コスモス寺花だより 12・19
〔花ごよみ〕
○水仙:≪2~3分咲き≫
観音石仏の足下が小さな白い花でかざられ
芳しい香りが境内に漂っています。
花期:12月~2月 お正月ころには満開になります。
種類:一重咲「日本水仙」、「寒水仙」とも言います。
八重咲「チヤフルネス」
株数:2万本
「其にほひ 桃より白し 水仙花」松尾芭蕉
○来年のコスモスは初夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。
*「除夜の鐘」中止のお知らせ
毎年12月31日大みそかに行っていました除夜の鐘は、梵鐘に「音割れ」
が生じてきたため、文化財保存の観点から本年は中止いたします。将来、勧進により新しい梵鐘が出来上がれば再開できると思います。あしからずご了承くださいませ。
〔俳句〕
「限りある 身とな思そ 浮ね鳥」一茶
訳:限りがある辛い身だと思いなさるな、浮寝鳥。
〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕
〈浄瑠璃寺にて〉
「びしやもんの ふりしころもの すそのうらに
くれないもゆる はうそうげかな」
(毘沙門の古りし衣の裾の裏に 紅燃ゆる宝相華かな)
〈唐招提寺にて〉
「せんだんの ほとけほのてる ともしびの
ゆららゆららに まつのかぜふく」
(栴檀の仏ほの照る灯火の ゆららゆららに松の風吹く)
《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》814
『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上
(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)
如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録
『西大寺中興思円上人行業記』(凝然著)
(さいだいじちゅうこうしえんしょうにんぎょうごうき)
(西大寺蔵『興正菩薩伝記一巻』)
◆【何況菩薩律蔵。不共戒宗。括諸解而無二。貫衆釈而帰一。通別二受。極賾於教綱。化制両輟。盡旨於律綱。義林一章。栄詳体之珍葉。靑丘数軸。散輔行之妙蕚。受隨之法事。唯在茲。智解抜群。是生知之才也。】
〔何ぞいわんや、菩薩の律蔵(ぼさつのりつぞう①)、不共の戒宗(ふぐのかいしゅう②)は、諸解(しょげ③)を括(くく)って二つ無し。衆釈(しゅうしゃく④)を貫いて一に帰す。通別の二受(つうべつのにじゅ⑤)は賾(さく⑦)を教綱(きょうこう⑥)に極め、化制の両轍(けせいのりょうてつ⑧)は旨を律綱(りっこう⑨)に盡す。義林一章(ぎりんいちじょう⑩)は詳体(しょうたい⑪)の珍葉(業)を栄う。青丘(せいきゅう⑫)の数軸は、輔行(ふぎょう⑬)の妙蕚(みょうがく⑭)を散らす。受隨(じゅずい⑮)の法事は唯茲に在り。智解(ちげ)抜群にして、是れ生知の才(しょうちのさい⑯)也。〕
① 菩薩律蔵=菩薩戒(大乗戒)。
② 不共の戒宗=小乗戒そのままではなく(不共)、独自に大乗の教えに則り解釈された戒律の宗。南山律宗。
③ 諸解=諸の解釈。諸師の説。
④ 衆釈=多くの注釈。
⑤ 通別二受=通受と別受。三聚浄戒(菩薩戒)を総じて受戒する方法と三聚のうち摂律儀戒をを単独で受戒する方法。
⑥ 教綱=教えのおおもと。
⑦ 賾=おくぶかい道理。
⑧ 化制の両轍=南山律宗の教相判釈。化教と制教。化教は衆生の性質、能力に応じて教化することで、定と慧にもとづく教義をさす。制教は戒律を説く律蔵の教え。
⑨ 律綱=律宗の大綱。基本、大本。
⑩ 義林一章=『大乗法苑義林章』(大正蔵45)。唐の慈恩大師窺基の著。法相唯識の教学書。第11の「表無表章」に戒律の問題を説く。
⑪ 詳体=興正菩薩撰の『表無表章詳体文集』。『義林章』の「表無表章」を注釈する。「表無表」を解釈し、戒体の得捨、律儀を詳解する。古来、律学の基薩戒本宗要』に『菩薩戒本宗要輔行文集』を再注釈した。
⑫ 妙蕚=著作を花の蕚に例える。
⑬ 受隨=受体随行。比丘が初めて戒を身に受けることを受といい、それ以後戒体に随って如法に戒行し身心を慎んで行動するを随という。
⑭ 生知=生まれながらの知的能力。
◆【識量絶倫。乃天与の徳也。兼包之性。無並肩之人。貫括之能。無参肘之者。開敷不懈。講通無輟。終南虬文累遍数。而講弘諸師別章。対衆縁而宣演。昼聚徒属説法。夜坐静室凝慮。聴徒成市。帰族如林。】
〔識量(しきりょう①)は絶倫(ぜつりん②)、すなわち天の与えたる徳也。兼包(けんぼう③)の性は肩を並ぶるの人無し。貫括(かんかつ④)の能、参肘(さんちゅう⑤)の者無し。開敷(かいふ⑥)を懈(おこた)らず、講通(こうつう⑦)するに輟(とど)むること無し。終南の虬文(しゅうなんのきゅうぶん⑧)は遍数を累(かさ)ねて講弘し、諸師の別章(べっしょう⑨)は衆縁に対して宣演(せんえん⑩)す。昼は徒属(とぞく⑪)を聚(あつ)めて法を説き、夜は静室に坐して凝慮(ぎょうりょ⑫)す。聴徒は市を成し、帰族(きぞく⑬)は林の如し。〕
① 識量=識見と度量。
② 絶倫=人なみはずれてすぐれている。群を抜いている。
③ 兼包=あわせつつむ。
④ 貫括=人々を束ねる。
⑤ 参肘=同等の能力をもつ。
⑥ 開敷=教えを説きひろめること。
⑦ 講通=講義してあまねく行き渡らせる。
⑧ 終南の虬文=道宣律師の戒律書。
⑨ 別章=律宗諸師の個別の著作物。
⑩ 宣演=のべひろめる。
⑪ 徒属=弟子たち。
⑫ 凝慮=深く考える。
⑬ 帰族=帰依する人々
◆【受十戒具戒之者。幾二千人。受一分全分輩。将十万人。十重六八菩薩蔵。珠瓊煥爛。日月明朗。故戒行清潔。超雪霜之状。律徳皎徹。勝氷玉之体。】
〔十戒具戒(じゅっかいぐかい①)を受くるの者は二千人に幾(ちか)し。一分、全分を受くる輩は将(まさ)に十万人にならんとす。十重六八(じゅうじゅうろくはち②)の菩薩(戒)蔵は、珠瓊煥爛(しゅけいかんらん③)たり、日月明朗(めいろう④)たり。故に戒行清潔にして雪霜の状を超え、律徳皎徹(りっとくきょうてつ⑤)して氷玉(ひょうぎょく)の体に勝りたり。〕
① 十戒具戒=十戒は沙弥、沙弥尼が受ける戒。具戒は具足戒、比丘が受ける二百五十戒、比丘尼が受ける三百四十八戒。
② 十重六八=梵網経の十重戒と四十八軽戒。
③ 珠瓊煥爛=珠玉のように光り輝いている。
④ 日月明朗=日や月の光のようにあかるくさっぱりしている。
⑤ 律徳皎徹=戒律を守る徳が清らかで明るいこと。
◆【開遮持犯識解。已秀上古。制聴軽重証悟。不耻大国。威高憬融。価遇演亮。昭々焉懸白日于一天。蕩々乎湛青潮于四海。人天感動作弾指之勢。冥顕驚揺示稽首之粧。】
〔開遮持犯(かいしゃじぼん①)の識解(しきかい②)は已に上古に秀でたり。制聴軽重(せいちょうけいじゅう③)の証悟(しょうご④)は大国(たいこく⑤)に耻(は)じず。威(いきおい)は憬融(けいゆう⑥)よりも高く、價(あたい)は演亮(えんりょう⑦)に邁(まさ)れり。昭昭焉(しょうしょうえん⑧)として白日を一天に懸け、蕩蕩乎(とうとうこ⑨)として青潮を四海に湛う。人天惑動して弾指(だんし⑩)の勢を作し、冥顕驚揺(めいけんきょうよう⑪)して稽首(けいしゅ⑫)の粧いを示す。〕
① 開遮持犯=開は行為を許すこと、遮は禁ずること。持は持戒、悪業を制止する止持戒と善業につとめる作持戒がある。犯は犯戒で、善業をつとめない止犯と悪業をおかす作犯がある。
② 識解=知識と理解。
③ 制聴軽重=軽重の戒を制することと許すこと。
④ 証悟=さとっていること。
⑤ 大国=中国。当時は南宋国。
⑥ 憬融=人名、不詳。
⑦ 演亮=人名、不詳。
⑧ 昭昭焉=明らかに輝くさま。
⑨ 蕩蕩乎=広々としているさま。
⑩ 弾指=指をはじいて音をたて、敬虔、歓喜の意をあらわす。
⑪ 冥顕驚揺=暗と明の世界がおどろき揺らぐ。
⑫ 稽首=うやうやしく礼をすること。
(つづく)
《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》
瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。
「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」
日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。
*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点
1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。
2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。
3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。
❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。
〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。
またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。
このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。
〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。
中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。
○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。
もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。
またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多数あります。
いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。
中川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。
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