般若寺 水仙花だより 11・28
◎水仙: ≪咲きはじめ≫ 花 12月~2月
*土曜日曜ともに晴れて紅葉狩りの行楽はさぞ賑わったことでしょう。奈良でも談山神社や室生寺など山の名所は今が見頃ですね。
平安時代の『古今和歌集』に出る紅葉の名所と言えば、在原業平の『百人一首』の歌「・・・唐紅に水くくるとは」で有名な「龍田川」「龍田山」「みむろ山」がよく知られています。
龍田姫は秋の女神、それに対して佐保姫は春の女神と言いますが、佐保山も秋のもみじ(紅葉・黄葉)の名所として都人にはなじみのある歌枕だったのです。般若寺から西に延びる丘陵が佐保山です。不退寺までの高さ数十メートル、長さ数キロの小高い丘で京都府との国境を形成しています。
「佐保山の ははその色は うすけれど
秋は深くも なりにけるかな」
坂上是則・古今267
「佐保山の ははその紅葉 散りぬべみ
よるさへ見よと てらす月影」
よみ人しらず・古今281
・ははそ=コナラ、クヌギ、オオナラなどの総称。黄褐色に紅葉する。黄葉。
・散りぬべみ=きっと散るだろうから
〔俳句〕
「あたたかき 十一月も すみにけり」 中村草田男
「良寛の 声コスモスの 風の中」 清水明子
「大き花圃 水仙のみと なりにける」 水原秋桜子
〔和歌〕
「そめやらぬ 木ずゑの日影 うつりさめて
ややかれわたる 山の下草」
永福門院内侍・風雅674
「(まだ十分紅葉せず)夕日に紅に映える程にも至らぬ梢に、映える日光の色も衰え弱って、そろそろ枯れ色の広がって来た、山の下草よ。」
・うつりさめて=うつろい、色あせて。
| 固定リンク
コメント