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2014年8月

2014年8月31日 (日)

般若寺 夏の花だより 8・31

《コスモス なら般若寺 花だより》

猛暑で始まり、大雨で大災害を引き起こした異常気象の長い8月も今日で終わりです。明日からは秋。まだ残暑もあるでしょうが、さわやかな秋冷の季節がはじまります。

秋のコスモス:≪ちらほら咲き≫早くも咲きだしました

見ごろは9月中旬~11月上旬 

 満開は9月末から10月下旬

花数・15万本、25種類

〇しおん:≪つぼみ≫

秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

花期・9月まで  

赤白2種類 200株 

〇ひつじぐさ、姫睡蓮:≪見ごろ≫ 9月まで

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫9月まで

*お知らせ:今年は十年ぶりに国宝楼門入口を開きます。9/27,2810/4,5,11,12,13の土・日・祝日。午前10時から午後4時の予定。雨天中止。

〔短歌〕

〈富士見原 其二〉

「すいと虫 畳のうへに 鳴きてをり

        蚕をあげし わが家のうちに」

          島木赤彦・氷魚

〔俳句〕

「苦の娑婆や 虫も鈴ふる はたををる」一茶

〔和歌〕

「月の色も 秋ちかしとや さよふけて

        まがきの荻の おどろかすらん」

          式子内親王・玉葉443

「月の色も秋近い色になったよ、と知らせたくてか、夜更けて真垣の荻が、さやさや音を立てて人の注意をうながすらしいよ。」

〔秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌〕

〈病中法隆寺をよぎりて〉

「うつしよの かたみにせむと いたづきの

         みをうながして みにこしわれは」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む・改訂版》231

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「勅謚興正菩薩年譜 題辞」

◆閻浮(えんぶ①)、日の出ずる勝域、豊葦原中津瑞穂國(とよあしはらなかつみづほのくに)人皇百十三代(にんのうひゃくじゅうさんだい②) 仙洞太上皇(せんとうだじょうこう③)御即位の年、霜月の望鬼宿の日(ぼうきしゅくのひ④)。余、河内州科長(しなが⑤)楠氏の家に生を感じ、襁褓(むつき⑥)にして佛陀を知り、年甫(ねんぽ⑦)七歳にして抜俗(ばつぞく⑧)の志を發す。考妣(こうひ⑨)之を諾(だく)すれども、太守石川主殿頭昌勝(たいしゅいしかわとのものかみまさかつ⑩)、鞠愛(きくあい⑪)して聽(ゆるさ)弗(ず)。 而(しかれ)ども、余、出家すること帰るが如くにして、顧戀(これん⑫)する所無し。吾が祖、興正大士落髪の歳(十七歳)に臻(いた)りて、大和岡本斑鳩宮法起(岡本法起寺)中興第二世、純空性和尚を禮して、以て受業の師と為し、周羅(しゅうら⑬)を削除して、慈息戒(じそくかい⑭)を稟(う)け、聽渉(ちょうしょう⑮)精苦して鋒芒(ほうぼう⑯)少しく露(あら)はる。

 

 閻浮=閻浮提(えんぶだい)。人間の住む世界。

 人皇百十三代=百十二代の誤り。人皇は神武天皇以後の天皇。

 仙洞太上皇=霊元上皇(16541732)。在位は寛文三年(1663)―貞享四年(1687)。退位後、二回の院政を敷かれ期間が長かったので「仙洞様」と呼ばれた。

 望鬼宿日=望は満月。陰暦の15日。鬼宿は二十八宿の一つ、たまほめぼし。

 科長=磯長、南河内太子町。聖徳太子御廟のある叡福寺のあたり。

 襁褓=おむつ。

 年甫=年のはじめ。年始。

 抜俗=出家。

 考妣=亡くなった父母。

 太守石川主殿頭昌勝=昌勝は初名、改名して石川憲之。山城淀藩々主(16341707)。従五位下。

 鞠愛=愛育。気に入って養い育てる。

 顧戀=心のこり、未練。

 周羅=中国古代、周のあやぎぬ。俗世の衣服。

 慈息戒=沙弥戒。

 聴渉=教えを聴聞し勉学すること。

 鋒芒=鋒鋩。するどい切っ先。感性、言葉のするどいこと。

 

◆貞享(二年、1685)乙丑三月二日辰時下分、泉(和泉)の千種(ちぐさ)の森、神鳳僧寺(じんぽうそうじ①)に於いて、大乗菩薩三聚通受羯磨(だいじょうぼさつさんじゅうつうじゅこんま②)を以て自誓受具(じせいじゅぐ③)す。時に年二十二。余、謂(おもへ)らく叔世(しゅくせい④)戒師に値遇すること最も甚だ難し。吾が祖 興正菩薩、彼の菩薩通受七衆成性(しちしゅうじょうしょう⑤)の奥義を発明して、此の慈氏(じし⑥)説き玉ふ所の瑜伽顕了三聚自誓之羯磨を開示するに匪(あら)ずんば、奚(なん)ぞ能く大苾蒭(びっしゅ、比丘)位に進むことを獲んや。其れまさに熟(つらつら)審かにすべき也。此れに由りて之を観(おも)ふに、骨に鏤(ちりば)め、心に銘じ、恩を喞(しょく、啣ヵ⑦)し、徳に報いずんば有るべからざる者也。斯の書を編集の志願、始めて茲に奮発(ふんぱつ⑧)す。

 

 神鳳僧寺=泉州(現大阪府堺市西区鳳北町)にあった律寺。行基開基と伝え、江戸時代に復興された真言律の拠点寺院(律三僧坊の一つ)。明治の廃仏毀釈で廃寺となり大鳥神社となる。

 大乗菩薩三聚通受羯磨=大乗菩薩戒は三聚浄戒のことで、摂律儀戒・摂善法戒・摂衆生戒(饒益有情戒)の三種類がある。受戒の方法には、三聚戒を一度に受ける通受と摂律儀戒だけを別個に受ける別受の二つがある。羯磨はカツマとも言う(天台宗)。作法、業と訳される。比丘などが戒を受けたり懺悔したりする作法。

 自誓受具=受戒するのに戒和上をはじめ三師七証の十師がそろわない場合、自ら誓って仏菩薩から直に戒を受る自誓受戒の方法が許されると言う(『占察経』による)。受具は比丘、比丘尼が受ける具足戒(ぐそくかい、完全な戒)、大戒とも。

 叔世=すえのよ。末世。季世。

 菩薩通受七衆成性=七衆は、比丘・比丘尼・沙弥・沙弥尼・式沙摩那・優婆塞・優婆夷。通受受戒によって菩薩比丘性などが成立し、菩薩になるための戒が成立する。

 慈氏=弥勒菩薩。『瑜伽師地論』の論主。

 喞=喞はそそぐ、かこつの意。啣(かん、本字は㘅)はふくむ、心に留めるの意。

 奮発=気力をふるいおこすこと。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

 

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2014年8月30日 (土)

般若寺 夏の花だより 8・30

《コスモス なら般若寺 花だより》

秋のコスモス:≪ちらほら咲き≫早くも咲きだしました

見ごろは9月中旬~11月上旬 

 満開は9月末から10月下旬

花数・15万本、25種類

〇しおん:≪つぼみ≫

秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

花期・9月まで  

赤白2種類 200株 

〇ひつじぐさ、姫睡蓮:≪見ごろ≫ 9月まで

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫9月まで

*お知らせ:今年は十年ぶりに国宝楼門入口を開きます。9/27,2810/4,5,11,12,13の土・日・祝日。午前10時から午後4時の予定。雨天中止。

〔短歌〕

〈富士見原 其二〉

「白樺の 木立の下の 短か草

       曇れば寒く そよぎけるかも」

         島木赤彦・氷魚

〔俳句〕

「野ばくちや 銭の中なる きりぎりす」一茶

〔和歌〕

「みそぎする 川せの波の しらゆふは

         秋をかけてぞ すずしかりける」

           権中納言公雄・風雅443

「祓をする川瀬に立つ波は、神に捧げる幣の白木綿をかけたように白く、あらかじめ秋が来たかと思われる程に涼しいことだ。」

・かけて=あらかじめ告げて。

《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈五重塔をあふぎみて〉

「ちとせあまり みたびめぐれる ももとせを

          ひとひのごとく たてるこのたふ」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む・改訂版》230

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

〔序〕

◆粤(ここ)に請うらくは、繙閲(はんえつ①)揚(はよう②)して、方(まさ)に糠糩(こうかい③)を除き序引を製裁して、以て編首を冠せんことを。  余、即ち之を攬(と)り巻を撫し、嘆じて曰く、日月梭を擲(さをなげ④)し往事は窺ひ難し。然るに今、和尚南北に馳騁(ちてい⑤)し、東西に徴検(ちょうけん⑥)して之を編し之を録す。

 

 繙閲=書籍を開き読み調べる。

 簸揚=あおりあげる。

 糠糩=糠、糩ともに、ぬか、あらぬか。つまらないもの、瑣末なことの意。

 梭を擲げる=機を織るように文に記す。梭は機織りの道具、ひ(杼)。

 馳騁=馬や馬車を走らせる。かけまわる。

 徴検=あかしをたて、しらべる。

 

◆その洪風大化(こうふうだいけ①)は、迹(せき②)を異にするとも、神力(しんりき③)章々(しょうしょう④)として、五百年の後に灼爛(しゃくらん⑤)たら俾(し)む。懋(ぼう⑥)なるかな、邈(ばく⑦)なるかな。盛典と謂うべし。是を以て、仙洞太上皇(せんとうだじょうこう⑧)深く辛勤(しんきん⑨)なるを感じ玉い、特(こと)に叡思を抽(ひい)て、親しく之を御覧じて、以て焉(これ)を褒称(ほうしょう⑩)し玉ふ。臣、何ぞ夫れ、之を讃述(さんじゅつ⑪)せざるべけんや。矧(いはん)や又、吾が先祖、定嗣公(さだつぐこう⑫)の受業稟戒(じゅぎょうひんかい⑬)の事を記憶す。故に固辞するに耐えず。自ら蕪陋(ぶろう⑭)を忘れて、觚(こ⑮)を操り翰(かん⑯)を染めて、以て隨喜を申(の)ぶと、云うこと爾り。

 

 洪風大化=洪風は大きなおしえ、みちびき。大化は大いなる教化。

 迹=足あと。行跡、功績。

 神力=ジンリキおも。神の通力、威力。霊妙不可思議な力。

 章章=あきらか、明白なさま。

 灼爛=あかくやけ、ひかりかがやく。

 懋=さかん。よろこぶ。

 邈=はるかにとおい。

 仙洞太上皇=仙洞御所の太上天皇(上皇)、霊元上皇(れいげんじょうこう、東山天皇の父帝)。

 辛勤=つらく苦しいしごと。

 褒称=ほめたたえること。

 讃述=ほめたたえ記述する。

 定嗣公=葉室浄住寺開基。出家して心月房定然(じょうねん。テイゼンかも)。

 受業稟戒=仏道に入り学業を受け、仏戒を授かること。

 蕪陋=荒れはてる。知識がせまいこと。

 觚=文字を記す方形の木札。

 翰=羽毛の筆。

 

◆旹(ときに)

 

元禄十一(し①)歳次戌寅(つちのえとら)桂月(けいげつ②)穀旦(こくたん③)

葉室正二位藤原朝臣頼孝(よりたか)沐盥(もくかん④)して敬て書す。

 

 禩=祀、年。

 桂月=陰暦八月。

 縠旦=よい朝。吉日。

 沐盥=手や髪を洗い、ゆあみして身を浄める。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

 

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2014年8月29日 (金)

般若寺 夏の花だより 8・29

《コスモス なら般若寺 花だより》

秋のコスモス:花期・9月中旬~11月上旬 

朝晩が涼しくて秋のようです。雨が多いのでコスモスはよく育ち、もう咲きはじめています。いつもより二週間は早いです。これからもっと背が高くなるでしょうから秋の台風が心配です。

 満開は9月末から10月下旬

花数・15万本

種類・25種・大きく分けてビピンナタス種と

サルフレアス種(黄花)。

咲く時期により早咲きと

遅咲きに分れます。

〇紫苑:≪つぼみ≫

秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

花期・9月まで  

赤白2種類 200株 

〇ひつじぐさ、姫睡蓮:≪見ごろ≫ 9月まで

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫9月まで

*お知らせ:臨時に国宝楼門入口を開きます。9/27,2810/4,5,11,12,13の土・日・祝日。

午前10時から午後4時の予定。10年ぶりの開門です。雨天中止。

〔短歌〕

〈富士見原 其の二〉

「高原の 小松にまじる 女郎花

       色きはやかに 夏の日澄めり」

         島木赤彦・氷魚

〔俳句〕

「朝顔や したたかぬれし 通り雨」一茶

〔和歌〕

「かげうつす 庭のまし水 むすぶての 

しずくも月も 袖に涼しき」

           法印円伊・玉葉439

「月光を映している庭の清水は、すくい上げる手からしたたる雫も、そこに光る月も、袖に涼しげに宿るよ。」

《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈法隆寺の金堂にて〉

「たちいでて とどろととざす こんどうの

         とびらのおとに くるるけふかな」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む・改訂版》229

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「勅諡興正菩薩年譜 序」

◆西大(西大寺)五朝帝(ごちょうのみかど①)の師、興正菩薩年譜は、千代の古道(ちよのふるみち②)、如意輪精舎(にょいりんしょうじゃ③)、慧日光(慧日房慈光)和尚の編修するところなり。和尚、学は三蔵(さんぞう④)に富み、業は四律(しりつ⑤)に精(くわ)し、遠く龍興(りゅうこう⑥)の衣鉢を伝へ、近く西大(さいだい⑦)の嫡孫と称す。

兼て、青龍(せいりゅう⑧)の滴水(てきすい⑨)を酌(く)んで、之を倒湧(とうゆう⑩)し、正しく鉄牛(てつぎゅう⑪)の法印(ほういん⑫)を佩(は)いて、以て之を直指(じきし)す。顕密(顕教と密教)並べ弘め、禅律(禅宗と律宗)倶に揚ぐ。懿徳(いとく⑬)は玄(げん⑭)にして、猶(なお)し蘭の如く薫り、月の如く映ず。

 

 五朝帝=後嵯峨天皇、後深草天皇、亀山天皇、後宇多天皇、伏見天皇。

 千代の古道=阿保親王の第二あるいは第三王子であった在原行平(ありはらのゆきひら、業平の兄)の歌に「嵯峨の山 みゆき絶えにし 芹川の 千代の古道 跡はありけり」(後撰集)があり、歌にもとづいた呼称である。(一)一説には嵯峨の広沢の池をめぐる古道を云う。(二)別の説では「嵯峨の山」は嵯峨天皇を山にたとえたもので、嵯峨の地を指すものでない。芹川(せりかわ)は伏見鳥羽にあった狩場。そしてそこへの行幸(みゆき)の道を古道と呼んだものであり、現在も伏見区下鳥羽に芹川町の名が残る。

 如意輪精舎=慈光師の住いした寺庵、如意輪観音を本尊としたか。

 三蔵=大蔵経は経、律、論の三種類に分けられる。

 四律=中国に伝えられ漢訳された四つの律蔵。『十誦律』、『四分律』、『摩訶僧祇律』、『五分律』。

 龍興=中国揚州龍興寺の鑑真。

 西大=西大寺叡尊。

 青龍=中国西安青龍寺に学んだ空海。

 滴水=したたり水。しずく水。

 倒湧=さかさにあふれ出る。

 鉄牛=黄檗宗の禅僧。浄住寺を再興する。

 法印=仏の教えのしるし。根本的教説。三法印など。

 懿徳=大きい立派な徳、善美の徳。

 玄=奥深くすぐれている。

 

◆聡爽温贍(そうそうおんせん①)の聲(こえ②)、鴻都(こうと③)に藹(さかん)なり。実(まこと)に是れ、法海の長鯨(ほっかいのちょうげい④)、釈天の文鳳(せきてんのぶんぽう⑤)なり。一日(あるひ)、斯の編を携え来り、余に謂いて曰はく。野衲(やどう⑥)、我が祖の徳業、世を歴(へ)て其の伝を失わんことを痛念し、遐(はるか)に事績を求め、博く碑文を採り之を書して、以て之が譜(ふ⑦)を為(つく)り、まさに良梓に鋟(りょうしにちりば⑧)め、以て後代に貽(のこ)さんとす。

 

 聡爽温贍=聡爽は聡明爽快、さとくしてすがすがしい。温贍は温かくめぐみふかい。

 声=評判、人物評。

 鴻都=鴻はおおとりで大きい意。京都を言う。

 法海の長鯨=仏法の海に住む大きなクジラ。

 釈天の文鳳=釈尊の教えの天空を飛ぶ美しい鳳(おおとり)。

 野衲=ヤノウとも。野僧。僧の謙称。

 譜=ホとも。系統・順序をたどって書き記した表。

 良梓に鋟め=良質の版木に彫刻し。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

719日付(2014)奈良新聞第一面に、「断固反対!!」の看板写真と共に「奈良市クリーンセンター建設」「東部住民参加せず」「策定委30日再開」「実質協議困難か」という大見出しのもと最新の情報が紹介されました。約一年間休止していた「策定委員会」をまたぞろ再開しようというのです。2月に策定委は最悪の答申を出したうえで任期切れとなっているのに、何を今さらという印象です。仲川市長は東部住民を抱き込んで「アメ」をねぶらそうと考えたのでしょうか。根本的な問題は何一つ解決しないで「机上の空論」である候補地案を押し付ける腹が透けて見えますね。東部住民は現案を白紙撤回の上での議論なら参加してもよいと考えておられますが、先に結論ありきの委員会には何の意味もないという事でしょう。だいたい、自分たちが嫌なものを人に押しつけるなんて、人間として最低ですね。公害なき「公害調停」に振り回されているようでは、古都奈良の市長失格です。出発点に立ち返ることをお勧めします。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。


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2014年8月28日 (木)

般若寺 夏の花だより 8・28

《コスモス なら般若寺 花だより》

秋のコスモス:花期・9月中旬~11月上旬 

ちらほらと咲いています。今年の花は少し早いようです。

 満開は9月末から10月下旬

花数・15万本

種類・25種・大きく分けてビピンナタス種と

サルフレアス種(黄花)。

咲く時期により早咲きと

遅咲きに分れます。

〇紫苑:≪つぼみ≫

秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

花期・9月まで  

赤白2種類 200株 

〇ひつじぐさ、姫睡蓮:≪見ごろ≫ 9月まで

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫9月まで

*お知らせ:臨時に国宝楼門入口を開きます。9/27,2810/4,5,11,12,13の土・日・祝日。

午前10時から午後4時の予定。10年ぶりの開門です。雨天中止。

〔短歌〕

〈富士見原 其の二〉

「行く雲は かそかなれども 谿につきて

        早聚(あひあつ)まれり 夕づく青原」

          島木赤彦・氷魚

〔俳句〕

「きりきり しゃんとしてさく 桔梗哉」一茶

〔和歌〕

「なくこゑも たかき梢の せみのはの

         うすき日影に 秋ぞちかづく」

           伏見院御歌・風雅442

「鳴く声も高く聞こえる、高い梢の蝉。その羽の薄いように、薄く弱って来た日光を見れば、秋はもう近づいているのだ。」

・たかき=「声」「梢」双方にかかる。

・せみのはの=蝉の羽の。「うすき」の枕詞。

《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈奈良博物館即興〉

「のちのよの ひとのそへたる ころもでを

         かかげてたたす ぢこくてんのう」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む・改訂版》228

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

 解題

『西大寺叡尊伝記集成』(奈良国立文化財研究所編)の「解題」によれは、

「 西大勅謚興正菩薩行実年譜

行実年譜とは、本篇三巻、附録二巻から成っているもので、ほぼ元禄年間(16881703)に、京都浄住寺の沙門慈光が編集したものである。

すなわち、その事は、本篇巻下の巻末に

 【(菩薩)一代の化儀、事蹟甚だ多し。其の煙没せんことを慮(おもんばか)り、粗(ほぼ)之を譜録す。其の余の旧記、諸寺の碑碣(ケツ、いしぶみ)、徧(あまね)く探り、悉く索(もとめ)ること能はず。後代の児孫、若し得る所有らば、則ち録して以て添補せよ。余嘗て貞享丁卯の夏、泉の大鳥山神鳳僧寺に於いて、始めて之を草稿し、今、元禄年間に至るまで三十余年、南北に履歴して事跡を探訪す。一つを得て一つを譜し、二つを獲て二つを録す。編集して文をなし、歷(ととのえ)て三巻となす。又、因みに先覚筆する所の伝文記録等を附録して、是を二巻と為す。以て其の伝を広む。 洛西栗隈(くりくま)千代古道、通受菩薩戒沙門慈光、歓悦薫香して筆を陽月望日(十月十五日)に絶つ。】(原文は漢文)

とあるのによって、知ることが出来る。今、その内容を見ると、本篇の上、中、下の三巻は、やはり建仁元年(1201)の叡尊誕生から始って、正応三年(1290)八月二十五日の示寂までを、いわゆる編年体に組んだものであるが、その骨子をなしているのが感身学正記であることは云うを俟たない。しかしこの行実年譜には、叡尊願文などを主とする原史料を、かなり数多く、生のままで引用して、それ等をその年月日のところに挿入している。これが、この行実年譜を特色付けてもいるし、また非常に価値付けてもいる。そこに引用され

ている原史料で、他に見ることが出来ないものが、幾つかあるからである。

また附録の上、下、二巻は、叡尊の没後に記された関係資料を収録しているもので、本篇に引用された原史料ほどに貴重ではないかもしれないが、またかなり参考に資するに足るものである。したがって、この行実年譜は、ずっと後年になって編集されたものとは云へ、叡尊の伝記としてもっとも詳しく、またかなり信用してよいものと思われる。しかし、これは何んと云っても後代の編集であるから、その記事のすべてが、学正記ほど正確だとは云い切れない。例えば、この年譜の康正元年(1256)の條に記されている愛染明王像は、その記載内容から見ると、現在の西大寺愛染堂の本尊と考えられ、従来この年譜の説が世に行われていたが、この愛染明王像の像内に納められていたいわゆる納入文書によると、これは宝治元年(1247)に造られたことが明らかで、そこにこの年譜の記載の誤りが指摘されるが如くである。

したがって、この行実年譜は、その点に多少の心を配りさえすれば、これが叡尊伝記としてもっとも詳しいものだけに、その利用価値にはかなり大きなものがあるように思われる。

 この行実年譜全五巻は、その原本にきわめて近い、善い写本を、現に西大寺に所蔵しており、またそのかなり古い写本を河内の教興寺にも伝えている。なお、この年譜の本篇だけは、大正四年(1915)に西大寺から刊行されたことがあったが、それも今は珍本になっている。

 西大寺所蔵古写本  冊子五冊一秩、竪九寸七分、横六寸八分」

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

719日付(2014)奈良新聞第一面に、「断固反対!!」の看板写真と共に「奈良市クリーンセンター建設」「東部住民参加せず」「策定委30日再開」「実質協議困難か」という大見出しのもと最新の情報が紹介されました。約一年間休止していた「策定委員会」をまたぞろ再開しようというのです。2月に策定委は最悪の答申を出したうえで任期切れとなっているのに、何を今さらという印象です。仲川市長は東部住民を抱き込んで「アメ」をねぶらそうと考えたのでしょうか。根本的な問題は何一つ解決しないで「机上の空論」である候補地案を押し付ける腹が透けて見えますね。東部住民は現案を白紙撤回の上での議論なら参加してもよいと考えておられますが、先に結論ありきの委員会には何の意味もないという事でしょう。だいたい、自分たちが嫌なものを人に押しつけるなんて、人間として最低ですね。公害なき「公害調停」に振り回されているようでは、古都奈良の市長失格です。出発点に立ち返ることをお勧めします。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。


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2014年8月27日 (水)

般若寺 夏の花だより 8・27

《コスモス なら般若寺 花だより》

秋のコスモス:花期・9月中旬~11月上旬 

もうちらほらと咲いています。今年の花は少し早いようです。

   満開は9月末から10月下旬

花数・15万本

種類・25種・大きく分けてビピンナタス種と

サルフレアス種(黄花)。

咲く時期により早咲きと

遅咲きに分れます。

〇紫苑:≪つぼみ≫

秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

花期・9月まで  

赤白2種類 200株 

〇ひつじぐさ、姫睡蓮:≪見ごろ≫ 9月まで

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫9月まで

*お知らせ:臨時に国宝楼門入口を開きます。9/27,2810/4,5,11,12,13の土・日・祝日。

午前10時から午後4時の予定。10年ぶりの開門です。雨天中止。

〔短歌〕

〈富士見原 其の二〉

「夏ふくる 芒青野の 照りかげり

        寂しくもあるか 立ちつつあれば」

          島木赤彦・氷魚

〔俳句〕

「野なでしこ 我儘咲(わがままざき)が 見事也」一茶

〔和歌〕

「ひぐらしの こゑきくもりの 下草に

         秋まつ露の むすびそめぬる」

           高階成朝朝臣・玉葉437

「蜩の声の聞える森の下生えの草には、早くも秋を待つように、露が置きはじめたことよ。」

・ひぐらし=蜩。セミの一種、初秋の早朝、また夕暮にカナカナと鳴く。

《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈奈良博物館即興〉

「ガラスどに ならぶ四はうの みほとけの

         ひざにたぐひて わがかげはゆく」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む》227

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

〔改定版〕

 はじめに

真言律宗宗祖であり、西大寺を中興された叡尊師は、釈尊の正法(戒律)を興し衆生済度の菩薩行に生涯をささげられた事績を称えられ、寂滅後十年の正安二年(1300)、朝廷(後伏見天皇、亀山法皇)より「興正菩薩」(こうしょうぼさつ)の諡号(おくりな)を賜りました。

の興正菩薩の行実を年譜に記した一代記、『西大勅謚興正菩薩行実年譜』(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)をご紹介します。

叡尊師には別に、半生の自伝『金剛佛子叡尊感身学正記』(こんごうぶっしえいそんかんじんがくしょうき。別名、『思圓上人一期形像記(しえんしょうにんいちごぎょうぞうき)』)という自伝的一代記(写本)があり、西大寺からは長谷川誠氏の解読文が(1989)、そして歴史学者の細川涼一氏が平凡社の東洋文庫から解説本を出されています。

『行実年譜』は江戸時代の元禄年間、京都葉室浄住寺沙門の慧日房慈光師が編集したもので、叡尊師の編年の事跡と時々の「願文」「縁起」等を収録していて、『学正記』にはない利便性があります。これは真言律宗門徒にとっては、宗祖を学ぶ上で必須の教科書的な文献です。今まで誰も読み下しをしてこられなかったのが不思議なくらいです。ただ大正四年(1915)に本篇のみが西大寺から刊行されていますが、原文(漢文)に返り点と送り仮名を付しているだけなのでたいへん読みづらいものです。(京都白毫寺金田元成師編)

この書は宗祖の一代記であり、その教えを知るためにはたいへん有用な文献です。読み下し文や解説書は、真言律宗一門を挙げて取り組むべき事業で、できれば学識ある方にお願いして総本山西大寺から刊行していただきたいものです。でもその日が来るのを待ってもいられないので、私は浅学菲才を顧みず一語一句をなぞりながら自分で読み始めました。しかし正直、この漢文は難解です。漢文に不慣れな私には些か荷が重いのですが、まずは拙い試みの読み下し文を皆様に提示して、誤り不備を訂正していただいたら、より良いものが出来るのではないかと思ったのです。

写本は西大寺と河内の教興寺に現存しますが、私が読んでいるのは、昭和三十一年(1956)に奈良国立文化財研究所が刊行した『西大寺叡尊伝記集成』所収本です。(このテキストにも間違いがあるようです。最近西大寺写本のコピーをいただき参照できるようになりました。)

ここに興正菩薩の御遺徳をしのび、全巻読了までの精進を誓って始めさせていただきます。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

719日付(2014)奈良新聞第一面に、「断固反対!!」の看板写真と共に「奈良市クリーンセンター建設」「東部住民参加せず」「策定委30日再開」「実質協議困難か」という大見出しのもと最新の情報が紹介されました。約一年間休止していた「策定委員会」をまたぞろ再開しようというのです。2月に策定委は最悪の答申を出したうえで任期切れとなっているのに、何を今さらという印象です。仲川市長は東部住民を抱き込んで「アメ」をねぶらそうと考えたのでしょうか。根本的な問題は何一つ解決しないで「机上の空論」である候補地案を押し付ける腹が透けて見えますね。東部住民は現案を白紙撤回の上での議論なら参加してもよいと考えておられますが、先に結論ありきの委員会には何の意味もないという事でしょう。だいたい、自分たちが嫌なものを人に押しつけるなんて、人間として最低ですね。公害なき「公害調停」に振り回されているようでは、古都奈良の市長失格です。出発点に立ち返ることをお勧めします。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

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2014年8月26日 (火)

般若寺 夏の花だより 8・26

《般若寺 夏の花だより》

秋のコスモス:花期・9月中旬~11月上旬 

   現在、ちらほらと咲いています。今年の花は少し早いです。

   満開は9月末から10月下旬

花数・15万本

種類・25種・大きく分けてビピンナタス種と

サルフレアス種(黄花)。

咲く時期により早咲きと

遅咲きに分れます。

秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

花期・9月まで  

赤白2種類 200株 

〇ひつじぐさ、姫睡蓮:≪見ごろ≫ 9月まで

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫9月まで

*お知らせ:楼門入口を開く日、9/27,2810/4,5,11,12,13の土・日・祝日。

午前10時から午後4時の予定です。10年ぶりの開門です。

〔短歌〕

〈家に帰りて〉

「わが庭の しげりにこもる ゑごの果(み)の

        白き粉をふく 夏ふけにけり」

          島木赤彦・氷魚

〔俳句〕

「せみ鳴や 笠のやうなる 鳰(にほ)の海」一茶

〔和歌〕

「むすぶ手に 月をやどして 山の井の

         そこの心に 秋やみゆらん」

           大納言通方・風雅

「すくう手の中の水にすら月の影を映している、という事は、山の井の底深い中心に、澄み切った「秋」」の姿が体現されているという事だろうか。

・そこの心=奥深い精神。本当の気持。

《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈豊浦にて〉

「ちよろずの かみのいむとふ おほてらを

         おしてたてけむ このむらのへに」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む》226

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

昨日で『行実年譜』本文の読み下しを終えました。引き続き『附録』上下二巻を読むつもりでいましたが、実は原稿のストックが底をついてしまいました。附録にとりかかればできるだけ毎日続けたく、しばらく時間をいただいて原稿を貯めておこうと思います。

ここに連載している間に、真言律宗の総本山西大寺から出されている広報新聞『すずむし』に行実年譜連載の依頼があり、第一回目が八月に発行されました。A4判の二段組みで6ページ立てになっています。今回は「はじめに」と「解題」「序」「題辞」だけで年譜は次回からとなりました。

宗派としての公刊なので少々書き直したところもあり、本文と注の体裁を読みやすくするため今までとは少し変えています。

明日から改定版のものを再掲いたします。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

719日付(2014)奈良新聞第一面に、「断固反対!!」の看板写真と共に「奈良市クリーンセンター建設」「東部住民参加せず」「策定委30日再開」「実質協議困難か」という大見出しのもと最新の情報が紹介されました。約一年間休止していた「策定委員会」をまたぞろ再開しようというのです。2月に策定委は最悪の答申を出したうえで任期切れとなっているのに、何を今さらという印象です。仲川市長は東部住民を抱き込んで「アメ」をねぶらそうと考えたのでしょうか。根本的な問題は何一つ解決しないで「机上の空論」である候補地案を押し付ける腹が透けて見えますね。東部住民は現案を白紙撤回の上での議論なら参加してもよいと考えておられますが、先に結論ありきの委員会には何の意味もないという事でしょう。だいたい、自分たちが嫌なものを人に押しつけるなんて、人間として最低ですね。公害なき「公害調停」に振り回されているようでは、古都奈良の市長失格です。出発点に立ち返ることをお勧めします。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

 

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2014年8月25日 (月)

般若寺 夏の花だより 8・25

《般若寺 夏の花だより》

秋のコスモス:花期・9月中旬~11月上旬 

   現在、ちらほらと咲いています。今年の花は少し早いです。

   満開は9月末から10月下旬

花数・15万本

種類・25種・大きく分けてビピンナタス種と

サルフレアス種(黄花)。

咲く時期により早咲きと

遅咲きに分れます。

秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

花期・9月まで  

赤白2種類 200株 

〇ひつじぐさ、姫睡蓮:≪見ごろ≫ 9月まで

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫9月まで

*お知らせ:楼門入口を開く日、9/27,2810/4,5,11,12,13の土・日・祝日。

午前10時から午後4時の予定です。10年ぶりの開門です。

〔短歌〕

〈家に帰りて〉

「おのずから 秋づきぬらむ 庭のうへの

         雑草の穂の 動くをみれば」

           島木赤彦・氷魚

〔俳句〕

「あつき夜や 江戸の小隅の へらず口」一茶

〔和歌〕

「吹く風の 竹になるよは 秋きぬと

        おどろくばかり 袖にすずしき」

          前大納言有房・玉葉436

「風が竹をそよがせて吹きおこる夜は、夏ながら秋が来たかと驚かれるばかり、その風が袖に涼しく感じられる。」

・竹になる=竹に生ずる。

《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈山田寺の址にて〉

「くさふめば くさにかくるる いしずゑの

         くつのはくしやに ひびくさびしさ」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む》225

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

〔大正四年に西大寺から刊行された行実年譜の跋・金田元成師記〕

◆予、曾て西大法庫に就いて菩薩著述の秘鈔を拝披(はいひ)し、偉徳鴻恩を懐(おも)うこと切なり。尚復(なおまた)学正記幷に行実譜を繙(ひもと)くに迨(およ)び、感いよいよ極まり、窃(ひそ)かに思う。一輯(いっしゅう)して剖刷(ほうさつ)に附し、門末寺院に頒(わか)ち、布教伝道に資し、菩薩の偉徳を世間に示さんとす。偶(たまたま)曠古(こうこ)の大典(たいてん)に遭い、大正四年秋、その紀念ため、宗議の衆に質(ただ)すに、咸(みな)情を同じくして、謂いて宿望(しゅくぼう)なりと曰う。因って予に嘱す。不肖にして固(もと)より浅学不才にてその任に非ずと雖も、敢えて誹評を顧みず。光和尚の年譜に就いては其の四五(注)を除き、要を採り稿成る。是に傍訓(ぼうくん)を施し、托梓(たくし)す。定めて誤謬夥しからん。此の編は則ち、菩薩一世の化儀の概要を窺うに便あらしめんとするのみ。惝(もしくは)夫れ、詳細を悉知せんと欲すれば、すべからく法庫に就いて探求すべきか。爾りと云わん。

             編者白毫元成謹誌

・拝披=拝してひらく。

・一輯=一つに集める。

・剖刷=分けて印刷する。

・曠古=前例のないこと。未曾有の。

・大典=重大な儀式。即位の御大典。

・宿望=シュクモウとも。かねて抱いていた望み。

・四五=行実年譜の本文は上中下三巻、さらに附録が上下二巻あり、これを言う。

・傍訓=返り点と送り仮名、訓読みがある。

・托梓=印刷にだす。

*これにて「興正菩薩行実年譜を読む」の本文編を終了しました。

今年の正月から始めましたので八か月かかりました。今日は奇しくも興正菩薩叡尊上人の御命日にあたります(七百二十五回忌)。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

719日付(2014)奈良新聞第一面に、「断固反対!!」の看板写真と共に「奈良市クリーンセンター建設」「東部住民参加せず」「策定委30日再開」「実質協議困難か」という大見出しのもと最新の情報が紹介されました。約一年間休止していた「策定委員会」をまたぞろ再開しようというのです。2月に策定委は最悪の答申を出したうえで任期切れとなっているのに、何を今さらという印象です。仲川市長は東部住民を抱き込んで「アメ」をねぶらそうと考えたのでしょうか。根本的な問題は何一つ解決しないで「机上の空論」である候補地案を押し付ける腹が透けて見えますね。東部住民は現案を白紙撤回の上での議論なら参加してもよいと考えておられますが、先に結論ありきの委員会には何の意味もないという事でしょう。だいたい、自分たちが嫌なものを人に押しつけるなんて、人間として最低ですね。公害なき「公害調停」に振り回されているようでは、古都奈良の市長失格です。出発点に立ち返ることをお勧めします。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

Tanukimo

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2014年8月24日 (日)

般若寺 夏の花だより 8・24

《般若寺 夏の花だより》

秋のコスモス:花期・9月中旬~11月上旬 

   現在、ちらほらと咲いています。今年の花は少し早いですね。

   満開は9月末から10月下旬

花数・15万本

種類・25種・大きく分けてビピンナタス種と

サルフレアス種(黄花)。

咲く時期により早咲きと

おそ咲きに分れます。

8月もあと一週間、最後の植え付けにはげみます。今年は通路部分が狭いほど植えています。背が高い昔のコスモスも復活です。

秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

花期・9月まで  

赤白2種類 200株 

〇ひつじぐさ、姫睡蓮:≪見ごろ≫ 9月まで

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫9月まで

*お知らせ:楼門入口を開く日、9/27,2810/4,5,11,12,13の土・日・祝日。

午前10時から午後4時の予定です。10年ぶりの開門です。

〔短歌〕

〈家に帰りて〉

「夕まぐれ 縁にのぼれる こほろぎは

        いとけなければ 未だ鳴かざらむ」

          島木赤彦・氷魚

〔俳句〕

「大空の 見事に暮る 暑哉」一茶

〔和歌〕

「草のすゑに 花こそみえね 雲風も

野分ににたる 夕暮のあめ」

           永福門院・風雅439

「草の茎の先に花こそ咲いていないが、(まだ夏であって、秋草の花をつける季節ではないのだけれど)雲の様子、風の吹き方も野分に似て、秋近いことを思わせる、夕暮の雨よ。」

《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈帝室博物館にて〉

「こんでいの ほとけうすれし こんりようの

         だいまんだらに あぶのはねうつ」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む》224

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「 其の湮没(いんぼつ)せんことを慮(おもんぱか)り、粗(あらまし)之を譜録す。其の余の旧記、諸寺の碑碣、偏く探り悉く索(もと)ること能わず。後代の児孫、若し得る所あれば、則ち録して以て添補せよ。余嘗て貞享丁卯(じょうきょうひのとう)の夏、泉の大鳥山神鳳僧寺に於いて始めて之を草稿し、今元禄年間に至るまで三十余年、南北に履歴(りれき)して事跡を尋訪し、一を得て一を譜し、二を獲て二を録す。編集して文と成し、歴(ととのえ)て三巻と為す。又、因みに先覚筆する所の伝文記録等を附録して、是を二巻と為し、以て其の伝を広む。

 洛西栗隈(くりくま)千代古道通受菩薩戒沙門慈光、歓悦薫香して筆を陽月望日に絶つ。

 西大勅諡興正菩薩行実年譜 巻下 終 」

・湮没=あとかたなく消えてなくなること。

・碑碣=碑は四角形のもの、碣は円形のもの。石碑。いしぶみ。

・貞享丁卯=貞享四年(1687)。

・履歴=現在までに経てきた来歴。

・栗隈=山城国久世郡の古代地名。現在の城陽市、宇治市にかかる広範囲な地域を指す。中心地は宇治市大久保付近に比定される。平安時代には狩猟の場として知られた。千代古道については「序」の注②参照。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

719日付(2014)奈良新聞第一面に、「断固反対!!」の看板写真と共に「奈良市クリーンセンター建設」「東部住民参加せず」「策定委30日再開」「実質協議困難か」という大見出しのもと最新の情報が紹介されました。約一年間休止していた「策定委員会」をまたぞろ再開しようというのです。2月に策定委は最悪の答申を出したうえで任期切れとなっているのに、何を今さらという印象です。仲川市長は東部住民を抱き込んで「アメ」をねぶらそうと考えたのでしょうか。根本的な問題は何一つ解決しないで「机上の空論」である候補地案を押し付ける腹が透けて見えますね。東部住民は現案を白紙撤回の上での議論なら参加してもよいと考えておられますが、先に結論ありきの委員会には何の意味もないという事でしょう。だいたい、自分たちが嫌なものを人に押しつけるなんて、人間として最低ですね。公害なき「公害調停」に振り回されているようでは、古都奈良の市長失格です。出発点に立ち返ることをお勧めします。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

 

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2014年8月23日 (土)

般若寺 夏の花だより 8・23

《般若寺 夏の花だより》

秋のコスモス:花期・9月中旬~11月上旬 

   現在、ちらほらと咲いています。今年の花は少し早いですね。

   満開は9月末から10月下旬

花数・15万本

種類・25種・大きく分けてビピンナタス種と

サルフレアス種(黄花)。

咲く時期により早咲きと

おそ咲きに分れます。

秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

花期・9月まで  

赤白2種類 200株 

〇ひつじぐさ、姫睡蓮:≪見ごろ≫ 9月まで

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫9月まで

*お知らせ:楼門入口を開く日、9/27,2810/4,5,11,12,13の土・日・祝日。

午前10時から午後4時の予定です。10年ぶりの開門です。

 

 

〔短歌〕

〈百日紅〉

「野分止みて 雨ふりまさる 夕ぐれどき

        工廠の銃(つつ) しきりに響く」

      島木赤彦・氷魚

〔俳句〕

「露の世や 露のなでしこ 小なでしこ」一茶

〔和歌〕

「しげりあふ このしたつづく み山ぢは

         わけ行く袖も 涼しかりけり」

           平維貞・玉葉434

「茂りあう木の下陰がずっと続く、山の中の道は、夏とはいうものの、分けて行く袖も涼しく気持がいいなあ。」

《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈秋篠寺にて〉

「たかむらに さしいるかげも うらさびし 

         ほとけいまさぬ あきしののさと」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む》223

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

〔跋文〕

「 菩薩、始め降誕より、終り入滅に至るまで、精進の心を以て不退輪(ふたいりん)に脂(あぶら)し、勇健(ゆうけん)の力を以て無畏(むい)の鼓を撾(う)つ。化門丕(おおい)に開き、麈(土→主)尾(しゅび)を倒(さかさ)に握って、顕密を弘く唱え、戒律を再び興し、雨華堂(うかどう)に陞(のぼ)る毎(ごと)に、慧辨無礙(けいべんむげ)たり。河は泉涌に懸り、学徒四集して涿膄(たくそう)せざるはなし。飲醇充足(いんしゅんじゅうそく)して去る。律席(りっせき)の盛んなる当時、六比(ろくひ)あること罕(まれ)なり。所以(このゆえに)七衆は戒香を薫じ、人天は法水に沐(うるお)う。実(まこと)に是れ濁世の善知識(ぜんちしき)、苦海の大船師なり。以ての故に一代の化儀(けぎ)、事蹟甚だ多し。」

・不退輪=不退転法輪。転法輪は釈尊が説法することを言う。

・勇健=勇ましくすこやかなこと。

・無畏=安穏で畏れのないこと。

・麈尾=麈は大鹿のことでトナカイの類。麈の尾の毛で作った払子(ほっす)。トナカイは群を成し、主たるものに服従するから、衆徒が教主(長老)に従う意を寓したもの。

・雨華堂=不詳。

・慧辨無礙=智慧と弁舌がとらわれがなく自由自在である。

・涿膄=(テキスト原文では両字とも誤っているので写本の字を採用)涿は琢に通じ、みがく。膄は痩に通じ、やせる。痩せるほど学問修行して人格を磨く。

・飲醇充足=こくのある酒を飲んだように満足して。

・律席=戒律を講じる席。

・六比=意味不明。比はしたしむ(親)、たのしむ(楽)、このごろの意あり。

・善知識=教えを説いて仏道へと導いてくれる良い友人・指導者。

・化儀=衆生を教導・感化する形式・仕方。

ここからの文は本書の始め、「解題」に引用されています。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

719日付(2014)奈良新聞第一面に、「断固反対!!」の看板写真と共に「奈良市クリーンセンター建設」「東部住民参加せず」「策定委30日再開」「実質協議困難か」という大見出しのもと最新の情報が紹介されました。約一年間休止していた「策定委員会」をまたぞろ再開しようというのです。2月に策定委は最悪の答申を出したうえで任期切れとなっているのに、何を今さらという印象です。仲川市長は東部住民を抱き込んで「アメ」をねぶらそうと考えたのでしょうか。根本的な問題は何一つ解決しないで「机上の空論」である候補地案を押し付ける腹が透けて見えますね。東部住民は現案を白紙撤回の上での議論なら参加してもよいと考えておられますが、先に結論ありきの委員会には何の意味もないという事でしょう。だいたい、自分たちが嫌なものを人に押しつけるなんて、人間として最低ですね。公害なき「公害調停」に振り回されているようでは、古都奈良の市長失格です。出発点に立ち返ることをお勧めします。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

 

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2014年8月22日 (金)

般若寺 夏の花だより 8・22

《般若寺 夏の花だより》

秋のコスモス:花期・9月中旬~11月上旬 

   満開は9月末から10月下旬

花数・15万本

種類・25種・大きく分けてビピンナタス種と

サルフレアス種(黄花)。

咲く時期により早咲きと

おそ咲きに分れます。

秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

花期・9月まで  

赤白2種類 200株 

〇ひつじぐさ、姫睡蓮:≪見ごろ≫ 9月まで

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫9月まで

*お知らせ:楼門入口を開く日、9/27,2810/4,5,11,12,13の土・日・祝日。

午前10時から午後4時の予定です。10年ぶりの開門です。

〔短歌〕

〈百日紅〉

「百日紅 あらしに靡(なび)く 時のまも

      虫鳴き満てり 草叢(くさむら)のなかに」

        島木赤彦・氷魚

〔俳句〕

「野なでしこ 我儘咲(わがままざき)が見事也」一茶

〔和歌〕

「夏ふかき 峯の松がえ 風こえて

        月影すずし ありあけの山」

          前大僧正慈鎮・風雅437

「夏も深まった、峯の茂りあう松の枝の上を風が吹き越して、月の光が涼しいよ、有明時の山は。」

・ありあけの山=月が空に残っていながら、夜が明けかかる時刻の山。陰暦二十日以後の明け方の山。

《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈法隆寺村にやどりて〉

「いかるがの さとのおとめは よもすがら

         きぬはたおれり あきちかみかも」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む》222

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「 諡号綸旨を賜るを謝し奉るの状、

 

【謹んで菩薩号を稟け奉るの事

右、菩薩の勝号は、大士の極名なり。凡庶(ぼんしょ)、未だ其の位を蹈(ふ)まざるに、聖主輙(すなわち)此の称を授く。而るに今、興正菩薩は忝(かたじけな)くも、五朝の国師となって陪(したが)い、剰(あまつさ)え薩埵の名字を黷(けが)す。幸いに聖朝の明時(あかとき)に逢い、忽ちに仏日の光輝を増し、先師の名誉を啻(ただ)翹(あ)ぐるのみに匪ず。而も亦、遺弟の眉目(びもく)を開き、弥(いよいよ)大悲闡提の誓心を励まし、禁中(きんちゅう)万代の宝祚(ほうそ)を祈り奉るべし。仍て稟ける所、件の如し。

 遺弟等、誠惶誠恐謹言(せいこうせいきょうきんげん)す。

  正安二年閏七月九日 西大寺一門遺弟等謹んで状す。】 」

・凡庶=なみの人。凡人。

・明時=あかつき。暁。

・眉目=面目。ほまれ。

・禁中=禁闕(きんけつ、皇居・内裏)の中

・宝祚=天皇の位。皇位。

・誠惶誠恐謹言=まことにおそれかしこまって謹んでもうす。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

719日付(2014)奈良新聞第一面に、「断固反対!!」の看板写真と共に「奈良市クリーンセンター建設」「東部住民参加せず」「策定委30日再開」「実質協議困難か」という大見出しのもと最新の情報が紹介されました。約一年間休止していた「策定委員会」をまたぞろ再開しようというのです。2月に策定委は最悪の答申を出したうえで任期切れとなっているのに、何を今さらという印象です。仲川市長は東部住民を抱き込んで「アメ」をねぶらそうと考えたのでしょうか。根本的な問題は何一つ解決しないで「机上の空論」である候補地案を押し付ける腹が透けて見えますね。東部住民は現案を白紙撤回の上での議論なら参加してもよいと考えておられますが、先に結論ありきの委員会には何の意味もないという事でしょう。だいたい、自分たちが嫌なものを人に押しつけるなんて、人間として最低ですね。公害なき「公害調停」に振り回されているようでは、古都奈良の市長失格です。出発点に立ち返ることをお勧めします。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

 

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2014年8月21日 (木)

般若寺 夏の花だより 8・21

《般若寺 夏の花だより》

秋のコスモス:花期・9月中旬~11月上旬 

   満開は9月末から10月下旬

花数・15万本

種類・25種・大きく分けてビピンナタス種と

サルフレアス種(黄花)。

咲く時期により早咲きと

おそ咲きに分れます。

秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

花期・9月まで  

赤白2種類 200株 

〇ひつじぐさ、姫睡蓮:≪見ごろ≫ 9月まで

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫9月まで

*お知らせ:楼門入口を開く日、9/27,2810/4,5,11,12,13の土・日・祝日。

午前10時から午後4時の予定です。10年ぶりの開門です。

〔短歌〕

〈百日紅〉

「日のあたる 土の面(も)見れば 風の中に

揺(ゆす)れつつあり 百日紅の幹」

            島木赤彦・氷魚

〔俳句〕

「御地蔵や 花なでしこの 真中に」一茶

〔和歌〕

「いはねつたふ 水のひびきは 底にありて

          すずしさたかき 松かぜの山」

            大江宗秀・玉葉432

「岩根を伝い流れる水の響きは谷底にあるのだが、その涼しさはかえって高い山頂に呼応する松風の音として聞える。」

《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈薬師寺東塔〉

「くさにねて あふげばのきの あをぞらに

         すずめかつとぶ やくしじのたふ」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む》221

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「 諡号院宣を賜るを謝し奉るの状、

 

【菩薩号の院宣、已に以て下し賜り了んぬ。早く一門の僧侶を当寺に集めて、まさに之を拝覧せしむべし。遺弟等の眉目(びもく)、何れの事か之に如(し)くべきか。いよいよ先師菩薩の遺教を守り、よろしく衆生利益の懇志(こんし)を励むべきものなり。

信空、恐惶謹言(きょうこうきんげん)す。

正安二年七月六日 】」

・眉目=ほまれ。名誉。

・懇志=ねんごろなこころざし。

・恐惶謹言=おそれかしこみつつしんで申し上げます。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

719日付(2014)奈良新聞第一面に、「断固反対!!」の看板写真と共に「奈良市クリーンセンター建設」「東部住民参加せず」「策定委30日再開」「実質協議困難か」という大見出しのもと最新の情報が紹介されました。約一年間休止していた「策定委員会」をまたぞろ再開しようというのです。2月に策定委は最悪の答申を出したうえで任期切れとなっているのに、何を今さらという印象です。仲川市長は東部住民を抱き込んで「アメ」をねぶらそうと考えたのでしょうか。根本的な問題は何一つ解決しないで「机上の空論」である候補地案を押し付ける腹が透けて見えますね。東部住民は現案を白紙撤回の上での議論なら参加してもよいと考えておられますが、先に結論ありきの委員会には何の意味もないという事でしょう。だいたい、自分たちが嫌なものを人に押しつけるなんて、人間として最低ですね。公害なき「公害調停」に振り回されているようでは、古都奈良の市長失格です。出発点に立ち返ることをお勧めします。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

 

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2014年8月20日 (水)

般若寺 夏の花だより 8・20

《般若寺 夏の花だより》

秋のコスモス:花期・9月中旬~11月上旬 

   満開は9月末から10月下旬

花数・15万本

種類・25種・大きく分けてビピンナタス種と

       サルフレアス種(黄花)。

咲く時期により

早咲きとおそ咲きに分れます。

*コスモスの草丈が1メートルを超えてきました。まだ8月ですから、この分だと9月末には2メートル近くになるのでは、と少し心配です。風に弱くなるからです。しかし参詣者には背丈の高いコスモスを好まれる方が多いようです。久々にコスモス林が見られるかも。もうちらほら咲きだしています。草花は季節の移り変わりを敏感に感じているのですね。

秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

花期・9月まで  

赤白2種類 200株 

〇ひつじぐさ、姫睡蓮:≪見ごろ≫ 9月まで

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫9月まで

*お知らせ:楼門入口を開く日、9/27,2810/4,5,11,12,13の土・日・祝日。

午前10時から午後4時の予定です。10年ぶりの開門です。

〔短歌〕

〈百日紅〉

「あらし吹く 百日紅の枝の 起きかへり

         ひろがる見れば 花は乏しき」

           島木赤彦・氷魚

〔俳句〕

「暮行(くれゆく)や 扇のはしの 浅間山」一茶

〔和歌〕

「もりかぬる 月はすくなき 木の下に

         夜深き水の をとぞすずしき」

           進子内親王・風雅435

「深い木陰の間を漏りかねて、月光に乏しい木の下に流れる、夜更けて聞く水の音の涼しさよ。」

《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈春日野にて〉

「かすがのに おしてるつきの ほがらかに

         あきのゆふべと なりにけるかも」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む》220

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

後伏見天皇綸旨(りんじ)に曰く、

・綸旨=リンシとも。綸言の趣旨。蔵人が勅命を受けて書いた文書。

 

【勅す、伝灯大法師位(でんとうだいほっしい)叡尊といっぱ、一天四海の大導師、濁世末代の生身仏なり。済度衆生を以て己が任となし、大悲闡提(だいひせんだい)を以て我が願となす。仍て王侯卿士の智行(ちぎょう)に帰するや、皆な現当の値遇(げんとうのちぐう)を約す。勇猛精進の堅固(ゆうみょうしょうじんのけんご)に住するや、誠に仏法の寿命を続(つな)げり。是を以て九十年の化機(けき)は暗に四八相(しはっそう)の妙果(みょうか)を彈ず(だんず)。遂に其の徳を熟(つらつら)思うに、更に啻人(しじん)に匪(あら)ず。まさに今寵輝(ちょうき)を贈って、よろしく崇飾(すうしょく)を加う。故に興正菩薩と号す。

 正安二年七月三日

   役人(菩薩号役者次第)

摂政 前太政大臣従一位藤原朝臣 兼基(近衛殿)

上卿 正二位権大納言源朝臣 通重(三條坊門)

勅使 正四位下権中納言藤原朝臣 範重

手書 大内記正五位下藤原朝臣 為範(六角)

辨官 権左小辨正四位下藤原朝臣 光定

職事 蔵人兵部小輔正五位上平朝臣 惟輔(安居院)

院旨奉書 参議正三位下藤原朝臣 光泰

院旨御使 伊豫(與)大烝中原朝臣 重次

                   外記吏主(吏生)

                   外記吏(史)部

〔西大寺蔵 正安二年七月三日綸旨写〕

・伝灯大法師位=僧綱に任ぜられない凡僧(遁世僧)の最高位の敬称。

・大悲闡提=衆生済度の大慈悲心ゆえに自らは成仏しないと誓いを立てること。

・智行=智慧と徳行。

・現当の値遇=菩薩に現世、さらに来世においても出会うこと。

・勇猛精進の堅固=勇ましく強く、ひたすら仏道修行に励み、心がしっかり定まって揺らがないこと。

・化機=化導のはたらき、教化活動。

・四八相=三十二相。仏がそなえている三十二のすぐれた姿・形。

・妙果=仏果、仏のさとり

・彈ず=楽器を弾く。音楽をかなでる。

・啻人=ただのひと。

・寵輝=栄えある輝き。

・崇飾=崇敬のための修飾。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

719日付(2014)奈良新聞第一面に、「断固反対!!」の看板写真と共に「奈良市クリーンセンター建設」「東部住民参加せず」「策定委30日再開」「実質協議困難か」という大見出しのもと最新の情報が紹介されました。約一年間休止していた「策定委員会」をまたぞろ再開しようというのです。2月に策定委は最悪の答申を出したうえで任期切れとなっているのに、何を今さらという印象です。仲川市長は東部住民を抱き込んで「アメ」をねぶらそうと考えたのでしょうか。根本的な問題は何一つ解決しないで「机上の空論」である候補地案を押し付ける腹が透けて見えますね。東部住民は現案を白紙撤回の上での議論なら参加してもよいと考えておられますが、先に結論ありきの委員会には何の意味もないという事でしょう。だいたい、自分たちが嫌なものを人に押しつけるなんて、人間として最低ですね。公害なき「公害調停」に振り回されているようでは、古都奈良の市長失格です。出発点に立ち返ることをお勧めします。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

 

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2014年8月19日 (火)

般若寺 夏の花だより 8・19

《般若寺 夏の花だより》

秋のコスモス:花期・9月中旬~11月上旬 

   満開は9月末から10月下旬

花数・15万本

種類・25種・大きく分けてビピンナタス種とサルフレアス種(黄花)。

咲く時期により早咲きとおそ咲きに分れます。

秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

花期・9月まで  

赤白2種類 200株 

〇ひつじぐさ、姫睡蓮:≪見ごろ≫ 9月まで

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫9月まで

*お知らせ:楼門入口を開く日、9/27,2810/4,5,11,12,13の土・日・祝日。

午前10時から午後4時の予定です。10年ぶりの開門です。

〔短歌〕

〈百日紅〉

「百日紅(さるすべり) 花聚合(かた)まりて 動き居り

         枝みながらに 暴風雨(あらし)に傾き」

           島木赤彦・氷魚

〔俳句〕

「五十聟(むこ) 天窓(あたま)をかくす 扇かな」一茶

〔和歌〕

「松かげや このしたふかき いはまより

        涼しくつたふ 山川の水」

          前右近大将公顕・玉葉431

「松の陰の、木の下深くかくれている岩の間から、涼しげに伝い落ちて流れる山川の水よ。」

《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈滝坂にて〉

「ゆふされば きしのはにふに よるかにの

         あかきはさみに あきのかぜふく」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む》219

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「 恐る(おそ)るらくは、已に大覚の同称(だいかくのどうしょう)を黷(とく)さんこと。其の徳を顧みるに、山嶽よりも高く、彼(か)の恩を憶(おも)うに河海よりも深し。報酬(ほうしゅう)の志、聊(いささ)かも停(とど)まること無し。仍て行基菩薩の先蹤(せんしょう)を逐(お)い、興正菩薩の貴号を贈る。早く有司(ゆうし)に命じ、将に詔旨(しょうし)を垂れんとす。然而(しかりしこうして)宣下(せんげ)を相待たずして、且つは寺中に触るる所なり。叡情(えいじょう)の尊崇する所、弟葉(ていよう)なんぞ渇仰(かつごう)せざらんや。堅く彼の菩薩の遺教(いきょう)を守って、此の律法の違犯を致す莫れ。院宣かくの如し。仍て執達(しったつ)件(くだん)の如し。

 正安二年七月四日        光泰 奉(たてまつる)

  西大寺門徒僧衆中】」

〔西大寺蔵 正安二年七月四日院宣写〕

 

・恐るらくは=心配することには。

・大覚の同称=正覚を得た人、仏と同じ称号。

・黷=けがす。

・報酬=菩薩の徳や恩に報いる思い。

・先蹤=蹤は足あと。先人の事跡。

・有司=役人。

・詔旨=みことのりのおもむき。

・宣下=宣旨(せんじ・天皇の命を伝える公文書)を下すこと。

・叡情=天子(亀山法皇)のこころ。

・弟葉=門弟。

・渇仰=のどの渇いた者が水を求めるのにたとえ、人の徳を仰ぎ慕うこと。

・遺教=ユイギョウとも。生前に残したおしえ。

・執達=上意を受けて下に通達すること。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

719日付(2014)奈良新聞第一面に、「断固反対!!」の看板写真と共に「奈良市クリーンセンター建設」「東部住民参加せず」「策定委30日再開」「実質協議困難か」という大見出しのもと最新の情報が紹介されました。約一年間休止していた「策定委員会」をまたぞろ再開しようというのです。2月に策定委は最悪の答申を出したうえで任期切れとなっているのに、何を今さらという印象です。仲川市長は東部住民を抱き込んで「アメ」をねぶらそうと考えたのでしょうか。根本的な問題は何一つ解決しないで「机上の空論」である候補地案を押し付ける腹が透けて見えますね。東部住民は現案を白紙撤回の上での議論なら参加してもよいと考えておられますが、先に結論ありきの委員会には何の意味もないという事でしょう。だいたい、自分たちが嫌なものを人に押しつけるなんて、人間として最低ですね。公害なき「公害調停」に振り回されているようでは、古都奈良の市長失格です。出発点に立ち返ることをお勧めします。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

 

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2014年8月18日 (月)

般若寺 夏の花だより 8・18

《般若寺 夏の花だより》

今日は陰暦で723日です。旧の8月になれば秋の始まりです。そういえば最近、秋を告げるヒグラシのカナカナの声が聞えるようになりました。

秋のコスモス:花期・9月中旬~11月上旬 

   満開は9月末から10月下旬

花数・15万本

種類・25種・大きく分けてビピンナタス種とサルフレアス種(黄花)。

咲く時期により早咲きとおそ咲きに分れます。

秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

花期・9月まで  

赤白2種類 200株 

〇ひつじぐさ、姫睡蓮:≪見ごろ≫ 9月まで

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫9月まで

*お知らせ:楼門入口を開く日、9/27,2810/4,5,11,12,13の土・日・祝日。

午前10時から午後4時の予定です。10年ぶりの開門です。

〔短歌〕

〈北海道 其三〉

「笹の中の み墓のまへに 心親し

        従弟(いとこ)と二人 物打ち語る」

          島木赤彦・氷魚

〔俳句〕

「大猫の どさりと寝たる 団扇哉」一茶

〔和歌〕

「山川の みなそこきよき 夕波に

       なびく玉藻ぞ みるもすずしき」

         権律師慈成・風雅433

「山川の、水底まで澄んで見える中に、夕波になびき揺れる美しい水草が、見るからに涼しい。」

《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈滝坂にて〉

「たきさかの きしのこずゑに きぬかけて

         きよきかはせに あそびてゆかな」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む》218

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「 正安二年、後伏見皇帝(ごふしみこうてい)勅して興正菩薩と諡(おくりな)す。

・後伏見皇帝=父は持明院統の伏見天皇。(12881336)。在位1298(永仁6)~1301(正安3)。在位中は伏見上皇が院政を敷く。在位二年余で大覚寺統の東宮(後二条天皇)に譲位した。のち弟、花園天皇、子、光厳天皇の時院政を敷く。

亀山法皇院宣に曰く、

【院宣を被(こうむ)るを偁(あ)ぐ。

 叡尊上人は、法灯(ほうとう)高く挑(かか)げ、戒珠(かいしゅ)を鎮(とこしな)えに瑩(みが)く。志は偏(ひとえ)に衆生の利益(りやく)に在り、徳は已に菩薩の勝位に叶う。五朝(ごちょう)は以て国師(こくし)と為し、四輩(しはい)は皆な薩埵(さった)と仰ぐ。就中(なかんずく)自ら(みずから)三衣十戒(さんねじゅっかい)の受持を専らとし、秘密真言の入壇に至る。是れ皆な上人の教化に依ってなり。」

・法灯=仏の正法が世の闇を照らすのを灯に例えて言う語。仏の教え。のりのともしび。

・戒珠=梵網経の偈文に「戒は明日月の如し、亦瓔珞珠の如し」とあり、珠にたとえられる。

・五朝=後嵯峨、後深草、亀山、後宇多、伏見の五代の天皇。

・国師=本来、国家の師表たるべき高僧をに対し、君主より賜る称号。ここでは単に尊称として用いられている。

・四輩=比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷。

・薩埵=菩提薩埵。菩薩。

・自ら=亀山法皇のこと。

・三衣十戒=法皇は治天の君と呼ばれ、政治の実権を握るがあくまで出家の身である故、三衣と十戒を受持していることを言う。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

719日付(2014)奈良新聞第一面に、「断固反対!!」の看板写真と共に「奈良市クリーンセンター建設」「東部住民参加せず」「策定委30日再開」「実質協議困難か」という大見出しのもと最新の情報が紹介されました。約一年間休止していた「策定委員会」をまたぞろ再開しようというのです。2月に策定委は最悪の答申を出したうえで任期切れとなっているのに、何を今さらという印象です。仲川市長は東部住民を抱き込んで「アメ」をねぶらそうと考えたのでしょうか。根本的な問題は何一つ解決しないで「机上の空論」である候補地案を押し付ける腹が透けて見えますね。東部住民は現案を白紙撤回の上での議論なら参加してもよいと考えておられますが、先に結論ありきの委員会には何の意味もないという事でしょう。だいたい、自分たちが嫌なものを人に押しつけるなんて、人間として最低ですね。公害なき「公害調停」に振り回されているようでは、古都奈良の市長失格です。出発点に立ち返ることをお勧めします。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

 

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2014年8月17日 (日)

般若寺 夏の花だより 8・17

《般若寺 夏の花だより》

秋のコスモス:花期・9月中旬~11月上旬 

   満開は9月末から10月下旬

花数・15万本

種類・25種・大きく分けてビピンナタス種とサルフレアス種(黄花)。

咲く時期により早咲きとおそ咲きに分れます。

秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

花期・9月まで  

赤白2種類 200株 

〇ひつじぐさ、姫睡蓮:≪見ごろ≫ 9月まで

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫9月まで

*お知らせ:

今年の秋シーズンに国宝楼門の柵を開いて入山していただきます。日程は9/27,2810/4,5,11,12,13の土・日・祝日。午前10時から午後4時の予定です。十年ぶりの再開です。門をくぐれば大石塔が正面に見え、コスモスの小道をたどって本堂へ向います。お堂の横の石仏を巡れば白鳳秘仏にもお会いできます。

 

〔短歌〕

〈北海道 其三〉

「北蝦夷の 地(つち)のはてしと 思ひ立つ

        笹山の風は 騒ぎつつあり」

          島木赤彦・氷魚

〔俳句〕

「鼻先に ちゑぶらさげて 扇かな」一茶

〔和歌〕

「山かぜの ふくとしもなき 夕暮も

        このしたかげは 猶ぞすずしき」

          昭慶門院一条・玉葉429

「山風が吹き通って来るという程でもない夕暮れでも、木の下陰はやはり涼しい。(秋も近くなったのだなあ)」

《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈滝坂にて〉

「かけおちて いはのしたなる くさむらの

         つちとなりけむ ほとけかなしも」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む》217

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「 已下密部

  (興正菩薩著作目録・密教の部)

〇四度加行次第 九帖  

〇金剛界梵漢和鏡 八巻   〇胎蔵界梵漢和鏡 八巻 

〇伝法灌頂詮要私記 三巻  〇同鈔  一巻

〇同支分詮要鈔  一巻

〇伝法灌頂護摩私記 一巻  〇同鈔  一巻

〇吽字次第   七十九帖  〇同目録  一帖

〇多羅倶字次第 三十六帖  〇同目録  一帖

〇細次第    四十三帖  〇同目録  一帖

〇合字次第   四十一帖  〇同目録  一帖

〇許可行法幷表白  一帖  〇同略作法 一帖

〇尼衆許可作法幷表白 一帖 〇尼衆教授作法 一帖

〇尼衆血脈     一帖  〇年始駄都秘法 一帖

〇年始五大虚空蔵法 一帖  〇年始金剛界略次第 一帖

〇年始胎蔵界略次第 一帖  〇年始増益護摩法 一帖

〇年始金輪仏頂法  一帖  〇後七日宝輪華次第 一帖

〇胎蔵界自行道観  一帖  〇光明真言会秘法  一帖

〇同願文    一巻    〇真言八祖供儀   一巻

〇密祖血脉譜  一巻    〇表白集    一巻

〇密声明要略集 一巻

(以上は密教書籍)

 是の如き等の顕密書籍数百巻並びに世に行われる。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

719日付(2014)奈良新聞第一面に、「断固反対!!」の看板写真と共に「奈良市クリーンセンター建設」「東部住民参加せず」「策定委30日再開」「実質協議困難か」という大見出しのもと最新の情報が紹介されました。約一年間休止していた「策定委員会」をまたぞろ再開しようというのです。2月に策定委は最悪の答申を出したうえで任期切れとなっているのに、何を今さらという印象です。仲川市長は東部住民を抱き込んで「アメ」をねぶらそうと考えたのでしょうか。根本的な問題は何一つ解決しないで「机上の空論」である候補地案を押し付ける腹が透けて見えますね。東部住民は現案を白紙撤回の上での議論なら参加してもよいと考えておられますが、先に結論ありきの委員会には何の意味もないという事でしょう。だいたい、自分たちが嫌なものを人に押しつけるなんて、人間として最低ですね。公害なき「公害調停」に振り回されているようでは、古都奈良の市長失格です。出発点に立ち返ることをお勧めします。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

 

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2014年8月16日 (土)

般若寺 夏の花だより 8・16

《般若寺 夏の花だより》

秋のコスモス:花期・9月中旬~11月上旬 

   満開は9月末から10月下旬

花数・15万本

種類・25種

 大きく分けてビピンナタス種とサルフレアス種(黄花)。

 早咲きとおそ咲きに分れます。

秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

花期・9月まで  

赤白2種類 200株 

〇ひつじぐさ、姫睡蓮:≪見ごろ≫ 9月まで

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫9月まで

〔短歌〕

〈北海道 其三〉

「のぼり立ち 見る笹山は 小さくて

         海はてしなし おくつきどころ」

           島木赤彦・氷魚

〔俳句〕

「遠水鶏(とほくひな) 小菅の御門(ごもん) しまひけり」一茶

〔和歌〕

「夏の日の 夕かげをそき みちのべに

        雲一むらの したぞすずしき」

          従二位兼行・風雅431

「夏の太陽が照りつけ、夕陰になるのが遅いなあ、と待たれる道のほとりに、ふと横ぎる雲の一むらに日光がさえぎられる、その下だけが涼しい。」

・夕かげ=日が傾いて片陰ができ、あたりがやや暗く夕方らしくなる状態。

《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈南京新唱〉

「うちふして ものもふくさの まくらべを

         あしたのしかの むれわたりつつ」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む》216

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「 〇四分布薩法則  一巻  〇梵網布薩法則  一巻

〇安居法則    一巻  〇自恣作法    一巻

〇法界略法則   一巻  〇授菩薩七衆戒作法 五巻

〇別受八斎戒作法 一巻  〇授十善戒作法  一巻

〇剃髪略作法   一巻  〇梵網講讃    一巻

〇梵網略講讃   一巻  〇心経会作法   一巻

〇心経略釈    一巻  〇仁王会作法   一巻

〇法華会作法   一巻  〇最勝会作法   一巻

〇仏名会法則   一巻  〇文殊講式    一巻

〇辨財天講式   一巻  〇大黒天講式   一巻

〇西大寺浄厨大黒天講式 一巻 〇聖徳太子講式 一巻

〇南山講式    一巻  〇霊芝講式    一巻

〇法華寺舎利縁起 一巻  〇造立般若寺丈六文殊菩薩願文 一巻

〇諸願文集    一巻  〇西大寺三時勤行法則 一巻

〇顕声明要略集  一巻

    已上顕書  」

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

719日付(2014)奈良新聞第一面に、「断固反対!!」の看板写真と共に「奈良市クリーンセンター建設」「東部住民参加せず」「策定委30日再開」「実質協議困難か」という大見出しのもと最新の情報が紹介されました。約一年間休止していた「策定委員会」をまたぞろ再開しようというのです。2月に策定委は最悪の答申を出したうえで任期切れとなっているのに、何を今さらという印象です。仲川市長は東部住民を抱き込んで「アメ」をねぶらそうと考えたのでしょうか。根本的な問題は何一つ解決しないで「机上の空論」である候補地案を押し付ける腹が透けて見えますね。東部住民は現案を白紙撤回の上での議論なら参加してもよいと考えておられますが、先に結論ありきの委員会には何の意味もないという事でしょう。だいたい、自分たちが嫌なものを人に押しつけるなんて、人間として最低ですね。公害なき「公害調停」に振り回されているようでは、古都奈良の市長失格です。出発点に立ち返ることをお勧めします。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

 

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2014年8月15日 (金)

般若寺 夏の花だより 8・15

《般若寺 夏の花だより》

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

花期・9月まで  

赤白2種類 200株 

〇ひつじぐさ、姫睡蓮:≪見ごろ≫ 9月まで

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫9月まで

〇夾竹桃(きょうちくとう):≪見ごろ≫

〇秋のコスモス:花期・9月中旬~11月上旬 

花数・15万本

種類・25種

〔短歌〕

〈北海道 其三〉

「われ一人 立ちて久しき 笹山の

        海風吹きて 曇りをおくる」

          島木赤彦・氷魚

〔俳句〕

「鵜の真似は 鵜より上手な 子供哉」一茶

〔和歌〕

「夏山の みどりの木々を 吹きかへし

       ゆふだつ風の 袖に涼しき」

         権中納言兼季・玉葉428

「夏山に緑濃く茂った木々を吹き返して、夕方俄に立つ風が、袖に涼しく感じられるよ。」

《秋艸道人、会津八一先生の歌集『鹿鳴集』より、奈良愛惜の歌。》

〈南京新唱〉

「かすがのの みくさをりしき ふすしかの

         つのさへさやに てるつくよかも」

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む》215

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

「 其の自ら著造して来裔に貽(おく)るものは、

(興正菩薩著作目録・顕教の部)

 

 〇梵網経古迹記(科文輔行)文集(会本)十巻 同科文 一巻

〔日本大蔵経第三十六巻、第三十七巻所収〕

 〇菩薩戒本宗要輔行文集 二巻 同科文 一巻

〔日蔵第三十九巻所収〕

 〇応理宗戒図 一紙 〇応理宗戒図本文集 一巻

 〇応理宗戒図釈文鈔 一巻 同科文 一巻

〔本文集・釈文集は日蔵第四十巻所収、戒図をのぞく〕

 〇瑜伽菩薩戒経釈文鈔 一巻  同科文 一巻

 〇菩薩戒羯磨文釈文鈔 一巻  同科文 一巻

〔日蔵第四十巻所収〕

〇表無表章詳体文集 三巻 同科文 一巻

〔日蔵第六十七巻所収〕

 〇大乗入道章科文 一巻 〇最勝王経科文 一巻

 〇天台戒図  一紙    

〇勧発菩提心集流壅記 一巻  同科文 一巻  

〔日蔵第六十七巻所収〕  

〇律宗作持羯磨  一巻 

〔日蔵第六十九巻所収〕  」

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

719日付(2014)奈良新聞第一面に、「断固反対!!」の看板写真と共に「奈良市クリーンセンター建設」「東部住民参加せず」「策定委30日再開」「実質協議困難か」という大見出しのもと最新の情報が紹介されました。約一年間休止していた「策定委員会」をまたぞろ再開しようというのです。2月に策定委は最悪の答申を出したうえで任期切れとなっているのに、何を今さらという印象です。仲川市長は東部住民を抱き込んで「アメ」をねぶらそうと考えたのでしょうか。根本的な問題は何一つ解決しないで「机上の空論」である候補地案を押し付ける腹が透けて見えますね。東部住民は現案を白紙撤回の上での議論なら参加してもよいと考えておられますが、先に結論ありきの委員会には何の意味もないという事でしょう。だいたい、自分たちが嫌なものを人に押しつけるなんて、人間として最低ですね。公害なき「公害調停」に振り回されているようでは、古都奈良の市長失格です。出発点に立ち返ることをお勧めします。

513日付の奈良新聞報道によると「奈良市 清美工場移転/会館/火葬場移転 進まぬ懸案事業 〈住民合意〉得られず」という見出しで、奈良市議会市民環境委員会(中西吉日出委員長)の審議の様子が記事になっていました。クリーンセンター問題では、現工場の早期移転を求める北部住民と、計画の白紙撤回を求める東部住民の双方から請願が提出されていることを紹介しています。そして昨年一月に候補地を中ノ川町と東鳴川町に選定した奈良市クリーンセンター建設計画策定委員会(渡辺信久委員長)は、(ごみ集積のリレーセンター設置案を出した後、)昨年8月から休止状態となり、今年213日付で全委員19人の任期切れとなったことを報じています。

事態はこう着状態です。そろそろ市長さんの政治決断が求められる時が来たのではないでしょうか。公平な市民の意見では、現地での建て替えを含む候補地の再検討をされた方がいいのでは、という声が聞えます。市内では最高の立地条件(4車線の幹線道路が東西南北に交差)にある現工場こそ最適地であり、ここで最新の設備を導入するのがベストの解決策ではないのか、という市民の声を尊重していただきたいですね。地元住民の方も、人口が少ないからと言って都市周辺の山村部へ工場を押しつけるのではなく、より良いクリーンセンターのあり方を市当局と話し合っていただきたいですね。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文では抱負が述べられています。その結びには、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが披瀝され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。

 

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2014年8月14日 (木)

般若寺 夏の花だより 8・14

《般若寺 夏の花だより》

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

花期・9月まで  

赤白2種類 200株 

〇ひつじぐさ、姫睡蓮:≪見ごろ≫ 9月まで

〇百日紅(さるすべり):≪咲きはじめ≫9月まで

〇夾竹桃(きょうちくとう):≪見ごろ≫

〇秋のコスモス:花期・9月下旬~11月上旬 

花数・15万本

種類・25種