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2012年2月

2012年2月29日 (水)

般若寺 春の花だより   2・29

    水仙: 《終り近し》

    梅: 《咲き始め》

    山吹: 《花・4月中旬》

・桜、椿、しゃが、レンギョウなど春の花は4月に咲く

    昨夜はまとまった量の雨でした。春先は雨が多いとはいえ今年は寒さと雨の繰返しです。しかしこの雨が春を近づけてくれます。天の恵みに感謝。

きのう鎌倉時代の石造五輪塔をご紹介して、般若寺に一番近い所を載せ忘れました。

⑧奈良・中川寺成身院跡五輪塔

⑨京都・浄瑠璃寺のある当尾地区の墓地五輪塔

〔短歌〕

「うぐひすは 鳴きすましをり 頂上の

笹原照りつ 曇りつするも」

木下利玄・一路

〔俳句〕

「迎春花 故郷恋しく ありし日々」三木朱城

「水仙の 花の揃ひし 日向かな」黒田敏子

〔和歌〕

「峯の雪 谷の氷も とけなくに

都の方は 霞たなびく」

永福門院・玉葉22

「山奥では峯の雪も谷の氷もまだとけないというのに、都の方を見やれば、そちらはもう霞がたなびいているよ。」

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2012年2月28日 (火)

般若寺 春の花だより   2・28

    水仙: 《終り近し》

    梅: 《咲き始め》

    山吹: 《花・4月中旬》

    今朝も冷え込みました。奈良ではマイナス5度。

それでも朝日とともに温かさが戻り、外で動くと暑い位でした。きょうも朝から若者二人によるボランティア作業があり土運びをしていただきました。ご苦労さまでした。

先日、鎌倉時代の宋人石工と真言律の祖師たちが建てた石造卒塔婆をご紹介いたしましたが、作品はまだまだ沢山残っています。古いものほど無銘の場合が多いので、何時、誰が、何の為に造ったのか今では判らなくなっているものが多いです。しかしその塔がどこに立っているか、かつてどこにあったか、石材と形状、特に蓮華座があればその形式などから作者の系譜がたどられ大まかな年代も探られます。鎌倉時代の石塔婆は主に五輪塔、宝キョウ印塔、十三重石塔、笠塔婆の類が多いです。近畿地方を中心に、西は中国地方、四国、九州まで、東は鎌倉を中心に関東地方にまで作例が残っています。西は般若寺十三重石塔を作った伊行末(いのゆきすえ)の集団、東は額安寺宝キョウ印塔の大蔵屋安清(おおくらやすきよ)の集団が活躍したようです。そして石材は主に花崗岩を用いています。般若寺の場合は笠置山系の石を使っているので10kmはなれた所から運こんだようですが、近くで石がない場合は相当遠くから運んでいる場合もあります。関西から関東まで持っていった例もあるそうです。その当時、たとえ遠距離であっても水運を利用すればそれほど困難ではなかったと思われます。やはり故郷の地を偲ぶことが大切に考えられていたのでしょう。

私がかつて拝見した五輪塔で真言律宗とゆかりのものを挙げておきます。

いづれ写真とともにご紹介します。

    奈良・不退寺墓地五輪塔

    京都・岩船寺五輪塔

    京都・岩清水八幡宮山ろく五輪塔(通称航海塔)

    大阪・教興寺墓地五輪塔

    大阪・西リン(王+林)寺五輪塔

    茨城・三村山極楽寺五輪塔

    神奈川・箱根山五輪塔

石造美術の本を見れば実に多くの石塔婆が広範囲に残ります。当時の律僧の活動の大きさには驚かされます。松尾剛次先生はこれを「死の文化」と呼び、著作を出されています。

『中世律宗と死の文化』松尾剛次、吉川弘文館刊

〔短歌〕

「風埃(かざぼこ)り 橋に吹き立ち 日のくれの

掘割水の 皺(しわ)めるさむさ」

木下利玄・一路

〔俳句〕

「利休忌の 読経しづかに 朝の雪」及川貞

「地を低く 吹く風のあり 水仙花」宮本道子

〔和歌〕

「花ならで 身にしむものは 鶯の

かほらぬこゑの にほひなりけり」

道因法師・風雅61

「(花の薫りが袖に移る、というのが普通だろうが)花でもなくて身にしみついたように忘れがたく感じられるのは、鶯の、別に薫りなどあるわけもない声の、匂うような美しい余韻だよ。」

    身にしむ=「身に染まりつく」意と「しみじみ深く感じる」意をかけた技巧。

    かほらぬ=薫らぬ。「匂ひ」(色艶、ぼかし)との対比。

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2012年2月27日 (月)

般若寺 春の花だより   2・27

    水仙、ロウバイ、ワビスケ: 《終り近し》

    梅、ネコヤナギ: 《咲き始め》

    山吹: 「黄色一重咲き」「白山吹」「黄色八重咲き」の3種類

《見ごろは4月中旬》

    きのうから寒の戻りで冬の寒さです。今日は奈良でも行きが舞っています。季節は行きつ戻りつで春に向い、明日からは温かくなるそうです。

春の花は梅に始まり、椿・桜・レンギョウなどが咲き4月中旬には山吹が咲きます。その頃は陽春といってもよい気温で春爛漫の侯です。奈良では二月堂のお水取りがすむと春が来るといいます。また暑さ寒さも彼岸までとも云います。三月は弥生、これは「いやおひ」から出た言葉で、いよいよ生い出づるという意味で、植物、動物が活発に活動することを表現しています。あと三日で「やよい」です。人の気分も弥生となることを念じつつ如月に別れを告げたいですね。

〔短歌〕

「郊外に かえりて来れば しめり土

足(あ)うらに応(こた)へ 心なごめり」

木下利玄・一路

〔俳句〕

「茂吉忌を 翌(あす)に御墓の 雪払ふ」篠田悌二郎

「雪降りて 水仙命を 新たにす」島崎晃

〔和歌〕

「見わたせば むらの朝けぞ 霞みゆく

たみのかまども 春に逢ふ比」

後鳥羽院御製・玉葉21

「ずっと見渡すと、村里の早朝のたたずまいがほんのりと霞むようになった。人民の生計も、豊かに竃に煙の立てられる春にめぐり逢った頃なのだなあ。」

    たみのかまど=仁徳詠を本歌に取り、仁政を意識した帝王としての感慨。

「高き屋に のぼりてみれば 煙立つ 

民のかまどは 賑わひにけり」(新古今707、仁徳天皇)

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2012年2月26日 (日)

般若寺 春の花だより   2・26

    水仙・ロウバイ・わびすけ: 《終り近し》

    梅・ネコヤナギ: 《咲きはじめ》

*今日からブログの題を「水仙花だより」から「春の花だより」に変更します。水仙の花は12月から3ヶ月間の長きにわたり咲きつづけ、芳香を境内中に漂わせて来ました。しかし「寒水仙」の名の通り、寒が去り春がやってくるとその役割を終えたかのように花は少なくなってきました。ふつうの花のようにいっぺんに散ることはありませんのでまだまだ残ると思いますが、梅など春の花に舞台を譲ろうとしています。長らくのご愛好ありがとうございました、水仙の花に成り代わって御礼申し上げます。これからは春の花々、初夏のコスモスとまたよろしくお付き合いくださいませ。

〔短歌〕

「灯(ほ)あかりの ほとほととどかぬ くらがりに

大木の幹の 太々とあり」

木下利玄・一路

〔俳句〕

「春の水 山なき国を 流れけり」与謝蕪村

「匂ひたつ 直刃のごとき 水仙花」神蔵器

〔和歌〕

「むめの花 ちらまくおしみ わがそのの

竹の林に うぐひすなくも」

読人しらず・風雅56(万葉824

「梅の花がまもなく散るのを惜しがって、私の庭の竹薮で鶯が鳴いているよ。」

・ちらまく=散るであろうこと。「まく」は未来の推量。

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2012年2月25日 (土)

般若寺 水仙花だより   2・25

◎水仙: 《終りちかし》

    12月から冬中咲きつづけた水仙花は春を迎えて終わりに近づいています。

そして梅の花が遅ればせながら咲き始めました。今年は随分おそい開花です。

この分だと桜、山吹など春の花は皆おくれそうです。

早咲コスモスの種まきは昨日で完了しました。今年は例年より寒かったので発芽が遅いようです。2月7日にまいた分がようやく芽を出してきました。

普通は10日ほどで発芽するんですが、ちょっと日数がかかっています。でもこれから温くなれば順調に育ってくれるでしょう。早ければ5月後半から咲き出すかもしれません。見ごろは5月末から7月上旬まで、紫陽花と一緒にコスモスの花が見られます。

〔短歌〕

「地上には しばらく絶ゆる 風間にも

大樹(おほき)の梢(うれ)の うなりやまずも」

木下利玄・一路

〔俳句〕

「佐保姫の 眠や谷の 水の音」松根東洋城

「水仙に 夜明の雨滴 のこりけり」小山漂葉

〔和歌〕

「松の雪 消えぬやいづこ 春の色に

都の野べは 霞みゆく比」

前中納言定家・玉葉20

「古歌にいう、末に積った雪が消えない深山というのは一体どこの事だろう。やわらかい春の色調に、都の野辺が一面に霞んで行くこの頃よ。」

    参考歌:「み山には 松の雪だに 消えなくに

       都は野べの 若菜つみけり」(読人しらず・古今19

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2012年2月24日 (金)

般若寺 水仙花だより   2・24

    水仙: 《見ごろは今月末まで》

  きのうは3月の気温、温かい春をよぶ雨でした。いよいよ冬ともお別れ、水水仙やロウバイは盛りをこえ終わりに向っています。

いま

奈良市

山陵(みささぎ)町の奈良大学博物館で

企画展

「文化財はいかに守られてきたか」が開催されています。

般若寺からは重要文化財・笠塔婆の鉄製支え金具を出展しています。

これは明治初年の廃仏運動の中で破壊された塔婆を、明治25年(1892)に修復する時フランスで調達したそうで、パリ万博のエッフェル塔建設用に開発された錬鉄を使っています。現在の笠塔婆は昭和30年代に再修理されボルトを使い支柱は外されています。他に修復に関する古文書も公開されています。ぜひ一度お出かけください。

・期間:116日~519日  入館無料。

  開館時間:平日 9時~16時半 土曜日 9時~12

  休館日:日曜、祝日 3/6()3/17 ()・4/17(土)・4/28()

  特別開館日:3/20(火・祝)9~16時半  5/5(土・祝)912

奈良大学博物館 ℡ 0742410650

〔短歌〕

「なか空に 大樹(おおき)の梢 さいなまれ

嵐を堪ふる うなりゆゆしも」

木下利玄・一路

〔俳句〕

「一枚の 餅のごとくに 雪残る」川端茅舎

「水仙の 群れてゐてよし 一花よし」竹川美佐子

〔和歌〕

「しづみはつる 入日のきはに あらはれぬ

かすめる山の 猶(なほ)おくの峯」

前大納言為兼・風雅27

「沈み切ろうとする入日の、その最後の逆光の中にくっきりとあらわれたよ。霞みこめた山のなお奥にあって、今まで見えなかった高峯の姿が。」

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2012年2月23日 (木)

般若寺 水仙花だより   2・23

        水仙: 《見ごろは今月29日まで》

    般若寺の歌碑・句碑の中で春を詠んだものは意外と少ないです。有名なのは先日紹介した秋草(しゅうそう)道人、会津八一さんの歌です。

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

こさめなかるる はるはきにけり」八一

俳句では芭蕉の門人、向井去来の句は425日の「文殊会」(もんじゅえ・旧3月)を詠んでいます。お会式での「般若経」転読の情景を題材にしていると思われます。当寺の印刷物でもよく「紙の向き」が「風の向き」と間違えていることがあります。花に風はつきものですが、それでは般若経が消えてしまいます。

「ちりたまる 花や般若の 紙の向き」去来

それから笠塔婆を題材にして

「双(なら)び立つ 花野の寺の 笠塔婆」日月子

これは日月子さんの句、この方は姓名が不明ですが1950年代に詠まれた句です。

この二句にある「花」といえば、普通には桜のことでしょうが、文殊会のころは昔から山吹が満開となります。また「花野」も背の高い桜より、笠塔婆の周りで茂みになって咲く山吹のほうが似つかわしいでしょう。

〔短歌〕

「物の隈(くま) くらがり退(の)かず 燈籠の

あかりとろとろ とぼりたるかも」

木下利玄・一路

〔俳句〕

「まん丸に 草青みけり 堂の前」小林一茶

「天と地の 明暗分けて 野水仙」稲畑広太郎

〔和歌〕

「まきもくの ひばらの山の ふもとまで

春の霞は たなびきにけり」

藤原基俊・玉葉19

「巻向の檜原山の麓まで、まあすっかり、春霞はたなびいてしまったよ。」

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2012年2月22日 (水)

般若寺 水仙花だより   2・22

般若寺 水仙花だより   2・22

        水仙: 《見ごろ・満開》 花・12月~2

花数・2万本

春は目に見えて近づいています。水鉢の中のひつじ草や睡蓮が小さな新葉を伸ばしています。また庭の端でもタンポポや大イヌフグリがちらほら花を咲かせています。これから何度か後戻りすることはあっても確実に春へ向うことでしょう。春は花の季節です。梅、桜、椿、山吹など古来の花に洋花も加わり百花繚乱となるでしょう。

それでも浮き立ってばかりはいられません、311日で一年を迎えるのに復興が進まない大震災、原発の全てが停止、と試練は続きます。しかし希望はあります。おてんと様の光、水、風、地熱、バイオエネ、節電など原子力に頼らないライフスタイルを始める絶好の機会だととらえたら新しい未来が開けるのではないでしょうか。今こそやる気と智恵をはたらかせるべき時です。

〔短歌〕

「吾(あ)がいなば 宵宮(よみや)の裏の しづもりに

いつまでとぼる 灯(あかり)なるなむ」

木下利玄・一路

〔俳句〕

「明ぼのや 白魚しろき こと一寸」松尾芭蕉

「水仙や 古鏡の如く 花をかかぐ」松本たかし

〔和歌〕

「ゆうぐれの 霞のきはに とぶ鳥の

つばさも春の 色にのどけき」

伏見院御歌・風雅26

「夕暮の、たなびく霞と空の境い目のあたりを飛ぶ鳥の翼も、いかにも春らしいやわらかな色あいを見せて、まことにのどかなことだ。」

・霞のきは=霞の際。層をなしてたなびく霞の色と空の色との接点。

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2012年2月21日 (火)

般若寺 水仙花だより   2・21

  水仙: ≪見ごろ・満開≫ 花・12月~2

花数・2万本

*朝はマイナス2度ほどの寒さでした。日が照って来ると徐々に氷もとけ春のぬくもりに包まれました。でも午後からは天気は下り坂、また雨になるそうです。

きょうも別の作業奉仕がありました。若者4人です。午前中だけの作業なので前から予定していた土はこびをお願いしました。先だって「ボランティア・ガイドの会」の皆さんが配列してくださった800鉢のプランターに新しい「真砂土」を補充していただきます。境内の駐車場に積み上げてある8トンの土を軽トラに載せて外の駐車場

まで運びます。それを一輪台車で個々の鉢に詰めていきます。なかなか手間取る作業で力仕事です。トラックへ乗せるのは小型のショベルカー(ユンボ、バックホー、パワーショベルとか呼ばれる)を使うので楽で早いですが、鉢詰めにはスコップを使うので大変です。土をこぼさないよう丁寧にやっていただき半分の400鉢を仕上げていただきました。これは秋咲コスモスの苗床となります。皆様お疲れ様でした、ありがとうございました。

今年もコスモス寺は健在です、より一層きれいな花を咲かせたいと思います

〔短歌〕

「廻廊の 廂(ひさし)をひくみ 灯(ほ)あかりに

丹ぬりの椽(たるき) 数見ゆるかも」

木下利玄・一路

〔俳句〕

「盆梅の しだれし枝の 数へられ」松本たかし

「水仙に 狐あそぶや 宵月夜」与謝蕪村

〔和歌〕

「のどかにも やがてなり行く けしき哉

昨日の日かげ けふの春雨」

伏見院御製・玉葉18

「のどかな陽気に、もうすぐなって行くような様子だなあ。昨日のうららかな日ざし、そして今日のこの静かな春雨よ。」

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2012年2月20日 (月)

般若寺 水仙花だより   2・20

水仙: ≪見ごろ・満開≫ 花12月~2

花数・2万本

*快晴、朝から春の陽光が降りそそいでいます。いよいよ春がやって来そうです。きのうに続いて花暦を載せます。昨日の春の部で洩れていたのは4月から5月に十三重石塔の基壇に咲く紫雲ラン(リナリア)です。自然生えの野の花ですが絵になる花です。

[般若寺花暦]

〈夏・6月~8月〉

オガタマノキ(唐種小賀玉木) テイカカズラ(定家蔓) 

スイカズラ(忍冬) ヤマアジサイ(山紫陽花) 

アジサイ(紫陽花) 

○コスモス(早咲コスモス・5月下旬~7月上旬、5万本) 

ヒツジグサ(未草)

キョウチクトウ(夾竹桃) サルスベリ(百日紅)

〈秋・9月~11月〉

ヒツジグサ、サルスベリは9月中も咲きます。

シオン(紫苑) シュウカイドウ(秋海棠)

ヒガンバナ(彼岸花) リコリス(白彼岸花)

ハギ(萩) 

○コスモス(秋桜・9月下旬~11月中旬、10万本)

ノギク(野菊)

〔短歌〕

「燈籠は とぼりそろへり 回廊の

青丹(あおに)匂ひて 宵のほどなる」

木下利玄・一路

〔俳句〕

「梅白し まことに白く あたらしく」星野立子

「水仙や 庭に待せて 藪に咲く」横井也有

〔和歌〕

「あまのはら おほふ霞の のどけきに

春なる色の こもるなりけり」

太上天皇(光厳院)・風雅20

「空一面を覆って立ちこめる霞ののどかな姿の中に、すべての「春」という美しさがこもっているのであったなあ。」

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2012年2月19日 (日)

般若寺 水仙花だより   2・19

  水仙: ≪見ごろ・満開≫ 花・12月~2

花数・2万本

*今日の最低気温はマイナス5度でした。これが最後の寒波であってほしいですね。

梅の花がおくれています。各地の名所でも2週間以上遅いようで見ごろは3月に入ってからだそうです。今日は般若寺の年間の花暦をまとめてみました。

[般若寺花暦]

〈冬・12月~2月〉 

サザンカ(山茶花) スイセン(水仙) ロウバイ(蠟梅) 

ワビスケ(侘助) ネコヤナギ(猫柳) ハクバイ(白梅)

〈春・3月~5月〉

ジンチョウゲ(沈丁花) サンシュユ(山茱萸) コウバイ(紅梅) 

サクラ(桜) ツバキ(椿)レンギョウ(連翹) ヤマブキ(山吹) 

シロヤマブキ(白山吹) シャガ(射干) ボタン(牡丹)

テッセン(鉄線) バイカウツギ(梅花空木) リキュウバイ(利休梅)

ヤグルマソウ(矢車草)  

他にタンポポ、オドリコソウ、キンポウゲ、ジゴクノカマノフタなど野の花も多種類咲きます。

夏と秋の分は明日にします。

〔短歌〕

「春日山 宮居(みやゐ)のうらの 幾あかり

にほひしづもる さ夜のしめりに」

木下利玄・一路

〔俳句〕

「白梅の 青きまで咲き みちにけり」小坂順子

「水仙の 花弁の凍みて ゐたりけり」大橋敦子

〔和歌〕

「雪まぜに むらむらみえし 若草の

なべて翆(みどり)に なりにける哉」

出羽・玉葉16

「白い雪をまじえて、あちこちにまだらに見えていた若草が、もう一面に緑になってしまったなあ。」

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2012年2月18日 (土)

般若寺 水仙花だより   2・18

  水仙: ≪見ごろ・満開≫ 花・12月~2

花数・2万本

*今度の寒波は相当厳しいです。今まで少し春めいていたから余計に身にこたえます。今日明日を乗り切れば今度こそ春のぬくもりがやって来るでしょう。

寒くとも日にちは待ってくれません、もうすぐ3月がやって来ます。

いま農家では稲の籾まきに取り掛かっておられます。昔のような苗代は見られませんが 、田植え機にセットできるトレイのようなところに苗を育てるそうです。田植え時期を早めるため苗はビニールハウスの中を暖房して育てるそうです。手間がかかるんですね。

当寺のコスモス栽培も春から初夏に花を咲かせるため、トンネル栽培で種をまいています。自然の太陽光だけの暖房ですからそれほど早くには発芽しません。またあまり早いと花壇に植え付けてから霜で枯れてしまいます。毎日、長期の気象予報を見ながらの種まきを見計らっています。それでも予定の半分は種まきを終えました。あとは芽が出るのを見守るだけです。はーるよ来い、はーやく来い、の気分ですね。

〔短歌〕

「をろがみて 眼をあきにけり 燈明(みあかし)の

夜宮の奥に いつくしきかも」

木下利玄・一路

〔俳句〕

「植うるもの 葉広柏の 木の実かな」高浜虚子

「水仙の あちらこちらに 吹かれおり」内野聖子

〔和歌〕

「かすがのの 雪のむらぎえ かきわけて

たがためつめる 若菜なるらん」

源俊頼朝臣・風雅15

「春日野の、雪のまだらに消え残った所を掻き分けて、一体これは誰の為に摘んだ若菜なのだろう。(誰でもない、あなたの為にこそ摘んだのですよ)」

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2012年2月17日 (金)

般若寺 水仙花だより   2・17

  水仙: ≪見ごろ・満開≫ 花・12月~2

花数・2万本

*作日、「奈良ボランティア・ガイドの会」による作業奉仕をご報告させていただきました。昨年から多方面より作業奉仕をしていただいています。その中で人数は少ないですが何度もお出でいただくグループがあります。加藤さんと言う女性を中心とする方々で、今月はお堂の障子の張り替えをしていただきました。今年も何度も来る予定を立てておられ心強い限りです。その加藤さんからの御提案で、会の名称を付けてほしいということでしたので、いろいろ考えた末、「般若寺美咲会」(はんにゃじびしょうかい)はどうですかとお答えしました。女性が中心なので優しい名がいいのではないかと思います。現在のところ仮称ですが、次回には決められると思います。これは「般若寺のコスモスを美しく咲かせるボランティアの会」と言う意味です。今のところ夏場の草取りなどコスモスを美しく咲かせて、般若寺を盛り上げるための活動をしていただいています。加藤さんは仏教イベントのコーディネーターをされたり多彩な活動をしておられるエネルギッシュな方ですので先々楽しみです。この会が発展するよう皆様のご協力よろしくお願いします。

〔短歌〕

「大木の くろき梢に しきられて

星の夜空の せばくしたしも」

木下利玄・一路

〔俳句〕

「春めきて 水嵩ましぬ 吉野川」小林一茶

「水仙花 目立たぬ白の 目立ちをり」保田英太郎

〔和歌〕

「里人や わかなつむらし 朝日さす

三かさののべは 春めきにけり」

前大納言為家・玉葉15

「里人は若菜を摘んでいるらしいな。朝日のうららかにさす三笠山の麓の野原は、すっかり春らしくなって来た。」

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2012年2月16日 (木)

般若寺 水仙花だより   2・16

  水仙: ≪見ごろ・満開≫ 花・12月~2

花数・2万本

*昨日は小雨がぱらつく中、ボランティアでいろんな作業をしていただきました。来られたのは奈良の「ボランティア・ガイドの会」会員の方々で、会創立15周年の記念事業の一環として去年から予定しておられたことです。

朝方雨模様なので中止かなと思っていたら、8時半ごろから次々とやってこられ総勢25人になりました。初めの予定の倍の人数です。雨もいつ本降りになるかもしれずこれはどうしたものかと思案して力仕事でもいいですかと聞いたところ、快諾していただいたので、コスモスを育てる苗床用のプランター鉢を並べていただくことにしました。

土が入っていてきのうからの雨水を含んで重くなった鉢を800個、手渡しで運びきれいに並べていただきました。私も一緒に動いたところ汗をかく程の仕事でした。けっこう御年配の方もおられたのですが、皆さん溌剌としておられ、てきぱき手際よくやっていただいたので1時間ほどでこの作業は終わりました。

その後休憩も兼ねて本堂で般若寺と奈良の歴史についてお話しさせていただきました。さすがに奈良の名所をガイドしておられる方ばかりなので皆さん熱心に聞いていただきました。またこれからのガイドのお役にたてていただければ、との思いからつい細かな話になってしまい恐縮でした。

その後も女性陣は本堂の格子戸の水拭き、男性陣は国宝楼門の周囲の草取りをしていただき11時半ごろ作業を終えられました。幸い雨も降らずさほど寒くもなくて充実した内容のボランティア作業となりました。ご参加の皆様本当にお疲れ様でした、ありがとうございました。

これで今年もきれいな花を咲かせられます、どうぞこんどはお客様をガイドしてお越しくださいませ。

〔短歌〕

「宵の雪 かつとけてゐる 樋(とひ)の音

つくづくきけば 弾みて鳴れり」

木下利玄・一路

〔俳句〕

「草の門 ひらかれあるは 西行忌」水原秋桜子

「水仙は 水仙のみを 挿したしや」大橋敦子

〔和歌〕

「めもはるに 雪まもあをく 成りにけり

けふこそ野べに わかなつみてめ」

源順・風雅13

「目の及ぶ限り、残雪の間々が青々となったよ。さあ、今日こそ野に出て、萌え出た若菜を摘もうではないか。」

・めもはるに=「はる」は遥かに遠いさま。目の届く範囲すべて。

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2012年2月15日 (水)

般若寺 水仙花だより   2・15

  水仙: ≪見ごろ・満開≫ 花・12月~2

花数・2万本

*今日は涅槃会(ねはんえ)です。涅槃はサンスクリット語の音訳でニルバーナと言います。「吹き消すこと」を意味し煩悩を断じて絶対的な静寂に達した状態、理想の境地を言い、「滅度」「寂滅」と漢訳されます。これは仏教の開祖、お釈迦様がご入滅された日で各寺では涅槃図を掛け『仏遺教経』を読誦したり『涅槃講式』を唱えたりして仏の御遺徳をしのびます。

大乗仏教の『大般涅槃経』(だいはつねはんぎょう)は「衆生の悉有仏性」を説く大切な経典です。涅槃会を「如月の別れ」とか「涅槃講」、「常楽会」とも言います。お釈迦様は今から2500年前にインドのクシナガラと言うところで亡くなられたと伝わり、今年は仏暦(仏滅暦)では2555年に当たります。東南アジアの仏教国では国の正式の暦として使われています。

仏教徒はこの暦を使うべきではないでしょうか。(西暦はキリストさんの生誕が紀元です)

〔短歌〕

「夜(よ)のうちに 雪降りつもり 庭の面

木々まろくたわみ 奇(あや)にしづもる」

木下利玄・一路

〔俳句〕

「涅槃図に 束の間ありし 夕日かな」安住敦

「白き壁 白きカーテン 水仙花」山田弘子

〔和歌〕

「夜もすがら 思ひやるかな 春雨に

野べのわかなの いかにもゆらん」

中務卿具平親王・玉葉14

「一晩中、思いやることだよ。この春雨に、野原の若菜はどんなに青々と芽を出しはじめることだろうかと。」

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2012年2月14日 (火)

般若寺 水仙花だより  2・14

  水仙: ≪見ごろ・満開≫ 花・12月~2

花・2万本

*昨日に続いて今日も雨。春雨です、でも濡れたら風邪をひきますよ。

きのうのNHK「ならナビ」無事終わりホッとしています。ボクシングの応援に行っているようで、うちのものは皆こぶしを握り締めてハラハラドキドキ。

8分間がとても長く感じられ、終わったときふっと大きく大きく息を吐きました。生放送は見る方も疲れますね。ご本人はもっと緊張したと思います。でもこの緊張感はリングで何度も味わってきたから少しは慣れていたのかもしれませんが。

言いたいこと、言うべきことはほぼ言えたようで、すこし達成感を味わっていることでしょう。ご苦労さまでした。

テレビの中で座右の銘として言っていた言葉は

「一念発起 大菩提心」です。これはたぶんお経の中に出ているのだと思いますが、実は般若寺の「三十三所観音石像」群の由来を記した石碑に大きく刻まれた偈文です。

元禄16年(1703)に山城の寺嶋氏(法号・加応善慶)が、一念発起して資財を傾投し33体の観音石像を刻み「和州南京般若律寺之塔檀」に安置した時の由緒に記された言葉です。

いつの時代も自分の運命を切り開こうと思ったら命がけの一念発起と努力が必要なのでしょうね。

〔短歌〕

「雨あとの 今宵は寒さも ゆるびおり

道わるの街を 友と通るも」

木下利玄・紅玉

〔俳句〕

「淡雪の つもるつもりや 砂の上」久保田万太郎

「水仙の 香に人々の 起居あり」稲畑汀子

〔和歌〕

「のどかなる けしきを四方に をしこめて

霞ぞ春の すがたなりける」

進子内親王・風雅8

「のびやかな雰囲気を、あたり全体に漲らせて立ちこめているその様子。霞こそは、「春」そのものの姿だったのだなあ。」

・をしこめて=あたりをすっかり覆って。「をし」(押し)は強意の接頭語。

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2012年2月13日 (月)

般若寺 水仙花だより   2・13

  水仙: ≪見ごろ・満開≫ 花・12月~2

花数・2万本

*本ブログの写真と更新作業を担当してくれている法嗣・工藤顕任君がNHK奈良局の番組『ならナビ』のゲストに登場します。生放送ですので放送局のスタジオへ行くようです。ご依頼は1週間前でしたから準備もせずにぶっつけ本番になりそうです。きっと持ち前の軽いノリでやってくれると思います。番組は今日の午後610分から7時までです。御笑覧あれ。

お天気は今日から下り坂、この雨は春を呼ぶ雨となるでしょう。梅の花もほころびるかもしれません。この春、植物も動物も動きがにぶいですね、寒さが影響しています。桜の花も遅れるかもしれません。

〔短歌〕

「宵闇の 本所の掘割 岸ひくみ

水の明りを 見つつ歩むも」

木下利玄・紅玉

〔俳句〕

「一と鉢の 雪割草の 野を買ひぬ」蔦三郎

「春寒き 寒暖計や 水仙花」正岡子規

〔和歌〕

「鳥のねも のどけき山の あさあけに

霞の色は はるめきにけり」

前大納言為兼・玉葉9

「小鳥のさえずりものどかに聞こえる、山の明け方に、立ちわたる霞の色はすっかり春らしくなったよ。」

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2012年2月12日 (日)

般若寺 水仙花だより   2・12

  水仙: ≪見ごろ・≫ 花・12月~2

花数・2万本

*般若寺に立つ歌の碑の中では、会津八一さんの歌はこれからの時期に最もふさわしいものです

「ならさかの いしのほとけの おとかひに 

こさめなかるる はるはきにけり」

です。カナばかりの歌を漢字をまじえて書き直しますと、

「奈良坂の 石の仏の 頤(おとがい)に

        小雨流るる 春は来にけり」

・石の仏=奈良から佐保川を渡って般若寺への坂道を上ると「夕日地蔵」という大きな地蔵石像が道端に立っておられます。室町時代の作で「般若野」と呼ばれた南都の惣墓所の入口に立つ「迎え地蔵」であったと思われます。いつもお顔に笑みを浮かべ道行く人を見守ってこられました。奈良坂の内でもこのあたりは「千坊の坂」(せんぼうのさか)といって南都の大寺院の坊舎が一望に見下ろせる場所です。

・頤=したあご。

この歌は会津八一さんの歌集『南京新唱』(なんきょうしんしょう)に載っています。数ある会津先生の歌の中でも代表歌の一つに数えられています。

夕日地蔵は般若寺の南方400メートルにあります。

〔短歌〕

「冬山の 日なたにおれば 木をこれる

音こころよく 峡(かひ)にとよめり」

木下利玄・紅玉

〔俳句〕

「野の風の はっきり東風と 吹き募る」相馬遷子

「水仙に 近寄り影を 淡くする」松本鷹根

〔和歌〕

「かすみたち こほりもとけぬ あめつちの

心も春を をしてうくれば」

伏見院御歌・風雅6

「霞が立ち、氷もとけたよ。天地の心も、春の到来を、おしなべて嘉し、受け入れたから。」

・をして=おしなべて。

・うくれば=「うく」は好意をもって了承し、受納する意。

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2012年2月11日 (土)

般若寺 水仙花だより   2・11

  水仙: ≪見ごろ・満開≫ 花・12月~2

花数・2万本

*今日は快晴、寒い空気もようやくゆるんできました。春近し、ですね。

きのうに続いてコスモスの種類をご紹介します。

⑯クランベリ

⑰ローズボンボン

⑱スノーパフ

⑲アンティキティ

⑳秋咲巨大輪

㉑デイドリーム

㉒ピンクポップソックス

㉓レッドベルサイユ

㉔レッドイリュージョン

㉕ドワーフセンセーション

㉖クランベリー

㉗バイカラーピンク

㉘美色混合

㉙巨大輪スーパー

まだほかに「黄花コスモス」の種類が56種類ありますので全部で35種類ほどになります。ここ20年ほどの間に次々新種が作出されてきたのでこんなに増えたのです。

般若寺で50年前に咲き出した頃は、いま「サカタ」で「美色混合」の名で売られている昔ながらの八弁で赤白ピンク3色の普通のコスモスでした。

現在ではかえってこの「昔コスモス」は珍しくなりました。この種類は花の期間が短いのと秋の決まった日にならないと咲かない性質が短所となっているからです。でも和名の「秋桜」という名は、春の桜のようにいさぎよく散るところから名づけられたのです。それに対して新種のコスモスたちはは散り際がわるいです。さっと散るという秋桜の特性を残しているこの種類は、今となっては昔懐かしいコスモスです。

〔短歌〕

「行きずりの 小松が中に 鳴きうつる

ひたき(翁+鳥)見いでて ひそかにあゆむ」

木下利玄・紅玉

〔俳句〕

「猫柳 四五歩離れて 暮れてをり」高野素十

「水仙の ひらくに足らふ 日をあつめ」間宮陽夫

〔和歌〕

「世ははやも 春にしあれや 足曳きの

山べのどけみ 霞たなびく」

後伏見院御製・玉葉8

「世間は早くもすっかり春なのだなあ。山のあたりをいかにものどかに感じさせるように、霞がたなびいている。」

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2012年2月10日 (金)

般若寺 水仙花だより

  水仙: ≪見ごろ満開≫ 花・12月~2

              花数・2万本

*まだまだ寒いです。このごろは外の水道が氷っていて出ないことがよくあります。また野外で土に挿した花瓶が割れていました。午前中は土が凍っていてクワもスコップも歯が立ちません。土が凍るのはマイナス2度か3度ぐらいになっているときです。午後からは氷もとけてきます。

今年植えるコスモスの種を注文しました。店で販売されているコスモスの種類はあまり多くありませんので通信販売で買います。「タキイ」「サカタ」「国華園」の通販で買います。今は多種類なので選ぶのが一苦労です。名前が違っていてもよく似た花が多いです。参考のためにここにリストを載せます。

   センセーション

   シーシェル

   ピコティ

   ベルサイユ

   ダブルクリック

   イエローキャンパス

   オレンジキャンパス

   ディープレッドキャンパス

   クリムゾンキャンパス

   あかつき

   ソナタ

   アーリーミックス

   コラレットミックス

   スーパービッキー

   ハッピーリング

まだまだ続きますのでまた明日に。

〔短歌〕

「青木の実 赤くなりたり 冬さりて

かわききりたる 山の斜面に」

木下利玄・紅玉

〔俳句〕

「枯山の 背骨腰骨 春めきぬ」林翔

「石に坐せば 水仙の咲き 始めたる」山田六甲

〔和歌〕

「山のはを 出づる朝日の かすむより

春のひかりは 世にみちにけり」

後西園寺入道前太政大臣(西園寺実兼)・風雅5

「山の端をさし出る朝日が、おだやかに霞んで見えると、ああもうされだけで、豊かな春の光は世の中一ぱいに満ちあふれてしまったよ。」

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2012年2月 9日 (木)

般若寺 水仙花だより   2・9

  水仙: ≪見ごろ≫ 花・12月~2

 花数・2万本

*晴れ、寒いですが今日から春を迎える準備をします。いよいよコスモスを育てる季節となりました。寒波襲来のため去年より10日おくれです。きょうは第一回目のコスモス種まきです。これは秋の花ではなく「春咲き」「初夏咲き」の花です。自然界では気温が20度ないと発芽しません。それではいくら早くとも7月終わりごろからの開花になってしまい、猛暑の季節を迎えます。過ごし易い春から初夏にかけて花があればいいなあと思い早く育てることにしました。そこで発芽を助けるためトンネル栽培で苗を育てることにしました。苗が大きくなれば花壇に植え付けてやります。そうすれば5月半ばから7月にかけて花が咲きます。ちょうどアジサイの季節にコスモスも見られるのです。ちょっと手間がかかりますが「コスモス寺」として当然の努力だと思いがんばります。初夏コスモスはもうかれこれ20年ほど続けているので育てるコツは熟知しています。乞うご期待を、春にもコスモスが見られますよ。

〔短歌〕

「青木の実 毎年落ちて 生ひけらし

ここの谿間の 多くの青木」

木下利玄・紅玉

〔俳句〕

「まんさくの 花咲くとなく 咲いてをり」今橋眞理子

「日の差せば 日のわびしさに 水仙花」前迫寛子

〔和歌〕

「いつしかも かすみにけらし みよしのや

まだふる年の 雪もけなくに」

前関白太政大臣(鷹司基忠)・玉葉7

「もう早速に霞んでしまったようだよ。ここ、吉野山では、まだ去年の降り積もった雪も消えないというのに。」

・いつしかも=早速にも。

・ふる年=旧年。昨年。「ふる」は「雪」の縁語。

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2012年2月 8日 (水)

般若寺 水仙花だより   2・8

◎水仙: ≪見ごろ・満開≫ 花・12月~2

花数・2万本

*きのうまでの雨にかわって白い水仙の花に白い粉雪が舞っています。そろそろ粉雪から大きなボタン雪に変わってきました。奈良で雪が降るのは春のきざしです。

水仙の花は少し盛りをこえてきました。早くに咲いたものはもう終わりに近いです。つづいてあと咲きのものが満開となっています。この雪、降りつづくのでしょうか。

今日は悲しいできごとに出会う日となりそうです。親しい間柄の不退寺の圭崇君の告別式に行きます。圭崇君は51歳の生涯を終えられました。まだ住職にもなっておられず、独身でした。これから不退寺をよくしていこうと色々企画を立て努力しておられたのに、こころざし半ばで寿命を終えられご自身残念なことだったろうと思います。

人の命ははかないものです。ひとたび無常の風に吹かれるとあっけなく失ってしまいます。日々こころして生きて行かねばなりません。

〔短歌〕

「底温き 落葉の中に 常盤樹(ときはぎ)の

芽生(めばえ)そだてる ここの杜かも」

木下利玄・紅玉

〔俳句〕

「冴え返る 音や霰の 十粒程」正岡子規

「水仙の 風を拒んで をりにけり」稲畑廣太郎

〔和歌〕

「鳥の声 松のあらしの をともせず

山しづかなる 雪のゆふ暮」

永福門院・風雅826

「(いつもは聞える)鳥の声も、松の嵐の音もしない。全山、静寂に深く包まれた、雪の夕暮よ。」

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2012年2月 7日 (火)

般若寺 水仙花だより   2・7

  水仙: ≪見ごろ・満開≫ 花・12月~2

花数・2万本

*昨日からの雨はそんなに冷たくはなく、春を呼ぶ雨となりました。

旧年の暮に播いておいた矢車草もようやく葉がそろい苗らしくなってきました。また白梅は日に日に蕾をふくらませ緑色から白色に変化しています。もうすぐ咲き出すかもしれません。一方、冬の庭にいろどりを添えてきた南天、カナメ、モチの実はますます赤みを濃くしています。きっと渡り鳥たちが旅立つ前にお腹いっぱいに食べてくれるのを待っているのです。鳥が食べることによって種をまき散らしてくれ、種の繁殖が出来ます。早春の風情が漂う今日このごろの般若寺の境内です。

しかし今晩からは再び寒波がやって来そうです。風邪が流行っていますから皆様くれぐれもご用心を。

〔短歌〕

「料理屋の 二階の灯(ほ)かげ 三味の音

寒月の下(もと)に いたくさびしも」

木下利玄・紅玉

〔俳句〕

「畔焼きの 終りし野良に 人見えず」高浜年尾

「水仙に 光微塵の 渚あり」水原秋桜子

〔和歌〕

「春日野に まだうらわかき さゐたづま

つまごもるとも いふ人やなき」

常盤井入道前太政大臣(西園寺実氏)・玉葉17

「春日野に萌え出た、まだ若々しい春草よ。『さいたづま』というその名にめでて、『私の大切な妻がここに隠れている』と言う人もないのかい、あの昔の物語のように。」

・さゐたづま=イタドリの古名。また春の若草一般をもいう。「妻」を導く。

・参考歌:「春日野は 今日はな焼きそ 若草の 妻もこもれり 我もこもれり」

(伊勢物語17、女)

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2012年2月 6日 (月)

般若寺 水仙花だより   2・6

  水仙: ≪見ごろ・満開≫ 花12月~2

花数・2万本

*先日ご紹介した①番目の本は『感身学正記』(かんじんがくしょうき)です。

正式には『金剛仏子叡尊感身学正記』(こんごうぶっしえいそんかんじんがくしょうき)といい、金剛仏子、すなわち密教の仏弟子である叡尊が身に感じて正法(しょうぼう・釈迦の正しい教え)を学んだ記録と言う意味です。また別名を『思円上人一期形像記』(しえんしょうにんいちごぎょうぞうき)とも言います。思円は房名で、生前は思円上人の名で呼ばれていました。一期は一生涯であり、形像は研鑽をつみ菩薩となられたことを言います。こちらは上人没後につけられた書名と思われます。

この本は興正菩薩叡尊(こうしょうぼさつえいそん・12011290)さんの自伝で、誕生から85歳の弘安8年(1285)までの出来事、行状を記したもので3巻よりなります。原本は失われていますが、西大寺に延文4年(1359)の写本が残っており、1939年には影印本が、1977年には活字本が出版されています。しかしなにぶん漢文体なので読みが難しいでした。それで1990年の菩薩700年御遠忌に際して、鎌倉時代の仏教美術を専門とされ、長年西大寺の研究を積み重ねて来られた長谷川誠先生の読み下し文と現代語訳が西大寺より出版されて漸く一般人にも読みやすくなりました。

しかし発行部数が少なく書店では販売されませんでした。また鎌倉時代の寺院、僧名、人物名、地名などが多数出てくるのと、当時の社会的背景を理解しないとよく理解できない性格の本です。

そこへ1999年に日本中世史を専門とされる細川涼一先生が平凡社の東洋文庫シリーズから出版されました。内容は読み下し文と注釈文と原文です。特に注釈は先生の研究の成果が投入された豊富なもので大変便利です。今のところ上・中巻を(Ⅰ)として出し、下巻は(Ⅱ)として出す予定だそうですが未刊です。

この本からは般若寺の復興についても多くの情報を得られますので、また追々ご紹介します。

〔短歌〕

「旅籠屋の 裏の松山 月に見ゆ

霜夜あらしの 松を渡るも」

木下利玄・紅玉

〔俳句〕

「世を恋うて 人を恐るる 余寒かな」村上鬼城

「一茎の 水仙の花 相背く」大橋越央子

〔和歌〕

「深山には 白雪ふれり しがらきの

まきのそま人 道たどるらし」

鎌倉右大臣(源実朝)・風雅823

「深山には 白雪が降り積もった。信楽の山で真木を樵る杣人ら、道をまよいがちに行くらしいな。」

・まきのそま人=植林した杉・檜の山で材木を切り出す山人。

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2012年2月 5日 (日)

般若寺 水仙花だより   2・5

  水仙: ≪見ごろ・満開≫  花・12月~2

花数・2万本

*今朝は久しぶりに朝日がさし、寒さもちょっとだけゆるんだように思えました。寒い冬の中にも春のきざしが見えています。梅やネコヤナギの蕾も幾分ふくらんできたようです。そして南の方のあちらこちらから梅の便りが届く季節となってきました。

きょうは昨年、草取りボランティアで見えられた皆さんが今年初めての作業奉仕にこられました。女性3人と男性1人の4人です。今の時期、まだ草が生えていないので何をしていただこうかと思案していたところ、本堂の障子紙がだいぶ古くなっているのに気づき、その張替えをしていただくことにしました。作業の手順はまず古い紙をはがし、桟の汚れをふき取り、のりをつけて紙を張ります。しかし障子の大きさは普通の2倍はありますからむつかしいです。4人で力を合わせ上手に仕上げていただきました。全部で9枚の障子でしたが夕方までに終了していただき、最後は餅を焼いていただきました。

午後からは曇って来たので障子張りにはいいお天気になりました。皆さま寒い中ごくろうさまでした。

〔短歌〕

「障子の灯 ぼんやりあかし 戸外には

いたく冴えたる 月のするどさ」

木下利玄・紅玉

〔俳句〕

「賀茂川の 水の心の どこか春」野本永久

「水仙の 束解くや花 ふるへつつ」渡辺水巴

〔和歌〕

「春きぬと おもひなしぬる 朝けより

空も霞の 色になりゆく」

伏見院御製・玉葉5

「ああ、春が来た、と心に思い決めたその朝から、空だってほんのりとした霞の色になって行くのだよ。」

・おもひなす=考えて…だと決める。

・朝け=「朝明け」の約。

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2012年2月 4日 (土)

般若寺 水仙花だより   2・4

  水仙: ≪見ごろ・満開≫  花・12月~2

花数・2万本

*立春。先日来の厳しい寒さも今日から少しゆるむそうです。今年の寒さは本当にきついですね。各地でマイナス10度以上を記録しています。豪雪といい異常低温といい猛烈な寒波が来たものですね。とくに雪国の御苦労には心からお見舞い申し上げたいと思います。

今年の福寿草やフキノトウはまだです。春が遅れているのでしょう。

予定では今日から早咲きコスモスの種をまくつもりでしたが少し先延ばしした方がいいようです。もちろんビニールのトンネル栽培するのですが、この気温では発芽しないでしょう。はやる気をセーブしています。

「水仙に 日の差しをりて 小春日や」倶咲

「水仙の 花に仏の 見えかくれ」倶咲

〔短歌〕

「皎皎(こうこう)と 月冴え光り まさやかに

見ゆる裏の山を 風渡る音」

木下利玄・紅玉

〔俳句〕

「美しく 晴れにけり 春立ちにけり」星野立子

「家ありて そして水仙 畠かな」小林一茶

〔和歌〕

「ゆくさきは 雪のふぶきに とぢこめて

雲に分けいる 志賀の山ごえ」

前大納言為兼・風雅822

「行く方向は、(花吹雪ならぬ)雪の烈しい吹き降りにとじこめられて全く見えず、さながら雲の中に分け入って行くような、志賀の山越えの道よ。」

・志賀の山ごえ=京都の北白河から如意が峯を越え、近江崇福寺へ出る道。

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2012年2月 3日 (金)

般若寺 水仙花だより   2・3

◎水仙: ≪見ごろ・満開≫  花・12月~2

花数・2万本

  今日は節分で各寺で「豆まき」の行事があり賑わうことでしょう。

いま咲いている水仙は花の期間が長いですね。暮の12月から咲き出してまだ満開を維持しています。ひょっとすると3月まで咲くかもしれません。咲き出したのは暑い秋の延長でコスモスがまだ咲き残っていました。水仙は暑さのせいか早く葉をだし、咲きはじめるのが早かったです。そして今になって寒さが長引きそうで遅咲きの花はこれからというのもまだあります。たしかに最盛期に比べ花数は減ってきたかもしれません。それでも梅が咲くまで庭を飾ってくれる花としてがんばっています。水仙、ロウバイ、わびすけ、山茶花の花々が終わりを迎えるころ本格的な春が来ます。そして桜の季節がやってきます。春は待遠しい季節です。

〔短歌〕

「近よれば 冬木の上に 月きたり

      空さす枝の ありありとみゆ」

              木下利玄・紅玉

〔俳句〕

「節分の 雲の重たき 日なりけり」稲畑汀子

「陽水仙 立志の高さ 競ひけり」河内桜人

〔和歌〕

「ねやのうへは つもれる雪に をともせで

よこぎるあられ 窓たたく也」

前大納言為兼・玉葉1010

「寝室の屋根の上は、深く積った雪に静まりかえって音もなく、突然横さまに降り来る霰が、激しく窓をたたく音が聞える。」

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2012年2月 2日 (木)

般若寺 水仙花だより   2・2

◎水仙: ≪見ごろ≫  花・12月~2

花数・2万本

*あしたは節分、冬から春へと季節を分ける日です。しかし今年一番の寒波が来ています。北国では記録的な豪雪です。また地球上あちこちで異常な気象が現れています。

東ヨーロッパではマイナス30度の寒さで100人ほどの死者がでているそうです。またメキシコでは75年ぶりの干ばつで主食のトウモロコシが壊滅状態だそうです。あちこちで起こる異常気象の原因は太平洋の海水温の異常からきているようで、日本では東の太平洋高気圧が強すぎて西から吹く偏西風がブロックされているため、北極からの寒気団がいつもより南へ張り出しているそうです。

列島がすっぽり寒気に覆われているのです。確か去年の夏の猛暑も同じブロック現象から引き起こされていたのです。どうやら海水温の上昇は暑さ寒さの極端な気象をもたらすことが実証されたようです。これから毎年異常気象に悩まされるのでしょうか。かないませんね。

〔短歌〕

「月あかるく 白き往還(おうかん) 山にかかり

敷ける冬木の かげ凍(し)みてをり」

木下利玄・紅玉

〔俳句〕

「寒行の 跣足(はだし)の音の 聞えねど」中村汀女

「黙読の 視野その中の 水仙花」杉本美智恵

〔和歌〕

「あさ日影 さすや雲まの たえだえに

うつるもこほる 峯のしら雪」

寂恵法師・風雅817

「朝日のさし入る光は、とぎれとぎれの雲間から絶え絶えに映り、それさえも氷るように冷たく反射して見える、峯の白雪よ。」

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2012年2月 1日 (水)

般若寺 水仙花だより   2・1

◎水仙: ≪見ごろ・満開≫  花・12月~2

花数・2万本

2月、きさらぎ(如月、衣更衣)です。草木が更生、蘇生する月です。

今日は昨日に続いて、叡尊・忍性に代表される中世律宗の僧たち、すなわち律僧を研究対象にした書物を紹介します。

中世律僧のことを知ろうと思えば、まずは細川涼一氏と松尾剛次氏の著作を読んでください。細川先生は京都橘大学の教授、松尾先生は山形大学の教授で中世の寺院や僧侶のこと特に律僧の研究については当代双璧と言ってもいい先生方です。両先生ともに多くの著作を出されていますが、ここでは叡尊さん忍性さんを理解するのに役立つ本をご紹介します。

まず細川先生の本では昨日紹介した東洋文庫の二冊のほか、

『中世の律宗寺院と民衆』吉川弘文館刊(中世史研究選書)1987

が律僧の活動を世に知らしめた定評のある研究書です。

それに対し松尾先生も同じ選書で

『鎌倉新仏教の成立―入門儀礼と祖師神話』1988刊。1998年に加筆・改稿した新版を出しておられ、鎌倉時代の律宗は単なる復古運動ではなく新仏教の要素を持って活動していたことを明かされています。

松尾先生にはそのほか

『持戒の聖者 叡尊・忍性』吉川弘文館2004

『忍性―慈悲二過ギタ』ミネルヴァ日本評伝選2004

『救済の思想―叡尊教団と鎌倉新仏教』角川選書1996

『葬式仏教の誕生』平凡社新書2011

など多数あります。

両先生ともにそれまで学界ではほとんど無視されていた叡尊、忍性など律僧の活動を歴史の中で発掘、再評価された大きな功績があります。専門的には中世仏教界における位置づけに見解の違いが見られますが。

いずれにしても律僧の活動は日本仏教の弱い分野、社会的活動に大きな足跡を残していることが分かります。現代仏教も混迷の現代社会において、過去に律僧が大きく社会に働きかけた活動に学ぶべき時が来たのではないでしょうか。ご関心のある方は如上の本を読んでください

〔短歌〕

「月あかり 林穿(うが)たず くらやみに

かさこそ音す 小さきけものか」

木下利玄・紅玉

〔俳句〕

「何もなき 二月と思(も)えば 霰ふる」百合山羽公

「水仙や おん母まつる いくとせぞ」水原秋珱子

〔和歌〕

「はれそむる 雲のとだえの かたばかり

夕陽にみがく 峯のしら雪」

右大臣(二条道平)・玉葉956

「晴れはじめた雲の切れ間の所だけ、さし込む夕日の光に映えてきらきらと輝く、峯の白雪よ。」

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