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2014年6月

2014年6月30日 (月)

般若寺 初夏咲きコスモス 花だより 6・30

《般若寺 花だより》

初夏に咲くコスモス:≪見ごろ≫7月6日頃終えます。

いま花ざかりです。スーパービッキー、ソナタ、シーシェル、ピコティ、サイケ、ダブルクリック、センセーション、ベルサイユなどの新品種は一つ一つの花が大きく、形が整い、色鮮やかです。

花期・春から7月上旬まで。

 13種類 3万本。

・秋海棠(しゅうかいどう):≪咲きはじめ≫

花期・7月~9月 赤白二種類 200

・ひつじぐさ:≪咲きはじめ≫

・姫睡蓮、あじさい、山アジサイ:≪見ごろ≫

*〔短歌〕

〈妻と子〉

「富士見原 低木はんの木 埋るるばかり

        五月雨の草の 茂りあひあり」

          島木赤彦・氷魚

〔俳句〕

「しらしらと 白髪も見えて 蚊やり哉」一茶

〔和歌〕

「はしちかみ うたたねながら 深くる夜の

         月の影しく 床ぞ涼しき」

           従三位盛親・風雅384

「縁先近い所で、うたたねをするままに更けて行く夜の、月光を敷いて寝る床は、本当に涼しいことだ。」

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『山光集』『鹿鳴集』より。》

〈榛名〉

「きしゆけば あさのまさごに おほきなる

         こひしにてあり やまのみづうみ」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む》169

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「 十二月、西室院を建つ。本師釈迦牟尼仏を本尊と為す。又自ら影像を刻んで、以て其の側に安んじ、専ら興法利生(こうぼうりしょう)を祈る。

 表白(ひょうはく)に曰く、

 

【興法利生表白

 敬って真言教主、三世常住 摩訶毘廬遮那如来、金剛界会三十七尊、九会曼荼羅中諸尊聖衆、幷に大悲胎蔵八葉蓮台、四智四行十三大会塵刹聖衆、外金剛部護法天等、殊には宝生宝部、一字金輪、大転輪王、都(すべ)て仏眼所照の帝網重々三宝に白して言(もう)さく。

 夫れ以(おもんみ)れば、含識本有(がんしきほんぬ)の仏性は、聖教に因って顕れ、正覚能詮の勅命は信行を以て弘まる。然るに今、五濁外に逼るが故に、経律論を受学するを疎かにす。三毒は内に猛きが故に、戒定恵を修行するに倦(う)む。勝他(しょうた)の為に、枉(ま)げて三蔵を習う。利養(りよう)の為に強いて勤行を企つ。意に任せて三宝の財物を盗用し、愚(ぐ)に隨いて貴賤の信施を得んことを望む。出離の用法、忽ちに受苦の縁と成り、解脱の修行、反って流転の因を増す。必堕阿鼻獄(あびごく)の誠説、甚だ怖るべき哉。冥より冥に入るの金言、深く悲しむべき哉。是に於いて弟子、適(たまたま)人身を受けて幸いに仏教に遇う。宿福深厚なり。喜びても余り有り。」

・興法利生=釈尊の正法(菩薩戒)を興隆し、衆生を利益すること。

・表白=ヒョウヒャク、ヒョウビャクとも。啓白ともいう。法会や修法の際にその趣旨や願いなどを仏前に申し述べること。

・含識本有=含識はゴンシキとも。識(心のはたらき)を有するもの、すなわち衆生、有情をいう。本有は本来からそなわっていること。

・利養=利欲をむさぼって自分の身をこやすこと。

・勝他=他者に打ち勝つこと。

・愚=おろかな心。

・阿鼻獄=八大地獄の第八。五逆・謗法の大悪を犯した者が、ここに生まれ、間断なく剣樹・刀山・鑊湯(かくとう)などの苦しみを受ける。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

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2014年6月29日 (日)

般若寺 初夏咲きコスモス 花だより 6・29

《般若寺 花だより》

初夏に咲くコスモス:≪見ごろ≫7月6日頃終えます。

いま花ざかりです。スーパービッキー、ソナタ、シーシェル、ピコティ、サイケ、ダブルクリック、センセーション、ベルサイユなどの新品種は一つ一つの花が大きく、形が整い、色鮮やかです。

花期・春から7月上旬まで。

 13種類 3万本。

・姫睡蓮、あじさい、山アジサイ:≪見ごろ≫

・キョウチクトウ:≪見ごろ≫

・ひつじぐさ:≪咲きはじめ≫

・秋海棠(しゅうかいどう):≪咲きはじめ≫

花期・7月~9月 赤白二種類 200

*〔短歌〕

〈妻と子〉

「汽車のなかに 来つる夏野の 青き虫

         爪もて弾き 飛ばしつるかも」

           島木赤彦・氷魚

〔俳句〕

「鵜の真似は 鵜より上手な 子供達」一茶

〔和歌〕

「いでてのち まだ程もへぬ 半天(なかぞら)に

         かげしらみぬる みじか夜の月」

         入道前太政大臣(洞院公守)・玉葉385

「出てからまだいくらも時がたっていないのに、空の半ばにあって早くも明け方近く、光が衰えて白々となってしまう、夏の短夜の月よ。」

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『山光集』『鹿鳴集』より》

〈榛名〉

「しろがれに かれたつかやの なかにして

         つつじはもゆる みづうみのはてに」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む》168

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「 十一月一日、額安寺に臻(いた)って本尊虚空蔵菩薩開光仏事を修す。菩薩修補記文に曰く、

 

【此の虚空蔵菩薩は道慈(どうじ)律師の彫刻する所也。律師、姓は額田氏、添下郡の人也。入唐求学する時、善無畏三蔵に隨って虚空蔵求聞持の法を伝え、帰朝して之を善議に授け、而して後勤操(ごんぞう)弘法次第に此の法を弘通す。律師曾て此の像を刻み、額安寺に安置し、常にこれを持念す。爾るより以来五百余載を歴(へ)て、尊像猶お存すれども損壊して全(まった)きからず。是に由って仏工法橋善春に命じて再び之を修補し、絵師法橋明澄に命じて之を綵色し、修飾已に成り当寺に安鎮し奉る者也。

 弘安五年十一月一日 沙門叡尊之を記す。】」

・道慈=三論宗大安寺流の祖。入唐して三論と密教を学ぶ。

・虚空蔵求聞持法=虚空蔵菩薩を本尊として修する行法で、頭脳を明快にし、記憶力を増大するものとされ、空海が入唐前に勤操から授かる。。

・勤操=三論宗。岩淵僧正。大安寺に学び東大寺別当、空海の師。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

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2014年6月28日 (土)

般若寺 初夏咲きコスモス 花だより 6・28

《般若寺 花だより》

初夏に咲くコスモス:≪見ごろ≫

いま花ざかりです。スーパービッキー、ソナタ、シーシェル、ピコティ、サイケ、ダブルクリック、センセーション、ベルサイユなどの新品種は一つ一つの花が大きく、形が整い、色鮮やかです。

花期・春から7月上旬まで。

 13種類 3万本。

・姫睡蓮、あじさい、山アジサイ:≪見ごろ≫

・キョウチクトウ:≪満開≫

・ひつじぐさ:≪咲きはじめ≫

・秋海棠(しゅうかいどう):≪咲きはじめ≫

花期・7月~9月 赤白二種類 200

*〔短歌〕

〈妻と子〉

「夜おそく わが手を洗ふ 縁のうへに

        匂ひ来るは 胡桃の花か」

          島木赤彦・氷魚

〔俳句〕

「リンリンと 凧上がりけり 青田原」一茶

〔和歌〕

「雨はるる 軒のしづくに 影みえて

        あやめにすがる 夏のよの月」

         後京極摂政前太政大臣・風雅381

「雨の晴れるにつれて、軒の雨滴にその光が映って、さながら葺いた菖蒲に取りすがるかのように葉の縁で輝いている、夏の夜の月よ。」

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『山光集』『鹿鳴集』より》

〈榛名〉

「おほならに こなしさきそふ みづうみの

         きしのいはほに つるはなにうを」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む》167

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「 六月二日、右近将監平朝臣陸奥守平朝臣の奉書(ほうしょ)を得て、西琳寺境内に於いて、以て殺生狼藉執務等の事を禁止す。七月、胎蔵界梵漢和鏡全部八巻、初めて觚(こ)を操(と)り、臘月廿三日亥時に至り筆を絶す。菩薩齢八旬に越ゆれども、筆記倦むこと無く、其の顕密法門に於いて勤労すること斯くの如し。兒孫奚(なん)ぞ其の鴻恩を擔負(たんぷ)せざらんや。八月九日、亀山法皇親しく宸翰(しんかん)を染め、懇請して法を聴く。勅宣して菩薩戒を皇女に授けしむ。

 既に西大に還り衆の為に南山四分戒本疏を講演す。十月、請いを請け菩薩戒経を紀の粉河寺に於いて講布す。満座の日、菩薩戒を受ける者、道俗二千七百余人。廿一日、泉の久米田寺に届いて入仏会(にゅうぶつえ)を開き、因って乞匈(きっきょう)数千人を集めて食を施し、饑を飼(やしな)い、授くるに斎戒を以てす。廿三日、長承寺に於いて菩薩戒を三百六十余人に授く。廿四日、大鳥大明神に詣で大般若経を転読す。翌日神鳳寺に於いて般若会を開く。廿六日、河の真福寺に之(ゆき)て、又法会を建つ。廿八日、北大和寺(きたやまとじ)に届き会を開き食を施す。其の施に預かる者二千有余人。」

・奉書=上意を奉じて侍臣・祐筆らが下す命令の文書。

・觚=文字を記すのに用いた木の札。

・擔負=にないおう。

・宸翰=天子の直筆の書き物。

・入仏会=新たに仏像を迎え入れて安置する法会。入仏供養。

・乞匈=ものごいをする人。

・北大和寺=真弓山長久寺(まゆみさんちょうきゅうじ)。現真言律宗末寺、生駒市所在。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

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2014年6月27日 (金)

般若寺 初夏咲きコスモス 花だより 6・27

《般若寺 花だより》

初夏に咲くコスモス:≪見ごろ≫

いま花ざかりです。スーパービッキー、ソナタ、シーシェル、ピコティ、サイケ、ダブルクリック、センセーション、ベルサイユなどの新品種は一つ一つの花が大きく、形が整い、色鮮やかです。

花期・春から7月上旬まで。

 13種類 3万本。

・姫睡蓮、あじさい、山アジサイ:≪見ごろ≫

・キョウチクトウ:≪満開≫

・ひつじぐさ:≪咲きはじめ≫

・秋海棠(しゅうかいどう):≪つぼみ≫

花期・7月~9月 赤白二種類 200

*〔短歌〕

〈妻と子〉

「草家に しみじみ妻と 坐りけり

       桑のはたけに 雨ふる音す」

         島木赤彦・氷魚

〔俳句〕

「白雲を 袂に入て 袷かな」一茶

〔和歌〕

「うかひ舟 さほさしつづき のぼるらし

        あまたみえゆく 篝火の影」

          藤原俊言朝臣・玉葉382

「鵜飼舟が、連れだって棹をさして上流に遡って行くらしい。沢山見えて動いて行く、篝火の光りよ。」

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『山光集』『鹿鳴集』より》

〈榛名〉

「はるやまの ならのわかばに なくせみの

         くぐもりてのみ わがよはをへむ」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む》166

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「(弘安)五年壬午(みずのえうま)

 菩薩八十二歳。正月十四日申時、伝法灌頂胎蔵界詮要私記一巻、之を筆記し訖る。十七日酉時、伝法灌頂護摩詮要私記一巻、其の筆を絶す。二十八日、特に左中辨公成卿に命じて宣旨を賜い、一七箇日殊に精誠を致し、以て天下静謐を祈る。二月七日、更に胎蔵界詮要私記鈔一巻を製す。又、覆勘(ふくかん)す。十二日、亦同鈔一巻を撰す。三月五日申時、伝法灌頂支分詮要鈔一巻を製作す。翌日申時、之を覆勘す。四月、徒衆の為に表無表章を講ず。講已(おわっ)て嘱して曰く、此の章は相家(そうけ)枢要の玉典、律門再興の宝鑰(ほうやく)なり。我が後裔必ず之を依学すべし。」

・覆勘=繰り返し審査する。

・相家=法相宗

・宝鑰=宝蔵の鍵。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

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2014年6月26日 (木)

般若寺 初夏咲きコスモス 花だより 6・26

《般若寺 花だより》

本日12時ごろ、当寺境内で非核平和な世界をめざす「国民平和大行進」の引き継ぎ集会があります。東京を出発して広島・長崎まで全国の津々浦々を歩いておられます。いま戦争への道を歩んでいるこの国で、平和を求めて行動している人々がおられることは尊いことです。

初夏に咲くコスモス:≪見ごろ≫

いま花ざかりです。スーパービッキー、ソナタ、シーシェル、ピコティ、サイケ、ダブルクリック、センセーション、ベルサイユなどの新品種は一つ一つの花が大きく、形が整い、色鮮やかです。

花期・春から7月上旬まで。

 13種類 3万本。

・姫睡蓮、あじさい、山アジサイ:≪見ごろ≫

・キョウチクトウ:≪満開≫

・ひつじぐさ:≪咲きはじめ≫

・秋海棠(しゅうかいどう):≪7月~9月開花≫

*〔短歌〕

〈妻と子〉

「ははそはの 母が手枕(ま)きて 眠りたる

        我が子の顔を 見たり夜半(よなか)に」

          島木赤彦・氷魚

〔俳句〕

「夕飯の 膳の際(きは)より 青田哉」一茶

〔和歌〕

「かげしげき 木のしたやみの くらき夜に

         水の音して くゐな鳴くなり」

           永福門院・風雅376

「葉陰の深い、木の下闇の大変暗い夜に、どこかで水の音がして、水鶏の鳴くのが聞える。」

・くゐな=水鳥。水辺にすむクイナ科の鳥。初夏に戸をたたく音に似た声で鳴く。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『山光集』『鹿鳴集』より》

〈榛名〉

「ならのはは いまをはるびと わがたてる

         つかのあひだも のびやまざらむ」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む》165

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「 十二月、法華寺に届いて仏舎利を数う。其の記文に曰く、

 

【去る文永七年算計の時は、二千六十三粒云々。今弘安四年辛巳十二月十六日、新殿を結構し之を移納し奉る。次に重ねて勘計の処、二千四十粒也。彼の文永の算計は一遍(返)也。猶不審相残るの間、今の度は請誠(せいせい)を致し、二遍(返)之を算し奉るの処、二十三粒減じたまい畢(おわ)んぬ。先の度は謬(あやま)る所歟。凡そ出没(しゅつぼつ)は時に依る。一定すべからざる者歟。 叡尊】」

・請誠=精誠か。まじりけなく誠実なこと。まごころを尽すこと。

・出没=あらわれたり隠れたりする。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

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2014年6月25日 (水)

般若寺 初夏咲きコスモス 花だより 6・25

《般若寺 花だより》

本日は月例の御本尊文殊菩薩御縁日で、午後一時半から法要を勤めます。

初夏に咲くコスモス:≪見ごろ≫

いま花ざかりです。スーパービッキー、ソナタ、シーシェル、ピコティ、サイケ、ダブルクリック、センセーション、ベルサイユなどの新品種は一つ一つの花が大きく、形が整い、色鮮やかです。

花期・春から7月上旬まで。

 13種類 3万本。

・姫睡蓮、あじさい、山アジサイ:≪見ごろ≫

・キョウチクトウ:≪満開≫

・ひつじぐさ:≪咲きはじめ≫

・秋海棠(しゅうかいどう):≪7月~9月開花≫

*〔短歌〕

〈妻と子〉

「闇のなかの 雨の音澄み 降りしきり

         草家ぬちの けはひは聞ゆ」

           島木赤彦・氷魚

〔俳句〕

「夕飯も 山水くさき わか葉哉」一茶

〔和歌〕

「かつら人 月の光の ささぬよも」

        のぼる鵜舟に さほはとるらし

        入道前太政大臣(西園寺実兼)・玉葉379 

「桂の里人は、月の光の射さない夜にも、川を遡る鵜舟のために棹を取り、川底をさしながら上って行くらしいよ。」

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『山光集』『鹿鳴集』より》

〈榛名〉

「いたりつく やまのみずうみ おほならの

         ひろはゆたけく かげろへるかも」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む》164

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「 八月十一日、菩薩又詔を奉って、五百余口の徒僧を領し、大蔵(だいぞう)を石清水に慶讃(けいさん)して以て神威を倍増す。

 帝、群臣を率いて臨幸す。是は降伏異賊の神験を喜びたまうに由って也。而して又、伊勢風社を以て褒(ほう)して風宮と号す。十四日、西念寺に届かる。菩薩戒を求受する者、二百余人。而して後、摂の多田院に往きて七日説法す。廿一日、菩薩戒を受くる者、四百十余人。廿二日、天王寺に至る。廿五日、毘廬遮那院に就いて、大曼荼羅供を修す。又、菩薩戒を四百余人に授く。九月初朔、西琳寺に於いて、又、大曼荼羅供を修す。十月、生駒谷(柳本釜の口の誤りか)長嶽(岳)寺霊山院に届く。伝法本師(でんぼうほんし)の遠忌を迎え、七箇日法会を開く。以て慈蔭(じいん)を酬いる。六日、菩薩戒を受くる者三百五十余人。其の前の四日、十月三日、左衛門権佐頼藤を以て宣旨を賜い、西琳寺境内の築垣を修治す。」

・大蔵=すべての経典を入蔵する一切経、大蔵経。宋版では五千数百巻。

・慶讃=キョウサンとも。仏像、堂塔、経巻の完成を喜びたたえる仏事。

・褒=ほめる。ほめたたえる。

・伝法本師=伝法灌頂の師、長岳寺霊山静慶。

・慈蔭=慈悲、慈愛のおかげ。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

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2014年6月24日 (火)

般若寺 初夏咲きコスモス 花だより 6・24

《般若寺 花だより》

初夏に咲くコスモス:≪見ごろ・八分咲き≫

いま花ざかりです。スーパービッキー、ソナタ、シーシェル、ピコティ、サイケ、ダブルクリック、センセーション、ベルサイユなどの新品種は一つ一つの花が大きく、形が整い、色鮮やかです。

花期・春から7月上旬まで。

 13種類 3万本。

・姫睡蓮、あじさい、山アジサイ:≪見ごろ≫

・キョウチクトウ:≪満開≫

・ひつじぐさ:≪咲きはじめ≫

・秋海棠(しゅうかいどう):≪7月~9月開花≫

*〔短歌〕

〈妻と子〉

「はるばるに 帰り来りて 戸を叩き

        梅雨の草家(くさや)の 眠りは深し」

          島木赤彦・氷魚

〔俳句〕

「しんとして 若葉の赤い 御寺哉」一茶

〔和歌〕

「ますらをや は山わくらむ ともしけち

         蛍にまがふ ゆふやみのそら」

           皇太后宮大夫俊成・風雅375

「たくましい男らが、端山を分けて行くのだろう。あの伊勢物語の「ともしけち」の歌の話の蛍かと見まがうように、夕闇の空の下に点々と見える(照射の)光よ。」

・ますらを=勇ましい男子。ここでは照射をする男らをいう。

・ともしけち=照射の火が蛍に似る事をいう。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『山光集』『鹿鳴集』より》

〈榛名〉

「かみつけの  そらのみなかに かがよへる

        くもはしづけし いにしへもかく」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む》163

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「 是の時に当り、西海に浪騰(あが)ること二十余丈、兵船数万一時に滔没(とうぼつ)す。宇佐大神(うさのおおみかみ)託して曰く、西大思円上人、国家の為に災いを穣(攘ヵ、はら)わんと欲し、男山に就いて法会を開く。是に由り六十余州の諸神祇、悉く皆な大宰府に至り、今夜の子の刻、正に兵船覆滅(ふくめつ)の時なり。菩薩の道力(どうりき)是くの如し。茲れ豈に独り仏神の奇跡を顕わすことのみならんや。誠に以て国家の有道(ゆうどう)を彰(あらわ)すこと有るなり。近臣入りて其の事を奏す。天顔(てんがん)大いに悦び、即ち二條大納言資秀卿に勅して菩薩を宮中に請じて、一七日を慰労すること慇懃にす。錫賚(せきらい)便蕃(へんはん)なり。因みに大多勝院に於いて、天皇、菩薩大戒を受けて弟子の礼を執る。皇后貴嬪、皆な斎戒を受く。縉紳頂謁すること前年に倍万す。傾誠尊仰せざること莫れ。其の殿中より出づる所の鏑矢(かぶらや)は、菩薩、従来持念する所の愛染明王、執持する所の矢也。又衆僧の交名一巻、修法注録二巻、八幡宮神殿に奉納すと云う。」

・滔没=滔は水が広がりみなぎる。沈没。

・宇佐大神=大分県宇佐市にある宇佐八幡宮。祭神は誉田別尊(ほんだわけのみこと)・比売(ひめ)大神・大帯姫命(おおたらしひめのみこと)。

・覆滅=くつがえりほろびる。

・道力=法力。仏法の功徳力、威力。仏道を修行して得た不思議な力。

・有道=道理、正義があること。

・天顔=天子の顔。竜顔。ここでは亀山上皇の尊顔。

・錫賚=労をねぎらって賜うもの。錫は僧が使う杖。賚はたまう、ねぎらう。

・便蕃=くつろぎに浸ること。便はやすらぎ、くつろぎ。蕃は多い、さかんである。

・鏑矢=蕪の形で穴をあけてあり、飛ぶ時音を発する。なりや、鳴箭。。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

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2014年6月23日 (月)

般若寺 初夏咲きコスモス 花だより 6・23

《般若寺 花だより》

初夏に咲くコスモス:≪見ごろ・八分咲き≫

いま花ざかりです。スーパービッキー、ソナタ、シーシェル、ピコティ、サイケ、ダブルクリック、センセーション、ベルサイユなどの新品種は一つ一つの花が大きく、形が整い、色鮮やかです。

花期・春から7月上旬まで。

 13種類 3万本。

・姫睡蓮、あじさい、山アジサイ:≪見ごろ≫

・キョウチクトウ:≪満開≫

・ひつじぐさ:≪咲きはじめ≫

・秋海棠(しゅうかいどう):≪7月~9月開花≫

*〔短歌〕

〈帰省〉

「青葉の窓 あやに明るみ 削り氷(ひ)ゆ

        白き蒸気(いき)たつ 昼深みかも」

          島木赤彦・切火

〔俳句〕

「五月雨や 烏あなどる 草の家」一茶

〔和歌〕

「とをちより 吹きくる風の 匂ひこそ

         花橘の しるべなりけれ」

           郁芳門院安芸・風雅376

「遠くの方から吹いて来る風のよい匂いこそは、花橘の咲いている場所を知らせる、案内役であるよ。」

・とをち=遠方。「ち」は方向を示す(いづち・何方、こち・此方等)語。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈榛名〉

「かみつけの くにのかぎりと たつくもの

         ひまにもしろき ほたかねのゆき」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む》162

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「 又、比丘僧八百余員を率いて城州男山八幡宮に至り、廿五日より閏七月一日に至るまで、七日の期を限り、毎日二時、八百座仁王会を開き、夜分には愛染不動等の七壇護摩秘法を修す。菩薩は中壇に就いて、愛染明王尊勝法を修す。伴僧は高弟長禅(幸尊)律師、隨覚(鏡慧)律師等一百人。不動の法は導師本照(性瑜)律師、伴僧智性(永忍)比丘等七十人。軍荼利の法は導師慈道(信空)律師、伴僧圓智(祐算)比丘等七十人。降三世の法は導師興道(玄基)律師、伴僧浄願(源意)比丘等七十人。大威徳の法は導師雙圓律師、伴僧律道比丘等七十人。金剛夜叉の法は導師観心(禅海)律師、伴僧教律(禅意)比丘等七十人。太元の法は導師日浄(惣持)律師、伴僧観玄(璋尊)比丘等七十人。其の余の衆僧三百余人は共に同じく仁王経大陀羅尼を念誦す。其の音声は天地に響き山川を動かす。貴賤詣参し、道俗群集して山上山下踏む所の地無し。閏七月朔(ついたち)、期満つるの日に当たって、山嶽震動し殿の扉、自ずから八字に開き、殿中声あって曰く、上人、外賊を降さんがため、大法を厳修す。吾れまさに祐佐(ゆうさ)すべし。言纔(わず)かにして訖る。一箭(いっせん)殿中より出でて光を放って西に去る。其の響き雷の如し。尋(つ)いで素旛(そはん)三首(さんしゅ)、亦殿より出ず。一つは妙法蓮華経の五字有り、一つは大槃涅槃経の五字有り、一つは唯識三十頌の五字有り。字という字は咸(みな)金の光を放ち、亦西を指して去る。俄にして猛風大いに起り、電(いなずま)は碎(くだ)け、雷(いかずち)は奔(はし)って、大雨河を傾く。是に於いて在会(ざいえ)の緇素(しそ)、争いて未曾有なりと嘆ず。」

・祐佐=たすけ、補佐する。

・一箭=イチヤとも。愛染明王所持の矢

・素旛=白い旗。素は生地のままの白い絹。旛は長く垂れさげたはた、のぼり。

・三首=旗を数えるには三流れと云うべきであろうが、経題の文字が書かれているので和歌など詩歌を数えるように三首という。

・在会=法会に参詣する。

・緇素=黒と白。僧と俗人。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

 

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2014年6月22日 (日)

般若寺 初夏咲きコスモス 花だより 6・22

《般若寺 花だより》

初夏に咲くコスモス:≪見ごろ・八分咲き≫

いま花ざかりです。スーパービッキー、ソナタ、シーシェル、ピコティ、サイケ、ダブルクリック、センセーション、ベルサイユなどの新品種は一つ一つの花が大きく、形が整い、色鮮やかです。

花期・春から7月上旬まで。

 13種類 3万本。

・姫睡蓮、あじさい、山アジサイ:≪見ごろ≫

・キョウチクトウ:≪満開≫

・ひつじぐさ:≪咲きはじめ≫

・秋海棠(しゅうかいどう):≪7月~9月開花≫

*〔短歌〕

〈帰省〉

「日はたけなは 黄にからびたる 豆の葉に

         ぴかりと揺るる 遠稲光(とほいなびかり)」

          島木赤彦・切火

〔俳句〕

「五月雨や 胸につかへる ちちぶ山」一茶

〔和歌〕

「五月やみ そこともしらぬ ともしすと

        は山がすそに あかしつる哉」

          藤原義孝・風雅374

「真っ暗な五月闇の中で、獲物の鹿はどこにいるともわからぬ照射(ともし)の狩をするために、端山の山裾で一夜を明かしたことよ。」

・ともし(照射)=暗夜、松明をともした火串をかかげ、これと目を見合わせた鹿の両眼が光るのを目当てに射止める狩の方法。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『山光集』『鹿鳴集』より》

〈榛名〉

「あかぎねの をちかたとほき やまなみに

         ふたらさやけく くものよるみゆ」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む》161

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「 上皇、上邦(じょうほう)を侵逼(しんひょく)されんことを慮(おもんばか)り、乃ち百官を集めて、其の事を議す。僉(みな)曰く、仏神の力に非ずんば決して伏すべからずと。是に於いて菩薩に勅す。菩薩勅を奉って、衆僧一百口を率い教興寺に届き、仁王大会を建つ。兼て千手千眼経(せんじゅせんげんきょう)を講讃す。経の中、神妙章句、外国怨敵、即自降伏、各還政治国土の句に至って、菩薩之を読むこと三遍す。時に、講堂の千手大士の像は大光明を放ち、四大天王動くこと生身の如し。満座の黒白(こくはく)、掌を合わせ驚嘆す。」

・上邦=上は天子、君主。邦は国。我が国、日本。

・侵逼=おかし、おびやかす。

・千手千眼経=大正新修大蔵経巻第二十所輯にいくつかの千手千眼経がある。

・黒白=僧と俗人。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

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2014年6月21日 (土)

般若寺 初夏咲きコスモス 花だより 6・20

《般若寺 花だより》

初夏に咲くコスモス:≪見ごろ・八分咲き≫

いま花ざかりです。スーパービッキー、ソナタ、シーシェル、ピコティ、サイケ、ダブルクリック、センセーション、ベルサイユなどの新品種は一つ一つの花が大きく、形が整い、色鮮やかです。

花期・春から7月上旬まで。

 13種類 3万本。

・姫睡蓮、あじさい、山アジサイ:≪見ごろ≫

・キョウチクトウ:≪満開≫

・ひつじぐさ:≪咲きはじめ≫

・秋海棠(しゅうかいどう):≪7月~9月開花≫

*〔短歌〕

〈噴嚏〉

「梅雨ふかき 下宿となりぬ わが顔を

         鏡の中に 見つつわが居り」

           島木赤彦・切火

〔俳句〕

「入梅晴(つゆばれ)や 佐渡の御金が 通る迚(とて)」一茶

〔和歌〕

「五月雨の 雲ふきすさぶ 夕風に

        霧さへかほる 軒のたちばな」

          藤原為道朝臣・玉葉374

「五月雨の雨雲を強く吹き払う夕風によって、散りこぼれる露までもその芳香をうつして薫る、軒の橘よ。」

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『山光集』『鹿鳴集』より》

〈榛名〉

「むらぎもの こころはるけし まなかひに

         なつづくやまの そぎたつをみて」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む》160

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

七月十二日、上皇西大寺に臨幸したまう。賜うに仁王五方曼荼羅(にんのうごほうまんだら)を以てす。下旬、西国より蒙古の兵船四千艘、阿刺罕(あしかん)、范文(はんぶん)、虎忻都(こきんと)、洪茶丘(こうたきゅう)の四人を大将と為し、其の兵二十四万人、襲い来って大宰府に至ることを注進す。

・仁王五方曼荼羅=空海弘法大師創案。鎮護国家を祈る密教最大秘法である仁王経法に用いる仁王経曼荼羅。東寺の講堂に並ぶ二十一尊が中・東・南・西・北の五方向に配置される。即ち自性輪身の五智如来(大日・阿閦・宝生・阿弥陀・不空成就)と、正法輪身の五大菩薩(金剛波羅蜜多・金剛手・金剛宝・金剛法・金剛業)、その教令輪身である五大明王(不動・降三世・軍荼利・大威徳・金剛夜叉)に守護神としての四天王と梵天・帝釈天を以て構成。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

 

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般若寺 初夏咲きコスモス 花だより 6・21

《般若寺 花だより》

初夏に咲くコスモス:≪見ごろ・八分咲き≫

いま花ざかりです。スーパービッキー、ソナタ、シーシェル、ピコティ、サイケ、ダブルクリック、センセーション、ベルサイユなどの新品種は一つ一つの花が大きく、形が整い、色鮮やかです。

花期・春から7月上旬まで。

 13種類 3万本。

・姫睡蓮、あじさい、山アジサイ:≪見ごろ≫

・キョウチクトウ:≪満開≫

・ひつじぐさ:≪咲きはじめ≫

・秋海棠(しゅうかいどう):≪7月~9月開花≫

*〔短歌〕

〈噴嚏〉

「梅雨ふかき 下宿となりぬ わが顔を

         鏡の中に 見つつわが居り」

           島木赤彦・切火

〔俳句〕

「入梅晴(つゆばれ)や 佐渡の御金が 通る迚(とて)」一茶

〔和歌〕

「五月雨の 雲ふきすさぶ 夕風に

        霧さへかほる 軒のたちばな」

          藤原為道朝臣・玉葉374

「五月雨の雨雲を強く吹き払う夕風によって、散りこぼれる露までもその芳香をうつして薫る、軒の橘よ。」

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『山光集』『鹿鳴集』より》

〈榛名〉

「むらぎもの こころはるけし まなかひに

         なつづくやまの そぎたつをみて」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む》160

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

七月十二日、上皇西大寺に臨幸したまう。賜うに仁王五方曼荼羅(にんのうごほうまんだら)を以てす。下旬、西国より蒙古の兵船四千艘、阿刺罕(あしかん)、范文(はんぶん)、虎忻都(こきんと)、洪茶丘(こうたきゅう)の四人を大将と為し、其の兵二十四万人、襲い来って大宰府に至ることを注進す。

・仁王五方曼荼羅=空海弘法大師創案。鎮護国家を祈る密教最大秘法である仁王経法に用いる仁王経曼荼羅。東寺の講堂に並ぶ二十一尊が中・東・南・西・北の五方向に配置される。即ち自性輪身の五智如来(大日・阿閦・宝生・阿弥陀・不空成就)と、正法輪身の五大菩薩(金剛波羅蜜多・金剛手・金剛宝・金剛法・金剛業)、その教令輪身である五大明王(不動・降三世・軍荼利・大威徳・金剛夜叉)に守護神としての四天王と梵天・帝釈天を以て構成。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

Img_4489


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2014年6月20日 (金)

般若寺 初夏咲きコスモス 花だより 6・20

《般若寺 花だより》

初夏に咲くコスモス:≪見ごろ・八分咲き≫

いま花ざかりです。スーパービッキー、ソナタ、シーシェル、ピコティ、サイケ、ダブルクリック、センセーション、ベルサイユなどの新品種は一つ一つの花が大きく、形が整い、色鮮やかです。

花期・春から7月上旬まで。

 13種類 3万本。

・姫睡蓮、あじさい、山アジサイ:≪見ごろ≫

・キョウチクトウ:≪満開≫

・ひつじぐさ:≪咲きはじめ≫

・秋海棠(しゅうかいどう):≪7月~9月開花≫

*〔短歌〕

〈噴嚏〉

「雨だれの 音いや深し あが口を

        鏡のなかに 噤(し)めてさびしも」

          島木赤彦・切火

〔俳句〕

「初袷(はつあわせ) しなのへ娵(よめ)に ござるげな」

    一茶

〔和歌〕

「大井河 うぶねはそれと みえわかで

       山本めぐる かがり火のかげ」

         中務卿宗尊親王・風雅372

「大井川で眺めれば、鵜舟の姿はそれとはっきり見分けられないで、嵐山の麓をめぐる篝火の光だけが明らかである。」

・大井河=山城の歌枕、大堰川。京都嵐山を流れる桂川の上流名。鵜飼の名所。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『山光集』『鹿鳴集』より》

〈榛名〉

「たなぐもを そがひになして あまそそる

         あかぎのねろは まなかひにたつ」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む》159

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「右、同前の解状を得て偁(いわ)く、当寺の荘園封戸(ふうこ)、或は代々の別当恣(ほしいまま)に之を売る。或いは処々の姧者(かんじゃ)妄(みだ)りに之を奪う。其の根本の領に於いては一頃(いっけい)の地を残さず。近年篤信の輩(ともがら)、帰依の余り纔(わずか)に小領を割り当寺に寄進し、永く別当の名字(べっとうのみょうじ)を買い取り、住持の三宝(じゅうじのさんぼう)を寄附せしむ。 然れば則ち、今より以後、寺領と云い、寺務と云うは、仏陀の外には別なる主有るべからず。衆僧の外に執務せしむべからず。永く諸方の狼唳(ろうれい)を停止し、宜しく一人の張行(ちょうぎょう)を禁断すべきの旨、勅定を下されんことを欲するは、同じく請いに依り勅を奉じ宣(みことのり)するは、以前の條の事、件(くだん)の如し。寺よろしく承知すべし。宣に依りて之を行(ぎょう)ぜよ。牒(ちょう)到り状(じょう)に准ずるが故に牒す。

 

 弘安四年五月廿六日

     修理東大寺大仏長官正五位上行左大史兼備前権介

            小槻宿祢

 牒正五位上行右小辨兼春宮大進藤原朝臣」

 

・封戸=食封。律令の封禄制度。税を負担する課口(かこう)のいる戸。

・姧者=姧は姦と同字。よこしまな。盗む。

・一頃=面積の単位。一頃は百畝(ひゃっぽ)。百八十二アール。

・別当の名字=別当は寺務を統括した僧官、寺主。寺務を統括する名と権限。

・住持の三宝=後世へ仏教を維持し伝えて行くための三つの宝、仏像、経巻、出家の比丘。

・仏の外に別なる主有るべからず=仏領。仏物領。

・狼唳=狼の鳴声。

・張行=容赦なく行うこと。強行。

・牒=公文書を記す薄いふだ。

・状=かきつけ、上奏文の類い。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

Img_4471


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2014年6月19日 (木)

般若寺 初夏咲きコスモス 花だより 6・19

《般若寺 花だより》

初夏に咲くコスモス:≪見ごろ・八分咲き≫

いま花ざかりです。スーパービッキー、ソナタ、シーシェル、ピコティ、サイケ、ダブルクリック、センセーション、ベルサイユなどの新品種は一つ一つの花が大きく、形が整い、色鮮やかです。

花期・春から7月上旬まで。

 13種類 3万本。

・姫睡蓮、あじさい、山アジサイ:≪見ごろ≫

・キョウチクトウ:≪満開≫

・ひつじぐさ:≪咲きはじめ≫

*〔短歌〕

〈噴嚏〉

「硝子戸に 雨流るれば 庭の青の

        おぼろに透きて 真昼なりけり」

          島木赤彦・切火

〔俳句〕

「卯の花や 伏見へ通ふ 犬の道」一茶

〔和歌〕

「過ぎぬとも こゑのにほひは 猶とめよ

         ほととぎすなく やどのたち花」

           二品法親王守覚・玉葉371

「通り過ぎた後までも、声の余韻はなおとどめておいておくれ。時鳥の鳴く私の家の花橘よ。」

・にほひ=ぼかしの色合から転じて、ここでは余韻、余情。

・とめよ=「留めておく」意に、匂いの縁で「香をたきしめる」意をかけ、香の高い橘に結ぶ。また「過ぎ」に対して「留め」という。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『山光集』『鹿鳴集』より》

〈榛名〉

「とねいまだ うらわかからし あしびきの

         やまかたづきて しろむをみれば」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む》158

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「 右、同前の解状を得て偁(いわ)く、四辺の民烟(みんえん)は三宝の奴婢なり。年々鷹宇の破壊を修(なお)し、日々鵝王の供施を備う。荘園顚倒して無縁となるの砌と雖も、檀施積集して有封の寺に耻じず。而して諸方の雑使等、毛を吹き疵を求む。寺奴を搦め取り、穴を穿ち短を伺い、民屋を追捕す。然る間僧侶は憐れみを含み、講論の筵(むしろ)動(ややもすれば)冷す。土民は憤りを懐き、修造の営み廃れ易し。法の為、寺の為、誡めざるべからず。天裁(てんさい)を望み請い、因りて太子御廟等の傍例に准じて、寺辺四至内を永く諸使の乱入を停止すべきの由、綸旨を下さるれば、倍(ますます)丹誠(たんせい)を抽(ひ)き紫禁(しきん)を祈り奉る。同じく請いにより勅を奉じ宣(みことのり)す。

 一つ、衆僧の外、別人の執務を停止すべき事。」

・民烟=民煙。民の家から立ち上るかまどの煙。また民家。

・三宝の奴婢=三宝は仏法僧。奴婢はしもべ、やっこ。寺に所属する民。

・天裁=君、帝王(朝廷)の裁き。

・丹誠=まことのこころ。赤誠。

・紫禁=天帝の座の意。皇居、内裏。紫禁城(明・清の宮城の呼称)

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

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2014年6月18日 (水)

般若寺 初夏咲きコスモス 花だより 6・18

初夏に咲くコスモス:≪見ごろ・八分咲き≫

いま花ざかりです。スーパービッキー、ソナタ、シーシェル、ピコティ、サイケ、ダブルクリック、センセーション、ベルサイユなどの新品種は一つ一つの花が大きく、形が整い、色鮮やかです。

花期・春から7月上旬まで。

 13種類 3万本。

・姫睡蓮、あじさい、山アジサイ:≪見ごろ≫

・キョウチクトウ:≪満開≫

・ひつじぐさ:≪咲きはじめ≫

*〔短歌〕

〈噴嚏〉

「五月雨に ぬれ来し女 ひそまりて

        見入らざらめや 昼の鏡に」

          島木赤彦・切火

〔俳句〕

「わか竹の おきんとすれば 電(いなびか)り」一茶

〔和歌〕

「我がやどの 花たちばなや 匂ふらむ

         山ほととぎす 過ぎがてになく」

           修理太夫顕季・風雅370 

「私の家の、花橘がよい匂いを放つらしい。山時鳥が、ここを立ち去り難いような風情で鳴いている。」

・過ぎがてに=通り過ぎかねて。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『山光集』『鹿鳴集』より》

〈榛名〉

「みはるかす のらのいづくに すむはとの

         とほきつづみと ききのよろしき」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《真言律の祖、興正菩薩一代記を読む》157

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「 持律は群を成し、三衣一鉢の支(ささえ)は乏しと雖も、行業は年に積り、天長地久(てんちょうちきゅう)の勤めは怠り無し。加うるに、西に青塚(せいちょう)多く、皆な上古帝后の陵廟(りょうびょう)。南に霊崛(れいくつ)あり、則ち聖徳太子の芳骨を留む。旁ら地勢を見るに、殺戮に便ならず。矧(いわん)や寺辺二里の殺生に於いておや。聖主累代の禁遏(きんあつ)哉。茲に因りて、旦(且ヵ、かつは)上宮(じょうぐう)の記文に任す。且つは知識(ちしき)の誘引に依る。土民は同心して殺生を停(とど)むると雖も、権門の徒は都(すべ)て叙用せず。或いは諸廟を点じて狩猟の場と為す。或いは諸河を上りて釣魚の処と為す。無慚の至り、何ぞ炳誡(へいかい)せずや。望みて聖断を請う。永く四至内の殺生を停止するの旨、官符を下されば、いよいよ聖化を仰ぎ宝祚を祈り奉る者。」

・天長地久=天地が永久に変わらないように物事がいつまでもつづくこと。『老子』(第七章)に出る言葉。天がとこしえにあること(天長)と大地がいつまでも変わらないであること(地久)。天子(日本では天皇、上皇)が安泰で天下が平和に治められていること。

・青塚=青冢か。中国の王昭君の墓が冬でも青い草が茂っていたのでこう呼ばれた。古墳のこと。

・陵廟=みささぎ。みたまや。

・霊崛=死者のたましいを祀る岩穴。

・禁遏=おしとどめてやめさせること。

・上宮=上宮太子。聖徳太子のこと。

・知識=善知識。教え導く指導者、高僧。

・炳誡=あきらかないましめ。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

 

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2014年6月17日 (火)

般若寺 初夏咲きコスモス 花だより 6・17

《般若寺 花だより》

初夏に咲くコスモス:≪見ごろ・八分咲き≫

いま花ざかりです。スーパービッキー、ソナタ、シーシェル、ピコティ、サイケ、ダブルクリック、センセーション、ベルサイユなどの新品種は一つ一つの花が大きく、形が整い、色鮮やかです。

花期・春から7月上旬まで。

 13種類 3万本。

・姫睡蓮、あじさい、山アジサイ:≪見ごろ≫

・キョウチクトウ:≪満開≫

・ひつじぐさ:≪咲きはじめ≫

*〔短歌〕

〈噴嚏〉

「まんまひる 梅雨に倦みたる 心もて

         大きくくさめを したりけるかも」

           島木赤彦・切火

〔俳句〕

「つつじから 出てつつじの 清水かな」一茶

〔和歌〕

「さみだれの 雲まの軒の 時鳥

         雨にかはりて 声のおちくる」

           前大僧正慈鎮・玉葉369 

「五月雨の雲の晴間に軒近く鳴く時鳥よ。雨に代って、その声が降って来るよ。」

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『山光集』『鹿鳴集』より》

〈榛名〉

「このをかの うめのふるえだ のびはてて

         なつにかむかふ きるひとなしに」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《興正菩薩行実年譜を読む》156

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「 右、彼の寺の氏人等、去年十二月廿二日解状(げじょう)を得、偁(いわ)く、人畜は異なると雖も死を恐るるは是れ同じ。金玉(きんぎょく)は珍(たから)なりと雖も、命(ことば)を校(くら)ぶるに肖(ちいさ)からず。茲に因って中天極聖(ちゅうてんきょくせい)は快殺(けせつ)を十重(じゅうじゅう)の始に制す。上代の明王は、寛仁を五刑の終(ごけいのおわり)に顕わす。儒と云い釈と云い、慎まざる可からず。爰に当寺は欽明、桓武両朝の御願、舎那弥陀(しゃなみだ)霊験の仁祠(じんし)なり。草創の年旧(ふる)く、天王寺に先んずること三十箇廻(めぐ)り。花構(かこう)猶新し。風火水に侵されずして七百余歳。古今の奇瑞、勝計(しょうけい)すべからず。其の中、女人金堂に入るの時、地忽ちに破裂し、盗賊銅像を偸むの夜、天、白昼に変り、勝絶(しょうぜつ)の趣、翰墨に覃(たん)じ難し。」

・解状=訴状。

・金玉=黄金と玉。

・中天極聖=中天は天下、天の中心。世界の中心にあり極めて知徳の優れるお方、即ち釈迦牟尼仏

・快殺=快意殺生罪

・十重の始=菩薩の十波羅提木叉、梵網経の十重禁戒の第一戒。

・五刑の終=中国の隨・唐律、日本古代の律に規定された五種の刑。笞(ち)・杖(じょう)・徒(ず)・流(る)・死(し)。五罪とも。

・遮那弥陀=毘廬遮那仏と阿弥陀仏。

・仁祠=寺院。

・華構=華やかな構え。立派な建築。

・勝計=すべて、のこらず数える。

・勝絶=景色などが、きわめてすぐれている。

・覃=およぶ。ゆきわたる。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

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2014年6月16日 (月)

般若寺 初夏咲きコスモス 花だより 6・16

《般若寺 花だより》

初夏に咲くコスモス:≪見ごろ・八分咲き≫

いま花ざかりです。スーパービッキー、ソナタ、シーシェル、ピコティ、サイケ、ダブルクリック、センセーション、ベルサイユなどの新品種は一つ一つの花が大きく、形が整い、色鮮やかです。

花期・春から7月上旬まで。

 13種類 3万本。

・姫睡蓮、あじさい、山アジサイ:≪見ごろ≫

・キョウチクトウ:≪満開≫

・ひつじぐさ:≪咲きはじめ≫

*〔短歌〕

〈噴嚏〉

「せんすべを 知らなき時は 口あきて

         つぎの嚏(くさめ)を 待つまん真昼」

           島木赤彦・切火

〔俳句〕

「青梅に 手をかけて寝る 蛙哉」一茶

〔和歌〕

「五月雨の 雲をへだてて ゆく月の

        ひかりはもらで 軒の玉水」

        後京極摂政前太政大臣・風雅368 

「五月雨の雲を隔てて、上空を行くはずの月の光は、雲間から漏っても来ないで、漏るものは軒からしたたり落ちる玉のような雨の雫だ。」

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『山光集』『鹿鳴集』より》

〈榛名〉

「やまつつじ うつろふなべに おにつつじ

         もゆるたをりに のぼりいでにけり」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む》155

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「 金剛界梵漢和鏡全部八巻、五月より初めて筆を染め、十二月廿七日酉時に至り撰述の功を終る。又五月、西琳寺に届かる。廿六日、官符宣を賜る。其の宣に曰く、

【 河州向原寺符宣

太上官牒河内国西琳寺

  雑事参箇絛

一つ 四至内殺生を停止すべき事

 四至 東限は飛鳥の荘 

太子御廟たるに依り四至内官符を下し殺生を止めらる

 南限は岐子の荘 

  山門西塔領たるに依り往代殺生を禁断す。

西限は尺度荘

 根本法華堂領たるにより往代殺生を禁断す。

北限は誉田陵

 大菩薩聖廟たるに依り官符を下し殺生を止めらる。」

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

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2014年6月15日 (日)

般若寺 初夏咲きコスモス 花だより 6・15

《般若寺 花だより》

初夏に咲くコスモス:≪見ごろ・七分咲き≫

いま花ざかりです。スーパービッキー、ソナタ、シーシェル、ピコティ、サイケ、ダブルクリック、センセーション、ベルサイユなどの新品種は一つ一つの花が大きく、形が整い、色鮮やかです。

花期・春から7月上旬まで。

 13種類 3万本。

・姫睡蓮、あじさい、山アジサイ:≪見ごろ≫

・キョウチクトウ:≪満開≫

・ひつじぐさ:≪咲きはじめ≫

*〔短歌〕

〈噴嚏〉

「くさめする わが顔の前は 雨の雫

         硝子の窓に 流れつつをり」

           島木赤彦・氷魚

〔俳句〕

「故郷や よるも障(さは)るも 茨(ばら)の花」一茶

〔和歌〕

「はれやらぬ 雲よりかげは もらねども

         月夜はしるし 五月雨の空」

           平宗宣朝臣・玉葉367

「晴れるに晴れない雲の間から、光はもれて来はしないものの、ほのかな明るさで月夜だという事ははっきりわかる、五月雨の空よ。」

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『山光集』『鹿鳴集』より》

〈榛名〉

「たまたまに やまをしふめば おのづから

         やまのいぶきの あやにかなしも」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む》154

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「(弘安)四年辛巳(かのとみ)

 菩薩、八十一歳。春正月、菩薩、国の為に諸徒と最勝王経を繕写(ぜんしゃ)す。上皇、之を嘉し、親しく翰墨(かんぼく)を御して護国品を書す。太上皇、又菩薩に勅して梵網戒経を石清水に開講せしむ。廿一日、大乗院に就いて菩薩戒を五十余人に授く。二月廿二日、教興寺に於いて、菩薩戒を二百四十八人に授く。次いで播州岩峯寺に至り、菩薩戒本を講ず。講竟って菩薩戒を受ける者、道俗総て二千余人。三月八日、摂の多田院に届かる。又菩薩戒を受ける者、四百三十余人。四月十五日、平田最福寺を結界す。竟って山の三室山に詣す。菩薩戒を受くる者八十四人。十七日、宇治平等院に之(ゆ)きて戒経を講説す。二十一日、橋寺入仏の法会を修す。廿五日、菩薩戒を八百余人に授く。或いは筌網(せんもう)を携え来って菩薩の前に於いて、皆な悉く之を焼き、誓って殺業を息(や)め戒法を受ける者有り。是れ乃ち菩薩が戒徳の感発する所なり。」

・繕写=不足を補い、うつしなおすこと。

・翰墨=筆と墨。

・筌網=筌は細い竹を筒状に編んで作った魚を取る道具。網は漁網。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

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2014年6月14日 (土)

般若寺 初夏咲きコスモス 花だより 6・14

《般若寺 花だより》

初夏に咲くコスモス:≪見ごろ・七分咲き≫

いま花ざかりです。スーパービッキー、ソナタ、シーシェル、ピコティ、サイケ、ダブルクリック、センセーション、ベルサイユなどの新品種は一つ一つの花が大きく、形が整い、色鮮やかです。

花期・春から7月上旬まで。

 13種類 3万本。

・姫睡蓮、あじさい、山アジサイ:≪見ごろ≫

・キョウチクトウ:≪満開≫

・ひつじぐさ:≪咲きはじめ≫

*〔短歌〕

〈噴嚏〉

「梅雨真昼 鼻のそこひの むず痒(かゆ)し

      嚏(くさめ)をせんと 口洞(くちうろ)あくも」

       島木赤彦・氷魚

〔俳句〕

「紫陽花の 末一色と 成にけり」一茶

〔和歌〕

「さみだれに 岸のあをやぎ 枝ひちて

         梢をわくる よどの河舟」

           正二位隆教・風雅363

「五月雨の降り続くために、岸の青柳は枝がびっしょりぬれて川面に垂れ、その梢を分けるようにして漕いで行く、淀の河舟よ。」

・ひちて=漬ぢて。びっしょりぬれて。

・よど=山城の歌枕。淀川。京都府淀町・長岡京市の、宇治川、木津川、桂川が合流するあたりをいう。

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈観仏三昧〉

「さほやまの このしたがくり よごもりに

         ものうちかたれ わがせわぎもこ」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《真言律の祖、叡尊興正菩薩の一代記を読む》153

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「 又、菩薩、外宮託宣に依って菩薩浄戒を天照太神に授け奉る。時に、神出現して一つの霊符を菩薩に授けて曰く、師、之を持ち去り、衆生の我が祠に詣する者をして、頂戴して以て其の穢れを去らしめよ。其の符、相い伝えて、今に内宮弘正寺(こうしょうじ)に在りと云う。 又一日、菩薩、内宮に詣参し、神殿に籠居し念誦すること稍久し。時に宝扉忽ちに開き、神体出現して菩薩に請いて三聚浄戒を乞い受く。竟(おわ)って神符を伝授して曰く、此れは是れ一切衆生の霊気、疫病、産難等の災厄を救うの神符也。今師に授く。師転じて衆生に与え以て種々の災難を済い、安楽を得せしむべし。其の法尤も甚深也。今に伝えて之を西大寺黒符と号すと云う。又神勅を奉って弘正寺を建立し、金胎の大日を安置し以て内外両宮の本地院と為す。」

・弘正寺=明治に廃絶す。現伊勢市楠部町の寺址に五輪塔が現存する。山形大学教授松尾剛次氏の調査によれば、髙さ三・四㍍あり西大寺の興正菩薩廟塔に匹敵する規模で、水輪は極楽寺の忍性菩薩廟塔の形に似るという。興正菩薩の分骨供養塔の可能性があるそうだ。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

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2014年6月13日 (金)

般若寺 初夏咲きコスモス 花だより 6・13

《般若寺 花だより》

初夏に咲くコスモス:≪見ごろ・七分咲き≫

いま花ざかりです。スーパービッキー、ソナタ、シーシェル、ピコティ、サイケ、ダブルクリック、センセーション、ベルサイユなどの新品種は一つ一つの花が大きく、形が整い、色鮮やかです。

花期・春から7月上旬まで。

 13種類 3万本。

・あじさい、山アジサイ:≪見ごろ≫

・ひつじぐさ:≪咲きはじめ≫

・姫睡蓮、キョウチクトウ:≪見ごろ≫

*〔短歌〕

〈稲毛の海〉

「雨あがり 揺(ゆす)るる靄(もや)の 一ところ

        白き帆しるく 光りて動く」

          島木赤彦・氷魚

〔俳句〕

「僧入れぬ 垣の卯花(うのはな) 咲にけり」一茶

〔和歌〕

「駒とめて かげみる水や にごるらん

        ひのくま川の 五月雨の比」

          中臣祐茂・玉葉363

「あの古今集の〈影をだにみん〉の歌のように、馬をとめて川面に映る姿を見ようとする水も、濁って影が映らないだろうよ、檜隈川に五月雨の降る頃は。」

・ひのくま川=大和の歌枕。檜隈川。奈良県明日香村檜前(ひのくま)の西を流れる川。

・参考歌:「ささのくま 檜隈川に 駒とめて

       しばし水かへ 影をだに見ん」(古今1080、神遊歌)

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈観仏三昧〉

「あしびきの やまのみてらの いとなみに

         おりけむはたと みるがかなしさ」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《真言律の祖、叡尊興正菩薩の一代記を読む》152

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「(弘安)三年庚辰(かのえたつ)

 菩薩、八十歳。春三月、勅願に依って菩薩、徒僧性海、鏡慧、澄惠、禅基、蓮基等一百余人を率いて、重ねて伊勢天照太神の廟に詣し、一切経を内外両宮に各一蔵を安鎮し、利益無盡ならんことを祈る。十七日未刻、内宮に於いて、忽ち牟山神(むやまのかみ)、一人の女人に降って曰く、我は是れ天照太神の使いなり。太神の云わく、法性真如の月は、寂光の空に朗(あきら)かに、無相涅槃の雲は四徳の山に静かなり。然れば大悲心切なるを以て、国祚(こくそ)仏法皆な悠長(ゆうちょう)ならんことを祈り、大いに大蔵経を転読す。我をして法味に霑(うるお)わしめ、我が喜び自ずから勝らず。信水至って清し、月何ぞ宿らざらんやと。雲々たり。〔性海比丘託宣記に依り意を取りて之を録す〕」

・牟山紳=牟山神社。三重県多気郡多気町大字相可、櫛田川南岸に所在する相可上神社に合祀される。

・国祚=国の幸せ。

・悠長=ゆったりとしていて安泰であること。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

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2014年6月12日 (木)

般若寺 初夏咲きコスモス 花だより 6・12

《般若寺 花だより》

初夏に咲くコスモス:≪見ごろ・七分咲き≫

いま花ざかりです。スーパービッキー、ソナタ、シーシェル、ピコティ、サイケ、ダブルクリック、センセーション、ベルサイユなどの新品種は一つ一つの花が大きく、形が整い、色鮮やかです。

花期・春から7月上旬まで。

 13種類 3万本。

・あじさい、山アジサイ:≪見ごろ≫

・ひつじぐさ:≪咲きはじめ≫

・姫睡蓮、キョウチクトウ:≪見ごろ≫

*〔短歌〕

〈稲毛の海〉

「靄のなか 光り浮き来る 屋根の上に

        梅雨の海の 時明り見ゆ」

          島木赤彦・氷魚

〔俳句〕

「信濃路の 田植過けり 凧(いかのぼり)」一茶

〔和歌〕

「あすか河 ひとつ淵とや なりぬらん

        ななせのよどの 五月雨のころ」

          権中納言公雄・風雅362

「飛鳥河は、水が増して全部が一つの淵のようになってしまったろうか。さすが多くの瀬があるという七瀬の淀も、五月雨の頃には。」

*《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈観仏三昧〉

「やまでらの みだうのゆかに かげろひて

         ふりたるはたよ おるひとなしに」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

*《真言律の祖、興正菩薩の一代記を読む》151

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「 又、菩薩、詔命を承って三衣(さんね)を進(たてまつ)る。上皇、又勅して一切経一蔵を菩薩に賜う。菩薩、大いに之を歓喜し頂戴受納して、以て西大寺に鎮蔵す。又、円満院宮(えんまんいんのみや)、菩薩を本靡殿に請じて菩薩戒を受く。廿六日、猪熊の殿下、請じて五戒を受く。廿八日、室町女院、請じて菩薩戒を受け竟って、仏牙分散の舎利若干粒を以て菩薩に寄附して、之を持念せしむ。十二月二日、仁和寺法親王、駕(か)を浄住寺に囘し、菩薩戒を愛く。其の翼従(よくじゅう)し来って同じく受くる者一十余人。四日、西大寺に還る。廿二日、豊浦寺尼証然、仏舎利若干粒を西大寺に寄附す。」

・三衣=サンエとも。僧尼の着る三種の袈裟。大衣・僧伽梨(そうぎゃり、九条から二十五条)、上衣・鬱多羅僧(うったらそう、七条)、中衣・安陀会(あんだえ、五条)

・駕=乗物。馬車。

・円満院宮=天台宗寺門派園城寺(三井寺)の宮門跡、法親王。

・翼従=翼のように脇ぞえで従がう。随従。

(つづく)

*《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHP