般若寺 春咲コスモス 花だより 5・14
《般若寺 春咲コスモス 花だより》
○春咲コスモス:≪咲きはじめ≫
花期・4月下旬~7月上旬 13種類 3万本
見ごろは今月下旬から。
・花菱草、矢車草、シャガ:≪見ごろ≫
・グラジオラス、テッセン:≪見ごろ≫
・梅花空木、黄ショウブ:≪見ごろ≫
・山アジサイ、:≪つぼみ≫
・バナナの木(からたねおがたま):バナナのかおりがする花
*〔短歌〕
〈わが兄三人皆夙く逝く〉
「郭公の 啼くこゑ近し ちちのみの
父のへに居て 飯食ふ我は」
島木赤彦・氷魚
〔俳句〕
「姨捨の くらき中より 清水かな」一茶
〔和歌〕
「榊とる 比とはしるし 白妙に
ゆふかけわたす 森の卯花」
前大納言為家・玉葉303
「榊を取って祭の用意をする頃だという事がはっきりとわかるよ。まっ白に、その榊につける木綿四手をかけ渡したように咲いている、森の卯の花を見れば。」
*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》
〈鐘楼〉
「ひさしくも つかざるかねは はるのひに
ぬくもりてあり ねむれるがごと」
〈東京にかへるとて〉
「あをによし ならやまこへて さかるとも
ゆめにしみえこ わかくさのやま」
〈東京にかへりて後に〉
「ならやまを さかりしひより あさにけに
みてらみほとけ おもかげにたつ」
「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。
*《『西大勅諡興正菩薩行実年譜』を読む》122.
西大勅謚興正菩薩行実年譜 巻中
(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)
「 然れば則ち、善願を興し一塵を捧ぐるの人、施行に預かり一食を受くるの輩、永く貪欲の着(とんよくのちゃく)を離れ、遂に禅悦(ぜんえつ)の味を甞めんことを。嗟呼(ああ)、日に居ること馳するが如く、白駒の景(はっくのけい)繋ぎがたし。夜台(やだい)は遠きに非ず。屠羊(とよう)の歩み漸く近し。一たび息空しく絶えなば、千悔(せんげ)何の益かあらん。急ぎても猶急ぐべし。励みても亦励むべきものかな。先ず功徳を捧げ聖朝(しょうちょう)を祈り奉る。次に景福(けいふく)を分ち、普く法界を利せん。惣じては、此の大聖に纔(わずか)なりとも小因を結べる者、順縁逆縁(じゅんえんぎゃくえん)なりとも般若の勝智を得。有性無性(うしょうむしょう)も同じく菩提の善信を生ず。乃至、遠近の諸寺梵閣基(もとい)堅く、顕密の学侶、法灯の光朗(あきらか)ならんこと。敬って白す。
文永五(原本六)年三月廿五日 沙門叡尊敬白 已上願文 】」
・白駒の景=景は影。出典不明。
・夜台=意味不明。
・屠羊の歩み=死に近づいていること。
・千悔=千回の懺悔。
・聖朝=朝廷。仏の加護を受けた聖なる国。
・景福=大きな幸い。
・順縁逆縁=順縁は世間の道理、因果、人倫などに逆らわない順当な仏縁。逆縁は道理、因果、人倫にもとるような悪しき事柄を機縁として仏道に入る縁をいう。
・有性無性=仏性(仏となる素質、可能性)有るものと無いもの。。
(この『般若寺文殊菩薩像造立願文』は般若寺所蔵で現存。重要文化財指定、東京国立博物館に寄託中。)
(つづく)
*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》
日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。
*昨日(2014.5/13)の奈良新聞第1面報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、昨年8月から休止状態となり、今年2月13日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。
これはどういうことになっているのでしょう。こう着状態ですね。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。
*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点
1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。
2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。
3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。
❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。
〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。
中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。
*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。
そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは
「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。
さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、
「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。
仲川げん」
という文章になっています。
立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。
歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。
*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体
「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」
*この問題を詳しく知りたい方は、
ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。
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