コスモス寺花だより 7・31
〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫
〇藪萱草(やぶかんぞう):≪終り近し≫別名オニカンゾウ・ワスレグサと呼ばれる橙色の野草。若い芽、蕾は山菜食用になり、根は漢方薬となる。
〇秋海棠(しゅうかいどう):≪五分咲き≫
〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫
〇秋のコスモス(予告)
今月は暑い日がつづきますが、8月は中ごろから涼しくなり秋の気配が感じられるそうです。そういえば境内の秋咲きのコスモスがちらほらと咲いています。本番は9月からなのに、なぜか今年は早い予感がします。
・花の時期:9月~11月上旬 9月初めから開花予定。
・種類:30品種
・花数:15万本
・花のピークは9月下旬から10月中旬ごろ
・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は10月17日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。
〔俳句〕
「世がよくば も一ツ留(とま)れ 飯の蠅」一茶
・訳:世の中が良いならばもう一つとまれよ、飯にとまっている蠅。
〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕
〈室生寺〉
「ささやかに にぬりのたふの たちすます
このまにあそぶ やまざとのこら」
(細やかに丹塗りの塔の立ち澄ます 木の間に遊ぶ山里の子ら)
〈新薬師寺〉
「かうやくし わがおろがむと のきひくき
ひるのちまたを なづさひゆくも」
(香薬師、我が拝むと軒低き 昼の衢をなづさひ行くも)
・なづさひゆく=水につかりながら行く。巷を漂いながら行く。
*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩の生誕800年、慈眞和尚没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。
興正菩薩の御教誡
「只しばらく文字をばいつも読み付けられよ。まず各々心を直さるべし。心を直さぬ学問して何の詮(せん)かある。いかに聖教を習うといえども、菩提心なき人は冥加(みょうが)なきなり、」
・詮=道理。
・冥加=目に見えぬ神仏の加護、助け。
《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》491
『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』
(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)
『思圓上人度人行法結夏記』 鏡慧記
(しえんしょうにんどにんぎょうぼうけちげき)(きょうけいき)
◆別受具足戒日数幷人数
戒壇六箇所。家原寺。西大寺。東大寺。招提寺。淨住寺。海龍王寺。
寛元三年より正応二年に至る。首尾四十五年也。都合七十三箇日之内。大僧四十六箇度(日)百八十三番。受者五百二十八人。和尚(上)百六十一度。羯磨百八十二番。大尼二十九箇日。一百三番。受者三百四人。
和上四度一衆之を受く。羯磨四百五番。証明十九度。戒壇三箇所。西大寺。招提寺。海龍王寺。本法一向法華寺。建治元年より正応二年に至る。首尾十五箇年。新受重受都合八百三十二人。
(つづく)
《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》
日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。
*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点
1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。
2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。
3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。
❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。
〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。
中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。
*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた京都大学名誉教授
中村一先生(造園学)のメッセージ、
「浄瑠璃寺を取り巻く自然は、日本がこれ以上失ってはならないものの一つだと思います。微力ですが、ゴミ処理場侵入に反対したいと思います。」