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2012年10月

2012年10月31日 (水)

般若寺 コスモス花だより  10・31

 秋のコスモス:≪終わり近し≫

・開花期間: 9月~11月 ・15万本。

*今日で十月、神無月(かんなづき)は終わり、明日からは十一月、霜月(しもつき)が始まります。今が一番季節の変化を感じられるときです。つい先日まで夏のような暑さがあったのに、もう冬のおとづれを間近に感じられるこの頃です。

*コスモスは盛りをこえ満開ピーク時の半分以下に減ってきました。しかし花はまだ咲き続けています。春の桜のように一気に散ることはなく、11月半ばごろまで少しずつ花数を減らして終りを迎えます。

秋コスモスの主役、ピンク赤白と色の鮮やかな「センセーション」、レモンのような黄色の「イエローキャンパス」、濃い赤の「ディープレッドキャンパス」、花弁が巻貝のような筒になった「シーシェル」が、そして名前のとおり大きく美しい花「秋咲大輪美色」などが、少なくなった花の園で存在感を増して咲いています。

コスモスにつづいて秋をかざる花は菊です。野生の野紺菊が咲くと木々が色づき晩秋となります。

*奈良では国立博物館で「正倉院展」が開かれています。1112日まで。

*当寺の「白鳳秘仏特別公開」は1111日まで。いま御開扉中です。

古代日本に花ひらいた芸術文化の精華、仏教美術の粋をご鑑賞ください。

*般若寺の歴史と文化財のすべてを探る連続講座、「般若寺智恵光座」(ちえこうざ、阿弥陀の十二光から命名)の受講受付中。はじめての試みでなじみがないためか、15名の受講枠がまだ残っています。ご希望の方は早めにお申し込みくださいませ。1118日(日)から3週連続、日曜日午後2時から2時間の予定で行います。

 

〔短歌〕

「菊切れば 葉裏にひそむ 虫のあり

うごきもやらぬ この哀れさよ」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「コスモスが ピンクが揺れる 山の風」栢森敏子

〔和歌〕

「へだたらぬ をじかの声は まぢかくて

きりの色より くるる山もと」

徽安門院一条・風雅517

「(霧によっても)隔てられない牡鹿の声は間近に聞え、立ちこめた霧が先ず暮色を帯びて、次第に暮れて行く、山裾あたりの風景よ。」

 

*『平家物語』を読む。

 巻第三「法皇被流」(ほうおうながされ)の段、

後白河法皇は鳥羽殿へ流され幽閉状態であった。清盛の許しを得た靜憲法印は

「鳥羽殿へまいッて、門前にて車よりおり、門の内へさし入り給へば、折りしも法皇、御経(おんきょう)をうちあげうちあげ(声を張り上げ張り上げ)あそばされける。御声もすごうぞ(人の心をふるわせるように、ものさびしく)聞えさせ給ひける」

法皇は靜憲が参ったのを見てお経に涙を落された。

静憲も泣く泣く御前へ参られると、唯一人仕える尼御前が

「〈いかにや法印御房、君(法皇)は昨日のあした(朝)、法住寺にて供御(くご)きこしめされて(食事を召し上がって)後は、よべも今朝もきこしめしも入れず(夕べも今朝も食事なされなかった)。長き夜すがら御寝(ぎょしん)もならず。御命(おんいのち)も既にあやうくこそ見えさせおはしませ〉との給へば、法印涙をおさへて申されけるは、〈何事も限りある事で候へば、平家たのしみさかへて(富み栄えて)廿余年、され共悪行法に過ぎて(限度を越して)、既に亡び候ひなんず。天照大神正八幡宮いかでか捨てまいらさせ給ふべき(どうして法皇をお捨て申し上げることがありましょうか)。中にも君の御憑(おんたのみ)ある日吉山王七社一乗守護(法華経の力による守護)の御ちかひあらたま(改)らずは、彼の法華八軸に立ちかけてこそ、君をばまも(守)りまいらさせ給ふらめ。しかれば政務は君の御代(おんよ)となり、凶徒は水の泡ときえうせ候べし〉」なンど申されければ、此の詞にすこしなぐさ(慰)ませおはいます。

 

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範(じっぱん)上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進(だいしん)上人宗観(しゅうかん)さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

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2012年10月30日 (火)

般若寺 コスモス花だより  10・30

 秋のコスモス:≪終わり近し≫

・開花期間: 9月~11月 ・15万本。

*コスモスはピーク時の半分以下に減ってきました。しかし花はまだ咲き続けています。春の桜のように一気に散ることはなく、11月半ばごろまで少しずつ花数を減らし終りを迎えます。

秋コスモスの主役、ピンク赤白と色の鮮やかな「センセーション」、レモンのような黄色の「イエローキャンパス」、濃い赤の「ディープレッドキャンパス」、花弁が巻貝のような筒になった「シーシェル」が、そして名前のとおり大きく美しい花「秋咲大輪美色」などが咲いています。

コスモスにつづいて秋をかざるのは菊です。野生の野紺菊が咲くと木々が色づき晩秋となります。

*奈良では今、国立博物館で「正倉院展」が開かれています。1112日まで。

*当寺の「白鳳秘仏特別公開」は1111日まで。いま御開扉中です。

古代日本の芸術文化、仏教美術の粋をご鑑賞ください。

*般若寺の歴史と文化財のすべてを探る連続講座、「般若寺智恵光座」の受講受付中。はじめての試みでなじみがないためか、15名の受講枠がまだ残っています。ご希望の方は早めにお申し込みくださいませ。1118日(日)から3週連続、日曜日午後2時から2時間の予定で行います。

 

〔短歌〕

「青き靄 灯ともし頃の 冷え冷えと

すこやかなる身の 食慾そそる」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「コスモスの 百花繚乱と いふ眺め」大平保子

〔和歌〕

「むらむらの 雲の空には 雁なきて

草葉露なる 秋のあさあけ」

従三位親子・玉葉588

「むらむらに雲がわだかまっている空には雁が鳴いて草葉はしとどに露にぬれた、秋の明け方よ。」

 

*『平家物語』を読む。

 巻第三「法皇被流」(ほふわうながされ)の段、

「同(おなじき、治承311月)廿日の日、院(後白河)の御所法住寺殿には、軍兵(ぐんぴょう)四面を打ちかこむ。〈平治(平治元年、1159、平治の乱)に信頼(のぶより、藤原信頼)が三条殿(当時の後白河上皇の御所)をしたりし様に、火をかけて人をばみな焼き殺さるべし〉と聞えし間、上下の女房めのわらは(女の童)、物をだにうちかづ(担)かず、あはて騒ひで走りい(出)づ。法皇も大きにおどろ(驚)かせおはします。前右大将宗盛(むねもり、重盛の弟)卿御車をよせて、〈とうとう(疾く疾く、すみやかに)め(召、乗る)さるべう候(早くお乗りください)〉と奏せられければ、法皇〈こはされば何事ぞや。御とがあるべし共おぼしめさず(自分に過失があろうとはおもわない)。成親俊寛が様に、遠き国遥かの嶋へもうつ(移)しやらんずるにこそ(清盛が私を流し移すのだろう)。主上(しゅじょう、高倉天皇)さて渡らせ給へば、政務に口入(こうじゅ)する計(ばかり)也(私は天皇があのように若いから政務に口出しをしているだけなのだ)。それもさるべからずは、自今以後さらでこそあらめ(それさへいけないのなら、これ以後は口出しをやめることにしよう)〉と仰せければ、宗盛卿〈其儀では候はず。世をしづめん程、鳥羽殿へ御幸なしまいらせんと、父の入道申し候〉。〈さらば宗盛やがて御共にまいれ〉と仰せけれども、父の禅門の気色に恐れをなしてまいられず。」

 法皇は公卿殿上人の供は一人もなく、ただ尼御前一人のみ付き従うだけで鳥羽離宮へ入った。

「又靜憲法印、入道相国の西八条の亭にゆいて、〈法皇の鳥羽殿へ御幸なッて候なるに、御前に人一人も候はぬ由承るが、余りにあさましう覚え候。何かは苦しう候べき。靜憲ばかりは御ゆるされ候へかし。まいり候はん〉と申されければ、〈とうとう(すぐに行かれよ)。御房は事あやまつまじき人なれば〉とてゆるされけり。」

(つづく)

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範(じっぱん)上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進(だいしん)上人宗観(しゅうかん)さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

 

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2012年10月29日 (月)

般若寺 コスモス花だより  10・29

 

 秋のコスモス:≪散りはじめ≫

・開花期間: 9月~11月 ・15万本。

*コスモスはピーク時の半分以下に減ってきました。しかし花はまだ咲き続けています。春の桜のように一気に散ることはなく、11月半ばごろまで少しずつ花数を減らし終りを迎えます。

秋コスモスの主役、ピンク赤白と色の鮮やかな「センセーション」、レモンのような黄色の「イエローキャンパス」、濃い赤の「ディープレッドキャンパス」、花弁が巻貝のような筒になった「シーシェル」が、そして名前のとおり大きく美しい花「秋咲大輪美色」などが咲いています。

コスモスにつづいて秋をかざるのは菊です。野生の野紺菊が咲くと木々が色づき晩秋となります。

*奈良では今、国立博物館で「正倉院展」が開かれています。1112日まで。

*当寺の「白鳳秘仏特別公開」は1111日まで。いま御開扉中です。

古代日本の芸術文化、仏教美術の粋をご鑑賞ください。

*般若寺の歴史と文化財のすべてを探る連続講座、「般若寺智恵光座」の受講受付中。はじめての試みでなじみがないためか、15名の受講枠がまだ残っています。ご希望の方は早めにお申し込みくださいませ。1118日(日)から3週連続、日曜日午後2時から2時間の予定で行います。

 

*『平家物語』を読む。

 巻第三「大臣流罪」(だいじんるざい)の段、

 「同(おなじき、治承311月)十六日、入道相国此の日比(ひごろ)思い立ち給へる事なれば、関白殿(藤原基房)を始め奉りて、太政大臣(藤原師長)已下(いげ)の公卿殿上人(くぎょうてんじょうびと)、四十三人が官職をとどめて、追籠(をつこめ、幽閉ではなく追放の意味であろう)らる。」

 関白基房は太宰帥に左遷して九州へ流される予定が、出家したので備前の國(岡山県)に止め置かれた。そのあとには清盛の娘婿であり摂関家の正嫡である基通(もとみち、基実の子)が関白に就いた。太政大臣師長は保元の乱で父頼長に連座して9年間土佐に流されたあと、復帰して大臣になっていたのに、東の方、東関尾張の國へ流された。

「もとよりつみ(罪)なくして配所の月をみ(見)むといふ事は、心あるきは(程)の人の願ふ事なれば、おとどあへて事共し給はず(風雅を解するほどの人ならば望むところなのだから、師長は少しも苦情を言わなかった)。」

「鳴海潟(なるみがた、愛知県愛知郡の海辺、歌枕)、塩路遥かに遠見して、常は朗月を望み、浦風に嘯(うそぶ)き、琵琶を弾じ、和歌を詠じて、なをさり(等閑)がてらに月日を送らせ給ひけり。ある時、当国第三の宮熱田明神に参詣あり。その夜神明法楽(神様を楽しませる)のために、琵琶引き朗詠し給ふに、・・・流泉の曲の間には、月清明の光をあらそふ。〈願はくは今生世俗文字の業、狂言綺語(きやうげんきぎょ、妄語戒を破り仏の教えに背くこと)の誤りをもッて(狂言綺語の過ちを讃仏乗の因に変えるという『和漢朗詠集』の詩)〉といふ朗詠をして、秘曲を引(弾)き給へば、神明感応に堪へずして、宝殿大きに振動す。〈平家の悪行なかりせば、今この瑞相をいかでか拝むべき〉とて、おとど(師長)感涙をぞ流されける。」

 師長は琵琶の名手であった。

 

〔短歌〕

「コスモスの 花群がりて はつきりと

光をはじく つめたき日ぐれ」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「コスモスや 陽だまりに置く 父の椅子」宮倉浅子

〔和歌〕

「くれうつる まがきの花は みえわかで

霧にへだてぬ さをしかの声」

藤原為秀朝臣・風雅516

「夕暮の気配が濃くなって来る垣根の花は、もうそれと見分けられなくなって、一方、立ち渡る夕霧にも隔てられず、はっきりと聞こえて来る、鹿の声よ。」

・くれうつる=日中から夕暮に移りゆく。

・霧にへだてぬ=夕霧のために、庭の隔てをなす近くの籬の花は見えぬが、遠い鹿の声は隔てられず聞えるという趣向。

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範(じっぱん)上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進(だいしん)上人宗観(しゅうかん)さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

 

 

 

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般若寺 コスモス花だより  10・29

 

 秋のコスモス:≪散りはじめ≫

・開花期間: 9月~11月 ・15万本。

*コスモスはピーク時の半分以下に減ってきました。しかし花はまだ咲き続けています。春の桜のように一気に散ることはなく、11月半ばごろまで少しずつ花数を減らし終りを迎えます。

秋コスモスの主役、ピンク赤白と色の鮮やかな「センセーション」、レモンのような黄色の「イエローキャンパス」、濃い赤の「ディープレッドキャンパス」、花弁が巻貝のような筒になった「シーシェル」が、そして名前のとおり大きく美しい花「秋咲大輪美色」などが咲いています。

コスモスにつづいて秋をかざるのは菊です。野生の野紺菊が咲くと木々が色づき晩秋となります。

*奈良では今、国立博物館で「正倉院展」が開かれています。1112日まで。

*当寺の「白鳳秘仏特別公開」は1111日まで。いま御開扉中です。

古代日本の芸術文化、仏教美術の粋をご鑑賞ください。

*般若寺の歴史と文化財のすべてを探る連続講座、「般若寺智恵光座」の受講受付中。はじめての試みでなじみがないためか、15名の受講枠がまだ残っています。ご希望の方は早めにお申し込みくださいませ。1118日(日)から3週連続、日曜日午後2時から2時間の予定で行います。

 

*『平家物語』を読む。

 巻第三「大臣流罪」(だいじんるざい)の段、

 「同(おなじき、治承311月)十六日、入道相国此の日比(ひごろ)思い立ち給へる事なれば、関白殿(藤原基房)を始め奉りて、太政大臣(藤原師長)已下(いげ)の公卿殿上人(くぎょうてんじょうびと)、四十三人が官職をとどめて、追籠(をつこめ、幽閉ではなく追放の意味であろう)らる。」

 関白基房は太宰帥に左遷して九州へ流される予定が、出家したので備前の國(岡山県)に止め置かれた。そのあとには清盛の娘婿であり摂関家の正嫡である基通(もとみち、基実の子)が関白に就いた。太政大臣師長は保元の乱で父頼長に連座して9年間土佐に流されたあと、復帰して大臣になっていたのに、東の方、東関尾張の國へ流された。

「もとよりつみ(罪)なくして配所の月をみ(見)むといふ事は、心あるきは(程)の人の願ふ事なれば、おとどあへて事共し給はず(風雅を解するほどの人ならば望むところなのだから、師長は少しも苦情を言わなかった)。」

「鳴海潟(なるみがた、愛知県愛知郡の海辺、歌枕)、塩路遥かに遠見して、常は朗月を望み、浦風に嘯(うそぶ)き、琵琶を弾じ、和歌を詠じて、なをさり(等閑)がてらに月日を送らせ給ひけり。ある時、当国第三の宮熱田明神に参詣あり。その夜神明法楽(神様を楽しませる)のために、琵琶引き朗詠し給ふに、・・・流泉の曲の間には、月清明の光をあらそふ。〈願はくは今生世俗文字の業、狂言綺語(きやうげんきぎょ、妄語戒を破り仏の教えに背くこと)の誤りをもッて(狂言綺語の過ちを讃仏乗の因に変えるという『和漢朗詠集』の詩)〉といふ朗詠をして、秘曲を引(弾)き給へば、神明感応に堪へずして、宝殿大きに振動す。〈平家の悪行なかりせば、今この瑞相をいかでか拝むべき〉とて、おとど(師長)感涙をぞ流されける。」

 師長は琵琶の名手であった。

 

〔短歌〕

「コスモスの 花群がりて はつきりと

光をはじく つめたき日ぐれ」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「コスモスや 陽だまりに置く 父の椅子」宮倉浅子

〔和歌〕

「くれうつる まがきの花は みえわかで

霧にへだてぬ さをしかの声」

藤原為秀朝臣・風雅516

「夕暮の気配が濃くなって来る垣根の花は、もうそれと見分けられなくなって、一方、立ち渡る夕霧にも隔てられず、はっきりと聞こえて来る、鹿の声よ。」

・くれうつる=日中から夕暮に移りゆく。

・霧にへだてぬ=夕霧のために、庭の隔てをなす近くの籬の花は見えぬが、遠い鹿の声は隔てられず聞えるという趣向。

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範(じっぱん)上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進(だいしん)上人宗観(しゅうかん)さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

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2012年10月28日 (日)

般若寺 コスモス花だより  10・28

 

 秋のコスモス:≪散りはじめ≫

・開花期間: 9月~11月 ・15万本。

*コスモスはピーク時の半分くらいに減ってきました。しかし花はまだ咲き続けています。春の桜のように一気に散ることはなく、11月半ばごろまで少しずつ花数を減らし終りを迎えます。

今も秋コスモスの主役、ピンク赤白と色の鮮やかな「センセーション」、レモンのような黄色の「イエローキャンパス」、濃い赤の「ディープレッドキャンパス」、花弁が巻貝のような筒になった「シーシェル」が、そして名前のとおり大きく美しい花「秋咲大輪美色」などが咲いています。

コスモスにつづいて秋をかざる小菊が咲いています。これから自生の野紺菊が咲くと、木々が色づく晩秋となります。

*今日はあいにくの雨、せっかくの日曜日なのに残念です。こんな日は美術館へ行くのがいいのではないでしょうか。

奈良では今、国立博物館で「正倉院展」があります。1112日まで。芸術と文化の秋です。

当寺の「白鳳秘仏特別公開」は1111日まで、現在御開扉中です。

 

*『平家物語』を読む。

巻第三「法印問答」の段

「入道相国(清盛)、小松殿(重盛)にをくれ給ひて、よろづ心ぼそうや思はれけむ、福原へ馳せ下り、閉門してこそおはしけれ。同じき(治承三年、1179)十一月七日(なぬか)の夜戌の剋(午後八時)ばかり、大地おびたたしう動ひてやや久し。」

「同じき十四日、相国禅門、此の日ごろ福原におはしけるが、何とか思ひなられたりけむ、数千騎の軍兵(ぐんぴょう)をたなびひて、都へ入り給ふ由聞えしかば、京中何(なに)と聞きわきたる事はなけれ共、上下恐れおののく。何ものの申し出したりけるやらん。〈入道相国、朝家を恨み奉るべし〉と披露をなす。(清盛は法皇に対して積る恨みを晴らす行為に出るだろうと言いひろめた)」

 清盛の動きに対し、後白河法皇、関白藤原基房をはじめ重臣たちは恐れおののいた。法皇は故信西の息、靜憲(じょうけん、後靜賢と名を変える、院の側近)法印(ほうゐん、法印大和尚位の略、最高の僧位)を使いに立て西八条の清盛邸へ向かわせる。靜憲は朝から夕方まで待たされ会えないものとあきらめ伝言をして退出しようとしたところ、

「其時入道、〈法印よべ〉とて出でられたり。」

清盛は靜憲に朝家への恨みつらみを並べ立てた。先ず内府重盛の中陰にもかかわらず石清水八幡への御幸、管弦の遊びを行ったこと、

「御歎きの色、一事も是をみず。たとひ入道がかなしみを御あはれみなく共、などか内府が忠をおぼしめし忘れさせ給ふ共、争(いかで)か入道が歎きを御あはれみなからむ。父子共叡慮に背候ぬる事(上皇のお気に召されなくなってしまう。「叡慮に背く」は叡慮の方が背くことである。)、今にをいて面目を失ふ。」

清盛は後白河法皇への忠節を尽くした、功臣重盛の死を軽んじた仕打ちに恨み怒りを持った。さらに重盛の死後、所領越前の国を召し上げたこと、中納言欠員補充に藤原本家の嫡子基通(もとみち)を推挙したのに取り上げず、法皇の変更で基房の子師家(もろいえ)を据えたことに対する恨み。最後に鹿ケ谷の謀議について、

「次に、新大納言成親(なりちか)卿以下、鹿ノ谷によりあひて、謀反の企て候し事、まッたく私の計略(個人的な計画)にあらず、併しながら(すべて)君(後白河法皇)御許容あるによッて也。」

俊寛らの平家討伐の謀議は、その裏で法皇の意志が働いていたことを清盛は見ぬいていて、それを詰ったのである。

それに対し靜憲は「但し、官位といひ俸禄といひ、御身にとッては悉く満足す(すべてが備わっている)。しかれば功の莫大なるを、君御感あるでこそ候へ。しかるを近臣事をみだり、君御許容ありといふ事は、謀心の凶害にてぞ候らん(陰謀をはかる者の悪だくみでしょう)」「下として上にさか(逆)ふる事、豈人臣の礼たらんや。能々(よくよく)御思惟候べし。詮ずるところ、此の趣(おもむき)をこそ披露仕り候はめ」

と言い残して帰って行った。

 

〔短歌〕

「疲れたる 光の中に コスモスの

あらはに咲ける 午後頭痛する」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「コスモスの 白き花文字 揺れやまず」矢嶋英子

〔和歌〕

「ふけまさる 人まつかぜの くらき夜に

山かげつらき さをしかのこゑ」

前中納言定家・玉葉567

「来ぬ人を待って夜は更けて行くばかり、松風の吹く暗い夜に、山陰で鳴く鹿の声も、身につまされて辛く思われる。」

・人まつかげ=「人待つ」と「松風」をかける。

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範(じっぱん)上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進(だいしん)上人宗観(しゅうかん)さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

 

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2012年10月27日 (土)

般若寺 コスモス花だより  10・27

 

 秋のコスモス:≪散りはじめ≫

・開花期間: 9月~11月 ・15万本。

*コスモスはピーク時の半分くらいに減ってきました。しかし花はまだ咲き続けています。春の桜のように一気に散ることはなく、11月半ばごろまで少しずつ花数を減らし終りを迎えます。

今も秋コスモスの主役、ピンク赤白と色の鮮やかな「センセーション」、レモンのような黄色の「イエローキャンパス」、濃い赤の「ディープレッドキャンパス」、花弁が巻貝のような筒になった「シーシェル」が、そして名前のとおり大きく美しい花「秋咲大輪美色」などが咲いています。

コスモスにつづいて秋をかざる小菊が咲いています。これから自生の野紺菊が咲くと、木々が色づく晩秋となります。

*奈良では今月27日から来月12日まで国立博物館で「正倉院展」があり、秋本番。芸術と文化の秋となります。

当寺の「白鳳秘仏特別公開」は1111日まで、現在御開扉中です。

 

*『平家物語』を読む。

 小松殿重盛のよき人となりを偲んでいます。「燈籠之沙汰」(とうろうのさた)と「金渡」(かねわたし)の段にはその作善功徳が語られます。

 「燈籠之沙汰」の段、

「すべて此の大臣(おとど)は、滅罪生善の御心ざしふか(深)うおはしければ、当来の浮沈をなげいて(来世での幸不幸を心配して)、東山の麓に、六八弘誓(ろくはつぐぜい)の願(阿弥陀仏が衆生を救おうとする四十八の誓い)になぞらへて、四十八間の精舎をたて、一間にひとつづつ、四十八間に四十八の燈籠をか(懸)けられたりければ、九品の台(くほんのうてな)、目の前にかがやき、光耀鸞鏡(こうようらんけい)をみがいて(光り輝くさまは鳳凰を刻んだ鏡を磨いたようで)、浄土の砌にのぞめるがごとし(極楽のすぐ傍にいるようだ)。毎月十四五を点じて、当家他家の人々の御方より、みめ(眉目)ようわか(若)うさかむなる女房達を多く請じ集め、一間に六人づつ、四十八間に二百八十八人、時衆(じしゅう)にさだめ、彼の両日が間は一心称名の聲(いっしんせうめう、心を一つに集中して仏の御名を唱えること)絶えず。誠に来迎引接(らいかうゐんぜう)の願(念仏行者の臨終に来て極楽に導くという願)もこの所に影向(やうがう)をた(垂)れ、摂取不捨(せっしゅふしゃ、人を救って捨てないこと)の光も此の大臣(おとど)を照らし給ふらむとぞみえし。十五日の日中を結願として大念仏ありしに、大臣みづから彼の行道(列を作って仏のまわりを廻る儀式)の中にまじはッて、西方に向かひ、〈南無安養教主弥陀善逝、三界六道の衆生を普く済度し給へ〉と、回向発願せられければ、みる人慈悲をおこし、きくもの感涙をもよほしけり。かかりしかば、このおとどをば燈籠大臣とぞ申しける。」

 「金渡」(かねわたし)では重盛が三千五百両もの大金をかけて宋の阿育王寺へ寄進し「後生善処」を祈ったという。

 

〔短歌〕

「ダリヤ咲く さけばさきたる さみしさに

花の瞳の 涙ぐみたる」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「無造作に 咲くコスモスの うらさびし」中野辰子

〔和歌〕

「うす霧の 山本とをく 鹿なきて

夕日かげろふ をかのべの松」

儀子内親王・風雅512

「薄く霧のかかった山もとにはるか遠く、鹿の鳴くのが聞えて、夕日の光がまだほのかに立ちまよっている岡のほとりの松よ。」

・評:「霧と夕暮の光をあしらい、伝統歌風とは異なる淡彩写生の趣を示している。」(岩佐美代子)

 

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範(じっぱん)上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進(だいしん)上人宗観(しゅうかん)さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

 

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2012年10月26日 (金)

般若寺 コスモス花だより  10・26

 

 秋のコスモス:≪散りはじめ≫

・開花期間: 9月~11月 ・15万本。

*コスモスはピーク時の半分くらいに減ってきました。しかし花はまだ咲き続けています。春の桜のように一気に散ることはなく、11月半ばごろまで少しずつ花数を減らし終りを迎えます。

今も秋コスモスの主役、ピンク赤白と色の鮮やかな「センセーション」、レモンのような黄色の「イエローキャンパス」、濃い赤の「ディープレッドキャンパス」、花弁が巻貝のような筒になった「シーシェル」が、そして名前のとおり大きく美しい花「秋咲大輪美色」などが咲いています。

コスモスにつづいて秋をかざる小菊が咲いています。これから自生の野紺菊が咲くと、木々が色づく晩秋となります。

*奈良では今月27日から来月12日まで国立博物館で「正倉院展」があり、秋本番。芸術と文化の秋となります。

当寺の「白鳳秘仏特別公開」は1111日まで、現在御開扉中です。

 

*『平家物語』を読む。

巻第三「無文」(むもん)の段、

「天性(生まれつき)このおとど(重盛)は不思議の人にて、未来の事をもかねて(予ねて)さとり給ひけるにや。去(さんぬ)る四月七日の夢に、見給ひけるこそふしぎなれ。たとへば、いづく共しらぬ浜路を遥々とあゆみ行給ふ程に、道の傍らに大きなる鳥居のありけるを、〈あれはいかなる鳥居やらむ〉と、問い給へば、〈春日大明神の御(おん)鳥ゐ也〉と申す。人多く群集したり。其中に法師の頸(くび)を一(ひとつ)さしあ(上)げたり。〈さてあのくびはいかに〉と問い給へば、〈是は平家太政入道殿の御頸を、悪行超過し給へるによッて、当社大明神のめ(召)しとらせ給ひて候〉と申すと覚えて、夢うちさめ、当家(平家)は保元平治よりこのかた、度々の朝敵をたひらげて、勧賞(けんじょう、功労を賞して官位を授け、又物を賜わる事)身にあまり、かたじけなく一天の君の御外戚として、一族の昇進六十余人、廿余年のこのかたは、たのしみさかへ、申すはかりもなかりつるに、入道の悪行超過せるによッて、一門の運命すでにつ(尽)きんずるにこそと、こし方行くすゑの事共、おぼしめしつづけて、御涙にむせばせ給ふ。

 折節妻戸をほとほとと打ちたたく。〈た(誰)そ。あれき(聞)け。〉との給へば、〈瀬尾の太郎兼康(かねやす)がまいッて候〉と申す。〈いかに、何事ぞ〉との給へば、〈いま不思議の事候て、夜の明け候はんがをそ(遅)う覚え候間、申さむが為にまいッて候。御まへの人をの(除)けられ候へ〉と申しければ、おとど人を遥かにのけて御対面あり。さて兼康見たりける夢のようを、始めより終りまでくはしう語り申しけるが、おとどの御覧じたりける御夢にすこしもた(違)がはず。さてこそ、瀬尾太郎兼康をば、〈神にも通じたる物にてありけり〉と、おとども感じ給ひけれ。」

 「無文」は重盛が嫡男維盛(これもり)に与えた「小烏」(こがらす)と云う平氏伝来の太刀のことで、大臣の葬儀に用いる「無文の太刀」のことを言います。

 

〔短歌〕

「今しがた 茶の間の時計 十うちぬ

厨にあまねき 秋の光線」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「コスモスの 向うぽつんと 籠り堂」岩谷昭三

〔和歌〕

「秋山の みねゆく鹿の ともをなみ

きりにまどえる 夕暮のこゑ」

前大僧正慈鎮・玉葉552

「秋山の峰を行く鹿が、友がなくて、あの友則の歌のように、霧の中に道に迷って鳴いている、その夕暮の声の淋しいこと。」

・参考歌:「高山の みねゆく鹿の 友を多み

袖ふりこぬを 忘ると思ふな」(古今六帖935

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範(じっぱん)上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進(だいしん)上人宗観(しゅうかん)さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

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2012年10月25日 (木)

般若寺 コスモス花だより  10・25

 

 秋のコスモス:≪散りはじめ≫

・開花期間: 9月~11月 ・15万本。

*コスモスはピーク時の半分くらいに減ってきました。しかし花はまだ咲き続けています。春の桜のように一気に散ることはなく、11月半ばごろまで少しずつ花数を減らし終焉を迎えます。

今も秋コスモスの主役、ピンク赤白と色の鮮やかな「センセーション」、レモンのような黄色の「イエローキャンパス」、濃い赤の「クリムソンキャンパス」、花弁が巻貝のような筒になった「シーシェル」が、そして名前のとおり大きく美しい花「秋咲大輪美色」などが咲いています。

コスモスにつづいて秋をかざる小菊が咲いています。これから自生の野紺菊が咲くと、木々が色づく晩秋となります。

*奈良では今月27日から来月12日まで国立博物館で「正倉院展」があり、秋本番。芸術と文化の秋となります。当寺の「白鳳秘仏特別公開」は1111日まで、現在御開扉中です。

 

*『平家物語』を読む。

巻第三「医師問答」(いしもんどう)②

重盛は熊野参詣の後、病に罹られる。

「下向の後、いくばくの日数を経ずして、病(やまひ)付き給ふ。権現すでに御納受あるにこそとて、療治もし給はず、祈祷をもいたされず。其頃宋朝よりすぐれたる名医わた(渡)って、本朝にやすらふことあり。境節(おりふし)入道相国、福原の別業(べつごう)におはしけるが、越中守守俊を使者にて、小松殿へ仰せられけるは、〈所労弥(いよいよ)大事なる由その聞えあり。兼ねて又宋朝より勝れたる名医わたれり。折節悦びとす。是をめ(召)し請じて医療をくわ(加)へしめ給へ〉と、の給ひつかはされたりければ、小松殿たすけおこされ、盛俊を御前へめして、〈まづ「医療の事、畏まって承り候ひぬ」と申すべし。但し汝も承れ。延喜の御門はさばかンの賢王にてましましけれ共、異国の相人(人相を見る人)を都のうちへ入れさせ給ひたりけるをば、末代までも賢王の御誤り、本朝の恥とこそみえけれ。況や重盛ほどの凡人が、異国の医師を王城へ入れむ事、国の恥にあらずや。〉」

重盛は異国の名医に掛かる事をことを拒絶して死を受け入れようとしたのです。

「同七月二十八日、小松殿出家し給ひぬ。法名は淨蓮とこそつ(付)き給へ。やがて八月一日(ひとひのひ)、臨終正念に住して遂に失せ給ひぬ。御年四十三、世はさかり(盛りの年齢)と見えつるに、哀れなりし事共也。〈入道相国のさしもよこ紙をや(破)られつるも(無理を押し通されたのも)この人のなをしなだめ(宥め)られつればこそ、世もおだ(穏)しかりつれ。此後天下にいかなる事か出こ(来)むずらむ〉とて、京中の上下歎きあへり。前右大将宗盛卿のかた様の人(身内の人)は〈世は只今大将殿へまいりなんず〉とぞ悦びける。人の親の子を思ふならひはをろかなるが、先立つだにもかなしきぞかし。いはむや是は当家の棟梁、当世の賢人にておはしければ、恩愛(おんあい)の別れ(父母妻子のような親愛な者に別れること)、家の衰微、悲しみても猶余りあり。されば世には良臣をうしな(失)へる事を歎き、家には武略のすた(廃)れぬることをかなしむ。凡そはこのおとど文章うるはしうして(容儀は端正で、心には真心をお持ちになり)、心に忠を存じ、才芸すぐれて、詞に徳を兼ね給へり(弁舌と徳行とを兼ね具えていた)。」

 

〔短歌〕

「羽織着る 君が素足の 冷たさの

かはゆさいたみ 胸にまつはる」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「コスモスや 髪ふさふさと 少女ゆく」田口泡水

〔和歌〕

「河とをき 夕日のやなぎ 岸はれて

鷺のつばさに 秋風ぞふく」

太上天皇(光厳院)・風雅511

「河を遠くどこまでも照らす夕日に、柳の映える岸辺はくっきりと晴れて、飛ぶ鷺の翼に快い秋風が吹くよ。」

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範(じっぱん)上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進(だいしん)上人宗観(しゅうかん)さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

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2012年10月24日 (水)

般若寺 コスモス花だより  10・24

 秋のコスモス:≪散りはじめ≫

・開花期間: 9月~11月 ・15万本。

*コスモスはピーク時の半分くらいに減ってきました。しかし花はまだ咲き続けています。春の桜のように一気に散ることはなく、11月半ばごろまで少しずつ花数を減らし終焉を迎えます。

今も秋コスモスの主役、ピンク赤白と色の鮮やかな「センセーション」、レモンのような黄色の「イエローキャンパス」、濃い赤の「クリムソンキャンパス」、花弁が巻貝のような筒になった「シーシェル」が、そして名前のとおり大きく美しい花「秋咲大輪美色」などが咲いています。

コスモスにつづいて秋をかざる小菊が咲いています。これから自生の野紺菊が咲くと、木々が色づく晩秋となります。

*奈良では今月27日から来月12日まで国立博物館で「正倉院展」があり、秋本番。芸術と文化の秋となります。当寺の「白鳳秘仏特別公開」は1111日まで、現在御開扉中です。

 

*『平家物語』を読む。

 治承3年(1179)、清盛の長男、平氏の棟梁、平重盛(たいらのしげもり)が亡くなります。

巻第三巻「医師問答」(いしもんだう)の段、

「小松のおとど(重盛)、か様の事共を聞き給ひて、よろづ御心ぼそうやおもはれけむ、其比(そのころ)熊野参詣の事有けり。本宮證誠殿(ほんぐうしょうじょうでん、本宮熊野権現一宮の本地である証誠大菩薩=阿弥陀如来をまつった社殿)の御まへにて、夜もすがら敬白(けいびゃく)せられけるは、〈親父入道相国(清盛)の躰(てい)をみるに、悪逆無道にして、ややもすれば君をなやまし奉る。重盛長子として、頻りに諌めをいたすといへども、身不肖の間、かれもッて服膺(ふくよう)せず(私が愚かなために父清盛は忠告を聞き入れてくれません)。そのふるまひ(振舞)をみるに、一期(いちご)の栄華(清盛一代の栄華)猶あやうし。枝葉連続して(子孫兄弟が父の後を継いで)、親を顕わし名を揚げむ事かたし(孝経に、身を立て道を行い名を後世に揚げ、以って父母を顕わす、とあるに依る)。此の時に当って、重盛いやしうも(その任でもないのに)思へり。なまじいに列して世に浮沈せむ事(なまなか重臣の数に入って栄枯盛衰することは)、敢て良臣孝子の法にあらず。しかじ、名を逃れ身を退(しりぞき)て、今生の名望をなげうって、来世の菩提を求めむには(名誉を捨て我が身を退き、この世での名声をなげうって来世での極楽往生を願うのに越したことはありません)。但し凡夫薄地(ぼんぶはくぢ)、是非にまどへるが故に、猶心ざしを恣(ほしいまま)にせず(凡夫の果報の卑しい悲しさには、善悪の判断に迷うためやはり初一念を貫くことが出来ません)。南無権現金剛童子(熊野三山の護法神)、願はくは子孫繁栄たえずして、仕へて朝廷にまじはるべくは、入道の悪心を和らげて、天下の安全を得しめ給へ。栄耀又一期を限って、後混の恥におよぶべくンば、重盛が運命をつづめて、来世の苦輪を助け給へ。両ヶの救願(ぐぐはん、清盛の悪心を和らげるか、それができなければ重盛の寿命を縮めるかという願い)、ひとへに冥助を仰ぐ〉と、肝胆を摧(くだ)ひて祈念せられけるに、燈籠の火のようなる物の、おとど(重盛)の御身より出て、ぱッと消(きゆ)るが如くにして失せにけり。人あまたみ奉りけれ共、恐れて是を申さず。」

(つづく)

〔短歌〕

「鶏頭の 黄いろと赤の びろうどの

玉のかはゆき 秋の太陽」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「コスモスの 揺らげば揺るる 里ごころ」田中呑舟

〔和歌〕

「物おもふと いはぬばかりぞ 露かかる

草木も秋の 夕ぐれの色」

藤原定成朝臣・玉葉549

「彼らは口に出して〈思いをしている〉と言わないだけのことだよ。霧にぬれた草木も、人間同様、秋の夕暮の思いしおれた様子をしている。」

・実は俊光詠、選者の錯誤か。

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範(じっぱん)上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進(だいしん)上人宗観(しゅうかん)さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

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2012年10月23日 (火)

般若寺 コスモス花だより  10・23

 

 秋のコスモス:≪見ごろ≫―満開をこえました

・開花期間: 9月~11月 ・15万本。

*コスモスは満開のピークをこえましたが、まだ見頃がつづいています。

秋コスモスの主役、ピンク赤白と色の鮮やかな「センセーション」、レモンのような黄色の「イエローキャンパス」、濃い赤の「クリムソンキャンパス」、花弁が巻貝のような筒になった「シーシェル」が、そして名前のとおり大きく美しい花「秋咲大輪美色」などが咲いています。

*今日は終日雨の様です。一雨ごと日に日に秋が深まって行きます。秋桜の名を持つコスモスの花は盛りをこえました。それでも春の桜のように一気に散ることはなく少しずつ花数が減って行きます。見ごろは月末まで、そして11月半ばまで花はあります。コスモスにつづいて小菊が咲いています。これから自生の野紺菊が咲くと、木々が色づき晩秋となります。

*奈良では今月27日から来月12日まで博物館で「正倉院展」があり、秋本番、芸術と文化の秋となります。当寺の「白鳳秘仏特別公開」は1111日まで、現在御開扉中です。

 

*『平家物語』を読む。

 高倉帝の皇子(安徳天皇)の御誕生で、鬼界ヶ嶋へ流されていた三人の内、二人は恩赦で帰ることが許されたけれども俊寛一人は許されず島で生涯を終えます。俊寛を主題とする話が「有王」と「僧都死去」の段です。有王は幼少から俊寛に召し仕え、京で主人の帰りを待っていたが、赦免が無いことを知り僧都の娘のところへ行きます。

「有王」の段、

「このせ(瀬、非常赦という今度の機会)にもも(洩)れさせ給ひて、御(おん)のぼりも候はず。いかにもして彼島へわたッて、御行(ゆく)えを尋ねまいらせむとこそ思ひなッて候へ。御ふみ給はらん(あなたからお父上への手紙をお預かりいたしましょう)。」

 手紙を預かった有王は父母にも知らせず旅立ち、薩摩潟から島へ渡ります。そして俊寛を探し出します。俊寛は食べることもままならず衰弱して死んでしまいます。有王は俊寛を荼毘に付し骨を拾い九州へ到着します

 「僧都死去」の段

「僧都の御むすめのおはしける所にまいッて、有し様、始めよりこまごまと申す。〈中々御文を御覧じてこそ、いとど御思ひはまさらせ給ひて候しか(かえってお手紙を御覧になってから一そう思いがまされました)。硯も紙も候はねば、御返事にも及ばず。おぼしめされ候し御心の内、さながらむなしうてやみ候にき(みんな誰にも伝えられずに消えてしまいました)。今は生々世々を送り、多生曠劫をへだつとも(今となっては生き変わり死に変わって多くの生を繰り返しても)、いかでか御声をもきき、御姿をも見まいらせ給ふべき〉と申しければ、ふしまろび、こゑも惜しまずな(泣)かれけり。やがて十二の年尼になり、奈良の法華寺に勤めすまして(他事に心を散らさないで)、父母の後世をとぶらひ給ふぞ哀れなる。有王は俊寛僧都の遺骨を頸にかけ、高野へのぼり、奥の院に納めつつ、蓮華谷にて法師になり、諸国七道(日本全国)修行して、しう(主)の後世をぞとぶらひける。か様に人の思ひ歎きのつもりぬる平家の末こそおそろしけれ。」

〔短歌〕

「四十雀(しじゅうがら)頬のおしろいの きはやかに

時たま来たり 庭に遊べる」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「コスモスの 色つなぐ風 乱す風」松永唯道

〔和歌〕

「秋風に うき雲たかく 空すみて

夕日になびく 岸の青柳」

前大納言為兼・風雅509

「秋風に吹かれて浮き雲は高くかかり、空は澄み切って、夕日の光になびく、川岸の柳の姿よ。」

・秋に「青柳」、明るく清爽な秋の夕暮という斬新な表現。

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範(じっぱん)上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進(だいしん)上人宗観(しゅうかん)さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

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2012年10月22日 (月)

般若寺 コスモス花だより  10・22

 秋のコスモス:≪見ごろ―満開をこえました≫

・開花期間: 9月~11月 ・15万本。

*コスモスは満開を少しこえましたが、見ごろがつづいています。

秋コスモスの主役、ピンク赤白と色の鮮やかな「センセーション」、レモンのような黄色の「イエローキャンパス」、濃い赤の「クリムソンキャンパス」、花弁が巻貝のような筒になった「シーシェル」が、そして名前のとおり大きく美しい花「秋咲大輪美色」などが咲いています。

*朝方、気温は下がり、日に日に秋が深まって行きます。秋桜の名を持つコスモスの花はそろそろ盛りをこえそうです。それでも春の桜のように一気に散ることはなく少しずつ花数が減って行きます。11月半ばまで花はあります。コスモスにつづいて小菊が咲き出しました。これから自生の野紺菊が咲くと、11月には木々も色づき晩秋となります。

*奈良では今月27日から来月12日まで博物館で「正倉院展」があり、秋本番、芸術と文化の秋となります。

*昨日もお天気に恵まれ「コスモス花あかり」は大盛況、演奏していただいた「ラネージュ琴雪会」の皆さま、熱演お疲れさまでした。おかげで大勢の参加者を迎えることができて大成功でした。本当にありがとうございました。

*『平家物語』を読む。

巻第三「御産」(ごさん)の段、

「さる程に、同年(おなじきとし、治承二年・1178)の十一月十二日寅の剋(とらのこく、午前四時)より、中宮(平徳子)御産の氣(け)ましますとて、京中六波羅ひしめきあへり(人が集まって大騒ぎだった)。御産所は六波羅池殿(いけどの、清盛の弟頼盛の邸)にてありけるに、法皇(後白河院)も御幸(ごこう)なる。関白殿(藤原基房)を始め奉りて、太政大臣(藤原師長)以下の公卿殿上人、すべて世に人とかぞへられ、官加階(官位の昇進)にのぞみをかけ、所帯・所職を帯する程の人(何かの官職をもっている程度の人)の、一人ももるるはなかりけり。」

 中宮徳子のお産に当り法皇以下朝廷の人々が大騒ぎをしている様が描かれ、さらに恩赦が行われ、寺社への御祈願が繰り返された。

「御産平安あるならば、八幡・平野・大原野(三社とも京都付近の有力な神社)などへ行啓なるべしと、御立願ありけり。全玄法印是を敬白(けいびゃく、立願の文書を謹んで読み上げる)す。神社は太神宮を始め奉りて廿余ヵ所、仏寺は東大寺・興福寺以下十六か所に御誦経あり。」

清盛以下平氏一門の熱望の甲斐あり、「御産平安のみならず、皇子にてこそましましけれ。

 頭中将重衡(とうのちゅうじょうしげひら)、其時はいまだ中宮亮(ちゅうぐうのすけ、中宮職の次官)にておはしけるが、御簾(ぎょれん)の内よりつッと出て、〈御産平安、皇子御誕生候ぞ〉と、たからかに申されければ」

法皇、関白以下の大臣、公卿殿上人など「すべて堂上堂下一同にあッと悦びあへる声、門外までどよみて、しば(暫)しはしず(静)まりやらざりけり。入道相国(きよもり)あまりのうれしさに、声をあげてぞな(泣)かれける。」

清盛の嬉しさは格別のことであったことでしょう。

(つづく)

〔短歌〕

「少年の 記憶かなしも 遊びすぎて

闇のせまりし ぬりごめのかげ」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「コスモスと 背丈きそいし 子らの笑み」朝日千尺

〔和歌〕

「吹きしほる 四方の草木の うら葉みえて

風にしらめる 秋の明けぼの」

永福門院内侍・玉葉542

「吹きたわませる野分に、あたり一面の草木の葉裏が白々と見えて、強風の中に次第に明るくなって来た、秋の曙よ。」

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範(じっぱん)上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進(だいしん)上人宗観(しゅうかん)さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

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2012年10月21日 (日)

般若寺 コスモス花だより  10・21

 

 秋のコスモス:≪満開です≫

・開花期間: 9月~11月 ・15万本。

*コスモスは見ごろがつづいています。

秋コスモスの主役、ピンク赤白と色の鮮やかな「センセーション」、レモンのような黄色の「イエローキャンパス」、花弁が巻貝のような筒になった「シーシェル」が、そして「秋咲大輪美色」が名前のごとく大きく美しい花を咲かせています。

*今日は快晴、秋らしい絶好の青空です。朝方、気温はぐんと下がり、日に日に秋が深まって行きます。秋桜の名を持つコスモスの花はそろそろ盛りをこえそうです。それでも春の桜のように一気に散ることはなく少しずつ花数が減って行きます。11月半ばまで花はあります。コスモスにつづいて小菊が咲き出しました。これから自生の野紺菊が咲くと、11月には木々も色づき晩秋となります。

 奈良では今月27日から来月12日まで博物館で「正倉院展」があり、秋本番、芸術と文化の秋となります。

*「コスモス花あかり」は最終日、「琴雪会」の大正琴演奏があります。午後5時から7時まで。少し寒いですから衣服をご用意願います。

*『平家物語』を読む。

 前回までは有名な俊寛僧都の鬼界ヶ嶋の話を読みました。今日は巻第三全体の目録を記します。

 「赦文」(ゆるしぶみ)、「足摺」(あしずり)、「御産」(ごさん)、「公卿揃」(くぎょうぞろへ)、「大塔建立」(だいとうこんりゅう)、「頼豪」(らいごう)、「少将都帰」(みやこがへり)、「有王」(ありおう)、「辻風(風+焱)」(つぢかぜ)、「医師問答」(いしもんだう)、「無文」(むもん)、「燈爐之沙汰」(とうろうのさた)、「金渡」(かねわたし)、「法印問答」(ほふいんもんだふ)、「大臣流罪」(だいじんるざい)、「行隆之沙汰」(ゆきたかのさた)、「法皇被流」(ほふわうながされ)、「城南之離宮」(せいなんのりきう)

 (昨日は忙しかったのでこれだけでご容赦ください。)

〔短歌〕

「をんなの子 かごめかごめを 声々に

唄ふはかなし 町の夕闇」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「菊の香や 奈良には古き 仏達」松尾芭蕉

〔和歌〕

「夕づくひ 岩ねの苔に かげきえて

をかの柳は 秋風ぞ吹く」

永福門院・風雅508

「沈もうとする夕日の、しばし岩根の苔を照らしていた光もいつか消えて、目に立つものは岡の柳のみ、そこに秋風が吹いている。」

・岩ねの苔=岩の窪みに生えている苔。

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範(じっぱん)上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進(だいしん)上人宗観(しゅうかん)さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

 

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2012年10月20日 (土)

般若寺 コスモス花だより  10・20

 

 秋のコスモス:≪満開です≫

・開花期間: 9月~11月 ・15万本。

*コスモスは見ごろがつづいています。

秋コスモスの主役、ピンク赤白と色の鮮やかな「センセーション」、レモンのような黄色の「イエローキャンパス」、花弁が巻貝のような筒になった「シーシェル」が、そして「秋咲大輪美色」が名前のごとく大きく美しい花を咲かせています。

*今日は快晴、秋らしい青空です。気温もぐっと下がり、秋が深まったようです。秋桜のコスモスもそろそろ盛りをこえそうです。それでも春の桜のように一気に散ることはなく少しづつ花数を減らして行きます。コスモスにつづいて小菊が咲き出しました。これから野紺菊が咲いて、11月には木々も色づき紅葉の季節がやって来ます。

 奈良では博物館で正倉院展が始まると秋本番、芸術と文化の秋となります。

*本日の「コスモス花あかり」は午後5時点灯、午後7時までです。花と灯りの競演をお楽しみください。

 

*『平家物語』を読む。

 巻第三「足摺」(あしずり)の段③

「少将〈まことにさこそはおぼしめされ候らめ(なるほどあなたはそうお思いでしょう)。我等がめしかへさるるうれしさは、さる事なれ共、御あり様を見をき奉るに、行くべき空をも覚えず。うちのせたてまッても上りたう候が(あなたを舟にお乗せ申してでも都に上りたいのですが)、都の御使もかなふまじき由申すうへ、ゆるされもないに、三人ながら(三人そろって)島を出たりなンど聞えば、中々あしう候なん。成経(なりつね)まづ罷りのぼッて、人々にも申しあはせ(相談して)、入道相国の気色(きしょく)をもうかがふて、むかへに人を奉らむ。其間は、此日比おはしつる様に思ひなして待ち給へ(この間じゅう、ここで暮らしていらっしゃったように、じっとがまんしてお待ちなさい)。何としても命は大切の事なれば、今度こそもれさせ給ふ共、つゐにはなどか赦免なうて候べき〉となぐさめたまへ共、人目もしらず(俊寛は人目もはばからずに)泣きもだえけり。

 既に(いよいよ)船出(いだ)すべしとてひしめきあへば(おしあって騒ぎたてると)僧都のッてはおりつ、おりてはのッつ、あらまし事をぞし給ひける(自分がこうありたいと思うこと。即ち船に乗る事)。少将(成経)の形見にはよるの衾(ふすま、夜具)、康頼入道が形見には一部の法華経をぞとど(留)めける。ともづな(舟のとも、後部にあって繋ぎ止める綱)といておし出(いだ)せば、僧都綱に取りつき、腰になり、脇になり、たけ(丈)の立つまではひ(引)かれて出、たけも及ばず成りければ、船に取りつき、〈さていかにをのをの、俊寛をば遂に捨てはて給ふか。是程とこそおもはざりつれ(これほど無情とは思わなかった)。日比(ひごろ)の情も今は何ならず(問題にならない)。ただ理をまげての(乗)せ給へ。せめては九國(くこく)の地まで〉とくどかれけれ共、都の御使〈いかにもかなひ候まじ〉とて、取りつき給へる手を引きのけて、船をばつゐに漕出す。僧都せん方なさに、渚にあがりたふれふし、おさなき者のめのと(乳母)や母なンどをした(慕)ふやうに、足ずりをして(足で地をばたばた打つこと。絶望を現す動作。)、〈是(これ)のせてゆけ、ぐ(具)してゆけ〉と、おめきさけべ共(わめき叫ぶけれども)、漕ぎ行く船の習ひにて、跡はしら浪ばかり也。いまだ遠からぬふね(船)なれ共、涙に暮れてみえざりければ、僧都たか(高)き所に走りあがり、燠(おき)の方をぞまねきけり。彼の松浦さよ(佐用)姫がもろこし船をした(慕)ひつつ、ひれ(領布、古代の婦人が襟にかけて飾りとした布巾)ふりけむも、是には過ぎじとぞみえし。船も漕ぎかくれ、日もくるれ共、あやしの臥しどへも帰らず。浪に足うちあらはせて、露にしほれて、其の夜はそこにぞあかされける。さり共、少将はなさけ(情)ふかき人なれば、よき様に申す事もあらんずらむと憑(たのみ)をかけ、その瀬に身をもなげざりける心の程こそはかなけれ。昔早離(そうり)、速離(そくり)が海岳山(かいがくせん)へはなたれけむかなしみも(南天竺の兄弟で、継母のために絶海の孤島に捨てられた『浄土本縁経』に見える)、いまこそ思ひしられけれ。」

(終り)

〔短歌〕

「膝折りて 湿りを持てる 土の香を

かげば子供の 遊びなつかし」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「柳紅葉 地に敷き天に 柿赤し」松本たかし

〔和歌〕

「うす霧の はるる朝けの 庭みれば

草にあまれる 秋の白露」

永福門院・玉葉536

「立ちこめた薄霧の晴れて行く明け方の庭を見ると、まあ、草に一ぱい、こぼれる程に置いている、秋の白露よ。」

 

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範(じっぱん)上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進(だいしん)上人宗観(しゅうかん)さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

 

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2012年10月19日 (金)

般若寺 コスモス花だより  10・19

 秋のコスモス:≪満開です≫

・開花期間: 9月~11月 ・15万本。

*コスモスは見ごろがつづいています。

秋コスモスの主役、ピンク赤白と色の鮮やかな「センセーション」、レモンのような黄色の「イエローキャンパス」、花弁が巻貝のような筒になった「シーシェル」が、そして「秋咲大輪美色」が名前のごとく大きく美しい花を咲かせています。

*二日続きの雨があがり、今日は晴れて青空が戻りました。ひと雨ごとに秋が深まっていきます。秋桜のコスモスもそろそろ盛りをこえそうです。それでも春の桜のように一気に散ることはなく少しづつ花数を減らします。コスモスが終われば紅葉、そして冬がやって来ます。季節の移ろいが実感できる今日この頃です。

 

*『平家物語』を読む。

巻第三「足摺」(あしずり)の段②

「ひらいてみれば、〈重科(ちょうか)は遠流(おんる)にめん(免)ず(汝らの重い罪はこれまでの遠流によってゆるしてやる)。はやく帰洛の思ひをなすべし(早速帰京の用意をせよ)。中宮御産の御祈りによッて、非常の赦をこなはる。然る間鬼界の嶋の流人、少将成経(なりつね)、康頼(やすより)法師赦免〉と書れて、俊寛と云文字はなし。らいし(礼紙、書状の上包みの紙)にぞあるらむとて、礼紙をみるにもみえず。奥(文書の終り)よりはし(端、文書の初め)へよみ、端より奥へ読みけれ共、二人(ににん)とばかりか(書)かれて、三人とはかかれず。

 さる程に、少将や判官入道も出できたり。少将のと(取)ッてよむにも、康頼入道が読みけるにも、二人とばかり書かれて三人とはかかれざりけり。夢にこそかかる事はあれ、夢かと思ひなさんとすればうつつ也。うつつかと思へば又夢の如し。(夢にならばこういうこともあろう。しかし夢だと思おうとするとやはり現実だ。)其うへ二人の人々のもとへは、都よりことづけぶみ(言付文)共いくらもありけれ共、俊寛僧都のもとへは、事とふ文(安否をたずねる手紙)一つもなし。〈抑々(そもそも)われら三人は罪もおなじ罪、配所も一所也。いかなれば赦免の時、二人はめしかへされて、一人(いちにん)ここに残るべき。平家の思ひわす(忘)れかや、執筆(しゅひつ、書記)のあやまりか。こはいかにしつる事共ぞや〉と、天にあふぎ地に臥(ふ)して、泣きかなし(悲し)め共かひぞなき。少将の袂にすがッて、〈俊寛がかく成るといふも、御へん(そなた)の父、故大納言殿(藤原成親)のよしなき謀反ゆへ也。さればされば、よその事とおぼすべからず(あなたは自分に無関係のことだと思ってはならないのだ)。ゆるされな(無)ければ(赦免がないから)、都までこそかなはずと云う共、此の船にのせて、九國(くこく、九州)の地へつけ給へ。をのをの是におはしつる程こそ(あなた方お二人がここにいらっしゃる間こそ)、春はつばくらめ(燕)、秋は田のむ(面)の雁の音づる(訪れ)る様に、をのづから故郷の事をも傳へき(聞)いつれ。今より後、何としてかは聞くべき〉とて、もだへこがれ給ひけり。」

(つづく)

〔短歌〕

「わが心 森の緑に 浸りつつ

その言ふことに 酔へるさみしさ」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「コスモスに 雨の狼藉 残りをり」岩垣子鹿

〔和歌〕

「あさぢ原 秋かぜふきぬ あはれまた

いかに心の ならむとすらむ」

従二位家隆・風雅504

「朝茅原に、秋風の吹く頃となってしまったよ。ああ、今年もまた、(秋の風物に催されて)どんなに心が傷み、悲しむようになって行こうとするのだろうか。」

・あさぢ原=浅茅生の同じ。短いチガヤが一面に生えているところ。荒廃した場所に象徴的な草の原。

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範(じっぱん)上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進(だいしん)上人宗観(しゅうかん)さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

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2012年10月18日 (木)

般若寺 コスモス花だより  10・18

 

 秋のコスモス:≪満開です≫

・開花期間: 9月~11月 ・15万本。

*コスモスは見ごろがつづいています。

秋コスモスの主役、ピンク赤白と色の鮮やかな「センセーション」、レモンのような黄色の「イエローキャンパス」、花弁が巻貝のような筒になった「シーシェル」が、そして「秋咲大輪美色」が名前のごとく大きく美しい花を咲かせています。

*昨日につづいて今日も雨が残りそうです。秋の雨は人の心を少ししんみりとさせます。心配していた台風21号は予報によると、日本列島の南海上を東へ進み、どうやら週末には東へ抜けそうです。土日の「コスモス花あかり」の行事もなんとか無事にできそうです。

 

*『平家物語』を読む。

「赦文」(ゆるしぶみ)から「足摺」(あしずり)の段にかけて鬼界ヶ嶋へ流されていた「鹿ケ谷」の罪人たちが赦免を受けて帰ることが許されます。しかし首謀者の俊寛僧都は一人残されます。能楽『俊寛』、浄瑠璃『平家女護島』(へいけにょごのしま)二段目「鬼界ヶ嶋」、馬琴作『俊寛僧都島物語』の題材になり、お芝居でも有名です。

「赦文」の段より、

「去程に、鬼界が嶋の流人共めしかへさるべき事さだめられて、入道相国(清盛)ゆるしぶみ(赦文)下されけり。御使すでに都をたつ。宰相(平教盛)あまりのうれしさに、御使に私(わたくし)の使をそへてぞ下されける。よるを昼にしていそぎ下(くだつ)たりしか共(昼夜兼行で急行したけれども)、心にまかせぬ海路なれば、浪風をしのいで行く程に、都をば七月下旬に出たれ共、長月廿日比にぞ、鬼界の嶋には着きにける。」

「足摺」(あしずり)の段、

「御使は丹左衛門尉基康(丹波基康)といふ者也。船よりあがッて、〈是に都よりながされ給し丹波少将殿、法勝寺執行御房(成経、なりつね)、平判官入道殿(康頼、やすより)やおはする〉と、声々にぞ尋ねける。二人の人々は、例の(島内に勧請した)熊野まうでしてなかりけり。俊寛僧都一人のこ(残)ッたりけるが、是をきき、〈あまりに思へば夢やらん(あまりに帰りたがっているので夢を見たのだろうか)。又天魔波旬(てんまはじゅん)の我心をたぶらかさむとていふやらむ。うつつ共覚えぬ物かな(天の魔王が私の心をだまそうとして言うのだろうか。現実とも思われない)〉とて、あはてふためき、はし(走)るともなく、たをるる共なく、いそぎ御使のまへに走りむかひ、〈何事ぞ。是こそ京よりながされたる俊寛よ〉と名乗り給へば、雑色(ざうしき、下級役人)が頸にかけさせたる文袋(ふぶくろ、伝送用に書類を入れる麻袋)より、入道相国(清盛)のゆるしぶみ取出いて奉る。」

(つづく)

 

〔短歌〕

「天気よき 日曜の朝の 勧工場(くわんこうば)

日陰つめたく 秋を感ずる」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「コスモスに 守られ赤字 路線駅」長尾虚風

〔和歌〕

「しら露の をける朝の 女郎花

花にも葉にも 玉ぞかかれる」

読人しらず・玉葉526

「白露の置いている朝の女郎花の美しさよ。まるで花にも葉にも輝く玉がかかっているようだ」

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範(じっぱん)上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進(だいしん)上人宗観(しゅうかん)さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

 

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2012年10月17日 (水)

般若寺 コスモス花だより  10・17

 

 秋のコスモス:≪満開です≫

・開花期間: 9月~11月 ・15万本。

*コスモスは満開がつづいています。

秋コスモスの主役、センセーション、イエローガーデン、秋咲大輪美色が大きな花を咲かせています。大きいのは10センチ程もあり秋の空に映えています。

*今日は雨模様、久しぶりの雨です。一度コスモスに水やりをしようと考えていたので助かりました。しかし南の海上には秋雨前線と台風21号があります。台風はまだ動きを見せていませんが、天気予報では週末に紀伊半島の南へやって来そうですから要注意です。大禍無きことを祈ります。

 

*『平家物語』を読む。

「赦文」(ゆるしぶみ)の段②

「かかりし程に、中宮は月のかさなるに隨(したがっ)て、御身をくる(苦)しうせさせ給ふ。一たびゑめば百(もも)の媚(こび)ありけむ漢の李夫人(漢の武帝の愛姫)の、昭陽殿(李夫人の後宮の名前)の病のゆか(床)もかくやとおぼえ、唐の楊貴妃、梨花一枝春の雨ををび、芙蓉の風にしほれ、女郎花の露おもげなるよりも、猶いたはしき御さまなり。かかる御悩の折節にあはせて、こはき御物氣共(おんもののけども)、取いり奉る。よりまし(病人などについている物の怪を乗り移らせるために置く童男女)明王の縛にかけて(不動明王の呪を唱えてよりましに乗り移らせ、祈祷者が縛にかけると生霊や死霊が本体を現す)、霊あらはれたり。殊には讃岐院(さぬきのゐん、鳥羽天皇の第一皇子顕仁、保元の乱で讃岐へ配流死亡)の御霊、宇治悪左府(藤原頼長、忠実の次男、保元の乱で矢に当り奈良で死亡)の憶念、新大納言成親卿(なりちかのきょう)の死霊、西光法師が悪霊、鬼界の嶋の流人共(俊寛僧都や平康頼など鹿ケ谷の謀議で流罪になった人達)が生霊な(ン)どぞ申ける。是によって、太政入道(清盛)生霊も死霊もなだめらるべしとて、其比やがて讃岐院御追号あって、崇徳天皇と号す。宇治悪左府(うじのあくさふ)、贈官贈位をこなはれて、太政大臣正一位ををくらる。勅使は少内記(ないき、中務省で詔勅・宣命を起草などする書記官)維基(これもと、正しくは藤原惟基)とぞ聞えし。件の墓所(くだんのむしょ、問題の悪左府頼長の墓所)は大和國そうのかん(添上)の郡(こほり)、川上の村(現北山十八間戸辺り)、般若野(はんにゃの、般若寺南方の傾斜地一帯)の五三昧(ごさんまい、近畿地方にあった五箇所の三昧。三昧は悟りから転じて死者の冥福を祈る場所をいい墓所、葬場。)也。保元の秋ほ(堀)りをこして捨てられし後は、死骸路(みち)の辺(ほとり)の土となッて、年々にただ春の草のみ茂れり。今勅使尋来(たずねきたり)て宣命(せんみょう、国語で書かれた詔勅のこと。頼長の花の前で贈官贈位を知らせる宣命を読んだのである。)を読けるに、亡魂いかにうれしとおぼしけむ。怨霊は昔もかくおそろしきこと也。されば早良廃太子(さはらはいたいし、桓武天皇の弟、皇太子を廃され淡路に遷される途中で死んだ。)をば崇道天皇(しゅどうてんのう)と号し、井上(いがみ)の内親王(聖武天皇の皇女で光仁天皇の皇后、子息の皇太子他戸親王とともに廃された。)をば皇后の職位(しきい)にふくす。是みな怨霊を宥められしはかりこと也。冷泉院の御物ぐるはしうましまし、花山の法皇の十禅万乗(じゅうぜんばんじゃう、十善)の帝位をすべらせ給ひしは、基方民部卿が霊とかや。三條院の御眼も御覧ぜざりしは、観算供奉(かんざんぐぶ)が霊也。」

この時代の人々は政治的に不遇のうちに死した者は御霊、怨霊になってたたりを及ぼすと考えていたのです。それゆえ権力者は御霊鎮めに力を注いだのです。

(つづく)

 

 

〔短歌〕

「野原やや なぞへになれり 夕月の

光たまるを 汽車より見やる」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「新蕎麦や その山畑の 窓に見ゆ」水原秋桜子

〔和歌〕

「むら雲に かげさだまらぬ 秋の日の

うつりやすむも 暮るる比かな」

前大僧正覚円・風雅503

「むらがり動く雲にみえかくれして、光が安定しない秋の日の変わりやすいと同様に、時もまた移りやすく、何とまああっさりと日暮れになってしまうこの頃だろうか。」

・うつりやすくも=「映り」と「移り」をかける。秋の空模様と短日を表現。

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範(じっぱん)上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進(だいしん)上人宗観(しゅうかん)さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

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2012年10月16日 (火)

般若寺 コスモス花だより  10・16

 

 秋のコスモス:≪満開です≫

・開花期間: 9月~11月 ・15万本。

 

〇 秋海棠(しゅうかいどう)≪終わり近し≫ 

*コスモスは満開になっています。今が最高の状態です。まだ蕾が多いのでこれから月末にかけて見ごろがつづくと思います。今年は例年になく背が高く150180㎝ほどになっています。お堂の縁側から庭を見ると十三重石塔の周りの花が盛り上がって波打つように見えます。

秋コスモスの主役、センセーション、イエローガーデン、秋咲大輪美色がみごとに大きな花を咲かせています。大きいのは10センチ程もあり秋の空に映えています。

 昨日は平日にもかかわらず、写真を撮るかたを始め多くの参詣者でにぎわいました。平日は三脚使用を認め、駐車場も無料となっているので多くなっているのだろうと思います。

 今台風21号が沖縄南方にあって北上中です。18日ごろから進路を東に変えるそうで雨風の影響が心配です。偏西風に流されて東の海上を通ってくれればいいんですが。

 

*『平家物語』を読む。

巻第三の「赦文」(ゆるしぶみ)の段。ここには「般若野」に葬られた左大臣藤原頼長のことが出てきます。初めから読みます。

「治承二年正月七日、彗星東方にいづ。蚩尤氣(しゆうき、氣は旗が正しい。ほうきぼし、尾を旗のように引いている。これは天子が四方を征伐する前兆とされる。)とも申す。又赤氣(せっき、蚩尤旗の別名)共申す。十八日光をます。

 去程に、入道相国の御むすめ建礼門院、其比は未だ(高倉天皇の)中宮と聞えさせ給しが、御悩(ごなう)とて、雲の上天が下の歎きにてぞありける。諸寺に御読経(みどくきやう)始まり、諸社へ官幣を立てらる。医家薬をつくし、陰陽術をきはめ(医師はあらゆる薬法を用い、陰陽師は方術の限りを尽くし)、大法秘法一つとして残る処なう修せられけり。され共、御悩ただにも渡らせ給はず(御病気は普通のものではなく)、御懐妊とぞ聞えし。主上(しゅしょう)は今年十八、中宮は二十二にならせ給ふ。しかれ共、いまだ皇子も姫宮も出(いで)きさせ給はず。もし皇子にてわたらせ給はばいかに目出(めでた)からんとて、平家の人々はただ今皇子御誕生のある様に、いさみ悦びあはれけり。」

 こうして徳子に無事に皇子誕生を祈念するため「孔雀経の法」(息災を祈る法)や「変成男子」(へんじょうなんし、女子を変じて男子とする祈祷)の法を高僧貴僧に修してもらった。

(つづく)

〔短歌〕

「日光は 次第に遠み 過ぎ去れる

旅のかなしさ 野ずゑ汽車行く」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「風つよし そそより勁し 秋桜」中島秀子

〔和歌〕

「月のこり 露まだ消えぬ 朝明けの

秋のまがきの 花の色々」

前大僧正実承・玉葉521

「月は空に残り、露もまだ消えない早朝の、秋の籬に咲き乱れる色々の花の美しさよ。」

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範(じっぱん)上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進(だいしん)上人宗観(しゅうかん)さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

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2012年10月15日 (月)

般若寺 コスモス花だより  10・15

 秋のコスモス:≪満開です≫

・開花期間: 9月~11月 ・15万本。

〇 秋海棠(しゅうかいどう)≪終わり近し≫ 

〇 紫苑(しおん) ≪終わり≫

*コスモスは満開になっています。今が最高の状態です。まだ蕾が多いのでこれから月末にかけて見ごろがつづくと思います。今年は例年になく背が高く150180㎝ほどになっています。お堂の縁側から庭を見ると十三重石塔の周りの花が盛り上がって波打つように見えます。

秋コスモスの主役、センセーション、イエローガーデン、秋咲大輪美色がみごとに大きな花を咲かせています。大きいのは10センチ程もあり秋の空に映えています。

*昨夜は「コスモス花あかり」でマリンバ演奏がありました。本堂外陣を舞台にしての演奏でお堂の前は満員でした。榊氏制作による色とりどりの創作行燈を楽しみながらの音楽鑑賞は、少しひんやりする曇り空の下にもかかわらず、皆さま最後までゆく秋の一夜を楽しんでおられました。

 今週の土日も「花あかり」、最終日曜日には大正琴などの演奏があります、乞うご期待。

*週末は大変忙しかったので『平家物語』を読むことができませんでした。次は巻の第二を飛ばして第三へ入ろうと思います。最初の段「赦文」(ゆるしぶみ)は治承2年(1178)正月1日から始まります。清盛の娘、高倉天皇の中宮徳子(後の建礼門院)がご懐妊。無事出産をねがうため怨霊となった死霊、生霊に追号、贈位贈官を行う中に悪左府頼長のことが出てきます。

(明日へつづく)

〔短歌〕

「男体の 樅に紅葉に 午後の日の

弱まりて行く 暮の静けさ」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「コスモスの 籬(まがき)に病めば 子等のぞく」中尾白雨

〔和歌〕

「ふみ分けて たれかはとはむ よもぎふの

庭もまがきも 秋のしら露」

如願法師・風雅501

「これを踏み分けて、一体誰が尋ねてくれるだろうか。蓬の茂った庭にも垣根にも、一面に秋の白露が置いている。(これでは来てくれる人もありはすまい)」

・よもぎふ=蓬生。蓬の生い茂った庭。雑草が茂り、荒れ果てた所。

 ☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範(じっぱん)上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進(だいしん)上人宗観(しゅうかん)さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

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2012年10月14日 (日)

般若寺 コスモス花だより  10・14

 秋のコスモス:≪満開です≫ 

・開花期間: 9月~11月 ・15万本。 

〇 秋海棠(しゅうかいどう)≪終わり近し≫ 

〇 紫苑(しおん) ≪終わり近し≫

*満開になりました。今が最高です。長らくお待たせしたコスモスの花はようやくご期待にそえる状態になりました。一面に咲きそろっています。まだ蕾も多いのでこれから月末にかけて満開状態がつづくと思います。今年は例年になく背が高いです。台風もなく適度の雨のおかげで背たけは150180㎝ほどになっていて場所によってはコスモスの林のようになっています。お堂の縁側に立つと花が盛り上がっているように見えます。

秋コスモスの主役、センセーション、イエローガーデン、秋咲大輪美色がみごとに大きな花を咲かせ秋の空に映えています。

 

*ゆうべの「コスモス花あかり」はお天気にも恵まれて大盛況でした。みなさん満開の花と行燈の灯に魅了されご堪能いただけたようです。

 本日はマンドリンの演奏もあり一段と盛り上がる事と思います。

ただ自動車で来られる方が多く、駐車場は収容しきれず路上で並んで待っていただくことになりました。道も狭いので少し危険でした。

とくに写真目的の方は長時間になり、あとの人がみなさんしわ寄せをこうむっておられます。できるだけ早く切り上げていただきたいですね。そこで本日は駐車券を発行いたします。時間超過の場合有料となりますのでご留意願います。超過の場合一時間200円の協力金を頂戴することになります、あしからず。

 

〔短歌〕

「大いなる 斜面に秋の 日を受けて

男体山の 夕ぐれに立つ」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「秋ざくら 倉庫とともに 運河古る」赤塚五行

〔和歌〕

「をく露も なさけぞふかき もも草の

花のひもとく 朝露の庭」

前右近大将公顕・玉葉519

「置きわたす露も、いかにも情愛深げに見えることだ。古歌に〈思ひたはれむ〉と詠まれた情景そのまま、沢山の秋草の花が咲きはじめている、朝霧の景色よ。」

・参考歌=「もも草の 花のひもとく 秋の野を

        思ひたはれむ 人なとがめそ」(古今集246読人しらず)

 

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範(じっぱん)上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進(だいしん)上人宗観(しゅうかん)さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

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2012年10月13日 (土)

般若寺 コスモス花だより  10・13

 秋のコスモス:≪満開です≫

・開花期間: 9月~11月 ・15万本。

 

〇 秋海棠(しゅうかいどう)≪終わり近し≫ 

〇 紫苑(しおん) ≪終わり近し≫

 

*満開になりました。今が最高です。お待ちかねのコスモスの花はようやくご期待にそえる状態になりました。一面に咲きそろっていますが、まだ蕾も多いのでこれから月末にかけて満開状態がつづくと思います。今年は例年になく背が高いです。台風もなく適度の雨のおかげで背たけは150180㎝ほどになっています。場所によってはコスモスの林のようになっています。お堂の縁側に立つと花が盛り上がっているように見えます。

秋コスモスの主役、センセーション、イエローガーデン、秋咲大輪美色がみごとに大きな花を咲かせ秋の空に映えています。

 

*本日夕方5時から「コスモス花あかり」があります。この行事はもう10年以上続いて年々人気を呼んでいます。今年は昼間の参詣客が例年になく多く60台入る寺駐車場は常に満杯状態です。ほかに駐車場はありませんので、なるべくバス御利用でお越しくださいませ。

 

*『平家物語』を読む。

巻第一を終えて巻第二に移ります。この巻は題名を上げるだけにとどめます。巻の第二は治承元年(11775月から始まります。段の名は「座主流」(ざすながし)、「一行阿闍梨之沙汰」(いちぎやうあじゃりのさた)、「西光被斬」(さいくわうがきられ)、「小教訓」(こげうくん)、「少将乞請」(せうしやうこひうけ)、「教訓状」(けうくんじやう)、「烽火之沙汰」(ほうくわのさた)、「大納言流罪」(だいなごんるざい)、「阿古屋の松」(あこやのまつ)、「大納言死去」(だいなごんのしきよ)、「徳大寺之沙汰」(とくだいじのさた)、「山門滅亡堂衆合戦」(さんもんめつぼうだうしゅかつせん)、「山門滅亡」(さんもんめつぼう)、「善光寺炎上」(ぜんくわうじえんしやう)、「康頼祝言」(やすよりのつと)、「卒都婆流」(そとばながし)、「蘇武」(そぶ)となります。

 

〔短歌〕

「うつくしき ひだをつくりて 流れ行き

ながれ行く水に 愛をおぼゆる」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「捩れ咲く コスモス白し 一転機」林翔

〔和歌〕

「ふきすてて すぎぬる風の 名残まで

をとせぬ荻も 秋ぞかなしき」

前大納言為兼・風雅496

「さっと吹き捨てたきり、とっくに過ぎ去って行ってしまった風の名残かと思う程に、今はもう動きを止め、音もせずひっそりと立つ荻を見るにつけても、秋という季節がしみじみと悲しい。」

 

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範(じっぱん)上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進(だいしん)上人宗観(しゅうかん)さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

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2012年10月12日 (金)

般若寺 コスモス花だより  10・12

 秋のコスモス:≪満開です≫

・開花期間: 9月~11月 ・15万本。

 

〇 秋海棠(しゅうかいどう)≪終わり近し≫ 

〇 紫苑(しおん) ≪終わり近し≫

 

*ほぼ満開になりました。一週間遅れていたコスモスの花はようやく咲きそろったようです。まだ蕾も多いのでこれから月末にかけて満開状態の見ごろがつづくと思います。今年は例年になく背が高いです。台風もなく適度の雨にうるおされて背たけは150180㎝ほどになっています。場所によってはコスモスの林のようになった所もあります。

秋コスモスの主役、センセーション、イエローガーデン、秋咲大輪美色がみごとに大きな花を咲かせ秋の空に映えています。

明日はいよいよ「コスモス花あかり」の初日です。榊隆さんの創作行燈とロウソク行燈そして電気ライトで照らされた境内は花と光の幻想世界が作りだされます。そして日曜日は西川夏代さんと樽井美咲さんの「マリンバ演奏」があります。どちらも午後5時から7時までの予定です。

 

*『平家物語』を読む。

「祇王」の段⑥

「かづきたる(頭からかぶっていた着物。これは当寺の市女笠をかぶったいわゆる衣被・きぬかつぎの風俗)きぬ(衣)をうちのけたるをみれば、あまになってぞ(髪をおろした尼姿になって)出来(いできた)る。〈かように様をかへてまいりたれば、日ごろの科(とが)をばゆるし給へ。ゆるさんと仰せられば、諸共に念仏して、ひとつはちす(一蓮托生、極楽で同じ蓮の葉の上に生れること)の身とならん。それになを心ゆかずは、是よりいづちへもまよひゆき、いかならん苔のむしろ、松がね(根)にもたほれふし、命のあらんかぎり念仏して、往生のそくはい(素懐、平素の願い)をとげんとおもふなり〉とさめざめとかきくどきければ、祇王なみだをおさへて、〈誠にわごぜ(我御前、あなた)の是ほどに思給(おもひたまひ)けるとは夢にだにしらず。う(憂)き世の中のさが(性)なれば、身のう(憂)きとこそおも(思)ふべきに、(つらいのはこの世の習いですから、これも我身の不運と思わなければなりませんのに。)ともすればわごぜ(我御前、あなた)の事のみうらめしくて、往生のそくはい(素懐)をとげん事かなふべしともおぼえず。(こう人のことばかり恨んでいては往生をしたい私の本志はとげられそうにも思われません。)今生も後生も、なまじゐにしそんじたる(中途半端にやり損じてしまった)心ちにてありつるに、かようにさまをかへておはしたれば、日比(ひごろ)のとが(あなたに対する平素の恨み)は露ちりほどものこらず。いまは往生うたがひなし。此度そくはい(素懐)をとげんこそ、何よりも又うれしけれ。我等が尼になりしをこそ、世にためしなき事のように人もいひ、我が身にも又思ひしか、〔それは世をうらみ身を恨みてなりしかば(私たちが尼になったのは、世間を恨み、わが身を恨んでのことだったのですから。)〕さまをかふるもことはりなり。いまわごぜ(我御前)の出家にくらぶれば、事のかずにもあらざりけり。(私の出家など物の数でもありません)わごぜ(我御前)はうらみもなし、なげきもなし。ことしはわずかに十七にこそなる人の、かようにゑど(穢土)をいとひ浄土をねがはんと、ふかくおもひいれいれ給ふこそ、(心におかけになるのこそ)まことの大だうしん(大道心)とはおぼえたれ。うれしかりける善知識かな。(私を仏道に導いてくれるありがたい名僧知識です)いざもろともにねがはん〉とて、四人一所にこもりゐて、あさゆふ仏前に花香をそなへ、よねん(余念)なくねがひければ、ちそく(遅速)こそありけれ、四人のあまども皆往生のそくはい(素懐)とげけるとぞ聞えし。されば後白河の法皇のちやうがうだう(長講堂、正しくは法華長講阿弥陀三昧堂、後白河法皇が建てた持仏堂が起源)のくはこちやう(過去帳、死者の法名や忌日などを記した帳面)にも、祇王・祇女・ほとけ・とぢらが尊霊(そんりょう)と、四人一所に入れられけり。あはれなりし事どもなり。」

(終)

 

〔短歌〕

「しばらくは 滝に心を 吸はれつつ

秋の日なたに われ等たたずむ」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「コスモスの 揺れ返すとき 色乱れ」稲畑汀子

〔和歌〕

「みだれふす 野べの千種の 花の上に

色さやかなる 秋の白雲」

従三位為信・玉葉518

「乱れ伏している、野の秋草のさまざまの花の上に、一入色も清らかに置き渡している、秋の白露よ。」

・「草花の露」を詠む。

 

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進上人宗観さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

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2012年10月11日 (木)

般若寺 コスモス花だより  10・11

 

 秋のコスモス:≪満開かな⁉≫

・開花期間: 9月~11月 ・15万本。

 

〇 秋海棠(しゅうかいどう)≪終わり近し≫ 

〇 紫苑(しおん) ≪終わり近し≫

 

*ほぼ満開になりました。一週間遅れていたコスモスの花はようやく咲きそろったようです。まだ蕾も多いのでこれから月末にかけて満開状態の見ごろがつづくと思います。今年は例年になく背が高いです。台風もなく適度の雨にうるおされてコスモスの背たけは150180㎝ほどになっています。場所によってはコスモスの林のようになった所もあります。

秋コスモスの主役、センセーション、イエローガーデン、秋咲大輪美色がみごとに大きな花を咲かせ秋の空に映えています。

 

 

*『平家物語』を読む。

「祇王」の段⑤

「たがひに心をいましめて、竹のあみ戸をあけたれば、まゑん(魔縁)にてはなかりけり。仏御前ぞ出来(いできた)る。祇王〈あれはいかに(これはどうしたことか)、仏御前と見たてまつるは。夢かうつつか。〉といひければ、仏御前涙をおさへて、〈か様の事申せば、事あたらしうさぶらへ共(今さら改まったことを申しますが)、申さずは又おもひしらぬ身ともなりぬべければ(物の道理もわきまえない者だと思われましょうから)はじめよりして申すなり。もとよりわらはは推参(自分から押しかけて訪問)のものにて、出だされまいらせさぶらひしを(一度は清盛公の邸から追い出されたのですから)、祇王御前の申状(言葉添え、とりなし)によってこそめしかへ(召し返)されてもさぶらふに、女のはかなきこと、わが身を心にまかせずして、おしとどめ(押し留め)られまいらせし事、心う(憂)うこそさぶらひしか。いつぞや又めされ(祇王が召され)まいらせて、今様うたひ給ひしにも、思ひしられてこそさぶらへ。(恩を仇で返したような私のその当時の身の上の情けなさをつくづくと思い知らされました。)いつかわが身のうへならんと思ひしかば(しかし、あなたの身の上がいつか私の身の上になるのだろうとおもいましたから)、嬉しとはさらに思はず。障子に又〔いづれか秋にあはではつべき〕と書置き給ひし筆の跡、げにもとおもひさぶらひしぞや。其後は在所(あなた様のお住い)をいづくともし(知)りまいらせざりつるに、かようにさまをかへ(髪をおろし尼姿に変わって)、ひと所に(三人が一つ所で修行をしている)とうけ給はってのちは、あまりに浦山(うらやま)しくて、つねは暇を申(まうし)しかども(いつもお暇を下さいと清盛公に申していたのですが)入道殿さらに御もちい(用い)ましまさず。つくづく物を案ずるに、娑婆の栄華は夢のゆめ、楽しみさかへて何かせむ。人身(にんじん)は請(うけ)がたく、仏教にはあひがたし(人と生れることはまれであり、仏の教えに出会うことは難しい)。此度泥梨(ないり、奈落・地獄)にしづみなば、たしょうこうごう(多生曠劫)をばへだつとも、うかびあがらん事かたし。(幾度となく生まれ変わって曠劫=非常に長い年月を隔てようとも、再び極楽に浮かび上がることは難しい)年のわかきをたのむべきにあらず、老少不定(ろうしょうふじょう)のさかいなり。(老人や少年の寿命が定まっていない世の中です)出(いづ)るいきのいるをもまつべからず(いよいよ死ぬ時になれば、出た息を吸い込む時間も待ってはくれません)、かげろういなづま(蜻蛉稲妻)よりなをはかなし。一旦(いったん)の楽み(一時の富貴)にほこって、後生をしらざらん事のかなしさに、けさ(今朝)まぎれ出(いで)て、かくなってこそまいりたれ。(かような姿になって参りました)〉とて、」

 

 

〔短歌〕

「白樺の 白き木肌に 手をふれて

眼を見ひらきぬ 秋風をきく」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「コスモスの 夜は一色に 花そむき」中村汀女

〔和歌〕

「庭しろき いさごは月に うつろひて

秋風よはき 花のすゑずゑ」

入道二品親王法守・風雅497

「庭面一面、白々とした砂地に月の光は映りつつ衰えて、秋風にそよぐ姿も弱々しい、秋草の花の末々よ」

・庭しろき=貴人の家の壺庭には一面に白砂を敷き、季節により前栽をあしらう。

 

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進上人宗観さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

 

《奈良市への申し入れ文書》参考のため載せます。

    平成24109

奈良市長            仲川げん  殿  

 奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会

                渡邊信久  殿

奈良市クリーンセンターの「中ノ川」「東鳴川」地区への移転建設候補地選定案撤回の申し入れ 

浄瑠璃寺 住職 佐伯快勝 木津川市加茂町西小札場40 

岩船寺  住職 植村幸雄 木津川市加茂町岩船上ノ門43 

般若寺  住職 工藤良任 奈良市般若寺町221 

私ども三か寺は「奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会」において選定された候補地①奈良市川上町、中ノ川町地内および候補地②奈良市中ノ川町、東鳴川町地内に焼却施設が建設された場合、以下の問題が生じ古都奈良の将来に禍根を残すと危惧しております。

 文化財保存への影響

 観光振興への影響

貴市および貴市建設計画策定員会での候補地選定の議論において、この二点が全く考慮、議論されなかったのは国際文化観光都市奈良としては不適切なことであり、誠に残念な思いがいたします。

これらは私ども三か寺にとっては寺の存立にかかわる大問題なので、貴市長および貴市策定委員会におかれましては、古都奈良の行政に相応しい良識ある判断をもって御配慮されますようお願い申し上げます。

問題点①―文化財への影響

浄瑠璃寺は「中ノ川」から1キロ、岩船寺、般若寺は2キロ圏に位置します。また「東鳴川」からは浄瑠璃寺は0.4キロ、岩船寺は0.5キロ、般若寺は2.3キロの距離となります。現在、奈良大学文化財学科では大気汚染が文化財に及ぼす影響について長期の定点観測を続けておられます。その調査によると、現環境清美工場から出る排気ガスには塩化物イオンなどの酸化ガスが含まれていて興福寺五重塔相輪や大仏殿八角灯籠などの銅製品や石造物、岩絵具の障壁画に損傷を与えていることが判明しています。この排出ガスが近距離になった場合は、予測できないほどの深刻な影響を与えると思われます。また文化財は森林などの自然環境の中で保存されてきました。もし樹木が枯れてしまえば湿度など大気の環境悪化が起こり文化財へも大きな影響を及ぼすでしょう。

以上の観点から、文化財の集中地域に近接する当該地は建設候補地としてふさわしくないと考えます。

問題点②―観光への影響

三か寺はいずれも全国からの観光客を受け入れ、奈良の観光振興に少なからず寄与してまいりました。

観光の面からみても「中ノ川」あるいは「東鳴川」にゴミ関連施設ができることは観光都市奈良のイメージダウンになると考えます。般若寺は古都のコスモス名所として、浄瑠璃寺、岩船寺は「石仏の里当尾」の中心寺院として世に知られます。ことに当尾の里は文化と自然の調和を評価されて『京都府歴史的自然環境保全地域』に指定され、国の『美しい日本の風土的景観100選』にも選ばれています。この古都や当尾地域のすぐ近くからゴミ焼却の排煙が立ちのぼることはどうみても観光には不釣り合い、不適切なことです。

また奈良市から般若寺と当尾の里へのアクセスは県庁東交差点―般若寺交差点―中ノ川―岩船寺口―当尾(岩船寺・浄瑠璃寺)であり、この道の交通渋滞がさらにひどくなれば観光奈良の評判は低下し、観光客受け入れに支障をきたします。三か寺と観光で生計を立てる地域住民にとっては死活問題です。

さらに木津川市にとって「当尾の里」は市内最大の観光地であり、新しく発足した木津川市の都市計画では文化と観光の重点ゾーンと位置付けられています。また将来は世界遺産への登録も視野に入れられています。そのような宝物のような地域に近接してゴミ焼却施設が出来ることは到底受け入れることができません。観光の面からもゴミ焼却施設の当該地移設は不適切と考えます。

貴市及び貴市クリーンセンター建設計画策定委員会におかれましては、以上の問題点をご考慮いただき、百年・千年の大計をもって判断していただきたく、「中ノ川」「東鳴川」地区へのクリーンセンター移転計画案は撤回されますよう、ここにお願い申し上げます。

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2012年10月10日 (水)

般若寺 コスモス花だより  10・10

 

 秋のコスモス:≪満開かも≫

・開花期間: 9月~11月 ・15万本。

 

〇 秋海棠(しゅうかいどう)≪終わり近し≫ 

〇 紫苑(しおん) ≪終わり近し≫

 

*ほぼ満開になりました。一週間遅れていたコスモスの花はようやく咲きそろったようです。まだ蕾も多いのでこれから月末にかけて満開状態の見ごろがつづくと思います。今年は例年になく背が高いです。台風もなく適度の雨にうるおされてコスモスの背たけは150180㎝ほどになっています。場所によってはコスモスの林のようになった所もあります。

秋コスモスの主役、センセーション、イエローガーデン、秋咲大輪美色がみごとに大きな花を咲かせ秋の空に映えています。

 

*『平家物語』を読む。

「祇王」の段④ 原文ばかりで難しい言葉づかいを並べてすみません。しかしこの段は、祇王、祇女、母とぢ、仏御前の四人の女性が清盛の心変わりに運命を翻弄され、終には出家の道に入って行く境遇の中で、その心の葛藤と情の純粋さが織りなすみごとな物語になっています。いましばらくお付き合いくださいませ。

「祇王なみだをおさへて、〈げにもさようにさぶらはば、五逆罪うたがひなし。さらば自害はおもひとどまりさぶらひぬ。かくて都にあるならば、又う(憂)きめをもみむずらん。いまはただ都の外へ出(いで)ん〉とて、祇王二十一にて尼になり、嵯峨の奥なる山里に、柴の庵をひきむすび、念仏してこそゐたりけれ。いもうとのぎにょ(祇女)も、〈あね身をなげば、われもともになげんとこそ契しか。まして世をいとはむに(俗世をいとうきもちにおいて)誰かはおとるべき〉とて、十九にてさまをかへ(出家し)、あねと一所に籠居て、後世をねがふぞあはれなる。母とぢ是を見て、〈わかきむすめどもだにさまをかふる世中に、年老ひおとろへたる母、しらがをつけてもなににかはせむ〉とて、四十五にてかみをそり、二人のむすめ諸共に、いつかうせんじゅ(一向専修)に念仏して、ひとへに後世をぞねがひける。

 かくて春すぎ夏闌(たけ)ぬ。秋の初風吹きぬれば、星合(ほしあひ・七夕の夜)の空をながめつつ、天のと渡る(天の川を渡る)かじ(舟の舵と植物の梶)の葉に、おもふ事かく比なれや(たなばたの夜、相思の男女がその思いを梶の葉に書いて祈る頃であるよ)。夕日のかげの西の山のはに隠るるを見ても、日の入給ふ所は西方浄土にてあんなり、いつかわれらもかしこに生れて、物をおもはで(物思いすることなく)すぐさむずらん(過ごしたいものです)と、かかるにつけても過ぎにしかたの憂き事共思ひつづけて、唯つきせぬ物は涙なり。たそかれ時も過ぎぬれば、竹の網戸をとぢふさぎ、灯(ともしび)かすかにかきたてて、親子三人念仏してゐたる処に、竹のあみ戸をほとほととうちたたくもの出(いで)来たり。其時尼ども肝を消し、〈あはれ、是はいふかひなき(そのがらでもない)我等が、念仏して居たるを妨げんとて、まゑん(魔縁)の来たるにてぞあるらむ。昼だにも人もとひこぬ山里の、柴の庵の内なれば、夜ふけて誰かは尋ぬべき。わづかの竹のあみ戸なれば、あけずともおしやぶらん事やすかるべし。中々ただあけていれんとおもふなり。それに情をかけずして、命をうしなふものならば、年比(としごろ)頼みたてまつる弥陀の本願(阿弥陀仏が衆生を救うために発てた四十八願のうち第十八の念仏往生願が本願)をつよく信じて、隙(ひま)なく名号をとなへ奉るべし。声を尋ねてむかえ給ふなる聖主(聖衆、来迎の菩薩衆)の来迎にてましませば、などかいんぜう(引摂)なかるべき。相かまへて念仏おこたり給ふな〉と、」

(つづく)

 

〔短歌〕

「榧に似し むくつけき木が しをらしき

赤き実つけて 秋の日に立つ」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「コスモスの まだ触れ合はぬ 花の数」石田勝彦

〔和歌〕  

「いづくより をくともしらぬ 白露の

くるれば草の うへにみゆらん」

前大納言為兼・玉葉517

「どこから降りおくともわからない白露が、一体どうして、夕暮ごとにいつもちゃんと草の上に見えるのだろうか。」

・参考歌=「夜を深み かえりし空も なかりしを

いづくよりおく 露にぬれけむ」

(元輔・詞花衆235

 

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進上人宗観さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

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2012年10月 9日 (火)

般若寺 コスモス花だより  10・9

 

 秋のコスモス:≪八分咲き≫

・見頃の期間: 9月下旬~11月 

・満開の状態: 1010日頃~下旬

35種類、15万本。

 

〇 秋海棠(しゅうかいどう)≪終わり近し≫ 

〇 紫苑(しおん) ≪終わり近し≫

 

*いまコスモスの背たけは150180㎝ほどになって、花は〈八分咲き〉の状態です。残暑の影響で開花が一週間ほど遅れましたが、〈満開〉まではあと少しというところになりました。

しかし新種のスノーパフ、ローズボンボン、クランベリー、シーシェル、ピコティ、サイケ、スカーレット、デイドリーム、ハッピーリング、イリュージョン、ピンクポップソックス、ソナタ、サンライズなど珍しい品種は今が見ごろです。

秋コスモスの主役、センセーション、イエローガーデン、秋咲大輪美色が咲き出しました。みごとに大きな花が青空に照り映えています。

 

*昨日もお天気に恵まれ大変な人出でした。とくに体育の日にちなんだ近鉄電車の企画で、奈良駅から奈良公園を歩き「コスモス寺へ行こう」というウォーキングがあって大勢の方がやってこられました。「コスモス寺」が世に知られ出した頃の最盛期を思い出させるような賑わい方でした。

*『平家物語』を読む。

「祇王」の段③ 

「さて車に乗て宿所に帰り、障子のうちにたをれふし、唯なくより外の事ぞなき。」「かくてことしもくれぬ。あくる春の比、入道相国、祇王がもとへ使者をたてて、〈いかに其後何事かある。佛御前が余りにつれづれげに(退屈でさびしがって)見ゆるに、まいって今ようをもうたひ、まひなどをもまふて仏なぐさめよ〉とぞ」

翌年、祇王は清盛に召され、仏をなぐさめるため涙をおさえて今様をうたった。祇王はこれを機としてついに嵯峨の奥で出家し、母刀自・妹祇女もこれに従った。

祇王が歌った今様は

「仏もむかしはぼんぶなり我等も終には仏なり

いづれも仏性具せる身をへだつるのみこそかなしけれ」

(この今様は『梁塵秘抄』二、法文歌「仏も昔は人なりき、我等もついには仏なり、三身仏性具せる身と、知らざりけるこそあはれなれ」)

「と、なくなく二返うたふたりければ、其座にいくらもなみゐたまへる平家一門の公卿(くぎょう)・殿上人(てんじょうびと)・諸大夫(しょだいぶ)・侍(さぶらい)に至るまで、皆感涙をぞながされける入道もおもしろげにおもひ給ひて、〈時にとっては神妙に申たり。さては舞も見たけれども、けふはまぎるる事いできたり。此後(こののち)はめさずともつねにまいって、今ようをもうたひ、まひなどをもまふて、仏なぐさめよ〉とぞの給ひける。祇王とかうの御返事にも及ばず、涙をおさえて出にけり。」

 祇王が「二たびうきめ(憂き目)を見つることの心うさよ。かくて此世にあるならば、又うきめをも見むずらん。いまはただ身をなげんとおもふなり」と言うと、妹の祇女もともに身投げすると言い、母とぢも「〈二人のむすめ共にをくれなん後、年老おとろえたる母、命いきても(生きながらえても)なににかはせむなれば、我もともに身をなげむとおもふなり。いまだ死期も来らぬおやに身をなげさせん事、五逆罪(仏教でいう最も重い五つの罪悪。母を殺す事も数えられる)にやあらんずらむ。此世はかりのやどりなり。はぢてもはぢでも(恥ずかしい目をみようとみまいと)何ならず(大した問題ではない)。唯ながき世の闇こそ心憂けれ(死後の永遠の世界で闇路に迷うのがつらいのです。)。今生でこそあらめ、後生でだに悪道へおもむかんずる事のかなしさよ〉と、さめざめとかきくどきければ、」

(つづく)

 

〔短歌〕

「山したひ 山に来ぬれば ふと切に

浅草などの したはしきかな」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「星のとぶ もの音もなし 芋の上」阿波野青畝

〔和歌〕

「吹く風の たよりならでは はなすすき

こころと人を まねかざりけり」

正三位季経・風雅493

「吹く風の工合によってでなくては、花薄というものは、自分の意志で人を招く事はしないものだったよなあ。」

・たより=ゆかり。ついで。

 

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進上人宗観さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

 

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2012年10月 8日 (月)

般若寺 コスモス花だより  10・8

 

 秋のコスモス:≪七分咲き≫

・見頃の期間: 9月下旬~11月 

・満開の状態: 1010日頃~下旬

35種類、15万本。

 

〇 秋海棠(しゅうかいどう)≪終わり近し≫ 

〇 紫苑(しおん) ≪終わり近し≫

 

*いまコスモスの背たけは150180㎝ほどになって、花は〈七分から八分咲き〉の状態です。残暑の影響で開花が一週間ほど遅れました。〈満開〉まではあと少しというところです。

しかし新種のスノーパフ、ローズボンボン、クランベリー、シーシェル、ピコティ、サイケ、スカーレット、デイドリーム、ハッピーリング、イリュージョン、ピンクポップソックス、ソナタ、サンライズなど珍しい品種は今が見ごろです。

秋コスモスの主役、センセーション、イエローガーデン、秋咲大輪美色が咲き出しました。大きな花です。

昨日はお天気に恵まれ千人をこえる今年一番の人出となりました。青空に背の高いコスモスのピンクや赤白の花が映え、参詣の皆さまは満開直前の花を堪能しておられました。今日も体育の日でお休み日、お天気も上々ですからコスモス寺は賑わいをみせるでしょう。

 

*毎日曜日の大河ドラマ『清盛』の終わり方に「清盛紀行」があります。清盛晩年の「南都焼討」事件も放送されるようで制作会社から般若寺の撮影依頼が来ています。奈良では東大寺と興福寺と般若寺が出ます。事件は1228日に起きたことです。

*『平家物語』を読む。

「祇王」の段② 佛御前が祇王のとりなしで清盛の面前で今様歌と舞を披露し終えて退去しようとしたところ、清盛に留め置かれる。

「佛御前〈こはされば(これは一体)なに事さぶらふぞや。もとよりわらははすいさん(推参)のものにて、いだされまいらせさぶらひしを(一たんは出された者でございますのに)、祇王御前の申しやう(お願いのしかた)によつてこそ、めしかへされてもさぶらふに、〔かやうにめしおかれなば、祇王御前の思ひ給はん心のうちはずかしうさぶらふ(心の中をお察しすると恐縮でございます)。〕はやはやいとまをたふで(お暇を下さってこの私を)いださせおはしませ〉と申しければ、入道〈すべて(けっして)其儀あるまじ。ただし祇王があるをはばかるか。その儀ならば祇王をこそいださめ〉とぞの給ひける。佛御前〈それ又いかでかさる御事さぶらふべき。諸共にめしをかれんだにも、心う(憂)ふさぶらふべきに(つろうございますのに)、まして祇王ごぜん出させ給ひて、わらはを一人めしおかれなば、ぎおうごぜんの心のうち、はずかしうさぶらふべし。をのづから後迄わすれぬ御事ならば(万一後々まで私を忘れないという思召しならば)、めされて又はまいるとも、けふは暇をたまはらむ〉とぞ申ける。入道〈なんでう其儀あるまじ。祇王とうとう罷出よ〉と、お使(祇王に家を出よという清盛の使)かさねて三どまでこそたてられけれ。」

祇王はいつかは清盛に捨てられることは覚悟していたけれど、やはり日頃の幸福に気がゆるんで、昨日今日に捨てられようとは思ってもいないことだった。

「一樹のかげにやどりあひ、おなじながれをむすぶだに、別はかなしきならひぞかし。まして此三とせが間住なれし所なれば、名残もおしうかなしくて、かひなきなみだぞこぼれける。扨(さて)もあるべき事ならねば、祇王すでに、いまはかうとて出けるが、なからん跡のわすれがたみにもとやおもひけむ、しやうじ(障子)になくなく一首の歌をぞかきつける。

もえ出るも か(枯)るるもおなじ 野辺の草

いづれか秋に あはではつべき

(春になって萌え出す草も、枯れてゆく草も、結局は同じ野辺の草である、どちらが秋にあわないですむというものではない)」

と言って、仏も自分もいつかは捨てられる運命にあることを暗示した。「枯る」に「離る」を、「秋」に「飽き」をかけている歌。

(つづく)

 

〔短歌〕

「山の温泉(ゆ)の 古旅籠屋の 障子のみ

しろく目に入る 朝のさみしさ」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「コスモスを 離れし蝶に 谿深し」水原秋桜子

〔和歌〕

「しほりつる 風はまがきに しづまりて

小萩がうへに 雨そそくなり」

永福門院・玉葉509

「籬の草を吹きたわませていた風は、ようやく静まって、倒れ伏した小萩の上に聞けば今、雨が降りかかって来たようだ。」

・しほる=撓(しを)る。圧してたわませる。

 

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進上人宗観さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

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2012年10月 7日 (日)

般若寺 コスモス花だより  10・7

 

 秋のコスモス:≪七分咲き≫

・見頃の期間: 9月下旬~11月 

・満開の状態: 1010日頃~下旬

35種類、15万本。

 

〇 秋海棠(しゅうかいどう)≪終わり近し≫ 

〇 紫苑(しおん) ≪終わり近し≫

 

 

*いまコスモスの背たけは150180㎝ほどになって、花は〈五分から七分咲き〉の状態です。残暑の影響で開花が一週間ほど遅れましたので〈満開〉まではあと少しというところです。

しかし新種のスノーパフ、ローズボンボン、クランベリー、シーシェル、ピコティ、サイケ、スカーレット、デイドリーム、ハッピーリング、イリュージョン、ピンクポップソックス、ソナタ、サンライズなど珍しい品種は今が見ごろです。

秋コスモスの主役、センセーション、イエローガーデン、秋咲大輪美色が咲き出しました。大きな花です。夕べの雨で花もみずみずしくなりました。

 

*『平家物語』を読む。

政治事件、合戦などが多くを占める中で、巻第一の「祇王」(ぎおう)の段は女性が主役で人心のうつろいをテーマとし、文学的要素を色濃く持ちます。

「入道相国、一天四海をたなごころのうちににぎり給ひしあいだ、世のそしりをもはばからず、人の嘲りををもかへり見ず、不思議のことのみし給へり。たとへば、其頃都に聞えたる白拍子(歌舞の一種、これを舞う遊女)の上手、祇王祇女とておととい(姉妹)あり。とぢといふ白拍子がむすめなり。あねの祇王を入道相国さいあいせられければ、是によっていもうとの祇女をも、よの人もてなす事なのめならず(ひととおりではない)。母とぢにもよき屋つくつてとらせ、毎月に百石百貫をおくられければ、けないふつき(家内富貴)してたのしい事なのめならず。」

このような寵愛を受けた祇王でしたが、三年たって都に新たな白拍子の上手が現われた。「名をば佛とぞ申ける。年十六とぞきこえし。」京中で舞の上手が評判となり、自身も「我天下に聞えたれ共、当時さしもめでたうさかえさせ給ふ平家太政の入道どのへ、めされぬ事こそほい(本意)なけれ。あそびもののならひ、なにかくるしかるべき。推参して見む。」佛御前(ほとけごぜん)は招かれてもいないのに清盛邸を訪れます。清盛は呼んでもいないの参るとは不届き

と断りますが、祇王のとりなしで佛は今様を歌わせてもらいます。

「君をはじめてみるおりは 千代も経ぬべしひめこ松

おまえの池なるかめをかに 鶴こそむれゐてあそぶめれ」

これは祝い歌です。上の句は(あなた様に初めてお会いして、姫小松のような私は命が千年も延びるでしょう)、下の句の亀岡は蓬莱山のことで鶴亀の長寿にあやかるめでたい歌。清盛はおもしろげに思って「わごぜは今ようは上手でありけるよ。このじょう(定)では舞もさだめてよかるらむ。一番見ばや。つづみうち(鼓打)め(召)せ。」佛御前は舞を一番舞った。

「佛御前はかみすがた(髪姿)よりはじめて、みめかたちうつくしく、声よく節も上手でありければ、なじかはまひもそんずべき(どうして舞をもし損じることがあろうか)。心もをよばずまひすましたりければ(想像も及ばないほど上手に舞いおさめたので)、入道相国まひにめで給ひて、仏に心をうつされけり。」清盛の心がわりが二人の女性の運命を変えていきます。世の無常、人情のうつろいやすさをテーマに物語られます。(つづく)

 

〔短歌〕

「山上の 温泉(ゆ)の湧く村の 十月の

夜の灯にせまる 寒き山の気」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「燈台の コスモス海に なだれおつ」石原八束

〔和歌〕

「あはれさも その色となき 夕暮の

おばながすゑに 秋ぞうかべる」

前大納言為兼・風雅491

「身にしみる感傷も、それがどういう気持なのだ、と指し示す事もできない夕暮の、尾花の穂先に、言いようもなくあわれな〈秋〉そのものが象徴されている。」

・その色となき=「色」は気分、気配。どこがどう「あわれ」なのだとも言いようのない。

・秋ぞうかべる=「浮ぶ」は表面に出る意。具体的な物として把握できない「秋」が、現実に物質としてそこに存在するかのように感じられる。

 

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進上人宗観さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

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2012年10月 6日 (土)

般若寺 コスモス花だより  10・6

 秋のコスモス:≪七分咲き≫

・見頃の期間: 9月下旬~11月 

・満開の状態: 1010日頃~下旬

35種類、15万本。

 

〇 秋海棠(しゅうかいどう)≪満開≫ 

〇 紫苑(しおん) ≪満開≫

〇 彼岸花(ひがんばな)≪終り近し≫

 

*いまコスモスの背たけは150180㎝ほどになって、花は〈五分から七分咲き〉の状態です。残暑の影響で開花が一週間ほど遅れましたので〈満開〉まではあと少しというところです。

しかし新種のスノーパフ、ローズボンボン、クランベリー、シーシェル、ピコティ、サイケ、スカーレット、デイドリーム、ハッピーリング、イリュージョン、ピンクポップソックス、ソナタ、サンライズなど珍しい品種は今が見ごろです。

秋コスモスの主役、センセーション、イエローガーデン、秋咲大輪美色が咲き出しました。大きな花です。

 

*今日から三連休です。ようやく秋らしいお天気が続くようで行楽のお出かけにはいいでしょう。例年でしたら今週がコスモスのピークなのですが、今年は来週にずれ込みそうです。

しかし秘仏公開の方は大盛況です。去年の2倍ほどの拝観者を迎えています。小さなお堂なので30人も入れば満員状態で朝9時から4時までの間、受付と案内説明の両方を受け持つと大変忙しいです。今日はお手伝いの人員が増えるのでご案内に専念できそうです。秘仏本尊阿弥陀仏の十二光です。⑧の智慧光を「連続講座」の題名としました。

阿弥陀仏の 十二光(じゅうにこう)

阿弥陀如来の光明を十二の功徳で称讃。

『無量寿経』に説かれる。十二光仏。

 無量光(むりょうこう)量りえない光

 無辺光(むへんこう)際限のない光

 無碍光(むげこう)さえぎられることない光

 無対光(むたいこう)くらべるもののない光

 焔王光(えんのうこう)最高の輝きを持つ光

 清浄光(しょうじょうこう)むさぼりを除く清らかな光

 歓喜光(かんぎこう)いかりを除き喜びを与える光

 智慧光(ちえこう)まよいを除き智慧を与える光

 不断光(ふだんこう)恒常に照らす光

 難思光(なんじこう)思いはかることができない光

 無称光(むしょうこう)説きつくすことができない光

 超日月光(ちょうにちがっこう)日月をこえすぐれた光

(本日の『平家物語』は休みます)

 

〔短歌〕

「夜道する われ等いとしも 樅の木の

深林を出で 湖添ひを行く」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「コスモスの 押しよせてゐる 厨口」清崎敏郎

〔和歌〕

「よすがらの おわきの風の 跡みれば

すゑふす萩に 花ぞまれなる」

新院御製(後伏見院)・玉葉508

「夜通し吹き荒れた、野分の風の静まったあとを見ると、枝先を地に引いて伏した萩に、花はわずかしか見えないよ。(ああ惜しいこと)」

・「風後の草花」という題をお詠みになった歌

 

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進上人宗観さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

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2012年10月 5日 (金)

般若寺 コスモス花だより  10・5

 

 秋のコスモス:≪五分咲き≫

・見頃の期間: 9月下旬~11月 

・満開の状態: 1010日頃~下旬

35種類、15万本。

 

〇 秋海棠(しゅうかいどう)≪満開≫ 

〇 紫苑(しおん) ≪満開≫

〇 彼岸花(ひがんばな)≪終り近し≫

 

*いまコスモスの背たけは150180㎝ほどになって花は〈五分咲き〉の状態です。残暑の影響で開花は一週間ほど遅れました。〈見ごろ〉まではあと少しというところです。

しかし新種のスノーパフ、ローズボンボン、クランベリー、シーシェル、ピコティ、サイケ、スカーレット、デイドリーム、ハッピーリング、イリュージョン、ピンクポップソックス、ソナタ、サンライズなど珍しい品種は今が見ごろです。

秋コスモスの主役、センセーション、イエローガーデン、秋咲大輪美色が咲き初めました。大きな花です。

 

*『平家物語』を読む。

仁平3年(1153115日、忠盛が58歳で亡くなり、清盛が35歳で跡をつぎます。そして保元の乱、平治の乱に勝利してからは出世の階段を上り詰め太政大臣につきました。「鱸」(すずき)の段、

「一天四海を掌(たなごころ)の内ににぎられしうへは、子細に及ばず(文句のつけようがない)。平家かように繁昌せられけるも、熊野権現の御利生(ごりしょう)とぞきこえし。」

これは清盛が伊勢ノ海を渡って熊野へ参る時、大きな鱸(すずき)が船の中へ躍り入ったのです。熊野の先達は、これは熊野権現の御利生、吉事なりと申したのでその魚を調理して家子侍共(いえのこさぶらひども)に食べさせました。

すると「其故にや、吉事のみ打ちつづいて、太政大臣まできはめ給へり。子孫の官途も龍の雲に昇るよりは猶すみやかなり。九代の先蹤(せんしょう、平家の祖高望王から清盛までの9代の先祖たち)をこえ給ふこそ目出(た)けれ。」

仁安3年(11681111日、50歳になった清盛は病におかされ、存命をはかるために出家入道します。法名は淨海。以来「入道相国」(にゅうどうしょうこく)の名で呼ばれるようになります。「禿髪」(かぶろ)の段では、

「人のしたがひつく事、吹く風の草木をなびかすが如し。世のあまねく仰げる事、ふる雨の國土をうるほすに同じ。六波羅殿の御一家の君達(きんだち)といひてしかば、花族も栄雄も(摂家に次ぐ清華の別称)面をむかへ肩をならぶる人なし。されば入道相国のこじうと、平大納言時忠卿ののたまひけるは、〈此一門にあらざらむ人は皆人非人(にんぴにん、人であるのに人間以下の存在、仏教でいう阿修羅など八部衆)なるべし〉とぞのたまひける。かかりしかば、いかなる人も相構て其ゆかりにむすぼほれむ(平家の縁者になろう)とぞしける。衣文のかきよう、烏帽子のためようよりはじめて、何事も六波羅様(よう)いひて(ン)げれば、一天四海の人皆是をまなぶ。」

このように並ぶものとてない平家の天下となりました。しかし成り上がり者の清盛は敵対者を怖れ、十四五六の童を三百人、髪を禿(かむろ、おかっぱ頭)にして赤い直垂(ひたたれ)を着せ、街中へ密偵として放ち、平家の悪口を言う人を見つけ出しては資財を没収し六波羅へ曳きたてるなどして人々を震え上がらせました。世の人は「六波羅殿の禿」と言って恐れたのです。

 

〔短歌〕

「森の家 灯をなつかしみ 立ちよれば

親子集ひて 火をぞ焚きける」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「ゆれかはし ゐてコスモスの 影もなし」大橋宵火

〔和歌〕

「まねきやむ おばながすゑも しずかにて

風吹きとまる 暮ぞさびしき」

従三位親子・風雅487

「人を招くようにしきりに動いていた尾花の穂先も静かになって、風が吹きやんだ夕暮こそ、本当に淋しいことだ。」

・「風後の草花」を詠む。

 

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進上人宗観さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

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2012年10月 4日 (木)

般若寺 コスモス花だより  10・4

 秋のコスモス:≪五分咲き≫

・見頃の期間: 9月下旬~11月 

・満開の状態: 1010日頃~下旬

35種類、15万本。

 

〇 秋海棠(しゅうかいどう)≪満開≫ 

〇 紫苑(しおん) ≪満開≫

〇 彼岸花(ひがんばな)≪終り近し≫

 

*いまコスモスの背たけは150180㎝ほどになって花は〈五分咲き〉の状態です。残暑の影響で開花は一週間ほど遅れました。〈見ごろ〉まではあと少しというところです。

しかし新種のスノーパフ、ローズボンボン、クランベリー、シーシェル、ピコティ、サイケ、スカーレット、デイドリーム、ハッピーリング、イリュージョン、ピンクポップソックス、ソナタ、サンライズなど珍しい品種は今が見ごろです。

秋コスモスの主役、センセーション、イエローガーデン、秋咲大輪美色は咲き初め。花は大きいです。

 

*『平家物語』を読む。

12巻のうち巻第一は「祇園精舎」の段に始まり、「殿上闇討」(てんじょうのやみうち)から具体的に平氏が栄花の絶頂に上りつめる物語となります。

「しかるを忠盛備前守たりし時、鳥羽院の御願得長寿院を造進して、三十三間の御堂をたて、一千一体の御仏を据え奉る。供養は天承元年(1131)三月十三日なり。」

清盛の父、忠盛は三十三間堂の建立と観音像千一体を造顕した功績により、鳥羽院から但馬の国を給付され、清涼殿への昇殿を許されます。これによって平氏ははじめて「殿上人」(てんじょうびと)となります。しかし「雲の上人」(殿上人)たちはこれを嫉み、忠盛を闇討ちしようとします。しかし武士である忠盛は腰に短剣を秘し、庭には郎従の武士を配して危機を防ぎます。そのあと殿上人達から帯剣の狼藉を叱責されますが、剣は木造りであったことが判明し窮地を逃れます。

語りはさらに清盛の代まで急展開します。

「鱸」(すずき)、「禿髪」(かぶろ)、「吾身栄花」(わがみのえいが)、「祇王」(ぎおう)、「二代の后」(にだいのきさき)、「額打論」(がくうちろん)、「清水寺炎上」(きよみづでらえんしょう)、「東宮立」(とうぐうだち)、「殿下乗合」(てんかののりあひ)、「鹿谷」(ししのたに)、「俊寛沙汰、鵜川軍」(しゅんかんのさた、うかはいくさ)、「願立」(ぐわんだて)、「御輿振」(みこしぶり)

と話は進み、巻第一の最後は保延4年(1138)の「内裏炎上」(だいりえんしょう)の段です。

 

 

〔短歌〕

「ちょうちんに 昔噺の 情調を

なつかしみつつ 夜の旅をする」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「コスモスや 遠嶺は暮るる むらさきに」五十崎古郷

〔和歌〕

「露をもる 小萩がすゑは なびきふして

吹きかへす風に 花ぞ色そふ」

前大納言為兼・玉葉501

「露のびっしり置いて重くなった小萩の枝先は庭面になびき伏して、吹きかえす風に再びひるがえる時、露が散るとともに、濡れた花が一そう色を添えて舞うよ。」

 

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進上人宗観さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

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2012年10月 3日 (水)

般若寺 コスモス花だより  10・3

 

 秋のコスモス:≪五分咲き≫

・見頃の期間: 9月下旬~11月 

・満開の状態: 10月上旬~下旬

35種類、15万本。

 

〇 秋海棠(しゅうかいどう)≪満開≫ 

〇 紫苑(しおん) ≪満開≫

〇 彼岸花(ひがんばな)≪終り近し≫

 

*いまコスモスの背たけは150180㎝ほどになって花は〈五分咲き〉の状態です。残暑の影響で開花は一週間ほど遅れました。〈見ごろ〉まではあと少しというところです。

しかし新種のスノーパフ、ローズボンボン、クランベリー、シーシェル、ピコティ、サイケ、スカーレット、デイドリーム、ハッピーリング、イリュージョン、イエローキャンパス、ピンクポップソックス、ソナタ、サンライズなど珍しい品種は今が見ごろです。

 

*台風が過ぎた後もまだ暑いです。この暑さは秋の到来を遅らせます。彼岸花が今頃まで咲いているなんてめずらしい現象です。まだ夏の花がけっこう残っているようです。コスモスの秋本番での主役は、センセーションと秋咲大輪美色、イエローキャンパスです。やっと大きな花が目立つようになりました。

 

*今日から『平家物語』を読みます。

平家物語といえば、巻第一の冒頭の文章が有名です。

「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰のことはりをあらはす。おごれる人も久しからず、只春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵に同じ。遠く異朝をとぶらへば、秦の趙高、漢の王莽、・・・、楽しみをきはめ、諌めをもおもひいれず、天下のみだれむ事をさとらずして、民間の愁る所をしらざっしかば、久しからずして、亡じにし者どもなり。近く本朝をうかがふに、承平の将門、天慶の純友、・・・、おごれる心もたけき事も、皆とりどりにこそありしかども、まぢかくは、六波羅の入道前太政大臣平朝臣清盛公と申し人のありさま、傳承るこそ心も詞も及ばれね。」

平家の栄枯盛衰を描いた物語文学の傑作です。

「平家にあらずんば人にあらず」という言葉があります。これは巻1の「禿髪」(かぶろ)で言った平時忠の言葉を後の世に言い換えたもので、わが世の春を謳歌する言葉です。しかし平家の栄耀栄華は長くは続きません。「驕れる平家は久しからず」という格言も生まれています。栄花と没落、盛者必衰(じょうじゃひっすい)の世の様を描いたのがこの物語です。

 

〔短歌〕

「月になる 夜の山路の つめたきに

姉の声など したしみてきく」

〔俳句〕

「コスモスを 愛づゆとりとて なきゴルフ」大橋晄

〔和歌〕

「みわたせば すそののおばな 吹きしきて

夕暮はげし 山おろしのかぜ」

伏見院御歌・風雅485

「見渡すと、裾野の尾花を一面に吹きなびかせて、夕暮、ことにはげしく吹くよ、山おろしの風は。」

・吹きしきて=隅々まで余す所なく吹いて。「しき」は「領き」。

 

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進上人宗観さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

 

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2012年10月 2日 (火)

般若寺 コスモス花だより  10・2

 

 秋のコスモス:≪五分咲き≫

・見頃の期間: 9月下旬~11月 

・満開の状態: 10月上旬~下旬

35種類、15万本。

 

〇 秋海棠(しゅうかいどう)≪満開≫ 

〇 紫苑(しおん) ≪満開≫

〇 彼岸花(ひがんばな)≪満開≫

 

*いまコスモスの背たけは150160㎝ほどになって花は〈五分咲き〉の状態です。葉は青々と茂り、茎はまっすぐに立っています。しかし残暑の影響で開花は一週間ほど遅れました。〈見ごろ〉まではあと少しというところです。

しかし新種のスノーパフ、ローズボンボン、クランベリー、シーシェル、ピコティ、サイケ、スカーレット、デイドリーム、ハッピーリング、イリュージョン、イエローキャンパス、ピンクポップソックス、ソナタ、サンライズなど珍しい品種は今が見ごろです。

 

*夕べの十六夜の月はきれいでした。少し雲がかかっていたのですが時間がたつにつれて満月のような煌々とした月の光にかわりました。しばらくは毎晩お月様が拝めそうです。

 

*明日から『平家物語』に挑戦しようと思います。しかし自分では、なにもこんな忙しい時期にすることはないのにと思いながらも、テレビドラマ『清盛』のストーリーが治承4年(1180)年に起きた平重衡の「南都焼討」事件に近づいてきたので、それまでに平家物語を、との焦りからです。テキストは岩波書店の「日本古典文学大系32」(昭和34刊)に依ります。巻第五の「奈良炎上」の段を取り上げれば、巻第11の元暦2年(1185)の処刑「重衡被斬」(しげひらのきられ)の段まで行くことになるでしょう。時間が取れなければ連続は無理なので飛び飛びになるかもしれません。それと、いきなり「奈良炎上」に入るとなぜ平家の南都攻めが起こったのか判らないので、治承4年の焼討事件が起こる前に何があったのかを見て行きたいと思います。

それにしてもなんで今時分にせんならんのやろうと、テレビドラマが恨めしくなります。どうなりますことやら。

 

*受講者募集中

般若寺 連続講座

『般若寺智恵光座』(はんにゃじちえこうざ)

般若寺の歴史と文化財を本格解説。般若寺の様々な謎を解明。

長い伝統ある奈良の仏教を平易に紹介します。

〇講座日:2012年度 ①11/18 (日)②11/25(日)

 12/2(日) 

〇時間・午後2時~4時 〇費用:1回参加 700円(拝観料)

 

〔短歌〕

「白樺の しろき木の肌 森を行く

夜の旅人の まみにつれなし」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「コスモスの 花吹きしなひ 立もどり」高浜虚子

〔和歌〕

「数々に 月の光も うつりけり

ありあけの庭の 露の玉萩」

入道前太政大臣(西園寺実兼)・玉葉500

「一つ一つに、月の光も映っているよ。有明方の庭の、露を玉のように宿した美しい萩の花には。」

 

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進上人宗観さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

 

 

 

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般若寺 コスモス花だより  10・2

 

 秋のコスモス:≪五分咲き≫

・見頃の期間: 9月下旬~11月 

・満開の状態: 10月上旬~下旬

35種類、15万本。

 

〇 秋海棠(しゅうかいどう)≪満開≫ 

〇 紫苑(しおん) ≪満開≫

〇 彼岸花(ひがんばな)≪満開≫

 

*いまコスモスの背たけは150160㎝ほどになって花は〈五分咲き〉の状態です。葉は青々と茂り、茎はまっすぐに立っています。しかし残暑の影響で開花は一週間ほど遅れました。〈見ごろ〉まではあと少しというところです。

しかし新種のスノーパフ、ローズボンボン、クランベリー、シーシェル、ピコティ、サイケ、スカーレット、デイドリーム、ハッピーリング、イリュージョン、イエローキャンパス、ピンクポップソックス、ソナタ、サンライズなど珍しい品種は今が見ごろです。

 

*夕べの十六夜の月はきれいでした。少し雲がかかっていたのですが時間がたつにつれて満月のような煌々とした月の光にかわりました。しばらくは毎晩お月様が拝めそうです。

 

*明日から『平家物語』に挑戦しようと思います。しかし自分では、なにもこんな忙しい時期にすることはないのにと思いながらも。

テレビドラマ『清盛』のストーリーが治承4年(1180)年に起きた平重衡の「南都焼討」事件に近づいてきたので、それまでに平家物語を、との焦りからです。テキストは岩波書店の「日本古典文学大系32」(昭和34刊)に依ります。巻第五の「奈良炎上」の段を取り上げれば、巻第11の元暦2年(1185)の処刑「重衡被斬」(しげひらのきられ)の段まで行くことになるでしょう。時間が取れなければ連続は無理なので飛び飛びになるかもしれません。それと、いきなり「奈良炎上」に入るとなぜ平家の南都攻めが起こったのか判らないので、治承4年の焼討事件が起こる前に何があったのかを見て行きたいと思います。

それにしてもなんで今時分にせんならんのやろうと、テレビドラマが恨めしくなります。どうなりますことやら。

 

*受講者募集中

般若寺 連続講座

『般若寺智恵光座』(はんにゃじちえこうざ)

般若寺の歴史と文化財を本格解説。般若寺の様々な謎を解明。

長い伝統ある奈良の仏教を平易に紹介します。

〇講座日:2012年度 ①11/18 (日)②11/25(日)

 12/2(日) 

〇時間・午後2時~4時 〇費用:1回参加 700円(拝観料)

 

〔短歌〕

「白樺の しろき木の肌 森を行く

夜の旅人の まみにつれなし」

木下利玄・銀

〔俳句〕

「コスモスの 花吹きしなひ 立もどり」高浜虚子

〔和歌〕

「数々に 月の光も うつりけり

ありあけの庭の 露の玉萩」

入道前太政大臣(西園寺実兼)・玉葉500

「一つ一つに、月の光も映っているよ。有明方の庭の、露を玉のように宿した美しい萩の花には。」

 

☆日本古典音楽の源、南山進流声明の聖地・中の川と

神の山である世界遺産・春日山原始林は

世界に誇る日本の宝。

春日山の生物多様性を保全する観点からも

ここに「奈良市営ゴミ焼却場」を移設するのは不適です。

中の川地区は柳生の里、当尾の里への入り口です。

歴史古道・伊賀伊勢道の観光スポットとして活かすべきです。

奈良市は「古都」「国際文化観光都市」の名に恥じない

良識ある判断をしてください。

真言宗の皆さん、実範上人の御廟へお参りください。実範師のお弟子さん、大進上人宗観さんは進流声明の元祖です。上人たちのおられた中ノ川寺成身院跡が山間に今も残っています。

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2012年10月 1日 (月)

般若寺 コスモス花だより  10・1

 

 秋のコスモス:≪五分咲き≫

・見頃の期間: 9月下旬~11月 

・満開の状態: 10月上旬~下旬

35種類、15万本。

 

〇 秋海棠(しゅうかいどう)≪満開≫ 

〇 紫苑(しおん) ≪満開≫

〇 彼岸花(ひがんばな)≪満開≫

 

*いまコスモスの背たけは150160㎝ほどになって花は〈五分咲き〉の状態です。葉は青々と茂り、茎はまっすぐに立っています。しかし残暑の影響で開花は一週間ほど遅れました。〈見ごろ〉にはあと少しというところです。しかし新種のスノーパフ、ローズボンボン、クランベリー、シーシェル、ピコティ、サイケ、スカーレット、デイドリーム、ハッピーリング、イリュージョンなど珍しい品種は今が見ごろです。

 

 

*台風はなんとか無事に通り過ぎ、おかげでコスモスに被害はなく一安心。夏場に風倒防止のフラワーネットを張り巡らせた効果が出たようです。

 

*以前、7月に予告しました「連続仏教講座」を確定したのでお知らせいたします。少し変更もあります。①回数4回→3回 ②参加料1000円→700円 ③時間60分→40分、30

 

般若寺 連続講座

『般若寺智恵光座』(はんにゃじちえこうざ)