般若寺 春の花だより 3・31
[般若寺 春の花だより]
《今咲いている花》
・わびすけ、レンギョウ:≪満開≫
・沈丁花、ラッパ水仙≪満開≫
・桜、椿、桃:≪満開≫3月末~4月初め
・山吹、利休梅:≪咲きはじめ≫3月末~4月中旬
《これから咲く花》
・空木:5月上旬
・山アジサイ:5月下旬
・初夏咲きコスモス:5月下旬~7月上旬
*弥生、三月も今日で終わります。桜の花は満開で、四月はいつごろまで花がもつでしょうか、桜が終わっても当寺では山吹の花が咲き、春を彩ってくれます。
*「携帯電話基地局(電波タワーの電磁波)問題」⑩
昨日、地主さんである牧場へ行き経過を聞きました。向うの会社から人が来て、鉄塔の撤去をすると言ったそうです。会社の側で工事の段どりがつき次第、ということでいつかは明言しませんが4月中にと答えたそうです。先ずは一安心ですが、確かな文書ではありませんのでまだ警戒は解けません。
午後から、電磁波問題に取り組んでおられるジャーナリストの黒藪哲哉氏とメールの交換をしたあとに、奈良におられる「電磁波・環境関西の会」代表の泉泰通氏が来訪され、いろいろお話をうかがいました。泉さんは京都大学の工学部出身で、荻野晃也先生に教えを享けられたようです。各地の例を話された中に、奈良の西大寺駅前のビルの上に建った基地局を撤去させた話は印象的です。一人の若い女性が自治会長へ日参して危険性を説得し、幼稚園や周りの人を巻き込んでとうとう撤去に成功されたのです。一人でも信念を持って運動すれば、岩をも動かすことができるのです。 私たち宗教人こそ信念を持って先頭に立ってやらねばならないということを、教えていただいたように思います。不惜身命、不退転法輪の覚悟です。
〔短歌〕
「朝じめり 藪の接骨木(にはとこ) 芽はおほく
皮ぬぎてをり ねむごろに見む」
木下利玄・紅玉
〔俳句〕
「咲き満ちて こぼるる花も なかりけり」高濱虚子
〔和歌〕
「山桜 この夜のまにや さきぬらし
朝けの霞 色にたなびく」
伏見院御製・玉葉136
「山桜は、この一晩の間に、すっかり咲いてしまったらしい。早朝の霞が、今朝は花の色になってたなびいているよ。」
*『平家物語』を読む。
巻第十 「海道下」の段、
「 彼宿の長者(遊女のかしら)ゆや(熊野)がむすめ、侍従がもとに其夜は宿せられけり。侍従、三位中将を見たてまッて、〈昔はつてにだに思ひよらざりしに(人づてにだって私の好意をお知らせすることができなかったのに)、けふはかかるところに入らせ給ふ不思議さよ(何と思いがけないことでしょう)〉とて、一首の歌をたてまつる。
〈旅のそらはにふ(埴生)のこやの いぶせさに
ふるさといかに こひしかるらん〉
(御旅行中のこのあばら家のむさ苦しいにつけ、どんなに故郷を恋しくお思いでしょう。)
三位中将返事には、
〈故郷(ふるさと)も恋しくもなし たびの空
宮こもつゐの すみかならねば〉
(旅にある私は故郷が恋しいとも思わない。その都も最後の安住の地ではないのだから)
中将〈やさしうもつかまッたる物かな。この歌のぬしはいかなる物やらん〉と御尋ありければ、景時畏まッて申しけるは、〈君はいまだしろしめされ候はずや。あれこそ(この歌の主こそ)八嶋の大臣殿(おほいどの、平宗盛)当国のかみでわたらせ給ひし時(宗盛は十三歳で平治元年から一か月、駿河守であった)、めされまいらせて(都に召され申し上げて)、御最愛にて候しが、老母をこれにとどめ置き、しきりにいとまを申せども、給はらざりければ、比はやよひのはじめなりけるに、
〈いかにせん 宮この春も おしけれど
なれし吾妻の 花やちるらん〉
(下の句:見なれた東国[駿河国]の花が散るだろうとよんで、裏に馴れ親しんだ老母が死ぬかもしれない意をかくした。)
と仕りて、いとまを給はッてくだりて候し、海道一(東海道一)の名人にて候へ〉とぞ申しける。宮こを出でて日数ふれば、やよひもなか半すぎ、春もすでにくれなんとす。」
(つづく)
*秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。
〈法華寺温室懐古〉
「からふろの ゆげのおぼろに ししむらを
ひとにすはせし ほとけあやしも」
〈奈良坂にて〉
「ならさかの いしのほとけの おとかひに
こさめなかるる はるはきにけり」
〈東京にかへるとて〉
「あをによし ならやまこへて さかるとも
ゆめにしみえこ わかくさのやま」
〈東京にかへりて後に〉
「ならやまを さかりしひより あさにけに
みてらみほとけ おもかげにたつ」
「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。
*今、若草山の北麓、浄瑠璃寺や正倉院、東大寺、春日山に近い「中ノ川・東鳴川」に奈良市のごみ焼却場を建設するというとんでもない計画があります。 最近の奈良市長の発言によれば、第二候補地(東鳴川)を選定しようとしているようですが、ここは浄瑠璃寺まで数百メートルの直近の距離です。ここに焼却場ができ、高い煙突から煙が吐き出されることになれば、日本の宝、世界の宝である神聖な庭園風景と珠玉の文化財が破壊されます。これは最悪の無謀な選択です。策定委員会と市長は撤回すべきです。
悠久の大和、奈良の山々は日本人の心のふるさと、国のまほろばです。
日本のふるさと、国のまほろばを失えば日本人は亡国の民となってしまいます。
全国の日本文化を愛し、国を思う人々に訴えます。奈良市当局へ抗議の声を届けてください。今ならまだ間に合います。
「やまとは 国のまほろば たたなづく
青垣やまごもれる やまとしうるはし」
日本武尊(やまとたけるのみこと)・古事記
この問題を詳しく知りたい方は、
ホームページ『奈良市クリーンセンター建設計画に関する課題について』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)