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2014年3月

2014年3月31日 (月)

般若寺 春の花だより 3・31

《般若寺 春の花だより》

〇紅梅:≪満開すぎました≫

・桜:≪八分咲き≫

・桃:≪満開≫

・沈丁花:≪満開≫

・わびすけ・レンギョウ:≪満開≫

・椿・樒:≪満開≫

・白モクレン:≪満開≫

・山吹:≪咲きはじめ≫一重咲きは早くも咲き出しました。

・重衡桜:≪つぼみ≫ 山桜なので開花はおそいです。

春咲コスモス4月下旬~6月下旬 13種類。

*〔短歌〕

「潮風は はげしくあれや 湯の窓ゆ

       揺すれて見ゆる 紅梅の花」

         島木赤彦・氷魚

〔俳句〕

「旅笠を 小さく見せる 霞かな」一茶

〔和歌〕

「いましはや 花さきぬらし はつせ山

         あさゐる雲の 峯にかほれる」

        入道前太政大臣(西園寺実兼)・玉葉135

「今はもう早くも、花が咲いたらしい。初瀬山に朝かかっている雲が、峰の上でほんのり桜色に色づいているよ。」

・あさゐる雲=朝になっても動かずにかかっている雲。雲は本来、朝になれば峰を離れて上昇して行くものであるから、動かない雲は桜と知られる。

・かほれる=色が艶やかに見える。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈高畑にて〉

「かうやくし わがをろがむと のきひくき

         ひるのちまたを なづさひゆくも」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》78

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻中

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「弘長年間、関東に於いて二句を加ふ。故に菩薩の跋詞に曰く、

 

【貴賤の檀那、誓願を諸徳に同じうし、上下の合力、功徳を九旬に等しくす。

 弘長二年四月十六日、関東鎌倉新清凉寺に於いて、此の句を草し入れる。

今、通受結夏廿六歳に当る。 叡尊。檀那越後守平實時。 已上。】

 

十一月、衆の請を受け、事鈔を法華寺に講ず。舎利若干粒、几上に現ずることを感ず。青黄間錯(かんさく)して、其の光、目を奪う。時の人呼んで湧出舎利と為す。厥(そ)の后次第に分散して、以て二千余粒に及ぶ。文永庚午(かのえうま、七年)、菩薩自ら縁起を書き、以て後代に貽(のこ)す。」

・事鈔=道宣編の『四分律行事鈔』

・間錯=いりまじる。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

 

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2014年3月30日 (日)

般若寺 春の花だより 3・30

《般若寺 春の花だより》

〇紅梅:≪満開すぎました≫

・桜:≪三~五分咲き≫

・沈丁花:≪満開≫

・わびすけ・レンギョウ:≪満開≫

・椿:≪満開≫

・白モクレン:≪満開≫

・山吹:≪咲きはじめ≫一重咲きは早くも咲き出しました。

春咲コスモス4月下旬~6月下旬 13種類。1万本。

・重衡桜:≪つぼみ≫ 最近この桜のことをよく尋ねられます。当寺には重衡供養塔をおまつりしていますが、お能の『重衡』の元曲になる『笠卒塔婆』では墓標(笠卒塔婆)の近くに桜の木があり、重衡の亡霊がその木陰に消えて行きます。この物語から後世の人が「重衡桜」と呼びならわしたのでしょうか。 今当寺の境内には、五十年前に寺の裏山「文殊山」から移植した山桜が大きくなっています。笠塔婆の近くにあるのでこの名で呼ばれるようになりました。

*〔短歌〕

「椿さく この井の水の 若水を

       幾代の祖たち 汲みにけらずや」

         古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「武士(さむらひ)や 鶯に迄 つかはるる」一茶

〔和歌〕

「みるままに 軒ばの花は さきそひて

         春雨かすむ をちの夕ぐれ」

          永福門院右兵衛督・風雅145 

「見ているうちに、軒端の花は咲き加わって行って、春雨の中にはるかに遠景は霞んでいる、夕暮の風情よ。」

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈高畑にて〉

「たびびとの めにいたきまで みどりなる

         ついぢのひまの なばたけのいろ」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》77

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻中

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「或いは、自誓に得戒し、或いは、従他に得戒す。若し大心(だいしん)を発(おこ)す者は、悉く菩薩の数に列(つら)なる。是(ここ)を以て、現前の大徳僧等愛を離れ親を辞して、身を佛法に任せ、願を発し誓いを立てて、心を菩提に剋(きざ)む。機に隨いて法を受け、位に任せて相を持す。時に坐禅を修し、日に経論を誦す。已に顛(たお)れたる大標を立てて、已に絶えたる玄綱(げんこう)を継ぐ。末代の勝事、仏法の奇特なり。良(まこと)に喜ぶべき哉。是を以て、時に依りて結法を加へ、処に隨って安居を期す。唯願わくは、大徳衆僧、仏法の遇ひ難きことを知って、勤修して倦むこと無く、人命の無常なることを弁(わきまえ)て、精進して懈(おこた)ること勿れ。所生の功徳を以て、国家の泰平を祝し、四海の安穏を祈る。本師の恩徳に酬(むく)ひ、父母の生育に報ずべし。兼て諸徳同居の好(よしみ)を以て、生々の知識と為し、互に悪行を誡め、互に善業を励み、力を合わせ三宝を興さんとす。心を一つにして衆生を利せん。諸衆、此の如き志願を凝らし、各(おのおの)相対して作法すべし。

 建長三年四月十六日之を草す。今、通受結夏十五歳に当る。 叡尊已上表白。】」

・大心=衆生済度をめざす大菩提心。

・大標=大いなる柱、戒律儀。

・玄綱=奥深い綱、受戒

・結法=結夏。結制。。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

 

 

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2014年3月29日 (土)

般若寺 春の花だより 3・29

《般若寺 春の花だより》

〇豊後梅・紅梅:≪満開すぎました≫

・桜:≪咲きはじめ≫

・沈丁花:≪満開≫

・わびすけ・レンギョウ:≪満開≫

・椿:≪見ごろ≫

・白モクレン:≪満開≫

・山吹:≪つぼみ≫

春咲コスモス4月下旬~6月下旬 13種類。1万本。

 暖かいので毎日コスモス苗の植え付けが進んでいます。今で全体の三割ほどができました。コスモスも広い場所に出られて喜んでいるようです。あと一か月で花が咲かせられると思いわくわくしているようです。春にコスモスなんて意外も意外、奇想天外の出来事になりそうですからね。

*〔短歌〕

「紅つばき 花さくかげの 古井戸に

        吾れや今年は 若水を汲む」

          古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「みやこ哉 東西南北 辻が花」一茶

〔和歌〕

「花なれや かすみのまより 初瀬山

        はつかにみゆる 峯のしら雲」

          従二位家隆・玉葉134

「ああ、あれは花なのだなあ。初瀬山にかかる霞の間から、わずかに見える山の上の白い雲のようなのは。」

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈香薬師〉

「かどのへの たかまどやまを かれやまと

そうはなげかむ こゑのかぎりを」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》76

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻中

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「【敬って現前の大衆に白(もう)す。夫れ安居といっぱ、妙理に冥(めい)する之要門、妄縁を遮(さえぎ)る之秘術なり。教主普く三乗に被らしめ、五衆等しく佛制に隨ふ。月氏(げっし)震旦(しんだん)、伝えて改むること無し。日域(にちいき)中辺、聞きて年旧(ふ)りたり。然るに、時転(ときうた)た衰変し、法漸く凌夷(りょうい)せり。出家の五衆は、名のみ有って実無し。安居九旬は、時のみ有って修すること無し。髪を剃り衣を染めて、衣鉢を知らず。帰を誦して壇に登るとも、十具を受くること無し。受体已に闕(か)けて、隨行(ずいこう)亦亡せり。大小の律儀は闕けて学ぶこと無し。誰か不学無知の法界に遍きことを知らん。貴賤の檀施は、望みて厭うこと無し。誰か虚しく信施を受くれば、鉄丸洋銅なることを畏れん。甘露は毒と変じ、醍醐は病を発す。良(まこと)に悲しむべき哉。法の如く将に受けんとせば、師僧得難し。世に順じて黙止せんとす。来果畏れ有り。爰に一つの要法有り。謂はく、菩薩の通受なり。十三難を簡ばず。十六遮を問わず。若し七遮無くんば、皆戒法を受得すべしと。】

・冥=思いにふける。

・月氏=西域(中央アジア)に栄えた古代氏族。

・震旦=シンタンとも。中国の異称。

・陵夷=陵(おか)が夷(たいら)になる意から、物事が衰えること。

・帰を誦す=帰依三宝。

・十具=沙弥の十戒、比丘の具足戒。

・受体=受戒の戒体。

・隨行=行ないに従う。

・十三難=受戒できない難。淫・盗・殺・妄の四波羅夷罪を犯した者をはじめ十三を数える。

・十六遮=受戒できない遮。父母が許さない、借金がある、官吏であるなど十七を数える。

・七遮=受戒が許されない七逆罪。出仏身血、殺父・母、破和合僧、殺阿羅漢の五逆罪に、殺和上、殺阿闍梨の二つを加える。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

 

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2014年3月28日 (金)

般若寺 春の花だより 3・28

《般若寺 春の花だより》

〇豊後梅・紅梅:≪満開≫

・沈丁花:≪満開≫

・わびすけ・レンギョウ:≪満開≫

・椿:≪見ごろ≫

・白モクレン:≪見ごろ≫

・桜、山吹:≪つぼみ≫

春咲きコスモス4月下旬~6月下旬 13種類。1万本。

*〔短歌〕

「靄ながら 朝日にほへり ものみなは

        濡れて静かに 息するらしも」

          古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「花の月のと ちんぷんかんの うき世哉」一茶

〔和歌〕

「あさ霧に しののにぬれて よぶこ鳥

        みふねの山を 鳴きわたるみゆ」

          人麿・127

「朝霧にしっとりとぬれて、呼子鳥が三船の山のあたりを鳴きつつ飛び渡るのが見える。」

・しののに=しっとりと。

・よぶこ鳥=人を呼ぶように鳴声が聞こえる鳥。

・みふねの山=三船山。吉野宮滝の南方にある。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈香薬師〉

「いでまして ふたたびかへり いませりし

         みてらのかどに われたちまたむ」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》75

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻中

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「(建長)三年辛亥(かのとゐ)

菩薩、五十一歳。正月、画工某、斎戒(さいかい)を受持し、日日沐盥(もくかん)し、清浄に文殊菩薩、十六羅漢、南山霊芝(なんざんれいし)、幷に菩薩影像、二十幅を図絵し、以て之を寄附して、永く鎮護と為す。三月、河の安楽寺の建立、已に成って、大いに法会を啓(ひら)く。時に菩薩に隨って心地戒を受くる者、一百十余人。四月十六日、西大寺に於いて結夏安居(けちげあんご)す。其の表白に曰く、」

・斎戒=八斎戒。在家の信者が出家者と同じように一日だけ守る戒。

・沐盥=身体を浄めるため沐浴すること。

・南山霊芝=南山律宗の祖、唐の南山大師道宣。南山律宗の宋時代の復興者、霊芝元照(がんじょう)。

・河=河内国。

・結夏安居=雨季に外出を避け定住修行するのを夏安居または雨安居という。陰暦四月十六日(五月十六日とも)から三か月間。安居に入ることを結夏という。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

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2014年3月27日 (木)

般若寺 春の花だより 3・27

《般若寺 春の花だより》

〇豊後梅・紅梅:≪満開≫

・沈丁花:≪満開≫

・わびすけ・レンギョウ:≪満開≫

・椿:≪見ごろ≫

・白モクレン:≪見ごろ≫

・桜、山吹:≪つぼみ≫

春咲きコスモス4月下旬~6月下旬 13種類。1万本。

*〔短歌〕

「あかあかと 日の光あび 土の上に

         わが児とあそぶ このしましくを」

           古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「鶯や 今に直らぬ 木曽訛(なまり)」一茶

〔和歌〕

「山さむみ 花さくべくも なかりけり

        あまりかねても たづねきにける」

          西行法師・玉葉130

「山はまだ寒くて、到底花の咲けるような状態ではなかったよ。あまり気が早く、たづねて来てしまったことだなあ。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈香薬師〉

「みほとけは いまさずなりて ふるあめに

         わがいしぶみの ぬれつつかあらむ」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》74

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻中

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「(建長)二年庚戌(かのえいぬ)

菩薩、五十歳。香子山(かぐやま)に届かる。菩薩戒を求受する者、一百四十余人。三月、法華寺に於いて表無表色章、教誡律儀等を講演す。六月廿二日(廿一日歟)、肉兄禅心、西大に於いて逝す。菩薩嗟悼(さとう)し、供を設け福を追ふ。十二月、絵師某に命じて、十六羅漢各幅の像を図画せしむ。以て西大寺に安鎮す。」

・表無表色章=法相唯識宗の綱要書『大乗法苑義林章』(だいじょうほうおんぎりんじょう)の一巻。唐の慈恩大師窺基(きき)の作。受戒の主体となる戒体説を法相教学から説く。

・教誡律儀=唐の南山大師道宣の作。新学の修行者の心得作法を説く。

・嗟悼=なげきいたむ。

・安鎮=しずめおさめる。安置。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

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2014年3月26日 (水)

般若寺 春の花だより 3・26

《般若寺 春の花だより》

〇豊後梅・紅梅:≪満開≫

・沈丁花:≪満開≫

・わびすけ・レンギョウ:≪満開≫

・椿:≪見ごろ≫

・白モクレン:≪咲きはじめ≫

・桜、山吹:≪つぼみ≫

○春から初夏に咲くコスモス:4月下旬~6月下旬 13種類

*〔短歌〕

「注射して 二日たちけり 今日あたり

        吾児の息づき 安らかならむ」

          古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「三ヶ月や ふはりと梅に うぐひすが」一茶

〔和歌〕

「閨までも 花の香ふかき 春の夜の

        窓にかすめる 入りがたの月」

          永福門院内侍・風雅125

「寝室までも花の薫りの深く漂う春の夜の、窓辺に霞んで見える、まさに沈もうとする頃の月よ。」

・花=ここでは梅。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈香薬師〉

「みほとけは いかなるしこの をのこらが

         やどにかたたす ゆめのごとくに」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》73

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻中

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「五月十九日、菩薩の同受、覚盛律師、勅謚大悲菩薩、滅を招提寺に唱ふ。訃至って菩薩深く之を悼む。且つ歎じて曰く、盛公、戒珠疵(きず)無くして、道眼是れ明らかなり。加うるに、堂宇を輪興し、一時に鼎新(ていしん)す。金碧(きんぺき)間錯(かんさく)して、京畿(けいき)に輝映す。道名燁々(ようよう)として、光、華夷に被(こうむ)る。化縁云(ここ)に盡きて、遂に他邦に去る。梁木壊れて、法社何ぞ康からん。我れ寸善(すんぜん)有れば、公必ず力(つと)めて揚ぐ。常に法愛に沐して、心に銘じて忘れず。鳥吟風韻、盡く是れ悲傷す。風神を想い見れば、涙下って衣を沾(うるお)すと。是の如く、非戀して已」まず。

・鼎新=まさにあらためんとす。

・金碧=金色と青碧色。

・間錯=入り混じる。

・京畿=都に近い畿内。

・燁々=かがやくさま。

・法社=仏法興隆のために集う結社。

・寸善=少しばかりの善いこと。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

 

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2014年3月25日 (火)

般若寺 春の花だより 3・25

《般若寺 春の花だより》

〇豊後梅・紅梅:≪満開≫

・沈丁花:≪満開≫

・わびすけ・レンギョウ:≪満開≫

・椿:≪見ごろ≫

・白モクレン:≪つぼみ≫

・桜、山吹:≪つぼみ≫

○春から初夏に咲くコスモス:4月下旬~6月下旬 13種類

昨日、初めてコスモスの苗を境内に植え付けました。入口の観音石像の前に二筋です。この春の陽気だったらつぎつぎと増やせそうです。順調にゆけば四月下旬からの連休には咲いてくれるでしょう、お天気しだいですが。

*〔短歌〕

「日の光 あかるきなかに うづくまり

       病む児おもへば はるかなるかも」

         古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「紅梅に ほしておく也 洗ひ猫」一茶

〔和歌〕

「玉柳 にほふともなき 枝なれど

      みどりの色の なつかしきかな」

        皇太后宮大夫俊成・玉葉93 

「新芽の出た柳は、ぱっと華やかに目につくというのでもない枝だけれども、その緑の色がなつかしく、心ひかれるよ。」

・玉柳=柳の美称。

・にほふ=照り輝くような美しさを発散する。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈香薬師〉

「をろがみて きのふのごとく かへりこし

         みほとけすでに なしといはずやも」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》72

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻中

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「【左弁官、西大寺に下す

  応(まさ)に最勝王経を転読し、災孽(さいげつ)を攘除(じょうじょ)し、豊登(ほうと)を祈請せしむべき事。

右去年、陰極司天に当り、時変(じへん)を奏す。爾来、変異相続す。叡聞(えいぶん)無聊(ぶりょう)なり。況や亦、火災隙(ひま)無し。土俗(どぞく)穏やかならず。就中(なかんずく)、水旱(すいかん)の損、猶測り難し。稼穡(かしょく)の業、恐れ無きに非ず。須らく、三宝の冥助を仰ぎ、四海の安寧を祈るべし。権中納言藤原朝臣資季、奉勅を宣べ、宜しく東大、興福、元興、大安、薬師、西大、法隆、新薬師、大后、不退、京法華、超證、招提、宗鏡、弘福、法勝、尊勝、最勝、成勝、延勝、圓勝等寺、及び九重(ここのえ)の家々、五畿七道諸国の寺々をして、最勝王経を転読せしめ、延暦、園城等の寺に大般若経を転読せしむべし。各々符到(ふとう)の後、限るに七箇日を以てす。華夷(かい)同じく災障を攘(はら)えば、草民早く豊登を誇らん。寺は宜しく承知し、宣に依りて之を行ずべし。

  建長元年四月廿六日 大史小槻宿彌(在判)

右中辨藤原朝臣(在判)】」

・災孽=わざわい。

・攘除=はらいのぞく。

・豊登=豊かな実り。

・陰極司天=天文に於いて(陰陽の)陰が極って。司天は天文博士の唐名。

・変異=天変地異。

・叡聞=天子(天皇)がお聞きになること。

・時変=時世の変化、その時の変事。

・無聊=事がわりきれず不快なこと。気持ちの晴れないこと。

・土俗=その土地の人々。

・水旱=洪水と日照り。又それによる損害。

・稼穡=実って採りいれた穀物。農業。

・九重=皇居のある所。都。

・華夷=中国と外国。

・草民=民草、人民。

・符到=官符宣の到着。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

 

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2014年3月24日 (月)

般若寺 春の花だより 3・24

《般若寺 春の花だより》

〇豊後梅・紅梅:≪満開≫

・沈丁花:≪みごろ≫

・わびすけ・レンギョウ:≪みごろ≫

・椿:≪咲きはじめ≫

・白モクレン:≪つぼみ≫

・桜、山吹:≪つぼみ≫

○春から初夏に咲くコスモス:4月下旬~6月下旬 13種類

コスモスの苗が20センチほどになったので、今日から境内に植え付けようと思います。しばらくは陽気が続くそうで安心です。

*〔短歌〕

「さえさえと 空は晴れたり 今日ひと日

         日の光あび 静かにあらむ」

           古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「梅咲くや 門迹(もんぜき)を待つ 青畳」一茶

〔和歌〕

「うちわたす 宇治のわたりの 夜深きに

         河をとすみて 月ぞかすめる」

           前大納言為兼・風雅122

「はるかに見渡す、宇治川の渡し場の対岸は深い夜気にとざされ、河音が澄んで響いて、月は霞んでいる。」

・うちわたす=端から端まで届かせる。見渡す。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈笠置山にのぼりて〉

「のびやかに みちによりふす このいはの 

         ひとならましを われおろがまむ」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》71

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻中

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「建長元年己酉(つちのととり) 改元三月十八日

菩薩、四十九歳。二月六日、法華寺に於いて、大比丘尼戒を慈善等の十有二人に授く。是に由て、七衆皆備われり。受隨兼ね具し、律燈再び光り、宗風大いに扇(あお)ぐ。是れ、龍興(りゅうこう)の後、菩薩を以て中興の祖師と為す所以(ゆえん)なり。三月、梵網戒経を北京嵯峨の清凉寺に於いて講ず。其の満座の日に、心地戒を二百七十余人に授く。此の年、西大寺仏殿を建立す。是に由りて、特に佛工某等に命じて、釈尊栴檀霊像を摸刻す。以て之を安置す。大いに入佛開光仏事を修し、広く供養を伸ぶ。此の日、仏舎利忽ち二室(にのむろ)の道場に現ず。(別に記文有り)四月、宣旨に依り、七箇日を点じて最勝王経を転読す。以て国家安全を禱(いの)る。其の宦符宣(かんぷせん)に曰く、」

・龍興=鑑真の居た龍興寺。

・心地戒=梵網戒。

・宦符宣=官符宣。摂政・関白から下す文書。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

 

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2014年3月23日 (日)

般若寺 春の花だより 3・23

《般若寺 春の花だより》

〇豊後梅・紅梅:≪満開≫

・沈丁花:≪みごろ≫

・わびすけ・レンギョウ:≪みごろ≫

・椿:≪咲きはじめ≫

・白モクレン:≪つぼみ≫

・桜、山吹:≪つぼみ≫

○春から初夏に咲くコスモス:4月下旬~6月下旬 13種類

コスモスの苗はいま15センチほどになっています。霜の心配がなくなれば境内に植え付けます。

*〔短歌〕

「あをあをと 楠の葉高く さやげども

         冬木の朴に 日は静かなり」

           古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「我春も 上々吉よ 梅の花」一茶

〔和歌〕

「さほ姫の うちたれがみの 玉柳

        ただ春風の けづるなりけり」

          前中納言匡房・玉葉92

「春の女神佐保姫の長く垂れた髪のような美しい柳よ、それは(人が手を触れるのも憚られて)ただ春風が、櫛でとかすように静かに吹きなびかしているのだ。」

・さほ姫=佐保姫。春を司る女神。

・けづる=くしけずる。髪を櫛でとかす。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈奈良博物館即興〉

「あせたるを ひとはよしとふ びんばくわの

         ほとけのくちは もゆべきものを」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》70

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻中

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「秋八月、法華寺に至り、衆の為に比丘尼鈔を講ず。冬十二月廿三日、式叉摩那(しきしゃまな)戒を慈善等の一十六人に授く。」

・式叉摩那=正学女と漢訳。沙弥尼のうち十八才から二十才までの者をいい、六法戒(不淫、不偸盗、不殺生、不妄語、不飲酒、不非時食)を保つ。

 

「(宝治)二年戊申(ついのえさる)

菩薩、四十八歳。覚如定舜の二公、支那に在ること、凡そ三たび裘葛(きゅうかつ)を易(か)う。律書幷びに諸経論を得たり。将に本朝に帰らんとす。忍性等遠く之を伝え聞いて、即ち鎮西に往き之を待つ。夏六月、二師岸に登る。八月、西大に至り、乃(すなは)ち伝ふる所の書を以て、悉く菩薩に献ず。菩薩頂奉して之を繙(ひもと)き、歓喜讃嘆して、厚く其の労を慰む。九月、衆の請を受け。梵網古迹記、戒本宗要等を法華寺にて講ず。学ぶ者犇趨(ほんすう)して水の壑(がく)に赴くが如し。」

・裘葛=裘は皮衣で冬着、葛は葛布(くずぬの)の帷子で夏衣。転じて一年間のこと。

・裘葛を易う=一年の月日が経過する。

・犇趨=ひしめきおもむく。

・壑=谷。海。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

 

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2014年3月22日 (土)

般若寺 春の花だより 3・22

《般若寺 春の花だより》

〇白梅 :≪散りはじめ≫

・豊後梅・紅梅:≪満開≫

・沈丁花:≪みごろ≫

・わびすけ・レンギョウ:≪みごろ≫

・椿:≪咲きはじめ≫

・白モクレン:≪つぼみ≫

・桜、山吹:≪つぼみ≫

○春から初夏に咲くコスモス:4月下旬~6月下旬 13種類

コスモスの苗はいま15センチほどになっています。霜の心配がなくなれば境内に植え付ける予定です。

*〔短歌〕

「楠の木の 高きむら葉は ひえびえと

        さやぎ鳴りつつ 空輝けり」

          古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「梅さけど 鶯なけど ひとり哉」一茶

〔和歌〕

「みるままに 軒のしづくは まされども

         音にはたてぬ 庭の春雨」

           従三位親子・風雅114

「見ているうちに、軒から落ちる雫は数を増して来るけれど、音を立てることはしないで、静かに降りしきる庭の春雨よ。」

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈奈良博物館即興〉

「たなごころ うたたつめたき ガラスどの

         くだらぼとけに たちつくすかな」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》69

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻中

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「其の状を注記して、誓約を為すべし。仍(よつ)て各々の趣に任せて、略して子細を録す。其の願多端なり。敬(うやうやし)く、本師(釈尊)五百大願の跡を慕う。

意楽盡し難し。恭しく文殊三世覚母(さんぜかくも)の誓いに同じくす。抑(そもそも)有情を利益すること必ず三宝に依る。佛と法との二宝は必ず僧宝に依る。僧宝の興行すること、戒に非ざれば立たず。願わくは毘尼(びに)を専らにして、漸く一切、権実の聖教、通別の大小、諸宗の奥旨を学ばん。兼て外道種々の異見に達し、宜しきに隨って一切有情を利楽せん。唯願わくは、覚母大聖文殊、塵を同じくし、事を同じくして、利生の力を与えたまへ。自然に五字の呪を誦して成就し、憶持して忘れず。自ら無礙弁舌を得て、衆の為に正法を宣説せん。毎(たび)に聴衆に智慧を得せしめ、毎(ごと)に解悟(かいご)して修行せしめん。已に自利を捨て、利他を先とす。昇沈して生を受くるもの、偏に覚母の引導を仰ぐべし。大慈大悲をもって、永く無益の生所を離れしめたまえ。仍て誓約の状件(くだん)の如し。敬って白(もう)す。

  宝治元年五月廿五日

苾蒭叡尊 苾蒭幸眞 苾蒭忍性 苾蒭重圓 苾蒭性證 苾蒭覚順追同 苾蒭賢任 苾蒭頼玄追同 苾蒭幸圓 苾蒭叡実追同 苾蒭源眞 已上願文。】」

・三世覚母=三世にわたりさとりを生み出す母のような存在。

・毘尼=毘奈耶。梵語ビナヤ。律、僧侶が正しい修行生活を行う上で守るべき規則集。

・解悟=さとること。気がつくこと。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

 

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2014年3月21日 (金)

般若寺 春の花だより 3・21

《般若寺 春の花だより》

〇白梅 :≪散りはじめ≫

・豊後梅・紅梅:≪満開≫

・沈丁花:≪みごろ≫

・わびすけ・レンギョウ:≪みごろ≫

・椿:≪咲きはじめ≫

・白モクレン:≪つぼみ≫

・桜、山吹:≪つぼみ≫

○春から初夏に咲くコスモス:4月下旬~6月下旬 13種類

コスモスの苗はいま15センチほどになっています。霜の心配がなくなれば境内に植え付ける予定です。

*〔短歌〕

「ゆらゆらと からだかすかに 寂しかり

         ひとり久しく 立ちにけるかも」

           古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「サホ姫の ばりやこぼして さく菫(すみれ)」一茶

〔和歌〕

「すみぞめの 袖さへ匂ふ むめの花

         うたて心も 色になれとや」

           寂蓮法師・玉葉72

「出家者である私の墨染の衣の袖にさえもよい匂いをうつす梅の花よ。ああいやなこと、心までも浮世の色に染まれというのか。」

・うたて=いやで気が染まない意。逆説的に出家者ながら梅の花にひかれる心を表現する。

・色=梅の花の「色」に、「俗世間に執する煩悩」の意をかける。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈吉野の山中にやどる〉

「あまごもる やどのひさしに ひとりきて

         てまりつくこの こゑのさやけさ」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》68

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻中

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「一衆生として我が父母に非ざること無し。将に誰人に譲って自身の楽を求めんや。我は他人に推され、他は亦我に推されん。是(かく)の如く、是の如くせば、解脱は何れの劫ぞ。是(ここ)を以て、誓願して、敬て本師(釈尊)往昔の誓願を学び、穢悪充満(えおじゅうまん)の国土に処し、恒に佛刹擯棄(ぶっせつひんき)の衆生に対して、利益安楽の方便を設(もう)く。諸佛に値遇して利生の法を学び、無佛の国に住して大饒益(だいにょうやく)を作さん。小苾蒭(びっしゅ)叡尊、曾て此の願を発し、初発の心微(かすか)なりと雖も、恭しく究竟の心等しからん。而れども、隨喜の人は甚だ希(まれ)にして、嘲弄(ちょうろう)の輩は尤も多からん。時に、日本国宝治元年歳次丁未、夏安居〔釈迦如来入滅以来二千一百九十五年に当るの安居〕、初めの半月第十日〔文殊師利菩薩有縁日〕、西大寺同結夏の苾蒭、

 幸圓蓮覚房、忍性良観房、賢任聖俊房、頼玄蓮順房

 性證専浄房、源眞尊順房、重圓順長房、幸眞蓮長房

  已上願の状。】」

・穢悪=穢れと悪事。煩悩と欲望。

・仏刹擯棄=仏国土からしりぞけ棄てられること。

・饒益=利益衆生。

・嘲弄=あざけりなぶること。ばかにすること。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

 

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2014年3月20日 (木)

般若寺 春の花だより 3・20

《般若寺 春の花だより》

〇白梅 :≪散りはじめ≫

・豊後梅・紅梅:≪満開≫

・沈丁花:≪みごろ≫

・わびすけ・レンギョウ:≪みごろ≫

・椿:≪咲きはじめ≫

・白モクレン:≪つぼみ≫

○春から初夏に咲くコスモス:4月下旬~6月下旬 13種類

*〔短歌〕

「わればかり 親しがりつつ 朴の木の

         冬木静かに 寂しきものを」

           古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「わか草や 我と雀と 遊ぶ程」一茶

〔和歌〕

「春の色を もよをす雨の ふるなへに

        枯野の草も 下めぐむ也」

          前大納言為兼・風雅111

「春の気配をうながすような雨の降るにつれて、枯野の草も、下から人知れず芽を出して来るようだ。」

・春の色=春らしい色合。春の雰囲気、情趣。

・もよをす=催促する。せき立てる。

・なへに=・・・するとともに。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈吉野の山中にやどる〉

「みよしのの やままつがえの ひとはおちず

         またまにぬくと あめはふるらし」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》67

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻中

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「茲に因り、滅後の佛子、自行円満、化他能成の為に、或いは、安養(あんにょう)を欣び、或いは、知足(ちそく)を望む。自利利他の善巧方便(ぜんぎょうほうべん)、貴ぶべし、仰ぐべし。是に於いて弟子等、一つの忍び難きこと有り。安養に生まれる人は、猶し春雨の如くあれども、今に、未だ造悪の我等を引導すること能はず。内院に詣ずる者、其の数少なからざれども、未だ受苦の衆生を濟抜すること能わず。大悲は平等なりと雖も、無縁の故に導かれず。結縁何れの時を期さん。業苦は絶ゆる無きが故に。往昔に結縁すと雖も、未だ熟さざるが故に導かれず。熟せば誰か知識を恃(たの)まん。」

善友は値ひ難き故に。願って佛刹に生まれんこと、人蹔(しばら)くは自行を恃むべし。迷乱善悪の類は、誰人を待ちてか引導せん。

・安養=安養浄土。阿弥陀の極楽浄土。心を安んじて身を養うことが出来る世界。

・知足=知足天。兜率天に同じ。弥勒菩薩が将来仏となるために修行する天界。

・善巧方便=巧みな手段。臨機応変にいろいろ巧みな方法によって人を導くこと。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

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2014年3月19日 (水)

般若寺 春の花だより 3・19

《般若寺 春の花だより》

〇白梅 :≪散りはじめ≫

・豊後梅・紅梅:≪満開≫

・沈丁花:≪みごろ≫

・わびすけ・レンギョウ:≪みごろ≫

・椿:≪咲きはじめ≫

・白モクレン:≪つぼみ≫

○春から初夏に咲くコスモス:4月下旬~6月下旬 13種類

*〔短歌〕

「ひとすぢの 赤土道に 人見えず

        ただにしたしく 語らはましを」

          古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「白魚の どつと生るる おぼろ哉」一茶

〔和歌〕

「わがやどの 柳の糸は ほそくとも

         くる鶯の たえずもあらなん」

           前右近大将道綱母・玉葉89 

「私の家の柳の枝は糸のように細くとも、尋ねて来る鶯は絶えることなくやって来てほしいものです。」

・くる=「来る」に「糸」の縁語「繰る」をかける。

・たえず=「糸」の縁語。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈吉野塔尾御陵にて〉

「すめろぎの こころかなしも ここにして

         みはるかすべき のべもあらなくに」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》66

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻中

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「伏(ふ)して本師釈尊の金言を案ずるに、皆是れ生々養育の父母、久しく重恩を荷うも、今に報いず。亦是れ世々親厚の知識、往昔深く契るも、生を隔て悉く忘る。いかに況や我を生みたる父母、火宅の中に住するも、怖心未だ起らず。現存の者、五塵に愛着して、厭心を生ぜず。命過ぐる者、多くは三途に堕ち、常に衆苦を受く。子に非ずんば誰か濟はん。一たび死せば、何ぞ憶せん。過去の重恩皆悉く憶せず。当来世に於いて、豈に今生を知らんや。如かじ、平等の大悲を発起して、生死の中に於いて、漸漸に教化して、其の本性に隨ひて、解脱に趣かしむ。但だ三界(さんがい)は悉く苦域、厭ひても猶を厭うべし。四生(ししょう)は皆無常なり。離れても更に離るべし。是くの故に、世尊在世の古へ、小乗に趣く者、極めて多く、大乗に向かう者甚だ希なり。大菩提心は、発し難くして退くこと易きを以ての故に。」

・知識=正しく教え導いてくれる指導者。高僧、善知識。

・三界=欲界、色界、無色界。衆生が活動する全世界。

・四生=生き物の生れた方を四つに分類。母胎から生まれる胎生、卵から生まれる卵生、湿気のあるところから生まれる湿生、過去からの業の力によって化成する化生。すべての生きもの。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

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2014年3月18日 (火)

般若寺 春の花だより 3・18

《般若寺 春の花だより》

〇白梅 :≪満開≫

・豊後梅・紅梅:≪満開≫

・沈丁花:≪五分咲き≫

・椿・レンギョウ:≪みごろ≫

・白モクレン:≪つぼみ≫

○春から初夏に咲くコスモス:4月下旬~6月下旬 13種類

*〔短歌〕

「朴の芽の むらさき堅く ふくらめり

        まどろみながき 夢の寂しさ」

          古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「鳥べのの 地蔵菩薩の 蕨哉」一茶

〔和歌〕

「まどあけて 月の影しく 手枕に

         梅がかあまる 軒の春風」

           進子内親王・風雅85

「窓をあけて、さし入る月の光を敷くように寄り臥しているその手枕のあたりに、梅の薫りをあり余る程に漂わせる、軒の春風よ。」

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈吉野の山中にやどる〉

「はるさむき やまのはしゐの さむしろに

         むかひのみねの かげのよりくる」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》65

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻中

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「加うるに、希(まれ)に仏法に入る者、空しく鬢髪(びんぱつ)を剃り、法衣を被(き)て、性遮(しょうしゃ)軽重の戒網に漏(も)る。適(たまたま)三学に従う者も、拙(つたな)く名聞(みょうもん)を求め、利養(りよう)を求め、以て貴賤貧福の檀那に諂(へつら)ふ。真珠変じて麨(しょう)と成る。甘露化して毒と成る。虚しく篤信の四事を受け、徒(いたずら)に三宝の財物を費やす。是くの如くの業因、年々弥(いよいよ)造り、日々絶えること無し。既に因果の道理を知らず。誰か生死の過患を怖れること有らん。或いは、氷に閇(とざ)されて、億千歳、寒を悲しみ色を変ず。苦を忍び声を為す。或いは、焔に交わり一中劫。鉄丸を食と為し、銅汁を飲とす。或いは、毛中に他の害を怖れる。或いは、鱗内に釣針を飲む。或いは、八苦の為に逼(せま)られ、或いは、五衰(ごすい)の為に悲しむ。生じて忽ちに死し、死して更に生ず。輪の如く始まり無し。環の終わり無きに似たり。」

・性遮軽重の戒=性戒(殺生、邪淫など本来的に罪悪である行為を誡める戒、主戒、性重戒)と遮戒(飲酒など仏によってその時その場の必要に応じて制止された戒で性戒に比して軽い)。軽戒と重戒。

・三学=戒学、定(禅定)学、慧(智慧)学。

・名聞利養=世間の名声栄達と利得。

・麨=麦こがし。団子。

・四事=修行僧が日常必要とする四種の品。房舎、衣服、飲食、散華焼香。または飲食、衣服、臥具、湯薬。

・一中劫=劫は極めて長い時間のこと。『倶舎論』によると、人寿無量歳から次第に減って(百年ごとに一歳ずつ減らして)十歳に至る間が一中劫。

・八苦=生老病死の四苦に愛別離苦(愛するものに別れる苦しみ)、怨憎会苦(怨み憎むものと会う苦しみ)、求不得苦(求めても得られない苦しみ)、五陰盛苦(色受想行識の五陰・五蘊から生ずる苦痛が盛んに起こる苦しみ)を加える。

・五衰=天人が死ぬ前にその身体などに現われる五種類の衰亡の相。1)頭上の華がしぼむ。2)腋に汗が流れる。3)衣装がけがれる。4)身の威光を失う(または目をしばしば瞬く、または身に臭気を生ずる)。5)本座に居ることを楽しまぬ。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

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2014年3月17日 (月)

般若寺 春の花だより 3・17

《般若寺 春の花だより》

〇白梅 :≪満開≫

・豊後梅・紅梅:≪満開≫

・沈丁花:≪五分咲き≫

・椿・レンギョウ:≪咲きはじめ≫

・白モクレン:≪つぼみ≫

○春から初夏に咲くコスモス:4月下旬~6月下旬 13種類

*〔短歌〕

「病みてゐて 人も寂しく あらめども

         われに告げねば 妬みけるかも」

           古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「芽出しから 人さす草は なかりけり」一茶

〔和歌〕

「うちわたす さほのかはらの 青柳も

         今は春べと もえにけるかも」

           坂上郎女・玉葉87

「遙かに見晴らす、広々とした佐保河の河原の柳も、今こそは春になったとばかり、青々と萌え出たことだなあ。」

・うちわたす=端から端まで届かせる意。見渡す。

・さほ=奈良市北部、奈良山の南麓一帯、佐保河流域。作者は「坂之上」と呼ばれる地に住んだ。佐保山に住まう佐保姫が春をもたらすという。

・春べ=春の頃。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈吉野北六田の茶店にて

「みよしのの むだのかはべの あゆすしの

         しほくちひびく はるのさむきに」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》64

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻中

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「又、夏安居、先年半月初十日。幸圓、忍性等を勧勉して、同じく倶に発願、其の状に曰く、

 【今身より仏身に至るまで、九人の苾蒭(びっしゅ)、心を同じくし力を合わせて、穢悪(えお)の所に於いて、三宝を紹隆(しょうりゅう)し、有情を利楽せんことを請う。誓願の状。

右倩(つらつら)以(おもんみ)れば、人間業(ごう)を作るの輩、未来の苦酷(くこく)を弁(わきま)えず。三途(さんず)受苦の類、過去の集因を顧みること無し。是(ここ)を以て、或いは、居を海辺に卜し、鉤網(こうもう)を業(なりわい)と為(す)。或いは、屋を山野に結び、才猟(さいりょう)を事とす。或いは、他財を奪う。或いは、他の妻に染む。妄語、綺語、悪口、両舌、貪、瞋、邪見。是くの如き十悪、高貴は他に勅して造らしめ、下賤は自ら手づから造作す。並びに是れ仏法に値(あ)わず。因果を信ぜざる故に。」

・穢悪=穢土と悪趣。

・紹隆=前人の事業を受け継いで、さらにこれを盛んにさせること。

・苦酷=ひどい苦しみ。

・三途=悪業をなした者が死後に赴く三つのあり方。猛火に焼かれる火途(地獄道)、互に相食む血途(畜生道)、刀・剣・杖などで迫害される刀途(餓鬼道)。三悪道、三悪趣。

・鉤網=釣針と魚網。

・才猟=採猟。狩猟。

・十悪=身・口(く)・意の三業(ごう)によって造る十種の罪悪。殺生、偸盗、邪淫、妄語、綺語、悪口、両舌、貪欲、瞋恚、邪見(または愚痴)。十不善業。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

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2014年3月16日 (日)

般若寺 春の花だより 3・16

《般若寺 春の花だより》

〇白梅 :≪満開≫

・豊後梅・紅梅:≪五分咲き≫

・沈丁花:≪咲きはじめ≫

・椿・レンギョウ:≪咲きはじめ≫

・白モクレン:≪つぼみ≫

○春から初夏に咲くコスモス:4月下旬~6月下旬 13種類

*〔短歌〕

「山のべに 君病みこもり 久しとも

        われにひと言 告げも来ぬかも」

          古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「畠打や かざしにしたる 梅の花」一茶

〔和歌〕

「梅が香は まくらにみちて 鶯の

        こゑよりあくる 窓のしののめ」

          前大納言為兼・風雅84

「梅の薫りは、枕のあたり一ぱいに匂って、鶯の声を先立てて明けて来る、窓の暁の光よ。」

・しののめ=東雲。夜明け方に東の空の白む頃。またその光。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈夢殿の救世観音に〉

「あめつちに われひとりゐて たつごとき

         このさびしさを きみはほほゑむ」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》63

西大寺勅謚興正菩薩行実年譜 巻中

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

 如意輪精舎後裔□(苾)蒭慈光  編録

 葉室正二位藤原朝臣頼孝     校閲

「後深草院宝治元年丁未(ひのとひつじ) 改元二月八日

菩薩、四十七歳。春正月、西大寺僧堂を建立す。三月、発願立誓す。其の頌文に曰く、

 【釈迦尊に帰命したてまつる。願わくは、我れ未来に生を受ける善悪処に於いて、菩提心を忘れず。自然に衆生は皆是れ我が父母なりと憶ふ。種々の方便を設け、漸々に苦を離れしめ、自他の行願満じて、共に無上道を證さんことを。】

 宝治元年丁未三月晦日酉時に之を誓ふと。 已上願文。」

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

ことしの奈良観光活性化のための奈良市の企画、「珠光茶会」は結構な催しだと思います。成功を祈ります。その協力寺院の中には、真言律宗の西大寺と元興寺が入っていますね。真言律宗の宗務長は浄瑠璃寺の佐伯快勝師ですよ。奈良市の企画に協力させておいて、その一方で寺の環境破壊ですか。そんなことが許されるのでしょうか。

だいたい歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか、もういちど出発点に戻ってよく考えてください。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

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2014年3月15日 (土)

般若寺 春の花だより 3・15

《般若寺 春の花だより》

〇白梅 :≪満開≫

・豊後梅・紅梅:≪五分咲き≫

・沈丁花:≪咲きはじめ≫

・椿・レンギョウ:≪咲きはじめ≫

・白モクレン:≪つぼみ≫

○春から初夏に咲くコスモス:4月下旬~6月下旬 13種類

早い苗は10センチ程になっています。

霜の心配がなくなれば境内の花壇に植え付けます。

*〔短歌〕

「夜おそく 帰りて来れば 人けなき 

        わが家の戸の 寒く光れり」

          古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「梅咲や せうじ(障子)に猫の 影法師」一茶

〔和歌〕

「なにとなく さへづる山の 鳥のねも

         もののあはれは 春の明けぼの」

           寂連法師

「特に何の鳥ともなくさえずりかわしている、山の小鳥の声々を聞くにつけても、物のあはれは秋の夕暮ではなく、春の曙にこそしみじみと感じられるよ。」

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈法隆寺の金堂にて〉

「おしひらく おもきとびらの あひだより

         はやみえたまふ みほとけのかほ」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》62

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「(寛元)四年丙午(ひのえうま)

菩薩、四十六歳。正月六日、又発願して曰く、

【 願はくは今より未来を盡すまで 法を興し有情を利さん 衆生の昇沈に隨って 利益勝れるを先とす。】

・昇沈=のぼることとしずむこと。盛衰。

七月、良観性公(良観房忍性)、此の方、教籍(きょうせき)尚(な)を未だ備わらざるを慨(なげ)いて、将に支那に入て之を伝えんとす。縁礙(えんがい)有るを以て之を果たさざる也。仍て成願如公(成願房覚如)を勉(すすめ)て之を代らしむ。如、忻然(きんぜん)として諾し、孑身(けつしん)にして宋に入る。菩薩、深く其の志を感じて隆信舜公(隆信房定俊)をして之に伴なわしむ。二月、文殊講式一巻を製す。廿五日、如、一座三門の讃嘆を述べ、五字千遍の神呪を念誦す。而して后、毎月之を修するをもって恒軌と為す。十月廿五日、土師寺に於いて菩薩戒を二百三十六人に授く。」

・教籍=戒律の典籍。

・縁礙=さまたげとなる縁故。

・忻然=欣然。よろこんで。

・孑身=ただ一人。ひとりぼっち。。

・五字=文殊菩薩の五字真言。(オン)アラハシャナウ。

・土師寺=道明寺(藤井寺市)

西大勅諡興正菩薩行実年譜 巻上 終

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

ことしの奈良観光活性化のための奈良市の企画、「珠光茶会」は結構な催しだと思います。成功を祈ります。その協力寺院の中には、真言律宗の西大寺と元興寺が入っていますね。真言律宗の宗務長は浄瑠璃寺の佐伯快勝師ですよ。奈良市の企画に協力させておいて、その一方で寺の環境破壊ですか。そんなことが許されるのでしょうか。

だいたい歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか、もういちど出発点に戻ってよく考えてください。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

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2014年3月14日 (金)

般若寺 春の花だより 3・14

《般若寺 春の花だより》

〇白梅 :≪満開≫

・豊後梅・紅梅:≪五分咲き≫

・沈丁花:≪咲きはじめ≫

・椿・レンギョウ:≪咲きはじめ≫

・白モクレン:≪つぼみ≫

○春から初夏に咲くコスモス:4月下旬~6月下旬 13種類

早い苗は10センチ程になっています。

霜の心配がなくなれば花壇に植え付けます。

*〔短歌〕

「ここに来て 心ひそかに 騒立つを

         親しがりつつ 立ち居りわれは」

           古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「膝の児の 指始(ゆびさすはじめ) 梅の花」一茶

〔和歌〕

「むめの花 にほふさかりは 山がつの 

しづのかきねも なつかしきかな」

         祝部成仲・風雅81

「梅の花が咲き匂う盛りの時は、山人の貧しい家の垣根も、(その香によって)離れがたく思われるよ。」

・山がつ=木樵など、山仕事をする者。

・なつかしき=心ひかれ、そばについていたい。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈御遠忌近き頃法隆寺村にいたりて〉

「いかるがの さとびとこぞり いにしへに

         よみがへるべき はるはきむかふ」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》61

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「悲増大願此れを閲して知るべし。十六日、菩薩別受戒の僧、三十六人とともに、皆墨の江(すみのえ)に詣で、大般若経を神宮寺に於いて転読す。十一月八日、密壇を啓建して、灌頂を若干人に授く。廿一日、法華寺に於いて沙弥尼戒を若干人に授く。廿五日、西大寺真言堂の造功已に成る。即ち曾て刻む所の文殊の尊像を安置し奉り、落成の仏事を修す。」

・墨の江=住之江。住吉の古称。

・神宮寺=住吉社神宮寺。

・西大寺真言堂=光明真言土砂加持法会を営む本堂。清凉寺式三国伝来釈迦如来像を本尊とする(堂は近世再建、像は当時のものが現存)。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

ことしの奈良観光活性化のための奈良市の企画、「珠光茶会」は結構な催しだと思います。成功を祈ります。その協力寺院の中には、真言律宗の西大寺と元興寺が入っていますね。真言律宗の宗務長は浄瑠璃寺の佐伯快勝師ですよ。奈良市の企画に協力させておいて、その一方で寺の環境破壊ですか。そんなことが許されるのでしょうか。

だいたい歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか、もういちど出発点に戻ってよく考えてください。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり

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2014年3月13日 (木)

般若寺 春の花だより 3・13

《般若寺 春の花だより》

〇水仙:≪満開すぎましたが花は残っています≫ 寒咲水仙・一重咲、八重咲。2万本。

・梅 :≪みごろ≫白梅は満開、豊後梅・紅梅は咲きはじめ

・沈丁花:≪つぼみ≫

・椿:≪咲きはじめ≫

○春から初夏に咲くコスモス:4月下旬~6月下旬 13種類

*〔短歌〕

「光のなか 冬木の朴の あらはに立ち

        こころ俄に 親しくありけり」

          古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「我もけさ 清僧の部也 梅の花」一茶

〔和歌〕

「みねの霞 ふもとの草の うす緑

        野山をかけて 春めきにけり」

          永福門院・玉葉84

「峰にかかる春霞、麓の原に萌え出でた若草の薄緑色よ。の山にわたってすっかり春らしくなったなあ。」

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈御遠忌近き頃法隆寺村にいたりて〉

「うまやどの みこのまつりも ちかづきぬ

         まつみどりなる いかるがのさと」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》60

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「時に隨ひ方便を設け、以て一悪をも離れしめ一善をも修せしめるを要とせん。利生の事、若し同時ならば、勝れるを以て先と為し、八寒八熱の奈梨(なり)は、利生の為に之を忍び、三界六道(さんがいろくどう)の苦患は、利生の為に厭わず。就中(なかんずく)一つの切なる悲しみ有り。七歳にして悲母を喪う。未だ昇沈の生を弁えざるに、善根を以て悉く廻向す。諸仏必ず引導し玉へ。

 寛元三年乙巳九月十三日戌時之を誓ふと。】 已上願文。」

・奈梨=泥梨(ないり)、地獄。

・三界六道=一切衆生が生死輪廻する世界。欲界、色界、無色界。六つの迷界。地獄、餓鬼、畜生、阿修羅、人間、天。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

ことしの奈良観光活性化のための奈良市の企画、「珠光茶会」は結構な催しだと思います。成功を祈ります。その協力寺院の中には、真言律宗の西大寺と元興寺が入っていますね。真言律宗の宗務長は浄瑠璃寺の佐伯快勝師ですよ。奈良市の企画に協力させておいて、その一方で寺の環境破壊ですか。そんなことが許されるのでしょうか。

だいたい歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか、もういちど出発点に戻ってよく考えてください。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

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2014年3月12日 (水)

般若寺 春の花だより 3・12

《般若寺 春の花だより》

〇水仙:≪満開すぎましたが花は残っています≫ 寒咲水仙・一重咲、八重咲。2万本。

・梅 :≪みごろ≫白梅は満開、豊後梅・紅梅は咲きはじめ

・福寿草:≪みごろ≫

・沈丁花:≪つぼみ≫

・椿:≪咲きはじめ≫

○春から初夏に咲くコスモス:4月下旬~6月下旬 13種類

*〔短歌〕

「まじまじと 夜はふけむとす をさな児よ

         お伽噺を 吾が語りなむ」

           古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「我と来て 遊べや親の ない雀」一茶

〔和歌〕

「ももちどり さえづる春の あさみどり

         野べの霞に 匂ふ梅がえ」

           後鳥羽院御歌・風雅77

「沢山の小鳥が一斉に囀る春の朝、浅緑に野は霞、そこに梅のよい薫りがする。」

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈西大寺の四王堂にて〉

「まがつみは いまのうつつに ありこせど

         ふみしほとけの ゆくへしらずも」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》59

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「抑々、断悪修善利生(だんなくしゅぜんりしょう)は一切菩薩の通願、三徳の本基なり、三身の正因なり。三世等しく修め、敢えて差異無し。然りと雖も、機根(きこん)区(まちま)ちに分かれ、意楽(いぎょう)互いに同じからず。故に別願おのおの異なり、弟子が如きは、機縁の然らしむる所、釈尊の遺弟に列し、辺地悪世に生まれて、無依無怙の衆生を見ては、将に、本師往昔の跡に等しく、五百の大願に隨順し、常に無聞非法の衆生に於いて、菩薩の行を修し、終に五濁悪世に於いて、正等覚を成じ、諸仏の世界に引導せんとす。擯棄(ひんき)せらるる衆生は、三乗の菩提に趣かしめ、人天の善種を植えしめ、衆生の輪廻に隨ひ、衆生の昇沈に隨ひ、機に隨ひ正法を説く。」

・機根=潜在的能力。仏法にふれて活動しはじめる精神的素質。

・意楽=楽は願う意。何かをしようとする意思。心がまえ。望み。

・本師往昔の跡=『悲華経』に説かれる釈迦の前生譚によれば、宝海梵志が浄土ではなく穢土を選び、衆生済度を誓願して娑婆であるこの世に生まれ釈迦如来となったことをいう。

・五百の大願=釈迦の衆生済度の誓願は五百を数えたという。(悲華経には具体的内容は説かれていない。)

・五濁悪世=劫濁(時代の汚れ)、見濁(人々が誤った思想・見解を持つこと)、煩悩濁(貪嗔癡等の煩悩が盛んになること)、衆生濁(見濁・煩悩濁の結果として、心身が弱く、苦しみが多くなること)、寿命濁(寿命が次第に短くなり、最低10歳にまでなること)の五つをいう。五濁のおこる時代を五濁悪世といい、末法と重ねて考えられる。

・擯棄=しりぞけ捨てる。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

およそ歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか、もういちど出発点に戻ってよく考えてください。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

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2014年3月11日 (火)

般若寺 春の花だより 3・11

東日本大震災の犠牲者のご冥福と地域の復興を祈ります。かさねて国と東電には、原発事故の収束と被曝対策をもっと真剣にするように要望します。そして再稼働に反対します。

《般若寺 春の花だより》

〇水仙:≪満開すぎましたが、よく残っています≫ 寒咲水仙・一重咲、八重咲。2万本。

・さざんか(山茶花):≪満開≫

・梅 :≪みごろ≫白梅は満開、豊後梅・紅梅は咲きはじめ

・福寿草:≪みごろ≫

・さんしゅゆ(山茱萸):≪みごろ≫

・沈丁花:≪つぼみ≫

○春から初夏に咲くコスモス:4月下旬~6月下旬 13種類

*〔短歌〕

「うづたかく 赤き火おこり 鉄瓶の

         湯はたぎちたり 寂しといはめや」

           古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「雀の子 そこのけそこのけ 御馬が通る」一茶

〔和歌〕

「梅の花 くれなゐにほふ 夕暮に

       柳なびきて 春雨ぞふる」

         前大納言為兼・玉葉83

「梅の花が紅に艶やかに咲き匂っている夕暮に、柳の緑の糸が風になびいて、静かに春雨が降っている。」

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈平城宮址の大極芝にて

「はたなかの かれたるしばに たつひとの

         うごくともなし ものもふらしも」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》58

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「仰ぎ願はくは、諸徳大衆同心愍念(びんねん)して、塵沙(じんさ)の戒法を成ぜしめたまへ。夫れ戒法は無辺にして、法界塵沙の境を以て、量りと為(す)るが故に、功徳無尽なり。動発勝思の分を以て、際と為るが故に。所以は何ぞ、悪心は法界に遍し、境に隨い作に応ずるが故に、佛制亦た法界に遍くす。境に隨い禁ずべき故に。受戒若し成就すれば、更に前の悪心を翻じて、新たに功徳善法を成ず。其の中に前の通受は未来際を尽くす。今の別受は一形を限ると。然れども、羯磨の功徳及ぶ所の、運々増長の分量は、前の所得の功徳を以て、以前の所薫の種字と同じく、来際を尽くし、通別更に異なり無し。是則ち菩薩所修の律儀なり。是則ち摂善摂生の根本なり。誓ふ、今身より未来際を極めるまで、通別二受の禁戒、敢えて違犯せじと。唯願わくは、現不現前の一切三宝、慈悲を以て証明知見を垂れたまへ。」

・愍念=あわれむ思い。いたむ、悲しむ。

・塵沙=ほこりや砂のように細かく多いさま。

・尽未来際=永久に、永遠に。

・一形=一形寿。一代。

(つづく)

* 中川寺成身院のこと

本年新刊の『事典 日本の仏教』(蓑輪顕量編)という本を見ていて、中ノ川寺の記事を見つけました。「中世の仏教」の章にある「南都教学の研鑽」(野呂靖著)という項目の中(p.327)です。おどろくことに鎌倉新仏教の代表格である浄土真宗の僧が南都の中ノ川寺で修学されていたのです。これはあまり知られていない新知見です。

[・・・なかでも律・倶舎・三論・成実・法相・華厳の六宗は、南都諸寺院において伝統的に教学の継承が行われていた。そのため、真言や浄土系の他宗の僧侶であっても、幼少時から南都に留学し、基礎的な教理の研鑽を積むことは、一般的であった。

 たとえば、南北朝期における浄土真宗の事例をみておこう。親鸞のひ孫にあたる本願寺第三世覚如(かくにょ)の長男存覚(ぞんかく)は、乾元(けんげん)元年(1302)、十三歳の年に東大寺で受戒した後、大和の中川成身院に止住していた円月(えんがつ)上人慶海(きょうかい)のもとで本格的な修学を開始した。成身院は、真言宗僧である中川実範(じっぱん、?―1144)の創建にかかる興福寺の別所であり、中世における仏教研究の中心地の一つとして重要な院家であった。そこでの存覚による学びは、やはり論義が中心であり、慶海の師にあたる良寛已講(いこう、三会の講師の公請を受け、勤め終った僧を指す称号)より論義の作法を学んでいるほか、興福寺発心院覚意の講義を聴講するなど、「興福寺の交衆(きょうしゅう)」として「顕宗を好んでいた」と伝えられている(『常楽台主老衲一期記(じょうらくだいしゅろうのういちごき)』)。存覚は、親鸞の『教行信証(きょうぎょうしんしょう)』に対するはじめてのまとまった注釈書『六要抄(ろくようしょう)』を撰述したほか、浄土思想を基軸とする諸宗の教理概説書を著述するなど(『歩船鈔(ぶせんしょう)』)、親鸞の思想を諸宗教学のなかに位置づける作業を推し進めたが、その教学の背景には、法相教学を中心とする南都における「顕教」の学びが存在したといえよう。]

(吉川弘文館発行。201421日刊。定価・本体4200円)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

ことしの奈良観光活性化のための奈良市の企画、「珠光茶会」は結構な催しだと思います。成功を祈ります。その協力寺院の中には、真言律宗の西大寺と元興寺が入っていますね。真言律宗の宗務長は浄瑠璃寺の佐伯快勝師ですよ。奈良市の企画に協力させておいて、その一方で寺の環境破壊ですか。そんなことが許されるのでしょうか。

だいたい歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか、もういちど出発点に戻ってよく考えてください。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

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2014年3月10日 (月)

般若寺 春の花だより 3・10

《般若寺 春の花だより》

〇水仙:≪満開すぎました≫ 寒咲水仙・一重咲、八重咲。2万本。

・さざんか(山茶花):≪満開≫

・梅 :≪みごろ≫白梅は満開。ピンク色の豊後梅、紅梅は咲きはじめ。

・福寿草:≪みごろ≫

・さんしゅゆ(山茱萸):≪みごろ≫

・沈丁花:≪つぼみ≫

○春から初夏に咲くコスモス:4月下旬~6月下旬 13種類

*〔短歌〕

「赤き火を おこすといへば わが娘

        うちよろこびて 火を吹くものを」

          古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「烏帽子(えぼし)きた 馬士(うまかた)どのや 梅の花」一茶

〔和歌〕

「梅の花 にほひをとめて おりつるに

       色さへ袖に うつりぬるかな」

         中務卿具平親王・風雅73

「梅の花は、そのよい薫りを求めて折ったのに、(薫りばかりでなく)美しい色まで袖に染みついてしまったよ。」

・とめて=尋ね求めて。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈浄瑠璃寺にて〉

「かれわたる いけのおもての あしのまに

         かげうちひたし くるるたふかな」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》57

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

【敬って律鈔を開き、如来の正法を以て自身の所行を校(くらべ)るに、宛も明鏡の醜陋(しゅうろう)の形を照らすが如し。亦澄水の疲破(ひは)の影を宿すに似たり。進んで更に受具せんと欲するに、能所の縁備え難く、退いて俗形に復さんと欲するに、狂人の責(せめ)脱し難く、ここに於いて重ねて思念すらく、菩提薩埵、律儀戒を受くるに、別受有り、通受有り。通受の方軌に従他有り、自受有り。設(たと)ひ従他は成りがたくとも、自受は何ぞ成らざらんや、ここを以て、去る嘉禎二年歳次丙申(ひのえさる)八月下旬、三世十方の三宝に祈りて、以て夢中の告を被り、閻浮第一の霊像(東大寺大仏)を拝し、以て現前の瑞を感じ、当時の歓喜身に余り、感涙眼に浮かぶ。遂に、同年九月上旬を以て、東大寺羂索院(法華堂)に於いて、大聖観自在菩薩の御前に対し、四人の善伴同じく誓約を来際に期し、互に証明を現前に仰ぐ。面々、瑜伽自誓の羯磨を誦して、各、在家出家の戒体を成ず。爾るより以来、菩薩の大僧、漸々に寺寺に遍(あまねく)す。正法の威光、新たに処々を輝かす。衆僧の円満すること難きに非ず。闍梨の如法また備われり。之に依りて将に諸徳の慈悲を蒙り、更に別受の軌則を遂ぐ。】

・醜陋=顔かたちがみにくくいやしいさま。

・疲破=疲皺。疲れて顔に現われる皺。

・別受と通受=別受:律儀戒を別して受ける受戒法。三師(戒和尚、羯磨師、教授師)と七人の証明師のもとで、白四羯磨(南都ではビャクシコンマ、叡山ではカツマ。説戒一回に対し三回持戒を確認する)により摂律儀戒(四分律の具足戒・比丘は二百五十戒)のみを受ける。四波羅夷法は不淫、不盗、不殺、不妄語(犯せば追放される重罪)。菩薩戒(三聚浄戒)としての摂善法戒と摂衆生戒は別の機会に受ける。

通受:三聚浄戒による菩薩戒の受戒法で三つを通じて受けることが出来る。『四分律』の具足戒と『瑜伽師地論』の四他勝処法を折衷して授かる。中世以降の南都では通受受戒が主流となる。

・従他と自受=十師(三師七証)による従他受戒と自誓による受戒(『占察経』を根拠とし、十師に佛菩薩を招請する)。自誓受戒は通受のみ。

(つづく)

* 中川寺成身院のこと

本年新刊の『事典 日本の仏教』(蓑輪顕量編)という本を見ていて、中ノ川寺の記事を見つけました。「中世の仏教」の章にある「南都教学の研鑽」(野呂靖著)という項目の中(p.327)です。おどろくことに鎌倉新仏教の代表格である浄土真宗の僧が南都の中ノ川寺で修学されていたのです。これはあまり知られていない新知見です。

[・・・なかでも律・倶舎・三論・成実・法相・華厳の六宗は、南都諸寺院において伝統的に教学の継承が行われていた。そのため、真言や浄土系の他宗の僧侶であっても、幼少時から南都に留学し、基礎的な教理の研鑽を積むことは、一般的であった。

 たとえば、南北朝期における浄土真宗の事例をみておこう。親鸞のひ孫にあたる本願寺第三世覚如(かくにょ)の長男存覚(ぞんかく)は、乾元(けんげん)元年(1302)、十三歳の年に東大寺で受戒した後、大和の中川成身院に止住していた円月(えんがつ)上人慶海(きょうかい)のもとで本格的な修学を開始した。成身院は、真言宗僧である中川実範(じっぱん、?―1144)の創建にかかる興福寺の別所であり、中世における仏教研究の中心地の一つとして重要な院家であった。そこでの存覚による学びは、やはり論義が中心であり、慶海の師にあたる良寛已講(いこう、三会の講師の公請を受け、勤め終った僧を指す称号)より論義の作法を学んでいるほか、興福寺発心院覚意の講義を聴講するなど、「興福寺の交衆(きょうしゅう)」として「顕宗を好んでいた」と伝えられている(『常楽台主老衲一期記(じょうらくだいしゅろうのういちごき)』)。存覚は、親鸞の『教行信証(きょうぎょうしんしょう)』に対するはじめてのまとまった注釈書『六要抄(ろくようしょう)』を撰述したほか、浄土思想を基軸とする諸宗の教理概説書を著述するなど(『歩船鈔(ぶせんしょう)』)、親鸞の思想を諸宗教学のなかに位置づける作業を推し進めたが、その教学の背景には、法相教学を中心とする南都における「顕教」の学びが存在したといえよう。]

(吉川弘文館発行。201421日刊。定価・本体4200円)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

ことしの奈良観光活性化のための奈良市の企画、「珠光茶会」は結構な催しだと思います。成功を祈ります。その協力寺院の中には、真言律宗の西大寺と元興寺が入っていますね。真言律宗の宗務長は浄瑠璃寺の佐伯快勝師ですよ。奈良市の企画に協力させておいて、その一方で寺の環境破壊ですか。そんなことが許されるのでしょうか。

だいたい歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか、もういちど出発点に戻ってよく考えてください。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

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2014年3月 9日 (日)

般若寺 春の花だより 3・9

《般若寺 春の花だより》

〇水仙:≪満開すぎました≫ 寒咲水仙・一重咲、八重咲。2万本。

・さざんか(山茶花):≪満開≫

・梅 :≪みごろ≫

・福寿草:≪みごろ≫

・沈丁花:≪つぼみ≫

○春から初夏に咲くコスモス:4月下旬~6月下旬 13種類

*〔短歌〕

「ひさびさに われこの道を 通るなり

         冬木明るく ま日てりわたる」

           古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「梅咲くや 信濃のおくも 草履道」一茶

〔和歌〕

「ちりのこる かきねがくれの 梅がえに

         鶯なきぬ 春の夕ぐれ」

           権大納言長家・玉葉81

「散り残っている、垣根のかげの目立たない梅の枝に、鶯が鳴いたよ、春の夕暮に。」

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈浄瑠璃寺にて〉

「じやうるりの なをなつかしみ みゆきふる

          はるのやまべを ひとりゆくなり」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》56

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

【伏して以(おもんみ)れば、弟子流伝生死の程、三界六道の間、苦海波高くして、未だ大悲の船を感じず。長夜闇深くして永く解脱の路を失う。闇より闇に移り、弥(いよいよ)大覚の光に背き、波より波に沈んで、遠く涅槃の岸に離るる。然る間、適(たまたま)人間の波に浮び、船師大船師の法を聞く。希(まれ)に佛日の光に照らされて、導師大導師の教えを被(こうむ)る。喜ぶべし喜ぶべし、仰ぐべし仰ぐべし。然れども居を東桑(とうそう)の堺に卜(ぼく)し、隨順法律(ずいじゅんほうりつ)の知識を見ず。生を澆末(ぎょうまつ)の際に受け、永く如説修行の軌範を失う。ここを以て早年の齢にして、髪を剃り衣を改め、憗(なまじ)いに形を沙門に似せ、愚駿(ぐしゅん)の意(おもい)のままで壇に登り、戒を望み、猥(みだ)りに名を比丘に仮り、五篇七聚(ごひんしちしゅう)の禁戒、殆ど其の名を聞かず。三衣六物(さんねろくぶつ)の資具(しぐ)、都(すべ)て其の相を見ること無し。已に無戒の類に及ばず、寧ろ持犯(じぼん)の名を論ずること有らんや。之に加え、常に大小の伽藍に汗し、仏法僧宝の敬田(きょうでん)に背き、鎮(とこしな)へに甲乙の信施を受けて、拙(つたな)く鉄丸洋銅(てつがんようどう)の業因を積む。師匠は弁(わきま)えること無く、同伴は共に迷ふ。然り而して、日月は馳せるが如し。生年三十有余星霜、頻りに移って、剃髪より亦二十年に及ぶ。空しく隣家の宝を算(かぞ)ふ。自ら前非を知り、半銭の利を擬(なぞら)ふ。】

・東桑=東方の果ての地。

・卜=えらぶ。うらなって選び定める。

・隨順法律=法律は仏法と戒律。隨順は心から信じて従うこと。

・澆末=澆季末世。澆は軽薄、季は末の意。道徳が衰え人情の浮薄となった時代。末世は末法の世、仏法のおとろえた世。

・なまじいに=出来そうもないことを無理にするさま。

・愚駿=すぐれているわけでもなく、おろかな。

・五篇七聚=律の戒法を違犯した場合の罪の軽重を五または七に分類するもの。波羅夷、僧残、波逸提法、波羅提提舎尼、突吉羅の五篇に偸蘭遮、悪説を加えて七聚。

・三衣六物=比丘が個人所有を許された三つの衣(僧伽梨・大衣、鬱多羅僧・上衣、安陀会・下衣)と鉢(鉄鉢、応量器)、座具、漉水嚢(水こしの袋)。

・資具=使用する器具。什器。

・持犯=持戒と犯戒

・敬田=福田(善い行いの種をまいて功徳の収穫を得る田んぼの意)の一つで、仏法僧など尊敬すべき対象。

・甲乙=だれかれ。信者。

・鉄丸洋銅=鉄のかたまり、熔けた銅。口に入れても身につくものとならないものの喩え。

(つづく)

* 中川寺成身院のこと

本年新刊の『事典 日本の仏教』(蓑輪顕量編)という本を見ていて、中ノ川寺の記事を見つけました。「中世の仏教」の章にある「南都教学の研鑽」(野呂靖著)という項目の中(p.327)です。おどろくことに鎌倉新仏教の代表格である浄土真宗の僧が南都の中ノ川寺で修学されていたのです。これはあまり知られていない新知見です。

[・・・なかでも律・倶舎・三論・成実・法相・華厳の六宗は、南都諸寺院において伝統的に教学の継承が行われていた。そのため、真言や浄土系の他宗の僧侶であっても、幼少時から南都に留学し、基礎的な教理の研鑽を積むことは、一般的であった。

 たとえば、南北朝期における浄土真宗の事例をみておこう。親鸞のひ孫にあたる本願寺第三世覚如(かくにょ)の長男存覚(ぞんかく)は、乾元(けんげん)元年(1302)、十三歳の年に東大寺で受戒した後、大和の中川成身院に止住していた円月(えんがつ)上人慶海(きょうかい)のもとで本格的な修学を開始した。成身院は、真言宗僧である中川実範(じっぱん、?―1144)の創建にかかる興福寺の別所であり、中世における仏教研究の中心地の一つとして重要な院家であった。そこでの存覚による学びは、やはり論義が中心であり、慶海の師にあたる良寛已講(いこう、三会の講師の公請を受け、勤め終った僧を指す称号)より論義の作法を学んでいるほか、興福寺発心院覚意の講義を聴講するなど、「興福寺の交衆(きょうしゅう)」として「顕宗を好んでいた」と伝えられている(『常楽台主老衲一期記(じょうらくだいしゅろうのういちごき)』)。存覚は、親鸞の『教行信証(きょうぎょうしんしょう)』に対するはじめてのまとまった注釈書『六要抄(ろくようしょう)』を撰述したほか、浄土思想を基軸とする諸宗の教理概説書を著述するなど(『歩船鈔(ぶせんしょう)』)、親鸞の思想を諸宗教学のなかに位置づける作業を推し進めたが、その教学の背景には、法相教学を中心とする南都における「顕教」の学びが存在したといえよう。]

(吉川弘文館発行。201421日刊。定価・本体4200円)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

ことしの奈良観光活性化のための奈良市の企画、「珠光茶会」は結構な催しだと思います。成功を祈ります。その協力寺院の中には、真言律宗の西大寺と元興寺が入っていますね。真言律宗の宗務長は浄瑠璃寺の佐伯快勝師ですよ。奈良市の企画に協力させておいて、その一方で寺の環境破壊ですか。そんなことが許されるのでしょうか。

だいたい歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか、もういちど出発点に戻ってよく考えてください。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

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2014年3月 8日 (土)

般若寺 春の花だより 3・8

《般若寺 春の花だより》

〇水仙:≪満開すぎました≫ 寒咲水仙・一重咲、八重咲。2万本。

・さざんか(山茶花):≪満開≫

・梅 :≪みごろ≫

・福寿草:≪みごろ≫

・沈丁花:≪つぼみ≫

○春から初夏に咲くコスモス:4月下旬~6月下旬 13種類

ビニールハウスの苗床で育てています。1月末から種まきを始め、ようやく芽が出て本葉が見えてきました。

*〔短歌〕

「日もすがら 火の気あらざる 家ぬちに

         夕さり寒く 帰り来にけり」

           古泉千樫・青牛集

〔俳句〕

「鶯が 呑んでから汲 古井哉」一茶

〔和歌〕

「春たちて さかばと思ひし 梅の花

        めづらしみにや 人のおるらむ」

          貫之・風雅72

「春になって、咲いたらながめようと思っていた梅の花を、珍しいからだろうか、人が折って行くらしいよ。」

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈香薬師を拝して〉

「ちかづきて あふぎみれども みほとけの

         みそなはすとも あらぬさびしさ」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*今日は吉野山の村上義光公と子息義隆公のお墓詣りに行きます。村上義光といえば、大塔宮を落ち延びさせるため、宮の身代わりになって敵兵の前で立ち腹を切って自害した忠臣として名高い武将ですが、今も吉野山の旧参道沿いに立派な宝篋印塔がたっています。昨年、ボランティアの般若寺美咲会代表の加藤さんと吉野山を訪ねたときお墓にお詣りして、次回には周囲の清掃を約束したのです。花の季節は人で込み合うのでそれまでにということで本日になりました。現地の寺院の方々と美咲会の共同作業で参加者はどうやら20人を超えそうです。私は、去年本ブログに連載した、太平記の「吉野城の戦」の段を冊子にまとめたものを持参します。

*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》55

西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「其の願文に曰く、

【 佛子叡尊敬って、蓮華台上の廬遮那如来、葉上葉中の諸釈迦牟尼、大小権実、一切正法、小乗大乗、賢聖衆僧、殊に別しては、一代本師牟尼善逝(むにぜんぜい)、滅後大師波羅提木叉(はらだいもくしゃ)、三世覚母曼殊支利(まんじゅしり)、一生補処梅多梨耶(ばいたりや)、諸佛受戒三大菩薩、迦葉優婆梨等集律聖衆、龍樹無着等伝法諸師、現前勧請の両阿闍梨耶、証明受戒の和合衆僧、梵釈四王、龍神八部三部五部、三界五類護法の天等、惣じては微塵刹土、帝網重々(たいもうじゅうじゅう)、一切の三宝、護法の境界に白(もう)して言(もう)さく。】

・牟尼善逝=釈迦牟尼如来

・波羅提木叉=戒本。戒条。

・曼殊支利=文殊師利菩薩。

・梅多梨耶=弥勒菩薩。

・梵釈四王=梵天、帝釈天、四天王。

・八部衆=仏法護持の異類。天、龍、夜叉、乾ダツ婆、阿修羅、迦楼羅、緊那羅、摩喉羅迦。

・三界=欲界、色界、無色界。

・微塵刹土=ごくこまかな国土。

・帝網重々=帝釈天(因陀羅)宮にある宝網で、結び目にある珠玉が互いに映じ合って無限に輝く関係で、華厳の「重々無尽」を表す。

(つづく)

* 中川寺成身院のこと(再掲)

本年新刊の『事典 日本の仏教』(蓑輪顕量編)という本を見ていて、中ノ川寺の記事を見つけました。「中世の仏教」の章にある「南都教学の研鑽」(野呂靖著)という項目の中(p.327)です。おどろくことに鎌倉新仏教の代表格である浄土真宗の僧が南都の中ノ川寺で修学されていたのです。これはあまり知られていない新知見です。

[・・・なかでも律・倶舎・三論・成実・法相・華厳の六宗は、南都諸寺院において伝統的に教学の継承が行われていた。そのため、真言や浄土系の他宗の僧侶であっても、幼少時から南都に留学し、基礎的な教理の研鑽を積むことは、一般的であった。

 たとえば、南北朝期における浄土真宗の事例をみておこう。親鸞のひ孫にあたる本願寺第三世覚如(かくにょ)の長男存覚(ぞんかく)は、乾元(けんげん)元年(1302)、十三歳の年に東大寺で受戒した後、大和の中川成身院に止住していた円月(えんがつ)上人慶海(きょうかい)のもとで本格的な修学を開始した。成身院は、真言宗僧である中川実範(じっぱん、?―1144)の創建にかかる興福寺の別所であり、中世における仏教研究の中心地の一つとして重要な院家であった。そこでの存覚による学びは、やはり論義が中心であり、慶海の師にあたる良寛已講(いこう、三会の講師の公請を受け、勤め終った僧を指す称号)より論義の作法を学んでいるほか、興福寺発心院覚意の講義を聴講するなど、「興福寺の交衆(きょうしゅう)」として「顕宗を好んでいた」と伝えられている(『常楽台主老衲一期記(じょうらくだいしゅろうのういちごき)』)。存覚は、親鸞の『教行信証(きょうぎょうしんしょう)』に対するはじめてのまとまった注釈書『六要抄(ろくようしょう)』を撰述したほか、浄土思想を基軸とする諸宗の教理概説書を著述するなど(『歩船鈔(ぶせんしょう)』)、親鸞の思想を諸宗教学のなかに位置づける作業を推し進めたが、その教学の背景には、法相教学を中心とする南都における「顕教」の学びが存在したといえよう。]

(吉川弘文館発行。201421日刊。定価・本体4200円)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の心ある人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残っています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

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