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2013年5月26日 (日)

般若寺 季節の花だより 5・26

 

《いま咲いている花》

○初夏咲コスモス:≪咲きはじめ≫5月下旬~7月上旬。15種類、3万本。

今、70㎝ほどになっています。花が咲きそろう頃には1mをこえる高さになります。秋に比べて花数は少ないですが花は大きく葉は青々しています。

 センセーション、ピコティ、シーシェル、ソナタ、サイケ、など種類も多種多彩です。

○春咲コスモス:≪満開・少し盛りを過ぎました≫ 千本程。

   ソナタ、ビッキーという種類が咲いています。

低い背丈に赤白ピンクの大きな花が鮮やかです。

・梅花うつ木、定家カズラ:≪満開≫ 純白の甘い香りのする花です。

・花菱草、矢車草:≪満開≫ 黄色と青色が調和しています。

・睡蓮:≪咲きはじめ≫初夏らしい花です、ヒツジ草はまだです。

○山アジサイ:≪咲きはじめ≫小さな手毬花が色づいてきました。額花も開花。

 

《これから咲く花》

・黄ショウブ、スイカズラ:5月下旬

・アジサイ:6月上旬~6月下旬

 

*「南朝御聖蹟を顕彰する」51

 笠置寺城

『太平記』巻第三 「六波羅勢笠置を責むる事」

〈 かかるところに、山田太郎四郎重綱(しげつな、尾張国山田郡山田出身の武士、足助氏と同族。)、二人の御方(みかた)を乗り超えて塀に付かんとするところに、甲の手辺(てへん、兜の天辺。鉢の中央上部。頭が蒸れないように天辺の座に穴が開けてあるが、古い時代ほどその孔が大きい。)射られて引き退く。おめき喚(さけ)んで責め戦ふ矢叫(やさけび)の音(矢を射あうときに敵味方が発する声、また矢を射当てたときに射手があげる声。)、時(鬨)の声、しばらくも(すこしも)止む時なければ、太山(たいざん、泰山。中国山東省奉安けんの北にある山)も崩れて海となり、坤軸(こんじく、地軸。大地の中心を貫く想像上の軸)も折れてたちまちに地に沈むとぞ覚えたる。晩景になりければ、寄手いよいよ重なつて持楯(もちだて、手に持って使う楯)を突き寄せ突き寄せ関(きど)の逆木(さかもぎ、逆茂木。敵の侵入を防ぐために、枝や茨などのトゲのある木の枝を逆立てて、垣根のようにしたもの)を乗り超え乗り超え攻め入りける間、官軍利を失つて些(すこ)し散つて見えけるところに、

(夕方になると、寄せ手はますます多くなって、持ち楯を立て並べ立て並べし、木戸口の逆茂木を乗り越え乗り越え城中に攻め入ったので、官軍は劣勢になって、すこし散り散りばらばらになりかけたところに、)〉

 

23日の顕彰碑除幕式啓白文:後半の分

また同年八月後醍醐天皇笠置寺に皇居を遷され

大塔宮など天皇方が籠城せらる 世に言う元弘の変なり

 その時幕府勢の大軍に向かいて足助次郎重範の強弓

並びに般若寺本性房の大力による奮戦ありと伝ふ

ひと月の防戦も武運拙く夜襲に敗れ 後醍醐帝天皇を

始め尊澄法親王並びに公卿武将方落ち行かれるも敵軍に

捕われ 後醍醐帝の隠岐配流をはじめ各々処断を蒙られる

その中にあって一人大塔宮は当山へ落ちのびられ 敵の

探索を受けたれども 堂内にありし大般若経唐櫃に潜まれ危難を脱せられる 仏神の御加護の賜物と言われる 

後刻 宮は熊野へ落ち行かれ吉野山で再起討幕の兵を挙げられ所願を成就せらる。

 件の事蹟は後日の建武中興への礎となり 

歴史に名をとどむるところなり

しかれども後醍醐天皇の建武の親政三年で潰え

皇居を吉野へ遷座せられ南朝を開かるることとなる

元亨より星霜経ること六百八十九年に当たる本年

建武の中興を成し遂げさらに南朝の基を築かれた

後醍醐天皇 大塔宮護良親王 

文観上人 本性房の御事蹟御遺徳を偲び

御聖蹟顕彰の碑を建てるものなり

願わくは 此の功徳を以て聖王後醍醐天皇尊儀を

はじめ奉り 建武中興の先徳御尊霊各位

 等正覚を成ぜられ密厳浄土に遊戯せられんことを

併せて 天長地久 四海安寧 万邦平和 興隆仏法を

祈念し奉る

乃至法界 平等利益

時に平成二十五年五月二十三日

南都真言律宗 法性山 般若寺住持沙門 明奎房良任 

敬って白す

 

*「携帯基地局と電磁波問題」

 

〔短歌〕

「岨(そば)みちの 蕨折りため ゆきしかば

           手つめたしも 山のさ霧に」

             木下利玄・一路

〔俳句〕

「梅の身の 朝曇りせるは しづかなり」水原秋桜子

〔和歌〕

「あはれにも ともにふしみの 里にきて」

         かたらひあかす ほととぎす哉

           皇太后宮大夫俊成・玉葉336

「いとしい事には、「人と共に臥す」という名を持った伏見の里に、私と一しょにやって来て、一晩中やさしい鳴き声を聞かせてくれる、まるで恋人のような時鳥よ。」

・ふしみ=伏見。山城の歌枕。京都市伏見区。「臥し見」と音の通うところから、恋人と共寝するイメージと重ねて用いられる。

・詞書:伏見にて、近聞郭公といふことを読み侍りける

『長秋詠藻』127.伏見にて相知れる僧の宝筐経に詩歌供養すとて、近聞郭公といふ心を詠みけるに。

 

*『平家物語』を読む。

巻第十一 「那須与一」の段、

〈 与一鏑をとッてつがひ、よッぴいてひやうとはなつ。小兵といふぢやう十二束三ぶせ、弓はつよし、浦ひびく程長鳴して、あやまたず扇のかなめぎは一寸ばかりをいて、ひィふつとぞゐきッたる(ピューッ、ブスッと射切った)。鏑は海へ入りければ、扇は空へぞあがりける。いばしは虚空にひらめきけるが、春風に一もみ二もみもまれて、海へさッとぞ散ッたりける。夕日のかかやいたるに、みな紅の扇の日いだしたるが、白波のうへにただよひ、うきぬしづみぬ(浮いたり沈んだり)ゆられければ、奥(おき)には平家ふなばたをたたいて感じたり(ほめたたえた)、陸(くが)には源氏ゑびら(矢をさして背に負うもの)をたたいてどよめきけり。〉 (この段終わり)

 

*秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。

〈香具山にのぼりて〉

「いにしへを ともらひかねて いきのをに

         わがもふこころ そらにただよふ」

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

         こさめなかるる はるはきにけり」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

 

*今、若草山の北麓、浄瑠璃寺の近く、正倉院、東大寺、春日山にも近い「中ノ川・東鳴川」の地に、奈良市のごみ焼却場を建設するというとんでもない計画があります。          

 建設候補地は奈良市側ではありますが、京都府の浄瑠璃寺まで数百メートルという真近の距離です。ここに焼却場ができ、高い煙突(計画の高さ80m)から煙が吐き出されることになれば、奈良側からの古都の歴史景観は台無しです。若草山が噴火したように見えます。山上は風向きによっては煙の中です。

そして当尾の里、浄瑠璃寺は日本の、世界の至宝であるのに、平安時代の神聖な浄土庭園と国宝の堂塔、仏像文化財が排煙にまみれることになります。

このような事態は、考えるのもおぞましい最悪無謀な、日本文化の破壊です。奈良市の策定委員会と市長は計画を即刻撤回すべきです。

この地域は、いにしえの平城山丘陵でもあります。歴史ゆたかな青垣の山々に心が癒され愛惜する人がどれだけ大勢いることか、為政者は思いを致すべきです。

悠久の大和、奈良の山々は日本人の心のふるさと、国のまほろばです。

全国の日本文化を愛し、国を思う人々に訴えます。

奈良市当局へ手紙や電子メール、電話などで反対、抗議の声を届けてください。今ならまだ間に合います。

そして当尾の里の浄瑠璃寺様、岩船寺様を支援してあげて下さい。

 

「やまとは 国のまほろば たたなづく

青垣やまごもれる やまとしうるはし」

  日本武尊(やまとたけるのみこと)・古事記

 

この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンター建設計画に関する課題について』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクされています。

 

*「泉川 川波しろく 吹く風に

      夕べ涼しき 鹿背山の松」

これは新古今集を編纂し承久の乱で隠岐の島へ配流された後鳥羽上皇の御製歌です。

京都に造られた「最勝四天王院」において催された歌会を撰集した「障子和歌」の261番に出ています。「夏の夕方、鹿背山の松林の下に立つと、すぐそばを流れる木津川の川面に白波がたって、涼しい川風が吹いて来るよ」と、風趣豊かな泉川と鹿背山を詠んでおられます。この鹿背山を壊さないでください、木津川市のみなさんにお願いします。

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