◎水仙: ≪見ごろ・満開≫ 花・12月~2月
花数・2万本
*2月、きさらぎ(如月、衣更衣)です。草木が更生、蘇生する月です。
今日は昨日に続いて、叡尊・忍性に代表される中世律宗の僧たち、すなわち律僧を研究対象にした書物を紹介します。
中世律僧のことを知ろうと思えば、まずは細川涼一氏と松尾剛次氏の著作を読んでください。細川先生は京都橘大学の教授、松尾先生は山形大学の教授で中世の寺院や僧侶のこと特に律僧の研究については当代双璧と言ってもいい先生方です。両先生ともに多くの著作を出されていますが、ここでは叡尊さん忍性さんを理解するのに役立つ本をご紹介します。
まず細川先生の本では昨日紹介した東洋文庫の二冊のほか、
『中世の律宗寺院と民衆』吉川弘文館刊(中世史研究選書)1987刊
が律僧の活動を世に知らしめた定評のある研究書です。
それに対し松尾先生も同じ選書で
『鎌倉新仏教の成立―入門儀礼と祖師神話』1988刊。1998年に加筆・改稿した新版を出しておられ、鎌倉時代の律宗は単なる復古運動ではなく新仏教の要素を持って活動していたことを明かされています。
松尾先生にはそのほか
『持戒の聖者 叡尊・忍性』吉川弘文館2004刊
『忍性―慈悲二過ギタ』ミネルヴァ日本評伝選2004刊
『救済の思想―叡尊教団と鎌倉新仏教』角川選書1996刊
『葬式仏教の誕生』平凡社新書2011刊
など多数あります。
両先生ともにそれまで学界ではほとんど無視されていた叡尊、忍性など律僧の活動を歴史の中で発掘、再評価された大きな功績があります。専門的には中世仏教界における位置づけに見解の違いが見られますが。
いずれにしても律僧の活動は日本仏教の弱い分野、社会的活動に大きな足跡を残していることが分かります。現代仏教も混迷の現代社会において、過去に律僧が大きく社会に働きかけた活動に学ぶべき時が来たのではないでしょうか。ご関心のある方は如上の本を読んでください。
〔短歌〕
「月あかり 林穿(うが)たず くらやみに
かさこそ音す 小さきけものか」
木下利玄・紅玉
〔俳句〕
「何もなき 二月と思(も)えば 霰ふる」百合山羽公
「水仙や おん母まつる いくとせぞ」水原秋珱子
〔和歌〕
「はれそむる 雲のとだえの かたばかり
夕陽にみがく 峯のしら雪」
右大臣(二条道平)・玉葉956
「晴れはじめた雲の切れ間の所だけ、さし込む夕日の光に映えてきらきらと輝く、峯の白雪よ。」