« 2014年1月 | トップページ | 2014年3月 »

2014年2月

2014年2月28日 (金)

般若寺 水仙花だより 2・28

《般若寺 水仙花だより》

〇水仙:≪満開すぎました≫ 寒咲水仙・一重咲、八重咲。2万本。

・さざんか(山茶花):≪満開≫

・梅 :≪みごろ≫

・福寿草:≪みごろ≫

○春から初夏に咲くコスモス:4月下旬~6月下旬 13種類

ビニールハウスの苗床で育てています。1月末から種まきを始め、ようやく芽が出て本葉が見えてきました。

*〔短歌〕

「夜に入りて 風の音ひたと やみにけり

         大川端に 宿直する夜を」

           古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「梅咲て 身のおろかさの 同(おなじ)也」一茶

〔和歌〕

「みちのべや 竹吹くかぜの さむけきに

         春をまぜたる 梅がかぞする」

           伏見院御製・風雅63

「この道のほとりでは、竹を吹く風は肌寒いのに、しかしそこに「春」を交えるような、梅の薫りがするよ。」

・みちのべ=道のほとり。道ばた。

・春をまぜたる=寒風の中の梅の香に春を感じる気持。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとがひに

         こさめながるる はるはきにけり」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》47

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

菩薩四十二歳②

「一日一(ひと)りの老翁有り、西大寺に来たり、菩薩戒を求受し竟(おわ)て、即ち薬方を授けて曰く、此の方、甚だ神妙にして能く沈痾(ちんあ)を治す。向後、これを用いて宜(よろし)く自他の病苦を救うべし。菩薩問いて曰く、翁は是れ何れの人ぞ。老翁答えて曰く、我は是れ、少彦名命石落神(すくなひこなのみこと、しゃくらくじん)なりと。言ひ訖(おわ)って忽爾(こつじ)として見えず。菩薩、奇異の思いを為し、之を調合して以て病者に与ふるに、平癒せずと云ふことなし。遂に施薬院を構えて広く病僧及び医療に便り無き者に施し、服用せしむ。又、東門の辺に地を択び、社を建てて以て彼の神を祭る。盖(けだ)し、此の神は天上高皇産霊尊(たかみむすびみこと)、一千五百の神子あり、其の中に於いて、此の神尤も最小也。父の尊(みこと)怪しみ掌(たなごころ)の上に居(すえ)て、之を寵愛したまふ。其の指の間より此界に洩れ落ち、石上に在り。故に石落神(しゃくらくじん)と名づく。三輪の別宮に鎮座して、薬草を齅分(かぎわ)け、蒼生(そうせい)の病を治さる。今に豊心丹(ほうしんたん)の妙方を伝う。誠にゆえ有るかな。今時に臻(いた)るも、年始に西大寺に於いて呪薬の法会を啓建して、秘法を勤修す。以て之を加持すること断絶せず。十二月、勇猛心を発して、広く大の願を立つ。」

・沈痾=久しくなおらない重い病気。

・少彦名命=身体は小さいが、敏捷で、オオクニヌシノミコトとともに国土を経営し、医薬・禁厭の法を伝えた。

・忽爾=にわかなさま。忽然。

・高皇産霊尊=天地開闢のとき、高天原に出現した神。アメノミナカヌシノカミ、カミムスビノミコトとともに造化三神として知られる。

・蒼生=(民を青く茂る草にたとえていう)あおひとくさ。人民。

・豊心丹=西大寺で昭和二十年まで製造販売していた漢方売薬。寺の大きな収入源となっていた。製薬道具一式は奈良県立民俗博物館に寄贈されている。

(つづく)

*《奈良市クリーンセンターに関する最新の情報》

奈良新聞報道記事(201428日付、第一面)によれば、

[奈良市クリーンセンター。

移転問題、こう着状態。 地元説明会開けず。

 奈良市が計画しているクリーンセンターの市東部地域への移転問題が事実上、こう着状態に陥っている。7日の市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)では、地元説明会の開催めども立たない状態が明らかになった。今後、仲川元庸市長が、どう打開策を打ち出すのか、手腕が問われそうだ。]

[計画策定委も停滞。

同問題では、仲川市長が、地元住民の参加を求めるとしていた移転建設計画策定委員会(委員長・渡辺信久大阪工業大学教授)についても、東部自治連合協議会は参加を拒否。市は「中ノ川町~東鳴川町」の民有地(約33㌶)へのクリーンセンター建設に伴い、道路整備案や地元還元施設など地域活性化策をはかるとしているが、交渉の糸口もつかめない状況が続いている。]

[ 7日の委員会では、同自治連合協議会が提出した最終候補地選定の白紙撤回を求める請願書について審議。

東久保耕也委員(自民党)は、施設移転に伴う道路の混雑や自然環境破壊に対して住民の不安がぬぐえていないと指摘。「昨年7月に再選された市長は選挙の政策集で東部への具体的な説明もないまま『東部を関西の軽井沢に』を掲げた。住民を無視、センター建設が決定したかのような先走った政策だ」と不満をあらわにした。

 また村田茂クリーンセンター建設準備課課長が「(市の施策を)地元自治連合協議会に説明する機会をと、お願いしているが開催に至っていない」などと現状説明したのに対し、

 山本憲宥委員(自民党)は「東部移転ありきで進められいる策定委の議論には加われないとの厳しい声が地元にはある。市には同問題を再度検証していただきたい」と注文をつけた。

 山本直子委員(共産党)も地元住民の理解を得られていない状況を問題視。「移転問題の請願は継続的に審議すべき」との意見を述べた。

 市の移転建設計画策定委員会は、昨年1月に「中ノ川町~東鳴川町」を最終候補地を推薦すると決定したものの、その後、仲川市長が「今後は市が移転に向けた交渉を始める」としたため同8月の第54回委員会後、審議は実質ストップしている。]

去年の秋から策定委員会が開かれず、市の動きもないのを不審に思っていたのですが、こういうことだったのですね。やはり奈良市は移転ありきではなく、どうすれば奈良市の将来にとって最善なのか、一から吟味しなおすことです。税金の無駄遣いを省くことを第一に考えるべきです。

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の心ある人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、元の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

ことしの奈良観光活性化のための奈良市の企画、「珠光茶会」は結構な催しだと思います。成功を祈ります。その協力寺院の中には、真言律宗の西大寺と元興寺が入っていますね。真言律宗の宗務長は浄瑠璃寺の佐伯快勝師ですよ。奈良市の企画に協力させておいて、その一方で寺の環境破壊ですか。そんなことが許されるのでしょうか。

だいたい歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか、もういちど出発点に戻ってよく考えてください。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

Img_1464

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年2月27日 (木)

般若寺 水仙花だより 2・27

《般若寺 水仙花だより》

〇水仙:≪満開すぎました≫ 寒咲水仙・一重咲、八重咲。2万本。

・さざんか(山茶花):≪満開≫

・梅 :≪咲きはじめ≫

・福寿草:≪みごろ≫

○春から初夏に咲くコスモス:4月下旬~6月下旬 13種類

ビニールハウスの苗床で育てています。1月末から種まきを始め、ようやく芽が出て本葉が見えてきました。

*〔短歌〕

「病院の 明るき室に みとりゐる

       妻の身なりの あはれまづしも」

         古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「梅咲くや せうじに猫の 影法師」一茶

〔和歌〕

「春の色は 花ともいはじ かすみより 

        こぼれてにほふ 鶯のこゑ」

        後京極摂政前太政大臣(良経)・風雅60

「春を最もよく象徴するものは桜というのが当然でもあろうが、いや桜とも言うまい。霞の間から漏れて一入艶やかに聞える鶯の声こそは、実に春そのものだ。」

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より》

〈春雪〉

「はるさらば やまのしのはら ゆきとけて

         ただにたつべき きみにあらなく」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》46

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「(仁治)三年壬寅(みずのえとら)

菩薩、四十二歳。正月十八日、額安寺学春等、迎えて菩薩戒を受け、因(ちな)みに懇請あって、梵網古迹記(ぼんもうこしゃくき)を講ず。二月十二日、戒法を受くる者、五十四人。翌日、西大寺に回る。一(ひと)りの信士(しんじ)あり、路に迎えて奉請し、家に帰って供養す。童子、菩薩を見て、忻然(きんぜん)として旧識の如し。即ち父母に白(もう)して弟子と為(な)らんことを願う。父母、夙縁(しゅくえん)あることを知って、敢えて之を禁ぜず。遂に同十六日を以て西大寺に届かる。菩薩、度して以て僧と為し、授るに五戒を以てす。時に年十有二、菩薩、法器を以て之を期し、慈憐提誨(ていかい)す、慈真和尚是れ也。四月三日、長谷寺に於いて、菩薩戒を一百余人に授く。同十日、南法華寺に於いて七十六人に授け、同十二日、新井口に於いて二十九人に授く。八月十二日、森屋郷に於いて、五十四人に授く。九月、戒慧律師に命じて、南京東西の囹圍(れいい)に於いて、病者に薬を与え、饑者(きしゃ)に食を給い、其れをして沐浴せしめ、授るに八関斎戒を以てす。其の仁慈かくの如し。」

・因みに=機縁として。

・梵網古迹記=梵網経の注釈書、新羅の青丘太賢の作。興正菩薩はさらに注釈を加え『梵網経古迹記輔行文集』を著す。

・信士=在俗の信者。

・忻然=にっこりよろこぶさま。

・旧識=旧知。以前からの知り合い。

・提誨=さとしおしえる。

・慈真和尚=慈道房信空(12311316)。般若寺中興第一世長老、菩薩没後西大寺長老を継ぐ、第二世。後宇多天皇、談天門院五辻忠子に戒を授ける。諸国国分寺を復興し西大寺末寺とする。後醍醐天皇により「慈真和尚」を諡号される。

・囹圍=牢屋

・饑者=飢えたる人

・八関斎戒=八斎戒。在家信者に授ける戒。

(つづく)

*《奈良市クリーンセンターに関する最新の情報》

奈良新聞報道記事(201428日付、第一面)によれば、

[奈良市クリーンセンター。

移転問題、こう着状態。 地元説明会開けず。

 奈良市が計画しているクリーンセンターの市東部地域への移転問題が事実上、こう着状態に陥っている。7日の市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)では、地元説明会の開催めども立たない状態が明らかになった。今後、仲川元庸市長が、どう打開策を打ち出すのか、手腕が問われそうだ。]

[計画策定委も停滞。

同問題では、仲川市長が、地元住民の参加を求めるとしていた移転建設計画策定委員会(委員長・渡辺信久大阪工業大学教授)についても、東部自治連合協議会は参加を拒否。市は「中ノ川町~東鳴川町」の民有地(約33㌶)へのクリーンセンター建設に伴い、道路整備案や地元還元施設など地域活性化策をはかるとしているが、交渉の糸口もつかめない状況が続いている。]

[ 7日の委員会では、同自治連合協議会が提出した最終候補地選定の白紙撤回を求める請願書について審議。

東久保耕也委員(自民党)は、施設移転に伴う道路の混雑や自然環境破壊に対して住民の不安がぬぐえていないと指摘。「昨年7月に再選された市長は選挙の政策集で東部への具体的な説明もないまま『東部を関西の軽井沢に』を掲げた。住民を無視、センター建設が決定したかのような先走った政策だ」と不満をあらわにした。

 また村田茂クリーンセンター建設準備課課長が「(市の施策を)地元自治連合協議会に説明する機会をと、お願いしているが開催に至っていない」などと現状説明したのに対し、

 山本憲宥委員(自民党)は「東部移転ありきで進められいる策定委の議論には加われないとの厳しい声が地元にはある。市には同問題を再度検証していただきたい」と注文をつけた。

 山本直子委員(共産党)も地元住民の理解を得られていない状況を問題視。「移転問題の請願は継続的に審議すべき」との意見を述べた。

 市の移転建設計画策定委員会は、昨年1月に「中ノ川町~東鳴川町」を最終候補地を推薦すると決定したものの、その後、仲川市長が「今後は市が移転に向けた交渉を始める」としたため同8月の第54回委員会後、審議は実質ストップしている。]

去年の秋から策定委員会が開かれず、市の動きもないのを不審に思っていたのですが、こういうことだったのですね。やはり奈良市は移転ありきではなく、どうすれば奈良市の将来にとって最善なのか、一から吟味しなおすことです。税金の無駄遣いを省くことを第一に考えるべきです。

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の心ある人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、元の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

ことしの奈良観光活性化のための奈良市の企画、「珠光茶会」は結構な催しだと思います。成功を祈ります。その協力寺院の中には、真言律宗の西大寺と元興寺が入っていますね。真言律宗の宗務長は浄瑠璃寺の佐伯快勝師ですよ。奈良市の企画に協力させておいて、その一方で寺の環境破壊ですか。そんなことが許されるのでしょうか。

だいたい歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか、もういちど出発点に戻ってよく考えてください。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

Img_1460

 

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2014年2月26日 (水)

般若寺 水仙花だより 2・26

《般若寺 水仙花だより》

〇水仙:≪満開すぎました≫ 寒咲水仙・一重咲、八重咲。2万本。

・さざんか(山茶花):≪満開≫

・ろうばい(蠟梅):≪終り近し≫

・わびすけ(侘助):≪終り近し≫

・梅 :≪咲きはじめ≫

・福寿草:≪みごろ≫

*〔短歌〕

「はしけやし 玩具を持ちて 歩み居り

         わが児の病 今日よくあれよ」

           古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「下戸(げこ)村や しんかんとして 梅の花」

〔和歌〕

「のどかなる かすみの色に 春みえて

         なびく柳に うぐひすの声」

           従一位教良女・風雅59

「いかにものどかな、立ちこめた霞の色合に春らしさが感じられて、なびく柳が見え、鶯の声が聞える。」

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より》

〈春雪〉

「おくりゆく ひつぎぐるまの のきのはに

         きざめるくもの ひかりさぶしも」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》45

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「(仁治)二年辛丑(かのとうし)

菩薩、四十一歳。春二月、具戒を慈寂空公(慈富房見空)に授く。三月、成圓、証禅等の請に依りて律教を講演す。七月十六日、始めて衆法の自恣(じし)を行ず。是の如く律苑の清規、次に依って挙行し、缾錫(へいしゃく)翩翩(へんぺん)として、龍象来たり萃(あつま)り、徳香﨟著(ろうちょ)して、三尺の孺子(じゅし)も皆、能く其の名を知る。又一夕夢みらく、春日明神来現し、隨喜し親しく冥護を告ぐ。継いで神祠に詣で、経典を几上に繙(ひもと)く。一心に之を読誦すれば、舎利忽(たちま)ち経巻の上に現る。数百粒の光明、煜々(いくいく)として心目を照耀す。号して春日相伝の舎利と曰う也。」

・自恣=夏安居の最後の日に、参集の僧が罪過を指摘し、懺悔すること。

・缾錫=水甕と錫杖

・翩翩=ひるがえるさま。才気のすぐれているさま。

・﨟著=歳を重ねること著しい。

・孺子=こども。わらべ。

・煜煜=光り輝くさま。

(つづく)

*《奈良市クリーンセンターに関する最新の情報》

奈良新聞報道記事(201428日付、第一面)によれば、

[奈良市クリーンセンター。

移転問題、こう着状態。 地元説明会開けず。

 奈良市が計画しているクリーンセンターの市東部地域への移転問題が事実上、こう着状態に陥っている。7日の市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)では、地元説明会の開催めども立たない状態が明らかになった。今後、仲川元庸市長が、どう打開策を打ち出すのか、手腕が問われそうだ。]

[計画策定委も停滞。

同問題では、仲川市長が、地元住民の参加を求めるとしていた移転建設計画策定委員会(委員長・渡辺信久大阪工業大学教授)についても、東部自治連合協議会は参加を拒否。市は「中ノ川町~東鳴川町」の民有地(約33㌶)へのクリーンセンター建設に伴い、道路整備案や地元還元施設など地域活性化策をはかるとしているが、交渉の糸口もつかめない状況が続いている。]

[ 7日の委員会では、同自治連合協議会が提出した最終候補地選定の白紙撤回を求める請願書について審議。

東久保耕也委員(自民党)は、施設移転に伴う道路の混雑や自然環境破壊に対して住民の不安がぬぐえていないと指摘。「昨年7月に再選された市長は選挙の政策集で東部への具体的な説明もないまま『東部を関西の軽井沢に』を掲げた。住民を無視、センター建設が決定したかのような先走った政策だ」と不満をあらわにした。

 また村田茂クリーンセンター建設準備課課長が「(市の施策を)地元自治連合協議会に説明する機会をと、お願いしているが開催に至っていない」などと現状説明したのに対し、

 山本憲宥委員(自民党)は「東部移転ありきで進められいる策定委の議論には加われないとの厳しい声が地元にはある。市には同問題を再度検証していただきたい」と注文をつけた。

 山本直子委員(共産党)も地元住民の理解を得られていない状況を問題視。「移転問題の請願は継続的に審議すべき」との意見を述べた。

 市の移転建設計画策定委員会は、昨年1月に「中ノ川町~東鳴川町」を最終候補地を推薦すると決定したものの、その後、仲川市長が「今後は市が移転に向けた交渉を始める」としたため同8月の第54回委員会後、審議は実質ストップしている。]

去年の秋から策定委員会が開かれず、市の動きもないのを不審に思っていたのですが、こういうことだったのですね。やはり奈良市は移転ありきではなく、どうすれば奈良市の将来にとって最善なのか、一から吟味しなおすことです。税金の無駄遣いを省くことを第一に考えるべきです。

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の心ある人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、元の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

ことしの奈良観光活性化のための奈良市の企画、「珠光茶会」は結構な催しだと思います。成功を祈ります。その協力寺院の中には、真言律宗の西大寺と元興寺が入っていますね。真言律宗の宗務長は浄瑠璃寺の佐伯快勝師ですよ。奈良市の企画に協力させておいて、その一方で寺の環境破壊ですか。そんなことが許されるのでしょうか。

だいたい歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか、もういちど出発点に戻ってよく考えてください。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

Img_1598

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年2月25日 (火)

般若寺 水仙花だより 2・25

《般若寺 水仙花だより》

〇水仙:≪満開すぎました≫ 寒咲水仙・一重咲、八重咲。2万本。

・さざんか(山茶花):≪満開≫

・ろうばい(蠟梅):≪みごろ≫

・わびすけ(侘助):≪みごろ≫

・梅 :≪咲きはじめ≫

・福寿草:≪みごろ≫

*〔短歌〕

「ねむりゐる 吾が児の足の あたたかさ

         今は専らに 眠らむわれも」

           古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「梅咲て 一際(ひときは)人の 古びけり」一茶

〔和歌〕

「おる袖に にほひはとまる 梅がえの

        花にうつるは 心なりけり」

          前中納言定家・玉葉67

「枝を折る私の袖によい香りはしみついて留まるけれど、逆に梅の花の方にうつり染まるのは、私の花を愛する心だよ。」

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より》

〈春雪〉

「よもすがら さもらひをれど きみがめに

         ひとめもわかぬ われならめやも」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《2/22春日野荘で行った日本福祉大学セミナー記念講演のレジメを載せます》

【日本福祉大学セミナー(奈良セミナー) 2014222

「日本福祉の原点―行基(ぎょうき)、叡尊(えいそん)、忍性(にんしょう) 

(2)日本仏教の福祉活動のはじまり―古代の伝説的活動

・聖徳太子(厩戸皇子)―(574622)日本仏教の元祖とあがめられる。

四天王寺の四箇院(敬田院、施薬院、療病院、悲田院)

・光明皇后―(701760)皇后宮職に施薬院と悲田院を付設して救済事業を行った。阿閦寺の説話。

(3)行基―(668749)河内国大鳥郡蜂田里に生まれる。15歳で出家、受戒後、山林修行を習う。飛鳥法興寺にて道昭が請来した三階教(さんがいきょう)を学び、街中に於いて民衆教化する。布施行により我が身と先祖の罪業が消滅すると説く。出家の弟子には乞食行(こつじきぎょう)を、在家の弟子には布施行を勧め、知識(信者集団)を結成して土木事業を行う。    ・架橋6か所(木津川に泉橋、淀川に山崎橋など) ・貯水池15か所(昆陽池、狭山池、久米田池など) ・泊(港)5か所(河尻泊、大輪田泊など) ・院(民衆のための寺庵、道場)49か所 ・堀川、道、樋(水路、水門)など

・布施屋(ふせや)9か所―都への税物を運んだり労役を勤める旅行者を宿泊させたり、貧窮者に食事を提供した。

・民衆教化の当初は弾圧をうけるも、のち東大寺大仏建立に尽力する。

(4)平安時代―空海の満濃池。念仏聖(ひじり)空也(くうや)上人の活動など。

(5)叡尊-(12011290)大和国添上郡箕田里に生まれる。戒律復興運動から衆生済度へ。菩薩戒を、生涯10万人に授ける。人々に菩薩の自覚を与え、慈悲行を勧める。

・釈迦信仰―『悲華経』に説かれる釈迦の誓願「浄土を願わず穢土に生まれて悟りを開き、衆生を済度する」を模範とし、「無(資)縁を好み有(資)縁を厭う」を信条とする。

・文殊信仰と般若寺―寺の復興と文殊像造立。『文殊経』によれば「文殊は貧窮孤独苦悩の衆生の姿となって行者の前に現われる。慈心を行ずれば文殊に出会うことができる。」

・文永6年(1269)の「無遮の大会」―般若寺の西南の野で数千人の貧者・病者に受戒と同時に、食料、布、浅なべ、など生活必需品を供養(布施)する。

(6)忍性-(12171303)大和国磯城郡屏風里に生まれる。母の影響で文殊菩薩を信仰。

23歳で受戒し叡尊の弟子となる。

・『元亨釈書』が伝えるハンセン病患者救済活動 ・北山十八間戸の創建伝説

・鎌倉極楽寺での活動―36歳、関東へ。鎌倉桑ヵ谷に療病所を設け、20年間に46,800人が癒え、10,450人が死したと記録される。聖徳太子にならい、病宿、施薬悲田院、薬湯寮、療病院、癩宿、馬病屋を建て救済活動をする。財源には浄財勧進の外、和賀江島の津で升米徴収や土佐国大忍(おおさと)荘を北条時宗から寄進される

・「十大願」(6.孤独・貧窮・乞食人・病者・盲人等や路頭に捨てられ牛馬に憐れみをかける7.道を造り橋をわたし井戸を掘り薬草樹木などを植える)

・生涯に架橋189ヶ所、道路修築71ヶ所、井戸33ヶ所、浴室・療病所・乞食屋各5ヶ所

(7)おわりに―平和な世の中でこそ福祉社会は実現する。憲法第9条の「戦争放棄」「戦力不保持」を堅持することが福祉の前提条件となる。

・『法句経』「すべての者は暴力におびえ、すべての者は死をおそれる。殺してはならぬ。殺さしめてはならぬ」

・『梵網経』の「畜殺生具戒」「仏子よ、一切の刀杖・弓箭・鉾斧・闘戦の具を蓄えることを得ざれ。

(終り)

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》44

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「仁治元年庚子(かのえね) 改元七月十六日

菩薩、四十歳。三月六日、額安寺に届かる。菩薩戒を受ける者三十余人。八齊戒を禀(うけ)る者四百余人。四月三日、忍性、沙弥戒を受く。十一日、具足戒に進む。」

・八斎戒=在家信者(優婆塞、優婆夷)が守るべき戒。不殺生、不偸盗、不邪淫、不妄語、不飲酒の五戒に六斎日に守るべき三戒(大きくゆったりした寝床で寝ない、装身具を身につけたり歌舞音曲になじまない、正午を過ぎて食事をしない)を加えたもの。

・沙弥戒=沙弥(出家して二十歳未満の僧)になるための十戒。

・具足戒=正式の大僧(比丘)になるために受ける二百五十戒。

(つづく)

*《奈良市クリーンセンターに関する最新の情報》

奈良新聞報道記事(201428日付、第一面)によれば、

[奈良市クリーンセンター。

移転問題、こう着状態。 地元説明会開けず。

 奈良市が計画しているクリーンセンターの市東部地域への移転問題が事実上、こう着状態に陥っている。7日の市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)では、地元説明会の開催めども立たない状態が明らかになった。今後、仲川元庸市長が、どう打開策を打ち出すのか、手腕が問われそうだ。]

[計画策定委も停滞。

同問題では、仲川市長が、地元住民の参加を求めるとしていた移転建設計画策定委員会(委員長・渡辺信久大阪工業大学教授)についても、東部自治連合協議会は参加を拒否。市は「中ノ川町~東鳴川町」の民有地(約33㌶)へのクリーンセンター建設に伴い、道路整備案や地元還元施設など地域活性化策をはかるとしているが、交渉の糸口もつかめない状況が続いている。]

[ 7日の委員会では、同自治連合協議会が提出した最終候補地選定の白紙撤回を求める請願書について審議。

東久保耕也委員(自民党)は、施設移転に伴う道路の混雑や自然環境破壊に対して住民の不安がぬぐえていないと指摘。「昨年7月に再選された市長は選挙の政策集で東部への具体的な説明もないまま『東部を関西の軽井沢に』を掲げた。住民を無視、センター建設が決定したかのような先走った政策だ」と不満をあらわにした。

 また村田茂クリーンセンター建設準備課課長が「(市の施策を)地元自治連合協議会に説明する機会をと、お願いしているが開催に至っていない」などと現状説明したのに対し、

 山本憲宥委員(自民党)は「東部移転ありきで進められいる策定委の議論には加われないとの厳しい声が地元にはある。市には同問題を再度検証していただきたい」と注文をつけた。

 山本直子委員(共産党)も地元住民の理解を得られていない状況を問題視。「移転問題の請願は継続的に審議すべき」との意見を述べた。

 市の移転建設計画策定委員会は、昨年1月に「中ノ川町~東鳴川町」を最終候補地を推薦すると決定したものの、その後、仲川市長が「今後は市が移転に向けた交渉を始める」としたため同8月の第54回委員会後、審議は実質ストップしている。]

去年の秋から策定委員会が開かれず、市の動きもないのを不審に思っていたのですが、こういうことだったのですね。やはり奈良市は移転ありきではなく、どうすれば奈良市の将来にとって最善なのか、一から吟味しなおすことです。税金の無駄遣いを省くことを第一に考えるべきです。

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の心ある人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、元の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

ことしの奈良観光活性化のための奈良市の企画、「珠光茶会」は結構な催しだと思います。成功を祈ります。その協力寺院の中には、真言律宗の西大寺と元興寺が入っていますね。真言律宗の宗務長は浄瑠璃寺の佐伯快勝師ですよ。奈良市の企画に協力させておいて、その一方で寺の環境破壊ですか。そんなことが許されるのでしょうか。

だいたい歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか、もういちど出発点に戻ってよく考えてください。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

Img_1326

Img_1338

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年2月24日 (月)

般若寺 水仙花だより 2・24

《般若寺 水仙花だより》

〇水仙:≪満開すぎました≫ 寒咲水仙・一重咲、八重咲。2万本。

・さざんか(山茶花):≪満開≫

・ろうばい(蠟梅):≪みごろ≫

・わびすけ(侘助):≪みごろ≫

・梅 :≪咲きはじめ≫

・福寿草:≪みごろ≫

*〔短歌〕

「さ夜ふかく 家に帰れば ただひとり

         姉なる吾児の 眠りてを居り」

           古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「梅が香や どなたが来ても 欠茶碗」一茶

〔和歌〕

「明けぬれど をのがねぐらを 出でやらで

         竹の葉がくれ うぐひすぞ鳴く」

           前大納言為世・風雅58

「夜は明けたけれど、自分のねぐらをまだ出るに出かねて、竹の葉にかくれて鶯が鳴いている。」

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈春雪〉

「われわかく ひとにまなびし もろもろの

         かぞへもつきず そのまくらべに」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》43

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「延応元年 己亥(つちのとい) 改元二月七日

菩薩三十九歳。年の始め七日、三密の壇を宝塔に構へ、東壇には金剛界の法を修し、西壇には胎蔵界の法を修す中壇に就いて五大虚空蔵の法、幷に駄都(だと)の秘法を修す。以て國家安全、宝祚長久、令法久住、利益無盡を祈る。此れより以後、毎歳之を修すを永く寺軌と為す。三月、章服儀応法記を講ず。深く誡む、人の蠶衣(さんえ)を服すことを。鴻音(こうおん)一々震ひ、聴く者警寤(けいご)す。」

・駄都=仏舎利、卒塔婆。

・章服儀応法記=唐の南山道宣作の『釈門章服記』を宋の元照が注釈を加えた『釈門章服儀応法記』。律にもとづいた袈裟など衣服の解説。

・蠶衣=絹の衣。

・鴻音=おおとりの声。

・警寤=のみこみの早いこと。さといこと。

(つづく)

*《奈良市クリーンセンターに関する最新の情報》

奈良新聞報道記事(201428日付、第一面)によれば、

[奈良市クリーンセンター。

移転問題、こう着状態。 地元説明会開けず。

 奈良市が計画しているクリーンセンターの市東部地域への移転問題が事実上、こう着状態に陥っている。7日の市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)では、地元説明会の開催めども立たない状態が明らかになった。今後、仲川元庸市長が、どう打開策を打ち出すのか、手腕が問われそうだ。]

[計画策定委も停滞。

同問題では、仲川市長が、地元住民の参加を求めるとしていた移転建設計画策定委員会(委員長・渡辺信久大阪工業大学教授)についても、東部自治連合協議会は参加を拒否。市は「中ノ川町~東鳴川町」の民有地(約33㌶)へのクリーンセンター建設に伴い、道路整備案や地元還元施設など地域活性化策をはかるとしているが、交渉の糸口もつかめない状況が続いている。]

[ 7日の委員会では、同自治連合協議会が提出した最終候補地選定の白紙撤回を求める請願書について審議。

東久保耕也委員(自民党)は、施設移転に伴う道路の混雑や自然環境破壊に対して住民の不安がぬぐえていないと指摘。「昨年7月に再選された市長は選挙の政策集で東部への具体的な説明もないまま『東部を関西の軽井沢に』を掲げた。住民を無視、センター建設が決定したかのような先走った政策だ」と不満をあらわにした。

 また村田茂クリーンセンター建設準備課課長が「(市の施策を)地元自治連合協議会に説明する機会をと、お願いしているが開催に至っていない」などと現状説明したのに対し、

 山本憲宥委員(自民党)は「東部移転ありきで進められいる策定委の議論には加われないとの厳しい声が地元にはある。市には同問題を再度検証していただきたい」と注文をつけた。

 山本直子委員(共産党)も地元住民の理解を得られていない状況を問題視。「移転問題の請願は継続的に審議すべき」との意見を述べた。

 市の移転建設計画策定委員会は、昨年1月に「中ノ川町~東鳴川町」を最終候補地を推薦すると決定したものの、その後、仲川市長が「今後は市が移転に向けた交渉を始める」としたため同8月の第54回委員会後、審議は実質ストップしている。]

去年の秋から策定委員会が開かれず、市の動きもないのを不審に思っていたのですが、こういうことだったのですね。やはり奈良市は移転ありきではなく、どうすれば奈良市の将来にとって最善なのか、一から吟味しなおすことです。税金の無駄遣いを省くことを第一に考えるべきです。

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の心ある人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、元の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

ことしの奈良観光活性化のための奈良市の企画、「珠光茶会」は結構な催しだと思います。成功を祈ります。その協力寺院の中には、真言律宗の西大寺と元興寺が入っていますね。真言律宗の宗務長は浄瑠璃寺の佐伯快勝師ですよ。奈良市の企画に協力させておいて、その一方で寺の環境破壊ですか。そんなことが許されるのでしょうか。

だいたい歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか、もういちど出発点に戻ってよく考えてください。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

Img_1341

Img_1327

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年2月23日 (日)

般若寺 水仙花だより 2・23

《般若寺 水仙花だより》

〇水仙:≪満開すぎました≫ 寒咲水仙・一重咲、八重咲。2万本。

・さざんか(山茶花):≪満開≫

・ろうばい(蠟梅):≪みごろ≫

・わびすけ(侘助):≪みごろ≫

・梅 :≪咲きはじめ≫

・福寿草:≪みごろ≫

*〔短歌〕

「遠遠に 歩み戻れば しくしくと

       下腹いたみ 夜はふけはてぬ」

         古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「梅さくや 地獄の門も 休み札」一茶

〔和歌〕

「色につき にほひにめづる 心とも

        梅がえよりや うつりそめけん」

        皇太后宮大夫俊成・玉葉66

「うつくしい色彩に夢中になり、よい香りを愛する心になるというのも、きれいな梅の枝を賞美する気持ちから起ったものなのだろうか。(どうもそうらしいな)」

・うつり=投影・伝染の意。「色」「にほひ」の縁語。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より》

〈春雪〉

「ふみよむと ものをしかくと おもほえし

         ひとおいはてて ここにこやせる」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

(明日から再開します)

*《2/22春日野荘で行った日本福祉大学セミナー記念講演のレジメを載せます》

【日本福祉大学セミナー(奈良セミナー) 2014222

「日本福祉の原点―行基(ぎょうき)、叡尊(えいそん)、忍性(にんしょう) 

講師:奈良 真言律宗 般若寺住職 工藤良任

○はじめに―社会福祉とは

・日本国憲法第二十五条 「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」

・福祉という言葉は多義―①幸福、安寧。 ②社会保障と同義、福祉国家。 ③社会福祉、社会サービス。社会保障の一分野としての福祉。高齢者福祉、障害者福祉、児童福祉など。

・社会福祉と仏教福祉―社会福祉は人々の生活に幸いをもたらす社会のシステム、社会科学の領域であるが、宗教(仏教)の役割は主として、その内面的価値的なものであり、仏教福祉は各人の精神面からの支えとなりうる。キリスト教のホスピスと仏教のビハーラの活動。

老、病、死の苦しみ悩みにどう答えるか。人が生きている意味と生きがいを見出す。

・日本の仏教界はもっと福祉活動に貢献すべき。

・奈良は日本仏教発祥の地、そして仏教による福祉活動の揺籃の地。

・現在も奈良県内では東大寺・宝山寺・壷阪寺など伝統ある寺院により各種の社会福祉施設が運営されている。

(1)仏教の福祉思想-慈悲心、利他行、衆生済度。

・慈悲とは慈(他者に安楽や利益を与える友情、友愛)と悲(他者の苦に対する同情、思いやり)。抜苦与楽。

・お経に見える福祉思想

*初期経典『四分律』「釈尊は『病気の者を必ず看病すべし。私に供養する前に病人に供養すべきである』と説かれた」「看病の心得として、慈悲の心をもってせよとさとされた」

*大乗経典―菩薩(一切衆生を利益するために、悟りを求め仏道修行する人)を説く。

『大般涅槃経』「すべての生けるものの仏性は同一にして無差別平等である」

『法華経』巻第七「常不軽菩薩品」(じょうふきょうぼさつぼん)「この菩薩はどのような仕打ちをされようとも『私は常にあなた方を軽んじません。あなた方はまさに仏(覚者)となるでしょう。』と唱え、礼拝讃嘆し続けたのである。それで人々はこの菩薩を『常不軽』と呼ぶようになった。」

『梵網経』巻下第九「不瞻病苦戒」(ふせんびょうくかい。瞻=あおぎ見る)

「すべての疾病の人を見たならば仏にするように供養せよ。八福田の中で看病福田は第一の福田なり。父母や師や仲間たちの中に病苦の者や障害を持った者あれば必ず皆養い支えなければならない。病を見て救わなければ軽垢罪を犯す。」

・福田は福徳を生む田。八福田(敬田=仏・聖人・僧、恩田=和尚・阿闍梨・父・母、悲田=病人)】

(後半部は後日に)

*《奈良市クリーンセンターに関する最新の情報》

奈良新聞報道記事(201428日付、第一面)によれば、

[奈良市クリーンセンター。

移転問題、こう着状態。 地元説明会開けず。

 奈良市が計画しているクリーンセンターの市東部地域への移転問題が事実上、こう着状態に陥っている。7日の市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)では、地元説明会の開催めども立たない状態が明らかになった。今後、仲川元庸市長が、どう打開策を打ち出すのか、手腕が問われそうだ。]

[計画策定委も停滞。

同問題では、仲川市長が、地元住民の参加を求めるとしていた移転建設計画策定委員会(委員長・渡辺信久大阪工業大学教授)についても、東部自治連合協議会は参加を拒否。市は「中ノ川町~東鳴川町」の民有地(約33㌶)へのクリーンセンター建設に伴い、道路整備案や地元還元施設など地域活性化策をはかるとしているが、交渉の糸口もつかめない状況が続いている。]

[ 7日の委員会では、同自治連合協議会が提出した最終候補地選定の白紙撤回を求める請願書について審議。

東久保耕也委員(自民党)は、施設移転に伴う道路の混雑や自然環境破壊に対して住民の不安がぬぐえていないと指摘。「昨年7月に再選された市長は選挙の政策集で東部への具体的な説明もないまま『東部を関西の軽井沢に』を掲げた。住民を無視、センター建設が決定したかのような先走った政策だ」と不満をあらわにした。

 また村田茂クリーンセンター建設準備課課長が「(市の施策を)地元自治連合協議会に説明する機会をと、お願いしているが開催に至っていない」などと現状説明したのに対し、

 山本憲宥委員(自民党)は「東部移転ありきで進められいる策定委の議論には加われないとの厳しい声が地元にはある。市には同問題を再度検証していただきたい」と注文をつけた。

 山本直子委員(共産党)も地元住民の理解を得られていない状況を問題視。「移転問題の請願は継続的に審議すべき」との意見を述べた。

 市の移転建設計画策定委員会は、昨年1月に「中ノ川町~東鳴川町」を最終候補地を推薦すると決定したものの、その後、仲川市長が「今後は市が移転に向けた交渉を始める」としたため同8月の第54回委員会後、審議は実質ストップしている。]

去年の秋から策定委員会が開かれず、市の動きもないのを不審に思っていたのですが、こういうことだったのですね。やはり奈良市は移転ありきではなく、どうすれば奈良市の将来にとって最善なのか、一から吟味しなおすことです。税金の無駄遣いを省くことを第一に考えるべきです。

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の心ある人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、元の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

ことしの奈良観光活性化のための奈良市の企画、「珠光茶会」は結構な催しだと思います。成功を祈ります。その協力寺院の中には、真言律宗の西大寺と元興寺が入っていますね。真言律宗の宗務長は浄瑠璃寺の佐伯快勝師ですよ。奈良市の企画に協力させておいて、その一方で寺の環境破壊ですか。そんなことが許されるのでしょうか。

だいたい歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか、もういちど出発点に戻ってよく考えてください。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年2月22日 (土)

般若寺 水仙花だより 2・22

《般若寺 水仙花だより》

〇水仙:≪満開すぎました≫ 寒咲水仙・一重咲、八重咲。2万本。

・さざんか(山茶花):≪満開≫

・ろうばい(蠟梅):≪みごろ≫

・わびすけ(侘助):≪みごろ≫

・梅 :≪咲きはじめ≫

・福寿草:≪みごろ≫

*〔短歌〕

「貧しさは かにもかくにも 病める児を

        病院におき 安しといはむ」

          古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「梅さくや 鍋ずみとれぬ 皺手哉」一茶

〔和歌〕

「むめの花 ちらまくおしみ わがそのの

        竹の林に うぐひすなくも」

          読人しらず・風雅56

「梅の花が間もなく散るのを惜しがって、私の庭の竹藪で鶯が鳴いているよ。」

・ちらまく=散るであろうこと。「まく」は未来の推量。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとがひに

         こさめながるる はるはきにけり」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

(23日までお休みします)

*《奈良市クリーンセンターに関する最新の情報》

奈良新聞報道記事(201428日付、第一面)によれば、

[奈良市クリーンセンター。

移転問題、こう着状態。 地元説明会開けず。

 奈良市が計画しているクリーンセンターの市東部地域への移転問題が事実上、こう着状態に陥っている。7日の市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)では、地元説明会の開催めども立たない状態が明らかになった。今後、仲川元庸市長が、どう打開策を打ち出すのか、手腕が問われそうだ。]

[計画策定委も停滞。

同問題では、仲川市長が、地元住民の参加を求めるとしていた移転建設計画策定委員会(委員長・渡辺信久大阪工業大学教授)についても、東部自治連合協議会は参加を拒否。市は「中ノ川町~東鳴川町」の民有地(約33㌶)へのクリーンセンター建設に伴い、道路整備案や地元還元施設など地域活性化策をはかるとしているが、交渉の糸口もつかめない状況が続いている。]

[ 7日の委員会では、同自治連合協議会が提出した最終候補地選定の白紙撤回を求める請願書について審議。

東久保耕也委員(自民党)は、施設移転に伴う道路の混雑や自然環境破壊に対して住民の不安がぬぐえていないと指摘。「昨年7月に再選された市長は選挙の政策集で東部への具体的な説明もないまま『東部を関西の軽井沢に』を掲げた。住民を無視、センター建設が決定したかのような先走った政策だ」と不満をあらわにした。

 また村田茂クリーンセンター建設準備課課長が「(市の施策を)地元自治連合協議会に説明する機会をと、お願いしているが開催に至っていない」などと現状説明したのに対し、

 山本憲宥委員(自民党)は「東部移転ありきで進められいる策定委の議論には加われないとの厳しい声が地元にはある。市には同問題を再度検証していただきたい」と注文をつけた。

 山本直子委員(共産党)も地元住民の理解を得られていない状況を問題視。「移転問題の請願は継続的に審議すべき」との意見を述べた。

 市の移転建設計画策定委員会は、昨年1月に「中ノ川町~東鳴川町」を最終候補地を推薦すると決定したものの、その後、仲川市長が「今後は市が移転に向けた交渉を始める」としたため同8月の第54回委員会後、審議は実質ストップしている。]

去年の秋から策定委員会が開かれず、市の動きもないのを不審に思っていたのですが、こういうことだったのですね。やはり奈良市は移転ありきではなく、どうすれば奈良市の将来にとって最善なのか、一から吟味しなおすことです。税金の無駄遣いを省くことを第一に考えるべきです。

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の心ある人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、元の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

ことしの奈良観光活性化のための奈良市の企画、「珠光茶会」は結構な催しだと思います。成功を祈ります。その協力寺院の中には、真言律宗の西大寺と元興寺が入っていますね。真言律宗の宗務長は浄瑠璃寺の佐伯快勝師ですよ。奈良市の企画に協力させておいて、その一方で寺の環境破壊ですか。そんなことが許されるのでしょうか。

だいたい歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか、もういちど出発点に戻ってよく考えてください。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

Img_1290

Img_1281

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年2月21日 (金)

般若寺 水仙花だより 2・21

《般若寺 水仙花だより》

〇水仙:≪満開すぎました≫ 寒咲水仙・一重咲、八重咲。2万本。

・さざんか(山茶花):≪満開≫

・ろうばい(蠟梅):≪みごろ≫

・わびすけ(侘助):≪みごろ≫

・梅 :≪咲きはじめ≫

・福寿草:≪みごろ≫

*〔短歌〕

「み濠べに 浮ぶ小鴨の 安らかに

        生きむ命を わが思はなくに」

          古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「梅さいて 身のおろかさの 同也」一茶

〔和歌〕

「むもれ木の したにやつるる 梅の花

         香をだにちらせ 雲の上まで」

           紫式部・玉葉65

「忘れ去られた埋れ木のように数ならぬ、私の家に咲いて、目に立たずみすぼらしい梅の花よ。せめてよい香だけでも漂わせておくれ、宮中までも。」

・むもれ木=埋れ木。木が土中に埋まって炭化したもの。転じて世間から忘れられ顧みられない状態。

・やつる=みすぼらしくなる。衰える。

・雲の上=天上。転じて宮中、内裏。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より》

〈望郷〉

「みゆきふる こしのあらのの あらしばの

         しばしばきみを おもはざらめや」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

(23日までお休みします)

*《奈良市クリーンセンターに関する最新の情報》

奈良新聞報道記事(201428日付、第一面)によれば、

[奈良市クリーンセンター。

移転問題、こう着状態。 地元説明会開けず。

 奈良市が計画しているクリーンセンターの市東部地域への移転問題が事実上、こう着状態に陥っている。7日の市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)では、地元説明会の開催めども立たない状態が明らかになった。今後、仲川元庸市長が、どう打開策を打ち出すのか、手腕が問われそうだ。]

[計画策定委も停滞。

同問題では、仲川市長が、地元住民の参加を求めるとしていた移転建設計画策定委員会(委員長・渡辺信久大阪工業大学教授)についても、東部自治連合協議会は参加を拒否。市は「中ノ川町~東鳴川町」の民有地(約33㌶)へのクリーンセンター建設に伴い、道路整備案や地元還元施設など地域活性化策をはかるとしているが、交渉の糸口もつかめない状況が続いている。]

[ 7日の委員会では、同自治連合協議会が提出した最終候補地選定の白紙撤回を求める請願書について審議。

東久保耕也委員(自民党)は、施設移転に伴う道路の混雑や自然環境破壊に対して住民の不安がぬぐえていないと指摘。「昨年7月に再選された市長は選挙の政策集で東部への具体的な説明もないまま『東部を関西の軽井沢に』を掲げた。住民を無視、センター建設が決定したかのような先走った政策だ」と不満をあらわにした。

 また村田茂クリーンセンター建設準備課課長が「(市の施策を)地元自治連合協議会に説明する機会をと、お願いしているが開催に至っていない」などと現状説明したのに対し、

 山本憲宥委員(自民党)は「東部移転ありきで進められいる策定委の議論には加われないとの厳しい声が地元にはある。市には同問題を再度検証していただきたい」と注文をつけた。

 山本直子委員(共産党)も地元住民の理解を得られていない状況を問題視。「移転問題の請願は継続的に審議すべき」との意見を述べた。

 市の移転建設計画策定委員会は、昨年1月に「中ノ川町~東鳴川町」を最終候補地を推薦すると決定したものの、その後、仲川市長が「今後は市が移転に向けた交渉を始める」としたため同8月の第54回委員会後、審議は実質ストップしている。]

去年の秋から策定委員会が開かれず、市の動きもないのを不審に思っていたのですが、こういうことだったのですね。やはり奈良市は移転ありきではなく、どうすれば奈良市の将来にとって最善なのか、一から吟味しなおすことです。税金の無駄遣いを省くことを第一に考えるべきです。

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の心ある人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、元の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

ことしの奈良観光活性化のための奈良市の企画、「珠光茶会」は結構な催しだと思います。成功を祈ります。その協力寺院の中には、真言律宗の西大寺と元興寺が入っていますね。真言律宗の宗務長は浄瑠璃寺の佐伯快勝師ですよ。奈良市の企画に協力させておいて、その一方で寺の環境破壊ですか。そんなことが許されるのでしょうか。

だいたい歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか、もういちど出発点に戻ってよく考えてください。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

 

Img_1270

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年2月20日 (木)

般若寺 水仙花だより 2・20

《般若寺 水仙花だより》

〇水仙:≪雪で倒れた花が少し持ち直しています≫ 寒咲水仙・一重咲、八重咲。2万本。

・さざんか(山茶花):≪満開≫

・ろうばい(蠟梅):≪みごろ≫

・わびすけ(侘助):≪みごろ≫

・梅 :≪咲きはじめ≫

・福寿草:≪みごろ≫

*〔短歌〕

「夜のひかり かそけき濠に 鴨小鴨

         列をつくりて 泳ぎをり見ゆ」

           古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「梅の木に 花と詠(ながめ)る しめしかな」一茶

〔和歌〕

「梅の花 さけるをかべに 家居せば

       ともしくもあらじ 鶯のこゑ」

         読人しらず・風雅55

「梅の花の咲いている岡のほとりに家を営んで住んで居れば、不足することもあるまいよ、鶯の声に。」

・万葉集1820

・家居=家に住むこと。

・ともし=乏しい。少ない。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より》

〈望郷〉

「すべもなく みゆきふりつむ よのまにも

         ふるさとびとの おゆらくをしも」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

(23日までお休みします)

*《奈良市クリーンセンターに関する最新の情報》

奈良新聞報道記事(201428日付、第一面)によれば、

[奈良市クリーンセンター。

移転問題、こう着状態。 地元説明会開けず。

 奈良市が計画しているクリーンセンターの市東部地域への移転問題が事実上、こう着状態に陥っている。7日の市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)では、地元説明会の開催めども立たない状態が明らかになった。今後、仲川元庸市長が、どう打開策を打ち出すのか、手腕が問われそうだ。]

[計画策定委も停滞。

同問題では、仲川市長が、地元住民の参加を求めるとしていた移転建設計画策定委員会(委員長・渡辺信久大阪工業大学教授)についても、東部自治連合協議会は参加を拒否。市は「中ノ川町~東鳴川町」の民有地(約33㌶)へのクリーンセンター建設に伴い、道路整備案や地元還元施設など地域活性化策をはかるとしているが、交渉の糸口もつかめない状況が続いている。]

[ 7日の委員会では、同自治連合協議会が提出した最終候補地選定の白紙撤回を求める請願書について審議。

東久保耕也委員(自民党)は、施設移転に伴う道路の混雑や自然環境破壊に対して住民の不安がぬぐえていないと指摘。「昨年7月に再選された市長は選挙の政策集で東部への具体的な説明もないまま『東部を関西の軽井沢に』を掲げた。住民を無視、センター建設が決定したかのような先走った政策だ」と不満をあらわにした。

 また村田茂クリーンセンター建設準備課課長が「(市の施策を)地元自治連合協議会に説明する機会をと、お願いしているが開催に至っていない」などと現状説明したのに対し、

 山本憲宥委員(自民党)は「東部移転ありきで進められいる策定委の議論には加われないとの厳しい声が地元にはある。市には同問題を再度検証していただきたい」と注文をつけた。

 山本直子委員(共産党)も地元住民の理解を得られていない状況を問題視。「移転問題の請願は継続的に審議すべき」との意見を述べた。

 市の移転建設計画策定委員会は、昨年1月に「中ノ川町~東鳴川町」を最終候補地を推薦すると決定したものの、その後、仲川市長が「今後は市が移転に向けた交渉を始める」としたため同8月の第54回委員会後、審議は実質ストップしている。]

去年の秋から策定委員会が開かれず、市の動きもないのを不審に思っていたのですが、こういうことだったのですね。やはり奈良市は移転ありきではなく、どうすれば奈良市の将来にとって最善なのか、一から吟味しなおすことです。税金の無駄遣いを省くことを第一に考えるべきです。

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の心ある人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、元の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

ことしの奈良観光活性化のための奈良市の企画、「珠光茶会」は結構な催しだと思います。成功を祈ります。その協力寺院の中には、真言律宗の西大寺と元興寺が入っていますね。真言律宗の宗務長は浄瑠璃寺の佐伯快勝師ですよ。奈良市の企画に協力させておいて、その一方で寺の環境破壊ですか。そんなことが許されるのでしょうか。

だいたい歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか、もういちど出発点に戻ってよく考えてください。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

Img_8033

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年2月19日 (水)

般若寺 水仙花だより 2・19

《般若寺 水仙花だより》

〇水仙:≪満開すぎました≫ 寒咲水仙・一重咲、八重咲。2万本。

・さざんか(山茶花):≪満開≫

・ろうばい(蠟梅):≪みごろ≫

・わびすけ(侘助):≪みごろ≫

・梅 :≪咲きはじめ≫

・福寿草:≪みごろ≫

*〔短歌〕

「濠ばたは 寒く更けつつ 遠街の

        物音おどろに きえがてぬかも」

      古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「梅が香を すすり込だる 菜汁哉」一茶

〔和歌〕

「しら雪に ふりかくさるる 梅の花

        人しれずこそ 匂ふべらなれ」

          貫之・玉葉62

「白雪が降り積もって、かくされてしまう梅の花は、人知れずこっそりと匂っているようだな。」

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より》

〈越後の中頸城に住めるころ〉

「よるべなく おいにしひとか やまかげの

         をだのはすねを ほりくらしつつ」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

(23日までお休みします)

*《奈良市クリーンセンターに関する最新の情報》

奈良新聞報道記事(201428日付、第一面)によれば、

[奈良市クリーンセンター。

移転問題、こう着状態。 地元説明会開けず。

 奈良市が計画しているクリーンセンターの市東部地域への移転問題が事実上、こう着状態に陥っている。7日の市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)では、地元説明会の開催めども立たない状態が明らかになった。今後、仲川元庸市長が、どう打開策を打ち出すのか、手腕が問われそうだ。]

[計画策定委も停滞。

同問題では、仲川市長が、地元住民の参加を求めるとしていた移転建設計画策定委員会(委員長・渡辺信久大阪工業大学教授)についても、東部自治連合協議会は参加を拒否。市は「中ノ川町~東鳴川町」の民有地(約33㌶)へのクリーンセンター建設に伴い、道路整備案や地元還元施設など地域活性化策をはかるとしているが、交渉の糸口もつかめない状況が続いている。]

[ 7日の委員会では、同自治連合協議会が提出した最終候補地選定の白紙撤回を求める請願書について審議。

東久保耕也委員(自民党)は、施設移転に伴う道路の混雑や自然環境破壊に対して住民の不安がぬぐえていないと指摘。「昨年7月に再選された市長は選挙の政策集で東部への具体的な説明もないまま『東部を関西の軽井沢に』を掲げた。住民を無視、センター建設が決定したかのような先走った政策だ」と不満をあらわにした。

 また村田茂クリーンセンター建設準備課課長が「(市の施策を)地元自治連合協議会に説明する機会をと、お願いしているが開催に至っていない」などと現状説明したのに対し、

 山本憲宥委員(自民党)は「東部移転ありきで進められいる策定委の議論には加われないとの厳しい声が地元にはある。市には同問題を再度検証していただきたい」と注文をつけた。

 山本直子委員(共産党)も地元住民の理解を得られていない状況を問題視。「移転問題の請願は継続的に審議すべき」との意見を述べた。

 市の移転建設計画策定委員会は、昨年1月に「中ノ川町~東鳴川町」を最終候補地を推薦すると決定したものの、その後、仲川市長が「今後は市が移転に向けた交渉を始める」としたため同8月の第54回委員会後、審議は実質ストップしている。]

去年の秋から策定委員会が開かれず、市の動きもないのを不審に思っていたのですが、こういうことだったのですね。やはり奈良市は移転ありきではなく、どうすれば奈良市の将来にとって最善なのか、一から吟味しなおすことです。税金の無駄遣いを省くことを第一に考えるべきです。

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の心ある人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、元の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

ことしの奈良観光活性化のための奈良市の企画、「珠光茶会」は結構な催しだと思います。成功を祈ります。その協力寺院の中には、真言律宗の西大寺と元興寺が入っていますね。真言律宗の宗務長は浄瑠璃寺の佐伯快勝師ですよ。奈良市の企画に協力させておいて、その一方で寺の環境破壊ですか。そんなことが許されるのでしょうか。

だいたい歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか、もういちど出発点に戻ってよく考えてください。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

 

Img_1248

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年2月18日 (火)

般若寺 水仙花だより 2・18

《般若寺 水仙花だより》

〇水仙:≪雪で倒れました≫ 寒咲水仙・一重咲、八重咲。2万本。

・さざんか(山茶花):≪満開≫

・ろうばい(蠟梅):≪みごろ≫

・わびすけ(侘助):≪みごろ≫

・梅 :≪つぼみ≫

*〔短歌〕

「終電車 いまし過ぎはて 街遠に

       おどろにひびく 音の寒けさ」

         古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「ねはん像 銭見ておはす 顔も有」一茶

〔和歌〕

「かつきゆる 庭には跡も 見えわかで

       草葉にうすき 春のあは雪」

    円光院入道前関白太政大臣(鷹司基忠)・風雅40

「降るそばから消えて行くために、庭面には積った跡も見分けられないで、ただ草葉の上にだけうっすらと置いている、春の淡雪よ。」

・かつきゆる=降るとすぐに消える。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より》

〈越後の中頸城に住めるころ〉

「さよふけて かどゆくひとの からかさに

        ゆきふるおとの さびしくもあるか」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

(休みます)

*《奈良市クリーンセンターに関する最新の情報》

奈良新聞報道記事(201428日付、第一面)によれば、

[奈良市クリーンセンター。

移転問題、こう着状態。 地元説明会開けず。

 奈良市が計画しているクリーンセンターの市東部地域への移転問題が事実上、こう着状態に陥っている。7日の市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)では、地元説明会の開催めども立たない状態が明らかになった。今後、仲川元庸市長が、どう打開策を打ち出すのか、手腕が問われそうだ。]

[計画策定委も停滞。

同問題では、仲川市長が、地元住民の参加を求めるとしていた移転建設計画策定委員会(委員長・渡辺信久大阪工業大学教授)についても、東部自治連合協議会は参加を拒否。市は「中ノ川町~東鳴川町」の民有地(約33㌶)へのクリーンセンター建設に伴い、道路整備案や地元還元施設など地域活性化策をはかるとしているが、交渉の糸口もつかめない状況が続いている。]

[ 7日の委員会では、同自治連合協議会が提出した最終候補地選定の白紙撤回を求める請願書について審議。

東久保耕也委員(自民党)は、施設移転に伴う道路の混雑や自然環境破壊に対して住民の不安がぬぐえていないと指摘。「昨年7月に再選された市長は選挙の政策集で東部への具体的な説明もないまま『東部を関西の軽井沢に』を掲げた。住民を無視、センター建設が決定したかのような先走った政策だ」と不満をあらわにした。

 また村田茂クリーンセンター建設準備課課長が「(市の施策を)地元自治連合協議会に説明する機会をと、お願いしているが開催に至っていない」などと現状説明したのに対し、

 山本憲宥委員(自民党)は「東部移転ありきで進められいる策定委の議論には加われないとの厳しい声が地元にはある。市には同問題を再度検証していただきたい」と注文をつけた。

 山本直子委員(共産党)も地元住民の理解を得られていない状況を問題視。「移転問題の請願は継続的に審議すべき」との意見を述べた。

 市の移転建設計画策定委員会は、昨年1月に「中ノ川町~東鳴川町」を最終候補地を推薦すると決定したものの、その後、仲川市長が「今後は市が移転に向けた交渉を始める」としたため同8月の第54回委員会後、審議は実質ストップしている。]

去年の秋から策定委員会が開かれず、市の動きもないのを不審に思っていたのですが、こういうことだったのですね。やはり奈良市は移転ありきではなく、どうすれば奈良市の将来にとって最善なのか、一から吟味しなおすことです。税金の無駄遣いを省くことを第一に考えるべきです。

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の心ある人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、元の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

ことしの奈良観光活性化のための奈良市の企画、「珠光大茶会」は結構なことだと思います。成功を祈ります。その協力寺院の中には、真言律宗の西大寺と元興寺が入っていますね。真言律宗の宗務長は浄瑠璃寺の佐伯快勝師ですよ。奈良市の企画に協力させておいて、その一方で寺の環境破壊ですか。そんなことが許されるのでしょうか。

だいたい歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか、もういちど出発点に戻ってよく考えてください。仲川市長さん、おねがいします。

ことしの奈良観光活性化のための奈良市の企画、「珠光茶会」は結構なことだと思います。成功を祈ります。その協力寺院の中には、真言律宗の西大寺と元興寺が入っていますね。真言律宗の宗務長は浄瑠璃寺の佐伯快勝師ですよ。奈良市の企画に協力させておいて、その一方で寺の環境破壊ですか。そんなことが許されるのでしょうか。

だいたい歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか、もういちど出発点に戻ってよく考えてください。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

Img_1251

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年2月17日 (月)

般若寺 水仙花だより 2・17

《般若寺 水仙花だより》

〇水仙:≪満開雪で倒れました≫ 寒咲水仙・一重咲、八重咲。2万本。

・さざんか(山茶花):≪満開≫

・ろうばい(蠟梅):≪みごろ≫

・わびすけ(侘助):≪みごろ≫

・梅 :≪つぼみ≫

*〔短歌〕

「病める児を 入院せしめ わが戻る

         濠端さむく 夜はふけにけり」

           古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「梅さくや 手垢に光る なで仏」一茶

〔和歌〕

「白妙の 色はまがひぬ あわ雪の

       かかれる枝の 梅の初花」

         法皇(後宇多院)御製・玉葉60

「まっ白な色で、どれがどれだか見分けがつかなくなってしまったよ。やわらかな雪のかかった枝に咲く、梅の初花は。」

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より》

〈旅愁・越後の中頸城に住めるころ〉

「むらびとが とがまとりもち きそひたつ

         あしたのはらに きりたちわたる」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

(休みます)

*《奈良市クリーンセンターに関する最新の情報》

奈良新聞報道記事(201428日付、第一面)によれば、

[奈良市クリーンセンター。

移転問題、こう着状態。 地元説明会開けず。

 奈良市が計画しているクリーンセンターの市東部地域への移転問題が事実上、こう着状態に陥っている。7日の市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)では、地元説明会の開催めども立たない状態が明らかになった。今後、仲川元庸市長が、どう打開策を打ち出すのか、手腕が問われそうだ。]

[計画策定委も停滞。

同問題では、仲川市長が、地元住民の参加を求めるとしていた移転建設計画策定委員会(委員長・渡辺信久大阪工業大学教授)についても、東部自治連合協議会は参加を拒否。市は「中ノ川町~東鳴川町」の民有地(約33㌶)へのクリーンセンター建設に伴い、道路整備案や地元還元施設など地域活性化策をはかるとしているが、交渉の糸口もつかめない状況が続いている。]

[ 7日の委員会では、同自治連合協議会が提出した最終候補地選定の白紙撤回を求める請願書について審議。

東久保耕也委員(自民党)は、施設移転に伴う道路の混雑や自然環境破壊に対して住民の不安がぬぐえていないと指摘。「昨年7月に再選された市長は選挙の政策集で東部への具体的な説明もないまま『東部を関西の軽井沢に』を掲げた。住民を無視、センター建設が決定したかのような先走った政策だ」と不満をあらわにした。

 また村田茂クリーンセンター建設準備課課長が「(市の施策を)地元自治連合協議会に説明する機会をと、お願いしているが開催に至っていない」などと現状説明したのに対し、

 山本憲宥委員(自民党)は「東部移転ありきで進められいる策定委の議論には加われないとの厳しい声が地元にはある。市には同問題を再度検証していただきたい」と注文をつけた。

 山本直子委員(共産党)も地元住民の理解を得られていない状況を問題視。「移転問題の請願は継続的に審議すべき」との意見を述べた。

 市の移転建設計画策定委員会は、昨年1月に「中ノ川町~東鳴川町」を最終候補地を推薦すると決定したものの、その後、仲川市長が「今後は市が移転に向けた交渉を始める」としたため同8月の第54回委員会後、審議は実質ストップしている。]

去年の秋から策定委員会が開かれず、市の動きもないのを不審に思っていたのですが、こういうことだったのですね。やはり奈良市は移転ありきではなく、どうすれば奈良市の将来にとって最善なのか、一から吟味しなおすことです。税金の無駄遣いを省くことを第一に考えるべきです。

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の心ある人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、元の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

ことしの奈良観光活性化のための奈良市の企画、「珠光大茶会」は結構なことだと思います。成功を祈ります。その協力寺院の中には、真言律宗の西大寺と元興寺が入っていますね。真言律宗の宗務長は浄瑠璃寺の佐伯快勝師ですよ。奈良市の企画に協力させておいて、その一方で寺の環境破壊ですか。そんなことが許されるのでしょうか。

だいたい歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか、もういちど出発点に戻ってよく考えてください。仲川市長さん、おねがいします。

ことしの奈良観光活性化のための奈良市の企画、「珠光大茶会」は結構なことだと思います。成功を祈ります。その協力寺院の中には、真言律宗の西大寺と元興寺が入っていますね。真言律宗の宗務長は浄瑠璃寺の佐伯快勝師ですよ。奈良市の企画に協力させておいて、その一方で寺の環境破壊ですか。そんなことが許されるのでしょうか。

だいたい歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか、もういちど出発点に戻ってよく考えてください。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

Img_1040

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年2月16日 (日)

般若寺 水仙花だより 2・16

《般若寺 水仙花だより》

〇水仙:≪満開・雪で倒れました≫ 寒咲水仙・一重咲、八重咲。2万本。

・さざんか(山茶花):≪満開≫

・ろうばい(蠟梅):≪みごろ≫

・わびすけ(侘助):≪みごろ≫

・梅 :≪つぼみ≫

*〔短歌〕

「あわただしく 吾児を入院 せしめけり 

わが貧しさの 安からなくに」

          古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「梅さくや 我にとりつく 無精神(ぶしょうがみ)」一茶

〔和歌〕

「花や雪 かすみやけぶり 時しらぬ

       ふじのたかねに さゆる春かぜ」

         前大納言忠良・風雅37

「ここでは、花と見るのは雪、霞と見るのは煙なのだろうか。季節に関係なくいつも冬である富士の高嶺に、冷たく吹く春風よ。」

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より》

〈長崎のさる寺にて〉

「おくりいでて かたるほふしの ゆびさきに 

         みづとほじろき わうばくのもん」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

(休みます)

*《奈良市クリーンセンターに関する最新の情報》

奈良新聞報道記事(201428日付、第一面)によれば、

[奈良市クリーンセンター。

移転問題、こう着状態。 地元説明会開けず。

 奈良市が計画しているクリーンセンターの市東部地域への移転問題が事実上、こう着状態に陥っている。7日の市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)では、地元説明会の開催めども立たない状態が明らかになった。今後、仲川元庸市長が、どう打開策を打ち出すのか、手腕が問われそうだ。]

[計画策定委も停滞。

同問題では、仲川市長が、地元住民の参加を求めるとしていた移転建設計画策定委員会(委員長・渡辺信久大阪工業大学教授)についても、東部自治連合協議会は参加を拒否。市は「中ノ川町~東鳴川町」の民有地(約33㌶)へのクリーンセンター建設に伴い、道路整備案や地元還元施設など地域活性化策をはかるとしているが、交渉の糸口もつかめない状況が続いている。]

[ 7日の委員会では、同自治連合協議会が提出した最終候補地選定の白紙撤回を求める請願書について審議。

東久保耕也委員(自民党)は、施設移転に伴う道路の混雑や自然環境破壊に対して住民の不安がぬぐえていないと指摘。「昨年7月に再選された市長は選挙の政策集で東部への具体的な説明もないまま『東部を関西の軽井沢に』を掲げた。住民を無視、センター建設が決定したかのような先走った政策だ」と不満をあらわにした。

 また村田茂クリーンセンター建設準備課課長が「(市の施策を)地元自治連合協議会に説明する機会をと、お願いしているが開催に至っていない」などと現状説明したのに対し、

 山本憲宥委員(自民党)は「東部移転ありきで進められいる策定委の議論には加われないとの厳しい声が地元にはある。市には同問題を再度検証していただきたい」と注文をつけた。

 山本直子委員(共産党)も地元住民の理解を得られていない状況を問題視。「移転問題の請願は継続的に審議すべき」との意見を述べた。

 市の移転建設計画策定委員会は、昨年1月に「中ノ川町~東鳴川町」を最終候補地を推薦すると決定したものの、その後、仲川市長が「今後は市が移転に向けた交渉を始める」としたため同8月の第54回委員会後、審議は実質ストップしている。]

去年の秋から策定委員会が開かれず、市の動きもないのを不審に思っていたのですが、こういうことだったのですね。やはり奈良市は移転ありきではなく、どうすれば奈良市の将来にとって最善なのか、一から吟味しなおすことです。税金の無駄遣いを省くことを第一に考えるべきです。

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の心ある人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、元の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

ことしの奈良観光活性化のための奈良市の企画、「珠光茶会」は結構なことだと思います。成功を祈ります。その協力寺院の中には、真言律宗の西大寺と元興寺が入っていますね。真言律宗の宗務長は浄瑠璃寺の佐伯快勝師ですよ。奈良市の企画に協力させておいて、その一方で寺の環境破壊ですか。そんなことが許されるのでしょうか。

だいたい歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか、もういちど出発点に戻ってよく考えてください。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

Img_1012

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年2月15日 (土)

般若寺 水仙花だより 2・15

《般若寺 水仙花だより》

〇水仙:≪満開≫ 寒咲水仙・一重咲、八重咲。2万本。

奈良では15センチの雪でした。20年ぶりだそうです。しかし今朝の雨でとけ出しています。これで遅れていた梅も咲き出すでしょう。

・さざんか(山茶花):≪満開≫

・ろうばい(蠟梅):≪みごろ≫

・わびすけ(侘助):≪みごろ≫

・梅 :≪つぼみ≫

*〔短歌〕

「夕風の つめたく触るる にはとこの 

       新芽のそよぎ まさにさやけし」

         木下利玄・紅玉

〔俳句〕

「春鳥や 軒去らぬ事 小一日」小林一茶

〔和歌〕

「をしなべて 春雨ふりぬ 我が宿の

       わか木の梅は はやもさかなん」

       後一条入道関白左大臣(一条実経)・玉葉59

「世間一帯に春雨が降っている。私の家の若木の梅よ、さあ早く咲いておくれ。」

・をしなべて=あまねく。一様に。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より》

〈観世音寺の鐘楼にて〉

「つきはてて くだるしゆろうの いしだんに

         かれてなびかふ はたのあらくさ」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

(講演準備の為、23日まで休みます)

*《奈良市クリーンセンターに関する最新の情報》

奈良新聞報道記事(201428日付、第一面)によれば、

[奈良市クリーンセンター。

移転問題、こう着状態。 地元説明会開けず。

 奈良市が計画しているクリーンセンターの市東部地域への移転問題が事実上、こう着状態に陥っている。7日の市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)では、地元説明会の開催めども立たない状態が明らかになった。今後、仲川元庸市長が、どう打開策を打ち出すのか、手腕が問われそうだ。]

[計画策定委も停滞。

同問題では、仲川市長が、地元住民の参加を求めるとしていた移転建設計画策定委員会(委員長・渡辺信久大阪工業大学教授)についても、東部自治連合協議会は参加を拒否。市は「中ノ川町~東鳴川町」の民有地(約33㌶)へのクリーンセンター建設に伴い、道路整備案や地元還元施設など地域活性化策をはかるとしているが、交渉の糸口もつかめない状況が続いている。]

[ 7日の委員会では、同自治連合協議会が提出した最終候補地選定の白紙撤回を求める請願書について審議。

東久保耕也委員(自民党)は、施設移転に伴う道路の混雑や自然環境破壊に対して住民の不安がぬぐえていないと指摘。「昨年7月に再選された市長は選挙の政策集で東部への具体的な説明もないまま『東部を関西の軽井沢に』を掲げた。住民を無視、センター建設が決定したかのような先走った政策だ」と不満をあらわにした。

 また村田茂クリーンセンター建設準備課課長が「(市の施策を)地元自治連合協議会に説明する機会をと、お願いしているが開催に至っていない」などと現状説明したのに対し、

 山本憲宥委員(自民党)は「東部移転ありきで進められいる策定委の議論には加われないとの厳しい声が地元にはある。市には同問題を再度検証していただきたい」と注文をつけた。

 山本直子委員(共産党)も地元住民の理解を得られていない状況を問題視。「移転問題の請願は継続的に審議すべき」との意見を述べた。

 市の移転建設計画策定委員会は、昨年1月に「中ノ川町~東鳴川町」を最終候補地を推薦すると決定したものの、その後、仲川市長が「今後は市が移転に向けた交渉を始める」としたため同8月の第54回委員会後、審議は実質ストップしている。]

去年の秋から策定委員会が開かれず、市の動きもないのを不審に思っていたのですが、こういうことだったのですね。やはり奈良市は移転ありきではなく、どうすれば奈良市の将来にとって最善なのか、一から吟味しなおすことです。税金の無駄遣いを省くことを第一に考えるべきです。

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の心ある人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、元の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

ことしの奈良観光活性化のための奈良市の企画、「珠光茶会」は結構な催しだと思います。成功を祈ります。その協力寺院の中には、真言律宗の西大寺と元興寺が入っていますね。真言律宗の宗務長は浄瑠璃寺の佐伯快勝師ですよ。奈良市の企画に協力させておいて、その一方で寺の環境破壊ですか。そんなことが許されるのでしょうか。

だいたい歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか、もういちど出発点に戻ってよく考えてください。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

Img_0958

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年2月14日 (金)

般若寺 水仙花だより 2・14

《般若寺 水仙花だより》

〇水仙:≪満開≫ 寒咲水仙・一重咲、八重咲。2万本。

夕べからの雪が朝も降り続いていて一面まっ白です。この分だと20センチは積りそうです。お花はみんな雪ノ下。

・さざんか(山茶花):≪満開≫

・ろうばい(蠟梅):≪みごろ≫

・わびすけ(侘助):≪みごろ≫

・梅 :≪つぼみ≫

*〔短歌〕

「煙突の 口ゆもり上がる 黒けむり

       日輪の前を よこぎれるかも」

         木下利玄・紅玉

〔俳句〕

「春立つや 菰もかぶらず 五十年」小林一茶

〔和歌〕

「春かぜに したゆくなみの 数みえて

        のこるともなき うす氷かな」

          従二位家隆・風雅35

「春風に立つ波が、氷の下を動いて行くその数さえも数えられるほどに見えて、川面に残るといってもごくかすかな薄氷よ。」

・したゆくなみ=氷の下を流れ動く波。それが見えることで氷の薄さを表現する。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より》

〈観世音寺の鐘楼にて〉

「ひとりきて わがつくかねを ぬばたまの

         よみのはてなる ひとさへもきけ」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》42

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「暦仁元年戊戌(つちのえいぬ) 改元十一月十四日

菩薩、三十八歳。春二月、徒僧の為に、南山の教誡律儀、霊芝の六物図、青丘の戒本宗要等を講ず。秋七月、正法寺に於いて、梵網古迹記(ぼんもうこしゃくき)の講筵を開く。木叉(ぼくしゃ)を挙揚し、辭河(じか)下り辯を傾け海横(おう)に注ぐ。一時の聴く者、倶に驩心(かんしん)を得たり。講演既に訖(おわ)って道俗幾許(いくばく)人、従って菩薩戒を受く。九月、八角五重の石塔婆を西大寺に建立して、以て佛舎利を安んず。十月八日、叡性、髪を薙(そ)り戒を禀(う)け、誠を傾け奉事す。廿八日、西大寺に結界して、弘律の場と為し、覚盛律師を請いて羯磨(こんま)を秉(へい)せしめ、菩薩は唱相(しょうそう)す。[記録は別に有り]。翌日、始めて四分衆法(しぶんしゅうほう)の布薩(ふさつ)を行ず。[説戒は覚盛、維那(いな)は厳貞。行事は教玄、信忍等の四人也]。」

・南山=唐の道宣。四分律宗(南山律宗)の祖。

・霊芝=宋の元照。杭州の霊芝寺に住した。

・青丘=新羅の太賢。

・梵網古迹記=太賢作『梵網経』の注釈書。

・木叉=波羅提木叉(はらだいもくしゃ)。別解脱律儀と訳す。戒本とも。戒条を列記したもの。

・辭河=言葉の河。

・辯=議論。

・海横=海に満ち溢れる。

・驩心=よろこぶ心。

・羯磨=南都ではコンマ、天台ではカツマ。受戒、懺悔、結界などの際、言葉などによる作法を意味する。白四羯磨(一白三羯磨、僧衆に一度告知して三度可否を問う)の作法を為すものを羯磨師という。具足戒を受ける時用いられる。

・秉=とる、もつ。

・唱相=戒和上ヵ。具足戒受戒には戒和上、教授師、羯磨師の三師と七人の証明師を要す。

・四分衆法=四分律の戒法。

・布薩=梵でウポーシャダ。浄住、近住と訳す。半月ごとに自己の行為を反省し、罪があれば告白懺悔する行事。四分布薩と梵網布薩がある。

・説戒=説戒師。戒本を説く。

・維那=都維那(ついな)。知事。綱維。行事を総括し先導する役。

・行事=布薩の進行をつかさどり、受者を浄める所作をする役。小者。

(つづく)

*《奈良市クリーンセンターに関する最新の情報》

奈良新聞報道記事(201428日付、第一面)によれば、

[奈良市クリーンセンター。

移転問題、こう着状態。 地元説明会開けず。

 奈良市が計画しているクリーンセンターの市東部地域への移転問題が事実上、こう着状態に陥っている。7日の市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)では、地元説明会の開催めども立たない状態が明らかになった。今後、仲川元庸市長が、どう打開策を打ち出すのか、手腕が問われそうだ。]

[計画策定委も停滞。

同問題では、仲川市長が、地元住民の参加を求めるとしていた移転建設計画策定委員会(委員長・渡辺信久大阪工業大学教授)についても、東部自治連合協議会は参加を拒否。市は「中ノ川町~東鳴川町」の民有地(約33㌶)へのクリーンセンター建設に伴い、道路整備案や地元還元施設など地域活性化策をはかるとしているが、交渉の糸口もつかめない状況が続いている。]

[ 7日の委員会では、同自治連合協議会が提出した最終候補地選定の白紙撤回を求める請願書について審議。

東久保耕也委員(自民党)は、施設移転に伴う道路の混雑や自然環境破壊に対して住民の不安がぬぐえていないと指摘。「昨年7月に再選された市長は選挙の政策集で東部への具体的な説明もないまま『東部を関西の軽井沢に』を掲げた。住民を無視、センター建設が決定したかのような先走った政策だ」と不満をあらわにした。

 また村田茂クリーンセンター建設準備課課長が「(市の施策を)地元自治連合協議会に説明する機会をと、お願いしているが開催に至っていない」などと現状説明したのに対し、

 山本憲宥委員(自民党)は「東部移転ありきで進められいる策定委の議論には加われないとの厳しい声が地元にはある。市には同問題を再度検証していただきたい」と注文をつけた。

 山本直子委員(共産党)も地元住民の理解を得られていない状況を問題視。「移転問題の請願は継続的に審議すべき」との意見を述べた。

 市の移転建設計画策定委員会は、昨年1月に「中ノ川町~東鳴川町」を最終候補地を推薦すると決定したものの、その後、仲川市長が「今後は市が移転に向けた交渉を始める」としたため同8月の第54回委員会後、審議は実質ストップしている。]

去年の秋から策定委員会が開かれず、市の動きもないのを不審に思っていたのですが、こういうことだったのですね。やはり奈良市は移転ありきではなく、どうすれば奈良市の将来にとって最善なのか、一から吟味しなおすことです。税金の無駄遣いを省くことを第一に考えるべきです。

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の心ある人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、元の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

ことしの奈良観光活性化のための奈良市の企画、「珠光茶会」は結構なことだと思います。成功を祈ります。その協力寺院の中には、真言律宗の西大寺と元興寺が入っていますね。真言律宗の宗務長は浄瑠璃寺の佐伯快勝師ですよ。奈良市の企画に協力させておいて、その一方で寺の環境破壊ですか。そんなことが許されるのでしょうか。

だいたい歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか、もういちど出発点に戻ってよく考えてください。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

Img_0840

Img_0854

Img_0838

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年2月13日 (木)

般若寺 水仙花だより 2・13

 

《般若寺 水仙花だより》

〇水仙:≪満開≫ 寒咲水仙・一重咲、八重咲。2万本。

・さざんか(山茶花):≪満開≫

・ろうばい(蠟梅):≪みごろ≫

・わびすけ(侘助):≪みごろ≫

・梅 :≪つぼみ≫

*〔短歌〕

「海峡の 落潮(おちしほ)疾(はや)し 市はてて

       寒くむなしき 市場より見ゆ」

         木下利玄・紅玉

〔俳句〕

「春雨に 大欠(おほあくび)する 美人かな」小林一茶

〔和歌〕

「うちなびき 春たちぬらし わが門の

         柳のうれに 鶯なきつ」

           柿本人麿・玉葉35

「春になったらしいなあ。我が家の門口の柳の枝で、鶯が鳴いたよ。」

・うちなびき=「春」の枕詞。春、草木が萌え出てなびく所からいう。

・うれ=草木の生長する先端。枝先。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈観世音寺の鐘楼にて〉

「いたづきの たぢからこめて つくかねの

         ひびきのすゑに さぎりはまよふ」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》41

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「(嘉禎)三年丁酉(ひのととり)

菩薩、三十七歳。春正月、天川に詣参し、弁天宮に於いて

諷経誦呪(ふうきんじゅじゅ)し、既に終て帰る時、

童子有り菩薩を招いて曰く、師、何ぞ式文を作らざるや。

菩薩問うて曰く、你(なんじ)は是れ何人ぞ、

童子応(こた)へて曰く、我は是れ天女の眷属なり

と言ひ已みて見えず。菩薩即ち還りて式文を製(つく)り

為し、以て神殿に納む。其の式今に天川に伝ふ。

是を立還式と謂ふ。又見玉帰式と曰ふ。云ふに継(つい)て

釈迦嶽に登り、山上に水無くして来往に皆、

遠く谷泉を汲むに労す。菩薩地を鑿(うが)ち加持するに、

清泉洴出(ほうしゅつ)して凛冽(りんれつ)たり。

之を言うべからざるや。今の世に之を伝えて、

興正水と謂うと云ふ。菩薩慈力の感ずる所也。

二月、玄忍、教玄、願西、厳貞、賢真の五人を度し、

慈息戒(じそくかい)を授く。継いで具戒(具足戒)に進め、

世尊(釈尊)初めて五比丘を度するに相似たり。

三月、修蓮允公、塵寰(じんかん)を跳出し、

剃髪して僧と為り、沙弥戒を受く。

四月、海龍王寺に結夏す。重ねて、行事鈔釈相篇を講論して、

持犯を精究す。

七月、西大寺に於いて表無表章を講ず。

諸方の龍象騰踏(とうとう)として赴き来たって、

講席に雲集す。」

・諷経誦呪=経をとなえ陀羅尼を誦すること。

・立還式、見玉帰式=弁才天講式のことか。

・洴出=洴は迸ヵ。ほとばしり出ずる。

・凛冽=寒気のきびしいさま。冷涼。

・慈息戒=沙弥の戒、息慈とも。沙弥の十戒。

・塵寰=けがれた世界。俗世間。

・騰踏=雲などが飛んで進んで行くさま。

(つづく)

*《奈良市クリーンセンターに関する最新の情報》

奈良新聞報道記事(201428日付、第一面)によれば、

[奈良市クリーンセンター。

移転問題、こう着状態。 地元説明会開けず。

 奈良市が計画しているクリーンセンターの市東部地域への移転問題が事実上、こう着状態に陥っている。7日の市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)では、地元説明会の開催めども立たない状態が明らかになった。今後、仲川元庸市長が、どう打開策を打ち出すのか、手腕が問われそうだ。]

[計画策定委も停滞。

同問題では、仲川市長が、地元住民の参加を求めるとしていた移転建設計画策定委員会(委員長・渡辺信久大阪工業大学教授)についても、東部自治連合協議会は参加を拒否。市は「中ノ川町~東鳴川町」の民有地(約33㌶)へのクリーンセンター建設に伴い、道路整備案や地元還元施設など地域活性化策をはかるとしているが、交渉の糸口もつかめない状況が続いている。]

[ 7日の委員会では、同自治連合協議会が提出した最終候補地選定の白紙撤回を求める請願書について審議。

東久保耕也委員(自民党)は、施設移転に伴う道路の混雑や自然環境破壊に対して住民の不安がぬぐえていないと指摘。「昨年7月に再選された市長は選挙の政策集で東部への具体的な説明もないまま『東部を関西の軽井沢に』を掲げた。住民を無視、センター建設が決定したかのような先走った政策だ」と不満をあらわにした。

 また村田茂クリーンセンター建設準備課課長が「(市の施策を)地元自治連合協議会に説明する機会をと、お願いしているが開催に至っていない」などと現状説明したのに対し、

 山本憲宥委員(自民党)は「東部移転ありきで進められいる策定委の議論には加われないとの厳しい声が地元にはある。市には同問題を再度検証していただきたい」と注文をつけた。

 山本直子委員(共産党)も地元住民の理解を得られていない状況を問題視。「移転問題の請願は継続的に審議すべき」との意見を述べた。

 市の移転建設計画策定委員会は、昨年1月に「中ノ川町~東鳴川町」を最終候補地を推薦すると決定したものの、その後、仲川市長が「今後は市が移転に向けた交渉を始める」としたため同8月の第54回委員会後、審議は実質ストップしている。]

去年の秋から策定委員会が開かれず、市の動きもないのを不審に思っていたのですが、こういうことだったのですね。やはり奈良市は移転ありきではなく、どうすれば奈良市の将来にとって最善なのか、一から吟味しなおすことです。税金の無駄遣いを省くことを第一に考えるべきです。

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の心ある人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

ことしの奈良観光活性化のための奈良市の企画、「珠光大茶会」は結構なことだと思います。成功を祈ります。その協力寺院の中には、真言律宗の西大寺と元興寺が入っていますね。真言律宗の宗務長は浄瑠璃寺の佐伯快勝師ですよ。奈良市の企画に協力させておいて、その一方で寺の環境破壊ですか。そんなことが許されるのでしょうか。

だいたい歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか、もういちど出発点に戻ってよく考えてください。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

Img_0810

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年2月12日 (水)

般若寺 水仙花だより 2・12

《般若寺 水仙花だより》

〇水仙:≪満開≫ 寒咲水仙・一重咲、八重咲。2万本。

・さざんか(山茶花):≪満開≫

・ろうばい(蠟梅):≪みごろ≫

・わびすけ(侘助):≪みごろ≫

・梅 :≪つぼみ≫

*〔短歌〕

「夕さりの 光ねむごろに あかるきに

        にはとこの芽の よくよくあをし」

          木下利玄・紅玉

〔俳句〕

「春の日や 暮ても見ゆる 東山」小林一茶

〔和歌〕

「みよしのの 吉野の山の 春霞

         たつをみるみる 猶雪ぞふる」

           紀貫之・風雅32

「(吉野では)吉野山の春霞がもう立っているのを見ていながら、まだやはり雪が降ることだ。」

・みよしのの=吉野の美称。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈観世音寺の鐘楼にて〉

「このかねの なりのひびきを あさゆふに

         ききてなげきし いにしへのひと」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》40

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「嘉禎二年丙申(ひのえさる)

菩薩、三十六歳。受具(じゅぐ)の志願、日を逐って堅猛

(けんもう)にして、秋八月、遂に東大舍那殿(東大寺大仏殿)

に於いて、懺摩(さんま)の法を修し、得戒の相を祈る。

同二十八日巳の刻、霊瑞(れいずい)の応(おう)有り。

〔天華墜(てんけつい)等の好相(こうぞう)の記、

別に之れ有り〕。九月朔日、羂索院(法華堂、三月堂)

に於いて、自ら誓って形同(けいどう)沙弥戒を受け、

二日、法同(ほうどう)沙弥戒を受け、四日、午前上分、

満分戒(まんぶんかい)を納むる時、不空院尊性房圓晴

(えんせい)、西方院慈禅房有厳(ゆうげん、うごん)、

招提寺学律房覚盛(かくじょう)の三大徳、

自誓して同じく受く。是れ則ち本朝菩薩通受自誓受具

(ぼさつつうじゅじせいじゅぐ)の元始なり。

後、常喜院に於いて、四分律行事鈔

(しぶんりつぎょうじしょう)を講論し、

開遮持犯(かいしゃじぼん)を一々精究して余蘊無し。

次に、嵩嶽(すうがく)の四分戒本の疏を東大寺に講ず。

四律五論三大五部、次第に之を熟爛(じゅくらん)し、

大いに紵麻(ちょま)の圓律宗を簸起(はき)す。

冬十二月、戒慧貞公(戒慧房厳貞)、海龍王(海龍王寺)

を以て延べて之に居らしむ。菩薩、欣然として往日

(おうじつ)に絳(糸+夆)紗(こうしゃ)を闢(ひら)き、

宗の教を講演す。学ぶ者悦び隨ふこと、

群流の大川に趣くが如し。」

・受具=具足戒を受けること。

・堅猛=つよくたけくなる。

・懺摩=梵語クシャマの音訳。忍の意。懺悔(さんげ)のこと。

・霊瑞=不思議なめでたいしるし。

・応=感応。冥応。

・天華墜=天から瑞祥の花が降ること。

・好相=禅定の中で仏の姿を観想すること。

・形同沙弥=剃髪はしたがまだ十戒を受けていない沙弥(比丘戒を受ける前の二十歳未満の僧)。優婆塞の八斎戒を受ける。

・法同=剃髪をして十戒を受けた沙弥。

・満分戒=比丘の具足戒。

・菩薩通受自誓受具=菩薩僧が自ら仏に誓って、三聚浄戒(摂律儀戒、摂善法戒、摂衆生戒)を一度に通じて受け、具足戒の受戒が成立して菩薩比丘と成ることが出来た。『占察経』による。

・四分律行事鈔=唐の道宣編、『四分律』の要義書。

・開遮持犯=開は為すをゆるすこと、遮は為すを禁じること。持戒と犯戒。

・四律五論=十誦律、四分律、五分律、摩訶僧祇律の四種の律。毘尼母論など律の注釈書五部。

・熟爛=きわめる。熟知習得。

・紵麻=からむし。麻の衣。

・園律宗=道宣の南山律宗。

・簸起=波があおるように起ること。

(つづく)

*《奈良市クリーンセンターに関する最新の情報》

奈良新聞報道記事(201428日付、第一面)によれば、

[奈良市クリーンセンター。

移転問題、こう着状態。 地元説明会開けず。

 奈良市が計画しているクリーンセンターの市東部地域への移転問題が事実上、こう着状態に陥っている。7日の市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)では、地元説明会の開催めども立たない状態が明らかになった。今後、仲川元庸市長が、どう打開策を打ち出すのか、手腕が問われそうだ。]

[計画策定委も停滞。

同問題では、仲川市長が、地元住民の参加を求めるとしていた移転建設計画策定委員会(委員長・渡辺信久大阪工業大学教授)についても、東部自治連合協議会は参加を拒否。市は「中ノ川町~東鳴川町」の民有地(約33㌶)へのクリーンセンター建設に伴い、道路整備案や地元還元施設など地域活性化策をはかるとしているが、交渉の糸口もつかめない状況が続いている。]

[ 7日の委員会では、同自治連合協議会が提出した最終候補地選定の白紙撤回を求める請願書について審議。

東久保耕也委員(自民党)は、施設移転に伴う道路の混雑や自然環境破壊に対して住民の不安がぬぐえていないと指摘。「昨年7月に再選された市長は選挙の政策集で東部への具体的な説明もないまま『東部を関西の軽井沢に』を掲げた。住民を無視、センター建設が決定したかのような先走った政策だ」と不満をあらわにした。

 また村田茂クリーンセンター建設準備課課長が「(市の施策を)地元自治連合協議会に説明する機会をと、お願いしているが開催に至っていない」などと現状説明したのに対し、

 山本憲宥委員(自民党)は「東部移転ありきで進められいる策定委の議論には加われないとの厳しい声が地元にはある。市には同問題を再度検証していただきたい」と注文をつけた。

 山本直子委員(共産党)も地元住民の理解を得られていない状況を問題視。「移転問題の請願は継続的に審議すべき」との意見を述べた。

 市の移転建設計画策定委員会は、昨年1月に「中ノ川町~東鳴川町」を最終候補地を推薦すると決定したものの、その後、仲川市長が「今後は市が移転に向けた交渉を始める」としたため同8月の第54回委員会後、審議は実質ストップしている。]

去年の秋から策定委員会が開かれず、市の動きもないのを不審に思っていたのですが、こういうことだったのですね。やはり奈良市は移転ありきではなく、どうすれば奈良市の将来にとって最善なのか、一から吟味しなおすことです。税金の無駄遣いを省くことを第一に考えるべきです。

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の心ある人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、元の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

ことしの奈良観光活性化のための奈良市の企画、「珠光大茶会」は結構なことだと思います。成功を祈ります。その協力寺院の中には、真言律宗の西大寺と元興寺が入っていますね。真言律宗の宗務長は浄瑠璃寺の佐伯快勝師ですよ。奈良市の企画に協力させておいて、その一方で寺の環境破壊ですか。そんなことが許されるのでしょうか。

だいたい歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか、もういちど出発点に戻ってよく考えてください。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

Img_7573

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年2月11日 (火)

般若寺 水仙花だより 2・11

《般若寺 水仙花だより》

〇水仙:≪満開≫ 寒咲水仙・一重咲、八重咲。2万本。

・さざんか(山茶花):≪満開≫

・ろうばい(蠟梅):≪みごろ≫

・わびすけ(侘助):≪みごろ≫

・梅 :≪つぼみ≫

*〔短歌〕

「日の光 土にいぶせく にごりたり

       煤煙空に ひろごりにつつ」

         木下利玄・紅玉

〔俳句〕

「雪とけて 村一ぱいの 子ども哉」小林一茶

〔和歌〕

「さえかへり 山風あるる ときは木に

         ふりもたまらぬ 春の淡雪」

           前大納言為家・玉葉29

「春というのに再び冷えこんで、山嵐が烈しく吹きつける常緑樹の梢に、ふりかかりはするが積りもせずに散る、春の淡雪よ。」

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より》

〈大宰府のあとにて〉

「いにしへの とほのみかどの いしずゑを

         くさにかぞふる うつらうつらに」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》39

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「嘉禎元年乙未(きのとひつじ) 改元九月十九日

菩薩、三十五歳。正月十六日、尊圓上人、請じて西大寺に居らしむ。

一夕夢みらく、天女一物を持ち来って之を授く。

菩薩問う、是れ何物ぞ。天女の曰く、如意珠なりと。

覚めて後、喜びて曰く、我れ向後(こうご)戒珠を

拈出(ねんしゅつ)して人天を照燭(しょうしょく)せんと。

出でて東大(東大寺)に遊び、知足(知足院)の如尊、

性晴の二大老に依り、南山(南山律宗)の宗教を聴く。

已にして、復た嘆じて曰く、大比丘の戒は衆縁会聚

(かいしゅう)して作業、方(まさ)に成(じょう)ず。

師承(ししょう)無きを奈何(いかん)せんと。

覚盛律師と表無表章(ひょうむひょうしょう)を討論に及び、

瑜伽等の説に依り、自ら誓って戒を受け、則ち七衆各おの

其の体を得、而も其の性を成ずることを知る

。茲に於いてや、金翅(きんし)は毛(はね)の如く、

麒麟は角を方(ならべ)てぞ、戒律再興の願、此に旧発す。」

・戒珠=珠玉のような佛戒。

・拈出=苦労してひねり出す。考え出す。

・照燭=仏戒の灯火で照らし出す。

・衆縁会聚=多くの縁が集まること。

・師承=師から受け伝えること。師伝。

・表無表章=唐の窺基撰『大乗法苑義林章』七巻の巻第三、その中で別受による比丘戒を除いた自誓受戒を認めている。

・覚盛=唐招提寺中興第一世長老。

・金翅=金の翼をもった鳥。

・旧発=意味不明。旧は誤字かも。

(つづく)

*《奈良市クリーンセンターに関する最新の情報》

奈良新聞報道記事(201428日付、第一面)によれば、

「奈良市クリーンセンター。

移転問題、こう着状態。 地元説明会開けず。

 奈良市が計画しているクリーンセンターの市東部地域への移転問題が事実上、こう着状態に陥っている。7日の市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)では、地元説明会の開催めども立たない状態が明らかになった。今後、仲川元庸市長が、どう打開策を打ち出すのか、手腕が問われそうだ。」

計画策定委も停滞。

同問題では、仲川市長が、地元住民の参加を求めるとしていた移転建設計画策定委員会(委員長・渡辺信久大阪工業大学教授)についても、東部自治連合協議会は参加を拒否。市は「中ノ川町~東鳴川町」の民有地(約33㌶)へのクリーンセンター建設に伴い、道路整備案や地元還元施設など地域活性化策をはかるとしているが、交渉の糸口もつかめない状況が続いている。」

(つづきは明日に載せます)