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2013年5月16日 (木)

般若寺 季節の花だより 5・16

 

《いま咲いている花》

○春咲コスモス:≪満開≫ 千本程。

   ソナタ、ビッキーという種類が咲いています。

低い背丈に大きな花が咲きそろっています。

・梅花うつ木:≪五分咲き≫

・花菱草、矢車草、グラジオラス、金鳳花:≪満開≫

「愛らしき金のさかづきさしあげて

      日のひかりくむ花菱草よ」木下利玄

 

《これから咲く花》

○山アジサイ:≪つぼみ≫

・黄ショウブ、スイカズラ、定家カズラ:5月中旬

○初夏咲コスモス:5月下旬~7月上旬。15種類、3万本。

今、50㎝ほどになっています。1mをこえると咲き出します。

・アジサイ:6月上旬~6月下旬

 

*「南朝御聖蹟を顕彰する」㊶

笠置寺城

『太平記』巻第三 「先帝笠置臨幸の事」

〈 正成宣旨の趣を拝見して、「不肖の身上聞(じやうぶん、主君[ここは天皇]の耳に入ること)に達する事、生前の面目何事かこれに過ぐべし」、と思ひければ、是非の思案にも及ばず、やがてまづ笠置の皇居へぞ参りたりける。主上、万里小路中納言藤房卿を以て仰せ出だされけるは、「東夷征罰の事、正成を頼み思し召す子細あって、勅宣を下さるるところに、時剋を遷さず馳せ参るの条、叡感浅からざるところなり。そもそも、天下草創の事、いかなる謀(はかりごと)を運(めぐ)らしてか、勝つことを一時に決して治を四海に致すべき、所存を残さず奏し申すべし」と勅を下されしかば、

(「幕府征伐に関して、正成を頼みにお思いなされる理由があって、勅使を建てたところ、汝が時を移さず馳せ参じたことは、帝の大いにお喜びなされるところである。ところで、天下統一の業を始めるについて、どのような方策をめぐらせば、勝利を一気に決し、天下を泰平にしうるか、思うところを残らず申し上げよ」というお言葉であった。)

正成畏(かしこ)まつて申しけるは、「東夷近日の大逆ただ天の譴(せめ)を招き候ふ上、衰乱の弊(つひえ)に乗つて天誅を致されんに、何の子細か候ふべき。ただし、天下草創の功は武略・知謀の二つにて候ふ。もし勢を併せて戦はば、六十余州の兵を集めて武蔵・相模の両国に対すとも、勝つを得がたし。もし謀を以て争ひ戦はば、東夷の武力(ぶりき)ただ利を摧(くだ)き堅(けん)を破る事、欺くに易くして懼(おそ)るるに足らざるところなり。合戦の習ひにて候へば、一旦の勝負をば必ずしも御覧ずべからず。正成一人いまだ生きてありと聞し食し候はば、聖運はつひに開くべしと思し召し候へ」と頼もし気に勅答申して、正成は河内へぞ帰りにける。〉

(「幕府の最近の悪逆の行いは、必ず天罰をこうむるでございましょうから、幕府の衰え乱れたのに乗じて天に代って罰を加えることに、何の困難がございましょう。そうは申しましても、天下統一の業には、武略と知謀の二つが必要です。もし武力をぶつけて戦う場合には、日本全国六十余州の武士を集めて、幕府方の武蔵・相模に国の勢に対抗するとしても、打ち勝つことは難しいでしょう。しかし、もし策略をめぐらしてぶつかり合戦するならば、幕府の武力はただ鋭利な武器を砕き、堅い甲冑を打ち破るだけで、計略にかけやすく恐れるに足らぬところです。勝ち負けは合戦の常でございますので、一度の勝敗だけでお考えくださいませんように。正成一人がまだ生きているとお聞きなさいますならば、帝のご運は最後には開けるものとお考えください」と、頼もしげにお答えして、正成は河内へと帰って行った。) 〉

(この段終わり)

*「携帯基地局と電磁波問題」(休みます)

 

〔短歌〕

「春日野の 瑠璃空の下 杉が枝に

        むらさき妙なり 藤の垂り花」

          木下利玄・一路

〔俳句〕

「桐の花 日かげを為すに 至らざる」高濱虚子

〔和歌〕

「月かげの もるかと見えて 夏木立

        しげれる庭に さける卯花」

          前中納言経親・玉葉306

「月光がさい込むのかと見えるほどに、夏の木立の透間もなく茂った庭に咲いている、まっ白な卯の花よ。」

・夏木立=夏のよく茂った木立。月影の洩る余地もないにもかかわらず、卯の花が咲いて月光に見まがう意。

 

*『平家物語』を読む。

巻第十一 「那須与一」(なすのよいち)の段、

〈 さる程に、阿波・讃岐に平家をそむいて、源氏を待ちける物ども、あそこの峯、ここの洞より、十四五騎、廿騎、打ち連れ打ち連れまいりければ、判官程なく三百余騎にぞなりにけり。「けふは日くれぬ、勝負を決すべからず」とて引退く処におきの方より尋常にかざッたる小舟一艘、みぎはへむいてこぎよせけり。磯へ七八段ばかりになりしかば、舟をよこさまになす。「あれはいかに(何だろう、おかしいぞ)」と見る程に、舟のうちよりよはひ十八九ばかりなる女房の、まことにゆうにうつくしき(上品で美しい)が、柳のいつつぎぬに(表が白、裏が青の襲の色目、五枚重ね)、紅の袴きて、みな紅の扇の日出だしたる(真紅の地の中央に金色の日の丸をつけた扇)を、舟のせがい(舟の両舷に渡した板、舟棚)にはさみたてて、陸(くが)へむいてぞまねひたる。〉 (つづく)

 

*秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。

〈吉野北六田の茶店にて〉

「みよしのの むだのかはべの あゆすしの

         しほくちひびく はるのさむきに」

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

         こさめなかるる はるはきにけり」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

 

*今、若草山の北麓、浄瑠璃寺や正倉院、東大寺、春日山に近い「中ノ川・東鳴川」に奈良市のごみ焼却場を建設するというとんでもない計画があります。          最近の奈良市長の発言によれば、第二候補地(東鳴川)を選定しようとしているようですが、ここは浄瑠璃寺まで数百メートルの直近の距離です。ここに焼却場ができ、高い煙突から煙が吐き出されることになれば、日本の宝、世界の宝である神聖な庭園風景と珠玉の文化財が破壊されます。これは最悪の無謀な選択です。策定委員会と市長は撤回すべきです。

悠久の大和、奈良の山々は日本人の心のふるさと、国のまほろばです。

日本のふるさと、国のまほろばを失えば日本人は亡国の民となってしまいます。

全国の日本文化を愛し、国を思う人々に訴えます。奈良市当局へ抗議の声を届けてください。今ならまだ間に合います。

そして当尾の里、浄瑠璃寺様、岩船寺様を励ましご支援してあげて下さい。

 

「やまとは 国のまほろば たたなづく

青垣やまごもれる やまとしうるはし」

  日本武尊(やまとたけるのみこと)・古事記

 

この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンター建設計画に関する課題について』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクされています。

 

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