般若寺 水仙花だより 2・28
《般若寺 水仙花だより》
〇水仙:≪満開すぎました≫ 寒咲水仙・一重咲、八重咲。2万本。
・さざんか(山茶花):≪満開≫
・梅 :≪みごろ≫
・福寿草:≪みごろ≫
○春から初夏に咲くコスモス:4月下旬~6月下旬 13種類
ビニールハウスの苗床で育てています。1月末から種まきを始め、ようやく芽が出て本葉が見えてきました。
*〔短歌〕
「夜に入りて 風の音ひたと やみにけり
大川端に 宿直する夜を」
古泉千樫・青牛集
〔俳句〕
「梅咲て 身のおろかさの 同(おなじ)也」一茶
〔和歌〕
「みちのべや 竹吹くかぜの さむけきに
春をまぜたる 梅がかぞする」
伏見院御製・風雅63
「この道のほとりでは、竹を吹く風は肌寒いのに、しかしそこに「春」を交えるような、梅の薫りがするよ。」
・みちのべ=道のほとり。道ばた。
・春をまぜたる=寒風の中の梅の香に春を感じる気持。
*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》
〈奈良坂にて〉
「ならさかの いしのほとけの おとがひに
こさめながるる はるはきにけり」
〈東京にかへるとて〉
「あをによし ならやまこへて さかるとも
ゆめにしみえこ わかくさのやま」
〈東京にかへりて後に〉
「ならやまを さかりしひより あさにけに
みてらみほとけ おもかげにたつ」
「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。
*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》47.
西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻上
(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)
菩薩四十二歳②
「一日一(ひと)りの老翁有り、西大寺に来たり、菩薩戒を求受し竟(おわ)て、即ち薬方を授けて曰く、此の方、甚だ神妙にして能く沈痾(ちんあ)を治す。向後、これを用いて宜(よろし)く自他の病苦を救うべし。菩薩問いて曰く、翁は是れ何れの人ぞ。老翁答えて曰く、我は是れ、少彦名命石落神(すくなひこなのみこと、しゃくらくじん)なりと。言ひ訖(おわ)って忽爾(こつじ)として見えず。菩薩、奇異の思いを為し、之を調合して以て病者に与ふるに、平癒せずと云ふことなし。遂に施薬院を構えて広く病僧及び医療に便り無き者に施し、服用せしむ。又、東門の辺に地を択び、社を建てて以て彼の神を祭る。盖(けだ)し、此の神は天上高皇産霊尊(たかみむすびみこと)、一千五百の神子あり、其の中に於いて、此の神尤も最小也。父の尊(みこと)怪しみ掌(たなごころ)の上に居(すえ)て、之を寵愛したまふ。其の指の間より此界に洩れ落ち、石上に在り。故に石落神(しゃくらくじん)と名づく。三輪の別宮に鎮座して、薬草を齅分(かぎわ)け、蒼生(そうせい)の病を治さる。今に豊心丹(ほうしんたん)の妙方を伝う。誠にゆえ有るかな。今時に臻(いた)るも、年始に西大寺に於いて呪薬の法会を啓建して、秘法を勤修す。以て之を加持すること断絶せず。十二月、勇猛心を発して、広く大の願を立つ。」
・沈痾=久しくなおらない重い病気。
・少彦名命=身体は小さいが、敏捷で、オオクニヌシノミコトとともに国土を経営し、医薬・禁厭の法を伝えた。
・忽爾=にわかなさま。忽然。
・高皇産霊尊=天地開闢のとき、高天原に出現した神。アメノミナカヌシノカミ、カミムスビノミコトとともに造化三神として知られる。
・蒼生=(民を青く茂る草にたとえていう)あおひとくさ。人民。
・豊心丹=西大寺で昭和二十年まで製造販売していた漢方売薬。寺の大きな収入源となっていた。製薬道具一式は奈良県立民俗博物館に寄贈されている。
(つづく)
*《奈良市クリーンセンターに関する最新の情報》
奈良新聞報道記事(2014年2月8日付、第一面)によれば、
[奈良市クリーンセンター。
移転問題、こう着状態。 地元説明会開けず。
奈良市が計画しているクリーンセンターの市東部地域への移転問題が事実上、こう着状態に陥っている。7日の市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)では、地元説明会の開催めども立たない状態が明らかになった。今後、仲川元庸市長が、どう打開策を打ち出すのか、手腕が問われそうだ。]
[計画策定委も停滞。
同問題では、仲川市長が、地元住民の参加を求めるとしていた移転建設計画策定委員会(委員長・渡辺信久大阪工業大学教授)についても、東部自治連合協議会は参加を拒否。市は「中ノ川町~東鳴川町」の民有地(約33㌶)へのクリーンセンター建設に伴い、道路整備案や地元還元施設など地域活性化策をはかるとしているが、交渉の糸口もつかめない状況が続いている。]
[ 7日の委員会では、同自治連合協議会が提出した最終候補地選定の白紙撤回を求める請願書について審議。
東久保耕也委員(自民党)は、施設移転に伴う道路の混雑や自然環境破壊に対して住民の不安がぬぐえていないと指摘。「昨年7月に再選された市長は選挙の政策集で東部への具体的な説明もないまま『東部を関西の軽井沢に』を掲げた。住民を無視、センター建設が決定したかのような先走った政策だ」と不満をあらわにした。
また村田茂クリーンセンター建設準備課課長が「(市の施策を)地元自治連合協議会に説明する機会をと、お願いしているが開催に至っていない」などと現状説明したのに対し、
山本憲宥委員(自民党)は「東部移転ありきで進められいる策定委の議論には加われないとの厳しい声が地元にはある。市には同問題を再度検証していただきたい」と注文をつけた。
山本直子委員(共産党)も地元住民の理解を得られていない状況を問題視。「移転問題の請願は継続的に審議すべき」との意見を述べた。
市の移転建設計画策定委員会は、昨年1月に「中ノ川町~東鳴川町」を最終候補地を推薦すると決定したものの、その後、仲川市長が「今後は市が移転に向けた交渉を始める」としたため同8月の第54回委員会後、審議は実質ストップしている。]
去年の秋から策定委員会が開かれず、市の動きもないのを不審に思っていたのですが、こういうことだったのですね。やはり奈良市は移転ありきではなく、どうすれば奈良市の将来にとって最善なのか、一から吟味しなおすことです。税金の無駄遣いを省くことを第一に考えるべきです。
*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》
日本全国の心ある人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。
*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点
1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。
2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。
3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。
❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。
〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、元の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。
中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。
*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。
そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは
「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。
さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、
「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。
仲川げん」
という文章になっています。
立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。
ことしの奈良観光活性化のための奈良市の企画、「珠光茶会」は結構な催しだと思います。成功を祈ります。その協力寺院の中には、真言律宗の西大寺と元興寺が入っていますね。真言律宗の宗務長は浄瑠璃寺の佐伯快勝師ですよ。奈良市の企画に協力させておいて、その一方で寺の環境破壊ですか。そんなことが許されるのでしょうか。
だいたい歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか、もういちど出発点に戻ってよく考えてください。仲川市長さん、おねがいします。
*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体
「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」
*この問題を詳しく知りたい方は、
ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。
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