« 2011年10月 | トップページ | 2011年12月 »

2011年11月

2011年11月30日 (水)

般若寺 水仙花だより   11・30

◎水仙: ≪咲きはじめ≫ 花 12月~2

◎コスモス: ≪名残りの花≫

*いよいよ霜月、11月の最後の日となりました。明日からは師走、12月で今の暦では冬に入ります。天気の長期予報は12月も暖かい日が多いそうです。過ごし易いのは結構ですが、これが地球温暖化の異常気象の表れだとすれば喜んでばかりはいられません。今、北極海の氷がどんどん融け出していてそのうち普通の船が航行できるようになるそうです。温暖化の原因、二酸化炭素を減らすための国際協約、京都議定書にかわる新しい取決めを話し合うCOP17が始まろうとしていますが、事態は一向に前進していません。しかしまだ希望を失いたくありません、人間の英知を信じたいですね。温暖化を食い止めなければ食糧不足をはじめ人類の未来は悲惨なものになりますから

〔俳句〕

「雑草の 実の吹飛ぶに 目を細め」 川崎茅舎 

「コスモスを 食む虫のをり 美しき」西山美枝子

「水仙の 花の律儀と 対峙せり」 西口万佐子

〔和歌〕

「をかべなる はじのもみぢは 色こくて

四方の木ずゑは 露の一しほ」

新室町院御匣・風雅675

「岡のほとりの櫨の紅葉は濃く色づいて、それ以外の四方の木々の梢は、霧にほんの気持ちだけ染まった秋の色だ。」

・はじ=櫨。ハゼノキ。ウルシに似た落葉小喬木。秋、最も早く深紅に紅葉する。

・一しほ=一入染。染料に一回浸しただけの薄い色。 

Img_4234

Img_4225

Img_4224

Img_4243

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月29日 (火)

般若寺 水仙花だより   11・29

◎水仙: ≪咲きはじめ≫ 花 12月~2

◎コスモス: ≪名残りの花≫

*コスモスは一回でも霜が降りれば花は終ります。しかし今の気温は11月上旬並みに戻ったようですから花はこのまま12月に入っても咲き続けそうです。いっぽう水仙の方も花を次々と咲かせています。しかし二つ並べるとやっぱり水仙はコスモスには勝てません、色彩で負けてしまいますね。まあしばらくは仲良く共存していただきましょう。

清楚な美しさを持つ水仙の歌を鑑賞しましょう。

「うつくしき 素足の冬の 来りけり

ちらほらと咲く 水仙の花」与謝野晶子

〔俳句〕

「今落ちし 枯葉や水に そり返り」 星野立子

「ていねいに 生けてコスモス 乱れ咲き」押尾弘子

「水仙の 蕾を擡ぐ 凛々しさよ」おかたかお

〔和歌〕

「朝霧の たえまをみれば あさづくひ

むかひの岡は 色づきにけり」

後一条入道前関白左大臣(一条実経)・玉葉744

「秋霧の薄れて来た切れ目から見渡すと、(朝日のさす)向い側の岡の木々は、目に立って紅葉しはじめている。」

Img_4207_2

Img_4209

Img_4198_2

Img_4215

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月28日 (月)

般若寺 水仙花だより   11・28

◎水仙: ≪咲きはじめ≫ 花 12月~2

◎コスモス: ≪名残りの花≫

*土曜日曜ともに晴れて紅葉狩りの行楽はさぞ賑わったことでしょう。奈良でも談山神社や室生寺など山の名所は今が見頃ですね。

平安時代の『古今和歌集』に出る紅葉の名所と言えば、在原業平の『百人一首』の歌「・・・唐紅に水くくるとは」で有名な「龍田川」「龍田山」「みむろ山」がよく知られています。

龍田姫は秋の女神、それに対して佐保姫は春の女神と言いますが、佐保山も秋のもみじ(紅葉・黄葉)の名所として都人にはなじみのある歌枕だったのです。般若寺から西に延びる丘陵が佐保山です。不退寺までの高さ数十メートル、長さ数キロの小高い丘で京都府との国境を形成しています。

「佐保山の ははその色は うすけれど

秋は深くも なりにけるかな」

坂上是則・古今267

「佐保山の ははその紅葉 散りぬべみ

よるさへ見よと てらす月影」

よみ人しらず・古今281

・ははそ=コナラ、クヌギ、オオナラなどの総称。黄褐色に紅葉する。黄葉。

・散りぬべみ=きっと散るだろうから

〔俳句〕

「あたたかき 十一月も すみにけり」 中村草田男

「良寛の 声コスモスの 風の中」 清水明子

「大き花圃 水仙のみと なりにける」 水原秋桜子

〔和歌〕

「そめやらぬ 木ずゑの日影 うつりさめて

ややかれわたる 山の下草」

永福門院内侍・風雅674

「(まだ十分紅葉せず)夕日に紅に映える程にも至らぬ梢に、映える日光の色も衰え弱って、そろそろ枯れ色の広がって来た、山の下草よ。」

・うつりさめて=うつろい、色あせて。

Img_4078

Img_4008

Img_4086

Img_4061

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月27日 (日)

般若寺 水仙花だより   11・27

◎水仙: ≪咲きはじめ≫ 花12月~2

◎コスモス: ≪名残りの花≫

*今年は浄土宗の法然上人800年御遠忌と浄土真宗の親鸞聖人750年御遠忌に当たっています。京都の知恩院さん、東西本願寺さんをはじめ各御本山で法要が勤められ、全国の檀家さん門徒さんが本山参りをされたので京都の町は大変にぎわいました。そこへ今は紅葉をはじめ秋の行楽真っ最中でどこへ行っても人でごった返しています。

信仰と観光は違うようで実は同じく人間の心を満足させてくれるものなのです。京都や奈良は仏教の都、宗教都市の伝統が長く、観光と信仰が両立している町です。寺などの宗教空間に立てばそれだけで心が癒され甦ることができます。

仏教俳句から親鸞聖人御命日を詠んだ句、

「ゆくところ 雪のふるくに 親鸞忌」西本一都

「小寺には 小寺ながらの 報恩講」矢野牛童

〔俳句〕

「幾尾根の 冬紅葉抜け 奈良山に」 稲岡長

「コスモスに 風の妖精 来て遊ぶ」 田村すすむ

「水仙の 花咲く前の 丈くらべ」 庄中健吉

〔和歌〕

「朝日さす いこまのたけは あらはれて

きりたちこむる あきしのの郷」

前参議実俊・玉葉737

「朝日がさすにつれ、生駒山はくっきりと姿をあらわし、対照的にまだ深く霧が立ちこめている、麓の秋篠の里よ。」

Img_4070

Img_4083

Img_4087

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月26日 (土)

般若寺 水仙花だより   11・26

◎水仙: ≪咲きはじめ≫ 花12月~2

◎コスモス: ≪名残りの花≫

*今朝は冬のように冷え込みました。昨夜11時ごろ見廻りで外へ出て空を見上げると満天の星空、冬の星座の代表であるオリオンが南東の空に大きく鮮やかに見えました。いよいよ冬がやって来ました。

それでも昼間は晴天で温度も上がり小春日和となりそうです。今日明日は紅葉観賞に絶好の日和、テレビで毎日紅葉名所の紹介がされていますから人出は今年の最高になるでしょう。

当寺ではコスモスが片付いた跡地を耕しています。表面の土は肥料分が無くなっているので下の土と入れ替え新しくしてやります。初めはスコップでやっていたのですがキツイ作業で体が持ちません。そこで機械の御厄介になることにしました。しばらく境内は工事中の様になっています。これも来年の花を育てるためですのでご容赦願います。

〔俳句〕

「菊かをり 金塊集を 措きがたき」水原秋桜子

「したたかに 咲きコスモスに 星降りぬ」戸村よねこ

「あかときの 夢のつづきを 水仙花」諏訪一郎

〔和歌〕

「いまははや あけぬと思ふ 鐘のをとの

後しもながき 秋の夜は哉」

九条左大臣女・風雅673

「今はもう夜が明けたのだ、と思う、暁の鐘の音の、その後がまたひどく長い、秋の夜だこと。」

Img_4030

Img_4031

Img_4032

Img_4033

Img_4034

Img_4004

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月25日 (金)

般若寺 水仙花だより   11・25

◎水仙: ≪咲きはじめ≫ 花 12月~2

◎コスモス: ≪名残りの花≫

*今日は当寺の御本尊文殊菩薩様の月例ご縁日です。いつも通り午後1時半から法要を勤めます。

 先日注文を出しておいた本が届きました。それは『俳句仏教歳時記』という本です。古本ですので15年前の出版で、飯田龍太さんの監修で佼成出版社から出ています。以前から仏教をテーマにした俳句の本を探していたのがようやくこの本に出会いました。これぞ仏様のお導きと感謝しております。春夏秋冬の4冊が一箱に入っている大判の本です。仏教の年中行事がほぼ網羅されていてそれぞれに名句がまとめて出され、ゆかりの寺院や法事の写真が載せられ大変見やすくできています。

さっそく今の時季を開いてみますと旧暦1128日(新暦19日頃)は浄土真宗の御開祖親鸞聖人の御命日に当たり、「御正忌」「報恩講」「御取越」「御講凪」という句題が出ています。たくさんの句があるのですが一句だけご紹介します。

「東西の 両本願寺 御講凪」 高浜虚子

〔俳句〕

「きのふより さらに好晴の 野菊など」水原秋桜子 

「揺れ止まぬ コスモスのあり 冬立つ日」家塚洋子

「水仙の 開きてからも 茎伸ばし」柿沼盟子

〔和歌〕

「みねの雲 ふもとの霧も 色くれて

空も心も 秋のまつかぜ」

前中納言定家・玉葉731

「峰の雲も麓の霧も、いかにも夕暮の色になって、空は秋の松風に領せられ、その風はまた私の心の中にも吹きわたっている。」

Img_3948

Img_3960

Img_3959

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月24日 (木)

般若寺 水仙花だより   11・24

◎水仙: ≪咲きはじめ≫ 花 12月~2

◎コスモス: ≪名残りの花≫

*いま境内に南天と檀(まゆみ)が赤い実をつけています。南天は房状の実で、マユミは3メートルほどの木いっぱいに実をつけています。マユミの実はピンク色の外皮が割れて中から朱色の実が垂れ下がります。小さな鈴のような形をしていて色とともにかわいい形が目立ちます。マユミの鈴なりのような多さに比べて今年の南天は実の付き方が少ないようです。どちらも小鳥が食べるまでのつかのまの初冬の景色です。

それにしても名残りのコスモスは頑張っていますね。水仙にはまだ譲れないと誇らしげに花を咲かせています。この時期のコスモスは希少価値です

〔俳句〕

「梅もどき 星影も身に しみはじむ」百合山羽公

「コスモスに 風の溜って ゆきにけり」塙告冬

「水仙や 空へ空へと 湧く蕾」三井孝子

〔和歌〕

「ふしみ山 ふもとのいなば 雲晴れて

田面にのこる 宇治の河ぎり」

前大僧正実超・風雅667

「伏見山から麓の稲葉を見下ろすと、空は雲が晴れていながら、田の面にはまだ残った宇治の河霧が立ちまよっている。」

Img_3937

Img_3947

Img_3955

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月23日 (水)

コスモス寺 水仙花だより   11・23

◎水仙: ≪咲きはじめ≫ 花12月~2

◎コスモス: ≪名残りの花≫

*昨日今日と少し冷え込み朝は寒いです。奈良の山間部では霜がおり氷が張った所もあるようです。一歩冬に近づきました。本格的な寒さはまだまだこれからで、今日は午後から雨模様。

きのう俳句会で寺へ30人ほど来られました。お話を伺っててみると句会の題は「冬晴れ」だそうです。参加者はほとんどが女性で少しお歳を召された方もおられたようです。初めての方は作句に自信がなく不安を感じておられたようです。こういう文化的な趣味を持っておられる方々はどこか表情にきりっとしたところがあり素敵ですね。これから寺が静かになってくるとさまざまな趣味を持たれる方がやって来られるでしょう。

私も久々に俳句らしきものを作ってみたくなりました。

「冬晴れに コスモス二三 咲き残り」倶咲

〔俳句〕

「堂あって 縁に大根 山とつみ」高久田瑞子

「コスモスに あやなす子らの 笑顔かな」渡辺寿美子

「水仙や 白き障子の とも映り」松尾芭蕉

〔和歌〕

「夕暮の 庭すさまじき 秋風に

きりの葉おちて 村雨ぞふる」

永福門院・玉葉725

「夕暮の庭を荒涼と吹きわたる秋風に、桐の葉が落ち、その上に音立ててきまぐれな村雨が降るよ。」

Img_3267

Rps20111123_115202

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月22日 (火)

般若寺 水仙花だより   11・22

◎水仙: ≪咲きはじめ≫ 花12月~2

◎コスモス: ≪名残りの花≫

*ホームページの中央写真を変えました。水仙の花と石仏の構図はよく撮られます。たいてい如意輪観音か十一面観音です。今回のは馬頭観音という珍しい観音様です。西国三十三所の第29番青葉山松尾寺のご本尊(秘仏)を石に刻んだお像です。やさしいお顔の観音様の中にあって唯一憤怒の形相です。

三面六臂(さんめんろっぴ)で、高い炎髪に馬頭があり、手には武具を執っておられます。観音様は慈悲の菩薩ですが、煩悩を打ち砕き魔を降す力強い働きをその形に表しています。別名では馬頭明王とも呼ばれます。

怒りの馬頭観音と水仙の花、非常に引き締まった絵になっています。そして俳句は有名な与謝蕪村の句です。

「水仙や 寒き都の ここかしこ」

この句に出る「都」はおそらく京都の事でしょうが、奈良も南の都「南都」と呼ばれましたから、奈良に置き換えても同じ風情を味わえるのではないでしょうか。

〔俳句〕

「椎となく 団栗となく 拾ひけり」 相生垣瓜人

「コスモスの 風となりたる ところかな」稲畑汀子

「白と黄の 素心尚び 水仙花」 大橋敦子

〔和歌〕

「あさあらしの 峯よりおろす 大井河

うきたる霧も 流れてぞ行く」

前大納言為兼・風雅666

「朝嵐が、峯から吹きおろす大井川よ。川面に浮いた霧も、風のために(川水と同様に)流れて行くよ。」

・あさあらしの=実景に加えて、「あらしの峯」に「嵐山」の地名を暗示する。

・大井河=嵐山の麓を流れる大堰川

Img_3277

Img_3278

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月21日 (月)

般若寺 水仙花だより   11・21

◎水仙: ≪咲きはじめ≫ 花12月~2

◎コスモス: ≪名残りの花≫

*昨日用があって奈良公園の中を車で通りました。奈良にいながら何カ月ぶりかです。もう紅葉がきれいかなと期待しながら通ったのですが、今年はちょっとあてはずれでした。赤や黄に染まっている木は少なく枯れたような茶色と緑が目立ちます。まだ早いのかなと思いきや落葉した木もありますから今が紅葉の最中なのでしょう。おそらく秋を通じての高温が影響しているのでしょう。底冷えが有名な奈良でも本当に寒い日はまだありません。このままだと紅葉せずに散って行くのかもしれませんね。

当寺では梅や桜、欅はほとんど葉を落とし、山桜だけがピンク色で残っています。もみじ、銀杏、くぬぎ、栗、山吹などはまだ葉が青いです。季節は冬に向かって移行しているのに木々の紅葉、黄葉は遅れているようです。

〔俳句〕

「たくましく 八手は花に 成りにけり」尚白

「コスモスに 囲まれてゐて 一人かな」戸村よねこ

「水仙の 花の高さの 日影かな」 河合智月

〔和歌〕

「風にふす おぎのうは葉の 露ながら

月しく庭の 秋ぞさびしき」

従三位親子・玉葉649

「風に伏しなびく、荻の上葉に置く露もそのまま月を宿し、一面に月光に領せられた庭の秋の景色のさびしさよ。」

Img_3268

Img_3265_2

Img_3253

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月20日 (日)

般若寺 水仙花だより   11・20

◎水仙: ≪咲きはじめ≫ 花12月~2

◎コスモス: ≪名残りの花≫

*昨日の雨はこの時期には珍しいほどよく降りました。南海上の低気圧から暖かい雨雲が日本列島へ続々と押し寄せたようです。今年の秋は秋らしい安定したお天気が続きませんね。このまま冬に向かうとどうなるのでしょうか。暖冬になるのか、それとも急転して厳冬になるのか。大震災や台風の被災地は冬を越すのが大変でしょう、心配です。

一方、原発を止めたから電気が足らないとよく言われますが、本当はどうなのか、実際にどうなっているのか国民にはあまり知らされません。原発にたよらないで節電で何とかまかなえるのであれば大抵の人は辛抱できると思います。あの大量の放射能を地球上に撒き散らした事故と処理不能の放射性廃棄物の量を考えれば、もう原子力に頼る時代は終わりにすべきです。もっと知恵を働かせ自然エネルギーを利用できるように社会の仕組みを改革し、技術を開発することです。今エネルギー源を自然へと大転換すれば人類の未来は明るいと思います。安全で美しい自然を子供たちに残しましょう

〔俳句〕

「燃えしあと 散るほかはなき 櫨ならむ」山口誓子

「コスモスの 色の中へと 風迷ふ」今橋眞理子

「水仙の 芽の伸びのびの みどり濃し」長村雄作

〔和歌〕

「いりあひは 檜原のおくに ひびき初めて

霧にこもれる 山ぞ暮れ行く」

前大納言尊氏・風雅664

「入相の鐘の音は、桧の原の奥に響きはじめて、霧の中にかくれた山は次第に暮れて行く。」

・檜原=檜の生えそろった原、また山。「三輪の檜原」「初瀬の檜原」が著名。ここでは「入相」と相俟って、初瀬山の景を想定していると思われる。

Img_3161

Img_3166

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月19日 (土)

般若寺 水仙花だより   11・19

◎水仙: ≪咲きはじめ≫  花12月~2

◎コスモス: ≪名残りの花≫

*今週の雨は週末となりました。紅葉の名所ではこれからというのに水を差されたようです。でも明日からは天気回復だそうですからあわてずともいいのではないでしょうか。

当寺ではコスモスと水仙への水やりは助かりました。

今日は外仕事ができませんので、屋内でじっくり読書といきましょうか。10月の忙しい間はまともに本を読めませんでした。翌日の準備があって夜なべ仕事に追われる日々でしたから。通販で購入した本は山のように積みあがっています。積読ではもったいないのでこれから少しずつ読んでいこうと思います。昔から「忙」という字は「心を亡くす」という意味だと言われています。あまり忙しいのも考え物ですね。まあ、当寺ではこれから春までなが―い冬籠りに入るので心配いりません。本を読んでいると寒さも忘れますよ。

〔俳句〕

「茶の花の うひうひしくも 黄を点じ」阿波野青畝

「コスモスの 揺れて少女に みな還る」内藤呈念

「ふくらみて 筆の穂ほどの 水仙花」井出やすはる

〔和歌〕

「初瀬山 ひばらがあらし かねのこゑ

夜ふかき月に すましてぞ聞く」

従三位為子

「初瀬山の、檜原を渡る嵐、古寺の鐘の声を、夜更けの月に照らされた、澄み切った雰囲気の中で聞くよ」

・参考:「みもろつく 三輪山みれば 隠口の

     初瀬の檜原 思ほゆるかも」(万葉1095

Img_3116

Img_3102

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月18日 (金)

般若寺 水仙花だより   11・18

◎水仙: ≪咲きはじめ≫ 花12月~2

◎コスモス: ≪名残りの花≫

*昨日のボランティアさんはすごかったです。総勢30人で2時間たっぷりの庭作業をやっていただきました。枯れたコスモスを抜いて片付ける作業でしたが、主に女性方はフラワーネットから枯れたコスモスの軸を外したり地面から草や枯枝を引き抜いたりの仕事で、男性方はそれを6台の一輪車で運搬していただきました。何しろ人数が多いので次々と枯れ枝が積み上がり、運ぶ係の方は額に汗を浮かべながら走っての作業で大変だったと思います。でも皆さん慣れておられるのでどんどん片づき庭は見違えるように整理されました。大勢の人の力はすごい仕事量です。私たち寺のものだけだったら何週間もかかる量を一日で仕上げていただき感謝感激です。ボランティアの皆様本当にありがとうございました。

きれいに片付いた庭では水仙の花が次々と咲いてきました。いよいよ水仙のシーズン到来ですね。しばらくは名残りのコスモスの花との共演となりそうです。

〔俳句〕

「椋鳥や 梢にあふれ 飛ぶ四五羽」水原秋桜子

「折れてなほ コスモス淡く 咲きにけり」安本恵子

「水仙の 蕾ふくらむ 月あかり」戸栗末廣

〔和歌〕

「いりかかる をちの夕日は かげ消えて

すそよりくるる うす霧の山」

後西園寺入道前太政大臣(西園寺実兼)・風雅662

「入ろうとしている遠方の夕日は、光が薄れて、山裾の方から暮れて行く、薄霧のかかった山よ。」

Img_3111

Img_3106

Img_3124

Img_3125

Img_30771

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月17日 (木)

般若寺 水仙花だより   11・17

◎水仙: ≪つぼみ≫ 花12月~2

◎コスモス:≪名残りの花≫

*いま枯れたコスモスのかたづけに精を出しています。寺の人手だけではなかなかはかどりませんが、あちこちからボランティアの作業奉仕があって助かっています。まだすこし花が残っていて抜き取るのは惜しい気もします。しかしいつまでもほおっておけませんし、お天気もいい日ばかりではありません。できるときに片付けておかなければなりません。まだまだコスモスを求めてやってくる人はおられます。まだ最後の花が少しだけ残っているのでそれでご辛抱願っています。花がいつまで続くかは天の気のみぞ知る、ということでしょう。

一方、水仙はゆっくり咲き出し、いま10輪を数える程度です。紅葉が散り終われば水仙の季節に入ります。

〔俳句〕

「托鉢の 衣を濡らし 初時雨」西澤信生

「コスモスの 色また冴ゆる 大気かな」伊藤克子

「笏立つる 葉に水仙の すくと立つ」大橋敦子

〔和歌〕

「すみのぼる たかねの月は 空はれて

山もとしろき 夜はの秋霧」

従三位宣子・玉葉642

「澄み切った月が昇って行く高い峯の上は、空が清らかに晴れて、対照的に山のふもとには白々と夜深い秋霧がたちこめている。」

Img_3052

Img_30661

Img_30681

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月16日 (水)

般若寺 水仙花だより   11・16

  水仙: ≪つぼみ≫ 花12月~2月。

◎コスモス: ≪名残りの花≫

*昨日久しぶりの外出で京都へ行きました。国立博物館で特別展覧会「細川家の至宝・珠玉の永青文庫コレクション」を鑑賞しました。細川家は京都出身の旧熊本藩主であり室町時代から続く名家で雅の文化を持ち続けたそうです。代々の殿様が伝えてきた宝物を第16代当主護立氏が設立した「永青文庫」(東京)に保存されています。刀剣や武具、文書、絵画、工芸品など多岐にわたる数々の名品が出展されていましたが、印象深かったのはガラシャ夫人が夫細川忠興公のために自らの手で織ったという「露払」という雨着です。これは麻織物の質素なものですが、夫人の夫を思う心がしのばれ、ほほえましく感じられました。やはり古美術鑑賞はいいですね。なんだか心が豊かになったような気がします。

それにしても京都は人が多いです、沸き立っているようです。

〔俳句〕

「秋しぐれ 塀をぬらして やみにけり」久保田万太郎

「コスモスの やさしき風を 運びをり」海老名ムツエ

「表裏 無き水仙の 葉の振れよう」三嶋八千穂

〔和歌〕

「朝日影 うつる木ずゑは 露おちて

外面の竹に 残るうす霧」

前太宰大弐俊兼・風雅659

「朝日の光が映る木々の梢からは露がしたたり落ちて、裏手の竹林にはまだ夜の薄霧が残っている。」

Img_3024

Img_3021

Img_3018

Img_3035

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月15日 (火)

般若寺 水仙花だより   11・15

◎水仙: ≪つぼみ≫ 花12月~2月。

◎コスモス: ≪名残りの花≫

*コスモスの最終ランナーは9月の中ごろに種をまいた苗です。今プランター鉢のままで育てています。ようやく70センチほどの背丈になり花を咲かせています。ちょっとやせ気味でひょろひょろしていますが、花はしっかりしていて蕾も沢山ついています。地植えのものはほぼ終わり枯れ枝が荒涼とした風景を作り出しています。その中で小さなコスモス苗が一人頑張りを見せ、コスモス好きの人に喜ばれています。

水仙はこれからの花で寒くなれば本番となります。今日から明日にかけ冬の寒さになるそうですから皆様お体大切に。

〔俳句〕

「美の神の 織れる野山の 錦かも」猪子水仙

「コスモスや 花好きやはり 止められず」井関祥子

「水仙の 咲くか咲くかと 見る蕾」三井孝子

〔和歌〕

「くるるまの まがきの竹を 吹く風の

なびくにいづる 秋の夜の月」

常盤井入道前太政大臣(西園寺実氏)・玉葉633

「日が暮れ切るまでのやや暫くの時間、垣根の竹を吹く風によって、枝がなびくにつれ、その間から姿を見せる、秋の夜の月よ。」

Img_2927

Img_2924_2

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月14日 (月)

般若寺 水仙花だより   11・14

◎水仙の花: ≪つぼみ≫ 花12月~2月。

◎コスモス: ≪名残りの花≫

*昨日で「白鳳秘仏特別公開」は終了しました。お天気も良かったのと最終日ということもあって拝観者はとても多かったです。まだコスモスを目当てに来ておられる方もありますが、奈良は正倉院展期間中は各寺院で秘仏秘宝の公開があり全国から古文化古美術を目当てにやって来られます。秋の古都奈良はしっとりと落ち着きがあって、都会人にとっては心の故郷あるいはオアシスなのかもしれません。

きのう当寺の庭では水仙が一番花を咲かせました。去年に比べずいぶん早いです。コスモスが暑い秋のせいで開花が遅れたのとは逆に水仙は早まっています。葉は大きく茂り蕾も目立ってきました。この分では12月も早いうちに見ごろを迎えるかもしれません。

〔俳句〕

「門を出れば 我も行人 秋のくれ」 与謝蕪村

「コスモスの 影より淡き もの知らず」安立公彦

「古寺や 大日如来 水仙花」 正岡子規

〔和歌〕

「山風も しぐれになれる 秋の日に

ころもやうすき をちの旅人」

伏見院御歌・風雅641

「山を吹きおろす風も時雨をもたらして来た、この天候の定まらぬ秋の日に、着物が薄くて心細いのではないかね、遠方を行く旅人よ。」

Img_2928

Img_2906

Img_2927

Img_2913

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月13日 (日)

コスモス寺開花情報   11・13

◎コスモス: ≪名残りの花≫

◎水仙: ≪つぼみ≫ 2万本。花12月~2月

*コスモスの花はめっきり少なくなりました。それでも秋の日ざしの中でピンク、白、赤、黄と色とりどりにきれいな花を咲かせています。今咲いている花は9月に種をまいた分です。背は低いですが苗は若く青々しています。ほとんどのコスモス畑は終わりを迎えた中で数は少なくとも花があることはうれしいかぎりです。これからのコスモスは貴重です。霜が降りるまでのしばしの時を楽しみたいですね。

「日だまりに コスモス友に 一休み」倶咲

「やわらかき 秋の日ざしを 花受けし」倶咲

〔俳句〕

「残菊の なほその蕾 数知れず」 原田一郎

「コスモスに 埋もれてゐたし 眠りたし」緑川啓子

〔和歌〕

「よひのまの むら雲づたひ かげ見えて

山のはめぐる 秋の稲妻」

伏見院御製・玉葉628

「月の出を待つ宵のひと時の、村雲のへりを伝って光の走るのが見えて、山の尾根から尾根を一瞬にめぐり照らす、秋の稲妻よ。」

・評:明確な言葉づかいで、光と影の力強い交錯を、実に劇的に鮮かに描破する。颯爽とした秀吟。稲妻の歌としてこの歌の右に出るものはまずあるまい。巻四の巻軸をきりりとしめくくり、巻五巻頭629の万葉集随一の名作と、堂々と相対している。(岩佐美代子評)

「わたつうみのとよはた雲にいりひさしこよひの月夜すみあかくこそ」(天智天皇・玉葉629、万葉15

Img_2892

Img_2890

Img_2886

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月12日 (土)

コスモス寺開花情報   11・12

◎コスモス: ≪名残りの花≫

◎水仙: ≪つぼみ≫ 2万本。花12月~2月。

*冷たい雨が上がり今日は晴れ、暖かくなりそうです。週末に晴れるのは1ヶ月ぶりです。

「コスモスや 残れる花も 霜日まで」倶咲

「水仙の 香りただよう 冬の寺」倶咲

〔俳句〕

「朝寒や からくれなゐの 唐辛子」 村上鬼城

「紅色の 淡きコスモス 選びをり」柳生千枝子

〔和歌〕

「ふかき山に すみける月を みざりせば

おもひ出もなき 我身ならまし」

西行法師・風雅614

「深い山にひとり澄んでいた月を見るという体験がなかったならば、この世に生きた思い出もない我が身だったろうになあ。(その折の深い感動こそは、私の人生の意義であったのだ)」

・ふかき山に=『山家集』詞書によれば、大峰山の「深仙宿」での詠。その名が「深山」に通じる所から地名を暗示。

Img_2847

Img_2844

Img_2815

Img_2821

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月11日 (金)

コスモス寺開花情報   11・11

◎コスモス: ≪名残りの花≫

◎水仙: ≪つぼみ≫ 2万本。12月~2月。

*雨、冷たい雨となりました。深まりゆく秋は冬の先駆けでもあります。

きのうはコスモスの咲き終わった古枝を抜き取りました。すると咲き残っている花が化粧直ししたように引き立てられました。背丈は1メートルそこそこでひかえめです。最後の花なので大切にしてあげたいと思います。

コスモスをかたずけると、水仙の葉の間にうす紫色のかわいい花が見つかりました。どうやらサフランの花です。園芸の本には10月の花となっているのに今時分に咲くなんて、やっぱり暑い秋で遅れたのでしょうね。いま野菊も咲いています。「よめな」は盛りを越え「野紺菊」に替わっています。

「健気なる 名残りコスモス 雨に泣く」倶咲

「水仙の 青き葉かげに サフラン花」倶咲

〔俳句〕

「其処に早 鹿ゐる奈良に 来りけり」 池内たけし

「般若寺の コスモス咲くに 埋もれをり」谷村幸子

〔和歌〕

「かりなきて 山風さむし 秋の田の

かりほの庵の むらさめの空」

藤原光俊朝臣・玉葉626

「雁が鳴いて、山風が寒く吹く。秋の田を刈り取ったあとの粗末な仮庵から見る、村雨の降りかかる空よ。」

・かりほ=「刈穂」に「仮庵」をかける。

Img_2728

Img_2737

Img_2725

Img_2745

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月10日 (木)

コスモス寺開花情報   11・10

コスモス: ≪終わり近し≫

◎水仙:≪つぼみ≫ 2万本。花は12月~2月の予想。

*コスモスの花と同じように白鳳秘仏公開も終わりが近づきました。コスモスは名残の花が今月中は残りそうです。秘仏公開は13日で終了。9月から始まりましたので二か月近くで長かったです。花と同時に御開扉して3年目になりました。年々拝観者が増えています。1350年前の白鳳仏と日本最小の胎内仏に人気が集まりました。今年は収納ケースも新しくなり、白鳳の阿弥陀様は回転台座に乗っておられ360度拝めるようになりました。また来年の秋までしばしのお別れとなります。

花はコスモスから水仙まで少し間が空くと思いますが、本ブログは14日から題名を「コスモス寺 水仙花だより」と変更して続けます。花は来年2月までの予定です。

「コスモスの 終れる秋は 足早に」倶咲

「水仙や 凍える冬が 待遠し」倶咲

〔俳句〕

「ひざ抱けば 足がそろふよ 冬隣」中条明

「コスモスの 高さを渡る 風の色」稲畑汀子

〔和歌〕

「くまもなく 閨のおくまで さし入りぬ

むかひの山を のぼる月影」

徽安門院・風雅585

「かくれる所もない程に、寝室の奥までさし入って来たよ、向かい側の山を昇って来た月の光が。」

Img_2709

Img_2667

Img_2683

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月 9日 (水)

コスモス寺開花情報   11・9

◎コスモス開花状況: ≪落花つづく≫

◎水仙花便り:12月~2月。2万本。つぼみ。

*昨日は立冬でした。ようやく平年並みの気温に戻り、朝など肌寒さを覚えます。いよいよコスモスの花にもお別れを告げる日が近づいています。これから紅葉の季節を迎え、それが終われば霜が降り氷が張る寒い冬がやって来ます。あとしばらくの秋を楽しみたいですね。

コスモスが終わるころ当寺では水仙の季節となります。水仙には息が白くなるような寒さが似合います。冬が好きという人もおられますね。寒くなれば体も精神もきりっと引き締まるような気がするとおっしゃいます。水仙は寒水仙とも言ってそんな寒い冬の花です。

「散り行ける コスモス花を 思い出に」倶咲

「水仙は 剣のごとく 葉を立てて」倶咲

「直立の 水仙の葉は 青々と」倶咲

〔俳句〕

「たのしさや 草の錦と いふ言葉」星野立子

「コスモスを 入れて撮り合う 老夫婦」村田さだ子

〔和歌〕

「あはれしれと われをすすむる 夜はなれや

松の嵐も 虫のなくねも」

高弁上人・玉葉615

「出家の身にも秋のあわれを知れと、私に強いてすすめているような夜の情趣だなあ。松に吹く嵐も、虫の鳴く音も。」

・『明恵上人集』41、

「秋日高尾の草庵にこもりゐる間、人音たえて虫の音のみさへづる夕に、月の光の雲間よりさそひ、嵐の声松の梢におとづれたる心地、何となく物あはれなるに、世の中あぢきなく思い続け侍る筆ずさみに。」

Img_2710

Img_2711

Img_2712

Img_2714

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月 8日 (火)

コスモス寺開花情報   11・8

◎コスモス開花状況: ≪名残りの花・34分≫

◎水仙花便り:2万本。花期11月下旬~1月。

現在、葉が茂り蕾をつけ出しました。

*いま水仙が茂っている所のコスモスを片付けています。三十三所の観音石像の前に水仙が生育し、周りにほかの花がなくなる冬、真っ白な花を咲かせます。水仙は香りもよく花が多くなれば離れたところでも匂います。数日前まではコスモスが咲いていた同じ場所に生えています。球根はほぼ植えっぱなし状態においてあるのに、毎年決まった時期に芽をだし花をいっぱい咲かせ仏さまを飾ってくれます。水仙は野性的な花で各地の海沿いに自生しているようです。関西では越前海岸と淡路島が有名です。奈良や京都の寺にはどこにでもあるんでしょうが名所と言える所はないようです。当寺では20年前から球根を増やし2万本をこえるまでになりました。

コスモスのように多くはありませんが、やはり「石仏と花」が絵になるようで結構写真愛好者が来られます。奈良の冬の風物詩となっているようです。

「コスモスを 日がな一日 ながめ過ぐ」倶咲

「散りそめし コスモスの花 風に舞う」倶咲

〔俳句〕

「ゆく秋や われとわが知る 身のやまひ」久保田万太郎

「帰り来ても コスモスの揺れ 目に残る」松村富子

〔和歌〕

「吹き分くる 竹のあなたに 月みえて

まがきはくらき 秋風の音」

祝子内親王・風雅582

「(秋風が)高く茂った竹を吹き分ける、その向うに、昇って来る月が折々見えて、下の垣根のあたりはまだ暗く、秋風の音だけが聞える。」

Img_2545

Img_2691

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月 7日 (月)

コスモス寺開花情報   11・7

  コスモス開花状況: ≪落花つづく・五分≫

◎水仙花便り:花期12月~2月。葉をのばし蕾をつける

*雨でまた花は散りました。それでも半分程度の花が残っているでしょうか。まだ終わりとは言えません。

いまコスモスの花の足許には水仙の瑞々しい葉が茂っています。花壇にじか植えの分はどんどん葉を伸ばし今にも花が咲きそうです。今年の秋は温度が高いので水仙も成長が早いです。例年だったら12月に入って葉を伸ばしつぼみをつけるのにこの分だと11月中に咲くかもしれません。コスモスと同じ場所に生えているので水仙のあたりは早くコスモスを片付けてやらなければなりません。でもまだコスモスも花を残していますからちょっと難しい所ですね。

「水仙に 道をゆずれる コスモスや」倶咲

「往ける花 来れる花も み仏に」倶咲

「誰人の 祈り込めたる 土薬師」倶咲

〔俳句〕

「かがやける 白雲ありて 照紅葉」 高浜虚子

「コスモスも 少女も首を 傾げけり」林翔

〔和歌〕

「すずむしの 声みだれたる 秋の野は

        ふりすてがたき 物にぞ有りける」

藤原敏行朝臣・玉葉614

「鈴虫の声が鳴き乱れている秋の野の趣は、振り切って帰るに帰らないものであるよ。」

・ふりすて=「振り」は「鈴」の縁語。

Img_2505

Img_1890

Img_2017

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月 6日 (日)

コスモス寺開花情報   11・6

  コスモス開花状況: ≪落花・五分≫

11月であることを忘れるような温かさ、いえ暑さと言った方がいいかもしれません。又雨です。これで3週か4週続いて週末の雨。秋の行楽シーズンは雨にたたられたようです。コスモスの花は見ごろを終え、あとは名残の花となりました。それでも初めて見る人には充分きれいだそうです。国宝楼門から十三重石塔のある境内を覗くと花ざかりです。

これからは行く秋の風情を求めて静かな般若寺を訪れる人が増えてきます。

紅葉がなくとも古都奈良は心惹かれるものがあるようです。町全体が枯れていてもの寂びた情趣を醸し出しています。

ことに歴史ある古刹寺はどことなく清澄感があっていいですね。なるべく小さな古寺を選んでください。街中でも郊外でもどちらにもいいお寺がありますよ。

「暖秋に 水仙の葉が ぐんと伸び」倶咲

「コスモスの 枯れそうでなお 咲きし花」倶咲

「米つぶの 大日の手に 智拳印」倶咲

〔俳句〕

「茶の花の わづかに黄なる 夕かな」 与謝蕪村

「嫋(たお)やかに コスモスゆるる 寺の庭」牧原佳代子

〔和歌〕

「吹き分くる 竹のあなたに 月みえて

        まがきはくらき 秋風の音」

祝子内親王・風雅582

「(秋風が)高く茂った竹を吹き分ける、その向うに、昇って来る月が折々見えて、下の垣根のあたりはまだ暗く、秋風の音だけが聞こえる。」

Img_2436

Img_1362

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月 5日 (土)

コスモス寺開花情報   11・5

◎コスモス開花状況: ≪散りはじめ・五分咲≫

*昨日の好天から曇り空に変わってきました。変化の多い秋の空は人の心にたとえられます、男でも女でも人の心は移ろいやすいものだからです。花は少なくなりながらも頑張りを見せています。全体では衰えていますが、個々の花は大きくきれいです。

*昨日の笠塔婆についてちょっと補足します。笠塔婆二基(重要文化財)は刻銘により宋人、伊行吉(いぎょうきち・つ、いのゆきすえ)が弘長元年(1261)父の伊行末(いぎょうまつ、いのゆきよし)の一周忌に追善供養と故国の母の息災を願って建てたことが判明しています。碑銘は比較的長い漢文ですが、割れ目で断絶しているのと磨滅もあって全文は読めません。しかしおおよその宋人石工の来歴、業績が判り大変貴重なものです。古来、建立の伝承は色々あり、平安初期の三論宗の学僧、石淵寺勤操(いわぶちでら・ごんぞう)が建てたとか、また平家物語で知られる南都を焼き討ちした平重衡(たいらのしげひら)の供養塔とみなされた時代もあったようです。重衡の亡霊が登場する能の古曲「笠塔婆」の題材になっています。寺の古絵図によると南大門の脇門の前に描かれ、京街道に面してあり、奈良の惣墓所「般若野二十五三昧」の入口に建っていたことがわかります。日本最古、最大の笠塔婆です。

「コスモスの 花の足許 水仙が」倶咲

「散り初めし コスモス花に 風情あり」倶咲

〔俳句〕

「帰り来て 父母なき山河 暮の秋」 与謝蕪村

「コスモスの 夕日の群れと なりにけり」浦山淑子

〔和歌〕

「すずむしの こゑふりたつる 秋の夜は

あはれに物の なりまさる哉」

和泉式部・玉葉608

「鈴虫が声を張り上げて鳴く秋の夜は、しみじみ心傷む思いが、物事すべてにつけて強くなって行くことだなあ。」

・ふりたつる=高く張り上げる。「振り」は「鈴」の縁語。

・なりまさる=「成り」に「鈴」の縁語「鳴り」をかける。

Img_2328

Img_2341

Img_2171

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月 4日 (金)

コスモス寺開花情報   11・4

◎コスモス開花状況: ≪散りはじめ・五分≫

*さすがに花は減りました。先の分は半分ほど、あと咲きの分は七分程度咲き残っていて全体では五分になっています。

この先、日に日に花数は減っていくでしょう。

*昨日載せた写真の説明。

コスモスの花と一緒に写っている赤茶けた唐草文様の金属製品は、重要文化財・石造笠塔婆二基の支え金具です。笠塔婆は明治まで般若寺南方200メートルの南大門跡近くの道端にありました。それが明治元年、新政府がとった宗教政策で廃仏毀釈の犠牲となり引き倒されました。5メートル近い大きな石柱は折れ、2個と3個の石塊に変わり果てていたのです。それを明治20年代に般若寺境内に持ち帰り再建されました。その際支え金具をフランスへ発注し調達されました。その頃パリ万博の目玉として建てられたエッフェル塔用に新開発された錬鉄製の鋼材で作られています。新鋼材は近代の鉄骨建築の始まりとなったそうです。そのような時代の最先端技術の遺物がこの般若寺にあったとは驚きです。現在の笠塔婆は昭和30年に移転修理され、金具をはずし石材内部にボルトを入れ石だけで立っています。それから一基の頂上部分の宝珠が失われていたのが、再建のあと京都の古美術商で偶然見つかり好意的に返還されたそうです。弘長元年(750年前)作の笠塔婆は今ようやく安住の地を得ています。金具も近くに立っています。

「唐人が 月をろがみし 笠塔婆」秋桜子

「双び立つ 花野の寺の 笠塔婆」日月子

「寺古りて 野菊に立てる笠塔婆」素紅

〔俳句〕

「足許の どっと昏れゆく 蓼の花」 金田初子

「コスモスや いたはり合うて ゐるような」芝尚子

〔和歌〕

「庭の虫は なきとまりぬる 雨の夜の

        かべにをとする きりぎりすなか」

前大納言為兼・風雅564

「庭の虫は鳴き声をとどめてしまった雨の夜の、壁のあたりのどこかで声がする、きりぎりすよ。」

・なきとまりぬる=鳴く音をぱったりとめてしまった。

Img_2335

Img_2356

Img_2358

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月 3日 (木)

コスモス寺開花情報   11・3

コスモス寺開花情報   <散り始め>

*いつも更新を担当しているK君が昨日から鎌倉の極楽寺へ出張しています。それで本日のブログは自動更新ですので花の事は書きません。極楽寺のご紹介をします。本日、極楽寺では御開基の北条重時公の750年忌を勤めておられます。重時公は執権義時の子で鎌倉幕府の重鎮だった人です。極楽寺と言えば日本の社会福祉の原点ともいえる寺で、その開山の忍性菩薩の活動を支えた重要人物が重時公です。鎌倉は今世界遺産登録を申請しているそうですが、その重要ポイントの一つが極楽寺となるそうです。般若寺と極楽寺は鎌倉時代以来の深いつながりで結ばれています。K君が帰山したら土産話が聞けるでしょう。本日はこれで失礼します。

「コスモスや ゆるりと咲いて 霜の月」倶咲

「コスモスに 負けじとばかり 水仙も」倶咲

「笠塔婆 秋草の中 そっと立つ」倶咲

〔俳句〕

「旅に見る 十一月の 水や空」 島田みつる

「コスモスを 衣とまとひ 野の仏」 安達加寿子

〔和歌〕

「なきつくす 野もせの虫の ねのみして

         人はをとせぬ 秋のふる郷」

朔平門院・玉葉602

「ひたすら鳴いている、野原一面の虫の声だけがして、人はおとずれて来もしない、秋のこの古いわび住まいの地よ。」

Img_2344

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月 2日 (水)

コスモス寺開花情報   11・2

◎コスモス開花状況: ≪散り始め≫

*気温は10月へ戻った感じ、昼間は暑いくらいです。今年はなかなか寒くなりません。紅葉の名所はやきもきしておられることでしょう。おかげでコスモスは勢いが衰えません。いまだに10月の顔で咲いています。さすがに満開とは言えませんが結構見ごたえがあります。だからお客様に落胆の声はまだありません。入口ではちょっと不安そうに尋ねられる方も、帰り際に「きれいでした、感動しました」とおっしゃっていただけます。その言葉を聞いて、いつもよかったと胸をなでおろし、安堵しています。それでも季節は確実に冬に向かっています。秋もあと1か月ほど、コスモスはあと2週間がいい所でしょう。今の季節ほど「諸行無常」を実感できる時はないでしょうね、万物は移ろいゆくものです。

「真っ青な 空にコスモス ピンク色」倶咲

「ゆったりと 寺を訪ねて 花ほとけ」倶咲

「金銅の 阿弥陀に見ゆる 細き指」倶咲

〔俳句〕

「はればれと たとえば野菊 濃きごとく」 富安風生

「少しづつ 揺れしコスモス 風を生む」 橋口礼子

〔和歌〕

「吹きしほる 千くさの花は 庭にふして

          風にみだるる はつ雁のこゑ」

儀子内親王・風雅528

「はげしく吹きたわめられている、沢山の秋草の花は庭になびき伏して、風の中に乱れて聞こえる、初雁の声よ。」

・吹きしほる=吹いてたわませる。

・千くさ=千草。色色の草。

Img_2301

Img_2268

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年11月 1日 (火)

コスモス寺開花情報   11・1

◎コスモス開花状況: ≪見ごろ≫

*霜月となりました。これから一週間はおだやかなお天気がつづくそうです。気温も高めという事でお出かけ日和となるでしょう。コスモスは気温が高いと若い苗はよく育ちます。これからの苗が45万本あるのでまだまだ咲き続けます。今年は初めて「ハイポネックス」や「花工場」という液体肥料を使ってみたのですが、成長と花つきの良さが顕著で大きな花を咲かせています。今まで化学肥料を避けてきたのですがこれも使いようですね。秋になって花をつける直前にやればとてもよく効きます。

花はピークを越えていますが、いま八分咲き状態の見ごろです。

「秋冷に コスモスの花 キッと咲く」倶咲

「古寺の堂 廻る弥陀仏 背を拝む」倶咲

「コスモスの 花あざやかに 秋の色」倶咲

「こち吹かば 願いかなえよ 天神の

       光とどけん もろ人のもと」御詠歌

〔俳句〕

「行秋や 人生語る こともまた」 稲畑汀子

「コスモスの いつも微笑む 如きかな」久保栞

〔和歌〕

「かりがねの さむくなるより みづくきの

          岡の葛葉は 色づきにけり」

人麿・玉葉593

「雁の声が寒く聞えるようになるともうすぐに、岡の葛の葉は、黄色く色づいてしまったよ。」

・みずくきの=水茎の。「岡」の枕詞。

Img_2286

Img_2287

Img_2265

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2011年10月 | トップページ | 2011年12月 »