コスモス寺 花だより 11・12
古都の秋 コスモスなら般若寺
~日本最古のコスモス名所~
〇秋のコスモス ≪終り近し≫
コスモスは名残りの花となってきました。今咲いている鉢植えの花は9月に植えた草丈の低いコスモスです。行く秋を惜しむように大きな花を咲かせています。数は少ないですが稀少な秋の桜です。
桜とナンキンハゼの葉が赤く色づいてきれいです。マユミもピンク色の袋の下に鈴のような赤い実が見えています。
〇水仙
「真中の 小さき黄色の さかづきに
甘き香もれる 水仙の花」木下利玄
冬の花、水仙が葉を伸ばしてきました。もう一番花が咲いています。莟も沢山見えていますからことしの花は早いのかもしれません。
水仙は地中海沿岸が原産地とされ、シルクロードを通って中国へ伝わり、さらに遣唐使によって日本へもたらされたと言います。ギリシャ神話から名づけられ洋名は「ナルキッソス」といいます。水仙はおもに三十三番札所観音の石像の前、足元を飾って咲きます。
・花期:12月~2月 ・花数:1万本。
・種類:単弁花の日本水仙(寒咲水仙、雪中花とも言う)、複弁花のチャフルネス(匂い水仙)。
〇春咲きコスモス の紹介
・花期:5月~6月、新しい品種なので春から初夏にかけて、アジサイと同時に咲きます。満開は6月上旬ごろ。春は夏のような暑い日照りと、花を傷める大風がないので、秋にはない良さがあります。葉のみどりが青々としているし、草丈はそれほど高くないので石仏のお顔がよく見えます。花は大きくて緑の中で色鮮やかです。
・花数・3万本
・種類はセンセーションを主として9品種ていど。
*「白鳳秘仏特別公開」昨日を以て終了しました。長らくのご愛顧を感謝いたします。来年は春・4月29日~5月10日の予定です。また来年の7月から9月まで、奈良国立博物館の開館120年記念特別展「白鳳」に出陳されます。全国の主要な白鳳仏が奈良に集われるそうです。
〔短歌〕
〈落葉松〉
「落葉松(からまつ)の 色づくおそし 浅間山
すでに真白く 雪降る見れば」
島木赤彦・氷魚
〔俳句〕
「旅の皺(しわ) 御覧候へ ばせを仏」一茶
・訳:旅で刻まれた皺をご覧ください。芭蕉仏様。
〔和歌〕
「秋されば いとど思ひを ましばかる
この里人も 袖や露けき」
後鳥羽院御製・玉葉543
「秋になると、いよいよ愁いの思いが増す。柴を刈って生計を立てるこの村の里人らも、私と同じ思いで、袖を露と涙でぬらしていることだろうか。」
・ましば=「思ひを増し」に「真柴」をかける。
〔秋艸道人会津八一の奈良愛惜の歌、『鹿鳴集』より〕
〈春日野にて〉
「うらみわび たちあかしたる さをしかの
もゆるまなこに あきのかぜふく」
〈東京にかへるとて〉
「あをによし ならやまこへて さかるとも
ゆめにしみえこ わかくさのやま」
・あをによし=青丹よし。一説には奈良山に産出した顔料(絵具)の青丹をならす(馴熟)という言葉に由来するという。奈良、奈良山にかかる枕詞。
・さかる=離る。遠ざかる。「やまとをも遠くさかりて・・・」(万葉集15)
〈東京にかへりて後に〉
「ならやまを さかりしひより あさにけに
みてらみほとけ おもかげにたつ」
・あさにけに=朝に日に。け(日)は朝に対して昼間をいう。
「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。
《真言律の祖、叡尊興正菩薩一代記を読む・改訂版》
『西大勅謚興正菩薩行実年譜』
(休止中)
《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》
日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。
*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点
1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。
2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。
3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。
❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。
〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。
中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。
*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。
そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは
「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。
さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文で抱負が述べられています。その結びは、
「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。
仲川げん」
という文章になっています。
立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが示され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。
しかし、歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度、移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。
*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体
「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」
*この問題を詳しく知りたい方は、
ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。現地の事については『弥勒の道プロジェクト』が大変参考になり、また貴重な動画が見られます。人の歩かないような道を自転車で踏破しておられます。
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