般若寺 コスモス花だより 10・31
《コスモス開花情報》
◎ コスモス:≪終り近し≫
台風の多かった10月も今日で終わり。大陸からの高気圧に覆われてお天気は安定しています。
コスモスの花は雨など天候不順のため早く終わってしまいました。今は名残りの花となっています。
代って冬の花、水仙が葉を伸ばしつぼみを付け出しました。例年は12月後半から咲き出すのに、今年は早いのでしょうか、予測が難しいです。
*《白鳳秘仏特別公開》
期間:9月21日(土)~11月11日(月)
「大きなる 手をもて我ら 救わんと
微笑みおはす 白鳳の弥陀」
十三重大石塔昭和大修理の時、800年の眠りから目覚めるように御出現された白鳳時代阿弥陀如来金銅仏と胎内仏、水晶舎利塔、丈六文殊脇侍の太刀と手首、嵯峨天皇勅額、神功皇后大絵馬、雨宝童子、菅原天神、青銅製相輪、仏画などが御開帳されます。
いま胎内仏の拡大写真を掲示しています。肉眼では見えなかった法量、2・6センチの大日如来の宝冠に描かれた六体の仏像、8・2センチの地蔵菩薩の錫杖、衣の截金文様、9・8センチの十一面観音の化仏などがよく判ります。
驚きのミニサイズです。平安時代の人々が有っていた繊細な感性を仏像の造形にうかがえます。
博物館での「正倉院展」が始まり奈良は古文化芸術の秋たけなわです。1300年の長きにわたる先人の精神文化を存分に観賞できるよい機会です。
〔短歌〕
「今日の行 ひるまえになり ややにひもじ
みちばた野菊の 日にあたる花」
木下利玄・紅玉
〔俳句〕
「黄菊白菊 其の外の名は なくもがな」 芭蕉
〔和歌〕
「へだたらぬ をじかの声は まぢかくて
きりの色より くるる山もと」
徽安門院一条・風雅517
「(霧によっても)隔てられない小鹿の声は間近に聞え、立ちこめた霧が先ず暮色を帯びて、次第に暮れて行く、山裾あたりの風景よ。」
*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』『山光集』より》
〈奈良の新薬師寺を思ひいでて〉
「みほとけは いまもいまさば わがために
まなこすがしく まもらせたまへ」
〈東京にかへるとて〉
「あをによし ならやまこへて さかるとも
ゆめにしみえこ わかくさのやま」
〈東京にかへりて後に〉
「ならやまを さかりしひより あさにけに
みてらみほとけ おもかげにたつ」
「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。
*《南朝御聖蹟を顕彰する》
川上村の後南朝パンフレット紹介⑦
〔中開き・右のページ〕
〇三之公(さんのこう)
・カクシ平(行宮跡)
写真は森の中に立つ石碑、「三之公行宮址」と刻まれる。
吉野川の支流・北股川(きたまたがわ)よりさらに三之公川をさかのぼった三重県境に近い深山にある。後亀山天皇の孫・万寿寺宮(尊義王)が二皇子とともに神璽を擁して御所を構え、南朝復興を画策したところである。現在、御所跡があり、尊義王のお墓がある。御所跡の一つに三之公神社が建立されていたが、祭祀の管理上、今は入之波(しおのは)に移されている。
〔中開き・左ページ〕
・自天王の遺品(国重要文化財)
これは神之谷の金剛寺境内につくられている宝蔵庫に保存される。
写真は祀られる兜や鎧の様子。
縹糸縅筋兜(はなだいとおどしすじかぶと) 御鎧両袖(おんよろいりょうそで) 鎧胴丸(よろいどうまる)は自天王が生前御着用していたもの。川上村共有の宝物として1939年(昭和十四年)国宝に指定され、その後の法改正により、現在は、国の重要文化財となっている。これら御遺品の武具は、毎年2月5日の朝拝式に拝観することができる。
*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》
日本全国の心ある人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。
*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点
1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。
2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。
3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。
❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。
〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。
中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。
*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。
そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは
「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。
そして『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文で抱負が述べられています。その結びには、
「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。
仲川げん」
という文章になっています。
立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。
しかし歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして世界から尊敬される観光都市奈良と言えるのでしょうか、よく考えてください。
*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体
「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」
*この問題を詳しく知りたい方は、
ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。
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