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2015年8月

2015年8月31日 (月)

コスモス寺花だより 8・31

秋のコスモス:

≪見ごろ・五分咲き≫

このところ雨の日が多いのは、秋雨前線が停滞しているからだそうです。いわゆる「秋の長雨」に入っています。1週間は雨が続きます。それにしても今年は秋が早いですね。コスモスも2週間早く咲きだしました。

・花の時期:9月~11月上旬 

・種類:センセーション、シーシェル、サイケ、ベルサイユなど30品種。秋咲き種と四季咲き種があります。

・花数:15万~20万本(今年は例年に比べ多く植えました)

・花のピーク、満開は9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪満開≫

〇百日紅(さるすべり):≪満開≫

〇紫苑(しおん):≪つぼみ≫

〔俳句〕

「秋蝉の 終(つい)の敷寝の 一葉哉」一茶

・訳:秋蝉が終の棲家として眠る一枚の葉よ。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈東大寺〉

「おほらかに もろてのゆびを ひらかせて

       おほきほとけは あまたらしたり」

(おおらかに諸手の指を開かせて 大き仏は天照らしたり )

〈西大寺〉

「まがつみは いまのうつつに ありこせど

       ふみしほとけの ゆくえしらずも」

(邪つ神は今の現に在りこせど 踏みし仏は行方知らずも)

・まがつみ=四天王の踏む邪鬼。西大寺四王金堂には奈良時代に称徳女帝が造顕された銅製の四体の邪鬼像が残る。残念ながら四天王は焼失したため後世の作である

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩(にんしょうぼさつ)の生誕800年、信空慈眞和尚(しんくうじしんわじょう)の没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

*興正菩薩の御教誡

「たとい我をころし打つものありとも、痛きばかりを忍んでにくむ心あるべからず。たとえば幼き子の手をのべて、母を打つにこれを喜ぶがごとし。菩提心もまたしかるべし。愚癡無慙のものありて打ち罵るとも、かえりてこれをいとおしくすべし。」

・菩提心=悟りを求めて修行し、自己を高めようとする心。無上道心。発菩提心。

・愚癡=愚かで道理が判らないこと。

・無慙=残酷なこと。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》521

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩講式』(こうしょうぼさつこうしき)

教興寺比丘阿一 謹んで之を草す

◆幸いなる哉。二千余年の後、此の木叉(もくしゃ①)を受け、之を思うに、則ち菩薩発願の恩は白山千里(はくさんせんり②)の峯より高し。之を按(あん③)ずるに、和尚弘誓の徳は蒼海三千の底より深し。今、三十三回遠忌に当り、泣(なくな)く八十七歳の往事を億い、先ず菩薩戒経(ぼさつかいきょう④)の文を頌し、尸羅(しら⑤)讃歎の偈に当たる。次に礼拝を作す可し。

 

戒如明日月 示(亦)如瓔珞珠 微塵菩薩衆 由是成正覚

(戒は明るき日月の如し、また瓔珞の珠の如し。微塵の菩薩の衆は、是に由りて正覚を成ぜん。)

 

 南無戒法弘通興正菩薩(なむかいほうぐつうこうしょうぼさつ)

 

 木叉=波羅提木叉(はらだいもくしゃ)。戒律の条文。比丘・比丘尼が守るべき戒本のこと。別解脱。

 白山千里=不詳。

 按=おさえる。考える。

 菩薩戒経=梵網経。

 尸羅=梵・シーラ。戒。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた京都大学名誉教授加藤尚武先生(哲学・応用倫理学)のメッセージ。

「毎日歩きつづけているだけで美しい想い出となるような里を残して下さい。」

910日は中川寺成身院を開基した実範上人の御命日です。般若寺からは午前11時に中ノ川の御廟塔へお参りします。興福寺からも墓参があります。奈良仏教史上の碩徳である実範師の業績を偲び「南山進流」の声明をお唱えしたいと思います。

 

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2015年8月30日 (日)

コスモス寺花だより 8・30

秋のコスモス:

≪見ごろ・五分咲き≫

コスモス、名前のうつり変わり。

コスモス⇒大波斯菊(ターポーシーチュー)⇒オオハルシャ菊⇒秋桜。

学名は「コスモス・ビピンナタス」。

・花の時期:9月~11月上旬 

・種類:センセーション、シーシェル、サイケ、ベルサイユなど30品種。秋咲き種と四季咲き種があります。

・花数:15万~20万本(今年は例年に比べ多く植えました)

・花のピーク、満開は9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪満開≫

〇百日紅(さるすべり):≪満開≫

〔俳句〕

「松陰に おどらぬ人の 白さ哉」一茶

・訳:松の陰でも踊らない人の清らかな白さよ。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈東大寺〉

「おほらかに もろてのゆびを ひらかせて

       おほきほとけは あまたらしたり」

(おおらかに諸手の指を開かせて 大き仏は天照らしたり )

〈西大寺〉

「まがつみは いまのうつつに ありこせど

       ふみしほとけの ゆくえしらずも」

(邪つ神は今の現に在りこせど 踏みし仏は行方知らずも)

・まがつみ=四天王の踏む邪鬼。西大寺四王金堂には奈良時代に称徳女帝が造顕された銅製の四体の邪鬼像が残る。残念ながら四天王は焼失したため後世の作である

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩(にんしょうぼさつ)の生誕800年、信空慈眞和尚(しんくうじしんわじょう)の没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

*興正菩薩の御教誡

「たとい我をころし打つものありとも、痛きばかりを忍んでにくむ心あるべからず。たとえば幼き子の手をのべて、母を打つにこれを喜ぶがごとし。菩提心もまたしかるべし。愚癡無慙のものありて打ち罵るとも、かえりてこれをいとおしくすべし。」

・菩提心=悟りを求めて修行し、自己を高めようとする心。無上道心。発菩提心。

・愚癡=愚かで道理が判らないこと。

・無慙=残酷なこと。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》520

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩講式』(こうしょうぼさつこうしき)

教興寺比丘阿一 謹んで之を草す

◆於戯(ああ)戒徳(かいとく①)思い難し。四心三性(ししんさんしょう②)、縁辨(えんべん)に藉(よ)らず。戒功は量り難し。微塵刹土、戒善に非ざるは無し。念々(ねんねん③)未だ曽て刹那倍増を得ずして、仏果初念の善根に至る也。覚位二念に於いて、始めて称す、曽て善根を得たりと。悦ばしき哉。十万余里の外に此の金言に会う。

 

 戒徳=戒律を護持することの功徳。

 四心三性=四心は慈悲喜捨の四無量心。三性は法相唯識で説く存在の三種の見方。偏計所執性、依他起性、円成実性。三性は無自性空であるので三無性であると説く。

 念々=一瞬一瞬。きわめて短い時間。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた京都大学名誉教授加藤尚武先生(哲学・応用倫理学)のメッセージ。

「毎日歩きつづけているだけで美しい想い出となるような里を残して下さい。」

910日は中川寺成身院を開基した実範上人の御命日です。般若寺からは午前11時に中ノ川の御廟塔へお参りします。興福寺からも墓参があります。奈良仏教史上の碩徳である実範師の業績を偲び「南山進流」の声明をお唱えしたいと思います。

 

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2015年8月29日 (土)

コスモス寺花だより 8・29

秋のコスモス:

≪見ごろ・五分咲き≫

今年は早く咲き出しました。日中はまだ夏の日ざしですが、朝夕は涼しく秋の気配が感じられます。秋のコスモスは9月になるのを待ちきれなかったようです。

・花の時期:9月~11月上旬 

・種類:センセーション、シーシェル、サイケ、ベルサイユなど30品種

・花数:15万~20万本(今年は例年に比べ多く植えました)

・花のピーク、満開は9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪満開≫

〇百日紅(さるすべり):≪終り近し≫

〔俳句〕

「秋立や 身はならはしの よ所(そ)の窓」一茶

・訳:立秋となった。わが身はいつもと変わらず、他人様の家。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈東大寺〉

「おほらかに もろてのゆびを ひらかせて

       おほきほとけは あまたらしたり」

(おおらかに諸手の指を開かせて 大き仏は天照らしたり )

〈西大寺〉

「まがつみは いまのうつつに ありこせど

       ふみしほとけの ゆくえしらずも」

(邪つ神は今の現に在りこせど 踏みし仏は行方知らずも)

・まがつみ=四天王の踏む邪鬼。西大寺四王金堂には奈良時代に称徳女帝が造顕された銅製の四体の邪鬼像が残る。残念ながら四天王は焼失したため後世の作である

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩(にんしょうぼさつ)の生誕800年、信空慈眞和尚(しんくうじしんわじょう)の没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

*興正菩薩の御教誡

「たとい我をころし打つものありとも、痛きばかりを忍んでにくむ心あるべからず。たとえば幼き子の手をのべて、母を打つにこれを喜ぶがごとし。菩提心もまたしかるべし。愚癡無慙のものありて打ち罵るとも、かえりてこれをいとおしくすべし。」

・菩提心=悟りを求めて修行し、自己を高めようとする心。無上道心。発菩提心。

・愚癡=愚かで道理が判らないこと。

・無慙=残酷なこと。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》519

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩講式』(こうしょうぼさつこうしき)

教興寺比丘阿一 謹んで之を草す

◆倶に三聚戒香を薫じ、同じく七衆の徳瓶に満つ。戒日は玉殿を耀かし、五畿七道を照らす。法水は金楼に灑(そそ)ぎ、四海八埏(しかいはちえん①)を潤す。東関北陸、皆五乗(ごじょう②)の軌轍(きてつ③)を踏む。九州二嶋、悉く三乗(さんじょう④)の舟航(しゅうこう⑤)に浮かぶ。

 

 四海八埏=四海は須弥山をとりまく四方の外海。八埏は八方の地の果て。世界のこと。

 五乗=人乗、天乗、声聞乗、縁覚乗、菩薩乗。

 軌轍=わだち、過去の事跡。

 三乗=声聞乗(四諦の行法に乗じて阿羅漢果に到る)、縁覚乗(十二因縁の行法に乗じて辟支仏果に到る)、菩薩乗(六度の行法に乗じて仏果に上る)。

 舟航=舟で航行すること。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた京都大学名誉教授加藤尚武先生(哲学・応用倫理学)のメッセージ。

「毎日歩きつづけているだけで美しい想い出となるような里を残して下さい。」

910日は中川寺成身院を開基した実範上人の御命日です。般若寺からは午前11時に中ノ川の御廟塔へお参りします。興福寺からも墓参があります。奈良仏教史上の碩徳である実範師の業績を偲び「南山進流」の声明をお唱えしたいと思います。

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2015年8月28日 (金)

コスモス寺花だより 8・28

〇秋のコスモス:≪咲きはじめ・種類により五分咲き≫

・花の時期:9月~11月上旬 

大輪の「センセーション」などは9月初めから開花予定。

・種類:30品種

・花数:15万~20万本(今年は例年に比べ多く植えました)

・花のピーク、満開は9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〔俳句〕

「僧になる 子のうつくしや けしの花」一茶

・訳:お坊さんになる子はうつくしいなあ。芥子の花が咲く。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈東大寺〉

「おほらかに もろてのゆびを ひらかせて

       おほきほとけは あまたらしたり」

(おおらかに諸手の指を開かせて 大き仏は天照らしたり )

〈西大寺〉

「まがつみは いまのうつつに ありこせど

       ふみしほとけの ゆくえしらずも」

(邪つ神は今の現に在りこせど 踏みし仏は行方知らずも)

・まがつみ=四天王の踏む邪鬼。西大寺四王金堂には奈良時代に称徳女帝が造顕された銅製の四体の邪鬼像が残る。残念ながら四天王は焼失したため後世の作である

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩(にんしょうぼさつ)の生誕800年、信空慈眞和尚(しんくうじしんわじょう)の没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

*興正菩薩の御教誡

「たとい我をころし打つものありとも、痛きばかりを忍んでにくむ心あるべからず。たとえば幼き子の手をのべて、母を打つにこれを喜ぶがごとし。菩提心もまたしかるべし。愚癡無慙のものありて打ち罵るとも、かえりてこれをいとおしくすべし。」

・菩提心=悟りを求めて修行し、自己を高めようとする心。無上道心。発菩提心。

・愚癡=愚かで道理が判らないこと。

・無慙=残酷なこと。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》518

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩講式』(こうしょうぼさつこうしき)

教興寺比丘阿一 謹んで之を草す

◆行年三十六、嘉禎二年九月一日。近事戒(ごんじかい①)を成ず。同二日を以って勤策戒(ごんさくかい②)を受く。同第四日、大苾蒭戒(だいびっしゅかい③)を得。是れ則ち本朝通受菩薩戒(つうじゅぼさつかい④)の原始也。是れ則ち末代の自誓苾蒭戒(じせいびっしゅかい⑤)の最初也。爾るより以降、出家五衆(しゅっけごしゅう⑥)一千六百九十四人。在家二衆(ざいけにしゅう⑦

)九万六千十六人。

 

 近事戒=近事は三宝に近づき仕える者の意で、優婆塞、優婆夷と呼ばれる在俗信者が守るべき五戒をいう。

 勤策戒=沙弥のことで、出家得度した7歳から二十歳までの、比丘になる前の準備段階の人が守るべき十戒。息慈戒とも。

 大苾蒭戒=苾蒭は比丘の異訳。具足戒とも。四分律の二百五十戒(比丘尼は三百四十五戒)を受けて正式の僧となるので大僧戒ともいう。

 通受菩薩戒=菩薩の戒である三聚浄戒(さんじゅじょうかい、摂律儀戒・摂善法戒・摂衆生戒)を通じて受ける受戒法。

 自誓苾蒭戒=自ら誓いを立てて受戒すること。十師(三師七証)に依らずに、仏菩薩から受けて比丘となる受戒法。

 出家五衆=比丘、比丘尼、沙弥、沙弥尼、式叉摩那。

 在家二衆=優婆塞、優婆夷。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた京都大学名誉教授加藤尚武先生(哲学・応用倫理学)のメッセージ。

「毎日歩きつづけているだけで美しい想い出となるような里を残して下さい。」

910日は中川寺成身院を開基した実範上人の御命日です。般若寺からは午前11時に中ノ川の御廟塔へお参りします。興福寺からも墓参があります。奈良仏教史上の碩徳である実範師の業績を偲び「南山進流」の声明をお唱えしたいと思います。

 

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2015年8月27日 (木)

コスモス寺花だより 8・27

〇秋のコスモス:≪咲きはじめ・種類により五分咲き≫

コスモスの植え付け作業は最終段階になってきました。そして台風対策の支柱立てとネット張りはこれからです。今年は台風は多発しそうですから万全の対策が必要です。

・花の時期:9月~11月上旬 

大輪の「センセーション」などは9月初めから開花予定。

・種類:30品種

・花数:15万~20万本(今年は例年に比べ多く植えました)

・花のピーク、満開は9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〔俳句〕

「けし提(さげ)て けん嘩の中を 通りけり」一茶

・訳:芥子を提げて喧嘩している人ごみの中を通っていったよ。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈東大寺〉

「おほらかに もろてのゆびを ひらかせて

       おほきほとけは あまたらしたり」

(おおらかに諸手の指を開かせて 大き仏は天照らしたり )

〈西大寺〉

「まがつみは いまのうつつに ありこせど

       ふみしほとけの ゆくえしらずも」

(邪つ神は今の現に在りこせど 踏みし仏は行方知らずも)

・まがつみ=四天王の踏む邪鬼。西大寺四王金堂には奈良時代に称徳女帝が造顕された銅製の四体の邪鬼像が残る。残念ながら四天王は焼失したため後世の作である

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩(にんしょうぼさつ)の生誕800年、信空慈眞和尚(しんくうじしんわじょう)の没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

*興正菩薩の御教誡

「たとい我を殺し打つものありとも、痛きばかりを忍んでにくむ心あるべからず。たとえば幼き子の手をのべて、母を打つにこれを喜ぶがごとし。菩提心もまたしかるべし。愚癡無慙のものありて打ち罵るとも、かえりてこれをいとおしくすべし。」

・菩提心=悟りを求めて修行し、自己を高めようとする心。無上道心。発菩提心。

・愚癡=愚かで道理が判らないこと。

・無慙=残酷なこと。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》517

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩講式』(こうしょうぼさつこうしき)

教興寺比丘阿一 謹んで之を草す

◆加之(くわうるに)、最初は梵網大乗(ぼんもうだいじょう①)にて、衆生受仏戒即入諸仏位(しゅじょうじゅぶっかいそくにゅうしょぶっち②)を説く。最後は涅槃にて終に窮まる。談じて仏性を顕わさんと欲して浄戒を順持す。顕と曰い、密と曰い、仰がざるべからず。仍ち行年三十五、嘉禎元年の春、西大寺に移住す。学を南山宗に依る。爰に一つの恨み有り。即ち両師(りょうし③)無し。謹んで瑜伽論(ゆがろん④)決択分第五十三巻を披(ひら)く。

 

 梵網大乗=梵網経に説かれる大乗戒、菩薩の戒。

 衆生受仏戒即入諸仏位=梵網経の序説部に出る偈文の中の二句。「衆生、仏戒を受くれば、即ち諸仏の位に入る。」

 両師=三師七証。戒師、羯磨師、教授師の三師と七人の証明師。

説いて曰く、諸戒は自誓受を容れるに声聞律儀は自受に応ぜず〔云云〕。此の文を得たりて崑崙に登るが如し。彼の義を見るは宝山に入るに似たり。終に好相を得たるを告げて、東(大)寺仏像前に於いて、果して自誓戒を中宗法相の文に任す。

 瑜伽論=弥勒菩薩の作とされる「瑜伽師地論百巻」。 

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた京都大学名誉教授加藤尚武先生(哲学・応用倫理学)のメッセージ。

「毎日歩きつづけているだけで美しい想い出となるような里を残して下さい。」

910日は中川寺成身院を開基した実範上人の御命日です。般若寺からは午前11時に中ノ川の御廟塔へお参りします。興福寺からも墓参があります。奈良仏教史上の碩徳である実範師の業績を偲び「南山進流」の声明をお唱えしたいと思います。

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2015年8月26日 (水)

コスモス寺花だより 8・26

〇秋のコスモス:≪咲きはじめ≫

今コスモスの葉は青々としげり150センチの高さになっています。そして一番花の「秋の美色」という種類は「五分咲き」となっています。花は小ぶりですが花数は多く、おなじみの赤白ピンクの三色に咲き分けます。今年は秋が早まりそうです。

・花の時期:9月~11月上旬 

大輪の「センセーション」などは9月初めから開花予定。

・種類:30品種

・花数:15万~20万本(今年は例年に比べ多く植えました)

・花のピーク、満開は9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〔俳句〕

「生て居る ばかりぞ我と けしの花」一茶

・訳:生きているだけの無用者だぞ。おのれと芥子の花は。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈東大寺〉

「おほらかに もろてのゆびを ひらかせて

       おほきほとけは あまたらしたり」

(おおらかに諸手の指を開かせて 大き仏は天照らしたり )

〈西大寺〉

「まがつみは いまのうつつに ありこせど

       ふみしほとけの ゆくえしらずも」

(邪つ神は今の現に在りこせど 踏みし仏は行方知らずも)

・まがつみ=四天王の踏む邪鬼。西大寺四王金堂には奈良時代に称徳女帝が造顕された銅製の四体の邪鬼像が残る。残念ながら四天王は焼失したため後世の作である

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩(にんしょうぼさつ)の生誕800年、信空慈眞和尚(しんくうじしんわじょう)の没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

*興正菩薩の御教誡

「いかにうしろにても我が身の上を少しも悪く言うを聞いては恨み怒り、なおざりにも我をよくするものをば、あながちに愛し喜ぶ。これ道人(どうにん)にあらず、菩提心(ぼだいしん)にあらず。」

・うしろ=うしろごと(後ろ言)。かげで人をそしること。

・なおざり=いい加減に。

・道人=仏道を修行する人。菩薩道を修する人。

・菩提心=悟りを求めて修行し、自己を高めようとする心。無上道心。発菩提心。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》516

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩講式』(こうしょうぼさつこうしき)

教興寺比丘阿一 謹んで之を草す

◆第二に。戒律中興の徳とは。四條院御宇、生年三十四。密教修学の時に於いて、戒律凌廃(りょうはい①)の疑いを発す。所謂慧果(けいか②)和尚は四分(しぶん③)に依りて法を秉(と)り、三密灌頂を以ってす。弘法大師は二十歳にて十戒。二十二にて受具(じゅぐ④)す。又遺告(ゆいごう⑤)に云う、若し顕密の戒を護らざれば我が弟子に非ず、是れ魔の眷属(けんぞく⑥)也。〔云云〕

 

 凌廃=しだいにすたれる。

 慧果=唐代の僧(746805)。真言宗付法八祖の第七祖。長安青龍寺に住し、不空三蔵の弟子、空海の師である。

 四分=四分律

 受具=具足戒を受けること。比丘の満分戒。

 遺告=弘法大師御遺告。

 眷属=一族。うから。従者。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた同志社大学教授(教育史)の沖田行司先生のメッセージ。

「浄瑠璃寺付近は『古寺巡礼』に描かれているように日本人の原風景の一つでもあります。奈良市民だけの問題ではなく、日本の風景を愛する日本人全体の問題だと思います。」

910日は中川寺成身院を開基した実範上人の御命日です。般若寺からは午前11時に中ノ川の御廟塔へお参りします。興福寺からも墓参があります。奈良仏教史上の碩徳である実範師の業績を偲び「南山進流」の声明をお唱えしたいと思います。

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2015年8月25日 (火)

コスモス寺花だより 8・25

〇秋のコスモス:≪咲きはじめ≫

今コスモスの葉は青々としげり150センチの高さになっています。そして一番花の「秋の美色」という種類は「五分咲き」となっています。花は小ぶりですが花数は多く、おなじみの赤白ピンクの三色に咲き分けます。今年は秋が早まりそうです。

・花の時期:9月~11月上旬 

大輪の「センセーション」などは9月初めから開花予定。

・種類:30品種

・花数:15万~20万本(今年は例年に比べ多く植えました)

・花のピーク、満開は9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〔俳句〕

「夕顔の 中より馬の 屁玉哉」一茶

・訳:夕顔の花の中から聞こえてきた馬の屁のすさまじさよ。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈東大寺〉

「おほらかに もろてのゆびを ひらかせて

       おほきほとけは あまたらしたり」

(おおらかに諸手の指を開かせて 大き仏は天照らしたり )

〈西大寺〉

「まがつみは いまのうつつに ありこせど

       ふみしほとけの ゆくえしらずも」

(邪つ神は今の現に在りこせど 踏みし仏は行方知らずも)

・まがつみ=四天王の踏む邪鬼。西大寺四王金堂には奈良時代に称徳女帝が造顕された銅製の四体の邪鬼像が残る。残念ながら四天王は焼失したため後世の作である

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩(にんしょうぼさつ)の生誕800年、信空慈眞和尚(しんくうじしんわじょう)の没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

*興正菩薩の御教誡

「いかにうしろにても我が身の上を少しも悪く言うを聞いては恨み怒り、なおざりにも我をよくするものをば、あながちに愛し喜ぶ。これ道人(どうにん)にあらず、菩提心(ぼだいしん)にあらず。」

・うしろ=うしろごと(後ろ言)。かげで人をそしること。

・なおざり=いい加減に。

・道人=仏道を修行する人。菩薩道を修する人。

・菩提心=悟りを求めて修行し、自己を高めようとする心。無上道心。発菩提心。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》515

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩講式』(こうしょうぼさつこうしき)

教興寺比丘阿一 謹んで之を草す

6安貞二年、二十八歳。同道場に於いて具支灌頂(ぐしかんじょう①)。寛喜三年、春秋三十一。閑居の地を卜し、法華を暗誦す。凡そ厥の出世入道の化儀、顕教密宗を鑚仰す。祖跡既に慇懃也。遺弟盍ぞ隨喜せざらんや。先ず和上発願の偈文を頌し、菩薩称揚の伽陀に当り、次に礼拝を行ずべし。

 

自然に、衆生は皆な是れ我が父母なりと憶い、種々の方便を設け、漸漸に苦を離れしめむ。

 

南無戒法弘通興正菩薩

 

 具支灌頂=伝法灌頂。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた同志社大学教授(教育史)の沖田行司先生のメッセージ。

「浄瑠璃寺付近は『古寺巡礼』に描かれているように日本人の原風景の一つでもあります。奈良市民だけの問題ではなく、日本の風景を愛する日本人全体の問題だと思います。」

910日は中川寺成身院を開基した実範上人の御命日です。般若寺からは午前11時に中ノ川の御廟塔へお参りします。興福寺からも墓参があります。奈良仏教史上の碩徳である実範師の業績を偲び「南山進流」の声明をお唱えしたいと思います。

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2015年8月24日 (月)

コスモス寺花だより 8・24

〇秋のコスモス:≪咲きはじめ≫

「美色」という種類はもう「五分咲き」となっています。今年は秋が早まりそうです。

・花の時期:9月~11月上旬 

大輪の「センセーション」などは9月初めから開花予定。

・種類:30品種

・花数:15万~20万本(今年は例年に比べ多く植えました)

・花のピーク、満開は9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〔俳句〕

「汁椀に ぱつと夕顔 明り哉」一茶

・訳:汁椀にぱっと広がる夕顔の明りよ。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈東大寺〉

「おほらかに もろてのゆびを ひらかせて

       おほきほとけは あまたらしたり」

(おおらかに諸手の指を開かせて 大き仏は天照らしたり )

〈西大寺〉

「まがつみは いまのうつつに ありこせど

       ふみしほとけの ゆくえしらずも」

(邪つ神は今の現に在りこせど 踏みし仏は行方知らずも)

・まがつみ=四天王の踏む邪鬼。西大寺四王金堂には奈良時代に称徳女帝が造顕された銅製の四体の邪鬼像が残る。残念ながら四天王は焼失したため後世の作である

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩(にんしょうぼさつ)の生誕800年、信空慈眞和尚(しんくうじしんわじょう)の没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

*興正菩薩の御教誡

「いかにうしろにても我が身の上を少しも悪く言うを聞いては恨み怒り、なおざりにも我をよくするものをば、あながちに愛し喜ぶ。これ道人(どうにん)にあらず、菩提心(ぼだいしん)にあらず。」

・うしろ=うしろごと(後ろ言)。かげで人をそしること。

・なおざり=いい加減に。

・道人=仏道を修行する人。菩薩道を修する人。

・菩提心=悟りを求めて修行し、自己を高めようとする心。無上道心。発菩提心。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》514

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩講式』(こうしょうぼさつこうしき)

教興寺比丘阿一 謹んで之を草す

◆建保六歳。生年十八。十八印明(じゅうはちいんみょう①)を習う。承久三年、二十一歳。九会金剛(くえこんごう②)を受く。後堀河御宇元仁元年の春、高野山に登り教相法門(きょうそうほうもん③)を伝(さず)かる。醍醐寺に攀じ胎蔵次第(たいぞうしだい)を行ず。同二年、護摩(ごま)を東大寺に修す。同九夏。印可を霊山院(れいざんいん)に於いて受く。

 

 十八印明=伝法灌頂を受ける前に行う密教の修行である四度加行の最初に行う十八道念誦次第に出る印契と真言。

 九会金剛=金剛界念誦次第。金剛界を九会曼荼羅という。

 教相法門=密教の威儀、行法などの実践的修法を行う事相法門に対して、教義を組織的に解釈研究する方面を教相法門と言う。

 胎蔵次第=胎蔵界念誦次第。

 護摩=不動法護摩次第。

 霊山院=現天理市柳本の釜口山長岳寺にあった子院。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた同志社大学教授(教育史)の沖田行司先生のメッセージ。

「浄瑠璃寺付近は『古寺巡礼』に描かれているように日本人の原風景の一つでもあります。奈良市民だけの問題ではなく、日本の風景を愛する日本人全体の問題だと思います。」

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2015年8月23日 (日)

コスモス寺花だより 8・23

コスモスの日本名は「秋桜」。しかし明治の初めに伝わった時には、「オオハルシャギク」と呼ばれていました。これは中国名の「大波斯菊・ターポーシーチュー」に由来します。その意味は「大きな、ペルシャの国からやってきた菊」です。

中国では菊、日本では桜のイメージで好まれた花です。

〇秋のコスモス:≪咲きはじめ≫

只今、コスモスは背丈が1メートル30センチほどになって、種類によってはもう「五分咲き」となっています。今年は秋が早いのでしょうか、長い秋となりそうな予感がします。

・花の時期:9月~11月上旬 

大輪の「センセーション」などは9月初めから開花予定。

・種類:30品種

・花数:15万~20万本(今年は例年に比べ多く植えました)

・花のピーク、満開は9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〔俳句〕

「夕顔の 花で洟(はな)かむ 娘かな」一茶

・訳:夕顔の花で洟をかむ娘だねえ

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈東大寺〉

「おほらかに もろてのゆびを ひらかせて

       おほきほとけは あまたらしたり」

(おおらかに諸手の指を開かせて 大き仏は天照らしたり )

〈西大寺〉

「まがつみは いまのうつつに ありこせど

       ふみしほとけの ゆくえしらずも」

(邪つ神は今の現に在りこせど 踏みし仏は行方知らずも)

・まがつみ=四天王の踏む邪鬼。西大寺四王金堂には奈良時代に称徳女帝が造顕された銅製の四体の邪鬼像が残る。残念ながら四天王は焼失したため後世の作である

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩(にんしょうぼさつ)の生誕800年、信空慈眞和尚(しんくうじしんわじょう)の没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

*興正菩薩の御教誡

「いかにうしろにても我が身の上を少しも悪く言うを聞いては恨み怒り、なおざりにも我をよくするものをば、あながちに愛し喜ぶ。これ道人(どうにん)にあらず、菩提心(ぼだいしん)にあらず。」

・うしろ=うしろごと(後ろ言)。かげで人をそしること。

・なおざり=いい加減に。

・道人=仏道を修行する人。菩薩道を修する人。

・菩提心=悟りを求めて修行し、自己を高めようとする心。無上道心。発菩提心。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》513

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩講式』(こうしょうぼさつこうしき)

教興寺比丘阿一 謹んで之を草す

◆南山(なんざん①)の戒香を四荒(しこう②)の風に薫じ、青龍(せいりゅう③)の法水を八極(はっきょく②)の流れに灑ぐ。後を以って前を測る。豈此れは灯明除闇の瑞相と為すに非ずや。日月施明の霊夢を作すや。

是を以って、興正菩薩、醍醐山に蹬(とう)し、剃髪染衣し、東大寺に於いて登壇受戒(とうだんじゅかい)す。

 

 南山=終南山。南山大師道宣が住した寺。南山律宗のこと。

 四荒=四方の果ての戎が住む地。北方は觚竹(こちく)、南方は北戸(ほくと)、西方は西王母、東方は日下(じつか)。

 青龍=青龍寺。中国西安にあった寺。弘法大師空海が恵果阿闍梨に学んだ寺。真言密教のこと。

 八極=八方の遠方の地、八方の地の果て。四荒八極。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた同志社大学教授(教育史)の沖田行司先生のメッセージ。

「浄瑠璃寺付近は『古寺巡礼』に描かれているように日本人の原風景の一つでもあります。奈良市民だけの問題ではなく、日本の風景を愛する日本人全体の問題だと思います。」

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2015年8月22日 (土)

コスモス寺花だより 8・22

コスモスの日本名は「秋桜」。しかし明治の初めに伝わった時には、「オオハルシャギク」と呼ばれていました。これは中国名の「大波斯菊・ターポーシーチュー」に由来します。その意味は「大きな、ペルシャの国からやってきた菊」です。

中国では菊、日本では桜のイメージで好まれた花です。

〇秋のコスモス:≪咲きはじめ≫

只今、コスモスは背丈が1メートル30センチほどになって、種類によってはもう「五分咲き」となっています。今年は秋が早いのでしょうか、長い秋となりそうな予感がします。

・花の時期:9月~11月上旬 

大輪の「センセーション」などは9月初めから開花予定。

・種類:30品種

・花数:15万~20万本(今年は例年に比べ多く植えました)

・花のピーク、満開は9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〔俳句〕

「夕顔や サモナキ国に 笛を吹(ふく)」一茶

・訳:夕顔の花が咲いているよ。これと言ってとりえのない国に笛を吹く。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈東大寺〉

「おほらかに もろてのゆびを ひらかせて

       おほきほとけは あまたらしたり」

(おおらかに諸手の指を開かせて 大き仏は天照らしたり )

〈西大寺〉

「まがつみは いまのうつつに ありこせど

       ふみしほとけの ゆくえしらずも」

(邪つ神は今の現に在りこせど 踏みし仏は行方知らずも)

・まがつみ=四天王の踏む邪鬼。西大寺四王金堂には奈良時代に称徳女帝が造顕された銅製の四体の邪鬼像が残る。残念ながら四天王は焼失したため後世の作である

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩(にんしょうぼさつ)の生誕800年、信空慈眞和尚(しんくうじしんわじょう)の没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

*興正菩薩の御教誡

「いかにうしろにても我が身の上を少しも悪く言うを聞いては恨み怒り、なおざりにも我をよくするものをば、あながちに愛し喜ぶ。これ道人(どうにん)にあらず、菩提心(ぼだいしん)にあらず。」

・うしろ=うしろごと(後ろ言)。かげで人をそしること。

・なおざり=いい加減に。

・道人=仏道を修行する人。菩薩道を修する人。

・菩提心=悟りを求めて修行し、自己を高めようとする心。無上道心。発菩提心。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》512

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩講式』(こうしょうぼさつこうしき)

教興寺比丘阿一 謹んで之を草す

◆建保五歳。生年十七、無相心(むそうしん①)を以って有縁の法(うえんのほう②)を祈り、真言乗(しんごんじょう③)を以って灯明と為す。凡身の体を以って日月と為す。是の如く国家を耀かし、冥応(みょうおう④)是れ新たに天下を照らす。霊夢は是れ験(げん⑤)なり。方に今、五朝(ごちょう⑥)稽顙(けいそう⑦)し、十善(じゅうぜん⑧)の龍顔(りゅうがん⑨)を儼(うやうやし)くす。四輩(しはい⑩)叉手(さしゅ⑪)し、三毒(さんどく⑫)の虎性(こせい⑬)を欽(つつし)む。

 

 無相心=無相は姿、形の無いこと。現象世界を離れた究極的境地。ここでは無想かも。何の計らいのない無念無想の心。

 有縁の法=仏法の中で自分にふさわしい有縁の教法。

 真言乗=真言密教。真言宗。

 冥応=目には見えないけれど神仏が感応して御加護を与えること。

 験=仏道修行や祈祷に報いられた結果。応報。御利益。

 五朝=五代の帝。

 稽顙=稽首。額づいてお辞儀する。

 十善=十善の君。前世において十善戒(不殺生戒以下の十戒)を良く守り善業を積んだ功徳により天子と生まれることができたとされる。

 龍顔=天子の顔、天顔。

 四輩=人、天、龍、鬼。

 叉手=両手を組み合わせる。

 三毒=貪(むさぼり)、瞋(いかり)、癡(おろか)の三大煩悩。

 虎性=虎のようにたけだけしいこと。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた同志社大学教授(教育史)の沖田行司先生のメッセージ。

「浄瑠璃寺付近は『古寺巡礼』に描かれているように日本人の原風景の一つでもあります。奈良市民だけの問題ではなく、日本の風景を愛する日本人全体の問題だと思います。」

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2015年8月21日 (金)

コスモス寺花だより 8・21

コスモスの日本名は「秋桜」。しかし明治の初めに伝わった時には、「オオハルシャギク」と呼ばれていました。これは中国名の「大波斯菊・ターポーシーチュー」に由来します。その意味は「大きな、ペルシャの国からやってきた菊」です。

中国では菊、日本では桜のイメージで好まれた花です。

〇秋のコスモス:≪咲きはじめ≫

コスモスは雨のおかげで葉が青々としげり、種類によってはもう「五分咲き」となっています。今年は秋が早いのでしょうか、長い秋となりそうな予感がします。

・花の時期:9月~11月上旬 

秋咲きの主力、「センセーション」などは9月初めから開花予定。

・種類:30品種

・花数:15万~20万本(今年は例年に比べ多く植えました)

・花のピーク、満開は9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〔俳句〕

「夕顔の 花めで給へ 後架神(こうかがみ)」一茶

・訳:夕顔の花を慈しみなさい便所の神様よ。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈東大寺〉

「おほらかに もろてのゆびを ひらかせて

       おほきほとけは あまたらしたり」

(おおらかに諸手の指を開かせて 大き仏は天照らしたり )

〈西大寺〉

「まがつみは いまのうつつに ありこせど

       ふみしほとけの ゆくえしらずも」

(邪つ神は今の現に在りこせど 踏みし仏は行方知らずも)

・まがつみ=四天王の踏む邪鬼。西大寺四王金堂には奈良時代に称徳女帝が造顕された銅製の四体の邪鬼像が残る。残念ながら四天王は焼失したため後世の作である

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩(にんしょうぼさつ)の生誕800年、信空慈眞和尚(しんくうじしんわじょう)の没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

*興正菩薩の御教誡

「いかにうしろにても我が身の上を少しも悪く言うを聞いては恨み怒り、なおざりにも我をよくするものをば、あながちに愛し喜ぶ。これ道人(どうにん)にあらず、菩提心(ぼだいしん)にあらず。」

・うしろ=うしろごと(後ろ言)。かげで人をそしること。

・なおざり=いい加減に。

・道人=仏道を修行する人。菩薩道を修する人。

・菩提心=悟りを求めて修行し、自己を高めようとする心。無上道心。発菩提心。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》511

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩講式』(こうしょうぼさつこうしき)

教興寺比丘阿一 謹んで之を草す

◆七歳秋、三旬(さんじゅん①)の嫏嬢(ろうじょう②)を葬す。圭峰(けいほう③)の早年にして二親を失うの思いと同じ。悲母を亡(うしな)い添風樹哀(てんぷうじゅあい④)す。八歳、旧里を出で、慈父を離れ、雪霜の悲しみを懐く。十一、僧坊に入り、高嶺に登りて美花を摘む。行基菩薩の観行(かんぎょう⑤)に住し、深谷に降りて冷水を結び、弘法大師の理供(りく⑥)を追う。

 

 三旬=三十年。

 嫏嬢=嫏は瑯か。玉石がふれあうような音。嬢は母。かけがえのない存在であった母。

 圭峰=圭峰大師宗密(しゅうみつ)。澄観の弟子、華厳第五祖。華厳と禅に詳しく教禅一致を唱える。(780840

 添風樹哀=風に吹かれる様に哀しみをたてる

 観行=観心の行法。心に理を観じて、理の如く身にこれを行うこと。

 理供=理供養。事供養の対。印明と観念による供養。加持によってあらゆる刹土の仏に無量の供養を捧げること。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた同志社大学教授(教育史)の沖田行司先生のメッセージ。

「浄瑠璃寺付近は『古寺巡礼』に描かれているように日本人の原風景の一つでもあります。奈良市民だけの問題ではなく、日本の風景を愛する日本人全体の問題だと思います。」


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2015年8月20日 (木)

コスモス寺花だより 8・20

コスモスの日本名は「秋桜」。しかし明治の初めに伝わった時には、「オオハルシャギク」と呼ばれていました。これは中国名の「大波斯菊・ターポーシーチュー」に由来します。その意味は「大きな、ペルシャの国からやってきた菊」です。

中国では菊、日本では桜のイメージで好まれた花です。

〇秋のコスモス:≪咲きはじめ≫

コスモスは雨のおかげで葉が青々としげり、種類によってはもう「五分咲き」となっています。今年は秋が早いのでしょうか、長い秋となりそうな予感がします。

・花の時期:9月~11月上旬 

秋咲きの主力、「センセーション」などは9月初めから開花予定。

・種類:30品種

・花数:15万~20万本(今年は例年に比べ多く植えました)

・花のピーク、満開は9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〔俳句〕

「菊薗(ぞの)に つつと出たる 葎(むぐら)哉」一茶

・訳:菊の植え込み一帯につつっと勢いよく出た雑草だなあ。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈室生寺〉

「ささやかに にぬりのたふの たちすます

       このまにあそぶ やまざとのこら」

(細やかに丹塗りの塔の立ち澄ます 木の間に遊ぶ山里の子ら)

〈西大寺〉

「まがつみは いまのうつつに ありこせど

       ふみしほとけの ゆくえしらずも」

(邪つ神は今の現に在りこせど 踏みし仏は行方知らずも)

・まがつみ=四天王の踏む邪鬼。西大寺四王金堂には奈良時代に称徳女帝が造顕された銅製の四体の邪鬼像が残る。残念ながら四天王は焼失したため後世の作である

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩の生誕800年、慈眞和尚没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

*興正菩薩の御教誡

「我執執心をなおすこそ修行者と申しそうらへ。構えて受戒せんとおぼしめさん人は、急ぎて是をとどむべし。戒を受けるはひとえに興法(こうぼう)のためにすべし。もし我がために受戒せんと思わんものは、すべて菩薩戒(ぼさつかい)にあらず。」

・興法=釈尊の教えである仏法、正法を興隆すること。

・菩薩戒=上求菩提、下化衆生の菩薩行を実践するために身につける仏戒。この戒を受ければ、何ものもおそれることのない無畏心が生じ、菩薩の位にのぼれる。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》510

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩講式』(こうしょうぼさつこうしき)

教興寺比丘阿一 謹んで之を草す

◆所謂、第一に誕生出家の門。第二に戒律中興の門。第三に万行不二の門。第四に仏神感応の門。第五に廻向発願の門。伏して願わくは興正菩薩、哀愍納受したまえ。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた同志社大学教授(教育史)の沖田行司先生のメッセージ。

「浄瑠璃寺付近は『古寺巡礼』に描かれているように日本人の原風景の一つでもあります。奈良市民だけの問題ではなく、日本の風景を愛する日本人全体の問題だと思います。」

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2015年8月19日 (水)

コスモス寺花だより 8・19

〇秋のコスモス:≪咲きはじめ≫

コスモスの草丈はまだ1メートルほどですが、種類によってはもう「五分咲き」となっています。葉は日焼けすること無く、青々としげっています。天の恵み、慈雨のおかげでしょう。

・花の時期:9月~11月上旬 

秋咲きの主力、「センセーション」などは9月初めから開花予定。

・種類:30品種

・花数:15万~20万本(今年は例年に比べ多く植えました)

・花のピーク、満開は9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〔俳句〕

「昼顔や ぽつぽと燃える 石ころへ」一茶

・訳:昼顔よ。ぽっぽと燃えているように咲いて石ころを照らすよう。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈室生寺〉

「ささやかに にぬりのたふの たちすます

       このまにあそぶ やまざとのこら」

(細やかに丹塗りの塔の立ち澄ます 木の間に遊ぶ山里の子ら)

〈西大寺〉

「まがつみは いまのうつつに ありこせど

       ふみしほとけの ゆくえしらずも」

(邪つ神は今の現に在りこせど 踏みし仏は行方知らずも)

・まがつみ=四天王の踏む邪鬼。西大寺四王金堂には奈良時代に称徳女帝が造顕された銅製の四体の邪鬼像が残る。残念ながら四天王は焼失したため後世の作である

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩の生誕800年、慈眞和尚没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

*興正菩薩の御教誡

「我執執心をなおすこそ修行者と申しそうらへ。構えて受戒せんとおぼしめさん人は、急ぎて是をとどむべし。戒を受けるはひとえに興法(こうぼう)のためにすべし。もし我がために受戒せんと思わんものは、すべて菩薩戒(ぼさつかい)にあらず。」

・興法=釈尊の教えである仏法、正法を興隆すること。

・菩薩戒=上求菩提、下化衆生の菩薩行を実践するために身につける仏戒。この戒を受ければ、何ものもおそれることのない無畏心が生じ、菩薩の位にのぼれる。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》509

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩講式』(こうしょうぼさつこうしき)

教興寺比丘阿一 謹んで之を草す

◆今、彼の聖訓(せいくん①)を披(ひら)き、聊か此の凡心を誡める。律燈(りっとう②)を排(? 掲ヵ)し罪闇を除くは興正菩薩の善功也。戒珠を瑩(みが)き、業塵(ごうじん③)を払うは親教せる和上の方便也。今、三十三年遠忌に当り、盍(なん)ぞ四弘六度(しぐろくど④)の弘誓を励み、因りて五段の微志を滅後に開き、二利(にり⑤)の大願を生前に契る。年々歳々子細の事、後見に貽(のこ)すと雖も、歳々年々祖徳の行、未聞を語らんと欲す。

 

 聖訓=聖人すなわち興正菩薩のおしえ。

 律燈=律宗の灯火。戒律の教え。

 業塵=身を汚す悪業。

 四弘誓願と六波羅蜜。

 二利=自利と利他。上求菩提、下化衆生の菩薩行。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた同志社大学教授(教育史)の沖田行司先生のメッセージ。

「浄瑠璃寺付近は『古寺巡礼』に描かれているように日本人の原風景の一つでもあります。奈良市民だけの問題ではなく、日本の風景を愛する日本人全体の問題だと思います。」

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コスモス寺花だより 8・19

〇秋のコスモス:≪咲きはじめ≫

コスモスの草丈はまだ1メートルほどですが、種類によってはもう「五分咲き」となっています。葉は日焼けすること無く、青々としげっています。天の恵み、慈雨のおかげでしょう。

・花の時期:9月~11月上旬 

秋咲きの主力、「センセーション」などは9月初めから開花予定。

・種類:30品種

・花数:15万~20万本(今年は例年に比べ多く植えました)

・花のピーク、満開は9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〔俳句〕

「昼顔や ぽつぽと燃える 石ころへ」一茶

・訳:昼顔よ。ぽっぽと燃えているように咲いて石ころを照らすよう。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈室生寺〉

「ささやかに にぬりのたふの たちすます

       このまにあそぶ やまざとのこら」

(細やかに丹塗りの塔の立ち澄ます 木の間に遊ぶ山里の子ら)

〈西大寺〉

「まがつみは いまのうつつに ありこせど

       ふみしほとけの ゆくえしらずも」

(邪つ神は今の現に在りこせど 踏みし仏は行方知らずも)

・まがつみ=四天王の踏む邪鬼。西大寺四王金堂には奈良時代に称徳女帝が造顕された銅製の四体の邪鬼像が残る。残念ながら四天王は焼失したため後世の作である

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩の生誕800年、慈眞和尚没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

*興正菩薩の御教誡

「我執執心をなおすこそ修行者と申しそうらへ。構えて受戒せんとおぼしめさん人は、急ぎて是をとどむべし。戒を受けるはひとえに興法(こうぼう)のためにすべし。もし我がために受戒せんと思わんものは、すべて菩薩戒(ぼさつかい)にあらず。」

・興法=釈尊の教えである仏法、正法を興隆すること。

・菩薩戒=上求菩提、下化衆生の菩薩行を実践するために身につける仏戒。この戒を受ければ、何ものもおそれることのない無畏心が生じ、菩薩の位にのぼれる。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》509

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩講式』(こうしょうぼさつこうしき)

教興寺比丘阿一 謹んで之を草す

◆今、彼の聖訓(せいくん①)を披(ひら)き、聊か此の凡心を誡める。律燈(りっとう②)を排(? 掲ヵ)し罪闇を除くは興正菩薩の善功也。戒珠を瑩(みが)き、業塵(ごうじん③)を払うは親教せる和上の方便也。今、三十三年遠忌に当り、盍(なん)ぞ四弘六度(しぐろくど④)の弘誓を励み、因りて五段の微志を滅後に開き、二利(にり⑤)の大願を生前に契る。年々歳々子細の事、後見に貽(のこ)すと雖も、歳々年々祖徳の行、未聞を語らんと欲す。

 

 聖訓=聖人すなわち興正菩薩のおしえ。

 律燈=律宗の灯火。戒律の教え。

 業塵=身を汚す悪業。

 四弘誓願と六波羅蜜。

 二利=自利と利他。上求菩提、下化衆生の菩薩行。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた同志社大学教授(教育史)の沖田行司先生のメッセージ。

「浄瑠璃寺付近は『古寺巡礼』に描かれているように日本人の原風景の一つでもあります。奈良市民だけの問題ではなく、日本の風景を愛する日本人全体の問題だと思います。」

 

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2015年8月18日 (火)

コスモス寺花だより 8・18

〇秋のコスモス:≪咲きはじめ≫

まだ八月なのに、種類(「秋咲美色」)により場所により、もう「五分咲き」となっています

・花の時期:9月~11月上旬 

秋咲きの主力、「センセーション」などは9月初めから開花予定。

・種類:30品種

・花数:15万~20万本(今年は例年に比べ多く植えました)

・花のピーク、満開は9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〔俳句〕

「とうふ屋が来る 昼顔が 咲にけり」一茶

・訳:とうふ屋がやって来る。昼顔が咲いているなあ。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈室生寺〉

「ささやかに にぬりのたふの たちすます

       このまにあそぶ やまざとのこら」

(細やかに丹塗りの塔の立ち澄ます 木の間に遊ぶ山里の子ら)

〈西大寺〉

「まがつみは いまのうつつに ありこせど

       ふみしほとけの ゆくえしらずも」

(邪つ神は今の現に在りこせど 踏みし仏は行方知らずも)

・まがつみ=四天王の踏む邪鬼。西大寺四王金堂には奈良時代に称徳女帝が造顕された銅製の四体の邪鬼像が残る。残念ながら四天王は焼失したため後世の作である

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩(にんしょうぼさつ)の生誕800年、慈眞和尚信空(じしんわじょうしんくう)の没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

*興正菩薩の御教誡

「我執執心をなおすこそ修行者と申しそうらへ。構えて受戒せんとおぼしめさん人は、急ぎて是をとどむべし。戒を受けるはひとえに興法(こうぼう)のためにすべし。もし我がために受戒せんと思わんものは、すべて菩薩戒(ぼさつかい)にあらず。」

・興法=釈尊の教えである仏法、正法を興隆すること。

・菩薩戒=上求菩提、下化衆生の菩薩行を実践するために身につける仏戒。この戒を受ければ、何ものもおそれることのない無畏心が生じ、菩薩の位にのぼれる。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》508

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩講式』(こうしょうぼさつこうしき)

教興寺比丘阿一 謹んで之を草す

◆敬って同体別体、一切三宝、戒法弘通の興正菩薩に白(もう)して言(もうさ)く。夫れ利益無窮(りやくむきゅう①)なるは仏法なり。一句にても能く三界の苦を出づ。恩徳余り有る者は師僧なり。曠劫(こうごう②)謝し難きは片時の功。是を以って観音は弥陀を頂上に戴き、弥勒は釈迦を冠中に安んず。薬王は臂を焼き、香城に身を投ず。爰に龍樹菩薩は説いて曰く、仮使頂戴して塵劫を経るとも、身は牀座と為り三千に遍し。若し法を伝えずして衆生を度すことあらば、一分にも師の恩に報いること能わず。〔云云〕

 

 利益無窮=衆生を利益する力がきわまりない。

 曠劫=むなしく広大な時間。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた同志社大学教授(教育史)の沖田行司先生のメッセージ。

「浄瑠璃寺付近は『古寺巡礼』に描かれているように日本人の原風景の一つでもあります。奈良市民だけの問題ではなく、日本の風景を愛する日本人全体の問題だと思います。」

 

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2015年8月17日 (月)

コスモス寺花だより 8・17

〇秋のコスモス:≪咲きはじめ≫

まだ八月なのに、種類(「秋咲美色」)により場所により、もう「五分咲き」となっています

・花の時期:9月~11月上旬 

秋咲きの主力、「センセーション」などは9月初めから開花予定。

・種類:30品種

・花数:15万~20万本(今年は例年に比べ多く植えました)

・花のピーク、満開は9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〔俳句〕

「松のせみ どこ迄鳴て 昼になる」一茶

・訳:松の蝉、ずっと泣き続けているが、どこまで鳴いてから昼飯になるのかい。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈室生寺〉

「ささやかに にぬりのたふの たちすます

       このまにあそぶ やまざとのこら」

(細やかに丹塗りの塔の立ち澄ます 木の間に遊ぶ山里の子ら)

〈西大寺〉

「まがつみは いまのうつつに ありこせど

       ふみしほとけの ゆくえしらずも」

(邪つ神は今の現に在りこせど 踏みし仏は行方知らずも)

・まがつみ=四天王の踏む邪鬼。西大寺四王金堂には奈良時代に称徳女帝が造顕された銅製の四体の邪鬼像が残る。残念ながら四天王は焼失したため後世の作である

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩(にんしょうぼさつ)の生誕800年、慈眞和尚信空(じしんわじょうしんくう)の没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

*興正菩薩の御教誡

「我執執心をなおすこそ修行者と申しそうらへ。構えて受戒せんとおぼしめさん人は、急ぎて是をとどむべし。戒を受けるはひとえに興法(こうぼう)のためにすべし。もし我がために受戒せんと思わんものは、すべて菩薩戒(ぼさつかい)にあらず。」

・興法=釈尊の教えである仏法、正法を興隆すること。

・菩薩戒=上求菩提、下化衆生の菩薩行を実践するために身につける仏戒。この戒を受ければ、何ものもおそれることのない無畏心が生じ、菩薩の位にのぼれる。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》507

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

今日から興正菩薩の高弟で河内の国教興寺中興第一世長老であった阿一の作である興正菩薩講式を読みます。講式は声明の一つで、仏菩薩、高僧の徳をたたえ事績を述べたりするものです。漢文読み下し体の文章に節をつけて読まれます。

『興正菩薩講式』(こうしょうぼさつこうしき)

教興寺比丘阿一 謹んで之を草す

 

   先ず総礼

 

帰命釈迦尊 願我於未来 受生善悪処 下(不ヵ)忘菩提心

(釈迦尊に帰命す。願わくは、我れ未来に生を受ける善悪処に於いて、菩提心を忘れず。)

  南無戒法弘通興正菩薩

(戒法を弘通せる興正菩薩に帰依す。)

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた大阪大学名誉教授(日本中世史・古代中世仏教史)の平雅行先生のメッセージ。

「浄瑠璃寺の美しい景観と、中川寺跡は、日本の財産です。奈良市の計画はとても残念です。」

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2015年8月16日 (日)

コスモス寺花だより 8・16

〇秋のコスモス:≪ちらほら咲き≫

・花の時期:9月~11月上旬 9月初めから開花予定。

・種類:30品種

・花数:15万本

・花のピークは9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〔俳句〕

「せみなくや つくつく赤い 風車」一茶

・訳:蝉がけたたましく鳴いているよ。しんそこから赤い風車。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈室生寺〉

「ささやかに にぬりのたふの たちすます

       このまにあそぶ やまざとのこら」

(細やかに丹塗りの塔の立ち澄ます 木の間に遊ぶ山里の子ら)

〈西大寺〉

「まがつみは いまのうつつに ありこせど

       ふみしほとけの ゆくえしらずも」

(邪つ神は今の現に在りこせど 踏みし仏は行方知らずも)

・まがつみ=四天王の踏む邪鬼。西大寺四王金堂には奈良時代に称徳女帝が造顕された銅製の四体の邪鬼像が残る。残念ながら四天王は焼失したため後世の作である

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩の生誕800年、慈眞和尚没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

*興正菩薩の御教誡

「我執執心をなおすこそ修行者と申しそうらへ。構えて受戒せんとおぼしめさん人は、急ぎて是をとどむべし。戒を受けるはひとえに興法(こうぼう)のためにすべし。もし我がために受戒せんと思わんものは、すべて菩薩戒(ぼさつかい)にあらず。」

・興法=釈尊の教えである仏法、正法を興隆すること。

・菩薩戒=上求菩提、下化衆生の菩薩行を実践するために身につける仏戒。この戒を受ければ、何ものもおそれることのない無畏心が生じ、菩薩の位にのぼれる。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》506

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩傳』(こうしょうぼさつでん)出元亨釈書明律篇(しゅつげんこうしゃくしょめいりつへん)虎関師錬(こかんしれん)著

 

◆此れに繇(よ)って之を視るに、興正の中人(人中ヵ)に出でたること宜(むべ)なるかな。

加之(しかのみならず)興福と放生(こうふくとほうじょう①)とは幽明(ゆうめい②)之を頼(さいわい)し、今其の家を世(つ)ぐ者皆此れに勤む。於戯(ああ)、其の塵垢粃糠(じんくひこう③)は、猶(なお)あるいは善人を陶鋳(とうちゅう④)するかな。

 

 興福と放生=興福は福徳を興隆すること、放生は生類を放ち命を全うさせること。

 幽明=暗いことと明るいこと。幽界と顕界。

 塵垢粃糠=塵垢はちりとあか。粃糠は米の殻やぬか。つまらないもの。

 陶鋳=焼き物や鋳物のように作りあげること。

(おわり)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた大阪大学名誉教授(日本中世史・古代中世仏教史)の平雅行先生のメッセージ。

「浄瑠璃寺の美しい景観と、中川寺跡は、日本の財産です。奈良市の計画はとても残念です。」

 

 

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2015年8月15日 (土)

コスモス寺花だより 8・15

〇秋のコスモス:≪ちらほら咲き≫

昨日、秋を告げるというヒグラシの鳴き声を聞きました。カナカナカナと少し寂しそうな声でした。コスモスの花は少しづつ数を増やしています。

・花の時期:9月~11月上旬 9月初めから開花予定。

・種類:30品種

・花数:15万本

・花のピークは9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〔俳句〕

「せみ鳴くや 天にひつつく 筑摩川」一茶

・訳:蝉が鳴いているよ。天にひっつくように流れる千曲川。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈室生寺〉

「ささやかに にぬりのたふの たちすます

       このまにあそぶ やまざとのこら」

(細やかに丹塗りの塔の立ち澄ます 木の間に遊ぶ山里の子ら)

〈西大寺〉

「まがつみは いまのうつつに ありこせど

       ふみしほとけの ゆくえしらずも」

(邪つ神は今の現に在りこせど 踏みし仏は行方知らずも)

・まがつみ=四天王の踏む邪鬼。西大寺四王金堂には奈良時代に称徳女帝が造顕された銅製の四体の邪鬼像が残る。残念ながら四天王は焼失したため後世の作である

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩の生誕800年、慈眞和尚没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

*興正菩薩の御教誡

「我執執心をなおすこそ修行者と申しそうらへ。構えて受戒せんとおぼしめさん人は、急ぎて是をとどむべし。戒を受けるはひとえに興法(こうぼう)のためにすべし。もし我がために受戒せんと思わんものは、すべて菩薩戒(ぼさつかい)にあらず。」

・興法=釈尊の教えである仏法、正法を興隆すること。

・菩薩戒=上求菩提、下化衆生の菩薩行を実践するために身につける仏戒。この戒を受ければ、何ものもおそれることのない無畏心が生じ、菩薩の位にのぼれる。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》505

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩傳』(こうしょうぼさつでん)出元亨釈書明律篇(しゅつげんこうしゃくしょめいりつへん)虎関師錬(こかんしれん)著

◆賛に曰く。吾(①)嘗(かつ)て士の自ら樹立せざることを患(うれ)う。偶(たまたま)興正師の律流(派)を既倒(きとう②)の後に起こすを見て、益(ますます)我が前言を固くする。

何ぞや。招堤(しょうだい③)数世の後、人々をして興正の志の如くならしめば、あに今日寝微(しんび④)の患い有らんや。

 

 吾=虎関師錬

 

 既倒=すでにたおれたこと。顛倒。

 

 招堤=唐招提寺開山の鑑真和上。

 

 寝微=病気で床につくようにおとろえること。

 

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた大阪大学名誉教授(日本中世史・古代中世仏教史)の平雅行先生のメッセージ。

「浄瑠璃寺の美しい景観と、中川寺跡は、日本の財産です。奈良市の計画はとても残念です。」

 

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2015年8月14日 (金)

コスモス寺花だより 8・14

〇秋のコスモス:≪ちらほら咲き≫

・花の時期:9月~11月上旬 9月初めから開花予定。

・種類:30品種

・花数:15万本

・花のピークは9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〔俳句〕

「恋をせよ 恋をせよせよ 夏のせみ」一茶

・訳:恋をしなさい、恋をしなさいと夏の蝉。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈室生寺〉

「ささやかに にぬりのたふの たちすます

       このまにあそぶ やまざとのこら」

(細やかに丹塗りの塔の立ち澄ます 木の間に遊ぶ山里の子ら)

〈西大寺〉

「まがつみは いまのうつつに ありこせど

       ふみしほとけの ゆくえしらずも」

(邪つ神は今の現に在りこせど 踏みし仏は行方知らずも)

・まがつみ=四天王の踏む邪鬼。西大寺四王金堂には奈良時代に称徳女帝が造顕された銅製の四体の邪鬼像が残る。残念ながら四天王は焼失したため後世の作である

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩の生誕800年、慈眞和尚没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

*興正菩薩の御教誡

「我執執心をなおすこそ修行者と申しそうらへ。構えて受戒せんとおぼしめさん人は、急ぎて是をとどむべし。戒を受けるはひとえに興法(こうぼう)のためにすべし。もし我がために受戒せんと思わんものは、すべて菩薩戒(ぼさつかい)にあらず。」

・興法=釈尊の教えである仏法、正法を興隆すること。

・菩薩戒=上求菩提、下化衆生の菩薩行を実践するために身につける仏戒。この戒を受ければ、何ものもおそれることのない無畏心が生じ、菩薩の位にのぼれる。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》504

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩傳』(こうしょうぼさつでん)出元亨釈書明律篇(しゅつげんこうしゃくしょめいりつへん)虎関師錬(こかんしれん)著

◆永仁中(えいにんちゅう①)、諡(おくりな②)を興正菩薩と賜う。

 

 永仁中=永仁七年に正安と改元。菩薩号の勅諡されたのは正安二年なので正安中とすべき。

 諡=正安二年七月三日、後伏見天皇が綸旨により勅して「興正菩薩」(こうしょうぼさつ)と諡(おくりな)をたまう。同年七月四日には亀山法皇より院宣を賜わる。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた大阪大学名誉教授(日本中世史・古代中世仏教史)の平雅行先生のメッセージ。

「浄瑠璃寺の美しい景観と、中川寺跡は、日本の財産です。奈良市の計画はとても残念です。」

 

 

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2015年8月13日 (木)

コスモス寺花だより 8・13

本日、器械の不具合によりブログ公開が遅れました。相済みません。

〇秋のコスモス:≪ちらほら咲き≫

・花の時期:9月~11月上旬 9月初めから開花予定。

・種類:30品種

・花数:15万本

・花のピークは9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〔俳句〕

「せみ鳴や 笠のやうなる 鳰(にほ)の海」一茶

・訳:蝉が鳴いているよ。笠のような琵琶湖で。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈室生寺〉

「ささやかに にぬりのたふの たちすます

       このまにあそぶ やまざとのこら」

(細やかに丹塗りの塔の立ち澄ます 木の間に遊ぶ山里の子ら)

〈西大寺〉

「まがつみは いまのうつつに ありこせど

       ふみしほとけの ゆくえしらずも」

(邪つ神は今の現に在りこせど 踏みし仏は行方知らずも)

・まがつみ=四天王の踏む邪鬼。西大寺四王金堂には奈良時代に称徳女帝が造顕された銅製の四体の邪鬼像が残る。残念ながら四天王は焼失したため後世の作である

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩の生誕800年、慈眞和尚没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

*興正菩薩の御教誡

「我執執心をなおすこそ修行者と申しそうらへ。構えて受戒せんとおぼしめさん人は、急ぎて是をとどむべし。戒を受けるはひとえに興法(こうぼう)のためにすべし。もし我がために受戒せんと思わんものは、すべて菩薩戒(ぼさつかい)にあらず。」

・興法=釈尊の教えである仏法、正法を興隆すること。

・菩薩戒=上求菩提、下化衆生の菩薩行を実践するために身につける仏戒。この戒を受ければ、何ものもおそれることのない無畏心が生じ、菩薩の位にのぼれる。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》503

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩傳』(こうしょうぼさつでん)出元亨釈書明律篇(しゅつげんこうしゃくしょめいりつへん)虎関師錬(こかんしれん)著

 

◆密灌(みっかん①)の者は七十余人、道俗(どうぞく②)受戒の者は数万人。放生(ほうじょう③)を諸州に置くこと一千三百五十六所。

 

 密灌=真言密教の伝法灌頂を授けたもの。

 道俗=出家者と在俗の信徒。

 放生=生類を放ってやること。ここでは殺生禁断の地を定めること。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた大阪大学名誉教授(日本中世史・古代中世仏教史)の平雅行先生のメッセージ。

「浄瑠璃寺の美しい景観と、中川寺跡は、日本の財産です。奈良市の計画はとても残念です。」

 

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2015年8月12日 (水)

コスモス寺花だより 8・12

〇秋のコスモス:≪ちらほら咲き≫

・花の時期:9月~11月上旬 9月初めから開花予定。

・種類:30品種

・花数:15万本

・花のピークは9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〔俳句〕

「逃げくらし くらしけり 夏のせみ」一茶

・訳:逃げてはくらし逃げてはくらす夏の蝉。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈室生寺〉

「ささやかに にぬりのたふの たちすます

       このまにあそぶ やまざとのこら」

(細やかに丹塗りの塔の立ち澄ます 木の間に遊ぶ山里の子ら)

〈西大寺〉

「まがつみは いまのうつつに ありこせど

       ふみしほとけの ゆくえしらずも」

(邪つ神は今の現に在りこせど 踏みし仏は行方知らずも)

・まがつみ=四天王の踏む邪鬼。西大寺四王金堂には奈良時代に称徳女帝が造顕された銅製の四体の邪鬼像が残る。残念ながら四天王は焼失したため後世の作である

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩の生誕800年、慈眞和尚没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

*興正菩薩の御教誡

「我執執心をなおすこそ修行者と申しそうらへ。構えて受戒せんとおぼしめさん人は、急ぎて是をとどむべし。戒を受けるはひとえに興法(こうぼう)のためにすべし。もし我がために受戒せんと思わんものは、すべて菩薩戒(ぼさつかい)にあらず。」

・興法=釈尊の教えである仏法、正法を興隆すること。

・菩薩戒=上求菩提、下化衆生の菩薩行を実践するために身につける仏戒。この戒を受ければ、何ものもおそれることのない無畏心が生じ、菩薩の位にのぼれる。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》502

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩傳』(こうしょうぼさつでん)出元亨釈書明律篇(しゅつげんこうしゃくしょめいりつへん)虎関師錬(こかんしれん)著

 

◆正応三年八月二十五日、西大寺に終る、年九十。尊は内に密教を持し、外には律宗を興し、旁(かたわ)ら唯識に渉(わた)る。故を以って講論聞くべく、徒属(としょく①)は振振(しんしん②)として、徳威(とくい③)は四遠(しえん④)に震(ふる)う。

 

 徒属=門弟。門徒。

 振振=群れ飛ぶ鳥のように盛んなこと。

 徳威=徳のいきおい。

 四遠=四方の遠いはて。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた大阪大学名誉教授(日本中世史・古代中世仏教史)の平雅行先生のメッセージ。

「浄瑠璃寺の美しい景観と、中川寺跡は、日本の財産です。奈良市の計画はとても残念です。」

 

 

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2015年8月11日 (火)

コスモス寺花だより 8・11

〇秋のコスモス:≪ちらほら咲き≫

・花の時期:9月~11月上旬 9月初めから開花予定。

・種類:30品種

・花数:15万本

・花のピークは9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〔俳句〕

「蝉なくや 我家も石に なるように」一茶

・訳:蝉がけたたましく鳴いているよ。わが家も石になるほどに。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈室生寺〉

「ささやかに にぬりのたふの たちすます

       このまにあそぶ やまざとのこら」

(細やかに丹塗りの塔の立ち澄ます 木の間に遊ぶ山里の子ら)

〈西大寺〉

「まがつみは いまのうつつに ありこせど

       ふみしほとけの ゆくえしらずも」

(邪つ神は今の現に在りこせど 踏みし仏は行方知らずも)

・まがつみ=四天王の踏む邪鬼。西大寺四王金堂には奈良時代に称徳女帝が造顕された銅製の四体の邪鬼像が残る。残念ながら四天王は焼失したため後世の作である

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩の生誕800年、慈眞和尚没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

*興正菩薩の御教誡

「我執執心をなおすこそ修行者と申しそうらへ。構えて受戒せんとおぼしめさん人は、急ぎて是をとどむべし。戒を受けるはひとえに興法(こうぼう)のためにすべし。もし我がために受戒せんと思わんものは、すべて菩薩戒(ぼさつかい)にあらず。」

・興法=釈尊の教えである仏法、正法を興隆すること。

・菩薩戒=上求菩提、下化衆生の菩薩行を実践するために身につける仏戒。この戒を受ければ、何ものもおそれることのない無畏心が生じ、菩薩の位にのぼれる。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》501

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩傳』(こうしょうぼさつでん)出元亨釈書明律篇(しゅつげんこうしゃくしょめいりつへん)虎関師錬(こかんしれん)著

◆文応上皇(亀山上皇)は尊の戒行を聞こしめし、詔して宮に入らしめ菩薩大戒を受く。后妃公侯は望塵(ぼうじん①)稟受(ひんじゅ②)の者多し。

 

 望塵=俗塵、世俗を憂える。

 稟受=戒(菩薩戒)を受ける。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた大阪大学名誉教授(日本中世史・古代中世仏教史)の平雅行先生のメッセージ。

「浄瑠璃寺の美しい景観と、中川寺跡は、日本の財産です。奈良市の計画はとても残念です。」

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2015年8月10日 (月)

コスモス寺花だより 8・10

〇秋のコスモス:≪ちらほら咲き≫

・花の時期:9月~11月上旬 9月初めから開花予定。

・種類:30品種

・花数:15万本

・花のピークは9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〔俳句〕

「蝉鳴や 今象潟(きさかた)が つぶれしと」一茶

・訳:蝉が鳴いている。今、象潟がつぶれてしまったと。

・文化元年(1804)六月初旬、出羽大地震、震源地の象潟は隆起し風景が一変した。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈室生寺〉

「ささやかに にぬりのたふの たちすます

       このまにあそぶ やまざとのこら」

(細やかに丹塗りの塔の立ち澄ます 木の間に遊ぶ山里の子ら)

〈西大寺〉

「まがつみは いまのうつつに ありこせど

       ふみしほとけの ゆくえしらずも」

(邪つ神は今の現に在りこせど 踏みし仏は行方知らずも)

・まがつみ=四天王の踏む邪鬼。西大寺四王金堂には奈良時代に称徳女帝が造顕された銅製の四体の邪鬼像が残る。残念ながら四天王は焼失したため後世の作である

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩の生誕800年、慈眞和尚没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

*興正菩薩の御教誡

「我執執心をなおすこそ修行者と申しそうらへ。構えて受戒せんとおぼしめさん人は、急ぎて是をとどむべし。戒を受けるはひとえに興法(こうぼう)のためにすべし。もし我がために受戒せんと思わんものは、すべて菩薩戒(ぼさつかい)にあらず。」

・興法=釈尊の教えである仏法、正法を興隆すること。

・菩薩戒=上求菩提、下化衆生の菩薩行を実践するために身につける仏戒。この戒を受ければ、何ものもおそれることのない無畏心が生じ、菩薩の位にのぼれる。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》500

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩傳』(こうしょうぼさつでん)出元亨釈書明律篇(しゅつげんこうしゃくしょめいりつへん)虎関師錬(こかんしれん)著

◆寛元三年、泉州家原寺(えばらじ)に於いて、また別受の法を行ず。この歳、法華寺文篋(ぶんきょう①)に沙弥尼戒を授く。

建長元年、法華寺に於いて慈善(じぜん②)等に大比丘尼戒を授く。ここに至り、七衆皆備われり。戒学の再興は尊に於いて成るなり。

 

 文篋=文篋房基忍。律法棟梁、生年七十二歳で遷化。

 慈善=聖恵房慈善。法華寺第一世長老。俗姓春華門院新右衛門督。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた大阪大学名誉教授(日本中世史・古代中世仏教史)の平雅行先生のメッセージ。

「浄瑠璃寺の美しい景観と、中川寺跡は、日本の財産です。奈良市の計画はとても残念です。」

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2015年8月 9日 (日)

コスモス寺花だより 8・9

〇秋のコスモス:≪ちらほら咲き≫

なぜか暑い真夏に花が咲いています。種類は「美色混合」と名づけられた赤白ピンク色の可愛い花です。

・花の時期:9月~11月上旬 9月初めから開花予定。

・種類:30品種

・花数:15万本

・花のピークは9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪見ごろ≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〔俳句〕

「湖に 尻を吹かせて 蝉の鳴」一茶

・訳:湖から吹いてくる風に尻を向けて蝉が鳴いている。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈室生寺〉

「ささやかに にぬりのたふの たちすます

       このまにあそぶ やまざとのこら」

(細やかに丹塗りの塔の立ち澄ます 木の間に遊ぶ山里の子ら)

〈西大寺〉

「まがつみは いまのうつつに ありこせど

       ふみしほとけの ゆくえしらずも」

(邪つ神は今の現に在りこせど 踏みし仏は行方知らずも)

・まがつみ=四天王の踏む邪鬼。西大寺四王金堂には奈良時代に称徳女帝が造顕された銅製の四体の邪鬼像が残る。残念ながら四天王は焼失したため後世の作である

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩の生誕800年、慈眞和尚没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

*興正菩薩の御教誡

「我執執心をなおすこそ修行者と申しそうらへ。構えて受戒せんとおぼしめさん人は、急ぎて是をとどむべし。戒を受けるはひとえに興法(こうぼう)のためにすべし。もし我がために受戒せんと思わんものは、すべて菩薩戒(ぼさつかい)にあらず。」

・興法=釈尊の教えである仏法、正法を興隆すること。

・菩薩戒=上求菩提、下化衆生の菩薩行を実践するために身につける仏戒。この戒を受ければ、何ものもおそれることのない無畏心が生じ、菩薩の位にのぼれる。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》499

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩傳』(こうしょうぼさつでん)出元亨釈書明律篇(しゅつげんこうしゃくしょめいりつへん)虎関師錬(こかんしれん)著

◆嘉禎二年、同志の者四人(①)ともに大乗三聚通受法(だいじょうさんじゅうつうじゅほう②)に依り自誓受戒す。爾るより南京西大寺に居し盛んに戒法を弘む。四律五論(しりつごろん③)三大五部(さんだいごぶ④)、研究せざるは無し。

 

 四人=覚盛、有厳、円晴、叡尊。

 大乗三聚通受法=大乗菩薩戒は三聚淨戒(摂律儀戒、摂善法戒、摂律儀戒)であり、三聚戒を同時に受けるのを通受、または総受という。

 四律五論=四律は『十誦律』『四分律』『僧祇律』『五分律』。五論は『毘尼母論』『摩得勒伽論』『善見律毘婆沙』『薩婆多論』『律二十二明了論』。

 三大五部=三大部は唐の道宣著『四分律刪繁補闕行事鈔』『四分律刪補隨機羯磨疏』『四分律含注戒本疏』を言う。五部は三大部に『四分律拾毘尼義鈔』『四分比丘尼鈔』を加える。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた大阪大学名誉教授(日本中世史・古代中世仏教史)の平雅行先生のメッセージ。

「浄瑠璃寺の美しい景観と、中川寺跡は、日本の財産です。奈良市の計画はとても残念です。」

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Dsc04018

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2015年8月 8日 (土)

コスモス寺花だより 8・8

〇秋のコスモス:≪ちらほら咲き≫

昨日の夕方、雨が降りました。いつも通り水やりをしていたところ突然、稲光と落雷の音が大きくなり突風が荒れ狂い、土砂降りの大雨、停電まで起こりました。久しぶりの雨でコスモスは生き返り成長を早めると思います。

・花の時期:9月~11月上旬 9月初めから開花予定。

・種類:30品種

・花数:15万本

・花のピークは9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪五分咲き≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〔俳句〕

「母恋し 恋いしと蝉も 聞ゆらん」一茶

・訳:「母恋し」「母恋し」と蝉も聞いているのだろうね。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈室生寺〉

「ささやかに にぬりのたふの たちすます

       このまにあそぶ やまざとのこら」

(細やかに丹塗りの塔の立ち澄ます 木の間に遊ぶ山里の子ら)

〈西大寺〉

「まがつみは いまのうつつに ありこせど

       ふみしほとけの ゆくえしらずも」

(邪つ神は今の現に在りこせど 踏みし仏は行方知らずも)

・まがつみ=四天王の踏む邪鬼。西大寺四王金堂には奈良時代に称徳女帝が造顕された銅製の四体の邪鬼像が残る。残念ながら四天王は焼失したため後世の作である

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩の生誕800年、慈眞和尚没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

*興正菩薩の御教誡

「我執執心をなおすこそ修行者と申しそうらへ。構えて受戒せんとおぼしめさん人は、急ぎて是をとどむべし。戒を受けるはひとえに興法(こうぼう)のためにすべし。もし我がために受戒せんと思わんものは、すべて菩薩戒(ぼさつかい)にあらず。」

・興法=釈尊の教えである仏法、正法を興隆すること。

・菩薩戒=上求菩提、下化衆生の菩薩行を実践するために身につける仏戒。この戒を受ければ、何ものもおそれることのない無畏心が生じ、菩薩の位にのぼれる。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》498

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩傳』(こうしょうぼさつでん)出元亨釈書明律篇(しゅつげんこうしゃくしょめいりつへん)虎関師錬(こかんしれん)著

 

◆初めて唐の鑑真(がんじん)、天平勝宝六年、律蔵を伝持し上邦(じょうほう)に流行するも、年代悠久にして其の学寝微(しんび①)す。

尊、常に律幢(りつどう)の墔圮(さいひ②)するを痛む。

 

 寝微=すたれおとろえる。

 墔圮=くだけそこなわれる。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた東京大学大学院教授

蓑輪顕量先生(仏教学・東アジア仏教)のメッセージ、

「当尾の里と浄瑠璃寺の自然環境を守ることは、日本人の心を守ることだと思います。壊したらもう元には戻らないのが文化遺産。昔の人の智恵と文化を見直す切っ掛けに。」

 

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2015年8月 7日 (金)

コスモス寺花だより 8・7

〇秋のコスモス:≪ちらほら咲き≫

・花の時期:9月~11月上旬 9月初めから開花予定。

・種類:30品種

・花数:15万本

・花のピークは9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪五分咲き≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〔俳句〕

「觜太(はしぶと)の 夢や見つらん 夜の蝉」一茶

・訳:嘴太鴉の夢でもみたのだろうか。突然鳴きだした夜の蝉。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈室生寺〉

「ささやかに にぬりのたふの たちすます

       このまにあそぶ やまざとのこら」

(細やかに丹塗りの塔の立ち澄ます 木の間に遊ぶ山里の子ら)

〈新薬師寺〉

「かうやくし わがおろがむと のきひくき

       ひるのちまたを なづさひゆくも」

(香薬師、我が拝むと軒低き 昼の衢をなづさひ行くも)

・なづさひゆく=水につかりながら行く。巷を漂いながら行く。

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩の生誕800年、慈眞和尚没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

*興正菩薩の御教誡

「我執執心をなおすこそ修行者と申しそうらへ。構えて受戒せんとおぼしめさん人は、急ぎて是をとどむべし。戒を受けるはひとえに興法(こうぼう)のためにすべし。もし我がために受戒せんと思わんものは、すべて菩薩戒(ぼさつかい)にあらず。」

・興法=釈尊の教えである仏法、正法を興隆すること。

・菩薩戒=上求菩提、下化衆生の菩薩行を実践するために身につける仏戒。この戒を受ければ、何ものもおそれることのない無畏心が生じ、菩薩の位にのぼれる。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》487

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩傳』(こうしょうぼさつでん)出元亨釈書明律篇(しゅつげんこうしゃくしょめいりつへん)虎関師錬(こかんしれん)著

 

◆初めて唐の鑑真(がんじん)、天平勝宝六年、律蔵を伝持し上邦(じょうほう)に流行するも、年代悠久にして其の学寝微(しんび)す。

尊、常に律幢(りつどう)の墔圮(さいひ)するを痛む。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた東京大学大学院教授

蓑輪顕量先生(仏教学・東アジア仏教)のメッセージ、

「当尾の里と浄瑠璃寺の自然環境を守ることは、日本人の心を守ることだと思います。壊したらもう元には戻らないのが文化遺産。昔の人の智恵と文化を見直す切っ掛けに。」

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2015年8月 6日 (木)

コスモス寺花だより 8・6

きょうは広島原爆の日です。午前八時十五分の原爆投下時刻に、当寺では原爆犠牲者の追悼と平和の願いを込めて梵鐘をつきます。

〇秋のコスモス:≪ちらほら咲き≫

猛暑、猛烈な暑さが続いています。日中は野外に立っているだけで汗が吹き出します。植物も暑さに耐えるため、成長を止め葉を縮めています。コスモスは秋の開花のため力を蓄えています。

・花の時期:9月~11月上旬 9月初めから開花予定。

・種類:30品種

・花数:15万本

・花のピークは9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪五分咲き≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〔俳句〕

「萍(うきくさ)の 花からのらん あの雲へ」一茶

・訳:萍の咲いている花から乗ってみよう、あの雲へ。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈室生寺〉

「ささやかに にぬりのたふの たちすます

       このまにあそぶ やまざとのこら」

(細やかに丹塗りの塔の立ち澄ます 木の間に遊ぶ山里の子ら)

〈新薬師寺〉

「かうやくし わがおろがむと のきひくき

       ひるのちまたを なづさひゆくも」

(香薬師、我が拝むと軒低き 昼の衢をなづさひ行くも)

・なづさひゆく=水につかりながら行く。巷を漂いながら行く。

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩の生誕800年、慈眞和尚没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

*興正菩薩の御教誡

「我執執心をなおすこそ修行者と申しそうらへ。構えて受戒せんとおぼしめさん人は、急ぎて是をとどむべし。戒を受けるはひとえに興法(こうぼう)のためにすべし。もし我がために受戒せんと思わんものは、すべて菩薩戒(ぼさつかい)にあらず。」

・興法=釈尊の教えである仏法、正法を興隆すること。

・菩薩戒=上求菩提、下化衆生の菩薩行を実践するために身につける仏戒。この戒を受ければ、何ものもおそれることのない無畏心が生じ、菩薩の位にのぼれる。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》496

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩傳』(こうしょうぼさつでん)出元亨釈書明律篇(しゅつげんこうしゃくしょめいりつへん)

・禅僧、虎関師錬(こかんしれん、1278-1326)によってつくられた『元亨釈書』は30巻からなる日本仏教の通史。1322年(元亨2年)成立。

 

◆釈叡尊は歳十一にして家を離る。醍醐山の叡賢に師事し、十七にして落髪し密乗(みつじょう)を学ぶ。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた東京大学大学院教授

蓑輪顕量先生(仏教学・東アジア仏教)のメッセージ、

「当尾の里と浄瑠璃寺の自然環境を守ることは、日本人の心を守ることだと思います。壊したらもう元には戻らないのが文化遺産。昔の人の智恵と文化を見直す切っ掛けに。」

 

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2015年8月 5日 (水)

コスモス寺花だより 8・5

〇秋のコスモス:≪ちらほら咲き≫

・花の時期:9月~11月上旬 9月初めから開花予定。

・種類:30品種

・花数:15万本

・花のピークは9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫

〇藪萱草(やぶかんぞう):≪終り近し≫別名オニカンゾウ・ワスレグサと呼ばれる橙色の野草。若い芽、蕾は山菜食用になり、根は漢方薬となる。

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪五分咲き≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〔俳句〕

「萍(うきくさ)や 花咲く迄の うき沈(しずみ)」一茶

・訳:萍よ花が咲くまでの間は浮いたり沈んだり。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈室生寺〉

「ささやかに にぬりのたふの たちすます

       このまにあそぶ やまざとのこら」

(細やかに丹塗りの塔の立ち澄ます 木の間に遊ぶ山里の子ら)

〈新薬師寺〉

「かうやくし わがおろがむと のきひくき

       ひるのちまたを なづさひゆくも」

(香薬師、我が拝むと軒低き 昼の衢をなづさひ行くも)

・なづさひゆく=水につかりながら行く。巷を漂いながら行く。

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩の生誕800年、慈眞和尚没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

興正菩薩の御教誡

「只しばらく文字をばいつも読み付けられよ。まず各々心を直さるべし。心を直さぬ学問して何の詮(せん)かある。いかに聖教を習うといえども、菩提心なき人は冥加(みょうが)なきなり、」

・詮=道理。

・冥加=目に見えぬ神仏の加護、助け。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》496

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『思圓上人度人行法結夏記』 鏡慧記

(しえんしょうにんどにんぎょうぼうけちげき)(きょうけいき)

◆入滅

 

正応三年庚寅八月廿五日酉刻。春秋九十歳。通受夏数五十四。別受四十五。

 

   旹

 

正応三年十月九日

   於南都西大寺西室 侍者小苾蒭鏡慧これを記す。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた東京大学大学院教授

蓑輪顕量先生(仏教学・東アジア仏教)のメッセージ、

「当尾の里と浄瑠璃寺の自然環境を守ることは、日本人の心を守ることだと思います。壊したらもう元には戻らないのが文化遺産。昔の人の智恵と文化を見直す切っ掛けに。」


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2015年8月 4日 (火)

コスモス寺花だより 8・4

〇秋のコスモス:≪ちらほら咲き≫

・花の時期:9月~11月上旬 9月初めから開花予定。

・種類:30品種

・花数:15万本

・花のピークは9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫

〇藪萱草(やぶかんぞう):≪終り近し≫別名オニカンゾウ・ワスレグサと呼ばれる橙色の野草。若い芽、蕾は山菜食用になり、根は漢方薬となる。

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪五分咲き≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〔俳句〕

「野なでしこ 我儘咲(わがままざき)が 見事也」一茶

・訳:野に咲くなでしこ。自分勝手に咲く様子が見事だよ。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈室生寺〉

「ささやかに にぬりのたふの たちすます

       このまにあそぶ やまざとのこら」

(細やかに丹塗りの塔の立ち澄ます 木の間に遊ぶ山里の子ら)

〈新薬師寺〉

「かうやくし わがおろがむと のきひくき

       ひるのちまたを なづさひゆくも」

(香薬師、我が拝むと軒低き 昼の衢をなづさひ行くも)

・なづさひゆく=水につかりながら行く。巷を漂いながら行く。

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩の生誕800年、慈眞和尚没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

興正菩薩の御教誡

「只しばらく文字をばいつも読み付けられよ。まず各々心を直さるべし。心を直さぬ学問して何の詮(せん)かある。いかに聖教を習うといえども、菩提心なき人は冥加(みょうが)なきなり、」

・詮=道理。

・冥加=目に見えぬ神仏の加護、助け。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》495

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『思圓上人度人行法結夏記』 鏡慧記

(しえんしょうにんどにんぎょうぼうけちげき)(きょうけいき)

◆結夏年譜

 

初安居嘉禎三年 南京 海龍王寺

暦仁元年より弘長元年に至る 南京 西大寺

弘長二年 鎌倉 清凉寺

弘長三年より正応三年に至る 南京 西大寺

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた東京大学大学院教授

蓑輪顕量先生(仏教学・東アジア仏教)のメッセージ、

「当尾の里と浄瑠璃寺の自然環境を守ることは、日本人の心を守ることだと思います。壊したらもう元には戻らないのが文化遺産。昔の人の智恵と文化を見直す切っ掛けに。」

 

 

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2015年8月 3日 (月)

コスモス寺花だより 8・3

〇秋のコスモス:≪咲きはじめ・ちらほら咲き≫

・花の時期:9月~11月上旬 9月初めから開花予定。

・種類:30品種

・花数:15万本

・花のピークは9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫

〇藪萱草(やぶかんぞう):≪終り近し≫別名オニカンゾウ・ワスレグサと呼ばれる橙色の野草。若い芽、蕾は山菜食用になり、根は漢方薬となる。

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪五分咲き≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〔俳句〕

「なでしこや ままはは木々の 日蔭花」一茶

・訳:なでしこの可憐な花よ。継母・帚木の日蔭の花であっても咲いている。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈室生寺〉

「ささやかに にぬりのたふの たちすます

       このまにあそぶ やまざとのこら」

(細やかに丹塗りの塔の立ち澄ます 木の間に遊ぶ山里の子ら)

〈新薬師寺〉

「かうやくし わがおろがむと のきひくき

       ひるのちまたを なづさひゆくも」

(香薬師、我が拝むと軒低き 昼の衢をなづさひ行くも)

・なづさひゆく=水につかりながら行く。巷を漂いながら行く。

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩の生誕800年、慈眞和尚没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

興正菩薩の御教誡

「只しばらく文字をばいつも読み付けられよ。まず各々心を直さるべし。心を直さぬ学問して何の詮(せん)かある。いかに聖教を習うといえども、菩提心なき人は冥加(みょうが)なきなり、」

・詮=道理。

・冥加=目に見えぬ神仏の加護、助け。

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》494

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『思円上人度人行法結夏記』  鏡慧記

◆毎日不断三時供養法日数幷座敷

 

建長五年癸丑正月一日より正応三年庚寅八月五日に至る。首尾三十八年。都合、一万三千七百三十六箇日。四万二千一百八座。

(つづく)

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので、毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員の先生方の見識が疑われますね。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた東京大学大学院教授

蓑輪顕量先生(仏教学・東アジア仏教)のメッセージ、

「当尾の里と浄瑠璃寺の自然環境を守ることは、日本人の心を守ることだと思います。壊したらもう元には戻らないのが文化遺産。昔の人の智恵と文化を見直す切っ掛けに。」

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2015年8月 2日 (日)

コスモス寺花だより 8・2

〇秋のコスモス:≪咲きはじめ・ちらほら咲き≫

・花の時期:9月~11月上旬 9月初めから開花予定。

・種類:30品種

・花数:15万本

・花のピークは9月下旬から10月中旬ごろ

・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は1017日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫

〇藪萱草(やぶかんぞう):≪終り近し≫別名オニカンゾウ・ワスレグサと呼ばれる橙色の野草。若い芽、蕾は山菜食用になり、根は漢方薬となる。

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪五分咲き≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〔俳句〕

「御地蔵や 花なでしこの 真中に」一茶

・訳:お地蔵さまよ、なでしこの花の真ん中にいますね。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈室生寺〉

「ささやかに にぬりのたふの たちすます

       このまにあそぶ やまざとのこら」

(細やかに丹塗りの塔の立ち澄ます 木の間に遊ぶ山里の子ら)

〈新薬師寺〉

「かうやくし わがおろがむと のきひくき

       ひるのちまたを なづさひゆくも」

(香薬師、我が拝むと軒低き 昼の衢をなづさひ行くも)

・なづさひゆく=水につかりながら行く。巷を漂いながら行く。

*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩の生誕800年、慈眞和尚没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。

興正菩薩の御教誡

「只しばらく文字をばいつも読み付けられよ。まず各々心を直さるべし。心を直さぬ学問して何の詮(せん)かある。いかに聖教を習うといえども、菩提心なき人は冥加(みょうが)なきなり、」

・詮=道理。