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2016年9月

2016年9月30日 (金)

コスモス寺花だより 9・30

9・30

 

〔花ごよみ〕

コスモス(秋桜)

開花情報:《2・3分咲き》

*もう月末になってしまいましたが、

コスモスは長雨が影響し中々花が開いてきません。

一週間から十日ほど遅れています。

 

・≪見ごろ≫は10月に入って第二週目くらいから、

≪満開≫は10月中頃以降になるでしょう。

おそく咲く分、花は11月中旬まで咲き続けます。

 

「誰もゐないでコスモスそよいでゐる」山頭火

 

・花期:9月~11月 

・数と種類:15万本。20種類 

・駐車場:60台収容。花の期間中、平日は無料。

10月の土曜、日曜、休日は「駐車場整備協力金」として

500円を申受けます。(1日、2日は無料とします)

*今年は夜の行事(ライトアップ)はありません。

 

〇彼岸花:≪終り近し≫

○ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫睡蓮の原生種。

〇秋海棠:≪見ごろ≫300株。ベゴニアの一種で中国原産。江戸時代に日本へもたらされ全国に広まる。今では山林に自生しているところもあるほどなじみのある夏の花。日蔭を好む。ピンク色と白色がある。葉は変形のハート形で涼しげな浅緑色。

○シオン(紫苑):≪満開≫

○水引草:≪見ごろ≫

 

〔俳句〕

「牛の子が 旅に立也 秋の雨」一茶

訳:牛の子どもが旅に立つのだ。冷たい秋の雨。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈新薬師寺の金堂にて〉

「たびびとに ひらくみどうの しとみより

めきらがたちに あさひさしたり」

(旅人に開く御堂の蔀より 迷企羅が太刀に朝日射したり)

・めきら=迷企羅大将。薬師如来の脇侍である十二神将の一つ。

 

〈滝坂にて〉

「ゆふされば きしのはにふに よるかにの

あかきはさみに あきのかぜふく」

(夕去れば岸の埴生に寄る蟹の 赤き鋏に秋の風吹く)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》779

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

『西大寺中興思円上人行業記』凝然著

(さいだいじちゅうこうしえんしょうにんぎょうごうき)

(西大寺蔵『興正菩薩伝記一巻』)

 

◆【興隆三学之誓。継宏覚而大立。誘化之事。不可知数。導引之儀。豈得測乎。于時報齢九十。示疾処床。志操強悍。無有衰色。正応三年庚寅八月二十五日酉剋、奄焉終于西大寺。】

 

〔三学(さんがく①)を興隆するの誓い、宏覚(こうかく②)を継いで大いに立つ。誘化(ゆうけ③)の事は数を知るべからず。導引(どういん④)の儀は、豈に測ることを得んや。時に報齢(ほうれい⑤)九十にして疾(しつ⑥)を示し床に処すも、志操強悍(しそうきょうかん⑦)にして衰色(すいしょく⑧)有ること無し。正応三年(⑨)庚寅(かのえとら)八月二十五日酉尅(とりのこく⑩)、奄焉(えんえん⑪)として西大寺に終る。〕

 

 三学=悟りを開くために必ず修めなければならない三種の実践修行。戒(戒律)、定(禅定)、慧(智慧)。

 宏覚=大きな悟りを開いた人、すなわち釈尊のこと。

 誘化=いざない教化すること。

 導引=教えみちびくこと。

 報齢=年齢。数え年。

 疾=やまい。急病。

 志操強悍=仏道修行の志を固く強く守っていること。

 衰色=おとろえた顔かたち。また、様子。

 正応三年=西暦一二九〇年。

 酉剋=現在の午後六時ごろ。また、その前後二時間。

 奄焉=にわかに。

(つづく)

 

*この行業記は東大寺戒壇院の凝然(ぎょうねん)大徳が興正菩薩御入滅の年、正応三年(1290)九月十八日、菩薩入滅後二十三日目に記したものです。文章は偈文に近い文体で短い中に菩薩の御生涯をまとめてあり、非常に格調高い歎徳文となっています。凝然師(1240-1321)は鎌倉時代の南都仏教随一の学僧で、華厳・真言・律・浄土・禅等を研鑽し、自ら「華厳兼律金剛欣淨三経学士沙門」と名乗った。生涯に千巻を超える著作をものしたが、『八宗綱要』『律宗綱要』『内典塵露章』『三国仏法伝通縁起』などが今に残る。

 

*〔忍性(にんしょう)菩薩御生誕八百年〕

来年は興正菩薩の高弟、忍性菩薩(1217年生。後醍醐天皇により菩薩号を諡される)が奈良県三宅町の「屏風(びょうぶ)の里」で誕生されてから八百年という記念の年に当たります。真言律宗にとっては宗祖に次ぐ祖師であり、日本の社会救済事業の巨人と言える僧です。現代仏教が忘れてしまった衆生済度、菩薩行の実践を再興するためにも、先輩として学びたいお方です。真言律宗(本山西大寺)としては慶賛の事業は予定されていませんが、生誕地の屏風では、浄土宗の浄土寺さん(藤田能宏住職)が菩薩の尊像を造立中、さらに映画「忍性」(秋原北胤監督、和泉元弥主演)が製作されました。10月には横浜の金沢文庫で『忍性特別展』が開催されます。般若寺は菩薩が若きころハンセン病者救済活動をされた地であることから、その業績や御遺徳を世に広めて行きたいです。

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

 

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2016年9月29日 (木)

コスモス寺花だより 9・29

 

〔花ごよみ〕

コスモス(秋桜)

開花情報:《2・3分咲き》

*もう月末になってしまいましたが、

コスモスは長雨が影響し中々花が開いてきません。

一週間から十日ほど遅れています。

 

・≪見ごろ≫は10月に入って第二週目くらいから、

≪満開≫は10月中頃以降になるでしょう。

おそく咲く分、花は11月中旬まで咲き続けます。

 

「誰もゐないでコスモスそよいでゐる」山頭火

 

・花期:9月~11月 

・数と種類:15万本。20種類 

・駐車場:60台収容。花の期間中、平日は無料。

10月の土曜、日曜、休日は「駐車場整備協力金」として

500円を申受けます。(1日、2日は無料とします)

*今年は夜の行事(ライトアップ)はありません。

 

〇彼岸花:≪終り近し≫

○ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫睡蓮の原生種。

〇秋海棠:≪見ごろ≫300株。ベゴニアの一種で中国原産。江戸時代に日本へもたらされ全国に広まる。今では山林に自生しているところもあるほどなじみのある夏の花。日蔭を好む。ピンク色と白色がある。葉は変形のハート形で涼しげな浅緑色。

○シオン(紫苑):≪満開≫

○水引草:≪見ごろ≫

 

〔俳句〕

「夕暮や 鬼の出さうな 秋の雲」一茶

訳:夕暮れ時のあやうさよ。鬼が出てきそうな秋の雲。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈新薬師寺の金堂にて〉

「たびびとに ひらくみどうの しとみより

めきらがたちに あさひさしたり」

(旅人に開く御堂の蔀より 迷企羅が太刀に朝日射したり)

・めきら=迷企羅大将。薬師如来の脇侍である十二神将の一つ。

 

〈滝坂にて〉

「ゆふされば きしのはにふに よるかにの

あかきはさみに あきのかぜふく」

(夕去れば岸の埴生に寄る蟹の 赤き鋏に秋の風吹く)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》779

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

『西大寺中興思円上人行業記』凝然著

(さいだいじちゅうこうしえんしょうにんぎょうごうき)

(西大寺蔵『興正菩薩伝記一巻』)

 

◆【興隆三学之誓。継宏覚而大立。誘化之事。不可知数。導引之儀。豈得測乎。于時報齢九十。示疾処床。志操強悍。無有衰色。正応三年庚寅八月二十五日酉剋、奄焉終于西大寺。】

 

〔三学(さんがく①)を興隆するの誓い、宏覚(こうかく②)を継いで大いに立つ。誘化(ゆうけ③)の事は数を知るべからず。導引(どういん④)の儀は、豈に測ることを得んや。時に報齢(ほうれい⑤)九十にして疾(しつ⑥)を示し床に処すも、志操強悍(しそうきょうかん⑦)にして衰色(すいしょく⑧)有ること無し。正応三年(⑨)庚寅(かのえとら)八月二十五日酉尅(とりのこく⑩)、奄焉(えんえん⑪)として西大寺に終る。〕

 

 三学=悟りを開くために必ず修めなければならない三種の実践修行。戒(戒律)、定(禅定)、慧(智慧)。

 宏覚=大きな悟りを開いた人、すなわち釈尊のこと。

 誘化=いざない教化すること。

 導引=教えみちびくこと。

 報齢=年齢。数え年。

 疾=やまい。急病。

 志操強悍=仏道修行の志を固く強く守っていること。

 衰色=おとろえた顔かたち。また、様子。

 正応三年=西暦一二九〇年。

 酉剋=現在の午後六時ごろ。また、その前後二時間。

 奄焉=にわかに。

(つづく)

 

*この行業記は東大寺戒壇院の凝然(ぎょうねん)大徳が興正菩薩御入滅の年、正応三年(1290)九月十八日、菩薩入滅後二十三日目に記したものです。文章は偈文に近い文体で短い中に菩薩の御生涯をまとめてあり、非常に格調高い歎徳文となっています。凝然師(1240-1321)は鎌倉時代の南都仏教随一の学僧で、華厳・真言・律・浄土・禅等を研鑽し、自ら「華厳兼律金剛欣淨三経学士沙門」と名乗った。生涯に千巻を超える著作をものしたが、『八宗綱要』『律宗綱要』『内典塵露章』『三国仏法伝通縁起』などが今に残る。

 

*〔忍性(にんしょう)菩薩御生誕八百年〕

来年は興正菩薩の高弟、忍性菩薩(1217年生。後醍醐天皇により菩薩号を諡される)が奈良県三宅町の「屏風(びょうぶ)の里」で誕生されてから八百年という記念の年に当たります。真言律宗にとっては宗祖に次ぐ祖師であり、日本の社会救済事業の巨人と言える僧です。現代仏教が忘れてしまった衆生済度、菩薩行の実践を再興するためにも、先輩として学びたいお方です。真言律宗(本山西大寺)としては慶賛の事業は予定されていませんが、生誕地の屏風では、浄土宗の浄土寺さん(藤田能宏住職)が菩薩の尊像を造立中、さらに映画「忍性」(秋原北胤監督、和泉元弥主演)が製作されました。10月には横浜の金沢文庫で『忍性特別展』が開催されます。般若寺は菩薩が若きころハンセン病者救済活動をされた地であることから、その業績や御遺徳を世に広めて行きたいです。

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

 

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2016年9月28日 (水)

コスモス寺花だより 9・28

 

〔花ごよみ〕

コスモス(秋桜)

開花情報:《2・3分咲き》

*コスモスは長雨が影響し一週間ほど開花が遅れています。

 

・≪見ごろ≫は10月に入ってから、≪満開≫は10月10日ごろから。

花は11月中旬まで咲き続けるでしょう。

 

「安宿のコスモスにして赤く白く」山頭火

 

・花期:9月~11月 

・数と種類:15万本。20種類 

・駐車場:60台収容。花の期間中、平日は無料。

10月の土曜、日曜、休日は「駐車場整備協力金」として500円を申受けます。

*今年は夜の行事(ライトアップ)はありません。

 

〇彼岸花:≪終り近し≫

○ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫睡蓮の原生種。

〇秋海棠:≪見ごろ≫300株。ベゴニアの一種で中国原産。江戸時代に日本へもたらされ全国に広まる。今では山林に自生しているところもあるほどなじみのある夏の花。日蔭を好む。ピンク色と白色がある。葉は変形のハート形で涼しげな浅緑色。

○シオン(紫苑):≪満開≫

○水引草:≪見ごろ≫

 

〔俳句〕

「夕暮や 鬼の出さうな 秋の雲」一茶

訳:夕暮れ時のあやうさよ。鬼が出てきそうな秋の雲。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈新薬師寺の金堂にて〉

「たびびとに ひらくみどうの しとみより

めきらがたちに あさひさしたり」

(旅人に開く御堂の蔀より 迷企羅が太刀に朝日射したり)

・めきら=迷企羅大将。薬師如来の脇侍である十二神将の一つ。

 

〈滝坂にて〉

「ゆふされば きしのはにふに よるかにの

あかきはさみに あきのかぜふく」

(夕去れば岸の埴生に寄る蟹の 赤き鋏に秋の風吹く)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》779

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

『西大寺中興思円上人行業記』凝然著

(さいだいじちゅうこうしえんしょうにんぎょうごうき)

(西大寺蔵『興正菩薩伝記一巻』)

 

◆【興隆三学之誓。継宏覚而大立。誘化之事。不可知数。導引之儀。豈得測乎。于時報齢九十。示疾処床。志操強悍。無有衰色。正応三年庚寅八月二十五日酉剋、奄焉終于西大寺。】

 

〔三学(さんがく①)を興隆するの誓い、宏覚(こうかく②)を継いで大いに立つ。誘化(ゆうけ③)の事は数を知るべからず。導引(どういん④)の儀は、豈に測ることを得んや。時に報齢(ほうれい⑤)九十にして疾(しつ⑥)を示し床に処すも、志操強悍(しそうきょうかん⑦)にして衰色(すいしょく⑧)有ること無し。正応三年(⑨)庚寅(かのえとら)八月二十五日酉尅(とりのこく⑩)、奄焉(えんえん⑪)として西大寺に終る。〕

 

 三学=悟りを開くために必ず修めなければならない三種の実践修行。戒(戒律)、定(禅定)、慧(智慧)。

 宏覚=大きな悟りを開いた人、すなわち釈尊のこと。

 誘化=いざない教化すること。

 導引=教えみちびくこと。

 報齢=年齢。数え年。

 疾=やまい。急病。

 志操強悍=仏道修行の志を固く強く守っていること。

 衰色=おとろえた顔かたち。また、様子。

 正応三年=西暦一二九〇年。

 酉剋=現在の午後六時ごろ。また、その前後二時間。

 奄焉=にわかに。

(つづく)

 

*この行業記は東大寺戒壇院の凝然(ぎょうねん)大徳が興正菩薩御入滅の年、正応三年(1290)九月十八日、菩薩入滅後二十三日目に記したものです。文章は偈文に近い文体で短い中に菩薩の御生涯をまとめてあり、非常に格調高い歎徳文となっています。凝然師(1240-1321)は鎌倉時代の南都仏教随一の学僧で、華厳・真言・律・浄土・禅等を研鑽し、自ら「華厳兼律金剛欣淨三経学士沙門」と名乗った。生涯に千巻を超える著作をものしたが、『八宗綱要』『律宗綱要』『内典塵露章』『三国仏法伝通縁起』などが今に残る。

 

*〔忍性(にんしょう)菩薩御生誕八百年〕

来年は興正菩薩の高弟、忍性菩薩(1217年生。後醍醐天皇により菩薩号を諡される)が奈良県三宅町の「屏風(びょうぶ)の里」で誕生されてから八百年という記念の年に当たります。真言律宗にとっては宗祖に次ぐ祖師であり、日本の社会救済事業の巨人と言える僧です。現代仏教が忘れてしまった衆生済度、菩薩行の実践を再興するためにも、先輩として学びたいお方です。真言律宗(本山西大寺)としては慶賛の事業は予定されていませんが、生誕地の屏風では、浄土宗の浄土寺さん(藤田能宏住職)が菩薩の尊像を造立中、さらに映画「忍性」(秋原北胤監督、和泉元弥主演)が製作されました。10月には横浜の金沢文庫で『忍性特別展』が開催されます。般若寺は菩薩が若きころハンセン病者救済活動をされた地であることから、その業績や御遺徳を世に広めて行きたいです。

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

 

 

 

 

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2016年9月27日 (火)

コスモス寺花だより 9・27

 

〔花ごよみ〕

コスモス(秋桜)

開花情報:《2・3分咲き》

*コスモスは長雨が影響し一週間ほど開花が遅れています。

 

・≪見ごろ≫は10月に入ってから、≪満開≫は10月10日ごろから。

花は11月中旬まで咲き続けるでしょう。

 

「安宿のコスモスにして赤く白く」山頭火

 

・花期:9月~11月 

・数と種類:15万本。20種類 

・駐車場:60台収容。花の期間中、平日は無料。

10月の土曜、日曜、休日は「駐車場整備協力金」として500円を申受けます。

*今年は夜の行事(ライトアップ)はありません。

 

〇彼岸花:≪満開≫

○ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫睡蓮の原生種。

〇秋海棠:≪見ごろ≫300株。ベゴニアの一種で中国原産。江戸時代に日本へもたらされ全国に広まる。今では山林に自生しているところもあるほどなじみのある夏の花。日蔭を好む。ピンク色と白色がある。葉は変形のハート形で涼しげな浅緑色。

○シオン(紫苑):≪見ごろ≫

○水引草:≪咲きはじめ≫

 

〔俳句〕

「夕暮や 鬼の出さうな 秋の雲」一茶

訳:夕暮れ時のあやうさよ。鬼が出てきそうな秋の雲。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈新薬師寺の金堂にて〉

「たびびとに ひらくみどうの しとみより

めきらがたちに あさひさしたり」

(旅人に開く御堂の蔀より 迷企羅が太刀に朝日射したり)

・めきら=迷企羅大将。薬師如来の脇侍である十二神将の一つ。

 

〈滝坂にて〉

「ゆふされば きしのはにふに よるかにの

あかきはさみに あきのかぜふく」

(夕去れば岸の埴生に寄る蟹の 赤き鋏に秋の風吹く)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》779

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

『西大寺中興思円上人行業記』凝然著

(さいだいじちゅうこうしえんしょうにんぎょうごうき)

(西大寺蔵『興正菩薩伝記一巻』)

 

◆【興隆三学之誓。継宏覚而大立。誘化之事。不可知数。導引之儀。豈得測乎。于時報齢九十。示疾処床。志操強悍。無有衰色。正応三年庚寅八月二十五日酉剋、奄焉終于西大寺。】

 

〔三学(さんがく①)を興隆するの誓い、宏覚(こうかく②)を継いで大いに立つ。誘化(ゆうけ③)の事は数を知るべからず。導引(どういん④)の儀は、豈に測ることを得んや。時に報齢(ほうれい⑤)九十にして疾(しつ⑥)を示し床に処すも、志操強悍(しそうきょうかん⑦)にして衰色(すいしょく⑧)有ること無し。正応三年(⑨)庚寅(かのえとら)八月二十五日酉尅(とりのこく⑩)、奄焉(えんえん⑪)として西大寺に終る。〕

 

 三学=悟りを開くために必ず修めなければならない三種の実践修行。戒(戒律)、定(禅定)、慧(智慧)。

 宏覚=大きな悟りを開いた人、すなわち釈尊のこと。

 誘化=いざない教化すること。

 導引=教えみちびくこと。

 報齢=年齢。数え年。

 疾=やまい。急病。

 志操強悍=仏道修行の志を固く強く守っていること。

 衰色=おとろえた顔かたち。また、様子。

 正応三年=西暦一二九〇年。

 酉剋=現在の午後六時ごろ。また、その前後二時間。

 奄焉=にわかに。

(つづく)

 

*この行業記は東大寺戒壇院の凝然(ぎょうねん)大徳が興正菩薩御入滅の年、正応三年(1290)九月十八日、菩薩入滅後二十三日目に記したものです。文章は偈文に近い文体で短い中に菩薩の御生涯をまとめてあり、非常に格調高い歎徳文となっています。凝然師(1240-1321)は鎌倉時代の南都仏教随一の学僧で、華厳・真言・律・浄土・禅等を研鑽し、自ら「華厳兼律金剛欣淨三経学士沙門」と名乗った。生涯に千巻を超える著作をものしたが、『八宗綱要』『律宗綱要』『内典塵露章』『三国仏法伝通縁起』などが今に残る。

 

*〔忍性(にんしょう)菩薩御生誕八百年〕

来年は興正菩薩の高弟、忍性菩薩(1217年生。後醍醐天皇により菩薩号を諡される)が奈良県三宅町の「屏風(びょうぶ)の里」で誕生されてから八百年という記念の年に当たります。真言律宗にとっては宗祖に次ぐ祖師であり、日本の社会救済事業の巨人と言える僧です。現代仏教が忘れてしまった衆生済度、菩薩行の実践を再興するためにも、先輩として学びたいお方です。真言律宗(本山西大寺)としては慶賛の事業は予定されていませんが、生誕地の屏風では、浄土宗の浄土寺さん(藤田能宏住職)が菩薩の尊像を造立中、さらに映画「忍性」(秋原北胤監督、和泉元弥主演)が製作されました。10月には横浜の金沢文庫で『忍性特別展』が開催されます。般若寺は菩薩が若きころハンセン病者救済活動をされた地であることから、その業績や御遺徳を世に広めて行きたいです。

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

 

 

 

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コスモス寺花だより 9・27

 

〔花ごよみ〕

コスモス(秋桜)

開花情報:《2・3分咲き》

*コスモスは長雨が影響し一週間ほど開花が遅れています。

 

・≪見ごろ≫は10月に入ってから、≪満開≫は10月10日ごろから。

花は11月中旬まで咲き続けるでしょう。

 

「安宿のコスモスにして赤く白く」山頭火

 

・花期:9月~11月 

・数と種類:15万本。20種類 

・駐車場:60台収容。花の期間中、平日は無料。

10月の土曜、日曜、休日は「駐車場整備協力金」として500円を申受けます。

*今年は夜の行事(ライトアップ)はありません。

 

〇彼岸花:≪満開≫

○ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫睡蓮の原生種。

〇秋海棠:≪見ごろ≫300株。ベゴニアの一種で中国原産。江戸時代に日本へもたらされ全国に広まる。今では山林に自生しているところもあるほどなじみのある夏の花。日蔭を好む。ピンク色と白色がある。葉は変形のハート形で涼しげな浅緑色。

○シオン(紫苑):≪見ごろ≫

○水引草:≪咲きはじめ≫

 

〔俳句〕

「夕暮や 鬼の出さうな 秋の雲」一茶

訳:夕暮れ時のあやうさよ。鬼が出てきそうな秋の雲。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈新薬師寺の金堂にて〉

「たびびとに ひらくみどうの しとみより

めきらがたちに あさひさしたり」

(旅人に開く御堂の蔀より 迷企羅が太刀に朝日射したり)

・めきら=迷企羅大将。薬師如来の脇侍である十二神将の一つ。

 

〈滝坂にて〉

「ゆふされば きしのはにふに よるかにの

あかきはさみに あきのかぜふく」

(夕去れば岸の埴生に寄る蟹の 赤き鋏に秋の風吹く)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》779

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

『西大寺中興思円上人行業記』凝然著

(さいだいじちゅうこうしえんしょうにんぎょうごうき)

(西大寺蔵『興正菩薩伝記一巻』)

 

◆【興隆三学之誓。継宏覚而大立。誘化之事。不可知数。導引之儀。豈得測乎。于時報齢九十。示疾処床。志操強悍。無有衰色。正応三年庚寅八月二十五日酉剋、奄焉終于西大寺。】

 

〔三学(さんがく①)を興隆するの誓い、宏覚(こうかく②)を継いで大いに立つ。誘化(ゆうけ③)の事は数を知るべからず。導引(どういん④)の儀は、豈に測ることを得んや。時に報齢(ほうれい⑤)九十にして疾(しつ⑥)を示し床に処すも、志操強悍(しそうきょうかん⑦)にして衰色(すいしょく⑧)有ること無し。正応三年(⑨)庚寅(かのえとら)八月二十五日酉尅(とりのこく⑩)、奄焉(えんえん⑪)として西大寺に終る。〕

 

 三学=悟りを開くために必ず修めなければならない三種の実践修行。戒(戒律)、定(禅定)、慧(智慧)。

 宏覚=大きな悟りを開いた人、すなわち釈尊のこと。

 誘化=いざない教化すること。

 導引=教えみちびくこと。

 報齢=年齢。数え年。

 疾=やまい。急病。

 志操強悍=仏道修行の志を固く強く守っていること。

 衰色=おとろえた顔かたち。また、様子。

 正応三年=西暦一二九〇年。

 酉剋=現在の午後六時ごろ。また、その前後二時間。

 奄焉=にわかに。

(つづく)

 

*この行業記は東大寺戒壇院の凝然(ぎょうねん)大徳が興正菩薩御入滅の年、正応三年(1290)九月十八日、菩薩入滅後二十三日目に記したものです。文章は偈文に近い文体で短い中に菩薩の御生涯をまとめてあり、非常に格調高い歎徳文となっています。凝然師(1240-1321)は鎌倉時代の南都仏教随一の学僧で、華厳・真言・律・浄土・禅等を研鑽し、自ら「華厳兼律金剛欣淨三経学士沙門」と名乗った。生涯に千巻を超える著作をものしたが、『八宗綱要』『律宗綱要』『内典塵露章』『三国仏法伝通縁起』などが今に残る。

 

*〔忍性(にんしょう)菩薩御生誕八百年〕

来年は興正菩薩の高弟、忍性菩薩(1217年生。後醍醐天皇により菩薩号を諡される)が奈良県三宅町の「屏風(びょうぶ)の里」で誕生されてから八百年という記念の年に当たります。真言律宗にとっては宗祖に次ぐ祖師であり、日本の社会救済事業の巨人と言える僧です。現代仏教が忘れてしまった衆生済度、菩薩行の実践を再興するためにも、先輩として学びたいお方です。真言律宗(本山西大寺)としては慶賛の事業は予定されていませんが、生誕地の屏風では、浄土宗の浄土寺さん(藤田能宏住職)が菩薩の尊像を造立中、さらに映画「忍性」(秋原北胤監督、和泉元弥主演)が製作されました。10月には横浜の金沢文庫で『忍性特別展』が開催されます。般若寺は菩薩が若きころハンセン病者救済活動をされた地であることから、その業績や御遺徳を世に広めて行きたいです。

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

 

 

 

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2016年9月26日 (月)

コスモス寺花だより 9・26

 

〔花ごよみ〕

コスモス(秋桜)

開花情報:《2・3分咲き》

*コスモスは長雨が影響し一週間ほど開花が遅れています。

 

・≪見ごろ≫は10月に入ってから、≪満開≫は10月10日ごろから。

花は11月中旬まで咲き続けるでしょう。

 

「安宿のコスモスにして赤く白く」山頭火

 

・花期:9月~11月 

・数と種類:15万本。20種類 

・駐車場:60台収容。花の期間中、平日は無料。

10月の土曜、日曜、休日は「駐車場整備協力金」として500円を申受けます。

*今年は夜の行事(ライトアップ)はありません。

 

〇彼岸花:≪満開≫

○ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫睡蓮の原生種。

〇秋海棠:≪見ごろ≫300株。ベゴニアの一種で中国原産。江戸時代に日本へもたらされ全国に広まる。今では山林に自生しているところもあるほどなじみのある夏の花。日蔭を好む。ピンク色と白色がある。葉は変形のハート形で涼しげな浅緑色。

○シオン(紫苑):≪見ごろ≫

○水引草:≪咲きはじめ≫

 

〔俳句〕

「秋雨や ともしびうつる 膝頭(ひざがしら)」一茶

訳: 外では冷たい秋の雨が降っているよ。行燈(あんどん)の灯が映る自分の膝頭を抱いている。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈新薬師寺の金堂にて〉

「たびびとに ひらくみどうの しとみより

めきらがたちに あさひさしたり」

(旅人に開く御堂の蔀より 迷企羅が太刀に朝日射したり)

・めきら=迷企羅大将。薬師如来の脇侍である十二神将の一つ。

 

〈滝坂にて〉

「ゆふされば きしのはにふに よるかにの

あかきはさみに あきのかぜふく」

(夕去れば岸の埴生に寄る蟹の 赤き鋏に秋の風吹く)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》779

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

『西大寺中興思円上人行業記』凝然著

(さいだいじちゅうこうしえんしょうにんぎょうごうき)

(西大寺蔵『興正菩薩伝記一巻』)

 

◆【興隆三学之誓。継宏覚而大立。誘化之事。不可知数。導引之儀。豈得測乎。于時報齢九十。示疾処床。志操強悍。無有衰色。正応三年庚寅八月二十五日酉剋、奄焉終于西大寺。】

 

〔三学(さんがく①)を興隆するの誓い、宏覚(こうかく②)を継いで大いに立つ。誘化(ゆうけ③)の事は数を知るべからず。導引(どういん④)の儀は、豈に測ることを得んや。時に報齢(ほうれい⑤)九十にして疾(しつ⑥)を示し床に処すも、志操強悍(しそうきょうかん⑦)にして衰色(すいしょく⑧)有ること無し。正応三年(⑨)庚寅(かのえとら)八月二十五日酉尅(とりのこく⑩)、奄焉(えんえん⑪)として西大寺に終る。〕

 

 三学=悟りを開くために必ず修めなければならない三種の実践修行。戒(戒律)、定(禅定)、慧(智慧)。

 宏覚=大きな悟りを開いた人、すなわち釈尊のこと。

 誘化=いざない教化すること。

 導引=教えみちびくこと。

 報齢=年齢。数え年。

 疾=やまい。急病。

 志操強悍=仏道修行の志を固く強く守っていること。

 衰色=おとろえた顔かたち。また、様子。

 正応三年=西暦一二九〇年。

 酉剋=現在の午後六時ごろ。また、その前後二時間。

 奄焉=にわかに。

(つづく)

 

*この行業記は東大寺戒壇院の凝然(ぎょうねん)大徳が興正菩薩御入滅の年、正応三年(1290)九月十八日、菩薩入滅後二十三日目に記したものです。文章は偈文に近い文体で短い中に菩薩の御生涯をまとめてあり、非常に格調高い歎徳文となっています。凝然師(1240-1321)は鎌倉時代の南都仏教随一の学僧で、華厳・真言・律・浄土・禅等を研鑽し、自ら「華厳兼律金剛欣淨三経学士沙門」と名乗った。生涯に千巻を超える著作をものしたが、『八宗綱要』『律宗綱要』『内典塵露章』『三国仏法伝通縁起』などが今に残る。

 

*〔忍性(にんしょう)菩薩御生誕八百年〕

来年は興正菩薩の高弟、忍性菩薩(1217年生。後醍醐天皇により菩薩号を諡される)が奈良県三宅町の「屏風(びょうぶ)の里」で誕生されてから八百年という記念の年に当たります。真言律宗にとっては宗祖に次ぐ祖師であり、日本の社会救済事業の巨人と言える僧です。現代仏教が忘れてしまった衆生済度、菩薩行の実践を再興するためにも、先輩として学びたいお方です。真言律宗(本山西大寺)としては慶賛の事業は予定されていませんが、生誕地の屏風では、浄土宗の浄土寺さん(藤田能宏住職)が菩薩の尊像を造立中、さらに映画「忍性」(秋原北胤監督、和泉元弥主演)が製作されました。10月には横浜の金沢文庫で『忍性特別展』が開催されます。般若寺は菩薩が若きころハンセン病者救済活動をされた地であることから、その業績や御遺徳を世に広めて行きたいです。

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

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2016年9月25日 (日)

コスモス寺花だより 9・25

 

〔花ごよみ〕

コスモス(秋桜)

開花情報:《2・3分咲き》

*コスモスは長い秋雨の中で背丈を伸ばしていますが、日照不足が影響し開花

は遅れています。

 

・≪見ごろ≫は10月に入ってから、≪満開≫は10月10日ごろから。

花は11月中旬まで咲き続けるでしょう。

 

「安宿のコスモスにして赤く白く」山頭火

 

・花期:9月下旬~11月 

・数と種類:15万本。20種類 

・駐車場:60台収容。花の期間中、平日は無料。

10月の土曜、日曜、休日は有料(500円)となります。

*今年は夜の行事(ライトアップ)はありません。

 

〇彼岸花:≪満開≫

○ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫睡蓮の原生種。

〇秋海棠:≪見ごろ≫300株。ベゴニアの一種で中国原産。江戸時代に日本へもたらされ全国に広まる。今では山林に自生しているところもあるほどなじみのある夏の花。日蔭を好む。ピンク色と白色がある。葉は変形のハート形で涼しげな浅緑色。

○シオン(紫苑):≪見ごろ≫

○水引草:≪咲きはじめ≫

 

〔俳句〕

「馬の子の 故郷はなるる 秋の雨」一茶

訳: 馬の子が故郷を離れて行く。冷たい秋の雨の日に。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈新薬師寺の金堂にて〉

「たびびとに ひらくみどうの しとみより

めきらがたちに あさひさしたり」

(旅人に開く御堂の蔀より 迷企羅が太刀に朝日射したり)

・めきら=迷企羅大将。薬師如来の脇侍である十二神将の一つ。

 

〈滝坂にて〉

「ゆふされば きしのはにふに よるかにの

あかきはさみに あきのかぜふく」

(夕去れば岸の埴生に寄る蟹の 赤き鋏に秋の風吹く)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》779

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

『西大寺中興思円上人行業記』凝然著

(さいだいじちゅうこうしえんしょうにんぎょうごうき)

(西大寺蔵『興正菩薩伝記一巻』)

 

◆【興隆三学之誓。継宏覚而大立。誘化之事。不可知数。導引之儀。豈得測乎。于時報齢九十。示疾処床。志操強悍。無有衰色。正応三年庚寅八月二十五日酉剋、奄焉終于西大寺。】

 

〔三学(さんがく①)を興隆するの誓い、宏覚(こうかく②)を継いで大いに立つ。誘化(ゆうけ③)の事は数を知るべからず。導引(どういん④)の儀は、豈に測ることを得んや。時に報齢(ほうれい⑤)九十にして疾(しつ⑥)を示し床に処すも、志操強悍(しそうきょうかん⑦)にして衰色(すいしょく⑧)有ること無し。正応三年(⑨)庚寅(かのえとら)八月二十五日酉尅(とりのこく⑩)、奄焉(えんえん⑪)として西大寺に終る。〕

 

 三学=悟りを開くために必ず修めなければならない三種の実践修行。戒(戒律)、定(禅定)、慧(智慧)。

 宏覚=大きな悟りを開いた人、すなわち釈尊のこと。

 誘化=いざない教化すること。

 導引=教えみちびくこと。

 報齢=年齢。数え年。

 疾=やまい。急病。

 志操強悍=仏道修行の志を固く強く守っていること。

 衰色=おとろえた顔かたち。また、様子。

 正応三年=西暦一二九〇年。

 酉剋=現在の午後六時ごろ。また、その前後二時間。

 奄焉=にわかに。

(つづく)

 

*この行業記は東大寺戒壇院の凝然(ぎょうねん)大徳が興正菩薩御入滅の年、正応三年(1290)九月十八日、菩薩入滅後二十三日目に記したものです。文章は偈文に近い文体で短い中に菩薩の御生涯をまとめてあり、非常に格調高い歎徳文となっています。凝然師(1240-1321)は鎌倉時代の南都仏教随一の学僧で、華厳・真言・律・浄土・禅等を研鑽し、自ら「華厳兼律金剛欣淨三経学士沙門」と名乗った。生涯に千巻を超える著作をものしたが、『八宗綱要』『律宗綱要』『内典塵露章』『三国仏法伝通縁起』などが今に残る。

 

*〔忍性(にんしょう)菩薩御生誕八百年〕

来年は興正菩薩の高弟、忍性菩薩(1217年生。後醍醐天皇により菩薩号を諡される)が奈良県三宅町の「屏風(びょうぶ)の里」で誕生されてから八百年という記念の年に当たります。真言律宗にとっては宗祖に次ぐ祖師であり、日本の社会救済事業の巨人と言える僧です。現代仏教が忘れてしまった衆生済度、菩薩行の実践を再興するためにも、先輩として学びたいお方です。真言律宗(本山西大寺)としては慶賛の事業は予定されていませんが、生誕地の屏風では、浄土宗の浄土寺さん(藤田能宏住職)が菩薩の尊像を造立中、さらに映画「忍性」(秋原北胤監督、和泉元弥主演)が製作されました。10月には横浜の金沢文庫で『忍性特別展』が開催されます。般若寺は菩薩が若きころハンセン病者救済活動をされた地であることから、その業績や御遺徳を世に広めて行きたいです。

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

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2016年9月24日 (土)

コスモス寺花だより 12・13

 

〔花ごよみ〕

コスモス(秋桜)

開花情報:《2・3分咲き》

*コスモスは長い秋雨の中で背丈を伸ばしていますが、日照不足が影響し開花

は遅れています。

 

・≪見ごろ≫は10月に入ってから、≪満開≫は10月10日ごろから。

花は11月中旬まで咲き続けるでしょう。

 

「安宿のコスモスにして赤く白く」山頭火

 

・花期:9月下旬~11月 

・数と種類:15万本。20種類 

・駐車場:60台収容。花の期間中、平日は無料。

10月の土曜、日曜、休日は有料(500円)となります。

*今年は夜の行事(ライトアップ)はありません。

 

〇彼岸花:≪満開≫

○ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫睡蓮の原生種。

〇秋海棠:≪見ごろ≫300株。ベゴニアの一種で中国原産。江戸時代に日本へもたらされ全国に広まる。今では山林に自生しているところもあるほどなじみのある夏の花。日蔭を好む。ピンク色と白色がある。葉は変形のハート形で涼しげな浅緑色。

○シオン(紫苑):≪見ごろ≫

○水引草:≪咲きはじめ≫

 

〔俳句〕

「名月や 五十七年 旅の秋」一茶

訳: 名月よ。思えば、生れてこの方、五十七年すべて旅の秋。。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈新薬師寺の金堂にて〉

「たびびとに ひらくみどうの しとみより

めきらがたちに あさひさしたり」

(旅人に開く御堂の蔀より 迷企羅が太刀に朝日射したり)

・めきら=迷企羅大将。薬師如来の脇侍である十二神将の一つ。

 

〈滝坂にて〉

「ゆふされば きしのはにふに よるかにの

あかきはさみに あきのかぜふく」

(夕去れば岸の埴生に寄る蟹の 赤き鋏に秋の風吹く)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》779

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

『西大寺中興思円上人行業記』凝然著

(さいだいじちゅうこうしえんしょうにんぎょうごうき)

(西大寺蔵『興正菩薩伝記一巻』)

 

◆【興隆三学之誓。継宏覚而大立。誘化之事。不可知数。導引之儀。豈得測乎。于時報齢九十。示疾処床。志操強悍。無有衰色。正応三年庚寅八月二十五日酉剋、奄焉終于西大寺。】

 

〔三学(さんがく①)を興隆するの誓い、宏覚(こうかく②)を継いで大いに立つ。誘化(ゆうけ③)の事は数を知るべからず。導引(どういん④)の儀は、豈に測ることを得んや。時に報齢(ほうれい⑤)九十にして疾(しつ⑥)を示し床に処すも、志操強悍(しそうきょうかん⑦)にして衰色(すいしょく⑧)有ること無し。正応三年(⑨)庚寅(かのえとら)八月二十五日酉尅(とりのこく⑩)、奄焉(えんえん⑪)として西大寺に終る。〕

 

 三学=悟りを開くために必ず修めなければならない三種の実践修行。戒(戒律)、定(禅定)、慧(智慧)。

 宏覚=大きな悟りを開いた人、すなわち釈尊のこと。

 誘化=いざない教化すること。

 導引=教えみちびくこと。

 報齢=年齢。数え年。

 疾=やまい。急病。

 志操強悍=仏道修行の志を固く強く守っていること。

 衰色=おとろえた顔かたち。また、様子。

 正応三年=西暦一二九〇年。

 酉剋=現在の午後六時ごろ。また、その前後二時間。

 奄焉=にわかに。

(つづく)

 

*この行業記は東大寺戒壇院の凝然(ぎょうねん)大徳が興正菩薩御入滅の年、正応三年(1290)九月十八日、菩薩入滅後二十三日目に記したものです。文章は偈文に近い文体で短い中に菩薩の御生涯をまとめてあり、非常に格調高い歎徳文となっています。凝然師(1240-1321)は鎌倉時代の南都仏教随一の学僧で、華厳・真言・律・浄土・禅等を研鑽し、自ら「華厳兼律金剛欣淨三経学士沙門」と名乗った。生涯に千巻を超える著作をものしたが、『八宗綱要』『律宗綱要』『内典塵露章』『三国仏法伝通縁起』などが今に残る。

 

*〔忍性(にんしょう)菩薩御生誕八百年〕

来年は興正菩薩の高弟、忍性菩薩(1217年生。後醍醐天皇により菩薩号を諡される)が奈良県三宅町の「屏風(びょうぶ)の里」で誕生されてから八百年という記念の年に当たります。真言律宗にとっては宗祖に次ぐ祖師であり、日本の社会救済事業の巨人と言える僧です。現代仏教が忘れてしまった衆生済度、菩薩行の実践を再興するためにも、先輩として学びたいお方です。真言律宗(本山西大寺)としては慶賛の事業は予定されていませんが、生誕地の屏風では、浄土宗の浄土寺さん(藤田能宏住職)が菩薩の尊像を造立中、さらに映画「忍性」(秋原北胤監督、和泉元弥主演)が製作されました。10月には横浜の金沢文庫で『忍性特別展』が開催されます。般若寺は菩薩が若きころハンセン病者救済活動をされた地であることから、その業績や御遺徳を世に広めて行きたいです。

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

 

 

 

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2016年9月23日 (金)

コスモス寺花だより 9・23

 

〔花ごよみ〕

コスモス(秋桜)

開花情報:《2・3分咲き》

*コスモスは長い秋雨の中で背丈を伸ばしていますが、日照不足が影響し開花

は遅れています。

 

・≪見ごろ≫は10月に入ってから、≪満開≫は10月10日ごろから。

花は11月中旬まで咲き続けるでしょう。

 

「安宿のコスモスにして赤く白く」山頭火

 

・花期:9月下旬~11月 

・数と種類:15万本。20種類 

・駐車場:60台収容。花の期間中、平日は無料。

10月の土曜、日曜、休日は有料(500円)となります。

 

〇彼岸花:≪満開≫

○ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫睡蓮の原生種。

〇秋海棠:≪見ごろ≫300株。ベゴニアの一種で中国原産。江戸時代に日本へもたらされ全国に広まる。今では山林に自生しているところもあるほどなじみのある夏の花。日蔭を好む。ピンク色と白色がある。葉は変形のハート形で涼しげな浅緑色。

○シオン(紫苑):≪見ごろ≫

○水引草:≪咲きはじめ≫

 

〔俳句〕

「酒尽て しんの座につく 月見哉」一茶

訳: 酒宴が終わって、いよいよ本当の座についての月見となったなあ。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈新薬師寺の金堂にて〉

「たびびとに ひらくみどうの しとみより

めきらがたちに あさひさしたり」

(旅人に開く御堂の蔀より 迷企羅が太刀に朝日射したり)

・めきら=迷企羅大将。薬師如来の脇侍である十二神将の一つ。

 

〈滝坂にて〉

「ゆふされば きしのはにふに よるかにの

あかきはさみに あきのかぜふく」

(夕去れば岸の埴生に寄る蟹の 赤き鋏に秋の風吹く)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》779

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

『西大寺中興思円上人行業記』凝然著

(さいだいじちゅうこうしえんしょうにんぎょうごうき)

(西大寺蔵『興正菩薩伝記一巻』)

 

◆【興隆三学之誓。継宏覚而大立。誘化之事。不可知数。導引之儀。豈得測乎。于時報齢九十。示疾処床。志操強悍。無有衰色。正応三年庚寅八月二十五日酉剋、奄焉終于西大寺。】

 

〔三学(さんがく①)を興隆するの誓い、宏覚(こうかく②)を継いで大いに立つ。誘化(ゆうけ③)の事は数を知るべからず。導引(どういん④)の儀は、豈に測ることを得んや。時に報齢(ほうれい⑤)九十にして疾(しつ⑥)を示し床に処すも、志操強悍(しそうきょうかん⑦)にして衰色(すいしょく⑧)有ること無し。正応三年(⑨)庚寅(かのえとら)八月二十五日酉尅(とりのこく⑩)、奄焉(えんえん⑪)として西大寺に終る。〕

 

 三学=悟りを開くために必ず修めなければならない三種の実践修行。戒(戒律)、定(禅定)、慧(智慧)。

 宏覚=大きな悟りを開いた人、すなわち釈尊のこと。

 誘化=いざない教化すること。

 導引=教えみちびくこと。

 報齢=年齢。数え年。

 疾=やまい。急病。

 志操強悍=仏道修行の志を固く強く守っていること。

 衰色=おとろえた顔かたち。また、様子。

 正応三年=西暦一二九〇年。

 酉剋=現在の午後六時ごろ。また、その前後二時間。

 奄焉=にわかに。

(つづく)

 

*この行業記は東大寺戒壇院の凝然(ぎょうねん)大徳が興正菩薩御入滅の年、正応三年(1290)九月十八日、菩薩入滅後二十三日目に記したものです。文章は偈文に近い文体で短い中に菩薩の御生涯をまとめてあり、非常に格調高い歎徳文となっています。凝然師(1240-1321)は鎌倉時代の南都仏教随一の学僧で、華厳・真言・律・浄土・禅等を研鑽し、自ら「華厳兼律金剛欣淨三経学士沙門」と名乗った。生涯に千巻を超える著作をものしたが、『八宗綱要』『律宗綱要』『内典塵露章』『三国仏法伝通縁起』などが今に残る。

 

*〔忍性(にんしょう)菩薩御生誕八百年〕

来年は興正菩薩の高弟、忍性菩薩(1217年生。後醍醐天皇により菩薩号を諡される)が奈良県三宅町の「屏風(びょうぶ)の里」で誕生されてから八百年という記念の年に当たります。真言律宗にとっては宗祖に次ぐ祖師であり、日本の社会救済事業の巨人と言える僧です。現代仏教が忘れてしまった衆生済度、菩薩行の実践を再興するためにも、先輩として学びたいお方です。真言律宗(本山西大寺)としては慶賛の事業は予定されていませんが、生誕地の屏風では、浄土宗の浄土寺さん(藤田能宏住職)が菩薩の尊像を造立中、さらに映画「忍性」(秋原北胤監督、和泉元弥主演)が製作されました。10月には横浜の金沢文庫で『忍性特別展』が開催されます。般若寺は菩薩が若きころハンセン病者救済活動をされた地であることから、その業績や御遺徳を世に広めて行きたいです。

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

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2016年9月22日 (木)

コスモス寺花だより 9・22

〔花ごよみ〕

コスモス(秋桜)

開花情報:《2・3分咲き》

*コスモスは長い秋雨の中で背丈を伸ばしていますが、日照不足が影響し開花

は遅れています。

 

・≪見ごろ≫、≪満開≫は10月に入ってからになり、11月中旬まで続くでし

ょう。

 

「休む外ない雨のひよろひよろコスモス」山頭火

 

・花期:9月下旬~11月 

・数と種類:15万本。20種類 

・駐車場:60台収容。花の期間中、平日は無料。

10月の土曜、日曜、休日は有料(500円)となります。

今年は夜の行事(ライトアップ)は諸般の事情によりありません。有るように

ご紹介されている情報は誤りです。

 

〇彼岸花:≪満開≫

○ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫睡蓮の原生種。

〇秋海棠:≪見ごろ≫300株。ベゴニアの一種で中国原産。江戸時代に日本へもたらされ全国に広まる。今では山林に自生しているところもあるほどなじみのある夏の花。日蔭を好む。ピンク色と白色がある。葉は変形のハート形で涼しげな浅緑色。

○シオン(紫苑):≪見ごろ≫

○水引草:≪咲きはじめ≫

 

〔俳句〕

「姥(うば)捨た 奴も一つの 月見哉」一茶

訳:老婆を捨てた奴も同じ月見をしているよ。

  捨てられた姥にも、棄てた者にも同じ月が照る。どちらも哀しい思いで月を仰ぐのだ。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈新薬師寺の金堂にて〉

「たびびとに ひらくみどうの しとみより

めきらがたちに あさひさしたり」

(旅人に開く御堂の蔀より 迷企羅が太刀に朝日射したり)

・めきら=迷企羅大将。薬師如来の脇侍である十二神将の一つ。

 

〈滝坂にて〉

「ゆふされば きしのはにふに よるかにの

あかきはさみに あきのかぜふく」

(夕去れば岸の埴生に寄る蟹の 赤き鋏に秋の風吹く)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》779

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

『西大寺中興思円上人行業記』凝然著

(さいだいじちゅうこうしえんしょうにんぎょうごうき)

(西大寺蔵『興正菩薩伝記一巻』)

 

◆【興隆三学之誓。継宏覚而大立。誘化之事。不可知数。導引之儀。豈得測乎。于時報齢九十。示疾処床。志操強悍。無有衰色。正応三年庚寅八月二十五日酉剋、奄焉終于西大寺。】

 

〔三学(さんがく①)を興隆するの誓い、宏覚(こうかく②)を継いで大いに立つ。誘化(ゆうけ③)の事は数を知るべからず。導引(どういん④)の儀は、豈に測ることを得んや。時に報齢(ほうれい⑤)九十にして疾(しつ⑥)を示し床に処すも、志操強悍(しそうきょうかん⑦)にして衰色(すいしょく⑧)有ること無し。正応三年(⑨)庚寅(かのえとら)八月二十五日酉尅(とりのこく⑩)、奄焉(えんえん⑪)として西大寺に終る。〕

 

 三学=悟りを開くために必ず修めなければならない三種の実践修行。戒(戒律)、定(禅定)、慧(智慧)。

 宏覚=大きな悟りを開いた人、すなわち釈尊のこと。

 誘化=いざない教化すること。

 導引=教えみちびくこと。

 報齢=年齢。数え年。

 疾=やまい。急病。

 志操強悍=仏道修行の志を固く強く守っていること。

 衰色=おとろえた顔かたち。また、様子。

 正応三年=西暦一二九〇年。

 酉剋=現在の午後六時ごろ。また、その前後二時間。

 奄焉=にわかに。

(つづく)

 

*この行業記は東大寺戒壇院の凝然(ぎょうねん)大徳が興正菩薩御入滅の年、正応三年(1290)九月十八日、菩薩入滅後二十三日目に記したものです。文章は偈文に近い文体で短い中に菩薩の御生涯をまとめてあり、非常に格調高い歎徳文となっています。凝然師(1240-1321)は鎌倉時代の南都仏教随一の学僧で、華厳・真言・律・浄土・禅等を研鑽し、自ら「華厳兼律金剛欣淨三経学士沙門」と名乗った。生涯に千巻を超える著作をものしたが、『八宗綱要』『律宗綱要』『内典塵露章』『三国仏法伝通縁起』などが今に残る。

 

*〔忍性(にんしょう)菩薩御生誕八百年〕

来年は興正菩薩の高弟、忍性菩薩(1217年生。後醍醐天皇により菩薩号を諡される)が奈良県三宅町の「屏風(びょうぶ)の里」で誕生されてから八百年という記念の年に当たります。真言律宗にとっては宗祖に次ぐ祖師であり、日本の社会救済事業の巨人と言える僧です。現代仏教が忘れてしまった衆生済度、菩薩行の実践を再興するためにも、先輩として学びたいお方です。真言律宗(本山西大寺)としては慶賛の事業は予定されていませんが、生誕地の屏風では、浄土宗の浄土寺さん(藤田能宏住職)が菩薩の尊像を造立中、さらに映画「忍性」(秋原北胤監督、和泉元弥主演)の製作が進行中です。般若寺としても、菩薩が若きころハンセン病者救済活動をされた地であることから、その業績や御遺徳を世に広めて行きたいと思っています。

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

 

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2016年9月21日 (水)

コスモス寺花だより 9・21

 

〔花ごよみ〕

コスモス(秋桜)

開花情報:《2・3分咲き》

*コスモスは長い秋雨の中で背丈を伸ばしていますが、開花はおくれ気味。

台風16号は和歌山へ上陸し奈良県南部を横断しました。雨は相当降ったものの

大きな被害もなく無事に通過してくれました。コスモスは風が心配でしたが、さ

ほど強い風ではなく、倒されたのは一割程度で復旧できる範囲でした。

 

・≪見ごろ≫、≪満開≫は10月に入ってからになり、11月中旬まで続くでし

ょう。

 

「休む外ない雨のひよろひよろコスモス」山頭火

 

・花期:9月下旬~11月 

・数と種類:15万本。20種類 

・駐車場:60台収容。花の期間中、平日は無料。

10月の土曜、日曜、休日は有料(500円)となります。

 

〇彼岸花:≪満開≫

○ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫睡蓮の原生種。

〇秋海棠:≪見ごろ≫300株。ベゴニアの一種で中国原産。江戸時代に日本へもたらされ全国に広まる。今では山林に自生しているところもあるほどなじみのある夏の花。日蔭を好む。ピンク色と白色がある。葉は変形のハート形で涼しげな浅緑色。

○シオン(紫苑):≪見ごろ≫

○水引草:≪咲きはじめ≫

 

〔俳句〕

「ふしぎ也 生た家で けふの月」一茶

訳:不思議なことだなあ。生まれた家で仰ぐ今日の名月。。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに おしてるつきの ほがらかに

       あきのゆふべと なりにけるかも」

(春日野におし照る月のほがらかに 秋の夕べとなりにけるかも)

・ほがらかに=朗らかに。(光がさして)明るいさま。さわやかなさま。

 

〈唐招提寺にて〉

「おほてらの まろきはしらの つきかげを

       つちにふみつつ ものをこそおもへ」

(大寺の丸き柱の月影を 土に踏みつつものをこそ思へ)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》77

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

『西大寺中興思円上人行業記』凝然著

(さいだいじちゅうこうしえんしょうにんぎょうごうき)

(西大寺蔵『興正菩薩伝記一巻』)

 

◆【猛勢智火惑焼千薪。兼達瑜伽。博通唯識。三性二諦之奥堂。懸鏡玉而光麗。五重百法之霊苑(薗)。飾華蕚而色鮮。製作繁広。事亘顕密。開済慇懃義遍化制。何況済度六趣之願。傚大聖而深起。】

 

〔猛盛(もうせい)の智火(ちか)は千薪(せんしん①)を惑焼(或焼ヵ、こくしょう②)す。兼ねて瑜伽(ゆが③)に達し、博く唯識(ゆいしき④)に通ず。三性二諦(さんしょうにたい⑤)の奥堂(おうどう⑥)は鏡玉(きょうぎょく⑦)を懸けて光麗(うるわ)し。五重百法(ごじゅうひゃくほう⑧)の霊苑(薗ヵ、れいえん⑨)は華蕚(かがく⑩)を飾りて色鮮やか。製作するところは繁くして広し、事(じ⑪)は顕密(けんみつ⑫)に亘る。慇懃(いんぎん⑬)の義を開濟(かいさい⑭)し化制(けせい⑮)を遍くす。何ぞ況や六趣(ろくしゅ⑯)を済度するの願は、大聖(だいしょう⑰)に傚(なら)いて深く起こす。〕

 

 千薪=千は多いこと、薪は煩悩のこと。多くの煩悩。

 或焼=或はいつも、つねに。智慧の火が煩悩をつねに焼きつくすこと。

 瑜伽=瑜伽行唯識。梵語でヨーガ、精神統一して禅定に入る修行。

 唯識=法相宗。唯識宗ともいう。

 三性二諦=唯識三性観と真俗二諦説。

 奥堂=一番奥にある大切なお堂。奥深い、究極の教えをさす。

 鏡玉=鏡や玉。光を放つかざり。

 五重百法=五重は五重唯識のこと。唯識三性観を修するのに浅から深に至るに五重ありという。百法は唯識宗に於いて世間出世間の万象を説明するに、俱舎宗七十五法に対して百法を数える。

 霊薗=唯識によるさとりの花薗。

 華萼=美しい花びらと蕚。

 事=こととする。専念する。

 顕密=顕教と密教。

 慇懃=心をこめて念入りにする。

 開濟=開は始める。濟は成しとげる。物事を始めて、それを成就すること。

 化制=化制二教。律宗の教相判釈。釈迦一代の教えは、経論の二蔵はひろく因果の道理正邪の区別を説き道俗を化するので化教といい、戒律の一蔵は仏弟子の守るべき戒行を明らかにするで制教(行教とも)という。

 六趣=六道(地獄、餓鬼、畜生、阿修羅、人間、天)

 大聖=釈迦如来。

(つづく)

 

*この行業記は東大寺戒壇院の凝然(ぎょうねん)大徳が興正菩薩御入滅の年、正応三年(1290)九月十八日、菩薩入滅後二十三日目に記したものです。文章は偈文に近い文体で短い中に菩薩の御生涯をまとめてあり、非常に格調高い歎徳文となっています。凝然師(1240-1321)は鎌倉時代の南都仏教随一の学僧で、華厳・真言・律・浄土・禅等を研鑽し、自ら「華厳兼律金剛欣淨三経学士沙門」と名乗った。生涯に千巻を超える著作をものしたが、『八宗綱要』『律宗綱要』『内典塵露章』『三国仏法伝通縁起』などが今に残る。

 

*〔忍性(にんしょう)菩薩御生誕八百年〕

来年は興正菩薩の高弟、忍性菩薩(1217年生。後醍醐天皇により菩薩号を諡される)が奈良県三宅町の「屏風(びょうぶ)の里」で誕生されてから八百年という記念の年に当たります。真言律宗にとっては宗祖に次ぐ祖師であり、日本の社会救済事業の巨人と言える僧です。現代仏教が忘れてしまった衆生済度、菩薩行の実践を再興するためにも、先輩として学びたいお方です。真言律宗(本山西大寺)としては慶賛の事業は予定されていませんが、生誕地の屏風では、浄土宗の浄土寺さん(藤田能宏住職)が菩薩の尊像を造立中、さらに映画「忍性」(秋原北胤監督、和泉元弥主演)の製作が進行中です。そして奈良国立博物館では、菩薩が活動された鎌倉極楽寺から一山を挙げての『忍性展』(本日最終日)が行なわれています。般若寺としても、菩薩が若きころハンセン病者救済活動をされた地であることから、その業績や御遺徳を世に広めて行きたいと思っています。

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。


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2016年9月20日 (火)

コスモス寺花だより 9・20

 

〔花ごよみ〕

コスモス(秋桜)

開花情報:《2・3分咲き》

*秋の長雨に入りコスモスの背丈は日に日に伸びていますが、

開花は少し遅れています。台風が心配、無事に通過してくれることを祈ります。

・見ごろ、満開は10月にずれ込んでいます。その分、花の期間は長くなり、

11月上旬まで続くと思われます

 

「休む外ない雨のひよろひよろコスモス」種田山頭火

 

・花期:9月下旬~11月 

・数と種類:15万本。20種類 

・駐車場:60台収容。花の期間中、平日は無料。

10月の土曜、日曜、休日は有料(500円)となります。

 

〇彼岸花:≪満開≫

○ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫睡蓮の原生種。

〇秋海棠:≪見ごろ≫300株。ベゴニアの一種で中国原産。江戸時代に日本へもたらされ全国に広まる。今では山林に自生しているところもあるほどなじみのある夏の花。日蔭を好む。ピンク色と白色がある。葉は変形のハート形で涼しげな浅緑色。

○シオン(紫苑):≪見ごろ≫

○水引草:≪咲きはじめ≫

 

*秋の白鳳秘仏公開は本日から始まります。(11月11日まで)

 

〔俳句〕

「月さへよ あの世の親が 今ござる」一茶

訳:月よ冴え冴えと照らしなさい。あの世へ行ってしまった親が今眼前にいらっしゃる。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに おしてるつきの ほがらかに

       あきのゆふべと なりにけるかも」

(春日野におし照る月のほがらかに 秋の夕べとなりにけるかも)

・ほがらかに=朗らかに。(光がさして)明るいさま。さわやかなさま。

 

〈唐招提寺にて〉

「おほてらの まろきはしらの つきかげを

       つちにふみつつ ものをこそおもへ」

(大寺の丸き柱の月影を 土に踏みつつものをこそ思へ)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》77

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

『西大寺中興思円上人行業記』凝然著

(さいだいじちゅうこうしえんしょうにんぎょうごうき)

(西大寺蔵『興正菩薩伝記一巻』)

 

◆【猛勢智火惑焼千薪。兼達瑜伽。博通唯識。三性二諦之奥堂。懸鏡玉而光麗。五重百法之霊苑(薗)。飾華蕚而色鮮。製作繁広。事亘顕密。開済慇懃義遍化制。何況済度六趣之願。傚大聖而深起。】

 

〔猛盛(もうせい)の智火(ちか)は千薪(せんしん①)を惑焼(或焼ヵ、こくしょう②)す。兼ねて瑜伽(ゆが③)に達し、博く唯識(ゆいしき④)に通ず。三性二諦(さんしょうにたい⑤)の奥堂(おうどう⑥)は鏡玉(きょうぎょく⑦)を懸けて光麗(うるわ)し。五重百法(ごじゅうひゃくほう⑧)の霊苑(薗ヵ、れいえん⑨)は華蕚(かがく⑩)を飾りて色鮮やか。製作するところは繁くして広し、事(じ⑪)は顕密(けんみつ⑫)に亘る。慇懃(いんぎん⑬)の義を開濟(かいさい⑭)し化制(けせい⑮)を遍くす。何ぞ況や六趣(ろくしゅ⑯)を済度するの願は、大聖(だいしょう⑰)に傚(なら)いて深く起こす。〕

 

 千薪=千は多いこと、薪は煩悩のこと。多くの煩悩。

 或焼=或はいつも、つねに。智慧の火が煩悩をつねに焼きつくすこと。

 瑜伽=瑜伽行唯識。梵語でヨーガ、精神統一して禅定に入る修行。

 唯識=法相宗。唯識宗ともいう。

 三性二諦=唯識三性観と真俗二諦説。

 奥堂=一番奥にある大切なお堂。奥深い、究極の教えをさす。

 鏡玉=鏡や玉。光を放つかざり。

 五重百法=五重は五重唯識のこと。唯識三性観を修するのに浅から深に至るに五重ありという。百法は唯識宗に於いて世間出世間の万象を説明するに、俱舎宗七十五法に対して百法を数える。

 霊薗=唯識によるさとりの花薗。

 華萼=美しい花びらと蕚。

 事=こととする。専念する。

 顕密=顕教と密教。

 慇懃=心をこめて念入りにする。

 開濟=開は始める。濟は成しとげる。物事を始めて、それを成就すること。

 化制=化制二教。律宗の教相判釈。釈迦一代の教えは、経論の二蔵はひろく因果の道理正邪の区別を説き道俗を化するので化教といい、戒律の一蔵は仏弟子の守るべき戒行を明らかにするで制教(行教とも)という。

 六趣=六道(地獄、餓鬼、畜生、阿修羅、人間、天)

 大聖=釈迦如来。

(つづく)

 

*この行業記は東大寺戒壇院の凝然(ぎょうねん)大徳が興正菩薩御入滅の年、正応三年(1290)九月十八日、菩薩入滅後二十三日目に記したものです。文章は偈文に近い文体で短い中に菩薩の御生涯をまとめてあり、非常に格調高い歎徳文となっています。凝然師(1240-1321)は鎌倉時代の南都仏教随一の学僧で、華厳・真言・律・浄土・禅等を研鑽し、自ら「華厳兼律金剛欣淨三経学士沙門」と名乗った。生涯に千巻を超える著作をものしたが、『八宗綱要』『律宗綱要』『内典塵露章』『三国仏法伝通縁起』などが今に残る。

 

*〔忍性(にんしょう)菩薩御生誕八百年〕

来年は興正菩薩の高弟、忍性菩薩(1217年生。後醍醐天皇により菩薩号を諡される)が奈良県三宅町の「屏風(びょうぶ)の里」で誕生されてから八百年という記念の年に当たります。真言律宗にとっては宗祖に次ぐ祖師であり、日本の社会救済事業の巨人と言える僧です。現代仏教が忘れてしまった衆生済度、菩薩行の実践を再興するためにも、先輩として学びたいお方です。真言律宗(本山西大寺)としては慶賛の事業は予定されていませんが、生誕地の屏風では、浄土宗の浄土寺さん(藤田能宏住職)が菩薩の尊像を造立中、さらに映画「忍性」(秋原北胤監督、和泉元弥主演)の製作が進行中です。奈良国立博物館での『忍性展』は19日に最後の法要を勤めて無事終了いたしました。この展覧会は忍性菩薩のことが世に知られる大きなきっかけとなり大成功でした。博物館のスタッフ、後援の読売テレビの皆様に深く感謝申し上げます。10月には横浜の金沢文庫に於いても展覧会が行なわれます。

私たち真言律宗の末徒は、悠久の歴史を持つ奈良県に生まれた偉人、忍性菩薩の業績をさらに顕彰してまいります。有難うございました。

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

 

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2016年9月19日 (月)

コスモス寺花だより 9・19

 

〔花ごよみ〕

コスモス(秋桜)

開花情報:《2・3分咲き》

*秋の長雨に入りコスモスの背丈は日に日に伸びていますが、

開花は少し遅れています。

・見ごろ、満開は10月にずれ込んでいます。その分花の期間は長くなり

11月上旬まで続くと思われます

 

「休む外ない雨のひよろひよろコスモス」種田山頭火

 

・花期:9月下旬~11月 

・数と種類:15万本。20種類 

・駐車場:60台収容。花の期間中、平日は無料。

10月の土曜、日曜、休日は有料(500円)となります。

 

〇彼岸花:≪満開≫

○ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫睡蓮の原生種。

〇秋海棠:≪見ごろ≫300株。ベゴニアの一種で中国原産。江戸時代に日本へもたらされ全国に広まる。今では山林に自生しているところもあるほどなじみのある夏の花。日蔭を好む。ピンク色と白色がある。葉は変形のハート形で涼しげな浅緑色。

○シオン(紫苑):≪見ごろ≫

○水引草:≪咲きはじめ≫

 

*秋の白鳳秘仏公開は9月20日から始まります。(11月11日まで)

 

〔俳句〕

「名月を とつてくれろと 泣子哉」一茶

訳:「あのうまそうな名月をとってくれろ」と泣く子どもよ。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに おしてるつきの ほがらかに

       あきのゆふべと なりにけるかも」

(春日野におし照る月のほがらかに 秋の夕べとなりにけるかも)

・ほがらかに=朗らかに。(光がさして)明るいさま。さわやかなさま。

 

〈唐招提寺にて〉

「おほてらの まろきはしらの つきかげを

       つちにふみつつ ものをこそおもへ」

(大寺の丸き柱の月影を 土に踏みつつものをこそ思へ)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》77

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

『西大寺中興思円上人行業記』凝然著

(さいだいじちゅうこうしえんしょうにんぎょうごうき)

(西大寺蔵『興正菩薩伝記一巻』)

 

◆【猛勢智火惑焼千薪。兼達瑜伽。博通唯識。三性二諦之奥堂。懸鏡玉而光麗。五重百法之霊苑(薗)。飾華蕚而色鮮。製作繁広。事亘顕密。開済慇懃義遍化制。何況済度六趣之願。傚大聖而深起。】

 

〔猛盛(もうせい)の智火(ちか)は千薪(せんしん①)を惑焼(或焼ヵ、こくしょう②)す。兼ねて瑜伽(ゆが③)に達し、博く唯識(ゆいしき④)に通ず。三性二諦(さんしょうにたい⑤)の奥堂(おうどう⑥)は鏡玉(きょうぎょく⑦)を懸けて光麗(うるわ)し。五重百法(ごじゅうひゃくほう⑧)の霊苑(薗ヵ、れいえん⑨)は華蕚(かがく⑩)を飾りて色鮮やか。製作するところは繁くして広し、事(じ⑪)は顕密(けんみつ⑫)に亘る。慇懃(いんぎん⑬)の義を開濟(かいさい⑭)し化制(けせい⑮)を遍くす。何ぞ況や六趣(ろくしゅ⑯)を済度するの願は、大聖(だいしょう⑰)に傚(なら)いて深く起こす。〕

 

 千薪=千は多いこと、薪は煩悩のこと。多くの煩悩。

 或焼=或はいつも、つねに。智慧の火が煩悩をつねに焼きつくすこと。

 瑜伽=瑜伽行唯識。梵語でヨーガ、精神統一して禅定に入る修行。

 唯識=法相宗。唯識宗ともいう。

 三性二諦=唯識三性観と真俗二諦説。

 奥堂=一番奥にある大切なお堂。奥深い、究極の教えをさす。

 鏡玉=鏡や玉。光を放つかざり。

 五重百法=五重は五重唯識のこと。唯識三性観を修するのに浅から深に至るに五重ありという。百法は唯識宗に於いて世間出世間の万象を説明するに、俱舎宗七十五法に対して百法を数える。

 霊薗=唯識によるさとりの花薗。

 華萼=美しい花びらと蕚。

 事=こととする。専念する。

 顕密=顕教と密教。

 慇懃=心をこめて念入りにする。

 開濟=開は始める。濟は成しとげる。物事を始めて、それを成就すること。

 化制=化制二教。律宗の教相判釈。釈迦一代の教えは、経論の二蔵はひろく因果の道理正邪の区別を説き道俗を化するので化教といい、戒律の一蔵は仏弟子の守るべき戒行を明らかにするで制教(行教とも)という。

 六趣=六道(地獄、餓鬼、畜生、阿修羅、人間、天)

 大聖=釈迦如来。

(つづく)

 

*この行業記は東大寺戒壇院の凝然(ぎょうねん)大徳が興正菩薩御入滅の年、正応三年(1290)九月十八日、菩薩入滅後二十三日目に記したものです。文章は偈文に近い文体で短い中に菩薩の御生涯をまとめてあり、非常に格調高い歎徳文となっています。凝然師(1240-1321)は鎌倉時代の南都仏教随一の学僧で、華厳・真言・律・浄土・禅等を研鑽し、自ら「華厳兼律金剛欣淨三経学士沙門」と名乗った。生涯に千巻を超える著作をものしたが、『八宗綱要』『律宗綱要』『内典塵露章』『三国仏法伝通縁起』などが今に残る。

 

*〔忍性(にんしょう)菩薩御生誕八百年〕

来年は興正菩薩の高弟、忍性菩薩(1217年生。後醍醐天皇により菩薩号を諡される)が奈良県三宅町の「屏風(びょうぶ)の里」で誕生されてから八百年という記念の年に当たります。真言律宗にとっては宗祖に次ぐ祖師であり、日本の社会救済事業の巨人と言える僧です。現代仏教が忘れてしまった衆生済度、菩薩行の実践を再興するためにも、先輩として学びたいお方です。真言律宗(本山西大寺)としては慶賛の事業は予定されていませんが、生誕地の屏風では、浄土宗の浄土寺さん(藤田能宏住職)が菩薩の尊像を造立中、さらに映画「忍性」(秋原北胤監督、和泉元弥主演)の製作が進行中です。そして奈良国立博物館では、菩薩が活動された鎌倉極楽寺から一山を挙げての『忍性展』(本日最終日)が行なわれています。般若寺としても、菩薩が若きころハンセン病者救済活動をされた地であることから、その業績や御遺徳を世に広めて行きたいと思っています。

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

 

 

 

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2016年9月18日 (日)

コスモス寺花だより 9・18

〔花ごよみ〕

コスモス(秋桜)

開花情報:《2・3分咲き》

開花は少し遅れています。

・見ごろは九月下旬から、

・満開は十月に入って一週目くらいからです。

 

「休む外ない雨のひよろひよろコスモス」種田山頭火

 

・花期:9月下旬~11月 

・数と種類:15万本。20種類 

・駐車場:60台収容。花の期間中、平日は無料。

土曜、日曜、休日は有料となります。

 

〇彼岸花:≪見ごろ≫

○ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫睡蓮の原生種。

〇秋海棠:≪見ごろ≫300株。ベゴニアの一種で中国原産。江戸時代に日本へもたらされ全国に広まる。今では山林に自生しているところもあるほどなじみのある夏の花。日蔭を好む。ピンク色と白色がある。葉は変形のハート形で涼しげな浅緑色。

○シオン(紫苑):≪咲きはじめ≫

○水引草:≪咲きはじめ≫

 

*秋の白鳳秘仏公開は9月20日から始まります。

 

〔俳句〕

「名月の 御覧の通り 屑家(くづや)也」一茶

訳:名月のご覧になられた通りの屑家ですなあ。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに おしてるつきの ほがらかに

       あきのゆふべと なりにけるかも」

(春日野におし照る月のほがらかに 秋の夕べとなりにけるかも)

・ほがらかに=朗らかに。(光がさして)明るいさま。さわやかなさま。

 

〈唐招提寺にて〉

「おほてらの まろきはしらの つきかげを

       つちにふみつつ ものをこそおもへ」

(大寺の丸き柱の月影を 土に踏みつつものをこそ思へ)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》77

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

『西大寺中興思円上人行業記』凝然著

(さいだいじちゅうこうしえんしょうにんぎょうごうき)

(西大寺蔵『興正菩薩伝記一巻』)

 

◆【猛勢智火惑焼千薪。兼達瑜伽。博通唯識。三性二諦之奥堂。懸鏡玉而光麗。五重百法之霊苑(薗)。飾華蕚而色鮮。製作繁広。事亘顕密。開済慇懃義遍化制。何況済度六趣之願。傚大聖而深起。】

 

〔猛盛(もうせい)の智火(ちか)は千薪(せんしん①)を惑焼(或焼ヵ、こくしょう②)す。兼ねて瑜伽(ゆが③)に達し、博く唯識(ゆいしき④)に通ず。三性二諦(さんしょうにたい⑤)の奥堂(おうどう⑥)は鏡玉(きょうぎょく⑦)を懸けて光麗(うるわ)し。五重百法(ごじゅうひゃくほう⑧)の霊苑(薗ヵ、れいえん⑨)は華蕚(かがく⑩)を飾りて色鮮やか。製作するところは繁くして広し、事(じ⑪)は顕密(けんみつ⑫)に亘る。慇懃(いんぎん⑬)の義を開濟(かいさい⑭)し化制(けせい⑮)を遍くす。何ぞ況や六趣(ろくしゅ⑯)を済度するの願は、大聖(だいしょう⑰)に傚(なら)いて深く起こす。〕

 

 千薪=千は多いこと、薪は煩悩のこと。多くの煩悩。

 或焼=或はいつも、つねに。智慧の火が煩悩をつねに焼きつくすこと。

 瑜伽=瑜伽行唯識。梵語でヨーガ、精神統一して禅定に入る修行。

 唯識=法相宗。唯識宗ともいう。

 三性二諦=唯識三性観と真俗二諦説。

 奥堂=一番奥にある大切なお堂。奥深い、究極の教えをさす。。

 鏡玉=鏡や玉。光を放つかざり。

 五重百法=五重は五重唯識のこと。唯識三性観を修するのに浅から深に至るに五重ありという。百法は唯識宗に於いて世間出世間の万象を説明するに、俱舎宗七十五法に対して百法を数える。

 霊薗=唯識によるさとりの花薗。

 華萼=美しい花びらと蕚。

 事=こととする。専念する。

 顕密=顕教と密教。

 慇懃=心をこめて念入りにする。

 開濟=開は始める。濟は成しとげる。物事を始めて、それを成就すること。

 化制=化制二教。律宗の教相判釈。釈迦一代の教えは、経論の二蔵はひろく因果の道理正邪の区別を説き道俗を化するので化教といい、戒律の一蔵は仏弟子の守るべき戒行を明らかにするで制教(行教とも)という。

 六趣=六道(地獄、餓鬼、畜生、阿修羅、人間、天)

 大聖=釈迦如来。

(つづく)

 

*この行業記は東大寺戒壇院の凝然(ぎょうねん)大徳が興正菩薩御入滅の年、正応三年(1290)九月十八日、菩薩入滅後二十三日目に記したものです。文章は偈文に近い文体で短い中に菩薩の御生涯をまとめてあり、非常に格調高い歎徳文となっています。凝然師(1240-1321)は鎌倉時代の南都仏教随一の学僧で、華厳・真言・律・浄土・禅等を研鑽し、自ら「華厳兼律金剛欣淨三経学士沙門」と名乗った。生涯に千巻を超える著作をものしたが、『八宗綱要』『律宗綱要』『内典塵露章』『三国仏法伝通縁起』などが今に残る。

 

*〔忍性(にんしょう)菩薩御生誕八百年〕

来年は興正菩薩の高弟、忍性菩薩(1217年生。後醍醐天皇により菩薩号を諡される)が奈良県三宅町の「屏風(びょうぶ)の里」で誕生されてから八百年という記念の年に当たります。真言律宗にとっては宗祖に次ぐ祖師であり、日本の社会救済事業の巨人と言える僧です。現代仏教が忘れてしまった衆生済度、菩薩行の実践を再興するためにも、先輩として学びたいお方です。真言律宗(本山西大寺)としては慶賛の事業は予定されていませんが、生誕地の屏風では、浄土宗の浄土寺さん(藤田能宏住職)が菩薩の尊像を造立中、さらに映画「忍性」(秋原北胤監督、和泉元弥主演)の製作が進行中です。そして奈良国立博物館では、菩薩が活動された鎌倉極楽寺から一山を挙げての『忍性展』(723日―919日)が行なわれています。般若寺としても、菩薩が若きころハンセン病者救済活動をされた地であることから、その業績や御遺徳を世に広めて行きたいと思っています。

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

 

 

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2016年9月17日 (土)

コスモス寺花だより 9・17

〔花ごよみ〕

コスモス(秋桜)

開花情報:《2・3分咲き》

開花は少し遅れています。

・見ごろは九月下旬から、

・満開は十月に入って一週目くらいからです。

 

「夕雨小雨そよぐコスモス」種田山頭火

 

・花期:9月下旬~11月 

・数と種類:15万本。20種類 

・駐車場:60台収容。花の期間中、平日は無料。

土曜、日曜、休日は有料となります。

 

〇彼岸花:≪見ごろ≫

○ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫睡蓮の原生種。

〇秋海棠:≪見ごろ≫300株。ベゴニアの一種で中国原産。江戸時代に日本へもたらされ全国に広まる。今では山林に自生しているところもあるほどなじみのある夏の花。日蔭を好む。ピンク色と白色がある。葉は変形のハート形で涼しげな浅緑色。

○シオン(紫苑):≪つぼみ≫

○水引草:≪咲きはじめ≫

 

*秋の白鳳秘仏公開は9月20日から始まります。

 

〔俳句〕

「たまに来た 故郷の月は 曇りけり」一茶

訳:たまに帰って来た故郷の月は曇っているなあ。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに おしてるつきの ほがらかに

       あきのゆふべと なりにけるかも」

(春日野におし照る月のほがらかに 秋の夕べとなりにけるかも)

・ほがらかに=朗らかに。(光がさして)明るいさま。さわやかなさま。

 

〈唐招提寺にて〉

「おほてらの まろきはしらの つきかげを

       つちにふみつつ ものをこそおもへ」

(大寺の丸き柱の月影を 土に踏みつつものをこそ思へ)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》77

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

『西大寺中興思円上人行業記』凝然著

(さいだいじちゅうこうしえんしょうにんぎょうごうき)

(西大寺蔵『興正菩薩伝記一巻』)

 

◆【猛勢智火惑焼千薪。兼達瑜伽。博通唯識。三性二諦之奥堂。懸鏡玉而光麗。五重百法之霊苑(薗)。飾華蕚而色鮮。製作繁広。事亘顕密。開済慇懃義遍化制。何況済度六趣之願。傚大聖而深起。】

 

〔猛盛(もうせい)の智火(ちか)は千薪(せんしん①)を惑焼(或焼ヵ、こくしょう②)す。兼ねて瑜伽(ゆが③)に達し、博く唯識(ゆいしき④)に通ず。三性二諦(さんしょうにたい⑤)の奥堂(おうどう⑥)は鏡玉(きょうぎょく⑦)を懸けて光麗(うるわ)し。五重百法(ごじゅうひゃくほう⑧)の霊苑(薗ヵ、れいえん⑨)は華蕚(かがく⑩)を飾りて色鮮やか。製作するところは繁くして広し、事(じ⑪)は顕密(けんみつ⑫)に亘る。慇懃(いんぎん⑬)の義を開濟(かいさい⑭)し化制(けせい⑮)を遍くす。何ぞ況や六趣(ろくしゅ⑯)を済度するの願は、大聖(だいしょう⑰)に傚(なら)いて深く起こす。〕

 

 千薪=千は多いこと、薪は煩悩のこと。多くの煩悩。

 或焼=或はいつも、つねに。智慧の火が煩悩をつねに焼きつくすこと。

 瑜伽=瑜伽行唯識。梵語でヨーガ、精神統一して禅定に入る修行。

 唯識=法相宗。唯識宗ともいう。

 三性二諦=唯識三性観と真俗二諦説。

 奥堂=一番奥にある大切なお堂。奥深い、究極の教えをさす。。

 鏡玉=鏡や玉。光を放つかざり。

 五重百法=五重は五重唯識のこと。唯識三性観を修するのに浅から深に至るに五重ありという。百法は唯識宗に於いて世間出世間の万象を説明するに、俱舎宗七十五法に対して百法を数える。

 霊薗=唯識によるさとりの花薗。

 華萼=美しい花びらと蕚。

 事=こととする。専念する。

 顕密=顕教と密教。

 慇懃=心をこめて念入りにする。

 開濟=開は始める。濟は成しとげる。物事を始めて、それを成就すること。

 化制=化制二教。律宗の教相判釈。釈迦一代の教えは、経論の二蔵はひろく因果の道理正邪の区別を説き道俗を化するので化教といい、戒律の一蔵は仏弟子の守るべき戒行を明らかにするで制教(行教とも)という。

 六趣=六道(地獄、餓鬼、畜生、阿修羅、人間、天)

 大聖=釈迦如来。

(つづく)

 

*この行業記は東大寺戒壇院の凝然(ぎょうねん)大徳が興正菩薩御入滅の年、正応三年(1290)九月十八日、菩薩入滅後二十三日目に記したものです。文章は偈文に近い文体で短い中に菩薩の御生涯をまとめてあり、非常に格調高い歎徳文となっています。凝然師(1240-1321)は鎌倉時代の南都仏教随一の学僧で、華厳・真言・律・浄土・禅等を研鑽し、自ら「華厳兼律金剛欣淨三経学士沙門」と名乗った。生涯に千巻を超える著作をものしたが、『八宗綱要』『律宗綱要』『内典塵露章』『三国仏法伝通縁起』などが今に残る。

 

*〔忍性(にんしょう)菩薩御生誕八百年〕

来年は興正菩薩の高弟、忍性菩薩(1217年生。後醍醐天皇により菩薩号を諡される)が奈良県三宅町の「屏風(びょうぶ)の里」で誕生されてから八百年という記念の年に当たります。真言律宗にとっては宗祖に次ぐ祖師であり、日本の社会救済事業の巨人と言える僧です。現代仏教が忘れてしまった衆生済度、菩薩行の実践を再興するためにも、先輩として学びたいお方です。真言律宗(本山西大寺)としては慶賛の事業は予定されていませんが、生誕地の屏風では、浄土宗の浄土寺さん(藤田能宏住職)が菩薩の尊像を造立中、さらに映画「忍性」(秋原北胤監督、和泉元弥主演)の製作が進行中です。そして奈良国立博物館では、菩薩が活動された鎌倉極楽寺から一山を挙げての『忍性展』(723日―919日)が行なわれています。般若寺としても、菩薩が若きころハンセン病者救済活動をされた地であることから、その業績や御遺徳を世に広めて行きたいと思っています。

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

 

 

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2016年9月16日 (金)

コスモス寺花だより 9・16

〔花ごよみ〕

コスモス(秋桜)

開花情報:《2・3分咲き》

開花は少し遅れています。

・見ごろは九月下旬から、

・満開は十月に入って一週目くらいからです。

 

「夕雨小雨そよぐコスモス」種田山頭火

 

・花期:9月下旬~11月 

・数と種類:15万本。20種類 

・駐車場:60台収容。花の期間中、平日は無料。

土曜、日曜、休日は有料となります。

 

〇彼岸花:≪見ごろ≫

○ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫睡蓮の原生種。

〇秋海棠:≪見ごろ≫300株。ベゴニアの一種で中国原産。江戸時代に日本へもたらされ全国に広まる。今では山林に自生しているところもあるほどなじみのある夏の花。日蔭を好む。ピンク色と白色がある。葉は変形のハート形で涼しげな浅緑色。

○シオン(紫苑):≪つぼみ≫

○水引草:≪咲きはじめ≫

 

〔俳句〕

「年よりや 月を見るにも ナムアミダ」一茶

訳:さすがに年寄りだなあ。月を見るときも、南無阿弥陀仏。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに おしてるつきの ほがらかに

       あきのゆふべと なりにけるかも」

(春日野におし照る月のほがらかに 秋の夕べとなりにけるかも)

・ほがらかに=朗らかに。(光がさして)明るいさま。さわやかなさま。

 

〈唐招提寺にて〉

「おほてらの まろきはしらの つきかげを

       つちにふみつつ ものをこそおもへ」

(大寺の丸き柱の月影を 土に踏みつつものをこそ思へ)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》77

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

『西大寺中興思円上人行業記』凝然著

(さいだいじちゅうこうしえんしょうにんぎょうごうき)

(西大寺蔵『興正菩薩伝記一巻』)

 

◆【猛勢智火惑焼千薪。兼達瑜伽。博通唯識。三性二諦之奥堂。懸鏡玉而光麗。五重百法之霊苑(薗)。飾華蕚而色鮮。製作繁広。事亘顕密。開済慇懃義遍化制。何況済度六趣之願。傚大聖而深起。】

 

〔猛盛(もうせい)の智火(ちか)は千薪(せんしん①)を惑焼(或焼ヵ、こくしょう②)す。兼ねて瑜伽(ゆが③)に達し、博く唯識(ゆいしき④)に通ず。三性二諦(さんしょうにたい⑤)の奥堂(おうどう⑥)は鏡玉(きょうぎょく⑦)を懸けて光麗(うるわ)し。五重百法(ごじゅうひゃくほう⑧)の霊苑(薗ヵ、れいえん⑨)は華蕚(かがく⑩)を飾りて色鮮やか。製作するところは繁くして広し、事(じ⑪)は顕密(けんみつ⑫)に亘る。慇懃(いんぎん⑬)の義を開濟(かいさい⑭)し化制(けせい⑮)を遍くす。何ぞ況や六趣(ろくしゅ⑯)を済度するの願は、大聖(だいしょう⑰)に傚(なら)いて深く起こす。〕

 

 千薪=千は多いこと、薪は煩悩のこと。多くの煩悩。

 或焼=或はいつも、つねに。智慧の火が煩悩をつねに焼きつくすこと。

 瑜伽=瑜伽行唯識。梵語でヨーガ、精神統一して禅定に入る修行。

 唯識=法相宗。唯識宗ともいう。

 三性二諦=唯識三性観と真俗二諦説。

 奥堂=一番奥にある大切なお堂。奥深い、究極の教えをさす。。

 鏡玉=鏡や玉。光を放つかざり。

 五重百法=五重は五重唯識のこと。唯識三性観を修するのに浅から深に至るに五重ありという。百法は唯識宗に於いて世間出世間の万象を説明するに、俱舎宗七十五法に対して百法を数える。

 霊薗=唯識によるさとりの花薗。

 華萼=美しい花びらと蕚。

 事=こととする。専念する。

 顕密=顕教と密教。

 慇懃=心をこめて念入りにする。

 開濟=開は始める。濟は成しとげる。物事を始めて、それを成就すること。

 化制=化制二教。律宗の教相判釈。釈迦一代の教えは、経論の二蔵はひろく因果の道理正邪の区別を説き道俗を化するので化教といい、戒律の一蔵は仏弟子の守るべき戒行を明らかにするで制教(行教とも)という。

 六趣=六道(地獄、餓鬼、畜生、阿修羅、人間、天)

 大聖=釈迦如来。

(つづく)

 

*この行業記は東大寺戒壇院の凝然(ぎょうねん)大徳が興正菩薩御入滅の年、正応三年(1290)九月十八日、菩薩入滅後二十三日目に記したものです。文章は偈文に近い文体で短い中に菩薩の御生涯をまとめてあり、非常に格調高い歎徳文となっています。凝然師(1240-1321)は鎌倉時代の南都仏教随一の学僧で、華厳・真言・律・浄土・禅等を研鑽し、自ら「華厳兼律金剛欣淨三経学士沙門」と名乗った。生涯に千巻を超える著作をものしたが、『八宗綱要』『律宗綱要』『内典塵露章』『三国仏法伝通縁起』などが今に残る。

 

*〔忍性(にんしょう)菩薩御生誕八百年〕

来年は興正菩薩の高弟、忍性菩薩(1217年生。後醍醐天皇により菩薩号を諡される)が奈良県三宅町の「屏風(びょうぶ)の里」で誕生されてから八百年という記念の年に当たります。真言律宗にとっては宗祖に次ぐ祖師であり、日本の社会救済事業の巨人と言える僧です。現代仏教が忘れてしまった衆生済度、菩薩行の実践を再興するためにも、先輩として学びたいお方です。真言律宗(本山西大寺)としては慶賛の事業は予定されていませんが、生誕地の屏風では、浄土宗の浄土寺さん(藤田能宏住職)が菩薩の尊像を造立中、さらに映画「忍性」(秋原北胤監督、和泉元弥主演)の製作が進行中です。そして奈良国立博物館では、菩薩が活動された鎌倉極楽寺から一山を挙げての『忍性展』(723日―919日)が行なわれています。般若寺としても、菩薩が若きころハンセン病者救済活動をされた地であることから、その業績や御遺徳を世に広めて行きたいと思っています。

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

 

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2016年9月15日 (木)

コスモス寺花だより 9・15

 

〔花ごよみ〕

コスモス(秋桜)

開花情報:《2・3分咲き》

開花は少し遅れています。

・見ごろは九月下旬から、

・満開は十月に入って一週目くらいからです。

 

「夕雨小雨そよぐコスモス」種田山頭火

 

・花期:9月下旬~11月 

・数と種類:15万本。20種類 

・駐車場:60台収容。花の期間中、平日は無料。

土曜、日曜、休日は有料となります。

 

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫睡蓮の原生種。

〇秋海棠:≪見ごろ≫300株。ベゴニアの一種で中国原産。江戸時代に日本へもたらされ全国に広まる。今では山林に自生しているところもあるほどなじみのある夏の花。日蔭を好む。ピンク色と白色がある。葉は変形のハート形で涼しげな浅緑色。

 

〔俳句〕

「雨降や アサツテの月 翌(あす)の萩」一茶

訳:ひどい雨降りだなあ。アサッテの月、明日の萩もどうなるやら。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに おしてるつきの ほがらかに

       あきのゆふべと なりにけるかも」

(春日野におし照る月のほがらかに 秋の夕べとなりにけるかも)

・ほがらかに=朗らかに。(光がさして)明るいさま。さわやかなさま。

 

〈唐招提寺にて〉

「おほてらの まろきはしらの つきかげを

       つちにふみつつ ものをこそおもへ」

(大寺の丸き柱の月影を 土に踏みつつものをこそ思へ)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》77

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

『西大寺中興思円上人行業記』凝然著

(さいだいじちゅうこうしえんしょうにんぎょうごうき)

(西大寺蔵『興正菩薩伝記一巻』)

 

◆【猛勢智火惑焼千薪。兼達瑜伽。博通唯識。三性二諦之奥堂。懸鏡玉而光麗。五重百法之霊苑(薗)。飾華蕚而色鮮。製作繁広。事亘顕密。開済慇懃義遍化制。何況済度六趣之願。傚大聖而深起。】

 

〔猛盛(もうせい)の智火(ちか)は千薪(せんしん①)を惑焼(或焼ヵ、こくしょう②)す。兼ねて瑜伽(ゆが③)に達し、博く唯識(ゆいしき④)に通ず。三性二諦(さんしょうにたい⑤)の奥堂(おうどう⑥)は鏡玉(きょうぎょく⑦)を懸けて光麗(うるわ)し。五重百法(ごじゅうひゃくほう⑧)の霊苑(薗ヵ、れいえん⑨)は華蕚(かがく⑩)を飾りて色鮮やか。製作するところは繁くして広し、事(じ⑪)は顕密(けんみつ⑫)に亘る。慇懃(いんぎん⑬)の義を開濟(かいさい⑭)し化制(けせい⑮)を遍くす。何ぞ況や六趣(ろくしゅ⑯)を済度するの願は、大聖(だいしょう⑰)に傚(なら)いて深く起こす。〕

 

 千薪=千は多いこと、薪は煩悩のこと。多くの煩悩。

 或焼=或はいつも、つねに。智慧の火が煩悩をつねに焼きつくすこと。

 瑜伽=瑜伽行唯識。梵語でヨーガ、精神統一して禅定に入る修行。

 唯識=法相宗。唯識宗ともいう。

 三性二諦=唯識三性観と真俗二諦説。

 奥堂=一番奥にある大切なお堂。奥深い、究極の教えをさす。。

 鏡玉=鏡や玉。光を放つかざり。

 五重百法=五重は五重唯識のこと。唯識三性観を修するのに浅から深に至るに五重ありという。百法は唯識宗に於いて世間出世間の万象を説明するに、俱舎宗七十五法に対して百法を数える。

 霊薗=唯識によるさとりの花薗。

 華萼=美しい花びらと蕚。

 事=こととする。専念する。

 顕密=顕教と密教。

 慇懃=心をこめて念入りにする。

 開濟=開は始める。濟は成しとげる。物事を始めて、それを成就すること。

 化制=化制二教。律宗の教相判釈。釈迦一代の教えは、経論の二蔵はひろく因果の道理正邪の区別を説き道俗を化するので化教といい、戒律の一蔵は仏弟子の守るべき戒行を明らかにするで制教(行教とも)という。

 六趣=六道(地獄、餓鬼、畜生、阿修羅、人間、天)

 大聖=釈迦如来。

(つづく)

 

*この行業記は東大寺戒壇院の凝然(ぎょうねん)大徳が興正菩薩御入滅の年、正応三年(1290)九月十八日、菩薩入滅後二十三日目に記したものです。文章は偈文に近い文体で短い中に菩薩の御生涯をまとめてあり、非常に格調高い歎徳文となっています。凝然師(1240-1321)は鎌倉時代の南都仏教随一の学僧で、華厳・真言・律・浄土・禅等を研鑽し、自ら「華厳兼律金剛欣淨三経学士沙門」と名乗った。生涯に千巻を超える著作をものしたが、『八宗綱要』『律宗綱要』『内典塵露章』『三国仏法伝通縁起』などが今に残る。

 

*〔忍性(にんしょう)菩薩御生誕八百年〕

来年は興正菩薩の高弟、忍性菩薩(1217年生。後醍醐天皇により菩薩号を諡される)が奈良県三宅町の「屏風(びょうぶ)の里」で誕生されてから八百年という記念の年に当たります。真言律宗にとっては宗祖に次ぐ祖師であり、日本の社会救済事業の巨人と言える僧です。現代仏教が忘れてしまった衆生済度、菩薩行の実践を再興するためにも、先輩として学びたいお方です。真言律宗(本山西大寺)としては慶賛の事業は予定されていませんが、生誕地の屏風では、浄土宗の浄土寺さん(藤田能宏住職)が菩薩の尊像を造立中、さらに映画「忍性」(秋原北胤監督、和泉元弥主演)の製作が進行中です。そして奈良国立博物館では、菩薩が活動された鎌倉極楽寺から一山を挙げての『忍性展』(723日―919日)が行なわれています。般若寺としても、菩薩が若きころハンセン病者救済活動をされた地であることから、その業績や御遺徳を世に広めて行きたいと思っています。

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

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2016年9月13日 (火)

コスモス寺花だより 9・13

 

〔花ごよみ〕

コスモス(秋桜)

開花情報:《二分咲き》

*早咲種の花は二・三分咲きとなっていますが、全体として開花は遅れ気味です。

・見ごろは九月下旬から、

・満開は十月に入って一週目くらいからです。

 

「夕雨小雨そよぐコスモス」種田山頭火

 

・花期:9月下旬~11月 

・数と種類:15万本。20種類 

・駐車場:60台収容。花の期間中、平日は無料。

土曜、日曜、休日は有料となります。

 

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫睡蓮の原生種。

〇秋海棠:≪見ごろ≫300株。ベゴニアの一種で中国原産。江戸時代に日本へもたらされ全国に広まる。今では山林に自生しているところもあるほどなじみのある夏の花。日蔭を好む。ピンク色と白色がある。葉は変形のハート形で涼しげな浅緑色。

 

〔俳句〕

「夕月や 流残りの きりぎりす」一茶

訳:西の空の夕月よ。暮になって川に流されて残ったコオロギが水辺にうちあげられている。

・きりぎりす(螽斯)=こおろぎ(蟋蟀)の古名。

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに おしてるつきの ほがらかに

       あきのゆふべと なりにけるかも」

(春日野におし照る月のほがらかに 秋の夕べとなりにけるかも)

・ほがらかに=朗らかに。(光がさして)明るいさま。さわやかなさま。

 

〈唐招提寺にて〉

「おほてらの まろきはしらの つきかげを

       つちにふみつつ ものをこそおもへ」

(大寺の丸き柱の月影を 土に踏みつつものをこそ思へ)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》77

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

『西大寺中興思円上人行業記』凝然著

(さいだいじちゅうこうしえんしょうにんぎょうごうき)

(西大寺蔵『興正菩薩伝記一巻』)

 

◆【又伝法灌頂之者。彼此其数亦多。並開密蔵。互輝光暉。上人伝持密教。大飛精美。秉御戒法。高播声誉。定慧精研。経論譜練。平等心水。影浮万像(象)。】

 

〔又、伝法灌頂(でんぼうかんじょう①)の者、彼此(ひし②)其の数亦多し。並びに密蔵(みつぞう③)を開き、互いに光輝(こうき④)を耀(かがや)かす。上人伝持の密教は、大いに精美(せいび⑤)を飛ばし戒法を秉御(へいぎょ⑥)す。高く声誉(せいよ⑦)を播(あ)げ、定慧(じょうえ⑧)を精研(せいけん⑨)し、経論を譜練(ふれん⑩)す。平等心(びょうどうしん⑪)の水、影に万像(象ヵ)を浮かべる。

 

 伝法灌頂=真言密教で、みっぽうを修行したすぐれた行者に対して、阿闍梨の位をつぐことを許すための灌頂。密教の法を伝えるため頭頂に大日如来の五智法水を灌ぐ儀式。

 彼此=かれもこれも。

 密蔵=密教の経蔵。

 光輝=ひかりかがやくこと。また、光。かがやき。

 精美=すぐれて美しいこと。純粋ですぐれていること。

 秉御=しっかり守り統御する。

 声誉=一世の誉れとなること。

 定慧=禅定と智慧。仏教の三学、戒定慧のうち瞑想の定学と慧学。

 精研=くわしく研究すること。

 譜練=順序だてて習練する。

 平等心=仏菩薩の、一切衆生を差別することなく平等に愛する慈悲心。

(つづく)

 

*この行業記は東大寺戒壇院の凝然(ぎょうねん)大徳が興正菩薩御入滅の年、正応三年(1290)九月十八日、菩薩入滅後二十三日目に記したものです。文章は偈文に近い文体で短い中に菩薩の御生涯をまとめてあり、非常に格調高い歎徳文となっています。凝然師(1240-1321)は鎌倉時代の南都仏教随一の学僧で、華厳・真言・律・浄土・禅等を研鑽し、自ら「華厳兼律金剛欣淨三経学士沙門」と名乗った。生涯に千巻を超える著作をものしたが、『八宗綱要』『律宗綱要』『内典塵露章』『三国仏法伝通縁起』などが今に残る。

 

*〔忍性(にんしょう)菩薩御生誕八百年〕

来年は興正菩薩の高弟、忍性菩薩(1217年生。後醍醐天皇により菩薩号を諡される)が奈良県三宅町の「屏風(びょうぶ)の里」で誕生されてから八百年という記念の年に当たります。真言律宗にとっては宗祖に次ぐ祖師であり、日本の社会救済事業の巨人と言える僧です。現代仏教が忘れてしまった衆生済度、菩薩行の実践を再興するためにも、先輩として学びたいお方です。真言律宗(本山西大寺)としては慶賛の事業は予定されていませんが、生誕地の屏風では、浄土宗の浄土寺さん(藤田能宏住職)が菩薩の尊像を造立中、さらに映画「忍性」(秋原北胤監督、和泉元弥主演)の製作が進行中です。そして奈良国立博物館では、菩薩が活動された鎌倉極楽寺から一山を挙げての『忍性展』(723日―919日)が行なわれています。般若寺としても、菩薩が若きころハンセン病者救済活動をされた地であることから、その業績や御遺徳を世に広めて行きたいと思っています。

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

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2016年9月11日 (日)

コスモス寺花だより 9・11

 

〔花ごよみ〕

コスモス(秋桜)

開花情報:《ちらほら咲き》

*「美色混合」という早咲種の花は二・三分咲きとなっていますが、全体として開花は遅れ気味です。

・見ごろは九月下旬から、

・満開は十月に入って一週目くらいからです。

 

「鉄柵の中コスモス咲きみちて揺る」種田山頭火

 

・花期:9月下旬~11月 

・数と種類:15万本。20種類 

・駐車場:60台収容。花の期間中、平日は無料。

土曜、日曜、休日は有料となります。

 

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫睡蓮の原生種。

〇秋海棠:≪見ごろ≫300株。ベゴニアの一種で中国原産。江戸時代に日本へもたらされ全国に広まる。今では山林に自生しているところもあるほどなじみのある夏の花。日蔭を好む。ピンク色と白色がある。葉は変形のハート形で涼しげな浅緑色。

 

〔俳句〕

「西向て 小便もせぬ 月よ哉」一茶

訳:西を向いて小便さえしない。美しい月夜だなあ。

・西向いて=西方極楽浄土の方角を向いて空を見上げれば、小便をするのも忘れてしまうほどの美しいお月さまが出ている。美しい月夜をめでた句。。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに おしてるつきの ほがらかに

       あきのゆふべと なりにけるかも」

(春日野におし照る月のほがらかに 秋の夕べとなりにけるかも)

・ほがらかに=朗らかに。(光がさして)明るいさま。さわやかなさま。

 

〈唐招提寺にて〉

「おほてらの まろきはしらの つきかげを

       つちにふみつつ ものをこそおもへ」

(大寺の丸き柱の月影を 土に踏みつつものをこそ思へ)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》77

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

『西大寺中興思円上人行業記』凝然著

(さいだいじちゅうこうしえんしょうにんぎょうごうき)

(西大寺蔵『興正菩薩伝記一巻』)

 

◆【又伝法灌頂之者。彼此其数亦多。並開密蔵。互輝光暉。上人伝持密教。大飛精美。秉御戒法。高播声誉。定慧精研。経論譜練。平等心水。影浮万像(象)。】

 

〔又、伝法灌頂(でんぼうかんじょう①)の者、彼此(ひし②)其の数亦多し。並びに密蔵(みつぞう③)を開き、互いに光輝(こうき④)を耀(かがや)かす。上人伝持の密教は、大いに精美(せいび⑤)を飛ばし戒法を秉御(へいぎょ⑥)す。高く声誉(せいよ⑦)を播(あ)げ、定慧(じょうえ⑧)を精研(せいけん⑨)し、経論を譜練(ふれん⑩)す。平等心(びょうどうしん⑪)の水、影に万像(象ヵ)を浮かべる。

 

 伝法灌頂=真言密教で、みっぽうを修行したすぐれた行者に対して、阿闍梨の位をつぐことを許すための灌頂。密教の法を伝えるため頭頂に大日如来の五智法水を灌ぐ儀式。

 彼此=かれもこれも。

 密蔵=密教の経蔵。

 光輝=ひかりかがやくこと。また、光。かがやき。

 精美=すぐれて美しいこと。純粋ですぐれていること。

 秉御=しっかり守り統御する。

 声誉=一世の誉れとなること。

 定慧=禅定と智慧。仏教の三学、戒定慧のうち瞑想の定学と慧学。

 精研=くわしく研究すること。

 譜練=順序だてて習練する。

 平等心=仏菩薩の、一切衆生を差別することなく平等に愛する慈悲心。

(つづく)

 

*この行業記は東大寺戒壇院の凝然(ぎょうねん)大徳が興正菩薩御入滅の年、正応三年(1290)九月十八日、菩薩入滅後二十三日目に記したものです。文章は偈文に近い文体で短い中に菩薩の御生涯をまとめてあり、非常に格調高い歎徳文となっています。凝然師(1240-1321)は鎌倉時代の南都仏教随一の学僧で、華厳・真言・律・浄土・禅等を研鑽し、自ら「華厳兼律金剛欣淨三経学士沙門」と名乗った。生涯に千巻を超える著作をものしたが、『八宗綱要』『律宗綱要』『内典塵露章』『三国仏法伝通縁起』などが今に残る。

 

*〔忍性(にんしょう)菩薩御生誕八百年〕

来年は興正菩薩の高弟、忍性菩薩(1217年生。後醍醐天皇により菩薩号を諡される)が奈良県三宅町の「屏風(びょうぶ)の里」で誕生されてから八百年という記念の年に当たります。真言律宗にとっては宗祖に次ぐ祖師であり、日本の社会救済事業の巨人と言える僧です。現代仏教が忘れてしまった衆生済度、菩薩行の実践を再興するためにも、先輩として学びたいお方です。真言律宗(本山西大寺)としては慶賛の事業は予定されていませんが、生誕地の屏風では、浄土宗の浄土寺さん(藤田能宏住職)が菩薩の尊像を造立中、さらに映画「忍性」(秋原北胤監督、和泉元弥主演)の製作が進行中です。そして奈良国立博物館では、菩薩が活動された鎌倉極楽寺から一山を挙げての『忍性展』(723日―919日)が行なわれています。般若寺としても、菩薩が若きころハンセン病者救済活動をされた地であることから、その業績や御遺徳を世に広めて行きたいと思っています。

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

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2016年9月 9日 (金)

コスモス寺花だより 9・9

〔花ごよみ〕

コスモス(秋桜)

開花情報:《ちらほら咲き》

*「美色混合」という早咲種の花は二・三分咲きとなっていますが、全体として開花は遅れ気味です。

・見ごろは九月下旬から、

・満開は十月に入って一週目くらいからです。

 

「鉄柵の中コスモス咲きみちて揺る」種田山頭火

 

・花期:9月下旬~11月 

・数と種類:15万本。20種類 

・駐車場:60台収容。花の期間中、平日は無料。

土曜、日曜、休日は有料となります。

 

〇ヒツジ草、姫スイレン:≪見ごろ≫睡蓮の原生種。

〇秋海棠:≪見ごろ≫300株。ベゴニアの一種で中国原産。江戸時代に日本へもたらされ全国に広まる。今では山林に自生しているところもあるほどなじみのある夏の花。日蔭を好む。ピンク色と白色がある。葉は変形のハート形で涼しげな浅緑色。

 

〔俳句〕

「人並に 畳の上の 月み哉」一茶

訳:旅の身の上の私、世間の人並みに畳の上でする月見のありがたさよ。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈春日野にて〉

「かすがのに おしてるつきの ほがらかに

       あきのゆふべと なりにけるかも」

(春日野におし照る月のほがらかに 秋の夕べとなりにけるかも)

・ほがらかに=朗らかに。(光がさして)明るいさま。さわやかなさま。

 

〈唐招提寺にて〉

「おほてらの まろきはしらの つきかげを

       つちにふみつつ ものをこそおもへ」

(大寺の丸き柱の月影を 土に踏みつつものをこそ思へ)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》77

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

『西大寺中興思円上人行業記』凝然著

(さいだいじちゅうこうしえんしょうにんぎょうごうき)

(西大寺蔵『興正菩薩伝記一巻』)

 

◆【又伝法灌頂之者。彼此其数亦多。並開密蔵。互輝光暉。上人伝持密教。大飛精美。秉御戒法。高播声誉。定慧精研。経論譜練。平等心水。影浮万像(象)。】

 

〔又、伝法灌頂(でんぼうかんじょう①)の者、彼此(ひし②)其の数亦多し。並びに密蔵(みつぞう③)を開き、互いに光輝(こうき④)を耀(かがや)かす。上人伝持の密教は、大いに精美(せいび⑤)を飛ばし戒法を秉御(へいぎょ⑥)す。高く声誉(せいよ⑦)を播(あ)げ、定慧(じょうえ⑧)を精研(せいけん⑨)し、経論を譜練(ふれん⑩)す。平等心(びょうどうしん⑪)の水、影に万像(象ヵ)を浮かべる。

 

 伝法灌頂=真言密教で、みっぽうを修行したすぐれた行者に対して、阿闍梨の位をつぐことを許すための灌頂。密教の法を伝えるため頭頂に大日如来の五智法水を灌ぐ儀式。

 彼此=かれもこれも。

 密蔵=密教の経蔵。

 光輝=ひかりかがやくこと。また、光。かがやき。

 精美=すぐれて美しいこと。純粋ですぐれていること。

 秉御=しっかり守り統御する。

 声誉=一世の誉れとなること。

 定慧=禅定と智慧。仏教の三学、戒定慧のうち瞑想の定学と慧学。

 精研=くわしく研究すること。

 譜練=順序だてて習練する。

 平等心=仏菩薩の、一切衆生を差別することなく平等に愛する慈悲心。

(つづく)

 

*この行業記は東大寺戒壇院の凝然(ぎょうねん)大徳が興正菩薩御入滅の年、正応三年(1290)九月十八日、菩薩入滅後二十三日目に記したものです。文章は偈文に近い文体で短い中に菩薩の御生涯をまとめてあり、非常に格調高い歎徳文となっています。凝然師(1240-1321)は鎌倉時代の南都仏教随一の学僧で、華厳・真言・律・浄土・禅等を研鑽し、自ら「華厳兼律金剛欣淨三経学士沙門」と名乗った。生涯に千巻を超える著作をものしたが、『八宗綱要』