般若寺 水仙花だより 11・22
◎水仙: ≪咲きはじめ≫ 花12月~2月
◎コスモス: ≪名残りの花≫
*ホームページの中央写真を変えました。水仙の花と石仏の構図はよく撮られます。たいてい如意輪観音か十一面観音です。今回のは馬頭観音という珍しい観音様です。西国三十三所の第29番青葉山松尾寺のご本尊(秘仏)を石に刻んだお像です。やさしいお顔の観音様の中にあって唯一憤怒の形相です。
三面六臂(さんめんろっぴ)で、高い炎髪に馬頭があり、手には武具を執っておられます。観音様は慈悲の菩薩ですが、煩悩を打ち砕き魔を降す力強い働きをその形に表しています。別名では馬頭明王とも呼ばれます。
怒りの馬頭観音と水仙の花、非常に引き締まった絵になっています。そして俳句は有名な与謝蕪村の句です。
「水仙や 寒き都の ここかしこ」
この句に出る「都」はおそらく京都の事でしょうが、奈良も南の都「南都」と呼ばれましたから、奈良に置き換えても同じ風情を味わえるのではないでしょうか。
〔俳句〕
「椎となく 団栗となく 拾ひけり」 相生垣瓜人
「コスモスの 風となりたる ところかな」稲畑汀子
「白と黄の 素心尚び 水仙花」 大橋敦子
〔和歌〕
「あさあらしの 峯よりおろす 大井河
うきたる霧も 流れてぞ行く」
前大納言為兼・風雅666
「朝嵐が、峯から吹きおろす大井川よ。川面に浮いた霧も、風のために(川水と同様に)流れて行くよ。」
・あさあらしの=実景に加えて、「あらしの峯」に「嵐山」の地名を暗示する。
・大井河=嵐山の麓を流れる大堰川
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