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2011年7月

2011年7月31日 (日)

コスモス寺夏の花だより   7・31

 ○夏咲コスモス:ちらほらと咲き始め

 ○今咲いている花:鬼百合、ひつじ草、睡蓮、

朝顔、百日紅

 ○これから咲く花:秋海棠、露草、烏瓜 紫苑など

7月、文月は今日で終わり。梅雨が明けてからの大雨で新潟福島をはじめ各地で大きな被害を生じています。しばらくはまだ安定した夏空にはならないようです。

きのうの「平和の塔のつどい」は近年になく多数の参加者を迎えることができました。式の途中に雨が降るあいにくの天気でしたが、皆さんの平和への思い、核をなくそうという熱い気持ちが満ちあふれ最後まで盛り上がっていました。準備から手伝っていただいた方々、参加者の皆様に心より感謝申し上げます。

今日は夕方、10人ほどのコスモスボランティアがやって来られます。先日当寺の法嗣顕任君がタウン誌「よみっこ」に登場させてもらいコスモスを育てる苦労を語ったところ、読者の方からお手伝いしたいと申し出があったのです。暑い時期ですからと、一時間だけコスモス花壇の草取り作業をしていただくことになりました。本当に尊いおこころざしです、無事に作業していただけることを祈念いたします。

〔俳句〕

「文月や 六日も常の 夜には似ず」 松尾芭蕉

〔和歌〕

「みなつきの てるひといへど わがやどの

ならの葉かげは すずしかりけり」

大僧正行尊・玉葉425 

「六月の照りつける日が強いころとはいうけれど、私の家の楢の葉陰は涼しくて気持ちがいいよ。」

〔釈教歌〕

「武蔵野の 堀兼の井も ある物を

        うれしく水の 近づきにける」

皇太后宮大夫俊成・千載1241

「武蔵野の堀兼の井のように掘り難い井もあるわけだが、嬉しくも掘るにつれて次第に土が湿って水脈が近づいてきたことだ。(仏法を求める者は、小乗の教えから法華経を聴く段階に到ると、漸く成仏の機縁の近づくのを知ることだ。)」

・『法華経』法師品の「善見湿土泥、決定知近水」の心を詠む。

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2011年7月30日 (土)

コスモス寺夏の花だより   7・30

○夏咲コスモス:ちらほらと咲き始め

○今咲いている花:鬼百合、ひつじ草、睡蓮

朝顔、百日紅

○これから咲く花:秋海棠、露草、烏瓜

         紫苑など

今日の午後4時半から当寺で「平和の塔のつどい」という催しがあります。これは22年前非核平和を願って建てられた「平和の塔」を囲んで、毎年原爆投下の8月に近い日に執り行われています。行事の趣旨は原爆犠牲者の追悼と再び核戦争を起こさせないために平和の誓いを新たにすることです。この塔に灯されているのは、福岡県八女市(旧星野村)に保存される広島原爆の残り火と長崎から送られた火を合わせたものです。

今年は奈良県内の被爆者が10人ほど参加され、貴重な体験を語られます。いろんな人のお話を聞いた後、行灯にろうそくの灯をともし犠牲者のご冥福を祈り、梵鐘をついて平和の誓いを立てていただきます。戦争によって、また原発事故によって新たな被爆者が生ずることのないように祈りをささげたいものです。参加は無料です。

〔俳句〕

「百日紅 疲れをしらぬ 紅として」 大槻秋女

〔和歌〕

「降りよはる 雨をのこして 風はやみ

         よそになりゆく ゆふだちの雲」

徽安門院小宰相・風雅411

「降り方の弱まって来た雨を残したまま、速度を早める風に乗って、どんどん遠くへ流れて行く夕立の雲よ。」

・風はやみ=風が早いために。

〔釈教歌〕

「水草のみ 茂き濁りと 見しかども

        さても月澄む 江にこそありけれ」

右京大夫季能・千載1240

「水草ばかりが繁茂して濁った江の如く迷妄の中にいる自分たちだと見ていたけれど、さてさて月が澄む江の縁で悟る身であったのだよ。」

・『法華経』授記品の心を詠む。

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2011年7月29日 (金)

コスモス寺夏の花だより   7・29

○夏咲コスモス:ちらほらと咲き始め

 ○今咲いている花:鬼百合、ひつじ草、睡蓮、

朝顔、百日紅

 ○これから咲く花:秋海棠、露草、烏瓜、

紫苑など

けさ早く、ヒグラシの「カナカナカナ」という鳴き声が響いていました。普通は夏の終わりを告げてなくセミなのに、今年の普通でない夏を感じているのでしょうか。そういえば今頃は朝からクマゼミが「シャンシャン」とうるさいほど鳴いているはずなのに、まだ静かです。これから遅い夏が来ようとしているのか、それともこういうぐずついた天気のまま夏は終わるのか、お天道様のみぞ知るということでしょうか。秋の花はこのままでは日照不足が心配です。

〔俳句〕

「午後三時 片蔭を猫 よぎりける」 加藤楸邨

〔和歌〕

「河風に うはげふかせて ゐる鷺の

        すずしくみゆる 柳はらかな」

           源仲正・玉葉424

「河風に上毛を軽々と吹かせている鷺が、いかにも涼しそうに見える、柳の立ち並んだ河原の景色よ。」

・うはげ=上毛。水鳥や鹿などの体の表面に生えた毛。鷺の場合、首のまわりに蓑のように生えた繊細な美しい毛。蓑毛。

〔釈教歌〕

「春ごとに 歎きしものを 法の庭

         散るがうれしき 花もありけり」

      

藤原伊綱・千載1239

「春毎に花の散るのを歎いたものだが、説法の場には霊鷲山の釈迦説法の座が連想されて、散るのが嬉しい花もあったのだったよ。」

・『法華経』序品の心を詠む。

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2011年7月28日 (木)

コスモス寺夏の花だより   7・28

○夏咲コスモス:ちらほらと咲き始め

 ○今咲いている花:鬼百合、ひつじ草、睡蓮、

百日紅、朝顔

 ○これから咲く花:秋海棠、露草、烏瓜、

          紫苑など

いつの間にか藪カンゾウや夾竹桃の花が終わり百日紅が咲きだしました。サルスベリはこれから9月の終わりごろまで長く咲き続けます。それで百日の紅と名が付いているんですね。紅色は夏の暑さを象徴し、白は涼を呼びます。花が少なくなる盛夏を飾る色彩となります。

夏咲コスモスはいま青々と茂っています。さすがに秋咲や初夏咲ほどの花数は望めませんが35度を超える猛暑の中でも咲くのですからスゴイですね。

〔俳句〕

「夕焼の 雲の中にも 仏陀あり」 高浜虚子

〔和歌〕

「虹のたつ ふもとの杉は 雲にきえて

          峯よりはるる 夕だちの雨」

前太宰大弐俊兼・風雅410

「虹の立つ山の、麓の杉は低い雲の中に消えて、高い峯から晴れて来る、夕立の雨よ。」

〔釈教歌〕

「頼もしき 誓ひは春に あらねども

        枯れにし枝も 花ぞ咲きける」

前大納言時忠・千載1238

「観音の頼もしい誓願は、春ではなくとも枯れ枝にも花が咲くということだ。」

・詞書=観音の誓ひを思ひてよみ侍ける。

・誓ひ=千手観音の衆生の病患を治そうという誓願。

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2011年7月27日 (水)

コスモス寺夏の花だより   7・27

 ○夏咲コスモス:ちらほらと咲き始め

 ○今咲いている花:鬼百合、ひつじ草、睡蓮、

          百日紅、朝顔

 ○これから咲く花:秋海棠、露草、烏瓜、紫苑など

今日の空も曇りがち、朝は小雨が降りました。なかなか真夏のカッと照りつける太陽が戻ってきません。植物にとってはこういう雨もよいの曇天が快適のようで花も草も成長が早く23日見なかったらグーンと伸びています。自然の生命力を感じますね。人間も自然界の移ろいに順応して無理をしないで生きるのが一番です。自然は時に猛威を振るいます。しかし普段は恵みを与えてくれます。それを上手にいただくことです。電気などのエネルギーも自然は充分に与えてくれまるはずです。

もしも地上の人工物がなくなっても自然は残るでしょう。

〔俳句〕

「紺青の 蟹のさみしき 泉かな」 阿波野青畝

〔和歌〕

「夕されば 波こす池の 蓮葉に

        玉ゆりすふる 風のすずしさ」

          三条入道左大臣・玉葉423

「夕方になると、波が立ってかかる、池の蓮の葉をゆすって、かかった池水で美しい露の玉を葉の上にいくつもこしらえる、風の涼しいこと。」

・ゆりすふる=揺り据うる。葉にかかった水をゆすぶって玉にし、安定させる。

〔釈教歌〕

「思ひとく 心ひとつに なりぬれば

         氷も水も 隔てざりけり」

          式子内親王家中将・千載1237

「思考し解き進めて、対立するものも実は一つと悟ると、氷も水も区別のないものなのであったよ。」

・煩悩即菩提の心を詠める。迷いと悟りとは、対立概念ではなく相即不離のもので、煩悩がそのまま悟りの縁となるの意。

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2011年7月26日 (火)

コスモス寺夏の花だより   7・26

○夏咲コスモス:ちらほらと咲き始め

○今咲いている花:鬼百合、ひつじ草、睡蓮、

朝顔、百日紅

○これから咲く花:秋海棠、露草、烏瓜、紫苑など

真夏の8月に咲くコスモスは普通に「夏咲コスモス」と呼ぶことにします。そのまま9月に入れば「秋咲コスモス」「秋桜」と名が変わります。コスモス寺には冬以外常にコスモスがあるということです。

今日は草取り作業に使う手袋のすぐれものを紹介します。今までは普通の軍手と呼ばれる綿や化繊の編み手袋を使っていました。12双で150円程度で非常に安価のため使い捨ての使い方でした。しかし欠点は網目から土が入り手が汚れれるのと濡れると指を動かしにくいことでした。ゴム手袋は中が蒸れ臭くなること。革製は指先の感覚がないし動きが悪いです。そこで今回見つけたのはゴム手袋の一種で細い糸の編み手袋に柔かいゴムをかぶせてあり、手の甲は布だけで通気がよく、さらに握る内側はゴム面に滑り止めがついています。そのため指触りの感触が良く滑りにくいです。そのためしっかり草を握ることができ、引抜く力が逃げません。また小さい草も微妙につかめます。これで作業がはかどっています。商品名は「ブレスグリップ」と「ケミソフト」です。値段は2300円です。

〔俳句〕

「白日の いかづち近く なりにけり」 川崎茅舎

〔和歌〕

「行きなやみ てる日くるしき 山みちに

            ぬるともよしや 夕立の雨」

            徽安門院・風雅409

「暑さにゆきなやんで、照りつける日光が苦しい山道では、たとえ濡れてもそれがありがたい、夕立の雨よ。」

・よしや=「濡るとも良し」と「縦や(たとえ・・・でも)」と双方の意を含む。

〔釈教歌〕

「あか月を 高野の山に 待つほどや

         苔の下にも 有明の月」

          寂連法師・千載1236

「弥勒菩薩が世に現われる竜華の暁を高野山で待つ間、苔の下で弘法大師は入定されていることだ。」

・あか月=竜華の暁。 苔の下=墓の和歌表現。

・有明の月=弘法大師をたとえる。

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2011年7月25日 (月)

コスモス寺夏の花だより   7・25

○今咲いている花:コスモス、鬼百合、藪カンゾウ、

ひつじ草、睡蓮、夾竹桃、朝顔

○これから咲く花:百日紅、秋海棠、露草、烏瓜、

紫苑など

今のお天気はどうもおかしいです。この先も一週間は曇り空が続き気温は低めだそうです。こんなお天気のせいか、おかげか秋咲のコスモスがちらほら咲き出しました。今年は早く種をまいて、目論見では8月終わりに開花を迎え、9月から11月までの見ごろとなる予定でした。しかしこの分では花の時期が早まり、8月中もけっこう咲くのではないかと思います。一本の苗で3か月咲かせるのは無理なので、途中で何度か植え替えます。今までに8万本ほど植えましたが、苗は双葉のような小さいのを含めるとあと10万本以上あります。もう一回総替えできる数です。でも途中に台風もありますから余分に育てています。これだけあれば安心です。延べ20万本です。先に5月から7月まで咲いたコスモスは「初夏咲コスモス」と名づけたところ、今では各方面で認知され定着したようです。それでは8月に咲くコスモスは何と呼べばいいでしょうか、只今思案中です。「夏コスモス」「夏咲コスモス」とでも呼びましょうか。

〔俳句〕

「柔かき 頭を擡げたる 雲の峯」 津田清子

〔和歌〕

「枝にもる 朝日のかげの すくなさに                                       

         すずしさふかき 竹のおくかな」

          前大納言為兼・玉葉419

「枝々をすかしてさし入る朝日の光の少ないために、かえって涼しさが深い奥行きをもって感じられる、竹林の奥よ。」

・為兼秀歌随一の名作。

〔釈教歌〕

「おどろかぬ 我心こそ 憂かりけれ

         はかなき世をば 夢と見ながら」

          登蓮法師・千載1235

「迷いから覚めない自分の心は何ともいやなものだ。はかない世を夢とみなしているのに。」

・おどろかぬ=目が覚めない。

・憂かりけれ=虚妄に執着する自身への絶望。情けない。

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2011年7月24日 (日)

コスモス寺夏の花だより   7・24

○今咲いている花:コスモス、鬼百合、藪カンゾウ、

ひつじ草、睡蓮、夾竹桃、朝顔

○これから咲く花:百日紅、秋海棠、露草、烏瓜、

         紫苑など

今日は蒸し暑いです。朝方は涼しいのを通り越して少し寒かったです。しかし日中はやはり暑くなりました。きょうは久しぶりに朝の作業で、庭土の地ならしするためユンボを動かしました。実は昨日作動しようとしたら全く動きません。おそらく長らく使っていなかったのでバッテリーが上がってしまったのでしょう。早速、販売店へメンテナンスをお願いしてバッテリーの交換をしてもらいました。おかげで今日は快調に動きます。クワやスコップでする作業に比べて仕事は早いし体も楽です。ありがたいです。この働き者の機械もやはり常に手をかけ整備してあげないとダメになりますね。いつも泥だらけのまま野ざらしでおいてあり、まったく荒っぽい扱いを受けていますが、かれこれ10年の年季を積んだ働きものの小さな巨人です。

秋の花までもうひと踏ん張り、機械や道具たちとがんばります。

〔俳句〕

「乾坤に 一擲くれし 大夕立」 安積素顔

〔和歌〕

「松をはらふ かぜはすそのの 草におちて

            夕だつ雲に 雨きをふ也」

         前大納言為兼・風雅408

「松を吹き払う風は、裾野の草に荒々しく吹きつけ、夕立の気を含んで立ち満ちる雲と競って、雨が落ちてくる気配だ。」

〔釈教歌〕

「見るほどは 夢も夢とも 知られねば

          うつつも今は うつつと思はじ」

          藤原資隆朝臣・千載1234

「見ている間は夢を夢だとは気づかないのだから、現実をも今は現実とは思うまい。」

・維摩経十喩、此の身は夢の如しといへる心をよめる

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2011年7月23日 (土)

コスモス寺夏の花だより   7・23

今咲いている花:コスモス、鬼百合、藪カンゾウ、

ひつじ草、睡蓮、夾竹桃、朝顔

○これから咲く花:百日紅、秋海棠、露草、烏瓜、

紫苑など

今日は地蔵菩薩のご縁日。奈良では各町内の辻々にまつられる石のお地蔵様が幕や提灯で飾られています。

お地蔵さんの御前には沢山のお供え物が積み上げられ、お経が終われば子供たちに配られます。

夕方から提灯や行灯に火がともされご詠歌の声が道々に響きます。この風景は昔から続いてきた、夏を彩る風物詩ですね。お地蔵様は特に子供を守ってくれる仏様としての信仰が広まっています。

大暑を迎えいよいよ夏本番です。これからは雑草とのたたかい、日照りとの格闘が始まります。その結果として美しい花が咲きます。

〔俳句〕

「月涼し 吹かれて雲の とどまらず」 臼田亜浪

〔和歌〕

「夕立の 雲まの日かげ 晴れそめて

        山のこなたを わたるしらさぎ」

         前中納言定家・玉葉416

「夕立の雲の間から日光がさし、空は晴れはじめて、緑濃い山の手前を飛びわたり行く、くっきりと白い鷺の姿よ。」

〔釈教歌〕

「朽ちはつる 袖にはいかが 包ままし

          むなしと説ける み法ならずは」

           寂超法師・千載1233

「涙で朽ちはてた袖にはどのように包むことができよう。〈空し〉と説いた大品経の経典でないとしたら。空しいと説くからこそ包めるのだ。」

・『大品般若経』の常啼菩薩を詠む。常啼菩薩は無仏の世に生まれて仏道を求め、七日七夜啼哭した故の名。般若経守護の菩薩。

・朽ちはつる袖=涙で朽ちた袖。

・むなしと説けるみ法=一切空と説く般若経の法理。

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2011年7月22日 (金)

コスモス寺夏の花だより   7・22

今咲いている花:コスモス、鬼百合、藪カンゾウ、

ひつじ草、睡蓮、夾竹桃、朝顔

○これから咲く花:百日紅、秋海棠、露草、烏瓜、

紫苑など

台風がまだ日本近海に居座っているせいでしょうか、夏らしくない涼しさと、小雨が降り続くぐずついた空模様です。

天気が悪いせいか、朝顔やコスモスは花が萎れています。一方、水草や秋海棠は生き生きしています。百合やカンゾウは盛りを越えたようですが、ずいぶん長く咲いてくれました。これからは百日紅の季節です。紅もよし、純白もよし、どちらも夏空に映えます。京都の祇園祭は終わって大阪の天神祭がやってきます。夏は各地で祭りが多いですね。老いも若きもお祭りで活気を取り戻せたらいいのですが。

ある時ははしゃぐほど気分を高め、ある時は沈思黙考するようなメリハリのある人生を送りたいものです。

〔俳句〕

「失ひし 青春のごと 虹消ゆる」 常石芝青

〔和歌〕

「外山には ゆふだちすらし たちのぼる

         雲よりあまる いなづまのかげ」

          前大納言経顕・風雅407

「近い山には夕立が降るらしい。その方向では、立ちのぼる雲からこぼれ落ちるように、時々稲妻の光が走る。」

〔釈教歌〕

「いさぎよき 池に影こそ 浮かびぬれ

         沈みやせむと 思ふわが身を」

          神祇伯顕仲・千載1232

「極楽の清らかな宝池に影が映り浮かんだことだ。地獄の底に沈むのではないかと思っている罪深い我が身なのに。」

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2011年7月21日 (木)

コスモス寺夏の花だより  7・21

今咲いている花:コスモス、鬼百合、藪カンゾウ、

ひつじ草、睡蓮、夾竹桃

○これから咲く花:百日紅、朝顔、秋海棠、露草、烏瓜、

紫苑など

般若寺歌碑・句碑の第17番目は玉骨さんの句です。

 「外向に 立たせる諸仏 鵙高音」

玉骨さんは前に「獅子の背の 菩薩涼しく おがまるる」という句があり、少し説明していますが、奈良県の五條市出身の俳人です。

「諸仏」とは石造の観音様のことで33体ずらっと並んでおられるところを言い表しているのでしょう。「外向に」は昔十三重塔の基壇上に外を向いて一順に配置されていた様子を詠まれています。「立たせる」は丁寧語で、「立っておられる」という意味です。「鵙」はモズです。モズは日本や中国北部に生息し、冬には暖かい地方へ渡ります。秋から冬にかけて雌雄別々になわばりを張り、その宣言として高い枝先で鋭い声を上げます。それを「モズの高鳴き」と言います。宮本武蔵の画に枯れ枝に止まる鵙の図が有名です。その姿は武蔵自身に似て孤高そのものですね。

〔俳句〕

「干梅の 上を念仏 流れけり」 田川飛旅子

〔和歌〕

「日をさふる ならのひろばに なくせみの

          声よりはるる 夕立の空」

           入道二品親王道助・玉葉411

「日光をさえぎる、楢の広い葉の茂った中で鳴き出す蝉の声を先立ちとして、見る見る晴れて行く夕立の空よ。」

〔釈教歌〕

「鷲の山 月を入りぬと 見る人は

         暗きにまよふ 心なりけり」

           円位法師・千載1231

「霊鷲山に月が入ってしまったと見る人は、煩悩の闇の暗さに迷う心の持ち主なのだよ。」

・『法華経』寿量品の「常在霊鷲山」の偈を詠む。

・月を入りぬ=釈迦が入滅したの意。

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2011年7月20日 (水)

コスモス寺夏の花だより   7・20

今咲いている花:コスモス、鬼百合、藪カンゾウ、

ひつじ草、睡蓮、夾竹桃

○これから咲く花:百日紅、朝顔、秋海棠、露草、

烏瓜、紫苑など

どうやら台風は東へ抜けたようです。今度の台風は夏台風の典型で、ゆっくり進行し大量の雨を降らして各地に被害を及ぼしているようです。当寺ではコスモスの大きくなったのが少し倒れたくらいで建物などはおかげで無事でした。

明日からは台風一過でまた猛暑が戻ってくるでしょう。皆様ご自愛くださいませ。

〔俳句〕

「雲の峰 人間小さく 働ける」 星野立子

〔和歌〕

「山もとの をちの日影は さだかにて

         かたへすずしき ゆふだちの雲」

          前大納言為家・風雅406

「山の麓を照らす、はるか遠方の日光ははっきりと見えるのに、一方から涼しくかげって来る、夕立の雲よ。」

〔釈教歌〕

「長き夜も むなしきものと 知りぬれば

         早く明けぬる 心地こそすれ」

          前中納言師仲・千載1230

「釈尊の大乗の法を聞いて、今まで小乗の法を修め習ってきた長い迷いの闇の時間が空しいものとわかりましたので、早くも夜が明け明るい悟りを得たような心地がいたします。」

・『法華経』信解品の摩訶迦葉の偈文「我等長夜修習空法」の心を詠む。

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2011年7月19日 (火)

コスモス寺夏の花だより   7・19

今咲いている花:コスモス、鬼百合、藪カンゾウ、

ひつじ草、睡蓮、夾竹桃

○これから咲く花:百日紅、朝顔、秋海棠、露草、

烏瓜、紫苑など

今朝、朝顔の花が二つ咲いていました。涼しげな青い大きな花です。でも残念ながら雨に打たれて萎れています。つぼみが沢山ついているから、まあこれからの長い夏を飾って咲いてくれることでしょう。水やりと伸びたツルの剪定を欠かさないようにして楽しみたいと思います。この雨は新たに植えつけたコスモスにとって恵みの雨となりました。

〔俳句〕

「雷の音 ひと夜遠くを 渡りをり」 中村草田男

〔和歌〕

「をちの空に 雲たちのぼり けふしこそ

          夕立すべき けしき成りけれ」

            前参議家親・玉葉408

「遠くの空に雲が立ちのぼって、今日こそは夕立が降るに違いない空模様だったのに。(待望の雨は降らず、まだまだ暑い日が続きそうだ)」

〔釈教歌〕

「むなしきも 色なるものと 悟れとや

          春のみ空の みどりなるらん」

           摂政家の丹後・千載1229

「空即是色と悟れということで、春の空は緑色なのなのだろうか。」

・『般若心経』の「色即是空空即是色」の心を詠む。宇宙に在る全ての形あるものは空であり、空はまた形ある森羅万象である。「色」は認識の対象となる物質的存在の総称。

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2011年7月18日 (月)

コスモス寺夏の花だより   7・18

  今咲いている花:コスモス、鬼百合、藪カンゾウ、

ひつじ草、睡蓮、夾竹桃

  これから咲く花:百日紅、秋海棠、露草、烏瓜、

紫苑など

今日は台風の影響で朝から雨。久しぶりに庭仕事を休めました。

先日立った句碑の第16作目をご紹介します。

「双び立つ 花野の寺の 笠塔婆」 日月子

これは鎌倉時代に中国の南宋から来日した石の名工、伊行末(いぎょうまつ)の子息・伊行吉が父母の供養のために建てた卒塔婆二基を詠んだ句です。「花」とありますから季節は春でしょうか。作者については詳しいことはわかりません。当寺には有名な秋桜子さん作の

「唐人が 月をろがみし 笠塔婆」

の句碑もあります。こちらは秋です。

今度の台風はどうやら上陸はしないようですが列島に近づきゆっくり東へ進むそうです。大禍なきことを祈ります。

〔俳句〕

「御法話が すめば睡蓮 花たたみ」 野島無量子

〔和歌〕

「かたをかの あふち波より 吹く風に

          かつがつそそく ゆふ立の雨」

           後鳥羽院御歌・風雅404

「片岡に立つアウチの木を波うつようになびかせて吹く風よと見るうちに、もう早くも降りそそぐ夕立の雨よ。」

・かたをか=孤立した岡。又、片側は岡のように隆起し、片側はそのまま後方の台地に続く地形。

・かつがつ=とりあえず。早くも。

〔釈教歌〕

「呉竹の むなしと説ける 言の葉は

        三世の仏の 母とこそ聞け」

         藤原隆信朝臣・千載1228

「一切が「空」と説いている般若経は、三世の諸仏の母と聞いていますよ。」

・呉竹の=竹幹の中が空であることから、「むなし」の枕詞。

・むなし=知恵の内容で、完全な無執着、一切のとらわれをはなれることをいう。

・言の葉=般若経の経説。

・母=『大智度論』によると「般若波羅蜜は是れ諸仏の母。父母の中、母の功最重なり。このゆえ仏、般若を以って母と為す。」とある。

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2011年7月17日 (日)

コスモス寺夏の花だより   7・17

  今咲いている花:コスモス、鬼百合、藪カンゾウ、

ひつじ草、睡蓮、夾竹桃

  これから咲く花:百日紅、秋海棠、露草、烏瓜、

紫苑など

今コスモスの植え付け真っ最中です。7万本ほど植えたので大方は終了しました。あとはまだ刈り残してある分と周辺部です。全部刈り取ってどんどん植えていき秋を待てばいいのですが、せっかく咲いているものを切てしまうのはしのびないのと、今コスモスが消えてしまうとちょっと殺風景になるので、十三重石塔の周り他3か所ほど残してあります。残り花ですが結構花つきもよく夏空を突き上げる勢いです。数にして1万本ほどあるでしょうか、そこへ黄花コスモスが加わり夏のコスモスもにぎやかです。

〔俳句〕

「蓮かほり 暁冷ゆる 麻ごろも」伊丹丈蘭

〔和歌〕

「ゆきなやむ うしのあゆみに たつちりの

           風さへあつき 夏のをぐるま」

             前中納言定家・玉葉4

「あまりの暑さに行き悩む牛ののろのろとした足の運びに、塵を舞い上げて立つ風さえも暑苦しくてやりきれぬ、夏の牛車よ。」

〔釈教歌〕

「ひとりのみ 苦しき海を 渡るとや

          底を悟らぬ 人は見る覧」

           左近中将良経・千載1227

「一人だけで苦海を渡る「声聞」と、悟らぬ人は彼を見るだろうけれど、実はそうではない。(富楼那は)他人を救う菩薩行を内に秘めているのだ。」

・『法華経』五百弟子品の「内秘菩薩行」の心を詠む。

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2011年7月16日 (土)

  今咲いている花:コスモス、鬼百合、藪カンゾウ、

ひつじ草、睡蓮、夾竹桃

  これから咲く花:百日紅、秋海棠、露草、烏瓜、

紫苑など

本日より本ブログを再開いたします。

お休みをいただいた3日間も晴天猛暑でコスモスの植え付けと水やりに精を出しま

した。早朝と夕方は庭作業、日中は室内での仕事。秋に向けての案内パンフのの折

り込み、そして勉強。

特に今、当寺の古代における仏教学であった「三論宗」の教理を振り返っていま

す。寺号の「般若」、山号の「法性(ほっしょう)」、本尊の「文殊」、開基僧の

「慧灌(えかん)」いずれも南都六宗の一つである三論宗ゆかりのものです。おそ

らく般若寺は奈良時代には三論宗の学問道場であったのでしょう。この教学につい

ては少しづつご紹介できればと思っています。

〔俳句〕

「夏萩に 細かき蔭の 増えて来し」 稲岡長

〔和歌〕

「山ふかみ 雪消えなばと おもひしに

         また道たゆる やどの夏草」

           如願法師・風雅403

「山深い所の住まいだから、せめて雪が消えたら人が訪れてくれるかと期待していたのに(一向誰も来ず)、再び人の通れる道さえも絶えはてるほどに一面に茂ってしまった、私の家の夏草よ。」

〔釈教歌〕

「君が名ぞ 猶あらはれん 降る雪に

         むかしの跡は 埋もれぬとも」

           尊円法師・千載1226

「天台学統を護るあなたの名はやはり顕れることでしょう。降る雪に昔の伝統がもし埋もれたとしても。」

・前歌への返し歌。

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2011年7月15日 (金)

コスモス寺夏の花だより   7・15

  今咲いている花:コスモス、鬼百合、夾竹桃、ひつじ草、

睡蓮、藪カンゾウ

  これから咲く花:百日紅、秋海棠、露草、烏瓜、

紫苑など

連日の猛暑が続いています。今日もお休みです。

昨日まで「野カンゾウ」と思っていたのは「藪カンゾウ」でした。訂正します。

〔俳句〕

「光り合ふ 二つの山の 茂りかな」 向井去来

〔和歌〕

「山かげや くらきいはまの わすれ水

         たえだえみえて とぶほたるかな」

          藤原為理朝臣・玉葉405

「山陰の暗い岩の間に、人知れず絶え間がちに流れている水

に、これもまた絶え絶えにわずかな光を映して飛ぶ蛍よ。」

・わすれ水=人に知られず淀み、または流れている水。蛍のかすかな光と関連させる。

〔釈教歌〕

「いとどしく むかしの跡や 絶えなむと

         思ふもかなし 今朝の白雪」

          法印慈円・千載1225

「いよいよますます昔の天台の聖人の跡が絶え、仏法の伝統が消えてしまうのだろうかと思われて悲しい。今朝人跡を消して降り積もる白雪を見ていると。」

・詞書:比叡の山に堂衆学徒不和の事出で来りて学徒みな散りける時、法印慈円千日の山籠り満ちなむことも近く、聖の跡を絶たむ事を歎きて、かすかに山洞に留まりて侍けるほどに、冬にもなりければ雪降りたりける朝、尊円法師のもとにつかはしける

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2011年7月14日 (木)

コスモス寺夏の花だより   7・14

  今咲いている花:

  これから咲く花:

今日はお休みします。16日再開予定。

〔俳句〕

「涼しさや 鐘をはなるる 鐘の声」 与謝蕪村

〔和歌〕

「すずしやと 風の便りを たづぬれば

         しげみになびく 野べのさゆりば」

           式子内親王・風雅402

「涼しいのはどこかしらと、風の生まれそうな所を尋ねて行ってみたらば、茂みの中でひっそりとなびく、野の百合の葉に行き当たったよ。」

・風の便り=風のよりどころ。

・さゆりば=百合の葉。また小百合花の約。

〔釈教歌〕

「澄めば見ゆ 濁れば隠る さだめなき

          この身や水に 宿る月かげ」

           宮内卿永範・千載1224

「澄めば見え濁れば隠れてしまう、そのように定めなくはかないこの身は、水に映る月影のようなものだろうか。」

・『維摩経』十喩、「この身は水中の月のごとし」の心を詠む。

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2011年7月13日 (水)

コスモス寺夏の花だより   7・13

  今咲いている花:コスモス、ひつじ草、睡蓮、

鬼百合、野カンゾウ

  これから咲く花:百日紅、秋海棠、露草、烏瓜

紫苑など

ホームページの更新を担当する者が、13日より15日まで出張しますので本ブログをお休みします、あしからず。

〔俳句〕

「梅雨明の 気色なるべし 海の色」 笹谷羊多楼

〔和歌〕

「夕まぐれ 風につれなき 白露は

         しのぶにすがる ほたるなりけり」

          惟明親王・玉葉402

「薄暗い夕暮、風が吹いていてもこぼれずに平気でいる白露を何かとみれば、それは軒の忍草にとりすがっている蛍だったよ。」

〔釈教歌〕

「人ごとに 変るは夢の 迷ひにて

         覚むればをなじ 心なりけり」

          摂政前右大臣・千載1223

「人は個別に異質の心を持つと思っているのは夢の中の迷い、濁世の迷妄の中にあるからで、覚めてみるとみな同じ心なのだよ。」

・五智如来の平等性智を詠む。金剛界曼荼羅南方の宝生如来の智で、差別の見方を離れて、全てのものが究極的に平等であることを覚る智。

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2011年7月12日 (火)

コスモス寺夏の花だより   7・12

  今咲いている花:コスモス、ひつじ草、睡蓮、

夾竹桃、野カンゾウ、鬼百合

  これから咲く花:百日紅、秋海棠、露草、

烏瓜、紫苑など

今日は古いコスモスを刈り取りました。5月から咲き始め、時期外れでも大きな花を咲かせて参詣の皆様を驚かせ、また楽しませてくれました。今では人の背丈を越えるくらいに大きくなりまだまだ咲き続ける勢いです。しかしもう秋のシーズンまで2ヶ月を切りましたし、次の秋咲の新苗も出番を待っています。泣く泣く花を切り倒しました。そのあと草を取り除いて耕運機で耕します。熱いけれど晴れているほうが仕事ははかどります。何とか今月中に植え付けを終えたいですね。いつもはお盆を過ぎても植え続けています。

コスモスの花はまだ3分の1程度残っています。

〔俳句〕

「門を掃く 箒が重し 朝ぐもり」 五十崎故郷

〔和歌〕

「秋ちかし 雲ゐまでとや ゆくほたる

         さはべの水に かげのみだるる」

          皇太后宮大夫俊成女・風雅400

「秋はもう近い。(それを雁に知らせようと)雲の上たかくまでもと思ってか、行く蛍よ。沢のほとりの水に、その光が乱れ映っている。」

〔釈教歌〕

「ふるさとを ひとり別るる 夕べにも

          をくるは月の かげとこそ聞け」

            式子内親王・千載1222

「この世を独りきりで別れて黄泉路に立つ夕べにも、送ってくれるのは月光だと聞いています。」

・『華厳経』普賢行願品の普賢菩薩の十の誓願のうち「普皆回向」の願を詠む。

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2011年7月11日 (月)

コスモス寺夏の花だより   7・11

  今咲いている花:コスモス、ひつじ草、睡蓮、夾竹桃、

野カンゾウ

  これから咲く花:鬼百合、秋海棠、百日紅、朝顔、

露草、烏瓜、紫苑など

今朝の庭作業の一こまを紹介。午前5時起床、朝のお勤め、朝食、ブログの原稿作成、ここまでが室内。6時からきょう植えつける場所にたっぷり水遣りをして苗を運ぶ、植えたら水遣り、支柱をして遮光ネットを張りクリップで留める。それから苗床に種まき、水遣り、抜き取った苗床に肥料や土を入れ再生。ひつじ草の生育する水鉢に井戸水を入れ金魚に食事をあげる。さらにちょっぴり草取りをして9時終了。太陽が上に昇り日射しがきつくなると一気に疲れるのでそこそこに切り上げるのがコツです。また夕方4時から再開です。

〔俳句〕

「町中が 弾んでをりぬ 山開」 野崎加栄

〔和歌〕

「やみよりも すくなき夜はの 蛍哉

          をのが光を 月にけたれて」

           藤原為守女・玉葉397

「闇夜よりも数の少ない、月の夜半の蛍だなあ。自分の光りを月光に打消されてしまって。」

〔釈教歌〕

「照すなる 三世の仏の 朝日には

         降る雪よりも 罪や消ゆらん」

      仁和寺後入道法親王覚性・千載1221

「照らすという三世の仏の朝日の光りによっては、おっしゃるような降る雪よりも罪障が消滅することでしょう。」

・崇徳院の前歌への御返事(かえりごと)。

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2011年7月10日 (日)

コスモス寺夏の花だより   7・10

  今咲いている花:コスモス、ひつじ草、睡蓮、夾竹桃、

野カンゾウ

  これから咲く花:鬼百合、秋海棠、百日紅、露草、

烏瓜、紫苑など

快晴、猛暑、しかし湿気が少なく木陰に入れば涼風が心地よいです。

きのう納められた句碑3基を建てました。朝も早い内に作業したのでそれほどの重労働ではありませんでした。昼間だったらバテてしまったでしょう。

15作目の句碑です。

 「ちちろ虫 十三塔を つつみ鳴く」 一邑

ちちろ虫は蟋蟀(こおろぎ)の別名で鳴き声からついた名です。夏の終わりから秋にかけてちょうどコスモスの咲く頃、花の中で鳴き続けます。重要文化財の十三重石塔を詠んだ秋の句です。昔の般若寺は松林、ススキや笹の生い茂る大自然そのものでした。草原に聳え立つ石塔はいつの時代も寺のシンボルです。

〔俳句〕

「葉の下に 茄子の花の 鋭さよ」 高浜虚子

〔和歌〕

「ほたるとぶ かた山かげの 夕やみは

         秋よりさきに かねて涼しも」

   後一条入道前関白左大臣(一条実経)・風雅399

「蛍の飛び交う、ちょっとした山陰の夕闇深いあたりは、秋より先に、今からもう涼しいなあ。」

・かねて=前もって。

〔釈教歌〕

「降る雪は 谷のとぼそを うづむとも

         三世の仏の 日や照らすらん」

          崇徳院御製・千載1220

「降る雪が高野山の谷の入口を埋めても、仏の光りはあなたの庵を照らすことでしょう。」

・詞書:冬頃、後入道法親王高野に籠りて侍けるに、をくり給うける。

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2011年7月 9日 (土)

コスモス寺夏の花だより   7・9

  ○  今咲いている花:コスモス、ひつじ草、睡蓮、夾竹桃、

野カンゾウ

  これから咲く花:鬼百合、秋海棠、百日紅、露草、烏瓜、

紫苑など

きのう梅雨が終ったようです。今年の梅雨は例年に比べ異例でした。まず入りが早く、間の6月は猛暑で雨もなく梅雨はどこへ行ったのかと思わせる空梅雨。7月にまた舞い戻ったように雨、そして降りつづくのかと思いきや、あっという間に明けました。入りもあけも10日ほど早いです。ということは、夏が長くなるのか、はたまた秋が早いのか、天のみぞ知るということでしょうか。

般若寺では、ほぼ毎日コスモスを植え続けています、ただひたすらに。

〔俳句〕

「月見草 開かんとして 力あり」 高浜年尾

〔和歌〕

「月かげの かすむもつらし よそまでは

          煙なたてそ 夜はの蚊遣火」

      前関白太政大臣(鷹司基忠)玉葉・395

「あまりに煙らせて、月光が霞んでしまうのは恨めしい。よその所までは煙を立ててくれるなよ、夜半にたく蚊遣火よ。」

〔釈教歌〕

「帰りても 入りぞわづらふ 真木の戸を

          まどひ出でにし 心ならひに」

           前大僧正覚忠・千載1219

「帰ってきても家には入り煩うことだ。親の立派な家を惑い出た心の習いで。」

・『法華経』信解品の心を詠む。長者窮子の喩えに拠る歌。仏が目標の低い弟子に、真の教えを説く時機を待ったことの喩えで、家出して周流五十年、貧窮して戻るが、長者を親と気づかずにいる子を、時をかけて家に住まわせ、次第に馴れ親しませて後継者としたという話。

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2011年7月 8日 (金)

コスモス寺夏の花だより   7・8

  今咲いている花:コスモス、ひつじ草、睡蓮、夾竹桃、

野カンゾウ

  これから咲く花:百日紅、鬼百合、露草、烏瓜、

秋海棠、紫苑など

長い雨でした。当地ではそれほどの雨量ではなかったようですが、蒸し暑さは最高です。最近は使われませんが不快指数というのがあれば、相当高かったと思います。今日は梅雨の晴れ間で久しぶりに真夏の太陽の暑さが実感される日となりそうです。いま草木の繁り方はすごいです。むせ返るようです。それと虫たちも全盛期です。蝶やトンボや玉虫は良い虫、蚊やムカデは悪い虫、蜘蛛や蟻は良くもあり悪い場合もあります。何れも人間のご都合ですが。

秋の花と思っていた秋海棠がピンク色の蕾をふくらませて来ました。秋までけっこう長く咲くのかもしれませんね。

〔俳句〕

「梅雨晴に 加はる星の 夥し」 相生垣瓜人

〔和歌〕

「月うすき 庭のまし水 をとすみて

       汀のほたる かげみだるなり」

        式部卿恒明親王・風雅397

「月がうっすらとさす庭の、清水の音が澄んで聞えて、水ぎわに飛ぶ蛍の光が、入り乱れて見えるようだ。」

〔釈教歌〕

「照る月の 心の水に すみぬれば

        やがてこの身に 光をぞさす」

         前参議教長・千載1218

「照る月が心の水に澄んでいるので、それがそのままこの身に光を射し、さながら仏になったようだ。」

・即身成仏の心を詠む。「実相般若波羅蜜海に入て、仏法を荘厳しやがて此身ながら毘ル遮那仏と同体になりつるよしをいふ」(法文注解)

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2011年7月 7日 (木)

コスモス寺夏の花だより   7・7

  今咲いている花:コスモス、ひつじ草、睡蓮、夾竹桃、

野カンゾウ

  これから咲く花:百日紅、鬼百合、秋海棠、紫苑、

烏瓜、露草など

注文していたディープレッドキャンパスとクリムソンキャンパスが届いたのでさっそく種まきをしました。この種類は深紅色の珍しい色合をもっています。ことしのコスモスは30種類をこえています。秋が楽しみです。

今日は七夕なのにあいにくの雨。でもほんとうの七夕は今の暦で8月中頃ですから、旧暦で天の川を鑑賞してはいかが。

当寺では弁天さまのおまつり「弁財天供」です。弁天さまは福徳を与え学問・芸事の上達をかなえてくださる神様。といってもインドの川の神(サラスヴァティ)で仏教に取り入れられ日本へやってこられたのです。昔から天河、竹生島、江ノ島の弁天が有名です。当寺の弁天さまは昔は放生池の弁天島にまつられていましたが、台風で吹き飛ばされ、以来本堂に安置しています。法要は夕方、導師が叡尊上人作の『弁天講式』を読みます。本ホームページの「史料の館・聖教の部」に収録済みですので関心のある方は御覧下さい。

〔俳句〕

「星生るるとは 夕菅の 覚むること」 井上ひろこ

〔和歌〕

「月かげも 夏のよわたる いづみ河

         かはかぜ涼し 水のしらなみ」

         皇太后宮大夫俊成女・玉葉391

「月光も、舟と一しょに夏の夜に渡って行く泉河よ。河風が涼しく、水の立つ白波もまた涼しい。」

・いづみ河=山城の歌枕、泉河。京都府南部を流れる木津川の古名。

〔釈教歌〕

「はかなくぞ 三世の仏と 思ひける

          我身ひとつに ありと知らずて」

           前参議教長・千載1217

「愚かなことに、私は三世諸仏として様々に在るものと思っていた。我が身一つの中に在ると知らないで。」

  『華厳経』の心を詠む。

  我が身ひとつにあり=「一即一切、一切即一」(あらゆる物事がその本質からみて、一体的であること)の華厳の教えの眼目に拠る表現。

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2011年7月 6日 (水)

コスモス寺夏の花だより   7・6

  今咲いている花:コスモス、ひつじ草、睡蓮、夾竹桃

野カンゾウ

  これから咲く花:鬼百合、百日紅、秋海棠、紫苑、

烏瓜、露草など

ここ23日、カラスの鳴き声がやかましいです。早朝から寺の上空を旋回し、アーアー、カーカーひっきりなしに鳴いています。原因は境内の杉の木に巣を作って育てていた子烏が巣立ちをしたようですが、一羽だけまだ上手に飛べないのです。駐車場を歩いたり、石仏の上で居眠りしたり、低い木に登っては滑り落ちたりとちょっとみっともないほどの未成熟さです。きっと成長が遅れているのに他の子烏と同じ様に巣立ちをしたのでしょう。それで母烏が心配で上から見守っているのです。でも大きな声がうるさいです。

ひつじ草の水鉢に新しい金魚を20匹放してやりました。水中のボウフラを食べてくれますので、夏じゅう花と一緒に世話をしてやるつもりです。花も金魚も高温には気をつけねばなりません。

〔俳句〕

「飛石の 三つ四つ蓮の 浮葉かな」 与謝蕪村

〔和歌〕

「いにしへの 野守りのかがみ 跡たえて

          とぶひは夜半の ほたるなりけり」

           寂蓮法師・風雅395

「その昔の、「野守の鏡」は跡もなくなってしまって、春日野の「とぶ火」と見えたのは夜中に飛ぶ蛍だったよ。」

  野守のかがみ=天智天皇(雄略天皇とも)が鷹狩の時見失った鷹を、野守が野のたまり水に映った影を見て発見したという故事(俊頼髄脳・綺語抄等)から野中の水を鏡にたとえたもの。

  とぶひ=飛ぶ火。奈良時代、外敵侵入などの変事に備えたのろし。春日野にその台があり、これを守る野守がいたとされる。野守の鏡とともに春日野の名物。

〔釈教歌〕

「誓ひをば 千尋の海に たとふなり

          つゆも頼まば 数に入りなん」

          崇徳院御製・千載1216

「観世音菩薩の誓願を、千尋の深海に喩えている。ほんの少しでも頼めば、救われる衆生の中に入るであろう。」

  『法華経』普門品の「弘誓深如海」の心を詠む。衆生を救済しようとする観音の弘き誓は海のように深い、の意。

つゆ=少し。 数=救済される衆生の中をいう。

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2011年7月 5日 (火)

コスモス寺夏の花だより   7・5

  今咲いている花:コスモス、紫陽花、ひつじ草、睡蓮

夾竹桃

  これから咲く花:百日紅、鬼百合、露草、烏瓜、秋海棠、

 紫苑など

夏の花、夾竹桃が咲き誇っています。遠目に見るとかき氷の上にピンク色の蜜をかけたようでおいしそうです。それから鬼百合も蕾が大きくなりほんのりと橙色に色づいてきました。百日紅はまだのようです。

水鉢ではひつじ草の花の下を緋色の金魚が涼しげに泳いでいます。いつも餌をもらうので人なれしているようです。指で水をかき混ぜると喜んで側へ寄ってきます。春に比べると倍ほど大きくなりました。

〔俳句〕

「起ち上る 風の百合あり 草の中」 松本たかし

〔和歌〕

「かたぶかで 月の明け行く みじか夜は

         いるかたおしむ 山のはもなし」

           源俊平・玉葉389

「まだ傾きもしないうちに、月が光を失って明けて行く夏の短夜は、入る方角を見て月を惜しむ山の端の情趣もありはしない。」

〔釈教歌〕

「わび人の 心のうちを よそながら

          知るや悟りの 光なるらん」

           源俊頼朝臣・千載1215

「ひとり思い苦しむ人の心の中を、遠く離れていながら知るのは、悟りの光なのであろうか。」

・阿弥陀の十二光仏の中の智恵光仏を詠む。無碍の善根より生じた光で衆生の無明の闇を破するところからの名。

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2011年7月 4日 (月)

コスモス寺夏の花だより   7・4

  今咲いている花:コスモス、紫陽花、ひつじ草、睡蓮、

    夾竹桃

  これから咲く花:百日紅、鬼百合、露草、烏瓜、秋海棠

紫苑など

秋に向けて植えているコスモスの種類についてご紹介します。

  センセーション混合―――ダズラ、ラディアンスなどが含まれ一番普及している早咲き種、赤白ピンク

  秋咲美色巨大輪―――秋9月終わりから11月まで咲き花が大きく色が鮮やか

  ベルサイユ―――レッド、ホワイトなどがあり花軸がしっかりしている

  ソナタ混合―――背丈は低く花数多い

  シーシェル混合―――花びらが巻貝のようになる

  ピコティ―――ピンクの花に白い斑が入り、赤の縁取りあり変化が多い

  ダブルクリック混合―――最近の品種、花がダリヤのように豪華、花が重いので折れやすい

  ダブルクリックスノーパフ―――白

  ダブルクリックローズボンボン―――ピンク

  ハッピーリング―――花の中心は白、その周りに赤紫のリング状に紋がある

  デイドリーム―――白い花弁に中心が濃いピンク

  レッドイリュージョン―――花弁の中心に複弁、濃淡のあるピンク

  サイケ―――花芯が複弁

  コラレット混合―――同じ

  ビッキー―――背が低く花が大きい

  アーリー混合―――背は低く早く咲く

  イエローキャンパス―――秋咲のふつうのコスモスで花が黄色

  オレンジキャンパス―――オレンジ色

  ディープレッドキャンパス―――濃い赤

黄花コスモス―――サルフレアスという別系統のコスモス

  マンダリン―――だいだい色

  サンライズ―――黄色

  サニー混合―――黄色、オレンジ、緋色

など全部で20数種類ありますが、混植しているので見分けがつき難いです。秋の風情としては赤白ピンクの8弁の一重花が最もコスモスらしいです。

〔俳句〕

「老僧の 影のふわりと 苔の花」 青柳志解樹

〔和歌〕

「夏の夜の わびしきことは 夢をだに

みるほどもなく あくるなりけり」

小野小町・風雅394

「夏の夜の切なくやりきれないのは、(せめては見たいと思う)夢をさえも見るひまがない位に、早々と明けてしまう事だよ。」

〔釈教歌〕

「うれしくぞ 名を保つだに あだならぬ

         御法の花に 身をむすびける」

前大僧正快修・千載1214

「名目を保持するだけでさえ空しくない、功徳があるとされる法華経を受持して、嬉しくも仏法に結縁できたことだ。」

・『法華経』陀羅尼品の心を詠む。

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2011年7月 3日 (日)

コスモス寺夏の花だより   7,3

  今咲いている花:コスモス、紫陽花、ひつじ草、睡蓮

  これから咲く花:夾竹桃、百日紅、百合

昨日は当寺では悲しい出来事があり、家族みんながしんみりとしていました。寺で生れて16年間飼われていたネコの「ウシ君」がみんなに看取られて一生を終えました。大木の下に埋めて墓らしいものを作ってやりました。昨夕、雨にぬれて庭にたおれているのが発見され、すぐに病院にも行ったのですがだめでした。ウシ君は牡猫で全身真っ黒、緑色がかった目はちょっと中により目で愛敬がありました。外国種が混じっていたのか、体は大きく足や尻尾が長くて鼻筋が通っている男前でした。寺で生まれて寺で飼われていたのですから平穏な一生であったと思われますが、実はけっこう波乱の生涯を歩みました。まずは一番元気な7歳ごろ交通事故に遭ったのか、前足がぐらぐらになるほどの複雑骨折を負い病院で金属のギブスを骨にあてがう手術を受けました。それから何ヶ月かたって療養していた二階の部屋から網戸を破って飛び降りたのです。そのためもう一度手術を受けることになりました。まだ若かったので怪我は無事に直りました。しかしこんどは9歳の頃家出をしてしまいました。いくら捜しても見つからず、私たちもあきらめてしまいました。それから3年半ほど経過して境内で鳴いている黒猫がいました。最初まさかウシ君が生きて帰ってくるなんて信じられませんでしたし側へ行くと逃げたり噴いたりするのでよそのネコだろうと思っていると、ウシ君を一番かわいがっていた末娘のアヤ子さんが側へ行くと近づいてきて抱かれるではありませんか。体は出て行ったときスリムな長身だったのに信じられないくらいの巨体になっていました。後で計ると体重が10キロもありました。家出前の二倍あります。きっと誰かに飼って貰っていて肥満体になるまで食事も与えられていたのでしょう。もともと人懐っこいネコでしたから可愛がられて居ついていたのでしょう。でも3年半もたって自分の家を忘れず帰宅するなんて、それ以来ウシ君は「奇跡のネコ」と呼ばれみんなから尊敬をうけるようになりました。ひょっとしたら別のネコじゃないかとの疑いもありましたが、黒い体なのにお腹の下の方が白くて丁度パンツをはいているような形なのと、やはり目がよっているのは他のネコにはない特徴でした。老齢で肥満なので糖尿病にもなっていて病院通いがつづき、生還から4年目に死を迎えたのです。16才はネコにとっては長い長い一生だったでしょう。みんなに癒しを与えてくれたウシ君、安らかに眠ってください。

〔俳句〕

「寂しければ 雨降る蕗に 燈を向くる」 橋本多佳子

〔和歌〕

「よにかかる すだれに風は 吹きいれて

           庭しろくなる 月ぞ涼しき」

            従一位教良女・玉葉387

「夜になろうとして、庭との間にかかっている簾にさわやかな風が吹きいれ、庭が白々と見え渡るまでに照らし出す月の涼しさよ。」

・よにかかる=「よ」は竹・芦等の節と節の間をいい、転じて「節」そのものをいう。ここでは「間」の意をとって、「夜になりかかる」意と、「庭との間にかかる」の意をかけたか。

〔釈教歌〕

「千歳まで むすびし水も 露ばかり

          我身のためと 思ひやはせし」

           僧都覚雅・千載1213

「千年もの間汲んだ水も、ほんの少しばかりでも我が身のためにと思ったりしただろうか、いや衆生のために大法を求めるのが目的だったのだ。」

  『法華経』提婆品の心を詠める。釈迦が法華経を求めるため阿私仙人の奴となって千年を仕えたという。大法を求めての千年の辛苦を詠む。

  露=少し。「水」の縁語。

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Noko

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2011年7月 2日 (土)

コスモス寺夏の花だより   7・1

  今咲いている花:名残りのコスモス、蘇った紫陽花、

ひつじ草、睡蓮

  これから咲く花:夾竹桃、百日紅、百合など

昨日からなんだか梅雨が戻ってきたようです。しばらく曇天が続くそうです。このお天気でしおれていた紫陽花が復活しました。コスモスもまだまだ咲きそうです。

でも秋の準備のため少しづつ刈り取り、耕し、苗の植え付けをしています。去年に比べて作業工程が10日ほど早いですので、ひょっとすると8月下旬から咲き出すかもしれません。

〔俳句〕

「七月や 既にたのしき 草の丈」 日野草城

〔和歌〕

「ほしおほみ はれたる空は 色こくて

          吹くとしもなき 風ぞ涼しき」

           従二位為子・風雅393

「星が沢山輝き、晴れた空は濃く深い藍色で、吹くともなく吹く風がいかにも涼しい。」

〔釈教歌〕

「見るままに 涙ぞ落つる 限りなき

          命に替る 姿と思へば」

         前大僧正覚忠・千載1212

「拝するにつけて感涙の落ちることだ。人の命に替った限りない慈悲の御姿だと思うと。」

・穴太寺の観音縁起によれば、仏師感世を殺したけれど観音が身替りに切られ肩から血を流しているのを見た施主の宮成が改心したという穴う観音の「命に替る姿」を詠む。

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2011年7月 1日 (金)

コスモス寺夏の花だより   7・1

  今咲いている花:名残りのコスモス、ひつじ草、睡蓮

  これから咲く花:百合、百日紅、夾竹桃、紫苑、秋海棠、                                 水引草、彼岸花など

いよいよ7月、文月になりました。6月は長かったように思います。やはり暑さのせいでしょうか。今月は当寺では年中行事として7日は「弁財天供」、23日は「地蔵盆」、30日は「平和の塔の集い」があります。これから9月までの2ヶ月間、「夏の花だより」をお届けしていく予定です。この時期、正直花が少ないので困ります。花に限らず気に止まったこと、思いついたことなどを出来るだけ頑張って「たより」をお伝えしたいと思います。

〔俳句〕

「七月の 生きるよろこび 気力湧く」 片岡片々子

〔和歌〕

「さ枝もる かげぞほどなき くれ竹の

         よわたる月の 明けやすき比」

     前関白太政大臣(鷹司基忠)・玉葉386

「小枝の間をもれる光さえ幾らもないよ。竹の上を夏の夜に渡って行く月の、短夜のために明けやすい頃は。」

・よわたる=竹の「節(よ)」に「夜」をかける。

〔釈教歌〕

「世を照らす 仏のしるし ありければ

         まだともし火も 消えぬなりけり」

前大僧正覚忠・千載1211

「世を照らすみ仏の霊験があったので、今でも灯火は消えずに輝いているのだなあ。」

  三十三所観音拝みたてまつらんとて所々にまいり侍ける時、美濃の谷汲にて油の出づるを見てよみ侍りける。

  油=石油、 しるし=霊験、 ともし火=絶えることなく相続される正法の伝統の喩え。

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