般若寺 水仙花だより 2・10
◎水仙: ≪見ごろ:八分咲き≫
・開花:2月~3月上旬
寒さのため開花が遅れました。
今が見ごろです。
・球根の数:1万~2万
*晴、けさも冷え込みましたが昼間は少し暖かくなりそうです。
水仙の花は八分ていど咲いてきてあと少しで満開になりそうです。花はなんでもそうですが満開の一歩手前が一番きれいです。ことに水仙は花とともに匂いが魅力です。花からあたり一帯に甘くかぐわしい香りが立ちこめてきます。風があったらだめですが、今日は無風状態ですから絶好の日和です。
ほかに遅れていたサザンカが満開、ワビスケ、ロウバイ、梅などが咲き出しています。早春の平城山を御散策ください。
〔短歌〕
「せせらぎの 音するところに 来かかりしが
また遠退(とほぞ)きて わが夜道すも」
木下利玄・一路
〔俳句〕
「水仙の 萎ゆるも散れぬ さだめかな」中村華好
〔和歌〕
「鳥の声 松のあらしの をともせず
山しづかなる 雪のゆう暮」
永福門院・風雅826
「(いつもは聞える)鳥の声も、松の嵐の音もしない。全山、静寂に深く包まれた、雪の夕暮よ。」
*『平家物語』を読む。
「三草勢揃」の段、
「 大外記中原師直が子、周防介師純、大外記になる。兵部少輔正明、五位蔵人になされて蔵人少輔とぞいはれける。昔将門が東八ヶ国をうちしたがへて、下総国相馬郡に都をたて、我身を平親王(へいしんわう)と称して、百官をなしたりしには、暦博士ぞなかりける。是はそれには似るべからず。旧都をこそ落ち給ふといへども、主上三種の神器を帯して、万乗の位(ばんぜう、天子の位。天子は兵車万乗を出すとされる)にそなはり給へり。叙位除目おこなはれんも僻事(ひがごと、まちがったことではない)にはあらず。
平氏すでに福原まで攻めのぼッて、都へかへり入るべきよしきこえしかば、故郷にのこりとどまる人々いさみよろこぶ事なのめならず。二位僧都全真は、梶井宮(梶井円徳院の門跡で当時は承仁法親王がこの地位にあった。円徳院は坂本にあったが、後に大原に移り明治以後三千院と称す)の年来(としごろ)の御同宿(ごどうじゅく、同じ寺に住み師について学ぶこと、またその僧侶)なりければ、風のたよりには申されけり(何かのついでには手紙を差し上げていた)。宮よりも又つねは御音づれありけり。〈旅の空のありさまおぼしめしやるこそ心ぐるしけれ。(想像しただけでもお気の毒です)都もいまだしづまらず〉なンどあそばひて、おくには一首の歌ぞありける。
〈人しれず そなたをしのぶ こころをば
かたぶく月に たぐへてぞやる〉
(人に知られぬようにひそかに貴地に思いを馳せる私の心を西の方にかたむく月に伴わせてやりたいものです。新古今集十八にみえる。)
僧都これをかほにをしあてて、かなしみの泪せきあえず。」
(つづく)
*秋艸道人、会津八一先生の歌集より、奈良愛惜の歌。
『山光集』
〈歌碑 昭和十七年四月〉
「しもくぼの いしやがさくら はるたけて
いしのくだけと ちりまがひけむ」
『鹿鳴集』
〈東京にかへるとて〉
「あをによし ならやまこへて さかるとも
ゆめにしみえこ わかくさのやま」
〈東京にかへりて後に〉
「ならやまを さかりしひより あさにけに
みてらみほとけ おもかげにたつ」
「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。
*今、若草山の北麓、浄瑠璃寺や正倉院、東大寺、春日山に近い「中ノ川・東鳴川」に奈良市のごみ焼却場を建設するというとんでもない計画があります。ここに焼却場ができ、高い煙突から煙が吐き出されることになれば、日本の宝、世界の宝である神聖な古都の風景と文化財が破壊されます。
悠久の大和、奈良の山々は日本人の心のふるさと、国のまほろばです。
「やまとは 国のまほろば たたなづく
青垣やまごもれる やまとしうるはし」
日本武尊(やまとたけるのみこと)・古事記
この問題を詳しく知りたい方は、
ホームページ『奈良市クリーンセンター建設計画に関する課題について』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。
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