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2015年3月

2015年3月31日 (火)

コスモス寺花だより 3・31

般若寺 春の花だより

〇山吹:≪咲きはじめ≫一重咲きが咲きはじめ。八重はまだ莟です。

「山吹や 葉に花に葉に 花に葉に」太祇

「濃山吹 俄かに天の くらき時」川端茅舎

○沈丁花、椿:≪見ごろ≫

「赤い椿 白い椿と 落ちにけり」河東碧梧桐

〇桜:≪咲きはじめ≫

春咲きコスモス 

・花期:5~6月

・本数:3万本

・種類:赤白ピンクのセンセーションを主として12品種

〔短歌〕

〈山王山の桜〉

「しづかなる 山王やまの 夕ざくら

        楓の若芽 ひらきまじれり」

         岡麓・庭苔

〔俳句〕

「花の月のと ちんぷんかんの うき世哉」一茶

・訳:花や月やとちんぷんかんのことを言いながらのうき世であったなあ。

〔和歌〕

「咲きやらぬ 日数ながらも 此比(このごろ)は

        待つになぐさむ 山桜かな」

         前内大臣隆・新葉和歌集69

「まだ満開になるまでには多くの日数があるけれども、開花が近づいているこの頃は、それを待つことで心が慰められる山桜であるよ。」

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈浄瑠璃寺〉

「ならさかを じやうるりでらに こえむひは

         みちのまはにに あしあやまちそ」

・ならさか=大和と山城を隔てる東西の丘陵地、奈良山を越える坂道。

・じやうるり=浄瑠璃。薬師如来のお浄土、東方薬師瑠璃光浄土のこと。

・まはに=真埴。赤土。

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

         こさめなかるる はるはきにけり」

・いしのほとけ=京街道の千坊坂に面して立つ夕日地蔵。

・おとかひ=頤。したあご。

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

・さかる=離る。遠ざかる。

・あさにけに=朝に日に。け(日)は朝に対して昼間をいう。

 「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもこのままでたいせつに残しておきたいものです。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む・改訂版》379

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

◆十月十六日、勝尾山無量光院に於いて菩薩戒を一百八十余人に授く。十八日、河の交野神栄(策ヵ)寺に届(いた)る。菩薩戒を受ける者一百六十余人。十一月、新たに西大寺の護摩堂を建つ。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文で抱負が述べられています。その結びは、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが示され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

しかし、歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度、移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。現地の事については『弥勒の道プロジェクト』が大変参考になり、また貴重な動画が見られます。人の歩かないような道を自転車で踏破しておられます。

*『弥勒の道プロジェクト』さんが、奈良市のごみ焼却場を中ノ川地区へ移転した場合、古都の景観がいかに壊されるかをシミュレートした写真を公開されました。いちどご覧ください。

*実範上人・中川寺跡・弥勒道と焼却場問題に関する詳しく美しいチラシを作成されました。当寺で配布中。


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2015年3月30日 (月)

コスモス寺花だより 3・30

般若寺 春の花だより

〇山吹:≪咲きはじめ≫一重咲きが咲きました。八重はまだ莟です。

「山吹や 葉に花に葉に 花に葉に」太祇

〇わびすけ:≪見ごろ≫

「侘助の ひとつの花の 日数かな」阿波野青畝

○沈丁花、椿:≪見ごろ≫

「赤い椿 白い椿と 落ちにけり」河東碧梧桐

〇桜:≪咲きはじめ≫

春咲きコスモス 

・花期:5~6月

・本数:3万本

・種類:赤白ピンクのセンセーションを主として12品種

〔短歌〕

〈山王山の桜〉

「山王やま 矢大臣門の 石猿(いしざる)は

       さくら咲けども かしこまりたり」

        岡麓・庭苔

〔俳句〕

「花の陰 此世(このよ)をさみす 人も有」一茶

・訳:花の陰でこの世を軽んじて暮らす人もいる。

〔和歌〕

「待(まつ)ほどの 心づくしや 山桜

       花にもの思(おもふ) はじめなるらん」

     遍照光院入道前太政大臣・新葉和歌集68

「咲くのを待つ間のあれこれと心配する心づくしが、山桜の咲き初めから落花までさまざまに物思いをすることのはじめなのだろう。」

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈浄瑠璃寺〉

「ならさかを じやうるりでらに こえむひは

         みちのまはにに あしあやまちそ」

・ならさか=大和と山城を隔てる東西の丘陵地、奈良山を越える坂道。

・じやうるり=浄瑠璃。薬師如来のお浄土、東方薬師瑠璃光浄土のこと。

・まはに=真埴。赤土。

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

         こさめなかるる はるはきにけり」

・いしのほとけ=京街道の千坊坂に面して立つ夕日地蔵。

・おとかひ=頤。したあご。

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

・さかる=離る。遠ざかる。

・あさにけに=朝に日に。け(日)は朝に対して昼間をいう。

 「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもこのままでたいせつに残しておきたいものです。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む・改訂版》378

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

◆【大智度論に云う、假使(たと)ひ頂戴して塵劫(じんこう①)を経るとも、身を牀座と為し、三千に徧(あまね)くするも、若し法を伝えて衆生を度せずんば、畢竟して能く恩に報いる者無し。鏡慧忝(かたじけな)く緇服(しふく②)に厠(まじ)わり、鎮(つね)に白毫を湌(そん)し給侍すること今に十有六廻り、窃(ひそ)かに老後夙夜(しゅくや③)の丹襟(たんきん④)を拝し、皮を剥ぎ血を刺すの勤め無きことを耻じる。専ら生前報謝の素意を策し、樹に書き石に題するの跡を慕う。爰に一乗院家(いちじょういんけ⑤)、特に明信を抽いて命じて鵝眼(ががん⑥一万六仟五佰五拾文、麞牙(しょうげ⑦)肆(二)拾俵を廻施す。

 

 塵劫=塵点劫の略。途方もなく長い時間。

 緇服=黒色の衣服、墨染の僧衣。出家し仏道に入ること。

 夙夜=朝早くから夜おそくまで。つねに。

 丹襟=まごころ。

 一乗院家=興福寺一乗院門跡家。

 鵝眼=銭の異称。円形の中に四角い穴のあるのが鵞鳥の眼に似ているからいう。鳥目。

 麞牙=キバノロの牙。上等の白米のこと。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文で抱負が述べられています。その結びは、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが示され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

しかし、歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度、移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。現地の事については『弥勒の道プロジェクト』が大変参考になり、また貴重な動画が見られます。人の歩かないような道を自転車で踏破しておられます。

*『弥勒の道プロジェクト』さんが、奈良市のごみ焼却場を中ノ川地区へ移転した場合、古都の景観がいかに壊されるかをシミュレートした写真を公開されました。いちどご覧ください。

*実範上人・中川寺跡・弥勒道と焼却場問題に関する詳しく美しいチラシを作成されました。当寺で配布中。


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2015年3月29日 (日)

コスモス寺花だより 3・29

般若寺 春の花だより

〇山吹:≪咲きはじめ≫一重咲きが咲きはじめました。八重はまだ莟です。

「山吹や 葉に花に葉に 花に葉に」太祇

〇わびすけ:≪見ごろ≫

「侘助の ひとつの花の 日数かな」阿波野青畝

○沈丁花、椿:≪見ごろ≫

「赤い椿 白い椿と 落ちにけり」河東碧梧桐

○れんぎょう:≪終り近し≫

〇桜:≪咲きはじめ≫

春咲きコスモス 

・花期:5~6月

・本数:3万本

・種類:赤白ピンクのセンセーションを主として12品種

〔短歌〕

〈春朝〉

「更紗木瓜(さらさぼけ) さかりになりて 赤きいろ

       にじめる花を 見ればかなしさ」

        岡麓・庭苔

〔俳句〕

「みやこ哉 東西南北 辻が花」一茶

・訳:さすが都だなあ。どこの辻を見ても花ざかり。

〔和歌〕

「をしきかな いたづらにのみ ながめして

        花待つほどに うつる日数は」

         中宮・新葉和歌集67

「惜しいことであるよ。何もせずにただぼんやりと物思いにふけって、桜の花の咲くのを待っているうちに、過ぎ去ってゆく日数は。」

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈浄瑠璃寺〉

「ならさかを じやうるりでらに こえむひは

         みちのまはにに あしあやまちそ」

・ならさか=大和と山城を隔てる東西の丘陵地、奈良山を越える坂道。

・じやうるり=浄瑠璃。薬師如来のお浄土、東方薬師瑠璃光浄土のこと。

・まはに=真埴。赤土。

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

         こさめなかるる はるはきにけり」

・いしのほとけ=京街道の千坊坂に面して立つ夕日地蔵。

・おとかひ=頤。したあご。

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

・さかる=離る。遠ざかる。

・あさにけに=朝に日に。け(日)は朝に対して昼間をいう。

 「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもこのままでたいせつに残しておきたいものです。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む・改訂版》377

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻中 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

◆弘安元年戊寅(つちのえとら)

 菩薩、七十八歳。門人、隨覚鏡慧(ずいかくきょうけい①)律師は恒に菩薩の左右に侍して、未だ嘗て暫しも離れず。慶喜(けいき②)の釈尊に侍せるが如し。建治二年より縁を募り、輔行文集を彫刻して、以て法恩に酧(むく)いる。其の志親切(しんせつ③)なり。跋文に曰く、

 

 隨覚鏡慧=隨覚房鏡慧。但馬国人。

 慶喜=仏の十大弟子、阿難の漢訳名。梵語アーナンダ。多聞第一と称される。

 親切=ぴったりとあてはまっていること。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文で抱負が述べられています。その結びは、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが示され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

しかし、歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度、移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。現地の事については『弥勒の道プロジェクト』が大変参考になり、また貴重な動画が見られます。人の歩かないような道を自転車で踏破しておられます。

*『弥勒の道プロジェクト』さんが、奈良市のごみ焼却場を中ノ川地区へ移転した場合、古都の景観がいかに壊されるかをシミュレートした写真を公開されました。いちどご覧ください。

*実範上人・中川寺跡・弥勒道と焼却場問題に関する詳しく美しいチラシを作成されました。当寺で配布中。


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2015年3月28日 (土)

コスモス寺花だより 3・28

般若寺 春の花だより

 

〇豊後梅:≪見ごろ≫

○紅梅:≪終り近し≫

〇わびすけ:≪見ごろ≫

「侘助の ひとつの花の 日数かな」阿波野青畝

○沈丁花、椿:≪見ごろ≫

「赤い椿 白い椿と 落ちにけり」河東碧梧桐

○れんぎょう:≪見ごろ≫

〇山吹、桜:≪つぼみ≫

「山吹の 茎にみなぎり 来し青さ」細見綾子

春咲きコスモス 

・花期:5~6月

・本数:3万本

・種類:赤白ピンクのセンセーションを主として12品種

〔短歌〕

〈春朝〉

「ふる雨の やむべくもなき 朝庭に

       木蓮の花は 咲きのまさかり」

        岡麓・庭苔

〔俳句〕

「としよりの 追従わらひや 花の陰」一茶

・訳:年寄りが追従笑いしているよ。花の陰で。

〔和歌〕

「春といへば やがて待たるる 心こそ

        去年(こぞ)見し花の 名残なりけれ」

         民部卿光資・新葉和歌集66

「春と言うと、ただちに桜の花が咲くのを自然と待つ心になるというのは、まさに昨春に見た桜の花の名残なのだなあ。」

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈浄瑠璃寺〉

「ならさかを じやうるりでらに こえむひは

         みちのまはにに あしあやまちそ」

・ならさか=大和と山城を隔てる東西の丘陵地、奈良山を越える坂道。

・じやうるり=浄瑠璃。薬師如来のお浄土、東方薬師瑠璃光浄土のこと。

・まはに=真埴。赤土。

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

         こさめなかるる はるはきにけり」

・いしのほとけ=京街道の千坊坂に面して立つ夕日地蔵。

・おとかひ=頤。したあご。

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

・さかる=離る。遠ざかる。

・あさにけに=朝に日に。け(日)は朝に対して昼間をいう。

 「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもこのままでたいせつに残しておきたいものです。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む・改訂版》376

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻中 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

◆(建治)三年丁丑(ひのとうし)

菩薩、七十七歳。正五九月、百仏百僧仁王大会を啓建す。永く嘱して以て恒例の寺軌とす。三月、法皇の叡願に依って庭儀灌頂を修す。法皇(亀山上皇)幸して道場に入り、受明灌頂(じゅみょうかんじょう①)を菩薩に稟く。蓋し高尾弘法大師、嵯峨天皇に授け奉るの旧轍に傚(なら)う。菩薩、因りて金胎受明灌頂の作法二冊を製為して以て後代に伝う。四月、法皇特に命じて菩薩を宮中に延請して、供を設け法を聴く。賜うに仏舎利五粒を以てす。其の記聞(きぶん②)を按ずるに、一つは、謂わく俵藤太秀郷(たわらのとうたひでさと)、龍宮より伝うる所の舎利。一つは、謂わく東寺弘法大師御伝来の舎利。一つは、謂わく招提の鑑真和尚将来の舎利。余の二粒は婆羅門僧正持念の舎利也。十月念(廿)二日、戒壇院実相照〈じっそうしょう③〉律師、鷲尾山に滅を唱う。遺属(嘱ヵ)するに、龍興(鑑真)和尚受持する所の飛行鉢多羅(はったら④)を以てし、菩薩に遺付す。菩薩大いに之を歓喜して、恒に愛護す。

 

 受明灌頂=修行して深く密教を学び、弟子としての資格を得る灌頂儀式。弟子灌頂とも言う。

 記聞=聞いて書きしるしたもの。聞きがき。

 実相照=実相房円照(1221-1277)。東大寺戒壇院中興開山の律僧。東大寺学侶を輩出する家に生まれる。三論、俱舎、華厳など南都教学を学んだあと、遁世し禅、教、律を兼学す。聖守(しょうしゅ)は実兄。弟子に凝然がある。

 鉢多羅=梵語パトラ。僧が托鉢で用いる容器、応量器と訳される。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文で抱負が述べられています。その結びは、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが示され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

しかし、歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度、移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。現地の事については『弥勒の道プロジェクト』が大変参考になり、また貴重な動画が見られます。人の歩かないような道を自転車で踏破しておられます。

*『弥勒の道プロジェクト』さんが、奈良市のごみ焼却場を中ノ川地区へ移転した場合、古都の景観がいかに壊されるかをシミュレートした写真を公開されました。いちどご覧ください。

*実範上人・中川寺跡・弥勒道と焼却場問題に関する詳しく美しいチラシを作成されました。当寺で配布中。


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2015年3月27日 (金)

コスモス寺花だより 3・27

般若寺 春の花だより

〇黄水仙:≪見ごろ≫ 

〇豊後梅:≪見ごろ≫

○紅梅:≪終り近し≫

〇わびすけ:≪見ごろ≫

「侘助の ひとつの花の 日数かな」阿波野青畝

○沈丁花、椿:≪見ごろ≫

「沈丁に はげしく降りて 降り足りぬ」中村汀女

○れんぎょう:≪見ごろ≫

〇山吹、桜:≪つぼみ≫

「山吹の 茎にみなぎり 来し青さ」細見綾子

春咲きコスモス 

・花期:5~6月

・本数:3万本

・種類:赤白ピンクのセンセーションを主として12品種

〔短歌〕

〈春朝〉

「鶯の 声ほがらかに きこゆなり

     なほしばらくは 戸をあけざらむ」

      岡麓・庭苔

〔俳句〕

「幼子(おさなご)や 掴々(にぎにぎ)したり 梅の花」一茶

・訳:幼い子のいとおしさよ。にぎにぎしている梅の花。

〔和歌〕

「雪気(ゆきげ)こそ 猶のこるらめ 吉野山

        花まちどほに かかる白雲」

         前大納言光任・新葉和歌集65

「吉野山は雪の降りそうな気配がまだ残っているのだろう。花が待ち遠しいかのように、(桜と見まがうことの多い)白雲が山にかかっている。」

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈浄瑠璃寺〉

「ならさかを じやうるりでらに こえむひは

         みちのまはにに あしあやまちそ」

・ならさか=大和と山城を隔てる東西の丘陵地、奈良山を越える坂道。

・じやうるり=浄瑠璃。薬師如来のお浄土、東方薬師瑠璃光浄土のこと。

・まはに=真埴。赤土。

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

         こさめなかるる はるはきにけり」

・いしのほとけ=京街道の千坊坂に面して立つ夕日地蔵。

・おとかひ=頤。したあご。

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

・さかる=離る。遠ざかる。

・あさにけに=朝に日に。け(日)は朝に対して昼間をいう。

 「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもこのままでたいせつに残しておきたいものです。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む・改訂版》375

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻中 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

◆廿三日、太上天皇、貫冬卿(つらふゆきょう①)に命じて懇請して法を聴く。菩薩、妙弁天逸(みょうべんてんいつ②)にして上心(じょうしん③)を悦可す。大多勝院に就く。上皇並びに皇太后、同じく菩薩戒を受く。縉紳(しんしん④)公卿、望塵稟受(ぼうじんひんじゅ⑤)する者亦夥し。廿四日、笠間禅尼、法名摂取(かさまぜんに、ほうみょうせっしゅ⑥)、礼謁して法を聴き、戒珠を欣求す。七月、摩訶伽羅(まかから⑦)の霊験を感ず。九月、仏工善春に命じて其の像を造立して、以て浄厨に安置す。十月五日、縁起一巻を製作す。其の文別に録出す。十一月、法皇勅して高尾(たかお⑧)弘法大師伝来曼荼羅九幅を写し、以て西大寺に安鎮す。十五日、大曼荼羅供を修し、開光供養(かいこうくよう⑨)す。

 

 貫冬卿=不詳。

 妙弁天逸=妙なる弁舌と天分の秀逸さ。

 上心=天子の心。亀山法皇の御心。

 縉紳=笏を紳に縉む者の意。官位の高い人。身分ある人。

 望塵稟受=俗を憂え受戒すること。

 笠間禅尼、法名摂取=不詳。

 摩訶伽羅=梵語マハーカーラ。大黒天。仏教の守護神。戦闘神、あるいは忿怒神。後に厨房神となる。

 高尾=高雄山神護寺。

 開光供養=開眼供養。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文で抱負が述べられています。その結びは、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが示され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

しかし、歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度、移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。現地の事については『弥勒の道プロジェクト』が大変参考になり、また貴重な動画が見られます。人の歩かないような道を自転車で踏破しておられます。

*『弥勒の道プロジェクト』さんが、奈良市のごみ焼却場を中ノ川地区へ移転した場合、古都の景観がいかに壊されるかをシミュレートした写真を公開されました。いちどご覧ください。

*実範上人・中川寺跡・弥勒道と焼却場問題に関する詳しく美しいチラシを作成されました。当寺で配布中。

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2015年3月26日 (木)

コスモス寺花だより 3・26

般若寺 春の花だより

〇黄水仙:≪見ごろ≫ 

〇豊後梅:≪見ごろ≫

○紅梅:≪終り近し≫

〇わびすけ:≪見ごろ≫

「侘助の ひとつの花の 日数かな」阿波野青畝

○沈丁花、椿:≪見ごろ≫

「沈丁に はげしく降りて 降り足りぬ」中村汀女

○れんぎょう:≪見ごろ≫

〇山吹、桜:≪つぼみ≫

「山吹の 茎にみなぎり 来し青さ」細見綾子

春咲きコスモス 

・花期:5~6月

・本数:3万本

・種類:赤白ピンクのセンセーションを主として12品種

〔短歌〕

〈春朝〉

「春雨の ふりて寒けき この朝げ 

      隣の屋根の 草あをみけり」

       岡麓・庭苔

〔俳句〕

「さむしろや 銭と樒と陽炎(かげろう)と」一茶

・訳:敷かれている小さな筵よ。その上に銭と樒と陽炎。

・銭(現世)と樒(来世)は陽炎のようにはかないもの。浅草寺での風景。

〔和歌〕

「塩竃(しほがま)の 煙になるる 浦人は

       かすむも知らで 月や見るらん」

        前内大臣顕・新葉和歌集51

「塩竃の煙に慣れている浦人は(いつも藻塩を焼く煙が立って霞んでいるゆえに)、春になると霞むものであることも知らないで月を見るのであろうか。」

・塩竃=陸奥國の歌枕。松島湾内にある有名な景勝地。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈浄瑠璃寺〉

「ならさかを じやうるりでらに こえむひは

         みちのまはにに あしあやまちそ」

・ならさか=大和と山城を隔てる東西の丘陵地、奈良山を越える坂道。

・じやうるり=浄瑠璃。薬師如来のお浄土、東方薬師瑠璃光浄土のこと。

・まはに=真埴。赤土。

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

         こさめなかるる はるはきにけり」

・いしのほとけ=京街道の千坊坂に面して立つ夕日地蔵。

・おとかひ=頤。したあご。

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

・さかる=離る。遠ざかる。

・あさにけに=朝に日に。け(日)は朝に対して昼間をいう。

 「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもこのままでたいせつに残しておきたいものです。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む・改訂版》374

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻中 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

◆三月、浄住寺に届(いた)る。亀山法皇、特(ひと)り中納言経任卿に命じて、嵯峨皇居に招請す。十五日、菩薩直ちに便殿(べんでん①)に臨む。法皇躬(みずか)ら簾を揭(かかげ)て迎接(げいせつ②)す。尊敬すること盖(けだし)肅宗皇帝、忠国師(しゅくそうこうてい、ちゅうこくし③)を崇むるの旧規に効(なら)う也。宣(のたま)いて曰く、朕聞くところ仏の言にいわく、国王王子に親近せざれ(こくおうおうじにしんごんせざれ④)、と。是れ多く不信なるに由って也。而るに今、幸いに入(はい)らる。頗る素望(そぼう⑤)を慰む。座を賜って対談するに、天眷優渥(てんけんゆうあく⑥)なり。即ち菩薩に就いて菩薩戒を受く。

 

 便殿=休息のために設けた御殿。便宮。

 迎接=客を迎えて応対すること。

③粛宗皇帝、忠国師=粛宗は唐の第七代皇帝、忠国師は禅僧南陽慧忠(675775)。粛宗は国師に帰依し弟子の礼をとって禅の公案を問答した。『碧巌録』に出づ。

④国王王子に親近せざれ=法華経安楽行品第十四にある有名な文章「菩薩摩訶薩は、国王・王子・大臣・官長に親近せざれ」。菩薩は世俗の権力、財力あるものに親しくしたり近づいてはいけない、腐敗、堕落するからという教訓。

 素望=平素からの望み。宿望。

⑥天眷優渥=天眷は天のなさけ。また、天子の御恩。天恩。優渥はすぐれててあつい、ねんごろなこと。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文で抱負が述べられています。その結びは、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが示され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

しかし、歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度、移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。現地の事については『弥勒の道プロジェクト』が大変参考になり、また貴重な動画が見られます。人の歩かないような道を自転車で踏破しておられます。

*『弥勒の道プロジェクト』さんが、奈良市のごみ焼却場を中ノ川地区へ移転した場合、古都の景観がいかに壊されるかをシミュレートした写真を公開されました。いちどご覧ください。

*実範上人・中川寺跡・弥勒道と焼却場問題に関する詳しく美しいチラシを作成されました。当寺で配布中。

 

 

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2015年3月25日 (水)

コスモス寺花だより 3・25

般若寺 春の花だより

〇黄水仙:≪見ごろ≫ 

〇豊後梅:≪見ごろ≫

○紅梅:≪終り近し≫

「紅梅の りんりんとして 蕾かな」星野立子

〇わびすけ:≪見ごろ≫

○沈丁花、椿:≪見ごろ≫

「沈丁に はげしく降りて 降り足りぬ」中村汀女

○れんぎょう:≪見ごろ≫

〇山吹、桜:≪つぼみ≫

「雨に咲く 山吹の黄の めさむる黄」山本岬人

春咲きコスモス 

・花期:5~6月

・本数:3万本

・種類:赤白ピンクのセンセーションを主として12品種

〔短歌〕

〈春雨〉

「春雨の ふれる夜ふけに かへり来て

      ひそかに母の 睡眠(ねむり)をみるも」

       岡麓・庭苔

〔俳句〕

「出代りや 江戸見物も しなの笠」一茶

・訳:出代りの休暇となったなあ。江戸を見物するのも、信濃からもってきた笠。

〔和歌〕

「百城(ももしき)や 衛士(ゑじ)の焼(た)く火の 煙さへ

       霞みそへたる 春の夜の月」

        前左近大将公冬・新葉和歌集50

「内裏では衛門府の衛士が焚く火の煙までもが加わって、一層霞んで見える春の夜の月。」

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈浄瑠璃寺〉

「ならさかを じやうるりでらに こえむひは

         みちのまはにに あしあやまちそ」

・ならさか=大和と山城を隔てる東西の丘陵地、奈良山を越える坂道。

・じやうるり=浄瑠璃。薬師如来のお浄土、東方薬師瑠璃光浄土のこと。

・まはに=真埴。赤土。

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

         こさめなかるる はるはきにけり」

・いしのほとけ=京街道の千坊坂に面して立つ夕日地蔵。

・おとかひ=頤。したあご。

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

・さかる=離る。遠ざかる。

・あさにけに=朝に日に。け(日)は朝に対して昼間をいう。

 「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもこのままでたいせつに残しておきたいものです。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む・改訂版》373

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻中 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

◆(建治)二年丙子(ひのえね)

菩薩、七十六歳。二月、梵網古迹記輔行文集(ぼんもうこしゃくきふぎょうもんじゅう①)全部十巻、編集既に畢って、菩薩其の巻尾に書いて曰く、

 

【去る文永十一の夏より建治第二の春に至り、八旬の老眼を拭い三蔵の要文を集む。冀(こいねがわく)は、遐代(かだい②)に流通して菩薩行を扶けん。

  建治二年丙子二月二日     西大寺沙門 叡尊】

 

 梵網古迹記輔行文集=青丘(新羅)太賢の『梵網経古迹記』を注釈した書。

日本大蔵経3637所載

 遐代=遠い未来。遠く隔たった後世。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文で抱負が述べられています。その結びは、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが示され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

しかし、歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度、移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。現地の事については『弥勒の道プロジェクト』が大変参考になり、また貴重な動画が見られます。人の歩かないような道を自転車で踏破しておられます。

 

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2015年3月24日 (火)

コスモス寺花だより 3・24

般若寺 春の花だより

〇黄水仙:≪見ごろ≫ 

〇豊後梅:≪見ごろ≫

○紅梅:≪終り近し≫

「紅梅の りんりんとして 蕾かな」星野立子

〇わびすけ:≪見ごろ≫

○沈丁花、椿:≪見ごろ≫

「沈丁に はげしく降りて 降り足りぬ」中村汀女

○れんぎょう:≪見ごろ≫

〇山吹、桜:≪つぼみ≫

「雨に咲く 山吹の黄の めさむる黄」山本岬人

春咲きコスモス 

・花期:5~6月

・本数:3万本

・種類:赤白ピンクのセンセーションを主として12品種

〔短歌〕

〈春雨〉

「外(と)に行くと 病み臥す母に 告げにけり

      春の雨夜(あまよ)の 宵しずかなる」

       岡麓・庭苔

〔俳句〕

「笠でする さらばさらばや 薄がすみ」一茶

・訳:笠で仰いでする、さらばさらばの別れよ、薄霞がたなびいている。

〔和歌〕

「むば玉の 夜のみかすむ 習(ならひ)ならば

       月に恨みや 春はのこらん」

        中宮・新葉和歌集49

「もしも夜にばかり霞むという習いであるならば、春には月に人々の恨みが残ることであろう(実際には昼も霞んでいるのだから、月ばかりを残念に思うわけではない)。」

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈浄瑠璃寺〉

「ならさかを じやうるりでらに こえむひは

         みちのまはにに あしあやまちそ」

・ならさか=大和と山城を隔てる東西の丘陵地、奈良山を越える坂道。

・じやうるり=浄瑠璃。薬師如来のお浄土、東方薬師瑠璃光浄土のこと。

・まはに=真埴。赤土。

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

         こさめなかるる はるはきにけり」

・いしのほとけ=京街道の千坊坂に面して立つ夕日地蔵。

・おとかひ=頤。したあご。

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

・さかる=離る。遠ざかる。

・あさにけに=朝に日に。け(日)は朝に対して昼間をいう。

 「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもこのままでたいせつに残しておきたいものです。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む・改訂版》372

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

◆十六日より、又三日を点じて、昼夜不断に如意輪宝輪華(にょいりんほうりんげ①)の秘法を修す。十九日より薬師院(やくしいん②)に於いて、四天王の法を修すること三日三夜。廿一日、大僧大尼隨重受者七十八人。新たに菩薩戒を愛くる者八百三十余人。廿二日、住吉明神に詣参して般若心経一千巻を読誦す。廿三日、荘厳浄土寺(しょうごんじょうどじ③)に於いて菩薩戒を一百九十余人に授く。廿四日、冠の荘に届る。隨いて菩薩戒を受くる者、七十有八人。廿七日、洛西浄住寺に至る。宝塔落成の仏事を修し、無遮会を開く。食を得、斎戒を愛くる者、八百七十余人。又、青銭(あおせん④)百二十字(文ヵ)を人別三千三百余人に施す。其の会已に訖って、菩薩戒を受くる者、三百六十余人。十月四日。法華寺に届り舎利を瞻礼(せんれい⑤)し、因って之を勘計す。其の注録に曰く、

【去る文永七年の算計、之を審らかにせざること有るが故に、今建治元年十月四日を以て、数遍勘計し奉るの処、二千六十三粒也。

〔此の内、大五百粒。小一千五百六十三粒〕   叡尊 】

 

 如意輪宝輪華=『如意輪不動愛染三顆宝輪華秘法』

 薬師院=四天王寺薬師院。

 荘厳浄土寺=大阪市住吉区にある真言律宗末寺。住吉社の神主家、津守国基の発願。白河天皇の勅願寺。叡尊師の弟子で西大寺護国院を開基した本照房性瑜と大安寺第二世長老となった興道房玄基は津守氏の出身。

 青銭=四文銭。江戸時代の寛永通宝を言う。ここでは当時の銭を言う。

 贍礼=あおぎ見て礼拝する。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文で抱負が述べられています。その結びは、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが示され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

しかし、歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度、移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。現地の事については『弥勒の道プロジェクト』が大変参考になり、また貴重な動画が見られます。人の歩かないような道を自転車で踏破しておられます。

*『弥勒の道プロジェクト』さんが、奈良市のごみ焼却場を中ノ川地区へ移転した場合、古都の景観がいかに壊されるかをシミュレートした写真を公開されました。いちどご覧ください。

*実範上人・中川寺跡・弥勒道と焼却場問題に関する詳しく美しいチラシを作成されました。当寺で配布中。

 

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2015年3月23日 (月)

コスモス寺花だより 3・23

般若寺 春の花だより

〇黄水仙:≪見ごろ≫ 

〇豊後梅:≪見ごろ≫

○紅梅:≪見ごろ≫

「紅梅の りんりんとして 蕾かな」星野立子

〇わびすけ:≪見ごろ≫

○沈丁花、椿:≪見ごろ≫

「沈丁に はげしく降りて 降り足りぬ」中村汀女

○れんぎょう:≪見ごろ≫

〇山吹、桜:≪つぼみ≫

「雨に咲く 山吹の黄の めさむる黄」山本岬人

春咲きコスモス 

・花期:5~6月

・本数:3万本

・種類:赤白ピンクのセンセーションを主として12品種

〔短歌〕

〈春雨〉

「春雨の ゆふべ近づく 庭芝に

       おりし烏の 飛びて鳴かずも」

        岡麓・庭苔

〔俳句〕

「開帳に 遭うや雀も おや子連」一茶

・訳:善光寺のご開帳に回り逢えたなあ。雀さえも親子連れ。

〔和歌〕

「いかにして 霞のひまの 月を見ん

        さてだにくもる 習(ならひ)なりやと」

         後醍醐天皇御製・新葉和歌集48

「なんとかして、霞の隙間から月を見たいものだ。(春の月は霞がかかるから曇るのか、それとも、そうではなくて)霞がなくても曇っているものなのか知りたいから。」

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈浄瑠璃寺〉

「ならさかを じやうるりでらに こえむひは

         みちのまはにに あしあやまちそ」

・ならさか=大和と山城を隔てる東西の丘陵地、奈良山を越える坂道。

・じやうるり=浄瑠璃。薬師如来のお浄土、東方薬師瑠璃光浄土のこと。

・まはに=真埴。赤土。

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

         こさめなかるる はるはきにけり」

・いしのほとけ=京街道の千坊坂に面して立つ夕日地蔵。

・おとかひ=頤。したあご。

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

・さかる=離る。遠ざかる。

・あさにけに=朝に日に。け(日)は朝に対して昼間をいう。

 「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもこのままでたいせつに残しておきたいものです。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む・改訂版》371

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻下 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

◆後宇多院建治元年乙亥(きのとい) 改元四月廿日

 菩薩、七十五歳。春三月、太神宮(だいじんぐう①)に詣して護国の法を修す。夏四月、良観性公(良観房忍性)、鎌倉自り来たり、菩薩に礼謁し、献ずるに唐本大般若経一部、仁王経十部、梵網理趣孔雀明王等の経各十部、並びに金胎曼荼羅、釈迦三尊、十六善神像等を以てす。七月廿五日、徒僧百口を率いて河(河内)の平岡明神(ひらおかみょうじん②)に詣す。三箇日を卜して大般若経を転読す。廿八日、菩薩戒を八十余人に授く。訖って天王寺に至り、四分梵網布薩(しぶんぼんもうふさつ③)を行う。八月二日、住吉明神に詣し、大般若幷びに五部大乗経を転読すること、又三日也。五日。河尻燈籠堂(かわじりとうろどう④)に届き、菩薩戒を三十六人に授く。七八両日、本宮(ほんぐう⑤)に於いて大般若仁王金剛般若等の経を転読す。又、菩薩戒を五十有七人に授く。十日、亦天王寺に還る。三日を点じて最勝王経を講讃すること百部。既に竟って西大寺に還る。

 

 大神宮=伊勢太神宮。

 平岡明神=平岡神社。東大阪市出雲井町に鎮座。河内国一宮。

 四分梵網布薩=布薩は梵語ウポーシャダ、浄住、近住、斎、説戒などと訳される。同一地域内の比丘たちが半月ごとに会合して過去半月の行為を自己反省し、罪があれば告白懺悔する行事で、毎月の満月と新月の日に行われる。梵網布薩(大乗布薩)は十四日と二十九日、四分律布薩(小乗布薩)は十五日と三十日に行われた。それぞれの波羅提木叉(戒条)を読誦する。

 河尻燈籠堂=兵庫県尼崎市の神崎川と猪名川の合流地点にあった古代からの港町、河尻の泊(とまり)。京都・奈良と瀬戸内海を結ぶ重要地点。灯台施設(燈籠堂)を維持管理した寺か。

 本宮=世に本宮といえば熊野本宮を思い浮かべるが、叡尊師の行程から見て、五日の河尻、十日の四天王寺の間の七、八日両日を費やしているので熊野は無理。住吉社には第一本宮から第四本宮あるので、八月二日に続いての再拝であろうか。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文で抱負が述べられています。その結びは、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが示され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

しかし、歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度、移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。現地の事については『弥勒の道プロジェクト』が大変参考になり、また貴重な動画が見られます。人の歩かないような道を自転車で踏破しておられます。

*『弥勒の道プロジェクト』さんが、奈良市のごみ焼却場を中ノ川地区へ移転した場合、古都の景観がいかに壊されるかをシミュレートした写真を公開されました。いちどご覧ください。

*実範上人・中川寺跡・弥勒道と焼却場問題に関する詳しく美しいチラシを作成されました。当寺で配布中。

 

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2015年3月22日 (日)

コスモス寺花だより 3・22

般若寺 春の花だより

〇黄水仙:≪見ごろ≫ 

「黄いろなる 水仙の花 あまた咲き

  そよりと風は 吹きすぎにけり」古泉千樫

〇豊後梅:≪見ごろ≫

「咲く梅の 遠からねども 畦絶えぬ」水原秋櫻子

○紅梅:≪見ごろ≫

「紅梅の りんりんとして 蕾かな」星野立子

〇わびすけ:≪見ごろ≫

○沈丁花、椿:≪見ごろ≫

○れんぎょう:≪見ごろ≫

「行き過ぎて 尚連翹の 花明り」中村汀女

〇山吹、桜:≪つぼみ≫

春咲きコスモス 

・花期:5~6月

・本数:3万本

・種類:赤白ピンクのセンセーションを主として12品種

〔短歌〕

〈春雨〉

「夕庭の 芝生の中の 窪溜(くぼだまり)

      降るはるさめの うづを見てをり」

       岡麓・庭苔

〔俳句〕

狙(さる)も来よ 桃太郎来よ 草の餅」一茶

・訳:猿も来いよ、桃太郎も来なさいよ。草の餅。

〔和歌〕

「いか許(ばかり) 山のあなたも かすむらん

       くもりて出(いづ)る 春の夜の月」

        権中納言経高・新葉和歌集47

「どれほど山の彼方も霞んでいることだろうか、まさに今もおぼろに曇って山から出てきている春の夜の月を見て推し量ると。」

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈浄瑠璃寺〉

「ならさかを じやうるりでらに こえむひは

         みちのまはにに あしあやまちそ」

・ならさか=大和と山城を隔てる東西の丘陵地、奈良山を越える坂道。

・じやうるり=浄瑠璃。薬師如来のお浄土、東方薬師瑠璃光浄土のこと。

・まはに=真埴。赤土。

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

         こさめなかるる はるはきにけり」

・いしのほとけ=京街道の千坊坂に面して立つ夕日地蔵。

・おとかひ=頤。したあご。

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

・さかる=離る。遠ざかる。

・あさにけに=朝に日に。け(日)は朝に対して昼間をいう。

 「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもこのままでたいせつに残しておきたいものです。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む・改訂版》370

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻中 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

◆十月五日、蒙古賊船四百五十艘、兵三万人、襲い来って既に壱岐対馬に到る。十月廿九日、菩薩、詔を奉じて、天王寺講堂に於いて百座仁王の大会(ひゃくざにんのうのだいえ①)を修す。亀山天皇行幸あり、官人警衛す。相継いで教興寺講堂に於いて、重ねて仁王会を修す。亀山天皇、又、之に行幸したまう。既にしこうして以後、西国より注進(ちゅうしん②)して曰く、十一月五日亥の刻(いのこく)、猛風頻りに吹いて、蒙古の大船一百余艘、海中に沈没すと。即ち其の事を奏す。天皇大いに悦び、菩薩を延請(えんせい③)して以て優償(ゆうしょう④)を加う。

 

 百座仁王の大会=仁王会は天下泰平、鎮護国家を祈願するため仁王般若経(にんのうはんにゃきょう)を講讃する法会。この経に、国土が乱れたり災害や賊の難があったとき、この経を受持読誦すると五穀が豊かに実り、人民が栄えると説くため、中国以来行われた。仁王護国経ともいい、法華経、金光明経とともに護国三部経に数えられる。

 注進=事変を注(しる)して上に申し進めること。大事や事件を急いで報告すること。

 延請=謁見、招待をひきのばすこと。

 優償=優賞。手厚くほめて賞を与えること。功績に対する十分なほうび。

(行実年譜 巻中 終り)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文で抱負が述べられています。その結びは、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが示され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

しかし、歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度、移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。現地の事については『弥勒の道プロジェクト』が大変参考になり、また貴重な動画が見られます。人の歩かないような道を自転車で踏破しておられます。

*『弥勒の道プロジェクト』さんが、奈良市のごみ焼却場を中ノ川地区へ移転した場合、古都の景観がいかに壊されるかをシミュレートした写真を公開されました。いちどご覧ください。

*実範上人・中川寺跡・弥勒道と焼却場問題に関する詳しく美しいチラシを作成されました。当寺で配布中。

 

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2015年3月21日 (土)

コスモス寺花だより 3・2

般若寺 春の花だより

〇黄水仙:≪見ごろ≫ 

「黄いろなる 水仙の花 あまた咲き

  そよりと風は 吹きすぎにけり」古泉千樫

〇豊後梅:≪見ごろ≫

「咲く梅の 遠からねども 畦絶えぬ」水原秋櫻子

○紅梅:≪見ごろ≫

「紅梅の りんりんとして 蕾かな」星野立子

〇わびすけ:≪見ごろ≫

○沈丁花、椿:≪見ごろ≫

○れんぎょう:≪見ごろ≫

「行き過ぎて 尚連翹の 花明り」中村汀女

〇山吹、桜:≪つぼみ≫

春咲きコスモス 

・花期:5~6月

・本数:3万本

・種類:赤白ピンクのセンセーションを主として12品種

〔短歌〕

〈春雨〉

「一面の 芝生の庭は 春雨に

      ひたすらぬれて 日のくれゆくも」

       岡麓・庭苔

〔俳句〕

「白魚の どつと生るる おぼろ哉」一茶

・訳:白魚がどっと生まれる、おぼろ月の夜だよなあ。

〔和歌〕

「山の端は 霞へだてて つれづれの

       ながめに暮るる 草の庵(いほ)かな」

        前中納言実秀・新葉和歌集46

「山の端は霞が隔てて見えず、何もしないで長雨のなかで物思いにふけっているうちに日が暮れる草庵であるなあ。」

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈浄瑠璃寺〉

「ならさかを じやうるりでらに こえむひは

         みちのまはにに あしあやまちそ」

・ならさか=大和と山城を隔てる東西の丘陵地、奈良山を越える坂道。

・じやうるり=浄瑠璃。薬師如来のお浄土、東方薬師瑠璃光浄土のこと。

・まはに=真埴。赤土。

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

         こさめなかるる はるはきにけり」

・いしのほとけ=京街道の千坊坂に面して立つ夕日地蔵。

・おとかひ=頤。したあご。

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

・さかる=離る。遠ざかる。

・あさにけに=朝に日に。け(日)は朝に対して昼間をいう。

 「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもこのままでたいせつに残しておきたいものです。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む・改訂版》369

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻中 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

◆(文永)十一年甲戌(きのえいぬ)

 菩薩七十四歳。春二月、重ねて梵網古迹記科文(ぼんもうこしゃくきかもん①)を修す。夏四月、梵網古迹記文集(ぼんもうこしゃくきもんじゅう②)に筆を染め始む。八月、石清水八幡宮に詣す。諷経誦呪(ふうきんじゅじゅ③)して威光(いこう④)を倍増す。殿中に忽ち微妙の音(みみょうのこえ⑤)有りて曰く、朕、数万の神祇を此の男山に勧請す。世人山に入りて有命(うみょう⑥)を殺害すれば、則ち諸神胸を焦がす。汝、力(つと)めて之を誡(いまし)め殺生を禁断せよと。菩薩親しく神勅(しんちょく⑦)を得て、即ち之を奏聞(そうもん⑧)し、遂に詔命(しょうめい⑨)を奉って以て殺生を禁ず。又、八月十五日、放生の大会(ほうじょうのだいえ⑩)を啓建(けいけん⑪)す。嘱(しょく⑫)して恒軌(こうき⑬)とす。今に至る五百載(さい⑭)の後にも、其の会絶えること無し。

 

 梵網古迹記科文=科文は経論を解釈する際、段落に区切り、各段落の内容を見字体標語で示したもの。普通は序分、正宗(しょうしゅう)分、流通(るずう)分の三段に分け、さらにそれぞれを細分する。青丘太賢の『梵網経古迹記』の解説。

 梵網古迹記文集=『梵網経古迹記科文輔行文集会本』(ぼんもうこしゃくきかもんふぎょうもんじゅうえほん)。古迹記を忠実に随文解釈したもので、古迹記の注釈書としては最も優れたものと評価されている。日本大蔵経36・37所収。

 諷経誦呪=経文や陀羅尼、真言を声をあげて読むこと。

 威光=人に畏敬されるような、犯し難い威厳、威勢。

 微妙の音=仏法を悟って智恵深い、何ともいえないほどすぐれている声。

 有命=命あるもの。鳥獣の動物。

 神勅=神のおつげ。

 奏聞=天子に奏上すること。

 詔命=みことのり。天子の命令。

 放生の大会=仏教の不殺生の思想に基づいて、捕えられた生類を山野や池沼に放ちやる儀式。石清水では天皇の玉体安穏、天下泰平を祈願した。

 啓建=ひらきはじめる。

 嘱=ゆだねる。言いつける。

 恒軌=常の規則。常軌。

 載=とし(年、歳)。

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文で抱負が述べられています。その結びは、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが示され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

しかし、歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度、移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。現地の事については『弥勒の道プロジェクト』が大変参考になり、また貴重な動画が見られます。人の歩かないような道を自転車で踏破しておられます。

*『弥勒の道プロジェクト』さんが、奈良市のごみ焼却場を中ノ川地区へ移転した場合、古都の景観がいかに壊されるかをシミュレートした写真を公開されました。いちどご覧ください。

*実範上人・中川寺跡・弥勒道と焼却場問題に関する詳しく美しいチラシを作成されました。当寺で配布中。

 

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2015年3月20日 (金)

コスモス寺花だより 3・20

般若寺 春の花だより

〇黄水仙:≪見ごろ≫ 水仙:≪おわり近し≫ 

「黄いろなる 水仙の花 あまた咲き

  そよりと風は 吹きすぎにけり」古泉千樫

〇白梅:≪おわり近し≫ 豊後梅:≪見ごろ≫

「咲く梅の 遠からねども 畦絶えぬ」水原秋櫻子

○紅梅:≪見ごろ≫

「紅梅の りんりんとして 蕾かな」星野立子

〇わびすけ:≪見ごろ≫

○沈丁花、椿:≪咲きはじめ≫

○れんぎょう:≪咲きはじめ≫

「行き過ぎて 尚連翹の 花明り」中村汀女

〇山吹、桜:≪つぼみ≫

春咲きコスモス 

・花期:5~6月

・本数:3万本

・種類:赤白ピンクのセンセーションを主として12品種

〔短歌〕

〈春寒〉

「薺(なずな)ぐさ 花咲きにけり 表立(おもてだつ)

           見ばえなきこそ 本性ならめ」

            岡麓・庭苔

〔俳句〕

「初蝶の いきおひ猛に 見ゆる哉」一茶

・訳:春の初蝶が勢いよく飛んでいるように見えて頼もしいなあ。

〔和歌〕

「里の海士(あま)の 袖の浦風 のどかにて

        いさりにくたす 春の夕なぎ」

         長慶天皇御製・新葉和歌集45

「袖の浦の風は穏やかで、里の海士の袖は漁をするから、浪に濡れて朽ちている、そのような春の夕凪の頃。」

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈浄瑠璃寺〉

「ならさかを じやうるりでらに こえむひは

         みちのまはにに あしあやまちそ」

・ならさか=大和と山城を隔てる東西の丘陵地、奈良山を越える坂道。

・じやうるり=浄瑠璃。薬師如来のお浄土、東方薬師瑠璃光浄土のこと。

・まはに=真埴。赤土。

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

         こさめなかるる はるはきにけり」

・いしのほとけ=京街道の千坊坂に面して立つ夕日地蔵。

・おとかひ=頤。したあご。

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

・さかる=離る。遠ざかる。

・あさにけに=朝に日に。け(日)は朝に対して昼間をいう。

 「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもこのままでたいせつに残しておきたいものです。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む・改訂版》368

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻中 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

◆(文永)十年癸酉(みずのととり)

 菩薩、七十三歳。春二月、勅を奉って伊勢太神宮に参籠す。般若を転読して国家を祝祷す。三月廿八日、帰洛す。其の往還の事、性海(しょうかい①)の記あるも、其の文既に逸す。故に之を録するに由無し。

 

 性海=字は覚証房(1235-?)。大和喜光寺(菅原寺)長老。四天王寺執行の一族。「関東往還記」をはじめ伊勢参宮記など菩薩に近侍して記録を担当した。般若寺での無遮大会(文殊供養)の際にも「この供養の間の作法、別に性海比丘の一巻記有り」(感身学正記)と記録を残した。(残念ながら現存しない)

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文で抱負が述べられています。その結びは、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが示され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

しかし、歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度、移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。現地の事については『弥勒の道プロジェクト』が大変参考になり、また貴重な動画が見られます。人の歩かないような道を自転車で踏破しておられます。

*『弥勒の道プロジェクト』さんが、奈良市のごみ焼却場を中ノ川地区へ移転した場合、古都の景観がいかに壊されるかをシミュレートした写真を公開されました。いちどご覧ください。

*実範上人・中川寺跡・弥勒道と焼却場問題に関する詳しく美しいチラシを作成されました。当寺で配布中。

Img_3361

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2015年3月19日 (木)

コスモス寺花だより 3・19

般若寺 春の花だより

〇水仙:≪おわり近し≫ 

〇豊後梅、白梅:≪見ごろ≫

「咲く梅の 遠からねども 畦絶えぬ」水原秋櫻子

○紅梅:≪見ごろ≫

「紅梅や 見ぬ恋つくる 玉すだれ」松尾芭蕉

〇わびすけ:≪見ごろ≫

○椿:≪咲きはじめ≫

○れんぎょう:≪咲きはじめ≫

「行き過ぎて 尚連翹の 花明り」中村汀女

春咲きコスモス 

・花期:5~6月

・本数:3万本

・種類:赤白ピンクのセンセーションを主として12品種

〔短歌〕

〈春寒〉

「いつまでも ふぶみて咲かぬ 沈丁花

        心もとなき 春の寒さや」

         岡麓・庭苔

〔俳句〕

「寝ころんで 蝶泊らせる 外湯哉」一茶

・訳:寝ころんで息をひそめ蝶を止まらせる、ゆったりのんびりの外湯だなあ。

〔和歌〕

「ありとだに 今こそみゆれ 春の日の

        光にあたる 野べの遊糸(いとゆふ)」

         右兵衛督成直・新葉和歌集44

「あるということさえ、今見えてはじめてわかったことだ。春の日の光にあたる野辺の遊糸。」

・遊糸=いとゆふ。陽炎の異名。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈浄瑠璃寺〉

「ならさかを じやうるりでらに こえむひは

         みちのまはにに あしあやまちそ」

・ならさか=大和と山城を隔てる東西の丘陵地、奈良山を越える坂道。

・じやうるり=浄瑠璃。薬師如来のお浄土、東方薬師瑠璃光浄土のこと。

・まはに=真埴。赤土。

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

         こさめなかるる はるはきにけり」

・いしのほとけ=京街道の千坊坂に面して立つ夕日地蔵。

・おとかひ=頤。したあご。

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

・さかる=離る。遠ざかる。

・あさにけに=朝に日に。け(日)は朝に対して昼間をいう。

 「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもこのままでたいせつに残しておきたいものです。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む・改訂版》367

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻中 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

◆(文永)九年壬申(みずのえさる)

 菩薩、七十二歳。三月。梵網戒経を金峰山(きんぷせん①)に講ず。廿八日、士庶(ししょ②)一千七百廿余人、三百二十八條の網、並びに鹿笛、鷹鈴等の諸の殺具(せつぐ③)を携え、菩薩の前に来って悉く之を焼き訖る。菩薩戒を受け、又誓って殺生を禁断すること五十余所。七月廿八日、浄住寺定然律師(葉室大納言定嗣)逝去す。菩薩、深く法門の棟梁を失うを嗟(なげ)き、悲恋して已まず。広く仏事を修し、以て行願(ぎょうがん④)円満の資糧(しりょう⑤)に備う。

 

 金峰山=吉野山の金峯山寺。蔵王権現をまつる修験道の中心寺院。古くは吉野山の南に続く大峯連峰を指した。

 士庶=一般の人民。武士と庶民。

 殺具=殺生の道具。

 行願=衆生を済度しようとする菩薩の修行と誓願。

 資糧=かて。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文で抱負が述べられています。その結びは、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが示され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

しかし、歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度、移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。現地の事については『弥勒の道プロジェクト』が大変参考になり、また貴重な動画が見られます。人の歩かないような道を自転車で踏破しておられます。

*『弥勒の道プロジェクト』さんが、奈良市のごみ焼却場を中ノ川地区へ移転した場合、古都の景観がいかに壊されるかをシミュレートした写真を公開されました。いちどご覧ください。

*実範上人・中川寺跡・弥勒道と焼却場問題に関する詳しく美しいチラシを作成されました。当寺で配布中。

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2015年3月18日 (水)

コスモス寺花だより 3・18

般若寺 春の花だより

〇水仙:≪おわり近し≫ 

〇豊後梅、白梅:≪見ごろ≫

「咲く梅の 遠からねども 畦絶えぬ」水原秋櫻子

○紅梅:≪見ごろ≫

「紅梅や 見ぬ恋つくる 玉すだれ」松尾芭蕉

〇わびすけ:≪見ごろ≫

○椿:≪咲きはじめ≫

○れんぎょう:≪咲きはじめ≫

「行き過ぎて 尚連翹の 花明り」中村汀女

春咲きコスモス 

・花期:5~6月

・本数:3万本

・種類:赤白ピンクのセンセーションを主として12品種

〔短歌〕

〈木蓮の雪〉

「春の雪 ふれどもとけて つもらねば

      木蓮の花 きずつかずあり」

       岡麓・庭苔

〔俳句〕

「梅咲くや 地獄の門も 休み札」一茶

・訳:梅が咲いているなあ。地獄への門も休み札がかかっている。

〔和歌〕

「野辺遠み 春の心ぞ つながれぬ

うかべる雲の 跡を見るにも」

        中院入道一・新葉和歌集43

「野辺が遠くまで広がっているので、春駒の浮き立つ心が収まらないよ。空に浮かんで一所に止まることのない雲を見るにつけても。」

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈浄瑠璃寺〉

「ならさかを じやうるりでらに こえむひは

         みちのまはにに あしあやまちそ」

・ならさか=大和と山城を隔てる東西の丘陵地、奈良山を越える坂道。

・じやうるり=浄瑠璃。薬師如来のお浄土、東方薬師瑠璃光浄土のこと。

・まはに=真埴。赤土。

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

         こさめなかるる はるはきにけり」

・いしのほとけ=京街道の千坊坂に面して立つ夕日地蔵。

・おとかひ=頤。したあご。

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

・さかる=離る。遠ざかる。

・あさにけに=朝に日に。け(日)は朝に対して昼間をいう。

 「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもこのままでたいせつに残しておきたいものです。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む・改訂版》366

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻中 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

◆【夫れ此の章は、殊に出苦(しゅっく①)の戸牖(こゆう②)を開き、正しく入道(にゅうどう③)の階級を示す。行人(ぎょうにん④)の目足、能詮(のうせん⑤)の肝心なり。所以は年来、印板に刊し遐邇(かじ⑥)に弘むるの願を発すと雖も、斎食常に一鉢の中に空しく、資貯(しちょ⑦)全く三衣の外に絶え、茲に因り徒(いたずら)に流通の志を抱いて、未だ彫刻の営みに及ばざる処、幸いに一乗院家(いちじょういんけ⑧)の厚助を蒙る。忽ちに多年惻隠(しょくいん⑨)の本望を遂ぐ。偏に是れ冥感の致す所也。請い願はくは、手に採り眼に触るるもの、同じく本性の種を益し、文を読み義を解するもの速やかに菩提の果を成ぜんこと、而已(のみ)。

 文永八年辛未三月 日     願主西大寺沙門叡尊 】

 

 出苦=苦界、苦域を逃れ出る。

 戸牖=戸口と窓。

 入道=仏道に入って修行すること。

 行人=仏道を修行する人。行者。

 能詮=法や道をよくすること。

 遐邇=遠いと近いと。遠近。

 資貯=たから、もとで、とたくわえ。

 一乗院家=興福寺の一乗院院家、門跡。

 惻隠=ひそかにいたみに思う。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文で抱負が述べられています。その結びは、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが示され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

しかし、歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度、移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。現地の事については『弥勒の道プロジェクト』が大変参考になり、また貴重な動画が見られます。人の歩かないような道を自転車で踏破しておられます。

*『弥勒の道プロジェクト』さんが、奈良市のごみ焼却場を中ノ川地区へ移転した場合、古都の景観がいかに壊されるかをシミュレートした写真を公開されました。いちどご覧ください。

*実範上人・中川寺跡・弥勒道と焼却場問題に関する詳しく美しいチラシを作成されました。当寺で配布中。

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2015年3月17日 (火)

コスモス寺花だより 3・17

般若寺 春の花だより

〇水仙:≪おわり近し≫ 

〇ぶんご梅、白梅:≪見ごろ≫

「咲く梅の 遠からねども 畦絶えぬ」水原秋櫻子

○紅梅:≪見ごろ≫

「紅梅や 見ぬ恋つくる 玉すだれ」松尾芭蕉

〇わびすけ:≪見ごろ≫

○椿:≪咲きはじめ≫

○れんぎょう:≪咲きはじめ≫

「行き過ぎて 尚連翹の 花明り」中村汀女

春咲きコスモス 

・花期:5~6月

・本数:3万本

・種類:赤白ピンクのセンセーションを主として12品種

〔短歌〕

〈木蓮の雪〉

「木蓮の 花のさかりの 春の雪

      ひと時つよく 降りてやみしか」

       岡麓・庭苔

〔俳句〕

「おさなごや 尿(しと)やりながら 梅の花」一茶

・訳:幼い子よ。おしっこをやりながら見る梅の花。

〔和歌〕

「春風に けづりもやらぬ 神奈備の

      三室の岸の 青柳の糸」

       妙光寺内大臣・新葉和歌集42

「春風がなびかせるので、櫛を当てて整えることもできない髪のような、神奈備山の三室の岸に生えている青柳の糸。」

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈浄瑠璃寺〉

「ならさかを じやうるりでらに こえむひは

         みちのまはにに あしあやまちそ」

・ならさか=大和と山城を隔てる東西の丘陵地、奈良山を越える坂道。

・じやうるり=浄瑠璃。薬師如来のお浄土、東方薬師瑠璃光浄土のこと。

・まはに=真埴。赤土。

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

         こさめなかるる はるはきにけり」

・いしのほとけ=京街道の千坊坂に面して立つ夕日地蔵。

・おとかひ=頤。したあご。

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

・さかる=離る。遠ざかる。

・あさにけに=朝に日に。け(日)は朝に対して昼間をいう。

 「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもこのままでたいせつに残しておきたいものです。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む・改訂版》365

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻中 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

◆(文永)八年辛未(かのとひつじ)

菩薩、七十一歳。年の始め七箇日、祝祷の行法。延応改元自り以て今歳に至るまで三十余年、菩薩自ら必ず之を修して未だ嘗て懈(おこた)らず。今茲(ことし)偶(たまたま)微恙(びよう①)に嬰(かか)り徒(と②)をして之を修せしむ。故に二月再び壇場を塔中に飾り、舎利を中央に安置し行法を勤修して之を供養し奉る。七昼夜既に満つるの日、設利羅(せつりら③)、玉の如きもの忽ち壇上に現ず。亡慮(ぶりょ④)四千余顆(か⑤)、菩薩之を奇として貯うるに宝瓶(ほうびょう⑥)を以てし、鎮刹(ちんさつ⑦)の珍(たから)と為す。三月、大乗入道章いじょうにゅうどうしょう⑧)を講ず。因りて之を梓(し⑨)に鋟(しん⑩)し、以て後代に伝う。其の跋文に云はく、

 

 微恙=軽い病気。

 徒=叡尊門下の僧徒。

 設利羅=梵語、シャリ―ラ。釈迦牟尼仏陀の遺骨、舎利。

 亡慮=無慮。およそ、おおむね、すべて。

 顆=つぶ。丸い形をしたもの。また、それを数える語。

 宝瓶=西大寺に現存する国宝鉄宝塔に納められた五つの宝瓶内に奉納された五瓶舎利(ごびょうしゃり)

 鎮刹=刹は寺あるいは塔。寺のしずめ、中心。

 大乗入道章=唐の法相宗第三祖智周著『大乗入道次第』。西大寺で『大乗入道次第科文』が開板される。

 梓=版木。

 鋟=きざむ、版木にほりつける。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文で抱負が述べられています。その結びは、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが示され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

しかし、歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度、移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。現地の事については『弥勒の道プロジェクト』が大変参考になり、また貴重な動画が見られます。人の歩かないような道を自転車で踏破しておられます。

*『弥勒の道プロジェクト』さんが、奈良市のごみ焼却場を中ノ川地区へ移転した場合、古都の景観がいかに壊されるかをシミュレートした写真を公開されました。いちどご覧ください。

*実範上人・中川寺跡・弥勒道と焼却場問題に関する詳しく美しいチラシを作成されました。当寺で配布中。

 

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2015年3月16日 (月)

コスモス寺花だより 3・16

般若寺 春の花だより

〇水仙:≪おわり近し≫ 

〇白梅:≪見ごろ≫

「白梅や 父に未完の 日暮あり」櫂未知子

○紅梅:≪見ごろ≫

「夕ぐれの 紅梅を見に 戻りゆく」鈴木六林男

〇わびすけ:≪見ごろ≫

○椿:≪咲きはじめ≫

○れんぎょう:≪咲きはじめ≫

「行き過ぎて 尚連翹の 花明り」中村汀女

春咲きコスモス 

・花期:5~6月

・本数:3万本

・種類:赤白ピンクのセンセーションを主として12品種

〔短歌〕

〈木蓮の雪〉

「かきくらし 雪降る中の 木蓮の

        花は雪より なほ白く見ゆ」

         岡麓・庭苔

〔俳句〕

「梅咲いて 身のおろかさの 同(おなじ)也」一茶

・訳:梅が咲いても、わが身の愚かさは変わりませんなあ。

〔和歌〕

「青柳の みどりうつろふ 河の瀬に

      なびく玉藻も 数やそふらん」

       権大納言公夏・新葉和歌集41

「青柳の緑が映っている川面、その川瀬になびく美しい藻も緑の数を添えているのだろうか。」

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈浄瑠璃寺〉

「ならさかを じやうるりでらに こえむひは

         みちのまはにに あしあやまちそ」

・ならさか=大和と山城を隔てる東西の丘陵地、奈良山を越える坂道。

・じやうるり=浄瑠璃。薬師如来のお浄土、東方薬師瑠璃光浄土のこと。

・まはに=真埴。赤土。

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

         こさめなかるる はるはきにけり」

・いしのほとけ=京街道の千坊坂に面して立つ夕日地蔵。

・おとかひ=頤。したあご。

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

・さかる=離る。遠ざかる。

・あさにけに=朝に日に。け(日)は朝に対して昼間をいう。

 「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもこのままでたいせつに残しておきたいものです。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む・改訂版》364

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻中 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

◆三月、菩薩戒経を教興寺に講ず。又、命じて五尺の金塔(①)及び瑠璃宝瓶(るりほうびょう②)を造立し、曾て堀川の御所(ほりかわのごしょ③)より賜る所の鑑真将来の仏舎利五粒を安置す。以て永く寺の鎮めと為す。四月朔日、菩薩戒を一千六百九十余人に授く。十九日、発心院殿下(はっしいんでんか④)請召して菩薩戒を乞受す。隨従の人同じく受くる者一十五人。

 

 金塔=西大寺に現存の国宝金銅宝塔、壇塔と呼ばれる。基壇の裏には以下の銘文がある。

〔基壇底裏銘〕

「舎利の流布は当時盛んなりと雖も、稟承の明鏡は古今尤も稀なり。而るに去年秋図らずも招提寺舎利一粒を感得す。相伝の由来、信仰に二つ無し。機縁の純熟、感欽且つは千たびにして、以って連連相続す。復た相承奇瑞の舎利両三粒、或は霊寺の宝壺より伝う。或は名山の神池より出づ。無上の法宝時を待ちて自づから集まる。興隆の祥兆、寧(いづく)んぞ崇めざるべき哉。茲に因りて三尺金銅宝塔一基を冶鋳し、此の仏舎利を奉納し、西大寺宝塔院に安置するところ也。永く一寺の霊宝と為し、将に万代の後葉に伝う而已(のみ)。

  文永七年歳次庚午六月一日己巳鬼宿金曜

〔基壇側面裏銘〕

「本願主西大寺衆首沙門叡尊。行事比丘、慶印、実海、璋尊。銅細工、末長入道成仏、坂上友末。鋳物師、友吉入道西珍。」 (良任訓読)

・慶印=常円房、伊予国の人。

・実海=覚一房、京都の人。備前国成羽川の開削工事を行い「笠神文字岩」に名を残した。西大寺末寺の成羽善養寺(現岡山県川上郡、廃寺)の長老となった。

・璋尊=観玄房、大和国の人。叡尊師の入滅時には病床に看病し、葬送の際には他の弟子二十二人とともに輿を担いだ。

 瑠璃宝瓶=宝瓶形舎利容器。

 堀川の御所=摂関家の近衛基通の娘の御所、北小路堀河殿か。当時の関白鷹司基忠が大叔母の堀河殿(近衛基通の娘)の御所で菩薩戒を受けた。

 発心院殿下=ホッシンインかも。発心院と号する殿下(公卿)、寺院は京都にあったと思われるが、詳細不明。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文で抱負が述べられています。その結びは、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが示され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

しかし、歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度、移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。現地の事については『弥勒の道プロジェクト』が大変参考になり、また貴重な動画が見られます。人の歩かないような道を自転車で踏破しておられます。

*『弥勒の道プロジェクト』さんが、奈良市のごみ焼却場を中ノ川地区へ移転した場合、古都の景観がいかに壊されるかをシミュレートした写真を公開されました。いちどご覧ください。

*実範上人・中川寺跡・弥勒道と焼却場問題に関する詳しく美しいチラシを作成されました。当寺で配布中。

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2015年3月15日 (日)

コスモス寺花だより 3・15

般若寺 春の花だより

〇水仙:≪おわり近し≫ 

〇白梅:≪見ごろ≫

「白梅や 父に未完の 日暮あり」櫂未知子

○紅梅:≪見ごろ≫

「夕ぐれの 紅梅を見に 戻りゆく」鈴木六林男

〇わびすけ:≪見ごろ≫

○椿:≪咲きはじめ≫

○れんぎょう:≪咲きはじめ≫

「行き過ぎて 尚連翹の 花明り」中村汀女

春咲きコスモス 

・花期:5~6月

・本数:3万本

・種類:赤白ピンクのセンセーションを主として12品種

*当寺のHPに紹介されている『弥勒の道プロジェクト』さんが、奈良市のごみ焼却場を中ノ川地区へ移転した場合、古都の景観がいかに壊されるかをシミュレートした写真を公開されました。いちどご覧ください。

実範上人・中川寺跡・弥勒道と焼却場問題に関する詳しく美しいチラシを作成されました。当寺で配布中。

〔短歌〕

〈木蓮の雪〉

「木蓮の 枝高ければ ふる雪の

      風あてつよく 花ゆれやまず」

       岡麓・庭苔

〔俳句〕

「梅さけど 鶯なけど ひとり哉」一茶

・訳:梅が咲いても鶯が鳴いてもひとりぽっちだなあ。

〔和歌〕

「さらに又 嵐ぞつらき 梅が枝の

       花ゆゑ待ちし 人に訪(と)はれて」

        関白左大臣・新葉和歌集40

「ほかの時よりも一層嵐の仕打ちを薄情だと思うのだよ。梅の花を見せようと思って来訪を待っていた人に、まさに散ってしまったその後に来訪されて。」

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈浄瑠璃寺〉

「ならさかを じやうるりでらに こえむひは

         みちのまはにに あしあやまちそ」

・ならさか=大和と山城を隔てる東西の丘陵地、奈良山を越える坂道。

・じやうるり=浄瑠璃。薬師如来のお浄土、東方薬師瑠璃光浄土のこと。

・まはに=真埴。赤土。

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

         こさめなかるる はるはきにけり」

・いしのほとけ=京街道の千坊坂に面して立つ夕日地蔵。

・おとかひ=頤。したあご。

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

・さかる=離る。遠ざかる。

・あさにけに=朝に日に。け(日)は朝に対して昼間をいう。

 「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもこのままでたいせつに残しておきたいものです。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む・改訂版》363

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻中 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

◆同七年三月二十二日、算計し奉る七百十三粒〔十二粒は新たに分散、今四十五粒は細砕の内、擇勢分増(たくせいぶんぞう①)、之を加え奉る〕。水晶筒に移納し奉る。正嘉元年六月二十四日、計り奉る七百十一粒〔二粒隠没(いんもつ②)〕。弘長二年閏七月二十二日、十粒を取り分け東塔に奉納す。文応二年正月二十六日、計り奉る七百三十六粒。同四年正月十七日、算し奉る一千粒〔十一粒は新たに分散、今二百五十三粒は細碎の内、擇勢分増、之を加え奉る〕。此の日、今の水晶筒に移入し奉る。同七年正月廿日(原本;廿五)、僧衆尼衆相共に勘計し奉る。二千七十三粒也〔十六粒は新たに分散、今一千五十七粒は細碎、御舎利勢分、皆増を勘算して之を計る。故に之を加え奉る〕。凡そ細砕一粒の御舎利、次第に分散して未だ三十箇年に満たざるに、已に二千余粒に及ぶ。其の間来去(らいきょ③)は機(き④)に隨い、多少は時に依る。或いは跂々(ぎぎ⑤)として盤中を廻り、或いは離々(りり⑥)として匙端(したん⑦)に垂れる。末世の奇特(きとく⑧)、何事かかくの如し。仍ち證験(しょうけん⑨)に備えんが為め、粗(ほぼ)大概(たいがい⑩)を記す。之を亀鏡(きけい⑪)と為し疑殆(ぎたい⑫)を貽(のこ)すこと勿れ。

 文永七年庚午正月 日   西大寺衆首金剛佛子叡尊記 】已上記文

 

 擇勢分増=勢いよく分かれて増えたものをえらぶ。

 隠没=あとかたなくきえてなくなる。

 来去=行ったり来たりすること。増減。

 機=きざし、おり。機会。

 跂々=虫がはって歩くように。

 離々=垂れるさま。

 匙端=さじの先端。

 奇特=キドクとも。特にすぐれて珍しいこと。

 証験=あかし。しるし。

 大概=あらまし。

 亀鏡=キキョウとも。よりどころとなる模範。証拠、亀鑑。

 疑殆=うたがい恐れること。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文で抱負が述べられています。その結びは、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが示され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

しかし、歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度、移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。現地の事については『弥勒の道プロジェクト』が大変参考になり、また貴重な動画が見られます。人の歩かないような道を自転車で踏破しておられます。

 

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2015年3月14日 (土)

コスモス寺花だより 3・14

般若寺 春の花だより

〇水仙:≪おわり近し≫ 

〇白梅:≪見ごろ≫

「白梅の 花に蕾に 枝走る」倉田紘文

○紅梅:≪見ごろ≫

「紅梅や 枝々は空 奪ひあひ」鷹羽狩行

〇わびすけ:≪見ごろ≫

○椿:≪咲きはじめ≫

○れんぎょう:≪咲きはじめ≫

「行き過ぎて 尚連翹の 花明り」中村汀女

春咲きコスモス 

・花期:5~6月

・本数:3万本

・種類:赤白ピンクのセンセーションを主として12品種

*当寺のHPに紹介されている『弥勒の道プロジェクト』さんが、奈良市のごみ焼却場を中ノ川地区へ移転した場合、古都の景観がいかに壊されるかをシミュレートした写真を公開されました。いちどご覧ください。

実範上人・中川寺跡・弥勒道と焼却場問題に関する詳しく美しいチラシを作成されました。当寺で配布中。

〔短歌〕

〈木蓮の雪〉

「いづこにて なくか烏の 声ひくし

        雪ふりかかる 木蓮のはな」

         岡麓・庭苔

〔俳句〕

「鶯や 今に直らぬ 木曽訛(きそなまり)」一茶

・訳:うぐいすよ、おまえさんは今も直らないね。木曽訛りが。

〔和歌〕

「かざせども 老(おい)はかくさで 梅の花

        いとど頭の 雪と見えつつ」

         中務卿宗良親王・新葉和歌集39

「頭に挿しても老いを隠すことはなく、白い梅の花は、雪を頭に置いたように見えて、かえってますます老いを目立たせる。」

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈浄瑠璃寺〉

「ならさかを じやうるりでらに こえむひは

         みちのまはにに あしあやまちそ」

・ならさか=大和と山城を隔てる東西の丘陵地、奈良山を越える坂道。

・じやうるり=浄瑠璃。薬師如来のお浄土、東方薬師瑠璃光浄土のこと。

・まはに=真埴。赤土。

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

         こさめなかるる はるはきにけり」

・いしのほとけ=京街道の千坊坂に面して立つ夕日地蔵。

・おとかひ=頤。したあご。

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

・さかる=離る。遠ざかる。

・あさにけに=朝に日に。け(日)は朝に対して昼間をいう。

 「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもこのままでたいせつに残しておきたいものです。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む・改訂版》362

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻中 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

◆然る間、建長五年春、比丘尼實阿、多日病に臥す。寝食共に乖(そむ)き、日に隨いて憔悴して終焉まさに近からんとす。時に夜深(ふ)け人静かなり。悄然(しょうぜん①)として眠らざるの間、本願皇后(光明皇后)、形体を現わさずして清和の音を以て示して言く、〔多事有ると雖も繁に依り之を略す〕吾れ舎利幷に大般若を以て両眼と為す。大般若は、尼成阿弥陀仏既に其の営みを致す。舎利に於いては我れ方便を以て当寺に安置せしむ。しかるを雅意(がい②)に任せて諸方に分布す。大いに我が意に背く、云々。實阿此の聖言を承るの後、病気忽ち散じて身心本の如し。蓋し是れ奇代(きたい③)の珍事なり。茲に因り貴賤親疎を択ばず、永く分布を停止すべきの由、堅く炳誡(へいかい④)を加うるの刻(とき)、先に分布に預かる輩、本願の冥慮(めいりょ⑤)を恐れて大略以て返送し奉る。行窮も即ち又これ等の趣を聞いて恐怖に堪えず。同四月を以て彼の御舎利を当寺に返入し奉り訖んぬ。仍ち同十月四日、彼れ此れ通計するに、六百五十六粒、金銅の瓶(へい)に納め、経蔵に安置し奉る〔此の外、細砕分散舎利微細にして計り難き間、別に蒔絵の箱に同じく之を安置す〕。

 

 悄然=うちしおれて元気のないさま。

 雅意=ふだんの心。我意(自分の考え、気持)。

 奇代=キダイとも。世にもまれなこと。不思議なこと。

 炳誡=あきらかないましめ。

 冥慮=仏の深いおぼしめし。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文で抱負が述べられています。その結びは、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが示され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

しかし、歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度、移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。現地の事については『弥勒の道プロジェクト』が大変参考になり、また貴重な動画が見られます。人の歩かないような道を自転車で踏破しておられます。

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2015年3月13日 (金)

コスモス寺花だより 3・13

般若寺 春の花だより

〇水仙:≪おわり近し≫ 

〇白梅:≪見ごろ≫

「白梅の 花に蕾に 枝走る」倉田紘文

○紅梅:≪見ごろ≫

「紅梅や 枝々は空 奪ひあひ」鷹羽狩行

〇わびすけ:≪見ごろ≫

○椿:≪咲きはじめ≫

○れんぎょう:≪咲きはじめ≫

春咲きコスモス 

・花期:5~6月

・本数:3万本

・種類:赤白ピンクのセンセーションを主として12品種

*当寺のHPに紹介されている『弥勒の道プロジェクト』さんが、奈良市のごみ焼却場を中ノ川地区へ移転した場合、古都の景観がいかに壊されるかをシミュレートした写真を公開されました。いちどご覧ください。

それから中川寺跡・弥勒道と焼却場問題に関する詳しく美しいチラシを作成されたので当寺にて配布しています。

〔短歌〕

〈木蓮の雪〉

「木蓮の 花に降る雪 はなびらに

      ふれてはとけて 雫(しずく)せりけり」

       岡麓・庭苔

〔俳句〕

「武士(さむらひ)や 鶯に迄 つかはるる」一茶

・訳:さすがお武家さま。鶯にまで使われている。

〔和歌〕

「春の宮に 木高(こだか)くにほふ 花ならば

       わきてや見まし 宿の梅が枝」

        (長慶天皇)御製・新葉和歌集38

「手折られてやってきてさえ、私のこの春の宮殿にひときわ美しく咲きにおうような花ならば、折られないでいるままの花がどれほどすばらしいことか、特にみたいものですよ、あなたの屋敷の梅の枝を。」

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈浄瑠璃寺〉

「ならさかを じやうるりでらに こえむひは

         みちのまはにに あしあやまちそ」

・ならさか=大和と山城を隔てる東西の丘陵地、奈良山を越える坂道。

・じやうるり=浄瑠璃。薬師如来のお浄土、東方薬師瑠璃光浄土のこと。

・まはに=真埴。赤土。

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

         こさめなかるる はるはきにけり」

・いしのほとけ=京街道の千坊坂に面して立つ夕日地蔵。

・おとかひ=頤。したあご。

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

・さかる=離る。遠ざかる。

・あさにけに=朝に日に。け(日)は朝に対して昼間をいう。

 「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもこのままでたいせつに残しておきたいものです。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む・改訂版》361

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻中 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

◆爰に叡尊、建長三年の冬、法華寺西僧坊に於いて尼衆に律鈔を講ず。談義の中間に、行窮、彼の舎利を持して来たり臨む。仍ち暫らく講を抑え、僧尼相共に拝見し奉る。眼前に分散したまうこと数え盡すべからず。行窮、悉く拾い納め書き奉る。(原本には「奉持退出するに、諸衆奇特の思いを成し、信仰他に無し。しかる後又書を披き講ぜんと欲す。」の文有り)講ぜんと欲するに、書の上に微細の舎利一粒出現したまう。其の外、院中の机上の処々に顕現す。即ち尼衆をして悉く拾い集めて、壷(原本;嚢〈ふくろ))に納めて当寺に安置す。是れ其の最初なり。其の後云(原本;之)勢分、云(原本;之)員数、日を逐って倍増す。凡そ厥の神変瑞相(しんぺんずいそう①)、翰墨(かんぼく②)覃(たん③)じ難し。信を凝らして祈念すれば、霧の如くして壷(原本;嚢)中より出づ。誠を至して欣求すれば、沙(さ④)の如くして眼前に現ず。之に依り道俗、帰依の頭を傾けて、都鄙(とひ⑤)に分布に預かる者多し。

 

 神変瑞相=不思議なできごと、めでたいしるし。

 翰墨=紙と墨。文に書くこと。

 覃=およぶ。ゆきわたる。

 沙=すな、砂。

 都鄙=みやこといなか。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文で抱負が述べられています。その結びは、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが示され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

しかし、歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度、移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。現地の事については『弥勒の道プロジェクト』が大変参考になり、また貴重な動画が見られます。人の歩かないような道を自転車で踏破しておられます。

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2015年3月12日 (木)

コスモス寺花だより 3・12

般若寺 春の花だより

〇水仙:≪おわり近し≫ 

〇白梅:≪見ごろ≫

「梅しろく たそがれ給ふ 仏たち」草間時光

○紅梅:≪見ごろ≫

「紅梅や 枝々は空 奪ひあひ」鷹羽狩行

〇わびすけ:≪見ごろ≫

○椿:≪咲きはじめ≫

○れんぎょう:≪咲きはじめ≫

春咲きコスモス 

コスモス苗の植え付けを始めました。

苗は10センチほどで霜よけのシートで覆っています。

・花期:4月末~6月、新しい品種なので春から初夏にかけて咲きます。

満開は5月から6月上旬ごろ。

・本数:3万本

・種類:赤白ピンクのセンセーションを主として12品種

*当寺のHPに紹介されている『弥勒の道プロジェクト』さんが、奈良市のごみ焼却場を中ノ川地区へ移転した場合、古都の景観がいかに壊されるかをシミュレートした写真を公開されました。いちどご覧ください。

それから中川寺跡・弥勒道と焼却場問題に関する詳しく美しいチラシを作成されたので当寺にて配布しています。

〔短歌〕

〈紅梅〉

「三月に なれど寒けき 春の日の

      いたましくあれや 紅梅のはな」

       岡麓・庭苔

〔俳句〕

「鶯や 此(この)声にして 此山家」一茶

・訳:うつくしい声で鳴く鶯よ。この声だからこそこの山家に似合う。

〔和歌〕

「いとはやも わきて手折らば 春の宮に

         木高(こだか)くにほへ 宿の梅が枝」

           福恩寺前関白内大臣・新葉和歌集

「いち早く特別に手折る枝ならば、東宮のお住いの春の宮殿にひときわ抜きん出て咲き匂え、我が家の梅の枝よ。」

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈浄瑠璃寺〉

「ならさかを じやうるりでらに こえむひは

         みちのまはにに あしあやまちそ」

・ならさか=大和と山城を隔てる東西の丘陵地、奈良山を越える坂道。

・じやうるり=浄瑠璃。薬師如来のお浄土、東方薬師瑠璃光浄土のこと。

・まはに=真埴。赤土。

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

         こさめなかるる はるはきにけり」

・いしのほとけ=京街道の千坊坂に面して立つ夕日地蔵。

・おとかひ=頤。したあご。

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

・あをによし=青丹よし。一説には奈良山に産出した顔料(絵具)の青丹をならす(馴熟)という言葉に由来するという。奈良、奈良山にかかる枕詞。

・さかる=離る。遠ざかる。

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

・あさにけに=朝に日に。け(日)は朝に対して昼間をいう。

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む・改訂版》360

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻中 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

◆信貴山の住房の高欄の上に五色の光有り。恠(あやし)んで傍人に問う。傍人答えて云う。此れは是れ汝の母持する所の舎利の神光(しんこう①)なり。此の言を聞いて、弥(いよいよ)慚愧(ざんぎ②)を含むの間に、彼の光、悉く舎利と成って欄の上に充満す。歓喜の心に住して夢覚め畢る。即ち母のところに往きて泣きながら上の趣を語る。母即ち汝が舎利、已に我が所に還来したまうの由を示す。行窮悲喜相半ばにして重ねて請い奉らんと乞う。母報じて云う、没失の由を聞き乍(ながら)機縁の疎(おろそ)かなることを恠(あや)しむと雖も、倩(つらつら)夢想の告を案ずるに是れ直也(ただなる)事に匪(あら)ざる歟。仍(すなわち)元の如く亦一粒を分与せんと欲す。此の時に当って、前に失う所の舎利、自然に盤の中に現ず。即ち同時に二粒を感得し訖(おわ)んぬ。行窮弥(いよいよ)堅固の信を致し、専ら勤行を修するの間、神変(しんぺん③)一(いつ)に非ず。分散すること無数にして次第に倍増して数百粒に及ぶ。

 

 神光=霊妙不可思議な光。

 慚愧=心から恥じ入ること。

 神変=人知でははかり知れない不可思議な変異。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文で抱負が述べられています。その結びは、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが示され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

しかし、歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度、移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。現地の事については『弥勒の道プロジェクト』が大変参考になり、また貴重な動画が見られます。人の歩か

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2015年3月11日 (水)

コスモス寺花だより 3・11

般若寺 春の花だより

〇水仙:≪おわり近し≫ 

〇白梅:≪見ごろ≫

「梅しろく たそがれ給ふ 仏たち」草間時光

○紅梅:≪咲きはじめ≫

「紅梅の 満を持しをる 蕾かな」下村梅子

〇わびすけ:≪見ごろ≫

○椿:≪咲きはじめ≫

○れんぎょう:≪咲きはじめ≫

春咲きコスモス 

コスモス苗の植え付けを始めました。

苗は10センチほどで霜よけのシートで覆っています。

・花期:4月末~6月、新しい品種なので春から初夏にかけて咲きます。

満開は5月から6月上旬ごろ。

・本数:3万本

・種類:赤白ピンクのセンセーションを主として12品種

*当寺のHPに紹介されている『弥勒の道プロジェクト』さんが、奈良市のごみ焼却場を中ノ川地区へ移転した場合、古都の景観がいかに壊されるかをシミュレートした写真を公開されました。いちどご覧ください。

それから中川寺跡・弥勒道と焼却場問題に関する詳しく美しいチラシを作成されたので当寺にて配布しています。

〔短歌〕

〈紅梅〉

「紅梅の 盛(さかり)の花に 朝日かげ

      正面(まとも)にさして 美しきかも」

       岡麓・庭苔

〔俳句〕

「鶯や 懐の子も 口を明く」一茶

・訳:鶯の初音よ。懐に抱いた子も口をあけている。

〔和歌〕

「吹(ふき)やめば よそに軒端の 梅が香を

       しばし袂(たもと)に やどす春風」

         最恵法親王・新葉和歌集36

「吹き止むと、我が身から離れ遠ざかる軒端の梅の香りを、そよそよと吹いて、しばらくは我が袂に宿らせる春風。」

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈浄瑠璃寺〉

「ならさかを じやうるりでらに こえむひは

         みちのまはにに あしあやまちそ」

・ならさか=大和と山城を隔てる東西の丘陵地、奈良山を越える坂道。

・じやうるり=浄瑠璃。薬師如来のお浄土、東方薬師瑠璃光浄土のこと。

・まはに=真埴。赤土。

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

         こさめなかるる はるはきにけり」

・いしのほとけ=京街道の千坊坂に面して立つ夕日地蔵。

・おとかひ=頤。したあご。

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

・あをによし=青丹よし。一説には奈良山に産出した顔料(絵具)の青丹をならす(馴熟)という言葉に由来するという。奈良、奈良山にかかる枕詞。

・さかる=離る。遠ざかる。

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

・あさにけに=朝に日に。け(日)は朝に対して昼間をいう。

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む・改訂版》359

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻中 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

◆時に禅尼悲泣懺悔して、細碎(さいさい)を拾い納め、信敬(しんけい①)貳つ無し。釈念の母、修阿弥陀仏〔斎戒を受けて当寺に住す〕頻りに求請の志有り。禅尼、懇誠の切なることを感じて、彼の細碎の舎利一粒を渡し奉る。初めは微細にして之を拝むこと難し。故に黒色の紙を以て、之を安置すと雖も、後には勢分(せいぶん②)次第に増し、剰(あまつさ)え分散して二粒と成りたまう。しかる間、修阿弥陀仏の子息に行窮(ぎょうきゅう)と云うひと有り。年来舎利を欣求すと雖も、未だ感得すること能わず。即ち母の所持する舎利分散したまうの由を聞いて、一粒を分与せんことを請う。懇望の趣、止むことを得ざるに依って、寛元年中に、一粒を行窮に渡し奉り訖んぬ。而るに数月を経るの後、拝見を欲するの時、只空器のみ有って、舎利は見えたまはず。行窮周章(あわてて)天を仰ぎ、其の宿業の拙きことを耻じて深く愁歎を抱く処、夢に見る。

 

 信敬=信心して敬慕する。

 勢分=いきおい。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文で抱負が述べられています。その結びは、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが示され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

しかし、歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度、移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。現地の事については『弥勒の道プロジェクト』が大変参考になり、また貴重な動画が見られます。人の歩かないような道を自転車で踏破しておられます。

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2015年3月10日 (火)

コスモス寺花だより 3・10

般若寺 春の花だより

〇水仙:≪おわり近し≫ 

〇白梅:≪見ごろ≫

「近づけば 向きあちこちや 梅の花」三橋敏雄

○紅梅:≪咲きはじめ≫

「紅梅の 満を持しをる 蕾かな」下村梅子

〇わびすけ:≪見ごろ≫

○椿:≪咲きはじめ≫

○れんぎょう:≪咲きはじめ≫

春咲きコスモス 

コスモス苗の植え付けを始めました。

苗は10センチほどで霜よけのシートで覆っています。

・花期:4月末~6月、新しい品種なので春から初夏にかけて咲きます。

満開は5月から6月上旬ごろ。

・本数:3万本

・種類:赤白ピンクのセンセーションを主として12品種

*当寺のHPに紹介されている『弥勒の道プロジェクト』さんが、奈良市のごみ焼却場を中ノ川地区へ移転した場合、古都の景観がいかに壊されるかをシミュレートした写真を公開されました。いちどご覧ください。

それから中川寺跡・弥勒道と焼却場問題に関する詳しく美しいチラシを作成されたので当寺にて配布しています。

〔短歌〕

〈紅梅〉

「紅梅の 一重の花の 色の濃さ

      幹細くして 老木(おいき)なりけり」

        岡麓・庭苔

〔俳句〕

「湖を 風呂にわかして 夕がすみ」一茶

・訳:湖の水を風呂の湯にわかして、眺める夕霞。

〔和歌〕

「にほひくる 風をしるべに 尋ねばや

        梅咲く宿の 花のあるじを」

         前大納言実為・新葉和歌集35

「匂ってくる風を道案内にして尋ねたいものだ、梅が咲いている家の花の持ち主を。」

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈浄瑠璃寺〉

「ならさかを じやうるりでらに こえむひは

         みちのまはにに あしあやまちそ」

・ならさか=大和と山城を隔てる東西の丘陵地、奈良山を越える坂道。

・じやうるり=浄瑠璃。薬師如来のお浄土、東方薬師瑠璃光浄土のこと。

・まはに=真埴。赤土。

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

         こさめなかるる はるはきにけり」

・いしのほとけ=京街道の千坊坂に面して立つ夕日地蔵。

・おとかひ=頤。したあご。

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

・あをによし=青丹よし。一説には奈良山に産出した顔料(絵具)の青丹をならす(馴熟)という言葉に由来するという。奈良、奈良山にかかる枕詞。

・さかる=離る。遠ざかる。

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

・あさにけに=朝に日に。け(日)は朝に対して昼間をいう。

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む・改訂版》358

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻中 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

◆【法華寺舎利縁起

南都法華寺に仏舎利在り。屡(しばしば)奇異の神変を現し、普く道俗の信心を催す。其の根源を尋ぬれば、一人の禅尼あり。其の名を空如(くうにょ①)と曰う。〔本は高倉局と号す〕天性を敏聡(びんそう②)に禀(う)け、少年より仏道に入る。顕密の学、和漢の才、世の知る所、人の嘆ずる所なり。老年の後、本願(光明皇后)の昔の蹤(あと)を慕い、法華寺安居房(あんごぼう③)に隠居して、偏に事理(じり④)の行業を積む。或る時、当寺長老慈善(じぜん⑤)比丘尼〔本は彼の禅尼の弟子為り〕並びに釈念(しゃくねん⑥)比丘尼等を相伴い、釈迦念仏(しゃかねんぶつ⑦)結縁の為、招提寺に参籠す。其の間に、禅尼の云わく、吾れ東寺の舎利一粒を感得すること有り。試に真偽を決して浄信を取らんと欲す、云々。即ち舎利を石上に安んじて、自ら鉄鎚を執り、力を励まして三たび打つに、敢えて損斫(そんしゃく⑧)せず。五たび打つの時に及んで、砕けて微塵の如し。其の一々の碎(さい⑨)毎に、皆光明を放つ。

 

 空如=八条院高倉。(1176)。細川氏の研究によると、母は鳥羽天皇と美福門院の娘である高松院姝子(二条天皇の后)であるが、父は安居院澄憲(唱導の元祖)であり不義の子として生まれた。母の死去もあって、伯母である八条女院(暲子)が近臣の歌人藤原俊成に猶子として預け、成長するに及んで八条院に女房として出仕させた。八条院が建暦元年(1211)に死去したことにより出家したようだ。最初は下醍醐の勝俱胝院(しょうぐていいん)という尼寺に入り、のち法華寺に入寺。

 敏聡=聡明で俊敏なこと。明敏。

 安居房=夏安居に供された僧房か、位置など不明。

 事理=事は個別的具体的な事象・現象をいい、理は普遍的な絶対・平等の真理・理法を指す。有為法と無為法。密教では事即理、すなわち消滅差別のありのままの相(すがた)に即して真実があるという(当相即道、即事而真)。

 慈善=聖恵房慈善(1187‐?)。法華寺中興第一世長老。もと春華門院に宮仕えした女房、春華門院新右衛門督殿と呼ばれた。春華門院昇子(後鳥羽天皇の皇女)の死去をきっかけに出家し法華寺に入り空如の弟子となる。建長元年(1249)に叡尊師から比丘尼戒を受け、法華寺を律宗の尼寺として復興した。

 釈念=敬妙房。「さい初に心ざしをおなじくして大願をおこし身命をすてて律法興行之尼衆」の十六聖尼に入り、「法華寺第三番長老、文永六年念仏往生」と記載される(『法華滅罪寺縁起』)

 釈迦念仏=唐招提寺の僧坊東室に祀られた釈迦如来像(清凉寺式)の前で行われる「釈迦念仏会」。解脱貞慶師によって始められた。教団所属をこえて律衆が参集した。

 損斫=そこない切りはなす。

 碎=くだけた細片。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文で抱負が述べられています。その結びは、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが示され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

しかし、歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度、移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。現地の事については『弥勒の道プロジェクト』が大変参考になり、また貴重な動画が見られます。人の歩かないような道を自転車で踏破しておられます。

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2015年3月 9日 (月)

コスモス寺花だより 3・9

般若寺 春の花だより

〇水仙:≪おわり近し≫ 

〇白梅:≪見ごろ≫

「青天へ 梅のつぼみが かけのぼる」新田祐久

○紅梅:≪咲きはじめ≫

「紅梅の 紅の通へる 幹ならん」高浜虚子

〇わびすけ、福寿草:≪見ごろ≫

○椿:≪咲きはじめ≫

○れんぎょう:≪咲きはじめ≫

春咲きコスモス 

コスモス苗の植え付けを始めました。

苗は10センチほどで霜よけのシートで覆っています。

・花期:4月末~6月、新しい品種なので春から初夏にかけて咲きます。

満開は5月から6月上旬ごろ。

・本数:3万本

・種類:赤白ピンクのセンセーションを主として12品種

*当寺のHPに紹介されている『弥勒の道プロジェクト』さんが、奈良市のごみ焼却場を中ノ川地区へ移転した場合、古都の景観がいかに壊されるかをシミュレートした写真を公開されました。いちどご覧ください。

それから中川寺跡・弥勒道と焼却場問題に関する詳しく美しいチラシを作成されたので当寺にて配布しています。

〔短歌〕

〈早春〉

「梓弓 春のひかりは 庭椿

     なめらかにてり いまだ寒しも」

      岡麓・庭苔

〔俳句〕

「今さらに 別(わかれ)ともなし 春がすみ」一茶

・訳:今更に別れというだけでも辛い。おぼろにたなびく春霞。

〔和歌〕

「吹風の 便(たより)ばかりの 梅が香を

       うはの空にや 尋(たずね)ゆくべき」

        よみ人しらず・新葉和歌集34

「吹いてくる風という、かすかな伝手によって香ってきた梅の花を、当てにならないことではあるが、空をたどって探してゆくのがいいだろうか。」

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈浄瑠璃寺〉

「ならさかを じやうるりでらに こえむひは

         みちのまはにに あしあやまちそ」

・ならさか=大和と山城を隔てる東西の丘陵地、奈良山を越える坂道。

・じやうるり=浄瑠璃。薬師如来のお浄土、東方薬師瑠璃光浄土のこと。

・まはに=真埴。赤土。

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

         こさめなかるる はるはきにけり」

・いしのほとけ=京街道の千坊坂に面して立つ夕日地蔵。

・おとかひ=頤。したあご。

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

・あをによし=青丹よし。一説には奈良山に産出した顔料(絵具)の青丹をならす(馴熟)という言葉に由来するという。奈良、奈良山にかかる枕詞。

・さかる=離る。遠ざかる。

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

・あさにけに=朝に日に。け(日)は朝に対して昼間をいう。

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む・改訂版》357

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻中 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

◆(文永)七年庚午(かのえうま)

菩薩、七十歳。春正月廿五日、法華寺に詣で舎利を贍礼(せんれい①)す。時に、尼衆、懇(ねんご)ろに舎利縁由を筆記せんことを請う。菩薩告げて曰く、余もまた曾(かつ)て之を記さんと欲すと。即ち筆を染めて書す。其の縁起に曰はく、

 

 贍礼=あおぎ見て礼拝する。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文で抱負が述べられています。その結びは、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが示され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

しかし、歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度、移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。現地の事については『弥勒の道プロジェクト』が大変参考になり、また貴重な動画が見られます。人の歩かないような道を自転車で踏破しておられます。

 

 

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2015年3月 8日 (日)

コスモス寺花だより 3・8

般若寺 春の花だより

〇水仙:≪おわり近し≫ 

〇白梅:≪見ごろ≫

「夜の梅 寝(い)ねんとすれば 匂ふなり」与謝蕪村

○紅梅:≪咲きはじめ≫

「はなみちて うす紅梅と なりにけり」暁台

〇侘助(わびすけ)、福寿草:≪見ごろ≫

○椿:≪咲きはじめ≫

春咲きコスモス 

コスモス苗の植え付けを始めました。

苗は10センチほどで霜よけのシートで覆っています。

・花期:4月末~6月、新しい品種なので春から初夏にかけて咲きます。

満開は5月から6月上旬ごろ。

・本数:3万本

・種類:赤白ピンクのセンセーションを主として9品種ていど

*当寺のHPに紹介されている『弥勒の道プロジェクト』さんが、奈良市のごみ焼却場を中ノ川地区へ移転した場合、古都の景観がいかに壊されるかをシミュレートした写真を公開されました。いちどご覧ください。

それから中川寺跡・弥勒道と焼却場問題に関する詳しく美しいチラシを作成されたので当寺にて配布しています。

〔短歌〕

〈早春〉

「土肌の 冬のあらびの あといまだ

      ととのはざれど 雨じめりせり」

       岡麓・庭苔

〔俳句〕

「旅笠を 小さく見せる 霞かな」一茶

・訳:旅の笠を遠く小さく見せる、どこもかしこも春霞だなあ。

〔和歌〕

「来ぬ人も さそふ許(ばかり)に にほひけり

       軒端の梅の 花の下風」

        式部卿惟成親王・新葉和歌集33

「常日頃は訪ねてきてくれない人までも我が家に誘うほどに薫り高く匂っているなあ。軒端の梅の花の下を吹く風は。」

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈浄瑠璃寺〉

「ならさかを じやうるりでらに こえむひは

         みちのまはにに あしあやまちそ」

・ならさか=大和と山城を隔てる東西の丘陵地、奈良山を越える坂道。

・じやうるり=浄瑠璃。薬師如来のお浄土、東方薬師瑠璃光浄土のこと。

・まはに=真埴。赤土。

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

         こさめなかるる はるはきにけり」

・いしのほとけ=京街道の千坊坂に面して立つ夕日地蔵。

・おとかひ=頤。したあご。

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

・あをによし=青丹よし。一説には奈良山に産出した顔料(絵具)の青丹をならす(馴熟)という言葉に由来するという。奈良、奈良山にかかる枕詞。

・さかる=離る。遠ざかる。

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

・あさにけに=朝に日に。け(日)は朝に対して昼間をいう。

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む・改訂版》356

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻中 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

◆(文永)六年己巳(つちのとみ)

菩薩、六十九歳。三月、重ねて無遮大会を般若寺西南の曠野(こうや①)に設く。其の食を受くる者、大凡(おおよそ)三万余人。

八月、洛西浄住寺に届(いた)る。六日、普賢寺殿の息女(ふげんじどののそくじょ②)、菩薩を北小路堀川殿(きたこうじほりかわどの③)に請じて菩薩戒を受く。隨従の人、同じく受くる者、一十九人。廿二日、勘解由小路の禅尼(かげゆこうじのぜんに④)、及び近衛北政所(このえきたまんどころ⑤)の請いに赴き、菩薩戒を四十余人に授く。廿八日、六波羅某公北室(ろくはらぼうこうほくしつ⑥)、懇請して法を聞き戒法を求受す。隨従の女人二十四人、又同じく之を受く。十月、備後入道妙蓮(びんごにゅうどうみょうれん⑦)の請いに依り、梵網戒経を紀の金剛王寺(こんごうおうじ⑧)〔亦紀三井寺と曰う〕に講ず。十九日、名草郡神宮寺某公(なぐさぐんじんぐうじぼうこう⑨)の請いに赴くに、道俗八百九十余人菩薩戒を受く。又誓って殺生を禁断すること一十九所。廿日、日前荘の神宮寺(ひのくまのしょうのじんぐうじ⑩)に於いて、菩薩戒を授くること若干人。十一月、経行(けいこう⑪)遊化(ゆうけ⑫)して、内(河ヵ)州高安郡に至る。郡に寺有り、教興(きょうこう⑬)と曰う。廃壊(はいかい⑭)已に久し。講堂に千手大士並びに四天王の像、猶存すれども全きからず。菩薩、慨然(がいぜん⑮)として心を傷め、衆力を協(あわ)せ之を一新す。

 

 曠野=広々とした野原。あらの。般若寺に残された江戸時代の寺領畑地を示した古絵図に、寺の南方、「般若野」(はんにゃの)の一画に「芝開」(しばひらき)と小字名が書かれる場所があり、無遮大会の施場の名残ではないかと考えられる。

 普賢寺殿息女=普賢寺殿は関白近衛基通(1160-1233)、『西大寺有恩過去帳』に出る「勝蓮今出川殿」が御息女の可能性があるようだ。(以下の注は細川涼一氏『感身学正記』に依る)

 北小路堀川殿=近衛基通の孫、道嗣(1220-42)の御殿。道嗣は近衛家の家督を継いだ家実の弟、道経の子。現在の京都市堀川今出川付近に当たる。

 勘解由小路禅尼=権中納言藤原(勘解由小路)頼資(1182-36)の室として経光(1212-74)を産んだ、源兼資の娘か。頼資が勘解由小路を名乗り家は代々近衛家に仕え、広橋家の祖となった。

 近衛北政所=関白鷹司基忠(1247-1313.鷹司兼平の一男。円光院殿。)の室。

 六波羅某公北室=当時の六波羅探題は、北方が北条時茂(124170)、南方が北条時輔(124872)。時茂は北条重時の子、鎌倉極楽寺を開山した業時の兄。時輔は北条時頼の子、時宗の庶兄。ここの北室は時茂の妻(北条政村の娘)と考えられる。

 備後入道妙蓮=日前国懸神宮(ひのくまくにかかすじんぐう、日前宮・ニチゼングウ)神主、紀国造紀宣親。

 金剛王寺=金剛宝寺の誤りか。紀三井寺。

 名草郡神宮寺某公=日前宮神主紀宣親。

 日前荘神宮寺=日前宮。現和歌山市秋月、和歌山平野の東北部にある。紀伊国一宮。

 経行=へめぐり行くこと。経過すること。

 遊化=諸方をめぐって教化すること。

 教興=教興寺、現八尾市教興寺にある真言律宗末寺。文明二年(1470)に教興寺住持高通が書き改めた『御手印縁起』によると、聖徳太子が物部守屋を誅戮した際に、四天王寺と同時に建立し、戒律の道場と定めたという。叡尊師は、文永六―七年、教興寺建立当時の仏舎利を安置して寺興隆に着手された。そして第一世長老には弟子の如縁房阿一(河内国人)をあてた。

阿一上人の歌が『玉葉和歌集』に収載されている。

「たつた山 嵐の音も たかやすの

      里はあれにし 寺とこたへよ」

 廃壊=あれてこわれること。

 慨然=悲しみなげくさま。

(前日の分に注を加えて再掲)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文で抱負が述べられています。その結びは、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが示され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

しかし、歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度、移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。現地の事については『弥勒の道プロジェクト』が大変参考になり、また貴重な動画が見られます。人の歩かないような道を自転車で踏破しておられます。

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2015年3月 7日 (土)

コスモス寺花だより 3・7

般若寺 春の花だより

当寺のHPに紹介されている『弥勒の道プロジェクト』さんが、奈良市のごみ焼却場を中ノ川地区へ移転した場合、古都の景観がいかに壊されるかをシミュレートした写真を公開されました。いちどご覧ください。

それから中川寺跡・弥勒道と焼却場問題に関する詳しく美しいチラシを作成されたので当寺にて配布しています。

〇水仙:≪おわり近し≫

「筆洗の 水こぼしけり 水仙花」正岡子規  

〇白梅:≪見ごろ≫

「しら梅に 明る夜ばかりと なりにけり」与謝蕪村

○紅梅:≪咲きはじめ≫

〇侘助(わびすけ)、福寿草:≪見ごろ≫

○椿:≪咲きはじめ≫

春咲きコスモス 

コスモス苗の植え付けを始めました。

苗は10センチほどで霜よけのシートで覆っています。

・花期:4月末~6月、新しい品種なので春から初夏にかけて咲きます。

満開は5月から6月上旬ごろ。

・本数:3万本

・種類:赤白ピンクのセンセーションを主として9品種ていど

〔短歌〕

〈早春〉

「真冬へて しげる檜の した枝の

       よごれ目立ちぬ 春の日ざしに」

        岡麓・庭苔

〔俳句〕

「文七が 下駄の白さよ 春の月」一茶

・訳:文七の下駄は相変わらず白いなあ。春の月がほのぼの。

・文七=元結職人。

〔和歌〕

「梅花(うめのはな) よその垣根の 匂(にほひ)をも

      木(こ)の下風の 便(たより)にぞ知る」

        後醍醐天皇御製・新葉和歌集32

「梅の花は、よその垣根に咲いている花の匂いをも、木の下を吹き抜ける風が運んでくることで知るのだよ。」

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈浄瑠璃寺〉

「ならさかを じやうるりでらに こえむひは

         みちのまはにに あしあやまちそ」

・ならさか=大和と山城を隔てる東西の丘陵地、奈良山を越える坂道。

・じやうるり=浄瑠璃。薬師如来のお浄土、東方薬師瑠璃光浄土のこと。

・まはに=真埴。赤土。

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

         こさめなかるる はるはきにけり」

・いしのほとけ=京街道の千坊坂に面して立つ夕日地蔵。

・おとかひ=頤。したあご。

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこへて さかるとも

         ゆめにしみえこ わかくさのやま」

・あをによし=青丹よし。一説には奈良山に産出した顔料(絵具)の青丹をならす(馴熟)という言葉に由来するという。奈良、奈良山にかかる枕詞。

・さかる=離る。遠ざかる。

〈東京にかへりて後に〉

「ならやまを さかりしひより あさにけに

         みてらみほとけ おもかげにたつ」

・あさにけに=朝に日に。け(日)は朝に対して昼間をいう。

 「夢にまで見える若草山」「面影にたつ御寺御仏」はいつまでもたいせつに残しておきたいものです。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む・改訂版》356

『西大勅謚興正菩薩行実年譜』 巻中 

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷ)

◆(文永)六年己巳(つちのとみ)

菩薩、六十九歳。三月、重ねて無遮大会を般若寺西南の曠野(こうや①)に設く。其の食を受くる者、大凡(おおよそ)三万余人。

八月、洛西浄住寺に届(いた)る。六日、普賢寺殿の息女(ふげんじどののそくじょ②)、菩薩を北小路堀川殿(きたこうじほりかわどの③)に請じて菩薩戒を受く。隨従の人、同じく受くる者、一十九人。廿二日、勘解由小路の禅尼(かげゆこうじのぜんに④)、及び近衛北政所(このえきたまんどころ⑤)の請いに赴き、菩薩戒を四十余人に授く。廿八日、六波羅某公北室(ろくはらぼうこうほくしつ⑥)、懇請して法を聞き戒法を求受す。隨従の女人二十四人、又同じく之を受く。十月、備後入道妙蓮(びんごにゅうどうみょうれん⑦)の請いに依り、梵網戒経を紀の金剛王寺(こんごうおうじ⑧)〔亦紀三井寺と曰う〕に講ず。十九日、名草郡神宮寺某公(なぐさぐんじんぐうじぼうこう⑨)の請いに赴くに、道俗八百九十余人菩薩戒を受く。又誓って殺生を禁断すること一十九所。廿日、日前荘の神宮寺(ひのくまのしょうのじんぐうじ⑩)に於いて、菩薩戒を授くること若干人。十一月、経行(けいこう⑪)遊化(ゆうけ⑫)して、内(河ヵ)州高安郡に至る。郡に寺有り、教興と曰う。廃壊(はいかい⑬)已に久し。講堂に千手大士並びに四天王の像、猶存すれども全きからず。菩薩、慨然(がいぜん⑭)として心を傷め、衆力を協(あわ)せ之を一新す。

 

 曠野=広々とした野原。あらの。般若寺に残された江戸時代の寺領畑地を示した古絵図に、寺の南方、「般若野」(はんにゃの)の一画に「芝開」(しばひらき)と小字名が書かれる場所があり、無遮大会の施場の名残ではないかと考えられる。

 普賢寺殿息女=普賢寺殿は関白近衛基通(1160-1233)、『西大寺有恩過去帳』に出る「勝蓮今出川殿」が御息女の可能性があるようだ。(以下の注は細川涼一氏『感身学正記』に依る)

 北小路堀川殿=近衛基通の孫、道嗣(1220-42)の御殿。道嗣は近衛家の家督を継いだ家実の弟、道経の子。現在の京都市堀川今出川付近に当たる。

 勘解由小路禅尼=権中納言藤原(勘解由小路)頼資(1182-36)の室として経光(1212-74)を産んだ、源兼資の娘か。頼資が勘解由小路を名乗り家は代々近衛家に仕え、広橋家の祖となった。

 近衛北政所=関白鷹司基忠(1247-1313.鷹司兼平の一男。円光院殿。)の室。

 六波羅某公北室=当時の六波羅探題は、北方が北条時茂(124170)、南方が北条時輔(124872)。時茂は北条重時の子、鎌倉極楽寺を開山した業時の兄。時輔は北条時頼の子、時宗の庶兄。ここの北室は時茂の妻(北条政村の娘)と考えられる。

 備後入道妙蓮=日前国懸神宮(ひのくまくにかかすじんぐう、日前宮・ニチゼングウ)神主、紀国造紀宣親。

 金剛王寺=金剛宝寺の誤りか。紀三井寺。

 名草郡神宮寺某公=日前宮神主紀宣親。

 日前荘神宮寺=日前宮。現和歌山市秋月、和歌山平野の東北部にある。紀伊国一宮。

 経行=へめぐり行くこと。経過すること。

 遊化=諸方をめぐって教化すること。

 廃壊=あれてこわれること。

 慨然=悲しみなげくさま。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。移転推進者はこれだけあっても「なにもないところ」と言うのでしょうか。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*仲川げん奈良市長の第一期目の選挙マニフェストは、「大型ハコもの公共事業をゼロベースで見直す」でした。これは窮乏逼迫した奈良市財政の立て直しを目指すものではなかったのでしょうか。何百億円もの巨費を要する「ごみ焼却場移転計画」を見直し、将来の市民負担を軽減する施策を期待させるものだったはずです。

そして二期目の選挙公約、政策ビジョンは

「世界から尊敬される国際観光経済都市NARA」です。

さらに『ならしみんだより9月号』には「二期目の就任にあたって」というあいさつ文で抱負が述べられています。その結びは、

「 新たな4年間では、歴史や文化・自然環境にも恵まれた、奈良市の素晴らしい魅力や資源を最大限に引き出し、世界の中における奈良の価値向上に取り組みたいと思いますので、市民の皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。

仲川げん」

という文章になっています。

立派な「お言葉」です。「世界から尊敬される」「世界の中における奈良の価値向上」、と高いこころざしが示され、古都奈良の現在と将来を託す市長にふさわしく、たのもしい限りです。仲川市長には御祝儀として「言行一致」という言葉を御進呈いたします。この政治モラルを守って市政に邁進していただきたいですね。

しかし、歴史ある名刹寺院のすぐそばにゴミ焼却場をつくって、はたして「世界から尊敬される観光都市奈良」と言えるのでしょうか。もう一度、移転が必要かどうかの出発点に戻って考えていただきたいですね。仲川市長さん、おねがいします。

*現候補地へのごみ焼却場建設反対を表明した団体

「奈良市東部地区自治連合協議会」「東里地区自治連合会」「鼓阪校区自治連合会」「青山町自治会」「木津川市当尾区五ヶ寺連合会」「真言律宗三ヶ寺連合会」「奈良市ごみ焼却場建設問題を考える会」

*この問題を詳しく知りたい方は、

ホームページ『奈良市クリーンセンターの課題と新しい奈良の創造』をご覧ください。本計画の問題点が的確にまとめられています。HP「般若寺」にリンクあり。現地の事については『弥勒の道プロジェクト』が大変参考になり、また貴重な動画が見られます。人の歩かないような道を自転車で踏破しておられます。

 

 

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2015年3月 6日 (金)

コスモス寺花だより 3・6

般若寺 春の花だより

当寺のHPに紹介されている『弥勒の道プロジェクト』さんが、奈良市のごみ焼却場を中ノ川地区へ移転した場合、古都の景観がいかに壊されるかをシミュレートされました。ぜひご覧ください。

それから中川寺跡・弥勒道と焼却場問題に関する詳しいチラシを作成されました。当寺にて配布。

〇水仙:≪おわり近し≫

「筆洗の 水こぼしけり 水仙花」正岡子規  

〇梅:≪見ごろ≫