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2016年1月

2016年1月31日 (日)

般若寺花だより  1・31

○水仙:≪終り近し≫ 

「日にうとき 庭の垣根の 霜柱

       水仙に添ひて 炭俵敷く」正岡子規

 

雪中花、今年の水仙の花は暖冬のため早くから咲いています。見ごろは今月いっぱいです。

三十三番札所観音石像の御尊前をかざって咲き、辺りに芳香が漂っています。

 

〔俳句〕

「万歳や 馬の尻へも 一祝(ひといはひ)」一茶

・訳:万歳がやってきたよ。馬のお尻へもめでたい新年のお祝い。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに ふれるしらゆき あすのごと

       けぬべくわれは いにしへおもほゆ」

(春日野に降れる白雪明日のごと 消ぬべく我は古しえ思ほゆ)

 

〈浄瑠璃寺にて〉

「びしやもんの ふりしころもの すそのうらに

        くれなゐもゆる はうさうげかな」

(毘沙門の古りし衣の裾裏に 紅燃ゆる宝相華かな)

 

*興正菩薩(こうしょうぼさつ)の御教誡

「名利(みょうり①)を離れ学を修すべき事

当時の修学者のありさま、名利のために正法を学びてそうろう。律義(りちぎ②)の者と成って地獄の業因(ごういん③)を植う。諍(そう④)の義のために仏法を学び世智弁聡(せちべんそう⑤)のものとなって、たまたま仏法に遭いながら八難(はちなん⑥)の随一、地獄の業因を植えること、実に悲しむべし。よくよく思慮すべきことなり。」

 

 名利=名聞利養。名誉欲と利欲。

 律義=梵・サンバラ。禁戒と訳す。善行のこと、また善行を行うよう定めた戒法。

 業因=未来に苦楽の果報を招く因となる善悪の行為。

 諍=あらそい、いさかい。

 世智弁聡=八難の一つ。世知にたけて邪見におちいること。また、そのさま。

 八難=仏道修行の妨げとなる八つの障難。地獄・餓鬼・畜生の三悪道に長寿天・辺地・盲聾瘖瘂・世智弁聡・仏前仏後。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》662

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『京師報恩教寺佛牙舎利縁起』

(けいしほうおんきょうじぶつげしゃりえんぎ)

◆第三生はすなわち今身是なり。高き諱(いみな)は道宣(どうせん)、字(あざな)は法徧(ほうへん)。京華に在りて生長す。母、大師を懐に抱くの日に、月が懐を貫くを夢みる。因りて孕(はら)む有り。又、夢に梵僧語りて曰く、仁者とは所懐の子、すなわち梁の僧祐律師、宜しく出家せしむれば大いに仏法を弘む。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

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2016年1月30日 (土)

般若寺花だより  1・30

○水仙:≪終り近し≫ 

「日にうとき 庭の垣根の 霜柱

       水仙に添ひて 炭俵敷く」正岡子規

 

雪中花、今年の水仙の花は暖冬のため早くから咲いています。見ごろは今月いっぱいです。

三十三番札所観音石像の御尊前をかざって咲き、辺りに芳香が漂っています。

 

〔俳句〕

「万歳の まかり出たよ 親子連れ」一茶

・訳:万歳がやってきたよ。みれば親子連れ。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに ふれるしらゆき あすのごと

       けぬべくわれは いにしへおもほゆ」

(春日野に降れる白雪明日のごと 消ぬべく我は古しえ思ほゆ)

 

〈浄瑠璃寺にて〉

「びしやもんの ふりしころもの すそのうらに

        くれなゐもゆる はうさうげかな」

(毘沙門の古りし衣の裾裏に 紅燃ゆる宝相華かな)

 

*興正菩薩(こうしょうぼさつ)の御教誡

「名利(みょうり①)を離れ学を修すべき事

当時の修学者のありさま、名利のために正法を学びてそうろう。律義(りちぎ②)の者と成って地獄の業因(ごういん③)を植う。諍(そう④)の義のために仏法を学び世智弁聡(せちべんそう⑤)のものとなって、たまたま仏法に遭いながら八難(はちなん⑥)の随一、地獄の業因を植えること、実に悲しむべし。よくよく思慮すべきことなり。」

 

 名利=名聞利養。名誉欲と利欲。

 律義=梵・サンバラ。禁戒と訳す。善行のこと、また善行を行うよう定めた戒法。

 業因=未来に苦楽の果報を招く因となる善悪の行為。

 諍=あらそい、いさかい。

 世智弁聡=八難の一つ。世知にたけて邪見におちいること。また、そのさま。

 八難=仏道修行の妨げとなる八つの障難。地獄・餓鬼・畜生の三悪道に長寿天・辺地・盲聾瘖瘂・世智弁聡・仏前仏後。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》661

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『京師報恩教寺佛牙舎利縁起』

(けいしほうおんきょうじぶつげしゃりえんぎ)

◆第二生は梁朝に生まれる。名は僧祐(そうゆう①)。金陵鐘山定林寺に住す。弘明集(ぐみょうしゅう②)十巻及び師資伝幷に諸記伝等を著わす。広くは僧伝(そうでん③)に具に述ぶるが如し。〔朱「十一二十一一紙」〕

 

 僧祐=AD435518.。中国、梁の僧。律を学び梁の武帝の厚い帰依を受けた。

 弘明集=東晋以来の儒教、仏教、道教の主要な人物の間でかわされた論争を集録した書。

 僧伝=梁高僧伝。慧皎撰十四巻。名僧、高僧の伝記を編んだ書。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

 

 

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2016年1月29日 (金)

般若寺花だより  1・29

○水仙:≪終り近し≫ 

「日にうとき 庭の垣根の 霜柱

       水仙に添ひて 炭俵敷く」正岡子規

 

雪中花、今年の水仙の花は暖冬のため早くから咲いています。見ごろは今月いっぱいです。

三十三番札所観音石像の御尊前をかざって咲き、辺りに芳香が漂っています。

 

〔俳句〕

「大凧の りんとしてある 日暮哉」一茶

・訳:大きな凧が空に凛としてあがっている、そんな春の日暮れだなあ。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに ふれるしらゆき あすのごと

       けぬべくわれは いにしへおもほゆ」

(春日野に降れる白雪明日のごと 消ぬべく我は古しえ思ほゆ)

 

〈浄瑠璃寺にて〉

「びしやもんの ふりしころもの すそのうらに

        くれなゐもゆる はうさうげかな」

(毘沙門の古りし衣の裾裏に 紅燃ゆる宝相華かな)

 

*興正菩薩(こうしょうぼさつ)の御教誡

「名利(みょうり①)を離れ学を修すべき事

当時の修学者のありさま、名利のために正法を学びてそうろう。律義(りちぎ②)の者と成って地獄の業因(ごういん③)を植う。諍(そう④)の義のために仏法を学び世智弁聡(せちべんそう⑤)のものとなって、たまたま仏法に遭いながら八難(はちなん⑥)の随一、地獄の業因を植えること、実に悲しむべし。よくよく思慮すべきことなり。」

 

 名利=名聞利養。名誉欲と利欲。

 律義=梵・サンバラ。禁戒と訳す。善行のこと、また善行を行うよう定めた戒法。

 業因=未来に苦楽の果報を招く因となる善悪の行為。

 諍=あらそい、いさかい。

 世智弁聡=八難の一つ。世知にたけて邪見におちいること。また、そのさま。

 八難=仏道修行の妨げとなる八つの障難。地獄・餓鬼・畜生の三悪道に長寿天・辺地・盲聾瘖瘂・世智弁聡・仏前仏後。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》660

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『京師報恩教寺佛牙舎利縁起』

(けいしほうおんきょうじぶつげしゃりえんぎ)

◆第一生は齋(斉ヵ)朝に生まれる。名は僧護(そうご)、越州剡溪石城山隠嶽寺に住す。遂に発願して弥勒石像高一百尺を鐫(ほ)る。今に至るも見存(けんぞん①)せり。年一百二十歳にして終える。広く有名なる行は、具(つぶさ)に僧伝の如し。〔朱「高僧伝十三十一紙」〕

 

 見存=現存。

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

 

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2016年1月28日 (木)

般若寺花だより  1・28

○水仙:≪終り近し≫ 

「日にうとき 庭の垣根の 霜柱

       水仙に添ひて 炭俵敷く」正岡子規

 

雪中花、今年の水仙の花は暖冬のため早くから咲いています。見ごろは今月いっぱいです。

三十三番札所観音石像の御尊前をかざって咲き、辺りに芳香が漂っています。

 

〔俳句〕

「子守唄 雀が雪も とけにけり」一茶

・訳:子守唄が聞こえ、雀が遊んでいた雪も解け出したよなあ。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに ふれるしらゆき あすのごと

       けぬべくわれは いにしへおもほゆ」

(春日野に降れる白雪明日のごと 消ぬべく我は古しえ思ほゆ)

 

〈浄瑠璃寺にて〉

「びしやもんの ふりしころもの すそのうらに

        くれなゐもゆる はうさうげかな」

(毘沙門の古りし衣の裾裏に 紅燃ゆる宝相華かな)

 

*興正菩薩(こうしょうぼさつ)の御教誡

「名利(みょうり①)を離れ学を修すべき事

当時の修学者のありさま、名利のために正法を学びてそうろう。律義(りちぎ②)の者と成って地獄の業因(ごういん③)を植う。諍(そう④)の義のために仏法を学び世智弁聡(せちべんそう⑤)のものとなって、たまたま仏法に遭いながら八難(はちなん⑥)の随一、地獄の業因を植えること、実に悲しむべし。よくよく思慮すべきことなり。」

 

 名利=名聞利養。名誉欲と利欲。

 律義=梵・サンバラ。禁戒と訳す。善行のこと、また善行を行うよう定めた戒法。

 業因=未来に苦楽の果報を招く因となる善悪の行為。

 諍=あらそい、いさかい。

 世智弁聡=八難の一つ。世知にたけて邪見におちいること。また、そのさま。

 八難=仏道修行の妨げとなる八つの障難。地獄・餓鬼・畜生の三悪道に長寿天・辺地・盲聾瘖瘂・世智弁聡・仏前仏後。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》659

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『京師報恩教寺佛牙舎利縁起』

(けいしほうおんきょうじぶつげしゃりえんぎ)

◆又准僧祇律(じゅんそうぎりつ①)に云う。一牙は帝釈宮(たいしゃくぐう②)に在り。一牙は健陀羅国(けんだらこく③)に在り。一牙は羯陵迦国(かつりょうぎゃこく④)に在り。一牙は海龍王宮(かいりゅうおうきゅう⑤)に在り。又行状に云う。南山澄照大師(なんざんちょうしょうだいし⑥)はすなわち三生持律(さんしょうじりつ⑦)の人なり。

 

 准僧祇律=摩訶僧祇律か。部派の大衆部の律蔵。

 帝釈宮=帝釈天の住む宮殿。須弥山のいただきの忉利天にあるとされる。

 健陀羅国=ガンダーラ国。

 羯陵迦国=カリンガ国。

 海龍王宮=海龍王の宮殿。海龍王は海中に住み、海や雨をつかさどるという龍宮浄土の王。龍神、龍王。

 南山澄照大師=終南山の道宣律師。南山律宗の祖。

 三生持律=前生(ぜんしょう・過去)、現生(げんしょう・現在)、後生(ごしょう・未来)に亘り戒律をよく保つ人。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

 

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2016年1月26日 (火)

般若寺花だより  1・26

○水仙:≪満開≫ 

「日にうとき 庭の垣根の 霜柱

       水仙に添ひて 炭俵敷く」正岡子規

 

雪中花、今年の水仙の花は暖冬のため早くから咲いています。見ごろは今月いっぱいです。

三十三番札所観音石像の御尊前をかざって咲き、辺りに芳香が漂っています。

 

〔俳句〕

「雪とけて 村一ぱいの 子ども哉」一茶

・訳:雪がとけて、家々から出て来た村いっぱいの子どもたちよ。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに ふれるしらゆき あすのごと

       けぬべくわれは いにしへおもほゆ」

(春日野に降れる白雪明日のごと 消ぬべく我は古しえ思ほゆ)

 

〈浄瑠璃寺にて〉

「びしやもんの ふりしころもの すそのうらに

        くれなゐもゆる はうさうげかな」

(毘沙門の古りし衣の裾裏に 紅燃ゆる宝相華かな)

 

*興正菩薩(こうしょうぼさつ)の御教誡

「名利(みょうり①)を離れ学を修すべき事

当時の修学者のありさま、名利のために正法を学びてそうろう。律義(りちぎ②)の者と成って地獄の業因(ごういん③)を植う。諍(そう④)の義のために仏法を学び世智弁聡(せちべんそう⑤)のものとなって、たまたま仏法に遭いながら八難(はちなん⑥)の随一、地獄の業因を植えること、実に悲しむべし。よくよく思慮すべきことなり。」

 

 名利=名聞利養。名誉欲と利欲。

 律義=梵・サンバラ。禁戒と訳す。善行のこと、また善行を行うよう定めた戒法。

 業因=未来に苦楽の果報を招く因となる善悪の行為。

 諍=あらそい、いさかい。

 世智弁聡=八難の一つ。世知にたけて邪見におちいること。また、そのさま。

 八難=仏道修行の妨げとなる八つの障難。地獄・餓鬼・畜生の三悪道に長寿天・辺地・盲聾瘖瘂・世智弁聡・仏前仏後。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》658

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『京師報恩教寺佛牙舎利縁起』

(けいしほうおんきょうじぶつげしゃりえんぎ)

◆釈迦牟尼薄伽梵(しゃかむにばぎゃぼん①)は、周の照(昭ヵ)王(しゅうのしょうおう②)廿六年甲寅四月八日誕生す。周の穆王(しゅうのぼくおう③)三年癸未二月八日成道す。〔三十〕。同五十四年癸酉二月十五日入滅す。〔八十〕。荼毘経(だびきょう④)に云う。

仏に四牙(しげ⑤)有り。一牙は帝釈宮(たいしゃくぐう⑥)に在り。一牙は羅刹(らせつ⑦)のために盗まるる。

 

 釈迦牟尼薄伽梵=シャカムニは釈迦族の聖者。薄伽梵=仏の敬称の一つ。世尊、有徳などと訳される。

 周の昭王=中国、周第四代の王。

 周の穆王=周の第五代国王。昭王の子。

 荼毘経=不詳。

 四牙=牙は奥歯、あるいは犬歯(糸切り歯)をいう。

 帝釈宮=帝釈天の住む宮殿。須弥山の頂の利天(とうりてん)にあり、殊勝殿ともいう。

 羅刹=速疾鬼、可畏と訳す。悪鬼。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

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2016年1月25日 (月)

般若寺花だより  1・25

○水仙:≪満開≫ 

「日にうとき 庭の垣根の 霜柱

       水仙に添ひて 炭俵敷く」正岡子規

 

雪中花、今年の水仙の花は暖冬のため早くから咲いています。見ごろは今月いっぱいです。

三十三番札所観音石像の御尊前をかざって咲き、辺りに芳香が漂っています。

 

〔俳句〕

「と(疾)くとけよ 貧乏雪と そしらるる」一茶

・訳:早く解けなさいよ。いつまでも残っていると、貧乏を招く雪と叱られる。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに ふれるしらゆき あすのごと

       けぬべくわれは いにしへおもほゆ」

(春日野に降れる白雪明日のごと 消ぬべく我は古しえ思ほゆ)

 

〈浄瑠璃寺にて〉

「びしやもんの ふりしころもの すそのうらに

        くれなゐもゆる はうさうげかな」

(毘沙門の古りし衣の裾裏に 紅燃ゆる宝相華かな)

 

*興正菩薩(こうしょうぼさつ)の御教誡

「名利(みょうり①)を離れ学を修すべき事

当時の修学者のありさま、名利のために正法を学びてそうろう。律義(りちぎ②)の者と成って地獄の業因(ごういん③)を植う。諍(そう④)の義のために仏法を学び世智弁聡(せちべんそう⑤)のものとなって、たまたま仏法に遭いながら八難(はちなん⑥)の随一、地獄の業因を植えること、実に悲しむべし。よくよく思慮すべきことなり。」

 

 名利=名聞利養。名誉欲と利欲。

 律義=梵・サンバラ。禁戒と訳す。善行のこと、また善行を行うよう定めた戒法。

 業因=未来に苦楽の果報を招く因となる善悪の行為。

 諍=あらそい、いさかい。

 世智弁聡=八難の一つ。世知にたけて邪見におちいること。また、そのさま。

 八難=仏道修行の妨げとなる八つの障難。地獄・餓鬼・畜生の三悪道に長寿天・辺地・盲聾瘖瘂・世智弁聡・仏前仏後。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》658

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩四百年忌諷誦文』

(こうしょうぼさつよんひゃくねんきふうじゅもん)

◆伏して願わくは、三昧は宝の雨を施し、十類の昏旻(こんびん①)に懸け注ぐ。

木叉(もくしゃ②)は鵝珠(がしゅ③)を護り、四生(ししょう④)の冥衢(めいく⑤)を煽暎(せんえい⑥)す。桂花馥郁(けいかふくいく⑦)として、駢(なら)びて金粟仏(きんぞくぶつ⑧)の肉身(にくしん⑨)を開く。山月は澄晧(ちょうこう⑩)として灯明を露出し面目(めんぼく⑪)を尊ぶ。宗幢(そうとう⑫)は再び崛起(くっき⑬)して、苦海(くかい⑭)は均しく抜濟(ばっさい⑮)せり。仍って諷誦(ふうじゅ)修する所件のごとし。衆僧等敬って白す。

 

元禄二年八月廿五日

 

 昏旻=日暮れの暗い空。

 木叉=波羅提木叉(はらだいもくしゃ)。比丘・比丘尼が守るべき戒律の条文。戒本。

 鵝珠=

 四生=生き物の生れ方で四つに分類される。胎生、卵生、湿生、化生。

 冥衢=暗い道。

 煽暎=あおり映す。

 桂花馥郁=木犀の花がさかんに香っている。

 金粟仏=維摩居士。

 肉身=父母より生を受けた生身の肉体。

 澄晧=すみきって白い。

 面目=姿かたち。世間の評価。

 宗幢=宗の教えのはた。

 崛起=高くそびえたつ。

 苦海=この世の苦しみの大きいことを海にたとえた語。

 抜濟=衆生の苦を取り去り、難を救うこと。

(終わり)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

 

 

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2016年1月24日 (日)

般若寺花だより  1・24

○水仙:≪満開≫ 

「日にうとき 庭の垣根の 霜柱

       水仙に添ひて 炭俵敷く」正岡子規

 

雪中花、今年の水仙の花は暖冬のため早くから咲いています。見ごろは今月いっぱいです。

三十三番札所観音石像の御尊前をかざって咲き、辺りに芳香が漂っています。

〔俳句〕

「壁の穴や 我初空も うつくしき」一茶

・訳:壁の穴よ。そこからのぞく我が家の初空もうつくしい。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに ふれるしらゆき あすのごと

       けぬべくわれは いにしへおもほゆ」

(春日野に降れる白雪明日のごと 消ぬべく我は古しえ思ほゆ)

 

〈浄瑠璃寺にて〉

「びしやもんの ふりしころもの すそのうらに

        くれなゐもゆる はうさうげかな」

(毘沙門の古りし衣の裾裏に 紅燃ゆる宝相華かな)

 

*興正菩薩(こうしょうぼさつ)の御教誡

「名利(みょうり①)を離れ学を修すべき事

当時の修学者のありさま、名利のために正法を学びてそうろう。律義(りちぎ②)の者と成って地獄の業因(ごういん③)を植う。諍(そう④)の義のために仏法を学び世智弁聡(せちべんそう⑤)のものとなって、たまたま仏法に遭いながら八難(はちなん⑥)の随一、地獄の業因を植えること、実に悲しむべし。よくよく思慮すべきことなり。」

 

 名利=名聞利養。名誉欲と利欲。

 律義=梵・サンバラ。禁戒と訳す。善行のこと、また善行を行うよう定めた戒法。

 業因=未来に苦楽の果報を招く因となる善悪の行為。

 諍=あらそい、いさかい。

 世智弁聡=八難の一つ。世知にたけて邪見におちいること。また、そのさま。

 八難=仏道修行の妨げとなる八つの障難。地獄・餓鬼・畜生の三悪道に長寿天・辺地・盲聾瘖瘂・世智弁聡・仏前仏後。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》657

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩四百年忌諷誦文』

(こうしょうぼさつよんひゃくねんきふうじゅもん)

◆亞(ついで)仏を悦(した)うの舞楽を奏し、伽陀を讃し、具(つぶさ)に人々は彼の祖(おや)に毓(はぐく)まれるに匪(あら)ざるはなし。各々、曷(なんぞ)師の徳を霑(うるお)さん。親しく赤寸(せきすん①)の精誠(せいせい②)を修し、用(もって)円極の雄恩に酬(むく)いんや。吾が祖の霊、月の如く天に耀かん。大寂光中の蓮眸洞鑑(れんぼうとうかん③)たり。

 

 赤寸=尺寸。少しばかりの。

 精誠=真心を込めること。

 蓮眸洞鑑=蓮のひとみと洞の鏡。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

 

 

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2016年1月22日 (金)

般若寺花だより  1・22

○水仙:≪満開≫ 

「日にうとき 庭の垣根の 霜柱

       水仙に添ひて 炭俵敷く」正岡子規

 

雪中花、今年の水仙の花は暖冬のため早くから咲いています。見ごろは今月いっぱいです。

三十三番札所観音石像の御尊前をかざって咲き、辺りに芳香が漂っています。

〔俳句〕

「初空へ さし出す獅子の 首(かしら)哉」一茶

・訳:新春の初空へ景気よくさしだした獅子の頭の見事さよ。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに ふれるしらゆき あすのごと

       けぬべくわれは いにしへおもほゆ」

(春日野に降れる白雪明日のごと 消ぬべく我は古しえ思ほゆ)

 

〈浄瑠璃寺にて〉

「びしやもんの ふりしころもの すそのうらに

        くれなゐもゆる はうさうげかな」

(毘沙門の古りし衣の裾裏に 紅燃ゆる宝相華かな)

 

*興正菩薩(こうしょうぼさつ)の御教誡

「名利(みょうり①)を離れ学を修すべき事

当時の修学者のありさま、名利のために正法を学びてそうろう。律義(りちぎ②)の者と成って地獄の業因(ごういん③)を植う。諍(そう④)の義のために仏法を学び世智弁聡(せちべんそう⑤)のものとなって、たまたま仏法に遭いながら八難(はちなん⑥)の随一、地獄の業因を植えること、実に悲しむべし。よくよく思慮すべきことなり。」

 

 名利=名聞利養。名誉欲と利欲。

 律義=梵・サンバラ。禁戒と訳す。善行のこと、また善行を行うよう定めた戒法。

 業因=未来に苦楽の果報を招く因となる善悪の行為。

 諍=あらそい、いさかい。

 世智弁聡=八難の一つ。世知にたけて邪見におちいること。また、そのさま。

 八難=仏道修行の妨げとなる八つの障難。地獄・餓鬼・畜生の三悪道に長寿天・辺地・盲聾瘖瘂・世智弁聡・仏前仏後。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》656

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩四百年忌諷誦文』

(こうしょうぼさつよんひゃくねんきふうじゅもん)

◆奈何(いかに)。疇昔(ちゅうせき①)正応仲秋(しょうおうちゅうしゅう②)、遽爾(にわかに)寝化(しんけ③)す。其の乗願(じょうがん④)の輪、甞(かつ)て慧日の西に墜つる(⑤)を痛む。倒戈返照(とうかへんしょう⑥)に由無し。星霜漸く変じ、既に四百年の諱辰(きしん)、龍象(りゅうぞう⑦)咸(みな)臻(いた)り、幾(こいねがわくは)鳩数千指の海衆、丕(おおいに)曼拏(まんだ)の法会を建て、伊蒲饍(いほせん)を備う。

(この段解読不能の箇所あり、仮に読めるもの也)

 

 疇昔=過去のある日。昔。

 正応仲秋=正応三年八月。

 寝化=教化をやすむ。

 乗願=仏法の誓願

 慧日の西に堕つる=興正菩薩の遷化されたこと。

 倒戈返照=戈(ほこ)をさかさにする

 龍象=高徳の僧を龍と象にたとえる。

 伊蒲饍=伊蒲(伊水の菖蒲)の供え物。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

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2016年1月20日 (水)

般若寺花だより  1・20

○水仙:≪満開≫ 

「日にうとき 庭の垣根の 霜柱

       水仙に添ひて 炭俵敷く」正岡子規

 

雪中花、今年の水仙の花は暖冬のため早くから咲いています。見ごろは今月いっぱいです。

三十三番札所観音石像の御尊前をかざって咲き、辺りによい香が漂っています。

〔俳句〕

「春立(たつ)や 愚の上に又 愚にかへる」一茶

・訳:生き延びて新年を迎えたなあ。愚かに生きてきた上に、また愚に戻って行く。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに ふれるしらゆき あすのごと

       けぬべくわれは いにしへおもほゆ」

(春日野に降れる白雪明日のごと 消ぬべく我は古しえ思ほゆ)

 

〈浄瑠璃寺にて〉

「びしやもんの ふりしころもの すそのうらに

        くれなゐもゆる はうさうげかな」

(毘沙門の古りし衣の裾裏に 紅燃ゆる宝相華かな)

 

*興正菩薩(こうしょうぼさつ)の御教誡

「名利(みょうり①)を離れ学を修すべき事

当時の修学者のありさま、名利のために正法を学びてそうろう。律義(りちぎ②)の者と成って地獄の業因(ごういん③)を植う。諍(そう④)の義のために仏法を学び世智弁聡(せちべんそう⑤)のものとなって、たまたま仏法に遭いながら八難(はちなん⑥)の随一、地獄の業因を植えること、実に悲しむべし。よくよく思慮すべきことなり。」

 

 名利=名聞利養。名誉欲と利欲。

 律義=梵・サンバラ。禁戒と訳す。善行のこと、また善行を行うよう定めた戒法。

 業因=未来に苦楽の果報を招く因となる善悪の行為。

 諍=あらそい、いさかい。

 世智弁聡=八難の一つ。世知にたけて邪見におちいること。また、そのさま。

 八難=仏道修行の妨げとなる八つの障難。地獄・餓鬼・畜生の三悪道に長寿天・辺地・盲聾瘖瘂・世智弁聡・仏前仏後。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》655

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩四百年忌諷誦文』

(こうしょうぼさつよんひゃくねんきふうじゅもん)

◆夫れ以(おもん)みれば、一心法界(いっしんほっかい①)の生滅は氷の如く鎔(と)け、一切賢聖の去来は電の如く掃(なく)す。闇華紅迸(あんかこうほう②)、忽ちに寂を跋河(ばつが③)に唱う。棘林香擘(きょくりんこうはく④)の時、棲神於覩史(せいしんよとし⑤)、惟うに我が祖師一代の鴻徳(こうとく⑥)、熾々然(ししぜん⑦)として火の燎(かがりび)のごとし。蕩々乎(とうとうこ⑧)として風の偃(せき)に似たり。

 

 一心法界=唯心の世界。

 闇華紅逬=闇に華の紅がほとばしる。

 跋河=跋提河(ばつがいがわ)。釈尊が涅槃したクシナガラを流れる川。

 棘林香擘=いばらの林に香りがさける。

 棲神於覩史=神(こころ)は弥勒の浄土、兜率天(とそつてん)に棲む。

 鴻徳=大きな徳。

 熾熾然=火の勢いがさかんなさま。

 蕩蕩乎=ゆったりとしている。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

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2016年1月19日 (火)

般若寺花だより  1・19

○水仙:≪満開≫ 

「日にうとき 庭の垣根の 霜柱

       水仙に添ひて 炭俵敷く」正岡子規

 

雪中花、今年の水仙の花は暖冬のため早くから咲いています。見ごろは今月いっぱいです。

三十三番札所観音石像の御尊前をかざって咲き、辺りによい香が漂っています。

〔俳句〕

「ことしから まふけ遊ぞ 花の娑婆」一茶

・訳:生きながらえて、今年から命のもうけと思って遊び暮らすことになったよ。花のような俗世間を。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに ふれるしらゆき あすのごと

       けぬべくわれは いにしへおもほゆ」

(春日野に降れる白雪明日のごと 消ぬべく我は古しえ思ほゆ)

 

〈浄瑠璃寺にて〉

「びしやもんの ふりしころもの すそのうらに

        くれなゐもゆる はうさうげかな」

(毘沙門の古りし衣の裾裏に 紅燃ゆる宝相華かな)

 

*興正菩薩(こうしょうぼさつ)の御教誡

「名利(みょうり①)を離れ学を修すべき事

当時の修学者のありさま、名利のために正法を学びてそうろう。律義(りちぎ②)の者と成って地獄の業因(ごういん③)を植う。諍(そう④)の義のために仏法を学び世智弁聡(せちべんそう⑤)のものとなって、たまたま仏法に遭いながら八難(はちなん⑥)の随一、地獄の業因を植えること、実に悲しむべし。よくよく思慮すべきことなり。」

 

 名利=名聞利養。名誉欲と利欲。

 律義=梵・サンバラ。禁戒と訳す。善行のこと、また善行を行うよう定めた戒法。

 業因=未来に苦楽の果報を招く因となる善悪の行為。

 諍=あらそい、いさかい。

 世智弁聡=八難の一つ。世知にたけて邪見におちいること。また、そのさま。

 八難=仏道修行の妨げとなる八つの障難。地獄・餓鬼・畜生の三悪道に長寿天・辺地・盲聾瘖瘂・世智弁聡・仏前仏後。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》654

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩三百五十年忌表白』

(こうしょうぼさつさんびゃくごじゅうねんきひょうはく)

〔右に香炉を取り、左に念珠杵を取る〕

◆観(かんがみ)れば夫れ、秋風は匂いを含み、香三昧(こうざんまい①)を現わす。千花は華鮮(あざ)やかにして、花菩薩(はなぼさつ②)に似たり。暁月(ぎょうげつ③)は皓皓(こうこう④)として灯明に異ならず。霧は遠山を繞(めぐ)り塗香の印を顕わす。自然供養は法界に満ちて諸尊の納受は豈に空しかるや。仰ぎ願わくは、三宝久住し、三会の暁(さんねのあかつき⑤)に至らん。伽藍繁栄して、永く傾伏(けいふく⑥)無からんことを。仍って現前の道俗、同じく菩提を成ぜんことを。啓白(けいびゃく⑦)妄(ぼう⑧)ならずして、三宝は知見したまえ。敬って白す。〔小比丘全理、之を草す〕

 

 香三昧=お香の中に悟りの境地である三昧を

 花菩薩=自然界の花にも仏性をみとめ、華が菩薩であると捉えられている。

 暁月=明け方の月。有明の月。

 皓々=白々と光り輝くさま。

 三会の暁=龍華三会。弥勒菩薩が兜率天から人間界へ下って衆生のために三度の説法をする会座。

 傾伏=傾き伏せること。衰退。

 啓白=仏に法会の趣旨、願意を述べること。

 妄=うそ、いつわり。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

 

 

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2016年1月18日 (月)

般若寺花だより  1・18

○水仙:≪満開≫ 

「日にうとき 庭の垣根の 霜柱

       水仙に添ひて 炭俵敷く」正岡子規

 

雪中花、今年の水仙の花は暖冬のため早くから咲いています。見ごろは今月いっぱいです。

三十三番札所観音石像の御尊前をかざって咲き、辺りによい香が漂っています。

〔俳句〕

「あつさりと 春は来にけり 浅黄空」一茶

・訳:あっさりと春が来たなあ。元旦の浅黄空。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに ふれるしらゆき あすのごと

       けぬべくわれは いにしへおもほゆ」

(春日野に降れる白雪明日のごと 消ぬべく我は古しえ思ほゆ)

 

〈浄瑠璃寺にて〉

「びしやもんの ふりしころもの すそのうらに

        くれなゐもゆる はうさうげかな」

(毘沙門の古りし衣の裾裏に 紅燃ゆる宝相華かな)

 

*興正菩薩(こうしょうぼさつ)の御教誡

「名利(みょうり①)を離れ学を修すべき事

当時の修学者のありさま、名利のために正法を学びてそうろう。律義(りちぎ②)の者と成って地獄の業因(ごういん③)を植う。諍(そう④)の義のために仏法を学び世智弁聡(せちべんそう⑤)のものとなって、たまたま仏法に遭いながら八難(はちなん⑥)の随一、地獄の業因を植えること、実に悲しむべし。よくよく思慮すべきことなり。」

 

 名利=名聞利養。名誉欲と利欲。

 律義=梵・サンバラ。禁戒と訳す。善行のこと、また善行を行うよう定めた戒法。

 業因=未来に苦楽の果報を招く因となる善悪の行為。

 諍=あらそい、いさかい。

 世智弁聡=八難の一つ。世知にたけて邪見におちいること。また、そのさま。

 八難=仏道修行の妨げとなる八つの障難。地獄・餓鬼・畜生の三悪道に長寿天・辺地・盲聾瘖瘂・世智弁聡・仏前仏後。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》653

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩三百五十年忌表白』

(こうしょうぼさつさんびゃくごじゅうねんきひょうはく)

〔右に香炉を取り、左に念珠杵を取る〕

◆竊(ひそか)にこの道場、六大法界宮、曼荼の形像、刹塵集会を以って、梵唄歌讃す。糸竹呂律、声字実相、陀羅尼門は奇なる哉。心王諸仏は魏々(ぎぎ①)として青蓮の眼を開き、嬉鬘(きまん②)拍手、索鏁(さくさ③)快心、諸天悦嘉し、善神威を振るう。

 

 巍々=雄大でおごそか。

 嬉鬘=うつくしい髪かざり。

 索鏁=くさりがつきる。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

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2016年1月17日 (日)

般若寺花だより  1・17

○水仙:≪満開≫ 

「日にうとき 庭の垣根の 霜柱

       水仙に添ひて 炭俵敷く」正岡子規

 

雪中花、今年の水仙の花は暖冬のため早くから咲いています。見ごろは今月いっぱいです。

三十三番札所観音石像の御尊前をかざって咲き、辺りによい香が漂っています。

〔俳句〕

「門門(かどかど)の 下駄の泥より 春立ぬ」一茶

・訳:新年の挨拶にやってくる人々の下駄の泥から春がやって来たなあ。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに ふれるしらゆき あすのごと

       けぬべくわれは いにしへおもほゆ」

(春日野に降れる白雪明日のごと 消ぬべく我は古しえ思ほゆ)

 

〈浄瑠璃寺にて〉

「びしやもんの ふりしころもの すそのうらに

        くれなゐもゆる はうさうげかな」

(毘沙門の古りし衣の裾裏に 紅燃ゆる宝相華かな)

 

*興正菩薩(こうしょうぼさつ)の御教誡

「名利(みょうり①)を離れ学を修すべき事

当時の修学者のありさま、名利のために正法を学びてそうろう。律義(りちぎ②)の者と成って地獄の業因(ごういん③)を植う。諍(そう④)の義のために仏法を学び世智弁聡(せちべんそう⑤)のものとなって、たまたま仏法に遭いながら八難(はちなん⑥)の随一、地獄の業因を植えること、実に悲しむべし。よくよく思慮すべきことなり。」

 

 名利=名聞利養。名誉欲と利欲。

 律義=梵・サンバラ。禁戒と訳す。善行のこと、また善行を行うよう定めた戒法。

 業因=未来に苦楽の果報を招く因となる善悪の行為。

 諍=あらそい、いさかい。

 世智弁聡=八難の一つ。世知にたけて邪見におちいること。また、そのさま。

 八難=仏道修行の妨げとなる八つの障難。地獄・餓鬼・畜生の三悪道に長寿天・辺地・盲聾瘖瘂・世智弁聡・仏前仏後。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》652

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩三百五十年忌表白』

(こうしょうぼさつさんびゃくごじゅうねんきひょうはく)

〔右に香炉を取り、左に念珠杵を取る〕

◆いわんやまた、自誓の遺教(じせいのゆいきょう①)に依りて受隨(じゅずい②)し、且は護持せんや。並びに是れ菩薩薫功の力。之に依り一門の諸衆、歩みを本寺に運び、恋慕渇仰を尊影(そんえい③)の前に表す。良(まこと)に以って恩を知り恩に謝す。大聖の誡め、徳を戴き徳に報ず。賢者の誨(おしえ)、仏祖の歓喜は疑い無きものか。

 

 自誓の遺教=自誓受戒を説いた経典、「占察経」。

 受隨=受戒によって戒体を吾身に具し、のち戒体に随って如法に戒行することを隨という。

 尊影=興正菩薩の八十歳のとき造られた肖像。西大寺に現存。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

 

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2016年1月16日 (土)

般若寺花だより  1・16

○水仙:≪満開≫ 

「日にうとき 庭の垣根の 霜柱

       水仙に添ひて 炭俵敷く」正岡子規

 

雪中花、今年の水仙の花は暖冬のため早くから咲いています。見ごろは今月いっぱいです。

三十三番札所観音石像の御尊前をかざって咲き、辺りによい香が漂っています。

 

〔俳句〕

「這(は)へ笑へ 二つになるぞ けさからは」一茶

・訳:這え、笑え、二歳になるぞ、この春からは。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに ふれるしらゆき あすのごと

       けぬべくわれは いにしへおもほゆ」

(春日野に降れる白雪明日のごと 消ぬべく我は古しえ思ほゆ)

 

〈浄瑠璃寺にて〉

「びしやもんの ふりしころもの すそのうらに

        くれなゐもゆる はうさうげかな」

(毘沙門の古りし衣の裾裏に 紅燃ゆる宝相華かな)

 

*興正菩薩(こうしょうぼさつ)の御教誡

「名利(みょうり①)を離れ学を修すべき事

当時の修学者のありさま、名利のために正法を学びてそうろう。律義(りちぎ②)の者と成って地獄の業因(ごういん③)を植う。諍(そう④)の義のために仏法を学び世智弁聡(せちべんそう⑤)のものとなって、たまたま仏法に遭いながら八難(はちなん⑥)の随一、地獄の業因を植えること、実に悲しむべし。よくよく思慮すべきことなり。」

 

 名利=名聞利養。名誉欲と利欲。

 律義=梵・サンバラ。禁戒と訳す。善行のこと、また善行を行うよう定めた戒法。

 業因=未来に苦楽の果報を招く因となる善悪の行為。

 諍=あらそい、いさかい。

 世智弁聡=八難の一つ。世知にたけて邪見におちいること。また、そのさま。

 八難=仏道修行の妨げとなる八つの障難。地獄・餓鬼・畜生の三悪道に長寿天・辺地・盲聾瘖瘂・世智弁聡・仏前仏後。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》651

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩三百五十年忌表白』

(こうしょうぼさつさんびゃくごじゅうねんきひょうはく)

〔右に香炉を取り、左に念珠杵を取る〕

◆釈教の師子(しゃっきょうのしし①)、密乗の応龍(みつじょうのおうりゅう②)。毘尼と密蔵(びにとみつぞう③)を呑合して余力有り。契経と論文(けいきょうとろんぶん④)とを鏡に比(ひ⑤)して明々。在世の利益(ざいせのりやく⑥)は禹筆(うひつ⑦)も書くこと能わず。修得の霊験、誰人か計ること得んや。然れば則ち徳薫甚だ厚く、三百余歳の空に馥(かんば)し。法水は連々として門弟甚だ多し。伽藍また穏やかなり。

 

 釈教の師子=釈尊の教えを獅子に例え、顕教としての戒律の教えを指している。

 密乗の応龍=真言密教の教えを龍に例える。

 毘尼と密蔵=毘尼は毘奈耶、仏が制定した禁戒。密蔵は密教の経蔵。戒と密教。

 契経と論文=三蔵の中の経と論。

 比=照らし出す。

 在世の利益=興正菩薩の在世中における衆生利益。

 禹筆=禹は中国古代の夏の国を建てたといわれる王の名前。禹の筆の意味不詳。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

 

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2016年1月15日 (金)

般若寺花だより  1・15

○水仙:≪満開≫ 

「日にうとき 庭の垣根の 霜柱

       水仙に添ひて 炭俵敷く」正岡子規

 

雪中花、今年の水仙の花は暖冬のため早くから咲いています。見ごろは今月いっぱいです。

三十三番札所観音石像の御尊前をかざって咲き、辺りによい香が漂っています。

 

〔俳句〕

「影ぼしも まめ息才で けさの春」一茶

・訳:影法師も丈夫で健康で迎えた新春よ。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに ふれるしらゆき あすのごと

       けぬべくわれは いにしへおもほゆ」

(春日野に降れる白雪明日のごと 消ぬべく我は古しえ思ほゆ)

 

〈浄瑠璃寺にて〉

「びしやもんの ふりしころもの すそのうらに

        くれなゐもゆる はうさうげかな」

(毘沙門の古りし衣の裾の裏に 紅燃ゆる宝相華かな)

 

*興正菩薩(こうしょうぼさつ)の御教誡

「名利(みょうり①)を離れ学を修すべき事

当時の修学者のありさま、名利のために正法を学びてそうろう。律義(りちぎ②)の者と成って地獄の業因(ごういん③)を植う。諍(そう④)の義のために仏法を学び世智弁聡(せちべんそう⑤)のものとなって、たまたま仏法に遭いながら八難(はちなん⑥)の随一、地獄の業因を植えること、実に悲しむべし。よくよく思慮すべきことなり。」

 

 名利=名聞利養。名誉欲と利欲。

 律義=梵・サンバラ。禁戒と訳す。善行のこと、また善行を行うよう定めた戒法。

 業因=未来に苦楽の果報を招く因となる善悪の行為。

 諍=あらそい、いさかい。

 世智弁聡=八難の一つ。世知にたけて邪見におちいること。また、そのさま。

 八難=仏道修行の妨げとなる八つの障難。地獄・餓鬼・畜生の三悪道に長寿天・辺地・盲聾瘖瘂・世智弁聡・仏前仏後。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》650

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩三百五十年忌表白』

(こうしょうぼさつさんびゃくごじゅうねんきひょうはく)

〔右に香炉を取り、左に念珠杵を取る〕

◆其の旨趣はいかに。法性(ほっしょう①)は常然にして三際(さんさい②)を遠離す。仏体は無二にして生滅去来なし。機興即生、縁謝即滅。滅を示すを以っての故に恋慕甚深なり。此の故に懇棘(こんきょく③)を抽(ひ)き、この法会を営む。爰に先師興正菩薩は、実智(じっち④)にて心の蔵を朗(あき)らかにし、大悲は普天(ふてん⑤)を照らす。

 

 法性=すべての存在・現象の真の本性。真如、実相、法界。

 三際=天と地の間を分ける三段階。熱際、冷際、温際。

 懇棘=まごころのこもった心。

 実智=もののありのままの真実のすがたを明らかに知る智。

 普天=あまねくおおう広大な天。全世界。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

 

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2016年1月14日 (木)

般若寺花だより  1・14

○水仙:≪満開≫ 

「日にうとき 庭の垣根の 霜柱

       水仙に添ひて 炭俵敷く」正岡子規

 

雪中花、今年の水仙の花は暖冬のため早くから咲いています。見ごろは今月いっぱいです。

三十三番札所観音石像の御尊前をかざって咲き、辺りによい香が漂っています。

〔俳句〕

「象潟も けふは恨まず 花の春」一茶

・訳:雨が似合いの象潟も今日は恨みの雨ではなく晴れ渡っている。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに ふれるしらゆき あすのごと

       けぬべくわれは いにしへおもほゆ」

(春日野に降れる白雪明日のごと 消ぬべく我は古しえ思ほゆ)

 

〈浄瑠璃寺にて〉

「びしやもんの ふりしころもの すそのうらに

        くれなゐもゆる はうさうげかな」

(毘沙門の古りし衣の裾裏に 紅燃ゆる宝相華かな)

 

*興正菩薩(こうしょうぼさつ)の御教誡

「名利(みょうり①)を離れ学を修すべき事

当時の修学者のありさま、名利のために正法を学びてそうろう。律義(りちぎ②)の者と成って地獄の業因(ごういん③)を植う。諍(そう④)の義のために仏法を学び世智弁聡(せちべんそう⑤)のものとなって、たまたま仏法に遭いながら八難(はちなん⑥)の随一、地獄の業因を植えること、実に悲しむべし。よくよく思慮すべきことなり。」

 

 名利=名聞利養。名誉欲と利欲。

 律義=梵・サンバラ。禁戒と訳す。善行のこと、また善行を行うよう定めた戒法。

 業因=未来に苦楽の果報を招く因となる善悪の行為。

 諍=あらそい、いさかい。

 世智弁聡=八難の一つ。世知にたけて邪見におちいること。また、そのさま。

 八難=仏道修行の妨げとなる八つの障難。地獄・餓鬼・畜生の三悪道に長寿天・辺地・盲聾瘖瘂・世智弁聡・仏前仏後。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》649

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩三百五十年忌表白』

(こうしょうぼさつさんびゃくごじゅうねんきひょうはく)

〔右に香炉を取り、左に念珠、杵を取る〕

◆方(まさ)に今、南贍部州(なんせんぶしゅう①)、大日本国和州添下郡、西大寺宝塔院(さいだいじほうとういん②)、現前の諸衆ら謹んで先師興正菩薩の三百五十光陰(こういん③)を迎え、真恩報謝のために、秘密の霊閣を厳かにし、両部の摩訶曼荼羅を勧請し、六種の妙供(ろくしゅのみょうく④)を捧げ、舞楽を調え讃嘆し、遮那(しゃな⑤)内証、三密の瑜伽を修し、祖師の善願を資(たす)けんとす。

 

 南贍部洲=南閻浮提(なんえんぶだい)。須弥山南方海上にある大陸とされ、人間の住む世界。

 西大寺宝塔院=奈良時代創建時の東塔のこと。興正菩薩が入寺したころは律僧達の活動拠点であった。

 光陰=歳月。

 六種の妙供=閼伽、塗香、華、焚香、飲食、灯明。これは六波羅蜜の布施、持戒、忍辱、精進、禅定、知恵を表す。

 遮那=摩訶毘盧遮那仏。大日如来。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

 

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2016年1月13日 (水)

般若寺花だより  1・13

○水仙:≪満開≫ 

「うつくしき 素足の冬の 来りけり

       ちらほらと咲く 水仙の花」与謝野晶子

 

雪中花、水仙の花は暖冬のため早く咲き出したので、見ごろは今月中です。

三十三番札所観音石像の御尊前をかざって咲き、辺りによい香が漂っています。

〔俳句〕

「こんな身も 拾ふ神ありて 花の春」一茶

・訳:こんな身でも拾ってくれる神があって新春を迎えた。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに ふれるしらゆき あすのごと

       けぬべくわれは いにしへおもほゆ」

(春日野に降れる白雪明日のごと 消ぬべく我は古しえ思ほゆ)

 

〈浄瑠璃寺にて〉

「びしやもんの ふりしころもの すそのうらに

        くれなゐもゆる はうさうげかな」

(毘沙門の古りし衣の裾裏に 紅燃ゆる宝相華かな)

 

*興正菩薩(こうしょうぼさつ)の御教誡

「名利(みょうり①)を離れ学を修すべき事

当時の修学者のありさま、名利のために正法を学びてそうろう。律義(りちぎ②)の者と成って地獄の業因(ごういん③)を植う。諍(そう④)の義のために仏法を学び世智弁聡(せちべんそう⑤)のものとなって、たまたま仏法に遭いながら八難(はちなん⑥)の随一、地獄の業因を植えること、実に悲しむべし。よくよく思慮すべきことなり。」

 

 名利=名聞利養。名誉欲と利欲。

 律義=梵・サンバラ。禁戒と訳す。善行のこと、また善行を行うよう定めた戒法。

 業因=未来に苦楽の果報を招く因となる善悪の行為。

 諍=あらそい、いさかい。

 世智弁聡=八難の一つ。世知にたけて邪見におちいること。また、そのさま。

 八難=仏道修行の妨げとなる八つの障難。地獄・餓鬼・畜生の三悪道に長寿天・辺地・盲聾瘖瘂・世智弁聡・仏前仏後。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》648

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩三百五十年忌表白』

(こうしょうぼさつさんびゃくごじゅうねんきひょうはく)

〔右に香炉を取り、左に念珠杵を取る〕

◆敬って三密教主、三世常住、淨妙法身、摩訶毘盧遮那如来、金剛胎蔵両部曼荼羅、諸尊聖衆、殊には三国伝燈、諸大阿闍梨耶、惣じては淨法界宮、密厳国土(みつごんこくど①)、帝網重々、一切三宝の境界に、毎驚(ばいけい②)、白して言さく。〔香炉を置く〕

 

 密厳国土=三密の万徳によって荘厳された大日如来の国土(浄土)。

 毎驚=常におどろいて。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

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2016年1月12日 (火)

般若寺花だより  1・12

○水仙:≪満開≫ 

「うつくしき 素足の冬の 来りけり

       ちらほらと咲く 水仙の花」与謝野晶子

 

雪中花、ことしの水仙の花は暖冬のため早くから咲いています。

見ごろは今月いっぱいでしょう。

三十三番札所の観音石像の御尊前をかざって咲き、あたりに香が漂っています。

〔俳句〕

「春立(はるたつ)や 四十三年 人の飯」一茶

・訳:立春が来れば、いよいよ四十三歳だなあ。ずっと他人様の飯を食ってきた。

・江戸期は四十歳から老人とされた。

旧暦では元旦と立春がほぼ一致していて冬と春が交替することを実感し、春の胎動を感じとることができる季語。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに ふれるしらゆき あすのごと

       けぬべくわれは いにしへおもほゆ」

(春日野に降れる白雪明日のごと 消ぬべく我は古しえ思ほゆ)

 

〈望遠〉

「みいくさは よとせをすぎぬ たちとりて

わがともがらの いでたちしより」

(御軍は四年を過ぎぬ太刀取りて 吾が友がらの出立ちしより)

 

*興正菩薩(こうしょうぼさつ)の御教誡

「三毒(さんどく①)を伏すべき事。

 幼少より名利(みょうり②)のためには正法を学せじという願を発してのち、この修行に趣いて四十余年、始めは少々信ずる人も候らいしが、当時は以外の悪世の中にあるべしとも覚えぬほどに候。ここには自身の貪瞋等(とんじんとう③)の煩悩を伏する功によって、人の信も次第にまさる也。内に煩悩を伏せず放逸(ほういつ④)にしてあることは努々(ゆめゆめ)あるまじき也。」

 

 三毒=貪(むさぼり)、瞋(いかり)、癡(無知)の三煩悩。

 名利=名聞利養。名誉欲と物欲。

 貪瞋等=上の三毒。

 放逸=勝手気ままにふるまうこと。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》647

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩三百年忌舞楽曼荼羅供願文』

(こうしょうぼさつさんびゃくねんきぶがくまんだらくがんもん)

西大寺圓秀律師作

◆上綱(しょうこう①)の広大なる恩恵を賁(かざ)り、之を以って緇素(しそ②)繁栄の洪基(こうき③)と為す。塵沙(じんしゃ④)は遍く法雨(ほうう⑤)を浴び、法界(ほっかい⑥)は斉(ひと)しく甘水(かんすい⑦)を灑(そそ)ぐ。末弟(まってい⑧)敬って白す。

 

 天正十七年八月二十五日

 

 上綱=高僧。ここでは興正菩薩。

 緇素=道俗。出家人と在家人

 洪基=大きな事業の基礎。偉業のもとい。

 塵沙=無数の存在。

 法雨=のりのあめ。仏法があまねく衆生を救うのを、雨が万物を潤すことにたとえて言う。

 法界=世界、宇宙。

 甘水=甘露水。仏の教え。

 末弟=末の弟子。

(終わり)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。


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2016年1月11日 (月)

般若寺花だより  1・11

○水仙:≪満開≫ 

「うつくしき 素足の冬の 来りけり

       ちらほらと咲く 水仙の花」与謝野晶子

 

雪中花、水仙の花は暖冬のため早くから咲いているので、見ごろは今月いっぱいになると思います。

三十三番札所の観音石像の御尊前をかざって咲いて、あたりにいい匂いが漂っています。

〔俳句〕

「日の本(もと)や 金も子をうむ 御代(みよ)の春」一茶

・訳:わが日の本の国では金も金の子を生む、ありがたい春をむかえた。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに ふれるしらゆき あすのごと

       けぬべくわれは いにしへおもほゆ」

(春日野に降れる白雪明日のごと 消ぬべく我は古しえ思ほゆ)

 

〈望遠〉

「みいくさは よとせをすぎぬ たちとりて

わがともがらの いでたちしより」

(御軍は四年を過ぎぬ太刀取りて 吾が友がらの出立ちしより)

 

*興正菩薩(こうしょうぼさつ)の御教誡

「三毒(さんどく①)を伏すべき事。

 幼少より名利(みょうり②)のためには正法を学せじという願を発してのち、この修行に趣いて四十余年、始めは少々信ずる人も候らいしが、当時は以外の悪世の中にあるべしとも覚えぬほどに候。ここには自身の貪瞋等(とんじんとう③)の煩悩を伏する功によって、人の信も次第にまさる也。内に煩悩を伏せず放逸(ほういつ④)にしてあることは努々(ゆめゆめ)あるまじき也。」

 

 三毒=貪(むさぼり)、瞋(いかり)、癡(無知)の三煩悩。

 名利=名聞利養。名誉欲と物欲。

 貪瞋等=上の三毒。

 放逸=勝手気ままにふるまうこと。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》646

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩三百年忌舞楽曼荼羅供願文』

(こうしょうぼさつさんびゃくねんきぶがくまんだらくがんもん)

西大寺圓秀律師作

◆故に今、興正菩薩の深重(じんじゅう①)なる本願(ほんがん②)を厳(おごそ)かにせんため、老いも少(わか)きも曼荼羅大供を修し奉る。貴きも賎しきも飜廻(ほんかい③)の雪鳳鸞袖(せつほうらんしゅう④)を進めん。修する所は懇念(こんねん⑤)を抽(ひ)き、上綱は哀憐(あいれん⑥)を垂れ、衰末広廃(すいまつこうはい⑦)を助く。夫れ大樹の幹堅ければ、杖葉も修栄す(ちょうようもしゅうえいす⑧)。本寺再び昌(さか)んなれば、末寺は盍(なん)ぞ勇みて以って之(ゆ)かざらんや。

 

 深重=深く大きい

 本願=もとからの誓願。

 飜廻=ひるがえりめぐる。

 雪鳳鸞袖=雪におおとり、鸞(鳳凰の一種、形は鶏に似て、羽毛は赤色を主として五色がまじり、声は音楽的で美しいという。)の袖。意味不詳。

 懇念=心をこめて念ずること。

 哀憐=悲しみ哀れむこと。

 衰末広廃=末世になれば世はおとろえ広く廃れていく。

⑧杖葉も修栄す=大きな木の幹が堅ければ枝葉も栄える。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

 

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2016年1月10日 (日)

般若寺花だより  1・10

○水仙:≪満開≫ 

「うつくしき 素足の冬の 来りけり

       ちらほらと咲く 水仙の花」与謝野晶子

 

雪中花、水仙の花は暖冬のため早くから咲いているので、見ごろは今月いっぱいになると思います。

三十三番札所の観音石像の御尊前をかざって咲いて、あたりにいい匂いが漂っています。

〔俳句〕

「世の中を ゆり直すらん 日の始」一茶

・訳:世の中を揺らして直すのだろう。一年の始まり。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに ふれるしらゆき あすのごと

       けぬべくわれは いにしへおもほゆ」

(春日野に降れる白雪明日のごと 消ぬべく我は古しえ思ほゆ)

 

〈望遠〉

「みいくさは よとせをすぎぬ たちとりて

わがともがらの いでたちしより」

(御軍は四年を過ぎぬ太刀取りて 吾が友がらの出立ちしより)

 

*興正菩薩(こうしょうぼさつ)の御教誡

「三毒(さんどく①)を伏すべき事。

 幼少より名利(みょうり②)のためには正法を学せじという願を発してのち、この修行に趣いて四十余年、始めは少々信ずる人も候らいしが、当時は以外の悪世の中にあるべしとも覚えぬほどに候。ここには自身の貪瞋等(とんじんとう③)の煩悩を伏する功によって、人の信も次第にまさる也。内に煩悩を伏せず放逸(ほういつ④)にしてあることは努々(ゆめゆめ)あるまじき也。」

 

 三毒=貪(むさぼり)、瞋(いかり)、癡(無知)の三煩悩。

 名利=名聞利養。名誉欲と物欲。

 貪瞋等=上の三毒。

 放逸=勝手気ままにふるまうこと。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》645

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩三百年忌舞楽曼荼羅供願文』

(こうしょうぼさつさんびゃくねんきぶがくまんだらくがんもん)

西大寺圓秀律師作

◆今、一戒の受持も、師恩に非ざるは無し。栴檀は微塵なれどもなお馥(かんば)し。堅樹(けんじゅ①)の種は失うこと無し。転識薫習(てんしきくんじゅう②)して頼那(らな③)に摂蔵(しょうぞう④)さる。淨頗梨(じょうはり⑤)の影は曇ると雖も、感果の因縁は無朽なり。一犯をも恐るべし、一善をも貯えるべし。軽重多少の利害は眼前たり。

 

 堅樹=かたい木質の木。

 転識薫習=眼・耳・鼻・舌・身・意識の六識の薫習(香りが物に沁みこむように心のはたらきが身に染む)。

 頼那=唯識でいう、第八識の阿頼耶識、第七識の末那識。

 摂蔵=収め蔵される。

 淨頗梨=曇りがない清らかな水晶またはガラスでできた浄玻璃の鏡は、閻魔庁において亡者の生前における善悪の所業を映し出すという。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。


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2016年1月 9日 (土)

般若寺花だより  1・9

○水仙:≪満開≫ 

「むせかえる 水仙の香のみ 色濃くて

人のぬくもり 淡き部屋に」詠み人しらず

 

雪中花、水仙の花は暖冬のため早くから咲いているので、見ごろは今月いっぱいになると思います。

三十三番札所の観音石像の御尊前をかざって咲いて、あたりにいい匂いが漂っています。

〔俳句〕

「正月や ごろりと寝たる とつとき着」一茶

・訳:正月だなあ。ごろりと寝ている、とっておきの着物で。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに ふれるしらゆき あすのごと

       けぬべくわれは いにしへおもほゆ」

(春日野に降れる白雪明日のごと 消ぬべく我は古しえ思ほゆ)

 

〈望遠〉

「みいくさは よとせをすぎぬ たちとりて

わがともがらの いでたちしより」

(御軍は四年を過ぎぬ太刀取りて 吾が友がらの出立ちしより)

 

*興正菩薩(こうしょうぼさつ)の御教誡

「三毒(さんどく①)を伏すべき事。

 幼少より名利(みょうり②)のためには正法を学せじという願を発してのち、この修行に趣いて四十余年、始めは少々信ずる人も候らいしが、当時は以外の悪世の中にあるべしとも覚えぬほどに候。ここには自身の貪瞋等(とんじんとう③)の煩悩を伏する功によって、人の信も次第にまさる也。内に煩悩を伏せず放逸(ほういつ④)にしてあることは努々(ゆめゆめ)あるまじき也。」

 

 三毒=貪(むさぼり)、瞋(いかり)、癡(無知)の三煩悩。

 名利=名聞利養。名誉欲と物欲。

 貪瞋等=上の三毒。

 放逸=勝手気ままにふるまうこと。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》644

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩三百年忌舞楽曼荼羅供願文』

(こうしょうぼさつさんびゃくねんきぶがくまんだらくがんもん)

西大寺圓秀律師作

◆是を来葉(らいよう①)に残さんが為め、如来金口の妙文(こんくのみょうもん②)を集め、難解難入の文讃(なんげなんにゅうのぶんさん③)は、易解(いげ④)を釈す。鳩杖(きゅうじょう⑤)の修する所、迷津(めいしん⑥)の摂受(しょうじゅ⑦)に非ざるは無し。然りと雖も世は下り澆末(ぎょうまつ⑧)なり。盛衰を弁(わきま)えず、ただ宝山に入りても空手なり。後必憂悔の誡め(ごひつゆうげのいましめ⑨)は眼を遮る。

 

 来葉=のちの世、後世。

 金口の妙文=仏の金色の口より発せられた尊い教え。

 難解難入の文讃=解することも入ることも難しい偈頌の文章。

 易解=易しい解釈。

 鳩杖=昔、中国や日本で八十歳以上の老臣に下賜された鳩の彫刻を施した杖。高齢者のこと。

 迷津=衆生がさまよう三界六道の迷いの世界。

 摂受=衆生を導くため、その行為や心を受け入れること。

 澆末=道徳の薄れた人情軽薄な末の世、末世。

 後必憂悔の誡め=のちに必ず憂え悔いることになるという誡め。出典不詳。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

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2016年1月 8日 (金)

般若寺花だより  1・8

 

○水仙:≪満開≫ 

「うつくしき 素足の冬の 来りけり

       ちらほらと咲く 水仙の花」与謝野晶子

 

雪中花、水仙の花は暖冬のため早くから咲いているので、見ごろは今月いっぱいになると思います。

三十三番札所観音石像の御尊前をかざって咲き、辺り一帯にいい匂いが漂っています。

〔俳句〕

「北国や 家に雪なき お正月」一茶

・訳:ここは北国だよ。なんと今年は家に雪がなく迎えたお正月。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに ふれるしらゆき あすのごと

       けぬべくわれは いにしへおもほゆ」

(春日野に降れる白雪明日のごと 消ぬべく我は古しえ思ほゆ)

 

〈望遠〉

「みいくさは よとせをすぎぬ たちとりて

わがともがらの いでたちしより」

(御軍は四年を過ぎぬ太刀取りて 吾が友がらの出立ちしより)

 

*興正菩薩(こうしょうぼさつ)の御教誡

「三毒(さんどく①)を伏すべき事。

 幼少より名利(みょうり②)のためには正法を学せじという願を発してのち、この修行に趣いて四十余年、始めは少々信ずる人も候らいしが、当時は以外の悪世の中にあるべしとも覚えぬほどに候。ここには自身の貪瞋等(とんじんとう③)の煩悩を伏する功によって、人の信も次第にまさる也。内に煩悩を伏せず放逸(ほういつ④)にしてあることは努々(ゆめゆめ)あるまじき也。」

 

 三毒=貪(むさぼり)、瞋(いかり)、癡(無知)の三煩悩。

 名利=名聞利養。名誉欲と物欲。

 貪瞋等=上の三毒。

 放逸=勝手気ままにふるまうこと。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》643

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩三百年忌舞楽曼荼羅供願文』

(こうしょうぼさつさんびゃくねんきぶがくまんだらくがんもん)

西大寺圓秀律師作

◆所以(ゆえん)は、有縁(うえん①)を閻浮(えんぶ②)に尋ね、法器(ほうき③)を貴賎(きせん④)に得る。三仏大戒(さんぶつたいかい⑤)の三聚浄戒(さんじゅじょうかい⑥)より五篇七聚(ごひんしちしゅう⑦)の制禁(せいきん⑧)に至るまで、機に随い根に応じ、止作(しさ⑨)甘露の妙薬を施し、三途八難(さんずはちなん⑩)の苦悩を資(たす)く。

 

 有縁=仏の教えを聞く機縁のあること。

 閻浮=閻浮提。人間世界、現世。

 法器=仏道修行をするに足る器量をそなえた人。

 貴賎=身分の上下にこだわらず。

 三仏大戒=法身、報身、応身

 三聚浄戒=菩薩戒。摂律儀、摂善法、摂衆生の三種類の戒。

 五篇七聚=四分律に説かれた具足戒。比丘ならば二百五十戒。

 制禁=きまりによってある行為を禁止すること。

 止作=諸悪をなさない止持戒と諸善を作す作善戒。

 三途八難=三途は熱苦を受ける火途(かず)、刀剣などで脅迫される刀途(とうず)、互いに相食む血途(けつず)。これを地獄、餓鬼、畜生の三悪道に配す。八難は三悪道に、長寿天、辺地、盲聾瘖亜、世智弁聡、仏前仏後を加える。これらの境界は、仏道修行の障碍となり仏法を聞くことができない。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

 

 

 

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2016年1月 7日 (木)

般若寺花だより  1・7

○水仙:≪満開≫ 

「うつくしき 素足の冬の 来りけり

       ちらほらと咲く 水仙の花」与謝野晶子

 

雪中花、水仙の花は暖冬のため早くから咲いているので、見ごろは今月いっぱいになると思います。

三十三番札所の観音石像の御尊前をかざって咲いています。匂いがいいです。

〔俳句〕

「這(は)へ笑へ 二つになるぞ けさからは」一茶

・訳:這え、笑え、二歳になるぞ、この春からは。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに ふれるしらゆき あすのごと

       けぬべくわれは いにしへおもほゆ」

(春日野に降れる白雪明日のごと 消ぬべく我は古しえ思ほゆ)

 

〈望遠〉

「みいくさは よとせをすぎぬ たちとりて

わがともがらの いでたちしより」

(御軍は四年を過ぎぬ太刀取りて 吾が友がらの出立ちしより)

 

*興正菩薩(こうしょうぼさつ)の御教誡

「三毒(さんどく①)を伏すべき事。

 幼少より名利(みょうり②)のためには正法を学せじという願を発してのち、この修行に趣いて四十余年、始めは少々信ずる人も候らいしが、当時は以外の悪世の中にあるべしとも覚えぬほどに候。ここには自身の貪瞋等(とんじんとう③)の煩悩を伏する功によって、人の信も次第にまさる也。内に煩悩を伏せず放逸(ほういつ④)にしてあることは努々(ゆめゆめ)あるまじき也。」

 

 三毒=貪(むさぼり)、瞋(いかり)、癡(無知)の三煩悩。

 名利=名聞利養。名誉欲と物欲。

 貪瞋等=上の三毒。

 放逸=勝手気ままにふるまうこと。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》642

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩三百年忌舞楽曼荼羅供願文』

(こうしょうぼさつさんびゃくねんきぶがくまんだらくがんもん)

西大寺圓秀律師作

◆倩(つらつら)抜苦与楽(ばっくよらく①)の大要(たいよう②)を尋ぬるに、地獄鬼畜(じごくきちく③)の報を受くるは毀戒の軽重(きかいのけいじゅう④)に依り、浄土菩提(じょうどぼだい⑤)の果を感ずるは、只是れ性遮(しょうしゃ⑥)の戒善(かいぜん⑦)に依る。微塵成覚(みじんじょうがく⑧)の金文、因縁果満(いんねんかまん⑨)の詮要、眼前の勝利の者哉。

 

 抜苦与楽=衆生の苦を取り除いて、楽を与えること。慈悲のはたらきをいう。

 大要=ある物事のなかで、特に肝要とみられるもの。

 地獄鬼畜=地獄、餓鬼、畜生。悪業の結果堕ちる三つの悪道。三悪趣、三悪。

 毀戒の軽重=破戒の罪の軽重。

 浄土菩提=仏のお浄土に生まれ悟りを得ること。

 性遮=性戒と遮戒。性戒は仏の制戒を待たずとも人間として守るべき戒、例えば殺生・偸盗・邪婬・妄語の戒。遮戒は過失を生ずる故制止される戒、例えば飲酒などの戒。

 戒善=持戒善根の略。持戒によって得られる善根。五戒を保てば人間に生まれ、十善戒を保てば天子、国王に生まれるという教え。

 微塵成覚=きわめて微細なものもさとりを成ずること。

 因縁果満=因と縁に依って果が満つること。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

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2016年1月 6日 (水)

般若寺花だより  1・6

1・6

 

○水仙:≪満開≫ 

「むせかえる 水仙の香のみ 色濃くて

人のぬくもり 淡き部屋に」詠み人しらず

 

雪中花、水仙の花は暖冬のため早くから咲いているので、見ごろは今月いっぱいになると思います。

三十三番札所の観音石像の御尊前をかざって咲いています。匂いがいいです。

〔俳句〕

「こんな身も 拾ふ神ありて 花の春」一茶

・訳:こんな身でも拾ってくれる神があって新春を迎えた。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに ふれるしらゆき あすのごと

       けぬべくわれは いにしへおもほゆ」

(春日野に降れる白雪明日のごと 消ぬべく我は古しえ思ほゆ)

 

〈望遠〉

「みいくさは よとせをすぎぬ たちとりて

わがともがらの いでたちしより」

(御軍は四年を過ぎぬ太刀取りて 吾が友がらの出立ちしより)

 

*興正菩薩(こうしょうぼさつ)の御教誡

「三毒(さんどく①)を伏すべき事。

 幼少より名利(みょうり②)のためには正法を学せじという願を発してのち、この修行に趣いて四十余年、始めは少々信ずる人も候らいしが、当時は以外の悪世の中にあるべしとも覚えぬほどに候。ここには自身の貪瞋等(とんじんとう③)の煩悩を伏する功によって、人の信も次第にまさる也。内に煩悩を伏せず放逸(ほういつ④)にしてあることは努々(ゆめゆめ)あるまじき也。」

 

 三毒=貪(むさぼり)、瞋(いかり)、癡(無知)の三煩悩。

 名利=名聞利養。名誉欲と物欲。

 貪瞋等=上の三毒。

 放逸=勝手気ままにふるまうこと。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》641

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩三百年忌舞楽曼荼羅供願文』

(こうしょうぼさつさんびゃくねんきぶがくまんだらくがんもん)

西大寺圓秀律師作

 ◆弟子等敬って白(もう)す。

舞楽曼荼羅大供一座を修し奉る。

   右、作善甄録(さぜんけんろく①)斯くの如し。

 

観(かんがみ)れば夫れ、一代半満(いちだいはんまん②)の教えは、八万四千の群機(ぐんき③)を資(たす)く。如来出世の本懐(にょらいしゅっせのほんかい(④)は、只だ穢悪利生(えおりしょう⑤)の一門に在り。爰に我が本師叡尊上綱(しょうこう)は、大慈大悲の弘濟(こうさい⑥)、偏に善逝(ぜんぜい⑦)摂受(しょうじゅ⑧)の使いたり。倩(つらつら)抜苦与楽(ばっくよらく⑨)の大要(たいよう⑩)を尋ぬるに、地獄鬼畜(じごくきちく⑪)の報を受く。

 作善甄録=善業の詳細な記録。

 一代半満の教=半満は半字教(小乗)と満字教(大乗)釈尊一代のすべての教え。

 群機=群生。多くの衆生。

 如来出世の本懐=釈迦如来が衆生を救うためにこの世に現れ出られた本意、本願は。

 穢悪利生=煩悩が充満してけがれ罪深いこの世において衆生を済度すること。

 弘濟=広くすくう。

 善逝=如来十号の一つ。梵・スガタ。迷いの世界を去って、悟りの彼岸におもむき、再び迷いの生死海には戻ってこないもの。

 摂受=衆生を導くために、衆生の膳を受け入れ、収めとること。

 抜苦与楽=衆生の苦を取り除いて、楽を与えること。慈悲のはたらきをいう。

 大要=ある物事のなかで、特に肝要とみられるもの。

 地獄鬼畜=地獄、餓鬼、畜生。悪業の結果堕ちる三つの悪道。三悪趣、三悪。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

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2016年1月 5日 (火)

般若寺花だより  1・5

○水仙:≪満開≫ 

「むせかえる 水仙の香のみ 色濃くて

人のぬくもり 淡き部屋に」詠み人しらず

 

雪中花、水仙の花は暖冬のため早くから咲いているので、見ごろは今月いっぱいになると思います。

三十三番札所の観音石像の御尊前をかざって咲いています。匂いがいいです。

〔俳句〕

「正月の 子供になりて 見たき哉」一茶

・訳:お正月が来ると年玉をもらい、凧上げや駒回しをする。そんな子供になってみたいなあ。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに ふれるしらゆき あすのごと

       けぬべくわれは いにしへおもほゆ」

(春日野に降れる白雪明日のごと 消ぬべく我は古しえ思ほゆ)

 

〈望遠〉

「みいくさは よとせをすぎぬ たちとりて

わがともがらの いでたちしより」

(御軍は四年を過ぎぬ太刀取りて 吾が友がらの出立ちしより)

 

*興正菩薩(こうしょうぼさつ)の御教誡

「三毒(さんどく①)を伏すべき事。

 幼少より名利(みょうり②)のためには正法を学せじという願を発してのち、この修行に趣いて四十余年、始めは少々信ずる人も候らいしが、当時は以外の悪世の中にあるべしとも覚えぬほどに候。ここには自身の貪瞋等(とんじんとう③)の煩悩を伏する功によって、人の信も次第にまさる也。内に煩悩を伏せず放逸(ほういつ④)にしてあることは努々(ゆめゆめ)あるまじき也。」

 

 三毒=貪(むさぼり)、瞋(いかり)、癡(無知)の三煩悩。

 名利=名聞利養。名誉欲と物欲。

 貪瞋等=上の三毒。

 放逸=勝手気ままにふるまうこと。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》639

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩三百年忌舞楽曼荼羅供諷誦文』

(こうしょうぼさつさんびゃくねんきぶがくまんだらくふうじゅもん)

西大寺圓秀律師作

◆三世の仏陀は、本末精勤(ほんまつしょうごん①)の誠を照らし、十方の冥衆は、緇素懇念の志を哀れむ。上綱(しょうこう②)哀納するが故に、在生弘濟(ざいせこうさい)の昔に帰し、再び戒月の燈を挑(かか)げ、倍(ますます)慧日の光を瑩(かがや)かす。宗教(しゅうきょう④)は彌(いよいよ)、一天の生(いってんのせい⑤)を濟(すく)い四海に施さん。

仍って諷誦修する所、件の如し。

 

天正十七年八月廿五日

 

 本末精勤=本山西大寺と末寺が仏道修行に励むこと。

 上綱=碩学の僧、興正菩薩のこと。

 在世弘濟=仏が世に在り弘く衆生を済度すること。

 宗教=宗門の教え。

 一天の生=一天下(いってんげ)、すなわち世の中全体の衆生。

(終わり)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

1・

 

○水仙:≪満開≫ 

「持ち来る 水仙の香のみ 満ち満ちて

人の帰りし 空しき部屋に」詠み人しらず

 

雪中花、水仙の花は暖冬のため早くから咲いているので、見ごろは今月いっぱいになると思います。

三十三番札所の観音石像の御尊前をかざって咲いています。匂いがいいです。

〔俳句〕

「正月の 子供になりて 見たき哉」一茶

・訳:お正月が来ると年玉をもらい、凧上げや駒回しをする。そんな子供になってみたいなあ。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに ふれるしらゆき あすのごと

       けぬべくわれは いにしへおもほゆ」

(春日野に降れる白雪明日のごと 消ぬべく我は古しえ思ほゆ)

 

〈望遠〉

「みいくさは よとせをすぎぬ たちとりて

わがともがらの いでたちしより」

(御軍は四年を過ぎぬ太刀取りて 吾が友がらの出立ちしより)

 

*興正菩薩(こうしょうぼさつ)の御教誡

「三毒(さんどく①)を伏すべき事。

 幼少より名利(みょうり②)のためには正法を学せじという願を発してのち、この修行に趣いて四十余年、始めは少々信ずる人も候らいしが、当時は以外の悪世の中にあるべしとも覚えぬほどに候。ここには自身の貪瞋等(とんじんとう③)の煩悩を伏する功によって、人の信も次第にまさる也。内に煩悩を伏せず放逸(ほういつ④)にしてあることは努々(ゆめゆめ)あるまじき也。」

 

 三毒=貪(むさぼり)、瞋(いかり)、癡(無知)の三煩悩。

 名利=名聞利養。名誉欲と物欲。

 貪瞋等=上の三毒。

 放逸=勝手気ままにふるまうこと。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩三百年忌舞楽曼荼羅供諷誦文』

(こうしょうぼさつさんびゃくねんきぶがくまんだらくふうじゅもん)

西大寺圓秀律師作

 

 

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

 

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2016年1月 4日 (月)

般若寺花だより  1・4

○水仙:≪満開≫ 

「持ち来る 水仙の香のみ 満ち満ちて

人の帰りし 空しき部屋に」詠み人しらず

 

雪中花、水仙の花は暖冬のため早くから咲いています。見ごろは今月いっぱいだろうと思われます。

三十三番札所の観音石像を飾って咲き、御尊前はいい匂いが満ちています。

〔俳句〕

「正月の 子供になりて 見たき哉」一茶

・訳:お正月が来ると年玉をもらい、凧上げや駒回しをする。そんな子供になってみたいなあ。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに ふれるしらゆき あすのごと

       けぬべくわれは いにしへおもほゆ」

(春日野に降れる白雪明日のごと 消ぬべく我は古しえ思ほゆ)

 

〈望遠〉

「みいくさは よとせをすぎぬ たちとりて

わがともがらの いでたちしより」

(御軍は四年を過ぎぬ太刀取りて 吾が友がらの出立ちしより)

 

*興正菩薩(こうしょうぼさつ)の御教誡

「三毒(さんどく①)を伏すべき事。

 幼少より名利(みょうり②)のためには正法を学せじという願を発してのち、この修行に趣いて四十余年、始めは少々信ずる人も候らいしが、当時は以外の悪世の中にあるべしとも覚えぬほどに候。ここには自身の貪瞋等(とんじんとう③)の煩悩を伏する功によって、人の信も次第にまさる也。内に煩悩を伏せず放逸(ほういつ④)にしてあることは努々(ゆめゆめ)あるまじき也。」

 

 三毒=貪(むさぼり)、瞋(いかり)、癡(無知)の三煩悩。

 名利=名聞利養。名誉欲と物欲。

 貪瞋等=上の三毒。

 放逸=勝手気ままにふるまうこと。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》638

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『興正菩薩三百年忌舞楽曼荼羅供諷誦文』

(こうしょうぼさつさんびゃくねんきぶがくまんだらくふうじゅもん)

西大寺圓秀律師作

◆仰ぎても余り有り。草露の残命たりと雖も、一戒の薫習(くんじゅう①)は曠劫(こうごう②)に多生(たしょう③)すれども、空しかるべからず。寧ろ如来の広徳、祖師の大恩に非ざる哉。故に今、尊師の酬恩謝徳(しゅうおんしゃとく④)のため、舞楽曼荼羅大会を刷(かいつくろ)い、絲竹呂律(しちくりょりつ⑤)の荘厳は、尊霊所居の金台(きんだい⑥)を儼(おごそ)かにし、両部讃嘆の威光は金胎不二の玉殿(こんたいふにのぎょくでん⑦)を耀かす。

 

 薫習=香が移り染むように、戒をまもる習慣が人の心身に影響・作用を植え付けること。

 曠劫=非常に長い年月。永劫。

 多生=何度もこの世に生まれかわること。多くの生を輪廻すること。

 酬恩謝徳=恩に報い、徳に感謝すること。

 糸竹呂律=舞楽と声明のこと。糸竹は琴、琵琶などの弦楽器と笙、笛などの管楽器の総称。呂律は呂旋と律旋。

 金台=金で飾った台閣。美しい高楼。

 金胎不二の玉殿=金剛界曼荼羅、胎蔵曼荼羅世界は対立するものではなく絶対平等であることをいい、それは玉をちりばめたような美しい宮殿である。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

 

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2016年1月 3日 (日)

般若寺花だより  1・3

○水仙:≪満開≫ 

「むせかえる 水仙の香のみ 色濃くて

人のぬくもり 淡き部屋に」詠み人しらず

 

雪中花、水仙の花は暖冬のため早くから咲いているので、見ごろは今月いっぱいになると思います。

三十三番札所の観音石像の御尊前をかざって咲いています。匂いがいいです。

〔俳句〕

「君が世や よ所の膳にて 花の春」一茶

・訳:ありがたい君の世だなあ。よそ様のお宅の食事に呼ばれて、迎えるめでたい春。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに ふれるしらゆき あすのごと

       けぬべくわれは いにしへおもほゆ」

(春日野に降れる白雪明日のごと 消ぬべく我は古しえ思ほゆ)

 

〈望遠〉

「みいくさは よとせをすぎぬ たちとりて

わがともがらの いでたちしより」

(御軍は四年を過ぎぬ太刀取りて 吾が友がらの出立ちしより)

 

*興正菩薩(こうしょうぼさつ)の御教誡

「三毒(さんどく①)を伏すべき事。

 幼少より名利(みょうり②)のためには正法を学せじという願を発してのち、この修行に趣いて四十余年、始めは少々信ずる人も候らいしが、当時は以外の悪世の中にあるべしとも覚えぬほどに候。ここには自身の貪瞋等(とんじんとう③)の煩悩を伏する功によって、人の信も次第にまさる也。内に煩悩を伏せず放逸(ほういつ④)にしてあることは努々(ゆめゆめ)あるまじき也。」

 

 三毒=貪(むさぼり)、瞋(いかり)、癡(無知)の三煩悩。

 名利=名聞利養。名誉欲と物欲。

 貪瞋等=上の三毒。