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2016年6月22日 (水)

コスモス寺花だより 6・22

〔花ごよみ〕

〇初夏咲コスモス:≪満開≫「美色コスモス」の〈満開〉からセンセーション、シーシェル、サイケなどの大きな花を咲かせる種類の〈見ごろ〉へと移ってきました。背丈は150センチ近いのもあります。

花期:5月末~7月初旬。5万本。

〇山アジサイ:≪見ごろ≫

〇あじさい:≪見ごろ≫

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪咲きはじめ≫睡蓮の原生種。

〇秋海棠:≪つぼみ≫

 

〔俳句〕

「行け蛍 とくとく人の よぶうちに」一茶

訳:行け蛍、早く早く、人がよんでいるうちに。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈帝室博物館にて〉

「こんでいの ほとけうすれし こんりょうの

       だいまんだらに あぶのはねうつ」

(金泥の仏薄れし紺綾の 大曼荼羅に虻の羽打つ。)

・金泥=きんでい。金粉を膠で溶かし絵画や写経に用いる。

・紺綾=紺地のあやぎぬ。

〈西大寺の四王堂にて〉

「まがつみは いまのうつつに ありこせど

       ふみしほとけの ゆくへしらずも」

(禍罪は今の現に在り越せど 踏みし仏の行方知らずも。)

・禍罪=わざわい。邪鬼のこと。

・今の現=現在、実際に存在していること。

・有越す=経過してきたこと。。

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》765

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

『西大寺中興思円上人行業記』凝然著

(さいだいじちゅうこうしえんしょうにんぎょうごうき)

(西大寺蔵『興正菩薩伝記一巻』)

 

【開受隨両相(之)畝。歎戒行之墜堕。分止作二持之衢。昔 人王第四十六代孝謙天皇御宇天平勝宝七年乙未。大唐揚州鑑真和尚。遠渡滄波。創伝戒律。其後法進。如宝。継踵秉御。道淨常詮。受(苟)弘持。八宗澤異。同沐戒水。二蔵路区。倶耀律燈律燈。然世漸澆漓。人稍淡薄。三学未必遍歴。二持厥跡如無。

 

〔受隨両相の(じゅずいりょうそうのうね①)を開く。戒行の墜堕(かいぎょうのついだ②)を歎(なげ)き、止作二持の衢(しさにじのく③)を分つ。昔、人王第四十六代孝謙天皇御宇天平勝宝七年乙未(④)、大唐揚州鑑真和尚(⑤)、遠く滄波(そうは⑥)を渡り、創めて戒律を伝う。其の後、法進(ほうしん⑦)、如宝(にょほう⑧)、踵(きびす)を継いで秉御(へいぎょ⑨)す。道淨、常詮、受芍(苟ヵ)弘持す。八宗の澤異なるとも、同じく戒水に沐す。二蔵(にぞう⑩)は路(みち)区(くぎ)るとも、倶に律燈(りっとう)を耀かす。然れば世は漸く澆漓(ぎょうり⑪)にして、人は稍(しだいに)淡薄(たんぱく)なり。三学(さんがく⑫)は未だ必ずしも遍歴せず。二持(にじ⑬)は厥(そ)の跡、無きが如し。〕

 

 受隨両相の畝=比丘が初めて戒体を受けて吾身に具えるを受といい、後にその戒体に随って如法に戒行を修するを隨という。受と隨の両方のかたちを畑の畝にたとえる。

 戒行の墜堕=戒の実行が墜落して行われなくなっていること。

 止作二持の衢=止持(悪をなさないこと)と作持(善をなすこと)の分かれ道。

 天平勝宝七年乙未=西暦七五五年。

 鑑真和尚=日本律宗の祖。揚州大明寺の僧。戒師召請に入唐していた栄叡(ようえい)、普照の請いに応じて六度の候回を経て来日する。唐招提寺を建て戒律の根本道場とする。

 滄波=あおい波。大海原。

 法進=唐の僧、鑑真に随って来日。鑑真の東大寺戒壇院創建をたすけ、戒壇院、唐禅院をついだ。七〇九-七七八.

 如宝=唐の僧、胡の人。鑑真に随って来日し、東大寺戒壇院で受戒。鑑真の跡を継いで唐招提寺長老となる。

 秉御=しっかりと手にとり、たくみに操ること。

 二蔵=経蔵、論蔵。

 澆漓=世が末となって道徳が衰え、人情が薄くなること。

 三学=戒(戒律)学、定(禅定)学、慧(智慧)学

 二持=止持戒と作持戒。

(つづく)

 

*この行業記は東大寺戒壇院の凝然(ぎょうねん)大徳が興正菩薩御入滅の年、正応三年(1290)九月十八日、菩薩入滅後二十三日目に記したものです。文章は偈文に近い文体で短い中に菩薩の御生涯をまとめてあり、非常に格調高い歎徳文となっています。凝然師(1240-1321)は鎌倉時代の南都仏教随一の学僧で、華厳・真言・律・浄土・禅等を研鑽し、自ら「華厳兼律金剛欣淨三経学士沙門」と名乗った。生涯に千巻を超える著作をものしたが、『八宗綱要』『律宗綱要』『内典塵露章』『三国仏法伝通縁起』などが今に残る。

 

*〔忍性(にんしょう)菩薩御生誕八百年〕

今年は興正菩薩の高弟、忍性菩薩(後醍醐天皇により菩薩号を諡される)が奈良県三宅町の「屏風(びょうぶ)の里」で誕生されてから八百年という記念の年に当たります。真言律宗にとっては宗祖に次ぐ祖師であり、日本の社会救済事業の巨人と言える僧です。現代仏教が忘れてしまった衆生済度、菩薩行の実践を再興するためにも、先輩として学びたいお方です。真言律宗(本山西大寺)としては慶賛の事業は予定されていませんが、生誕地の屏風では、浄土宗の浄土寺さん(藤田能宏住職)が菩薩の尊像を造立中、さらに映画「忍性」(秋原北胤監督、和泉元弥主演)の製作が進行中です。そして奈良国立博物館では、菩薩が活動された鎌倉極楽寺から一山を挙げての『忍性展』(723日―919日)が行なわれます。般若寺としても、菩薩が若きころハンセン病者救済活動をされた地であることから、その業績や御遺徳を世に広めて行きたいと思っています。

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

 

 

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