般若寺 夏の花だより 7・31
《般若寺 夏の花だより》
〇秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫
花期・9月まで
赤白2種類 200株
〇ひつじぐさ、姫睡蓮:≪見ごろ≫ 9月まで
〇百日紅(さるすべり):≪咲きはじめ≫9月まで
〇夾竹桃(きょうちくとう):≪見ごろ≫二度目の花です
〇秋のコスモス:花期・9月下旬~11月上旬
花数・15万本
種類・25種
〔短歌〕
〈北海道 一〉
「平らかに 蝦夷の楢原 曇りたり
歩みとどまらぬ 我は旅人」
島木赤彦・氷魚
〔俳句〕
「夏菊の 花ととしよる 団(うちわ)かな」一茶
〔和歌〕
「夕立の 雲まの日かげ 晴れそめて
山のこなたを わたるしらさぎ」
前中納言定家・玉葉416
「夕立の雲の間から日光がさし、空は晴れはじめて、緑濃い山の手前を飛びわたり行く、くっきりと白い鷺の姿よ。」
《秋艸道人、会津八一先生の歌集『山光集』『鹿鳴集』より》
〈斑鳩〉
「こがくれて なけやいかるが あすよりは
はたのはてなる ひともきくがに」
〈東京にかへるとて〉
「あをによし ならやまこへて さかるとも
ゆめにしみえこ わかくさのやま」
〈東京にかへりて後に〉
「ならやまを さかりしひより あさにけに
みてらみほとけ おもかげにたつ」
「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。
《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む》200.
『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下
(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)
「【 鳥羽院御願十一面堂、顛倒の後、造営未だ企てられず。叡情怠たり無しと雖も、冥慮(めいりょ)又測り難し。縦令(たとい)土木の営みあると雖も、人民の煩い無きに非ざるか。西大寺は仏法殊に繁昌にして護持に其の憑(ひょう)あり。彼の本尊十一面観自在尊を当寺四王院に安置す。各(おのおの)薩埵(さった)恭敬の精誠(せいせい)を凝らしめ、国土泰平の御願を祈らるべし。院宣に依り言上件の如し。 光泰恐惶して謹言す。
正応元年正月廿一日 中宮大進 奉
進上 西大寺上人御房 】」
・冥慮=神仏などの深いおぼしめし。
・憑=よりどころ。
・薩埵=菩提薩埵。菩薩。
・精誠=まごころを尽すこと。
(つづく)
《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》
日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。
*7月19日付(2014)奈良新聞第一面に、「断固反対!!」の看板写真と共に「奈良市クリーンセンター建設」「東部住民参加せず」「策定委30日再開」「実質協議困難か」という大見出しのもと最新の情報が紹介されました。約一年間休止していた「策定委員会」をまたぞろ再開しようというのです。2月に策定委は最悪の答申を出したうえで任期切れとなっているのに、何を今さらという印象です。仲川市長は東部住民を抱き込んで「アメ」をねぶらそうと考えたのでしょうか。根本的な問題は何一つ解決しないで「机上の空論」である候補地案を押し付ける腹が透けて見えますね。東部住民は現案を白紙撤回の上での議論なら参加してもよいと考えておられますが、先に結論ありきの委員会には何の意味もないという事でしょう。だいたい、自分たちが嫌なものを人に押しつけるなんて、人間として最低ですね。公害なき「公害調停」に振り回されているようでは、古都奈良の市長失格です。出発点に立ち返ることをお勧めします。
*5月13日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年2月13日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。
事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。
*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点
1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。
2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。
3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。
❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。
〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。
中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。
*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。
そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは
「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。
さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、
「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。
仲川げん」
という文章になっています。
立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。
歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。
*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体
「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」
*この問題を詳しく知りたい方は、
ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。
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