓↓

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2011年5月 6日 (金)

春の花だより   5・6

  今咲いている花:山吹、白山吹、しゃが、

日本桜草、紫雲蘭、おがたまの木

  これから咲く花:山あじさい、梅花うつぎ、

てっせん

  早咲きコスモス:今、咲きはじめチラホラ、花は大きい。

見頃・5月下旬~7月上旬、5万本

朝から境内の草取りをしていて、顔を上げると目の前にコスモスのピンク色があり、一瞬花園の中にいるのかと錯覚を覚えました。いつの間にかコスモスは70cmの高さまで育っていました。日に日に大きくなっていますからその内1mをこえると思います。あの寒い春先、小さな苗を植えた頃を思い起こすと成長の勢いには驚かされます。この分では今月下旬に見頃を迎えることは確実だろうと思います。

今咲いているコスモスの呼び名についてですが、「早咲き」、「春咲き、」「初夏咲き」「夏コスモス」などがあってまだ定着していません。それだけ歴史が浅いのかもしれません。当寺では「早咲き」と「初夏咲き」を採用しています。いずれにしても元来、秋桜であるものが季節はずれに咲くのですから、その時期の名を冠するのはやむをえないですね。

〔俳句〕

「蔦若葉 風の去来の 新しく」  稲畑汀子

〔和歌〕

「桜色の 花のたもとを たちかへて

      ふたたび春の なごりをぞ思ふ」

       前大納言忠良・玉葉295

「桜の花の色に染めた美しい春着を、新たに裁った夏衣に取りかえて、その変化によって、再び、春の名残を慕わしく思うよ」

〔釈教歌〕

「説くみ法 きくの白露 夜はおきて

       つとめて消えん ことをしぞ思ふ」

        慈円・新古今1932

「説かれる尊いみ法を聴くために、菊に白露の置く夜は起き続けて、明朝早く、死のうということを思っていることだ。」

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2011年5月 5日 (木)

春の花だより   5・5

  今咲いている花:山吹、白山吹、しゃが、日本桜草、

紫雲蘭、おがたまの木

  これから咲く花:山あじさい、梅花うつぎ、てっせん

  早咲きコスモス:今、咲きはじめ

見頃・5月下旬~7月上旬、5万本

こどもの日、端午の節句です。古来、邪気を払うため菖蒲や蓬を軒に挿し、粽や柏餅を食べる。甲冑、武者人形を飾り、庭に幟旗や鯉幟を立てて男子の健やかな成長を願う行事です。近年は子供数が減り、かえって丁寧に飾りをしておられるようです。

前に花の紹介で黒ロウバイをあげていましたが、今年は花つきが悪いので取り下げました。やはり昨年の猛暑が影響したようです。ぼたんやアジサイも成績が悪いです。それに引きかえ山吹とコスモスは例年になくよく咲いています。大きなコスモスを見つけました。測ると11cmをこえていました。

〔俳句〕

「鉄線の 初花雨に あそぶなり」  飴山実

〔和歌〕

「時しらぬ 里は玉河 いつとてか

       夏のかきねを うづむしら雪」

前中納言定家・風雅308

「季節を弁えない里は玉河の里だ。一体今を何時であると思ってか、夏の垣根を埋めている真っ白な雪よ。(それは盛りの卯の花なのだ)」

・玉河=摂津の歌枕、三島玉川。

大阪府高槻市

南部を流れる。卯の花で有名。

〔釈教歌〕

「願はくは しばし闇路に やすらひて

       かかげやせまし 法のともしび」

        前大僧正慈円・新古今1831

「願うことは、しばらく現世の迷いの闇路に立ち止まっていて、仏法のともしびを掲げられるようになることだけれど、そうなるであろうか。」

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2011年5月 4日 (水)

春の花だより   5・4

  今咲いている花:山吹、白山吹、しゃが、日本桜草、

紫雲蘭、おがたまの木

  これから咲く花:山あじさい、梅花うつぎ、

てっせん、

  早咲きコスモス:咲き始めです

見頃・5月下旬~7月上旬、5万本

いま境内に入るといい香りが漂ってきます。まるでバナナのような匂いです。おがたまの木が咲き出しました。正式にはカラタネオガタマと言うそうです。花は地味で葉や枝の色にまぎれて目立ちません。それでどこから匂うのか分らないので、知らない人は山吹のにおいと思われているようです。別名バナナの木ともいいます。

秋のコスモスのころは金木犀が咲き、コスモスのにおいと間違われます。山吹もコスモスもにおいはほとんどありません。

天は二物を与えず、でしょうか。

〔俳句〕

「門辺なる 苗代水の 澄める朝」  高浜虚子

〔和歌〕

「いつしかと かへつる花の たもと哉

        時にうつるは ならひなれども」

         皇太后宮大夫俊成・玉葉294

「早速にも夏衣に脱ぎかえてしまった、春の名残の花染の袂よ。時に従って移り変わるのは人心の習いではあるが。(それにしても思い切りのよすぎるような・・・)」

  詞書:更衣のこころを。

  いつしかと=早々に。早くも。

  花のたもと=花のように美しい袖。春の衣服。

〔釈教歌〕

「谷川の 流れし清く 澄みぬれば

      くまなき月の 影も浮びぬ」

        肥後・新古今1930

「谷川の流れが清く澄んだので、くまなく照らす月の光も浮んだことだ。」

  谷川=仏性(仏となることのできる本性)のある衆生の心を暗示。

  くまなき月=如来(仏)の姿を暗示。

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2011年5月 3日 (火)

春の花だより   5・3

  今咲いている花:山吹、白山吹、八重桜、しゃが、

日本桜草、紫雲蘭

  これから咲く花:山あじさい、梅花うつぎ、てっせん、 

     おがたまの木

  早咲きコスモス:咲き始めました

見頃・5月下旬~7月上旬、5万本

今日は憲法記念日。主権在民、平和主義、基本的人権を主張した日本国憲法が発布された日です。新憲法は巷間言われる様な時代遅れではなく、それぞれの高い理念、目標がいまだ実現されていない未完の憲法であることが問題なのです。

 山吹は少し峠を越えたようです。でもよく長持ちしました。例年ですと連休の今頃は花が終わっていたのに今年は一週間長く花が楽しめます。季節は仲春から晩春へと移ってゆきます。山吹、八重桜が終れば空木、紫陽花にバトンタッチします。それに早咲きコスモスが加わり春の花は咲き続けます。

〔俳句〕

「草に咲く あやめかなしく 旅遠し」  富安風生

〔和歌〕

「さくらいろの 衣にも又 わかるるに

        春をのこせる やどの藤波」

         式子内親王・風雅304

「(春に別れるばかりか)桜色に染めた美しい春着にもまた別れてしまったのに、ひとり春の風情を残している、私の家の波のような藤の花よ。」

・さくらいろ=襲ねの色目。表白、裏は赤・濃紫など諸説ある。春の衣装の意でいう。

〔釈教歌〕

「紫の 雲の林を 見わたせば

     法にあふちの 花咲きにけり」

       肥後・新古今1929

「紫野の、紫の雲がたなびいている林のような雲林院のあたりを見渡すと、み法にあったと思わせるオウチの花が咲いたことだ。」

  詞書:五月ばかりに、雲林院の菩提講に詣でてよみ侍りける。

  あふち=樗(おうち)。栴檀のこと。晩春から初夏にかけて、薄紫色の花が咲く。

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2011年5月 2日 (月)

春の花だより   5・2

  今咲いている花:山吹、白山吹、八重桜、しゃが、

日本桜草、紫雲蘭

  これから咲く花:山あじさい、梅花うつぎ、

てっせん、おがたまの木

  早咲きコスモス:咲き始めました

見頃・5月下旬~7月上旬、5万本

今日は連休の谷間、月曜の平日です。お天気は上々の晴れ。ですが、黄砂がすごいです。奈良では視界7㎞です。当寺からは普通ですと若草山や三笠山がよく見えるのに、今日は霞んでぼんやりしています。昔の人は黄砂を春霞と呼んだのですね。しかし最近は少し多いような気がします。大陸の砂漠が拡大しているからでしょうか、季節の風情を楽しんでばかりはおれませんね。

温かいのでコスモスはどんどん花数を増やしています。今は一番花の頂上花ですから花が大きいです。

〔俳句〕

「もう霜の 別れを告げし 野の色に」 月足美智子

〔和歌〕

「めぐりゆかば 春にはまたも 逢ふとても

         けふのこよひは 後にしもあらじ」

前大納言為兼・玉葉292

「生きながらえて時が廻って行けば、春には又逢うことができるとしても、今日の今宵、こんなに心にしみて春の惜しまれる良夜は、後には二度とありはしまいものを。」

・めぐり=時が移り四季が廻る意と、生きながらえて世に交わる意をかける。

〔釈教歌〕

「数ならぬ 命はなにか 惜しからん

       法説くほどを 忍ぶばかりぞ」

大納言斉信・新古今1928

「ものの数でない命は、どうして惜しいことがあろうか、決して惜しいことはない。ただ、み法を説き広める間を、どのような迫害にも耐え忍んでいるだけのことなのだ。」

・法華経勧持品の心、「身命(しんみょう)を愛(お)しまず」を詠む。

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2011年5月 1日 (日)

春の花だより   5・1

  今咲いている花:山吹、白山吹、八重桜、しゃが、

日本桜草、紫雲蘭

  これから咲く花:山あじさい、梅花うつぎ、てっせん、

おがたまの木

  早咲きコスモス:只今咲きはじめ

見頃・5月下旬~7月上旬、5万本

今日から5月、「さつき」です。しかし旧暦の五月は新暦の6月で、「五月雨(さみだれ)」「五月晴(さつきばれ)」は梅雨の雨と晴れ間をいう言葉です。さつきは「早苗月」ともいい、田植えの季節でもあります。そろそろ新緑が目にしみる候となってきます。

今日はまたメーデー、労働者の祭典でもあります。アメリカの労働者が闘争の末、8時間労働の権利を勝ち取った記念日だそうです。現在の日本の労働者は大変厳しい労働環境に置かれています。いま一度「第一の8時間は労働に、第二の8時間は休息に、第三の8時間は自由に」が人間の基本であることを再考する日なのかもしれません。

〔俳句〕

「くっきりと 真紅の薔薇に 葉かげかな」 高野素十

〔和歌〕

「春くれし きのふもおなじ 朝みどり

       今日やはかはる 夏山の色」

        後伏見院御歌・風雅302

「春の終った昨日も、山は同じ浅緑色であったのに、夏になった今日、突然夏山の色に変わるなんて、そんな事があるだろうか。(でも、昨日までとは全然違う、爽やかな夏の新緑だよ)」

〔釈教歌〕

「わたつ海の 底より来つる ほどもなく

        この身ながらに 身をぞきはむる」

 法成寺入道前摂政太政大臣(藤原道長)・新古今1927

「大海の底から来て間もなく、女身のままで成仏し、竜女の身を終ったことだ。」

・法華経提婆品の心を詠む。海底から来た八歳の竜女が、文殊の教化で即身成仏し、女身を変じて男子になったという教えを詠んだもの。

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