コスモス寺花だより 9・30
〇コスモス:≪5分咲き≫ 般若寺コスモスドラマは第二幕に入りました
秋の庭を飾ってくれるコスモス「センセーション」が人の背丈をこえる高さで8~10センチの大きな花を咲かせています。連日の秋晴れのおかげで花数が増えました。いま珍しい品種の花が咲いています。花の中心から複弁を出す「サイケ」、ピンク色の花びらに白や赤で縁取りを付ける「ピコティ」、菊かダリアのような豪華な複弁花である「ダブルクリック ローズボンボン」、花弁が筒状になる「シーシェル」、まだ莟の「イエローガーデン」、「キャンパスシリーズ」などです。満開は10月10日頃からになると思われますが、台風が来ると倒れますから早めにお越しくださいませ。
《秘仏公開》では白鳳阿弥陀仏と一時里帰りの天平薬師仏が仲良く並んでお出迎えしておられます。
そして《ぼさつの寺めぐり》など御朱印が大人気です。
「コスモスを コスモスらしく するは風」蔦三郎
・花の時期:9月~11月上旬
・花数:15万本
・花のピーク、満開は10月中旬から下旬ごろ。(少し遅れています)
・花と灯りと音の祭典「コスモス花あかり」は10月17日(土)と18日(日)午後5時から7時まで。
〇紫苑(しおん):≪満開過ぎ≫
〔俳句〕
「秋霧や 河原なでしこ りんとして」一茶
・訳:河原いちめんを覆っている秋霧よ。そこになでしこがりんと咲く。
〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕
〈奈良坂から浄瑠璃寺へ〉
「ならさかを じやうるりでらに こえむひは
みちのまはにに あしあやまちそ」
(奈良坂を浄瑠璃寺に越えん日は 道の真埴に足過ちそ)
・まはに=真埴。赤土。
〈東大寺三月堂〉
「びしやもんの おもきかかとに まろびふす
おにのもだえも ちとせへにけむ」
(毘沙門の重き踵にまろび伏す 鬼の悶えも千年経にけむ)
*来年(西暦2016年平成28年)は真言律宗の祖師、忍性菩薩(にんしょうぼさつ)の生誕800年、信空慈眞和尚(しんくうじしんわじょう)の没後700年に当たります。お二人は叡尊師の高弟。忍性さんは鎌倉極楽寺に、慈真信空さんは西大寺奥ノ院に御廟塔があります。どちらも菩薩行に生涯をささげられた高僧です。
*興正菩薩の御教誡
「学問は韻(いん)に入るべき事。
修行(しゅぎょう)せずして学問するをば学匠(がくしょう)という。少しも修行のために学問するを智者(ちしゃ)というなり。」
・修行=仏道修行。菩薩行。
・韻=ひびき。音の調子。
・学匠=学問にすぐれた人。学者。
・智者=智慧のすぐれた人。
《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》551
『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』
(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)
『興正菩薩行状畧頌』(こうしょうぼさつぎょうじょうりゃくじゅ)
附 影像瞻礼頌文(ふ えいぞうせんれいじゅぶん)
●図画曼荼授灌頂 五十八歳正嘉二 後七修法満六十 亀山天皇文応元
〔曼荼(まんだ①)を図画し灌頂を授く。五十八歳、正嘉二。後七(日)の(御)修法する。亀山天皇の文応元。〕
① 曼荼=曼荼羅。『感身学正記』建治二年(一二七六)の記事によれば、高野の賢宥が親父の性仏房に勧め、九幅の両界曼荼羅の絹布と砂金十五両を寄進させた。
(つづく)
《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》
日本全国の古都奈良を愛する人たちは、奈良市クリーンセンター(ごみ焼却場)を「中ノ川・東鳴川」地区に建設することに反対しています。
*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点
1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。
2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。
3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。
❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。
〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の不空羂索観音さまです。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。
中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。
*〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉へ賛同を寄せられた小嶋一郎先生(京都感動案内社代表役員、仏像ソムリエ)のメッセージ
「〈守るは難く、壊すは易し。〉千年の保全を、数十年の開発の犠牲にしてしまうのは、誠にもって忍び難いことです。先人の守り伝えてきた日本の原風景を、開発という名の津波にさらすことは出来ません。」