般若寺 春の花だより 3・31
《般若寺 春の花だより》
〇紅梅:≪満開すぎました≫
・桜:≪八分咲き≫
・桃:≪満開≫
・沈丁花:≪満開≫
・わびすけ・レンギョウ:≪満開≫
・椿・樒:≪満開≫
・白モクレン:≪満開≫
・山吹:≪咲きはじめ≫一重咲きは早くも咲き出しました。
・重衡桜:≪つぼみ≫ 山桜なので開花はおそいです。
○春咲コスモス:4月下旬~6月下旬 13種類。
*〔短歌〕
「潮風は はげしくあれや 湯の窓ゆ
揺すれて見ゆる 紅梅の花」
島木赤彦・氷魚
〔俳句〕
「旅笠を 小さく見せる 霞かな」一茶
〔和歌〕
「いましはや 花さきぬらし はつせ山
あさゐる雲の 峯にかほれる」
入道前太政大臣(西園寺実兼)・玉葉135
「今はもう早くも、花が咲いたらしい。初瀬山に朝かかっている雲が、峰の上でほんのり桜色に色づいているよ。」
・あさゐる雲=朝になっても動かずにかかっている雲。雲は本来、朝になれば峰を離れて上昇して行くものであるから、動かない雲は桜と知られる。
・かほれる=色が艶やかに見える。
*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》
〈高畑にて〉
「かうやくし わがをろがむと のきひくき
ひるのちまたを なづさひゆくも」
〈東京にかへるとて〉
「あをによし ならやまこへて さかるとも
ゆめにしみえこ わかくさのやま」
〈東京にかへりて後に〉
「ならやまを さかりしひより あさにけに
みてらみほとけ おもかげにたつ」
「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。
*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》78.
西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻中
(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)
「弘長年間、関東に於いて二句を加ふ。故に菩薩の跋詞に曰く、
【貴賤の檀那、誓願を諸徳に同じうし、上下の合力、功徳を九旬に等しくす。
弘長二年四月十六日、関東鎌倉新清凉寺に於いて、此の句を草し入れる。
今、通受結夏廿六歳に当る。 叡尊。檀那越後守平實時。 已上。】
十一月、衆の請を受け、事鈔を法華寺に講ず。舎利若干粒、几上に現ずることを感ず。青黄間錯(かんさく)して、其の光、目を奪う。時の人呼んで湧出舎利と為す。厥(そ)の后次第に分散して、以て二千余粒に及ぶ。文永庚午(かのえうま、七年)、菩薩自ら縁起を書き、以て後代に貽(のこ)す。」
・事鈔=道宣編の『四分律行事鈔』
・間錯=いりまじる。
(つづく)
*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》
日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。
*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点
1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。
2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。
3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。
❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。
〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。
中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。
*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。
そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは
「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。
さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、
「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。
仲川げん」
という文章になっています。
立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。
歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。
*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体
「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」
*この問題を詳しく知りたい方は、
ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。
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