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2012年5月

2012年5月31日 (木)

般若寺 春の花だより   5・31

◎初夏のコスモス(早咲種):≪三分咲き・6月満開≫

15種類。5万本。

〇チョコレートコスモス:・ブラウンルージュ

・ノエルルージュ

・ルージュルージュ

・チョコモカ ≪見ごろ≫

〇センセーション、ピコティ、ベルサイユホワイト、

ピンクポップソックス、シーシェル、スカーレット

                   ≪咲きはじめ≫

◎花菱草、矢車草、姫スイレン、ヒツジ草 ≪見ごろ≫

◎山アジサイ: ≪咲きはじめ≫  25種類。200本。

◎紫陽花: ≪つぼみ≫  10種類。150本。

 

*今日で5月、「さつき」は終わり、明日からは6月、「水無月」(みなつき)です。「みなつき」は「水の月」の意で、田に水を注ぎ入れるところから来ています。新暦では梅雨真っ最中ですからピンときませんが、旧暦の六月は梅雨が明けているので、真夏の陽光の下青々と茂る稲を育てるには水が必要となる月なのです。

コスモスはもう背たけ1メートルになっています。大きな花が咲きだしてちょっと見たところ三分咲き程度にまでなってきました。この週末くらいから見ごろになるかもしれません。コスモス、山アジサイ、花菱草、カスミ草、矢車草、スイレン、テッセン、定家カズラなど色とりどりの花々が初夏の庭を飾りたてています。

 

〔短歌〕

「山川の 川床の湯に ひたりゐて

遠夕雲に 目をはなちたり」

木下利玄・紅玉

〔俳句〕

「書肆の灯や 夏めく街の 灯の中に」五十嵐播水

〔和歌〕

「あやめふく かやが軒ばに 風過ぎて

しどろにおつる むらさめの露」

後鳥羽院御製・玉葉345

「五月の節句のために菖蒲の葺いてある、萱葺きの貧しい小家の軒端に風が吹き過ぎて、急に乱れてしたたり落ちる、たまっていた五月雨の雫よ。」

・しどろに=秩序なく乱れて。

 

☆声明・南山進流の源流聖地、中の川

実範上人、大進上人ゆかりの中川寺成身院遺跡を

訪ねましょう。

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2012年5月30日 (水)

般若寺 春の花だより   5・30

◎初夏のコスモス(早咲種):15種類。5万本。

≪咲きはじめ・6月満開≫

〇チョコレートコスモス:・ブラウンルージュ

・ノエルルージュ

・ルージュルージュ

・チョコモカ ≪見ごろ≫

〇センセーション、ピコティ、ベルサイユホワイト、

ピンクポップソックス、シーシェル、スカーレット

                   ≪咲きはじめ≫

◎花菱草、矢車草、姫スイレン、スイカズラ ≪見ごろ≫

◎山アジサイ:25種類。200本。 ≪咲きはじめ≫

◎紫陽花:10種類。150本。 ≪つぼみ≫

〇ヒツジ草 ≪咲きはじめ≫

 

*水草の姫スイレンにつづいてヒツジ草も咲いてきました。スイレンは夏を象徴する花です。気温が25度以上にならないと花は咲きません。当寺には赤花の姫スイレンが7鉢、ヒツジ草が20鉢あります。これから初秋まで咲き続けます。花の少ない夏には欠かせない水草です。

一つの花は3日咲きます。夜はしぼみますから、3回開いたあと水中に沈んで実をつけます。ヒツジ草の名の由来は、昔の時刻で未の刻(午後2時ごろ)に咲くからと言いますが、実際には午前11時ころから午後4時ごろまで咲いています。

 

〔短歌〕

「山国にて 土冷え虫の なくきけば

二人の吾子(あこ)の 墓べしのばゆ」

木下利玄・紅玉

〔俳句〕

「一つ浮く 蓮の浮き葉に たたづめり」富安風生

〔和歌〕

「けふといへば あやめばかりぞ ふきそふる

軒ばふりぬる よもぎふの宿」

権中納言公雄・玉葉343

「今日、五月五日といえば、菖蒲だけはさすがに葺き添えるよ。軒端は古びて、(本当は板を葺き添えて修繕しなければならない)蓬の生い茂った荒れ果てた家だが。」

 

☆旧伊賀伊勢道の名刹、中川寺成身院遺跡を訪ねましょう。

声明南山進流の故郷・中の川

実範上人、大進上人を顕彰しましょう。

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2012年5月29日 (火)

般若寺 春の花だより   5・29

◎初夏のコスモス(早咲種):15種類。5万本。

≪咲きはじめ・6月満開≫

〇チョコレートコスモス:・ブラウンルージュ

・ノエルルージュ

・ルージュルージュ

・チョコモカ ≪見ごろ≫

〇センセーション、ピコティ、ベルサイユホワイト、

ピンクポップソックス、シーシェル、スカーレット

 ≪咲きはじめ≫

◎花菱草、矢車草、姫スイレン、スイカズラ ≪見ごろ≫

◎山アジサイ:25種類。200本。 ≪咲きはじめ≫

◎紫陽花:10種類。150本。 ≪つぼみ≫

〇ヒツジ草 ≪6月≫

 

*雨が少ないので空気も土もカラカラに乾いています。庭では毎日水やりが欠かせません。特に植木鉢は乾きやすいですからこまめにやらないと。

紫陽花は花が大きくなり色づく直前なのに、日が照ると少しかわいそうなほど花も葉もしおれます。あじさいは乾燥が苦手。

それに引き替えコスモスの花は生き生きしています。晴れればコスモス、雨ふればアジサイとなりそうです。黄花コスモスの一種、「スカーレット」が緋色のような赤っぽい花を咲かせてきました。これは夏に強い花です。

山アジサイは小さいながらも多彩な花を見せています。「虹」「大虹」の名を持つ花は本当に虹色です。

昨日から「JR西日本サイバーステーション花だより」へ開花状況を報告しています。各地の「アジサイ情報」がネットで見られます。当寺は山アジサイ情報で出ていますので一度ご覧下さいませ。

 

〔短歌〕

「灯をもてば 廊下のてりの 足下(あしもと)に

ひややかなれや まだ宵(よ)のあさく」

木下利玄・紅玉

〔俳句〕

「声ちかき 仏法僧に 坊舎あり」木津柳芽

〔和歌〕

「さなへとる たのもの水の あさみどり

すずしき色に 山かぜぞ吹く」

前参議忠定・風雅353

「早苗を取り植える、田の表面に張った水は浅く、そこに早苗の浅緑の葉がなびいて、いかにも涼しげな色に見えるように、山風が吹いている。」

・あさみどり=水の浅い事に、早苗の色の「浅緑」をかける。

 

☆旧伊賀伊勢道にあった名刹中川寺成身院

の遺跡を訪ねましょう。

声明・南山進流の故郷、中の川を顕彰しましょう。

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2012年5月28日 (月)

般若寺 春の花だより   5・28

◎初夏のコスモス(早咲種):15種類。5万本。

≪咲きはじめ・6月満開≫

〇チョコレートコスモス:・ブラウンルージュ

・ノエルルージュ

・ルージュルージュ

・チョコモカ ≪見ごろ≫

〇センセーション、ピコティ、ベルサイユホワイト、

ピンクポップソックス、シーシェル ≪咲きはじめ≫

◎花菱草、矢車草、バイカウツギ、定家カズラ、

姫スイレン、スイカズラ ≪見ごろ≫

◎山アジサイ:25種類。200本。 ≪咲きはじめ≫

◎紫陽花:10種類。150本。 ≪つぼみ≫

〇ヒツジ草 ≪6月≫

 

*昨日は日曜日なのに、用事を済ませてから京都へ行きました。京都国立博物館の特別展「王朝文化の華・陽明文庫名宝展―宮廷貴族近衛家の一千年」です。朝に最終日であることに気づいてあわてて出かけたのでした。近衛家といえば藤原家の中の本流の家柄で藤原道長の家系です。後に九条家が分家したとき本家は近衛家を名乗ったようです。そういう名流の家が千年にもわたり古いものを保存してきたのです。中には道長自筆の国宝『御堂関白記』をはじめ国宝重要文化財の古文書がずらりと出されていました。しかし残念ながらさらさらと崩し字で書かれているので私などには歯が立ちませんでした。それと展示物には仏教色がはぶかれているようでちょっとさみしい感じでした。

『御堂関白記』は現在、講談社文庫に注釈書があります。興味のある方はお読みください。

私は今、最近出た『御堂関白集』という道長の和歌集の注釈を読んでいます。これは風間書房刊で平野由紀子著の『御堂関白集全釈』という本です(定価6000円+税)。展覧会がきっかけで関心を持つようになりました。平安王朝文化は魅力的ですね。

 

〔短歌〕

 

「縁台に 寝てあふむけば 夜霧ふる

遠星空が わが真上なり」

 

木下利玄・紅玉

 

〔俳句〕

 

「老残の ことつたはらず 業平忌」野村登四郎

 

〔和歌〕

 

「五月まつ 花のかほりに 袖しめて

雲はれぬ日の 夕ぐれの雨」

 

藤原影景綱・玉葉341

 

「五月を待つ花、昔の人を偲ぶ橘の香りに袖を深々と薫らせて、雲の垂れこめて晴れぬ一日を過ごした夕暮の、静かな雨の風情よ。」

・袖しめて=袖に香りをしみこませて。

・夕ぐれの雨=空気の湿っている時に物の香がよく薫ることを踏まえた表現。

 

☆世界に誇る仏教音楽である声明・南山進流の源流地、

中川寺成身院遺跡を保存顕彰しましょう

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2012年5月27日 (日)

般若寺 春の花だより   5・27

◎初夏のコスモス(早咲種):15種類。5万本。

≪咲きはじめ・6月満開≫

〇チョコレートコスモス:・ブラウンルージュ

・ノエルルージュ

・ルージュルージュ

・チョコモカ ≪見ごろ≫

〇センセーション、ピコティ、ベルサイユホワイト、

ピンクポップソックス、シーシェル ≪咲きはじめ≫

◎花菱草、矢車草、バイカウツギ、定家カズラ、

姫スイレン、スイカズラ ≪見ごろ≫

◎山アジサイ:25種類。200本。 ≪咲きはじめ≫

◎紫陽花:10種類。150本。 ≪つぼみ≫

〇ヒツジ草 ≪6月≫

 

*明日528日は在原業平(ありわらのなりひら)の御忌日です。業平さんは六歌仙、三十六歌仙に数えられる和歌の名人、そして美男子の代表とされます。平城天皇の孫に当たり父阿保親王とともに天皇の位を継ぐべき人であったそうです。しかし薬子の乱により、皇位は嵯峨天皇にうつり在原姓を名乗ったといいます。

あちこちに業平ゆかりの神社や寺があり、業平道、業平橋、業平の井戸が残っています。また『伊勢物語』の登場人物とも考えられ多くの伝説が生まれました。奈良の真言律宗不退寺もゆかりの寺で当日は「業平忌」が営まれます。不退寺は中世室町の頃には興福寺の僧たちによる歌会が開かれたりして文学の伝統をつたえ歴史に名を残しています。

「惜しめども 春のかぎりの 今日の日の

夕暮にさへ なりにけるかな」

(『伊勢物語』第九十一段)

 

〔短歌〕

 

「枝たわめ 桑つむ時に 唄うたへる

男の顔見ゆ 夕日にてりて」

木下利玄・紅玉

〔俳句〕

「雨安居の 筆のいろはに ほへとかな」草間時彦

〔和歌〕

「まだとらぬ さなへの葉ずゑ なびくなり

すだく蛙の 声のひびきに」

前大僧正慈鎮・風雅350

「まだ取り分けない、苗代田の早苗の葉末がなびくように見えるよ。(風もないのに)集り鳴く蛙の声の響きのために。」

・まだとらぬさなへ=田植以前の、苗代田に密植した状態の早苗。 

 

☆旧伊賀伊勢道にあった名刹中川寺成身院の跡を訪ねましょう。

声明・南山進流の故郷、中の川を顕彰しましょう。

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2012年5月26日 (土)

般若寺 春の花だより   5・26

◎初夏のコスモス(早咲種):15種類。5万本。

≪咲きはじめ・6月満開≫

〇チョコレートコスモス:・チョコモカ

・ブラウンルージュ

・ノエルルージュ

・ルージュルージュ ≪見ごろ≫

〇ベルサイユホワイト、ピコティ、センセーション、

シーシェル、ピンクポップソックス ≪咲きはじめ≫

◎花菱草、矢車草、スイカズラ、姫スイレン、 ≪見ごろ≫

◎山アジサイ:25種類。200本。 ≪咲きはじめ≫

◎紫陽花:10種類。150本。 ≪つぼみ≫

〇ヒツジ草 ≪6月≫

 

*きのうは少し雨が降って花も人も一息つけました。今月は雨がよく振ったように思いますが、雨量は極端に少ないそうです。平年の十分の一だそうです。それで土が乾いているのですね。植木鉢をひっくり返すと下半分はカラカラ状態です。もうすぐ梅雨がやって来るというのに水不足だなんて信じられません。

*昨日一冊の本を頂戴いたしました。それは『寧波と宋風石造文化』という本です。汲古書院の「東アジア海域叢書」シリーズの第10巻としてつい最近出版されました。編著者は山川均先生です。先生からの御寄贈でした。さっそく開いてみると、9名の研究者による論集です。般若寺の十三重石塔と笠塔婆も取り上げられています。テーマは鎌倉時代に奈良を中心に活躍した宋人石工のルーツを探る研究です。今までは中国にまでさかのぼった研究はお目にかかれませんでしたから、石造文化研究に新境地を開かれたのだと思います。関心のおありの方はご購読ください。(定価7,350円です)

 

 

〔短歌〕

「堤下(どてした)の 桑の立木に あつかりし

日は夕づきて きらめく川水」

木下利玄・紅玉

〔俳句〕

「くっきりと 真紅の薔薇に 葉かげかな」高野素十

〔和歌〕

「月のこる ねざめの空の 時鳥

さらにおきいでて なごりをぞきく」

前大納言為兼:玉葉340

「有明月の残る、寝覚の空を鳴き過ぎた時鳥よ。感動に堪えず、更に起き出して月を眺めながら声の余韻を味わうよ。」

 

☆日本の古典音楽、声明の源流聖地・中の川、

奈良仏教の名刹・中川寺成身院遺跡を訪れましょう。

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2012年5月25日 (金)

般若寺 春の花だより   5・25

◎初夏のコスモス(早咲種):15種類。5万本。

≪咲きはじめ・6月満開≫

〇チョコレートコスモス:・チョコモカ

・ブラウンルージュ

・ノエルルージュ

・ルージュルージュ≪見ごろ≫

・センセーション、シーシェル、ベルサイユホワイト、

ピンクポップソックス、ピコティ ≪咲きはじめ≫

◎矢車草、花菱草、定家葛、すいかずら、

姫スイレン、梅花空木 ≪見ごろ≫

◎山アジサイ:25種類。200本。 ≪咲きはじめ≫

◎紫陽花:10種類。150本。 ≪つぼみ≫

〇ヒツジ草 ≪6月≫

 

*今日は当寺のご本尊、文殊菩薩さまの月例ご縁日です。午後1時半から法要を営みます。

「獅子の背の 菩薩涼しく おがまるる」藤岡玉骨

時候はもう夏になって来たようで暑さがつづいています。

月が替われば梅雨が待っています。ジメジメ蒸し蒸しする季節の到来です。

いましばらくは春の名残を楽しみたいですね。

 

〔短歌〕

「峡ふかく 光乏しも たたへたる

湿りに飽きて 羊歯はゆるがず」

木下利玄・紅玉

〔俳句〕

「朝の用 なかれと思ひ 新茶汲む」水原秋桜子

〔和歌〕

「あふちさく 梢に雨は ややはれて

軒のあやめに 残るたま水」

前大納言経親・風雅346

「アフチの咲く梢に、雨はようやく晴れて、軒に葺いた菖蒲の葉には、まだ玉のような雨水の雫が残っている。」

・あふち=センダンの古名。初夏の頃、薄紫の小さな花が樹上に高く群がり咲く。

☆日本音楽の源流地・中の川、

平安時代の碩学、実範上人ゆかりの

中川寺成身院跡を保存顕彰しましょう

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2012年5月24日 (木)

般若寺 春の花だより   5・24

 

◎初夏のコスモス(早咲種):15種類。5万本。

 

≪咲きはじめ・6月満開≫

 

・チョコレートコスモス :・チョコモカ

 

・ブラウンルージュ

 

・ルージュルージュ

 

・ノエルルージュ ≪見ごろ≫

 

・センセーション、ピコティ、ピンクポップソックス、

 

シーシェル、ベルサイユホワイト≪咲きはじめ≫

 

◎梅花空木、花菱草、矢車草、鉄線、定家葛、

 

忍冬・姫睡蓮 ≪見ごろ≫

 

◎山紫陽花:25種類。200本。 ≪咲きはじめ≫

 

◎紫陽花:10種類。150本。 ≪つぼみ≫

 

〇未草 ≪6月≫

 

 

*今日、コスモスの背たけを計ってみたら、平均80センチ、高いのは1メートルありました。順調に育っています。花も日に日に数が増えています。

 

なんといっても頂上に咲く一番花は大きいです。10センチあるのも見られます。この時期台風の心配がありませんので、支柱や紐を張ったりしません。自然のままに育てています。

 

5月はあと1週間ありますから、6月に入れば見ごろ、満開になると思われます。紫陽花より先に≪見ごろ≫を迎えるかもしれません。お先に失礼。

 

 

〔短歌〕

 

「峡(かひ)ふかく 乏(とも)しき光 保ちつつ

 

植物の葉の つぶさに青し」

 

木下利玄・紅玉

 

 

〔俳句〕

 

「白日の 額の藍こそ 淡々し」馬場移公子

 

 

〔和歌〕

 

「わがための 初音とのみや 時鳥

 

おなじね覚の 人はきくらん」

 

平宣直・玉葉333

 

「自分のためにわざわざ鳴いた初音だと,今鳴いた時鳥を、私と同じ時に目をさました人は、やはり私と同じように思って聞くのだろうな。(嬉しいような、口惜しいような)」

 

 

☆平安時代の名僧、実範上人ゆかりの

 

中川寺成身院跡を保存顕彰しましょう。

 

関連遺跡、牛塚・護摩石・実範上人御廟塔

 

を訪れましょう

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2012年5月23日 (水)

般若寺 春の花だより   5・23

◎初夏のコスモス(早咲種):15種類。5万本。

≪花期・5月下旬~7月≫

・チョコレートコスモス ≪見ごろ≫

・ベルサイユホワイト、ピンクポップソックス、

シーシェル、ピコティ、センセーション≪咲きはじめ≫

 

◎梅花空木、矢車草、花菱草、定家葛、鉄線、

忍冬(すいかずら)、姫睡蓮、≪見ごろ≫

 

◎山紫陽花:25種類。200本。 ≪咲きはじめ≫

◎紫陽花:10種類。150本。 ≪つぼみ≫

 

〇未草 ≪6月≫

 

*今、崩れかかった土塀に忍冬(スイカズラ)の花が咲いています。

当寺の境内に昔から生えている野生のつる性の木です。花は23センチの筒状の花で、花先が五つに裂け四弁は上に反り、一弁は下に反り長い雄しべ雌しべが出ていて芳香を放っています。

 

「忍冬 一連風に 漂へる」今井つる女

 

花の色は最初は白色、あとから黄色に変わるので「金銀花」(きんぎんか)とも言います。葉は冬を耐え忍ぶように緑を保っているので「忍冬」(にんどう)の名がついています。

 

そして「吸い葛」(すいかずら)の由来は、昔、花を口にくわえて蜜を吸ったことからついた名です。花も幹や葉も漢方薬に利用され、抗菌、解毒、解熱、利尿、健胃など様々な効用があるそうです。少し湿った土地を好むので、日陰でも育ちます。

 

〔短歌〕

 

「今の鳥は この樹にゐるに ちがひなし

ひそかに枝葉の 中を見上ぐる」

 

木下利玄・紅玉

 

〔俳句〕

 

「鮎釣りの ひとりひとりの 瀬のすがた」相馬黄枝

 

〔和歌〕

 

「あやめをば ふきそふれども 五月雨の

ふるやの軒は もるにぞありける」

 

前大納言尊氏・風雅344

 

「菖蒲を(五月の節句に)葺き加えるけれども、それでも五月雨の降る、古い家の軒は雨漏りがするのだなあ。」

 

・あやめ=菖蒲。端午の節句に軒にさして邪気を払う。

・ふるや=五月雨の「降る」に「古家」をかける。

 

☆日本の古典音楽・声明の源流聖地「中の川」、

奈良仏教界の名刹・中川寺成身院跡を

保存顕彰しましょう。

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2012年5月22日 (火)

般若寺 春の花だより   5・22

◎初夏のコスモス(早咲種):15種類。5万本。

≪花期・5月下旬~7月≫

・チョコレートコスモス ≪見ごろ≫

・ベルサイユホワイト、ピンクポップソックス、

ピコティ、センセーション、≪咲きはじめ≫

 

◎梅花空木、花菱草、矢車草、鉄線、定家葛、

忍冬、姫睡蓮、檀 ≪見ごろ≫

 

◎山アジサイ:25種類。200本。 ≪咲きはじめ≫

◎紫陽花:10種類。150本。 ≪つぼみ≫

 

〇未草 ≪6月≫

 

*コスモスの花はまだほんの咲きはじめです。それでも大きな花が咲いています。そしてコスモスの葉の緑がきれいです。秋にはこのような葉っぱのみずみずしさは見られません。真夏の40度近い暑さをくぐりぬけて秋を迎えるのですから仕方のないことです。花数からいえば、初夏の花は少ないです。一本の茎から咲く数が少ないからでしょうが。その分花は大きくて見栄えがします。

 

紫陽花が咲く頃には見ごろとなってきます。以前から当寺は、紫陽花の名所に数えられているのですが、コスモスが咲くようになって主役が交代したようです。アジサイ寺はあちこち一杯ありますから、こちらは遠慮してコスモス寺で行きたいと思います。

 

 

〔短歌〕

 

「大き鳥 入りし樹に行き 耳すまし

梢(うれ)のけはひを うかがひにけり」

 

木下利玄・紅玉

 

〔俳句〕

 

「水晶の 念珠に映る 若葉かな」川端茅舎

 

〔和歌〕

 

「ほととぎす 空に声して 卯花の

かきねもしろく 月ぞ出でぬる」

 

永福門院・玉葉319

 

「時鳥が空に一声、鋭い声で鳴き過ぎ、卯の花の咲く垣根も一入白々と映えて、月が出たことよ。」

 

☆南山進流の源流聖地「中の川」、奈良仏教の

名刹成身院跡を保存顕彰しましょう。

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2012年5月21日 (月)

般若寺 春の花だより   5・21

◎初夏のコスモス(早咲種):15種類。5万本。

≪花期・5月下旬~7月≫

・チョコレートコスモス ≪見ごろ≫

・ベルサイユ、ピコティ、センセーション、

              ピンクポップソックス ≪咲きはじめ≫

 

◎矢車草、梅花うつぎ、花菱草、姫睡蓮、

          てっせん、定家かずら、 ≪見ごろ≫

 

◎山あじさい:25種類。200本。 ≪咲きはじめ≫

◎紫陽花:10種類。150本。 ≪つぼみ≫

 

〇未草 ≪6月≫

 

*当寺境内では、今いろいろな花が咲き競っています。中でも花菱草のあざやかな黄と白の菱形の花が際立っています。花菱草といえば木下利玄さんの歌が思い起こされます。

 

「愛らしき 金のさかづき さし上げて

月のひかりくむ 花菱草よ」(歌集『銀』)

 

*中川上人実範さんは調べれば調べるほど偉大な学僧であることが解ってきます。平安後期の奈良仏教界では随一でしょう。興福寺では法相宗を学び、さらに真言密教・天台・律・浄土教を修められます。また声明の達人でもありました。推測では20代のころに成身院(じょうしんいん)を開基されています。

 

佐藤哲英氏の『念仏式の研究』によれば、「覚鑁が高野山上に建てた大伝法院と相並ぶ荘厳華麗な密教寺院であったらしい。まず本尊は康助の作とつたえる金剛界の大日如来であり、本尊の左右の壁には両界曼荼羅をかけ、西方の背壁には竜樹菩薩が南天の鉄塔を開いて金剛頂経を得た場面の壁画があり、東方の背壁には善無畏三蔵が金粟王塔下で大日経供養法を感見する場面が描かれていた。しかもこの壁画は東大寺系の三論学者であり、当代第一の画僧であった珍海已講の筆になり、色紙型に書かれた龍樹・善無畏銘文は、内大臣藤原忠通の筆であったという。このように成身院はその寺名が「即身成仏の寺」を意味しているばかりか、本堂の荘厳なども全く密教様式をとっているので、南都に創建された純然たる密教寺院のはじめであることが知られる。」とあり、

 

真言密教を主にして、法相宗・天台宗・律宗・声明を総合的に修学する学問寺であったようです。晩年には浄土教も修学され密教と浄土教を融合した信仰を説かれています。

 

〔短歌〕

 

「吾子よ吾子よ 生きてだにあらば かい抱き

いやますますに いつくしまましを」

 

木下利玄・紅玉

 

〔俳句〕

 

「花いばら 故郷の路に 似たるかな」与謝蕪村

 

〔和歌〕

 

「ゆふかけて いづちゆくらむ ほととぎす

神なび山に 今ぞなくなる」

 

藤原仲実朝臣・風雅339

 

「時鳥の、十分に声を味わいもしないうちに飛び過ぎてしまった名残の空を、(せめて月を眺めてしのぶ、というのが普通だろうが)月がないといって眺めずに居られるものか。」

 

☆仏教音楽、声明・南山進流の源流聖地、「中の川」を

環境破壊から守りましょう。関連遺跡、「中川寺跡」

「牛塚」「護摩石」を探訪しましょう。Img_9121Img_9133Img_9135003

 

 

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2012年5月20日 (日)

般若寺 春の花だより   5・20

◎初夏のコスモス(早咲種):15種類。5万本。

≪花期・5月下旬~7月≫

・チョコレートコスモス ≪見ごろ≫

・ベルサイユホワイト、ピンクポップソックス、

ピコティ、センセーション ≪咲きはじめ≫

 

◎バイカウツギ、矢車草、花菱草、姫スイレン、

バナナの木、テッセン、定家カズラ ≪見ごろ≫

 

◎山アジサイ:25種類。200本。≪つぼみ≫

◎紫陽花:10種類。150本。≪つぼみ≫

 

〇ヒツジ草 ≪6月≫

 

*初夏のコスモスは今伸び盛りです。大きいのは背丈が90センチになりました。

花はいろんな種類が次々と咲きだしています。特に今目立つのはベルサイユという種類です。ホワイト、レッド、ピンクと三種類あり、大きなしっかりした花が咲いています。名前の由来は、フランスのベルサイユ宮殿と関係があるようです。ガイドブックを見ると、宮殿の花園にコスモスが写っています。この品種を開発した人はベルサイユ宮殿のイメージにぴったり合うと考えたのでしょう。当寺ではベルサイユコスモスと呼ぶことにしています。

 

今の花は7月半ばまで咲く予定ですが、翌月に花がなくなるのはさびしいので、今年は初めて8月のコスモスに挑戦します。本数は少ないけれど、大変珍しいコスモスになりそうです。実は昨日種まきをしました。6種類で数千本の予定です。秋9月まで咲き続けるでしょう、お楽しみに。

 

〔短歌〕

 

「何事も 今は甲斐なき 吾子なれば

野辺に送らん いとなみするも」

 

木下利玄・紅玉

 

〔俳句〕

 

「明易や 仏もわれも 無一物」津川五然夢

 

〔和歌〕

 

「月だにも 心つくさぬ 山のはに

まつよひ過ぐる ほととぎす哉」

 

前大納言為氏・玉葉311

 

「月でさえも気をもませずに山の端に姿を見せたのに、その山の端に声がするかと待っている夕暮を過ぎても、ちっとも鳴かない時鳥だなあ。」

 

・心つくさぬ=心づくしをさせない、いらいらと待ちかねさせない。

 

☆日本の古典音楽・声明の源流聖地「中の川」、

実範上人の中川寺成身院跡を守りましょう。

日本文化を大切にしたいと思われる方は

「中の川」に関心をお寄せください。

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2012年5月19日 (土)

般若寺 春の花だより   5・19

◎初夏のコスモス(早咲種):15種類。5万本。

≪花期・5月下旬~7月≫

・チョコレートコスモス ≪見ごろ≫

・ベルサイユホワイト、ピンクポップソックス、

ピコティ、センセーション ≪咲きはじめ≫

 

◎バイカウツギ、矢車草、花菱草、テッセン、

黄菖蒲、姫スイレン、定家カズラ ≪見ごろ≫

 

◎山アジサイ:25種類。200本。≪つぼみ≫

◎紫陽花:10種類。150本 ≪つぼみ≫

 

〇ヒツジ草 ≪6月≫

 

*テイカカズラが咲きだしました。当寺では自然に生育している状態で、雑木を這い上がったツタが門の屋根を半分覆いつくし、さらにコンクリートの塀をも完全にカバーしています。

 

常緑ですから冬場の緑は貴重です。花はまっ白でいい匂いがします。ある本ではジャスミンの香りと書いてありました。満開になれば近くへ寄ると酔いそうなほどの匂いです。花の形は1センチの大きさで、筒状の先が五裂してねじれているのでプロペラの様です。

 

「定家葛」の名の起こりは、お能の謡曲『定家』に由来します。式子内親王に恋して亡くなった定家の魂が、ツタに身を変えて内親王の墓にまといついていたという話です。いまでは「テイカカズラ」の名がよく知られますが、このツタの古名は「柾葛」(まさきかずら)と言います。

 

 

〔短歌〕

 

「金輪際 なくなれる子を 声かぎり

この世のものの 呼びにけるかな」

 

木下利玄・紅玉

 

〔俳句〕

 

「草に咲く あやめかなしく 旅遠し」富安風生

 

〔和歌〕

 

「ほととぎす 横雲かすむ 山のはの

在明の月に 猶ぞかたらふ」

 

式子内親王・風雅333

 

「時鳥は、横雲がほのぼのと霞んで明けて来る山の端に残る、有明の月を惜しんで、今もまだやさしく語りかけるように鳴いているよ。」

 

☆日本の仏教音楽の源流聖地、「中の川」を環境破壊から守りましょう☆

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2012年5月18日 (金)

般若寺 春の花だより   5・18

◎初夏のコスモス(早咲種):15種類。5万本。

≪花期・5月末~7月≫

・チョコレートコスモス ≪見ごろ≫

・ピコティ、ベルサイユ、ピンクポップソックス≪咲きはじめ≫

 

◎山アジサイ:20種類。200本 ≪つぼみ≫

 

◎紫陽花:10種類。150本 ≪つぼみ≫

 

◎バイカウツギ(梅花空木)、矢車草、花菱草、グラジオラス、

テッセン、バナナの木 ≪見ごろ≫

 

〇ヒツジ草 ≪6月≫

 

3メートルほどの木に純白の花を咲かせる、梅花空木が一気に咲いてきました。房状の花が多い空木の中でも、この種類は花が一つ一つ離れているので梅の花のように見えます。

 

*明日、519日は奈良市五条町の唐招提寺で「うちわまき」があります。

 

これは唐招提寺を鎌倉時代に中興した覚盛(かくじょう)上人の忌日に、菩薩戒経『梵網経』(ぼんもうきょう)を講讃して遺徳を偲ぶ「梵網会」(ぼんもうえ)に付随して行われる行事です。

 

覚盛さんは興福寺に出家し、解脱貞慶(じょうけい)が設立した戒律道場「常喜院」で研鑽をつみ、円晴、有厳、叡尊らと同心合力して戒律復興を成し遂げられた高僧です。東大寺戒壇院での受戒制度とは別個の受戒を行ったので、最近では「遁世僧」とか「新義律宗」と呼ばれます。菩薩の戒を重視して衆生済度を行い、後年「大悲菩薩」とおくり名されました。西大寺の叡尊興正菩薩と双璧と言われます。建長元年(1149)519日、56歳で入寂されました。

 

生前、弟子たちに、講義中にたかってくる蚊などの虫を、団扇で追い払ったり殺生することを戒められたことから、忌日には団扇を御霊前にお供えするようになったそうです。参詣者には魔除けのお守りとして楼上からまかれます。

 

「足元へ 慈悲のひと投げ 団扇撒き」岩鼻十三女

 

〔短歌〕

 

「わが妻と ぢつと眼(まなこ)を みあはせぬ

この吾子も亦 今死なんとす」

 

木下利玄・紅玉

 

〔俳句〕

 

「柿の花 土塀の上に こぼれけり」正岡子規

 

〔和歌〕

 

「時鳥 なくべき里を さだめねば

けふも山ぢを 尋ねくらしつ」

 

源道済・玉葉307

 

「時鳥は鳴くはずの里をきちんと決めていないものだから、今日もあちこちの山を尋ね歩いて、一日中過ごしてしまったよ。」

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2012年5月17日 (木)

般若寺 春の花だより   5・17

◎初夏のコスモス(早咲種):15種類。5万本。

≪花期・5月末~7月≫

・チョコレートコスモス ≪見ごろ≫

・ピコティ、ベルサイユ、ピンクポップソックス≪咲きはじめ≫

◎山アジサイ:25種類。200本。 ≪つぼみ≫

◎紫陽花:10種類。150本。 ≪つぼみ≫

◎梅花空木(ばいかうつぎ)、矢車草、花菱草、グラジオラス、

テッセン、バナナの木 ≪見ごろ≫

〇ヒツジ草 ≪6月≫

*一昨日、雨の中を滋賀県甲賀市の土山(つちやま)という、昔の東海道五十三次の宿場町へ行きました。土山は江戸から数えて49番目の宿場です。前に一度行ったことがあるので、道順や所要時間は判っていたのですが、3時までに奈良へ帰らなければならない事情があったので大変忙しいドライブでした。

「坂は照る照る 鈴鹿は曇る あいの土山 雨が降る」(鈴鹿馬子唄)

途中信楽で花瓶を買って土山へ直行でした。前日は信楽高原鉄道の大事故があった日、とのテレビ報道があったその地を通りました。もう21年たったそうです。こんなのどかな所で悲惨な大事故があったとは信じられないくらいです。今は鉄道の上高くに高速道路が走り、インターもあるので付近の様子が変わっています。そこを過ぎれば霊山・飯道山(はんどうさん)の麓を抜けて水口(みなくち)に出ます。水口も東海道の50番目の宿場、そして城下町でもある甲賀地域の中心地です。

ここから旧東海道に沿って国道一号線を数キロ東に土山宿があります。取り立てて何もないのですが、宿場町の由緒を保存しようと努力しておられる様子が窺われほほえましいです。旧道沿いに「常安寺」という禅寺があり、後水尾法皇の御影像と位牌を安置したお堂がありました。ここは土山茶の発祥の寺で名残の茶の木と顕彰の石碑もあります。山門は大きな梵鐘をつるした鐘楼門で、屋根と間口がずれているちょっとユニークな形です。

街道には5メートルを超える自然石づくりでは日本一の石灯籠、「万人講灯籠」があるのですが、残念ながら時間切れで行けませんでした。後日のお楽しみにとっておきます。水口の野洲川の渡しにもさらに巨大な9メートルを超える石灯籠があります。江戸時代の人は大きいものが好きだったのでしょうか。

〔短歌〕

「いとし子の 臥床(ふしど)によりそひ その額(ぬか)に

手おけば熱し かはゆきものを」

木下利玄・紅玉

〔俳句〕

「うすうすと 空に日はあり 蕗の原」田村木國

〔和歌〕

「おりはへて いまここになく 郭公

きよくすずしき 声の色かな」

前大納言為兼・風雅322

「ずっと引続いて、いまここで鳴いている時鳥よ。(聞けば聞くほど)清らかに涼しい声の味わいだなあ。」

おりはへて=折延へて。ずっと時を引きのばして。引き続いて。

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2012年5月16日 (水)

般若寺 春の花だより   5・16

 

◎初夏のコスモス(早咲種):15種類。5万本

≪花期・5月末~7月≫

・チョコレートコスモス ≪見ごろ≫

・ピコティ、ベルサイユ、ピンクポップソックス≪咲きはじめ≫

 

◎山アジサイ:25種類。200本。 ≪つぼみ≫

◎紫陽花:10種類。150本 ≪つぼみ≫

 

◎矢車草、花菱草、グラジオラス、鉄線、バナナの木、黄菖蒲

≪見ごろ≫

〇空木、≪つぼみ≫  〇ヒツジ草 ≪6月≫

 

*秋のコスモス・秋桜については有名無名の俳句が大量に作られています。

それに引き替え、春から初夏に咲くコスモスを詠んだ俳句はいまだお目にかかれません。まだ歴史が浅いのと、コスモスは秋の花と固定されているので夏の句としては作りづらいのかもしれません。

型破りな初夏の句をどうぞ。

 

「あじさいに コスモスの花 色を添え」

 

「夏蝶や コスモス花を 飛びわたる」

 

「新緑に コスモスの花 赤白く」

 

初夏のコスモスが世の人に認められ定着するまで幾歳月かかるやら。

 

〔短歌〕

 

「灰色に 埃かかれる かなめ垣

うるほふ雨に 矢来を通る」

 

木下利玄・銀

 

〔俳句〕

 

「麦秋の 色となりゆく 風わたる」佐藤路草

 

〔和歌〕

 

「月かげの もるかと見えて 夏木立

しげれる庭に さける卯花」

 

前中納言経親・玉葉306

 

「月光がさし込むのかと見えるほどに、夏の木立の透間もなく茂った庭に咲いている、まっ白な卯の花よ。」

 

夏木立=夏のよく茂った木立。月影の洩る余地もないにもかかわらず、卯の花が咲いて月光に見まがう意。

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2012年5月15日 (火)

般若寺 春の花だより   5・15

 

◎初夏のコスモス(早咲種):15種類。5万本。

5月末~7月≫

・チョコレートコスモス ≪見ごろ≫

・ピコティ、ベルサイユ、ピンクポップソックス≪咲きはじめ≫

 

◎山アジサイ:25種類。200本。 ≪つぼみ≫

◎紫陽花:10種類。150本。 ≪つぼみ≫

 

〇矢車草、花菱草、グラジオラス、鉄線、バナナの木≪見ごろ≫

・空木、ヒツジ草 ≪5月後半≫

 

*きのう汗を拭くのにタオル手拭いを手に取ると、京都西六條「井筒法衣店」と書いてあり、次のような文が見えました。

 

「つつゐづつ 井筒にかけし まろがたけ」と読めます。

 

衣屋さんの宣伝文句かなと調べてみると、これは『伊勢物語』の第二十三段「筒井筒」に出る歌の前段でした。後ろは

 

「過ぎにけらしな 妹見ざるまに」です。

 

中村真一郎さんの解釈では「幼い頃、あの井戸のかこいの筒とせいくらべをした私の背たけも、すっかり高く伸びてしまったようだ、あなたと逢わないでいる間に・・・。」

それにたいする女の返歌としては

「くらべこし 振分髪も 肩すぎぬ

君ならずして 誰かあぐべき」

 

(あなたと長さをくらべ合ってきた私の振分髪も、もう肩をすぎるまでのびてしまいました。夫となるあなたのためでなくて誰のためにこの髪を上げましょうか。)

 

衣屋さんもなかなか粋な手拭いを作っておられますな。

 

 

〔短歌〕

 

「汽船(ふね)に居て 湊の町の わか葉見る

陸にも海にも 昼の日光る」

 

木下利玄・銀

 

〔俳句〕

 

「若葉して 御めの雫 ぬぐはばや」松尾芭蕉

 

〔和歌〕

 

「我がための こゑにもあらじ ほととぎす

かたらへとしも など思ふらむ」

 

                      鷹司院按察・風雅315

 

「私のために特別に鳴いてくれる声でもあるまいに、時鳥よ、早く来て親しく話しかけてくれ、と、どうして思うのだろうか。」

 

かたらへ=時鳥の低い地鳴きの声を、特に「かたらふ」という。その慣用表現をとらえての軽い疑問、諧謔。

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2012年5月14日 (月)

般若寺 春の花だより   5・14




◎初夏のコスモス(早咲種):
15種類。5万本。

5月末~7月≫

・チョコレートコスモス ≪見ごろ≫

・ピコティ、ベルサイユ、ピンクポップソックス≪咲きはじめ≫

 

◎山アジサイ:25種類。200本。≪つぼみ≫

◎紫陽花:10種類。150本。≪つぼみ≫

 

〇矢車草、花菱草、グラジオラス、鉄線、バナナの木≪見ごろ≫

 

・空木、ヒツジ草 ≪5月後半≫

 

*朝晩の温度差が大きくて体調を崩しそうです。そして空気がカラカラに乾いています。植木鉢や庭の草花に水やりが欠かせません。今日は夕方には雨になるかもしれません、少しお湿りがほしいですね。

 

*今日は奈良県葛城市の当麻寺で「練供養」(ねりくよう)があります。

 

「附き人が 菩薩を煽ぐ 練供養」右城暮石

 

中将姫の伝説と国宝の「当麻曼荼羅」で知られる当麻寺の練供養は、阿弥陀如来の西方極楽浄土から、観音菩薩をはじめとする二十五菩薩が中将姫を来迎に来る様子を再現する一種の仮面劇です。極楽浄土に見立てた曼荼羅堂(この日は極楽堂と呼ばれる)と娑婆堂(中将姫がおられるこの世)の間に来迎橋がかけられ、大きな面をつけ装束を来た菩薩衆が極楽から娑婆世界へお練りしてやってきて、娑婆堂の中将姫をお迎えして極楽堂へ帰っていきます。奈良には他に、矢田寺、久米寺でも同様のお練供養がありますが、当麻寺のものが一番大がかりで有名です。

 

 

〔短歌〕

 

「舞ひ終へて 扇を前に 会釈する

舞妓が肩の 息なつかしむ」

 

木下利玄・銀

 

〔俳句〕

 

「目には青葉 山ほととぎす はつ鰹」素堂

 

〔和歌〕

 

「時やいつ 空にしられぬ 月雪の

色をうつして さける卯花」

 

二品法親王覚助・玉葉305

 

「一体、季節はいつなんだろう。空では関知しない月や雪の色をそっくりそのままにまねて、盛りに咲いている卯の花よ。(今は夏か秋か、それとも冬なのか)」

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2012年5月13日 (日)

般若寺 春の花だより   5・13

◎初夏のコスモス(早咲種):15種類。5万本。

5月末~7月≫

・チョコレートコスモス、ピコティ ≪咲きはじめ≫

 

〇矢車草、花菱草、鉄線、グラジオラス、黄菖蒲、

    オオデマリ、バナナの木 ≪見ごろ≫

 

〇山アジサイ、空木、忍冬 ≪つぼみ・5月後半開花≫

〇紫陽花、ヒツジ草 ≪6月≫

 

 

*季節が一気に3月に戻ったように寒かったです。あちこちで霜注意報が出ました。しばらく夏と冬の繰り返しです。

 

きのうは一日中庭仕事をしました。ほどよい寒さで汗をかくことはありませんでした。春、ビニールポットにコスモスの新品種を種まきしておいたのが大きくなり植えつけの時期となってきました。

 

植え付け作業は土を耕して穴に苗を挿してやればいいだけですから簡単です。しかししばらく乾燥していたので土は堅いです。

初めのうちはクワで耕していたのですが、あまりにもかたいので機械にご出動願いました。やっぱり機械は強力です。通路沿いのまだ植えていないところをほぼ全域耕すことができました。今日は植え付けです。

 

いまコスモス新品種の中では、ベルサイユという種類が早くも蕾をつけています。ホワイト・ピンク・レッドと三種類あって、それぞれ鮮やかな色のかっちりとした花です。花芯が菊咲のピンクポップソックスというのもちらほら咲いています。

 

もうすぐ初夏のコスモスシーズン到来です。それまでは矢車草や花菱草、鉄線など春の花々に頑張っていただきます。

 

 

〔短歌〕

 

「紅薔薇 見し眼を移す 白百合の

そのうす青さ 君が頬に見る」

 

木下利玄・銀

 

〔俳句〕

 

「白々と 何の新樹か 吹かれ立つ」高木晴子

 

〔和歌〕

 

「あはれとや 神もみあれに あふひ草

二葉よりこそ 憑みそめしか」

 

兵衛督。風雅313

 

「いとおしい者と、神も御阿礼(みあれ)の神事に際して御覧下さるだろうか。二葉葵に象徴される賀茂の社を、私はほんの幼い頃から信仰して来たことだ。」

 

・神もみあれに=「御阿礼」は祭神降誕の意で、賀茂祭(陰暦四月中酉日)の前日に行う神招きの神事。「あはれと神も見」をかける。

・あふひ草=賀茂祭に鬘として用いるフタバアオイ。賀茂社の象徴。「みあれに逢ふ」をかける。

・二葉=芽を出したばかりの二葉。人の幼少の時をたとえる。また「葵」の縁語。

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2012年5月12日 (土)

般若寺 春の花だより   5・12

◎初夏のコスモス(早咲種):15種類。5万本。

≪5月末~7月≫

・チョコレートコスモス、ピコティ ≪咲きはじめ≫

 

〇矢車草、花菱草、鉄線、大デマリ、金鳳花、

バナナの木(唐種オガタマ)、グラジオラス≪みごろ≫

 

・山アジサイ、空木、黄菖蒲、忍冬 ≪5月後半≫

・紫陽花、ヒツジ草 ≪6月≫

 

 

*きのう「中の川史跡ハイキング」に行ってきました。私はミニバイクで行ったのですが、一時間以上早く着いたので、一人で実範上人塔のある寺跡へ行って塔に積った落ち葉を取り去り掃除をしました。それでも時間が余ったので周囲の寺跡一帯を調べました。

 

御廟の後ろ側に細い道があるのでたどってみると、小川が流れ込む沼のところで道は密林にふさがれ前へ進めなくなります。ふと右手の土手を見ると、なんと石垣があるではありませんか。ほんの2メートルくらいで途切れ、続きは高さ3メートルの崖になり、残りは崩れた土砂の下に埋もれているようです。石垣の上に何か建築物があったように平地が広がります。さらに沼地のわきに石組がありました。2個の立った石を中心に56個の石が組まれています。それほど大きくはありませんが、庭園に見られる「滝口」のようです。そう思って沼をよく見ると、元は池であったのが埋もれているようです。そして道は池のほとりを周回するようについています。平安時代の寺には庭園の池があることが多い(浄瑠璃寺や円成寺のように)のでここもそうかもしれません。

 

今は寺跡へは東の高い道路から西へ下って入りますが、沼の道が続く先は伊賀伊勢道ですから、逆に西の街道から来れば池が寺の入口にあることになり、寺はのぼり傾斜の谷一帯に伽藍があったのでしょう。いちど伊賀伊勢道から中川寺跡へ入りたいものです。

 

そして沼へ流れ込む小川をさかのぼってみると、御廟の南側下段の平地からの排水路が小川に出るところにも石組が壊れた状態で見られます。かつての中川寺はこの小川を挟んで両側の谷あいの平地に伽藍があったと思われます。この川の景観は京都大原の声明発祥地にある「呂の川」、「律の川」に似ています。声明を学ぶ僧たちが川のせせらぎの音を聞いて音階を学んだといいます。ここでもこの小川の音が重要な意味を持っていたのでしょうか。

ただ一人でここ平安の時代に栄えた声明の聖地に身を置いてみて、宗教的感慨に浸ることができた一時でした。

 

中の川バス停へ戻ると路線バスがつきました。すると続々ハイキング姿の一団が降りてこられました。準備をしていた20部の資料では足りません、総勢30人はおられたでしょう。みなさん大きな関心を持って来ておられる様子がうかがえました。

バス停横のお地蔵様を出発点に、まず村の惣墓へ向かいます。途中の辻々に古い石仏石塔がまつられ、中に鎌倉時代の塔の梵字四方仏(元は牛塚にあったもう一つの十三重塔のものか)を確認でき、三社神社には大きな五輪塔の水輪が見つかりました。惣墓でも室町時代の石碑などいくつも貴重なものが見つかり、また新たにこの地の歴史の深さを再認識いたしました。

 

次に中川寺成身院跡の実範上人廟塔へご案内し、声明の歴史を説明し、塔前にて梵讃の声明を唱えて上人の遺徳を称えました。ご参加の皆様にはこの寺跡と御廟のいかに重要であるかをご理解いただけたと思います。

同行の北村拓也奈良市議会議員もこんな重要な場所を放置しているのは行政の遅れであるとおっしゃっていただいたので大変心強いです。

 

御廟所を後にして牛塚に向かい、お弁当の時間となり、塔の下で皆さん歓談しておられる中を、私は所用のため般若寺へ戻りました。おそらくその後、皆さんは石造美術研究家の縄田氏のご案内で護摩石まで行かれたことと思います。

 

 

〔短歌〕

 

「初夏の 真昼の野辺の 青草に

そのかげおとし 立てる樫の木」

 

木下利玄・銀

 

〔俳句〕

 

「うの花の 絶間たたかん 闇の門」向井去来

 

〔和歌〕

 

「卯花の ちらぬかぎりは 山里の

このしたやみも あらじとぞ思ふ」

 

前大納言公任・玉葉302

 

「卯の花の散らないうちは、その白さに映えて、山里でも木の下闇なんてものはないだろうと思うよ。」

 

・卯花=落葉灌木ウツギの花。初夏に白い五弁の花の群がり咲くさまが、月光や雪にたとえられる。

・このしたやみ=夏、枝葉が茂り木の下が暗いこと。またその場所。

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2012年5月11日 (金)

般若寺 春の花だより   5・11

◎初夏のコスモス(早咲種):15種類。5万本。

5月末~7月≫

・チョコレートコスモス、ピコティ ≪咲きはじめ≫

 

〇矢車草、花菱草、シャガ、鉄線、大デマリ、

バナナの木(唐種オガタマ) ≪見ごろ≫

 

・グラジオラス、山アジサイ、空木、黄菖蒲、忍冬

≪5月後半≫

・紫陽花、ヒツジ草 ≪6月≫

 

 

*初夏のコスモスは順調に大きくなっています。背丈が70センチになったのもあり、頂上に蕾を付けたものが目立つようになってきました。ちらほらと咲いているのもあります。この時期のコスモスは大変めずらしいので、参詣の方もびっくりしておられます。

 

*今日は「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」主催の「中の川史跡ハイキング」に行きます。何度も通っているうちに、この地の歴史の重要性が実感としてわかってきました。そして先人の残してくれた文化遺産の貴重さが理解できるように思います。この宝物をなんとか開発の波に荒らされることなく後世まで残していきたいものです。

 

全国の真言宗の御僧侶方、御信徒さま、「南山進流」の聖地をお守りください。そして奈良の諸大寺の方々も法相宗、律宗の祖師の霊地を汚されないようお守りください。中川寺の実範上人はさらに天台宗も浄土教も修学され諸宗兼学の道場として中川寺を開かれたのです。宗派の違いを越えてこの名刹の地をお守りください。

 

これから行ってきます。ハイキングにご参加の皆様に「中の川」の意義をお伝えしてきます。

 

 

〔短歌〕

 

「思ひつめ わがかなしみの ほそるなり

新芽に靄(もや)の ひゆる夕方」

 

木下利玄・銀

 

〔俳句〕

 

「薪能 松を見つつぞ 急ぎける」佐久門法師

 

〔和歌〕

 

「うすぐもる 青葉の山の 朝あけに

ふるとしもなき 雨そそくなり」

 

権大納言公宗・風雅311

 

「薄曇りの、青葉に包まれた山の明け方に、降るとも見えない雨が細かに降りそそいでいるようだ。」

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般若寺 春の花だより   5・11

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2012年5月10日 (木)

般若寺 春の花だより   5・10

◎初夏のコスモス(早咲種):15種類。5万本。

5月末~7月≫

・チョコレートコスモス、ピコティ ≪咲きはじめ≫

 

〇矢車草、花菱草、鉄線、紫雲ラン、シャガ、バナナの木、

オオデマリ ≪見ごろ≫

 

・グラジオラス、山アジサイ、黄菖蒲、空木、忍冬≪5月後半≫

・紫陽花、ヒツジ草 ≪6月≫

 

 

*いまコスモスの苗は50センチほどになってきました。ちらほらと咲いているのもあります。あと2週間もすれば背丈は1メートルを超え花ももっと咲いてくれるでしょう。葉は青々としています。

 

*朝早くに昨晩強風で倒れた入口の看板を直して帰ってくると、石造美術研究家の縄田氏が護摩石探訪の時の写真を持ってきてくれました。

 

それと以前に撮られた奈良県山添村の神野山頂上にある「王塚」の相輪棠らしきものの写真もいただきました。これは台石と九輪の残欠です。石は凝灰岩でだいぶ磨滅が進んでいるようです。時代は平安時代と推定されます。神野山(こうのさん)は岩が川のように累々とある「鍋倉」で有名ですが、大和高原で抜きんでた円錐形の神々しい山です。「王塚」はおそらく「経塚」でしょうが、雨乞いの地であったのかもしれません。

 

この台石部分にある四角いほぞ穴は「中の川の護摩石」とよく似ています。相輪棠としたら今は欠失している「露盤・覆鉢」(ろばん・ふくばち)を置くほぞ穴でしょう。ちなみに相輪の各部を示すと、下から「露盤・覆鉢・請花(うけばな)・九輪(くりん)・水煙(すいえん)・龍車(りゅうしゃ)・宝珠(ほうじゅ)」です。露盤は四角形ですからほぞ穴も四角形に造っています。九輪は六輪だけ残ります。

 

中の川の「護摩石」もこのような「相輪棠」(そうりんとう)の台石の可能性大です。縄田氏の説では、実範上人は平安時代の方だから、最初は凝灰岩製であったものが台石が破損して、鎌倉もしくは室町時代に現在の花崗岩に替えられたのではないか、とのことです。もし相輪が凝灰岩であればなくなったとしても不思議ではありません。

 

ただし、金属製の多宝塔(舎利塔)を修法時に運んできた可能性も残ります。中川寺は谷に隔てられますがすぐ近くです。ここは中川寺山内であるかもしれません。

 

〔短歌〕

 

「高き木の 新芽見あぐる わが肌の

汗ばみいとし 夏の秋波(ながしめ)」

 

木下利玄・銀

 

〔俳句〕

 

「風きれい 赤き薔薇に ふるるとき」稲畑汀子

 

〔和歌〕

 

「うすみどり まじるあふちの 花みれば

面かげにたつ 春の藤波」

 

永福門院・玉葉301

 

「薄緑の若葉にまじる、紫の楝の花を見ると、ありありと目の前に見るように思い浮かべられる、過ぎ去った春の藤の花房よ。」

 

・あふち=楝。センダンの古名。初夏、樹上に小さな薄紫の花を群がり咲かせる。

・面かげにたつ=「映像として浮かぶ」意に、「波」の縁語「立つ」をかける。

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2012年5月 9日 (水)

般若寺 春の花だより   5・9




◎初夏のコスモス:
15種類。5万本。

5月末~7月≫

・チョコレートコスモス、ピコティ ≪咲きはじめ≫

 

〇矢車草、花菱草、シャガ、鉄線、紫雲ラン、

バナナの木(唐種オガタマ)、大デマリ≪見ごろ≫

 

・グラジオラス、山アジサイ、忍冬、黄菖蒲≪5月後半≫

・紫陽花、ヒツジ草 ≪6月≫

 

 

*日曜日の美咲会によるボランティア作業につづいて昨日も若者2人による奉仕作業がありました。こちらは一週間に一回のペースで来ていただいています。

 

ここ一か月はお休みでしたからお久しぶりです。この尊いご奉仕は今まで名前を伏せていましたが、何も隠すことではないので今回から公表させていただきます。

 

寺の近く、同じ般若寺町にある「奈良少年刑務所」の先生と生徒さん達です(当寺ではこうお呼びしています)。教育の一環としての作業奉仕で、もう30年以上続けていただいています。以前には般若寺のほか東大寺と春日大社へも行っておられたのですが、現在では当寺一か所だけです。

 

もうすぐ社会復帰される方ばかりですので、表情も明るく動きもきびきびしておられます。先生のご指導により作業内容もすぐに理解していただけるので、寺としては大助かりで有り難いです。

 

中には郷里へ帰る際、親御さんと一緒に挨拶に来られたり、後日ご家族を連れて寺参りに来られる方もあります。無事に社会復帰された姿を見るたび、よかったなと胸にジンと来るものがあります。

 

先日ある人に教えられ『空が青いから白をえらんだのです―奈良少年刑務所詩集』(新潮文庫、2011刊、476円)という文庫本を読みました。これは所内の教室で詩を教えておられる寮美千子さんという方が編集された詩集です。生徒さんの詩と所内の写真が多数載っています。みなさん自分の人生、心の内面を真剣に振り返っておられます。読後、こんなにやさしくまじめな人がなぜここに来ることになったの、と考えさせられます。

 

ご奉仕していただいている生徒さんたちの汗を流し光り輝くすがたを見れば誰でも「自分の人生を大切に生きてくださいね」と声をかけてあげたくなるでしょう。(規則では外部との接触は禁じられています)

そして「彼らを家族で、社会であたたかく迎えてあげてください」と願わずにはおれません。

 

 

〔短歌〕

 

「芽ぐむ木に めぐられて立つ 木は何も

云はねど何か 何かそそらる」

 

木下利玄・銀

 

〔俳句〕

 

「やはらかく 芦にあやめは 咲いてをり」阿波野青畝

 

〔和歌〕

 

「夏あさき みどりの木だち 庭とをみ

雨ふりしむる 日ぐらしの宿」

 

前大納言為兼・風雅310

 

「夏もまだ浅い、緑鮮やかな木立が、庭を遠く見せて、雨が一面に降りしきっている、終日垂れこめて過ごす私の家よ。」

 

庭とをみ=庭遠み。庭を遠く見せて。木が繁って植込みの陰影が深くなった趣。

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2012年5月 8日 (火)

般若寺 春の花だより   5・8

◎初夏のコスモス(早咲種):15種類。5万本。

5月末~7月≫

・チョコレートコスモス、ピコティ ≪咲きはじめ≫

 

〇矢車草、花菱草、シャガ、鉄線、紫雲ラン

バナナの木(唐種オガタマ)、 ≪見ごろ≫

・グラジオラス、山アジサイ、忍冬 ≪5月後半≫

・紫陽花、ヒツジ草 ≪6月≫

 

 

*新緑のすがすがしい季節となってきました。江戸前期の俳人、山口素堂の句がこの時期の句としてよく知られます。

 

「目には青葉 山ほととぎす 初がつお」

 

*きのう新緑の森の中を歩いてきました。石造美術研究家の縄田氏と写真家の八尾さんと三人で出かけました。「中の川」の「牛塚」まで行くと、当地の所有者である駒谷さんご夫妻が待ち受けておられました。駒谷さんは木津川市の梅谷地区のお方でこの山林は先祖伝来の山だそうです。牛塚のことをいろいろ教えていただき、縄田さんには十三重石塔の欠失している笠石が付近で見つかったのをご教示いただきました。

 

それから全員で「護摩石」へ向かって山道をたどりました。山林地帯へ入ってみると案外立派な道です。道幅は2メートルほどあり旧伊賀伊勢道と考えても納得のゆく道です。だらだらと下ってゆくと400メートルほどで道から左へはずれて人一人が通れるだけの尾根道へ入ります。そこからは左右は谷に挟まれ切り立った尾根の背のけもの道です。縄田さんは自分一人でこの道を見つけたそうですが、初めて来たら確実に迷いそうなところです。大きな倒木が道をふさぎ下草が覆っている場所もあります。だいたい上りです。距離はよく分かりませんが、牛塚から30分ほど歩いたようです。頂上部にたどり着くと護摩石が見えました。

 

ここはまわりから突出した山の頂で少し平地もあります。もし樹木がなければ展望のききそうな場所です。護摩石は数十坪の平地の南端にあり、中央部には「三等三角点」と彫られた標石があります。みんなで手分けして周囲を調べてみると、あちこちに大きな石が点在します。自然に露出した花崗岩です。だいたい23メートルのものが多いですが、一番大きいのは10メートルはありそうです。護摩石もここの自然石からこの地で加工されたのでしょう。山の頂にあり、周囲に大岩があることから見てもここが信仰の場であることは間違いないでしょう。だいたい大岩は古代には神の依り代として磐座(いわくら)信仰の対象でした。

 

そこで縄田さんの説を拝聴することにしました。氏によれば、

 

 雨乞いの地

 護摩石は儀式のとき運び込んだ塔(金属製の相輪棠または多宝塔)を建てるための基台

 塔の前で護摩を焚き請雨祈祷をした

との仮説を立てられました。

 

私も雨乞い説には賛成です。ただ塔を建てるとしたら周辺の石を利用できるのではないか、実際に護摩石はここで加工されているのですから。しかし石造物であれば破片なりとも何かが残存していなければならないでしょうが、周囲にはそれらしい遺物は見当たりません。

 

またお堂のような建造物もなかったようです、あたりには礎石らしきものはありませんから。きっと野外で雨乞いをしたのでしょう。そして石の位置は動かされているようです。平地の北側にあったのを東南へ移しています。基底部は自然石のままで地中に埋められ、地上部は円形に加工され、さらに上部はほぼ正方形に造られています。さらに同じく正方形のくぼみがあり、四隅の角に鍵型のくぼみもあります。ますます不思議が大きくなる形ですね。

 

駒谷さんのお話では、かつて梅谷地区ではこの山から流れてくる小川をせき止め簡易水道として飲み水に利用したそうです。すぐ近くには木津川へと流れる「赤田川」もあります。「赤」は仏様に供える「閼伽」のことですから清浄な水の源はこの山であることは、昔の人はよく知っていて日照りの時にはここで雨乞いをしたということもうなずけます。

 

おそらく近隣の中川寺、そしてその本寺である興福寺がかかわっていた可能性大です。この石の上にどんなにすばらしい塔がたっていたのでしょう、ますます想像が膨らみます。

 

現在牛塚も護摩石も大変良い環境にあります。大自然の懐にいだかれて祖先の精神活動の文化遺産が残っています。いつまでもこの環境が続くことを祈らずにはおれません。

 

 

〔短歌〕

 

「はずみある 処女(をとめ)の肌の はねかえす

物なくいたみ 汗もつ昼間」

 

木下利玄・銀

 

〔俳句〕

 

「白と見し 黄と見し花の 忍冬(すいかづら)」前内木耳

 

〔和歌〕

 

「春はすて まだ時鳥 かたらはぬ

けふのながめを とふ人もがな」

 

式子内親王・玉葉296

 

「春は捨て去り、まだ時鳥は親しげに鳴いてもくれぬ、今日の私のつれづれの物思いを、尋ねてくる人があってほしいなあ。」

 

かたらはぬ=「かたらふ」は特に声低く鳴く地鳴きをいう。「話を交わす」「親しく語る」意をかける。

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2012年5月 7日 (月)

般若寺 春の花だより   5・7

◎初夏のコスモス(早咲種):15種類。5万本。

5月末~7月≫

・チョコレートコスモス、ピコティ ≪咲きはじめ≫

 

〇矢車草、花菱草、シャガ、紫雲ラン、大デマリ、

バナナの木(唐種オガタマ)、鉄線 ≪見ごろ≫

・山アジサイ、黄菖蒲、空木、忍冬 ≪5月後半≫

・紫陽花、ヒツジ草 ≪6月≫

 

 

*長い連休が終わりました。これからしばらくは普通の生活リズムに戻ります。

きのうは朝から雨、雷が鳴るなど大荒れでした。しかし午後には回復しお日さまが顔を見せてくれました。

 

ボランティアの「美咲会」のみなさんが来られた時には晴れてくれてよかったです。いつもの加藤さんを中心とする会員さん6人と新しく参加された方4人、合計10人で国宝楼門の前も後ろもすっかりきれいに除草していただきました。これからコスモスの苗を植え付けて「美しく咲かせ」たいと思います。

 

今日は朝から石造美術研究家の縄田雄一氏の案内で、ゴミ焼却場問題の渦中にある「中の川」地区に残る不思議な石、「護摩石」の検分にまいります。「牛塚」から北へ道なき道を密林へ入っていきます。縄田氏の写真で形は解っていますが、実物を見るのは初めてなのでワクワクします。それにしてもこの石は何なんでしょうか、答えのヒントが見つかればいいのですが。乞うご期待。

 

 

〔短歌〕

 

「汽車道の 赤土土手の 白き花

夏が身近に またよりて来ぬ」

 

木下利玄・銀

 

〔俳句〕

 

「窓ひらく 鉄線の花 咲きわたり」山口青邨

 

〔和歌〕

 

「あさまだき 卯の花山を みわたせば

空はくもらで つもるしらゆき」

 

前大納言経房・風雅309

 

「朝早く、卯の花山を見渡すと、空は曇っていないのに山はまっ白で、まるで積る白雪そのままの姿だ。」

卯の花山=越中の歌枕。富山県西部礪波山附近か。その名から山一面の卯の花の盛りを想像する。

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2012年5月 6日 (日)

般若寺 春の花だより   5・6

◎初夏のコスモス(早咲種):15種類。5万本。

≪5月末~7月≫

〇チョコレートコスモス、ピコティ ≪咲きはじめ≫

 

・矢車草、紫雲ラン、シャガ、花菱草、バナナの木、

ツルニチニチ草 ≪見ごろ≫

・グラジオラス、芍薬、黄菖蒲、鉄線、空木、

スイカヅラ、山アジサイ≪5月後半≫

・紫陽花、ヒツジ草 ≪6月≫

 

 

*ゴールデンウィークも最終日となりました。今年は天候不順に泣かされた方面も多かったと思います。季節は暦どおり初夏の候となりました。

 

今日は、般若寺のコスモスを美しく咲かせるためにボランティア活動をしていただいている「美咲会」(みさきかい)の作業日です。午後からの予定です。今は雑草が境内いたるところに生えています。どこから取り掛かっていただいてもいいのですが、やはり寺の表玄関である国宝楼門周辺から始めていただこうと思います。

 

「初夏や 木がくれにきく 鍬の音」西山泊雲

 

草が茂るころは園芸作業も忙しくなります。当寺ではコスモスが早いところで30センチまで伸びています。この陽気が続けば1メートルを超す日も近いでしょう。そして今月末頃から咲きだせば6月には見ごろを迎えます。

 

「初夏に コスモス咲いて 秋思う」俱咲

 

 

〔短歌〕

 

「目の前の 日なたの地に来て 砂あびる

思へば雀も 可愛き小鳥」

 

木下利玄・銀

 

〔俳句〕

 

「僧になる 子の美しや 芥子の花」小林一茶

 

〔和歌〕

 

「桜色の 花のたもとを たちかへて

ふたたび春の なごりをぞ思ふ」

 

前大納言忠良・玉葉295

 

「桜の花の色に染めた美しい春着を、新たに裁った夏衣に取りかえて、その変化によって再び、春の名残を慕わしく思うよ。」

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2012年5月 5日 (土)

般若寺 春の花だより   5・5

◎初夏のコスモス(早咲種):15種類。5万本。≪5月末~7月≫

〇チョコレートコスモスとピコティは ≪咲きはじめ≫

・矢車草、牡丹、シャガ、花菱草、紫雲ラン、椿、

大デマリ、唐種オガタマ(バナナの木)≪見ごろ≫

・山アジサイ、黄菖蒲、鉄線、空木 ≪5月後半≫

・紫陽花、ヒツジ草 ≪6月≫

*端午の節句、子供の日です。今日こそお天気に恵まれてほしいです。

3月3日の節句には草餅、5月5日は柏餅を供えます。草餅にはヨモギをついて入れますが、

新暦の3月ではまだ蓬は葉が出ていません。かえって今頃のほうが旺盛に葉を茂らせます。きっと旧暦がふさわしいのでしょう。でも和菓子のお店では草餅も柏餅もちまきも桜餅もそろって売られています。このごろはいつでも食べることができます。

「夏立つや 衣桁にかはる風の色」横井也有

今日はまた「立夏」にも当たります。暦の上では夏の季節の到来です。

寺の庭では、風にカラカラ回る矢車に似た、矢車草が見ごろになってきました。矢車草と花菱草は同じ花壇に咲いています。毎年種がこぼれ自然に生えてきます。カスミソウも出てきました。また別の花壇にはグラジオラスの蕾が尾長鳥の尾のように伸びてきました。まだまだ春の花は続きます。

〔短歌〕

「夕がたの 雨あたたかく 野いばらに

ぬれそそぐなり なつかしいかも」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「這入りたる 虻にふくるる 花擬宝珠(ぎぼし)」高浜虚子

〔和歌〕

「時しらぬ 里は玉河 いつとてか

夏のかきねを うづむしら雪」

前中納言定家・風雅308

「季節を弁えない里は玉河の里だ。一体今を何時であると思ってか、夏の垣根を埋めているまっ白な雪よ。(それは盛りの卯の花なのだ)」

・玉河=摂津の歌枕、三島玉河。大阪府高槻市南部を流れる。卯の花で有名。

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2012年5月 4日 (金)

般若寺 春の花だより 5・4

◎初夏のコスモス(早咲種):15品種。5万本。≪5月末~7月≫

        〇ただ今ピコティという種類が咲いています。

・チョコレートコスモス ≪咲きはじめ≫

・矢車草、牡丹、花菱草、シャガ、紫雲ラン、椿、大デマリ、

バナナの木(唐種オガタマ)、ツルニチニチ草≪見ごろ≫

・山アジサイ、黄菖蒲、鉄線、空木 ≪5月後半≫

・紫陽花、ヒツジ草 ≪6月≫

*最近、境内にある石が関心を集めています。元来当寺には重要文化財の十三重石塔、笠塔婆、石灯籠、三十三番観音石像など多くの有名な石造物があります。般若寺は云わば「石の寺」です。

そこへ新たにパワーストーン、霊石が加わっています。

小さい方は「マカバラ石」、大きいのは「カンマン石」です。両方ともに不思議な霊力をもち、マカバラ石はなでると運気上昇を呼び、カンマン石は腹や背中を押し当てると健康増進がかないます。昔からの民間信仰の霊験石がしずかなブームになっています。

さらに「ホンショウボウの力石」も注目の的です。『太平記』に登場の怪力の般若寺本性房が日夜鍛錬していた力石です。いま老いも若きも、男性も女性も「もてる石」「もてない石」にチャレンジしておられます。グループで来られた方たちは、みなさん若返ってにぎやかです。石は20キロから50キロまで3個置いてありますので次々と挑戦しておられます。

般若寺には摩訶不思議な石が数々あります。

花の名所である般若寺は、寺全体にストーンパワー、般若パワーがみなぎっています。

〔短歌〕

「ほのほのと わがこころねの かなしみに

咲きつづきたる 白き野いばら」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「鉄線化 咲きそめにけり 父の窓」星野立子

〔和歌〕

「いつしかと かへつる花の たもと哉

時にうつるは ならひなれども」

皇太后宮大夫俊成・玉葉294

「早速にも夏衣に脱ぎかえてしまった、春の名残の花染の袂よ。時に従って移り変わるのは人心の習いではあるが。(それにしても思い切りのよすぎるような・・・)」

・詞書:「更衣の心を」季節による衣更え。四月朔日、春着から夏の薄い衣に着かえる。

・いつしかと=早々に。早くも。

・花のたもと=花のように美しい袖。春の衣服。

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2012年5月 3日 (木)

般若寺 春の花だより   5・3

◎初夏のコスモス(早咲種):15種。5万本。≪5月末~7月≫

・チョコレートコスモス ≪5~7月≫

・矢車草、牡丹、シャガ、花菱草、唐種オガタマ、紫雲ラン、

オオデマリ、椿、ツルニチニチ草 ≪見ごろ≫

・山アジサイ、鉄線、黄菖蒲、空木 ≪5月後半≫

・紫陽花、ヒツジ草 ≪6月≫

*4月25日の「文殊会式」が終わってから見つけた文殊さまの俳句をご紹介します。

 「竹の子や 文殊の智慧を いただきに」 森澄雄

お会式の頃は竹の子の出初めです。当寺では仏様にお供えし、ご参詣の方々に「竹の子ご飯」を提供するのが恒例となっています。

竹の子と文殊さまの組合わせが季節感ゆたかで、ほのぼのとした詩情を漂わせています。

今の竹の子はもう最後の時期となっているようですが、一昨日、近くの「花カフェ ヴェール・デ・グリ」というお店で「ピザ風竹の子トースト」を食しました。珍しい料理でこの時期限定だそうです。新鮮な竹の子のシャキシャキとした食感がとても良くおいしかったです。(お店、℡077471350511001800、木曜休)

〔短歌〕

「緑葉の 陰に嬰児の足の 指ならべ

み山すず蘭 花もちにけり」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「青春の 過ぎにしこころ 苺食ふ」水原秋桜子

〔和歌〕

「さくらいろの 衣にも又 わかるるに

春をのこせる やどの藤波」

式子内親王・風雅304

「(春に別れるばかりか)桜色に染めた美しい春着にもまた別れてしまったのに、ひとり春の風情を残している、私の家の波のような藤の花よ。」

さくらいろ=襲ねの色目。表白、裏は赤・濃紫など諸説ある。春の衣裳の意でいう。

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2012年5月 2日 (水)

般若寺 春の花だより   5・2

◎初夏のコスモス(早咲種):15種類。5万本。≪5月末~7月≫

・チョコレートコスモス ≪57月≫

・矢車草、牡丹、花菱草、シャガ、紫雲ラン、椿、

オオデマリ、ツルニチニチ草 ≪見ごろ≫

・山アジサイ、黄菖蒲、鉄線、空木、≪5月≫

・紫陽花、ヒツジ草、≪6月≫

*今日は一日雨模様です。

晴耕雨読、雨の日はじっくり読書をします。いまいろいろな本を読んでいますが、なかなか集中できる時間がなくて細切れの読書となっています。

読みかけの本を4冊ご紹介します。

『人類大移動―アフリカからイースター島へ』印東道子編・朝日新聞出版

『不愉快な現実―中国の大国化、米国の戦略転換』孫崎享・講談社

『保元の乱・平治の乱』河内祥輔・吉川弘文館

『中世尼僧愛の果てに―「とはずがたりの世界」』日下力・角川書店

それぞれ分野はバラバラです。心のおもむくままに買って、気が向いたとき読んでいます。どれも頁数は少なくとも内容豊かな著作で知的好奇心を満たしてくれる本です。

〔短歌〕

「あづまぢの みちのはてなる 祝町の

くるわを雨に ぬれてゆきすぐ」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「摘みし手に 踊子草を をどらせて」稲畑汀子

〔和歌〕

「めぐりゆかば 春にはまたも 逢ふとても

けふのこよひは 後にしもあらじ」

前大納言為兼・玉葉292

「生きながらえて時が廻って行けば、春には又逢うことができるとしても、今日の今宵、こんなに心にしみて春の惜しまれる良夜は、後には二度とありはしまいものを。」

めぐり=時が移り四季が廻る意と、生きながらえて世に交わる意をかける。

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2012年5月 1日 (火)

般若寺 春の花だより   5・1

◎初夏のコスモス(早咲種):15種類。5万本。≪5月末~7月≫

・チョコレートコスモス ≪5~7月≫

◎山吹: ≪散りはじめ≫

・シャガ、紫雲ラン、花菱草、矢車草、唐種オガタマ

ツルニチニチ草、牡丹 ≪見ごろ≫

・空木、黄菖蒲、鉄線、山アジサイ、≪5月≫

・紫陽花、ヒツジ草、 ≪6月≫

*五月は陽春の候、春から夏に移っていく初夏(はつなつ)の候でもあります。木々はすべて、真新しい緑に光り輝き、生き物は清新な活気に満ち満ちています。

晴れるもよし、雨ふるもよし。

衣服は日に日に夏物に変わっていきます。と言って冬物もまだなおせません。

「初夏の 一日一日と 庭のさま」星野立子

「木々の香に むかひて歩む 五月来ぬ」水原秋桜子

〔短歌〕

「牡丹園の すだれをもれて 一(ひと)ところ

入日(いりひ)があたり 牡丹黙(もだ)せり」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「雨にぬれ 蕨(わらび)のうぶ毛 しろがねに」水原秋桜子

〔和歌〕

「春くれし きのふもおなじ 朝みどり

今日やはかはる 夏山の色」

後伏見院御歌・風雅302

「春の終わった昨日も、山は同じ浅緑色であったのに、夏になった今日、突然夏山の色に変わるなんて、そんな事があるだろうか。(でもやはり、昨日までとは全然違う、爽やか夏の新緑だよ)」

・詞書:「首夏を」、首夏は夏の始めのこと。

・朝みどり=浅緑。歌語としては本来、霞んだ春の空の色、また柳の新芽の色。それを「夏山の緑」に転じた趣。

・今日やはかはる=同じ緑でありながら、暮春と首夏と一日の違いで全く異なる感覚を覚える事をあやしんで言う。

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