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2016年12月10日 (土)

コスモス寺花だより   12・10

〔花ごよみ〕

水仙:≪咲きはじめ・1~2分咲き≫

観音石仏の足元に小さな白い花が咲きだしました。

花期:12月~2

    種類:一重咲「日本水仙」、「寒水仙」とも

        八重咲「チヤフルネス」

    株数:2万本

 

「水仙を 遠ざかるとき 近づく香」稲畑汀子

 

○来年のコスモスは初夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

 

*「除夜の鐘」中止のお知らせ

毎年1231日大みそかに行っていました除夜の鐘は、梵鐘に「音割れ」

が生じてきたため、文化財保存の観点から本年は中止といたします。将来、勧進により新しい梵鐘が出来上がった暁には再開できると思います。悪しからずご了承くださいませ。

 

〔俳句〕

「むら時雨 山から小僧 ないて来ぬ」一茶

訳:ひとしきり激しく降って通り過ぎる時雨、山から小僧が泣いて来たのだ。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈浄瑠璃寺にて〉

「かれわたる いけのおもての あしのまに

       かげうちひたし くるるたふかな」

(枯れ渡る池の面の芦の間に 影打ち浸し暮るる塔かな)

〈平城宮址の大黒芝にて〉

「はたなかの かれたるしばに たつひとの

       うごくともなし ものもふらしも」

(畠中の枯れたる芝に立つ人の 動くともなしもの憶うらしも)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》806

 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『興正菩薩講式』 

教興寺比丘阿一 謹草之

 

◆【建保五歳。生年十七。以無相心祈有縁法。以真言乗為灯明。以凡身体成日月。如是耀国家。冥応是新。照天下。霊夢是験。方今五朝稽顙。儼十善之龍顔。四輩叉手。欽三毒之虎性。】

 

〔建保五歳。生年十七、無相心(むそうしん①)を以って有縁の法(うえんのほう②)を祈り、真言乗(しんごんじょう③)を以って灯明と為す。凡身の体を以って日月と為す。是の如く国家を耀かし、冥応(みょうおう④)是れ新たに天下を照らす。霊夢は是れ験(げん⑤)なり。方に今、五朝(ごちょう⑥)稽顙(けいそう⑦)し、十善(じゅうぜん⑧)の龍顔(りゅうがん⑨)を儼(うやうやし)くす。四輩(しはい⑩)は叉手(さしゅ⑪)し、三毒(さんどく⑫)の虎性(こせい⑬)を欽(つつし)む。〕

 

 無相心=無相は姿、形の無いこと。現象世界を離れた究極的境地。ここでは無想かも。何の計らいのない無念無想の心。

 有縁の法=仏法の中で自分にふさわしい有縁の教法。

 真言乗=真言密教、真言宗の教え。

 冥応=目には見えないけれど神仏が感応して御加護を与えること。

 験=仏道修行や祈祷に報いられた結果。応報。御利益。

 五朝=五代の帝。

 稽顙=稽首。額づいてお辞儀する。

 十善=十善の君。前世において十善戒(不殺生戒以下の十戒)を良く守り善業を積んだ功徳により天子と生まれることができたとされる。

 龍顔=天子の顔、天顔。

 四輩=人、天、龍、鬼。

 叉手=両手を組み合わせる。

 三毒=貪(むさぼり)、瞋(いかり)、癡(おろか)の三大煩悩。

 虎性=虎のようにたけだけしいこと。

◆【薫南山戒香於四荒之風。灑青龍法水於八極之流。以後測前。豈此非為灯明除闇之瑞相。作日月施明之霊夢乎。是以。興正菩薩蹬醍醐山。剃髪染衣。於東大寺登壇受戒。】

 

〔南山(なんざん①)の戒香を四荒(しこう②)の風に薫じ、青龍(せいりゅう③)の法水を八極(はっきょく②)の流れに灑ぐ。後を以って前を測る。豈此れは灯明除闇の瑞相と為すに非ずや。日月施明の霊夢を作すや。

是を以って、興正菩薩、醍醐山に蹬(とう)し、剃髪染衣し、東大寺に於いて登壇受戒(とうだんじゅかい)す。〕

 

 南山=終南山。南山大師道宣が住した寺。南山律宗のこと。

 四荒=四方の果ての戎が住む地。北方は觚竹(こちく)、南方は北戸(ほくと)、西方は西王母、東方は日下(じつか)。

 青龍=青龍寺。中国西安にあった寺。弘法大師空海が恵果阿闍梨に学んだ寺。真言密教のこと。

 八極=八方の遠方の地、八方の地の果て。四荒八極。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

中川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

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