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2016年12月21日 (水)

コスモス寺花だより   12・21

 

〔花ごよみ〕

水仙:≪2~3分咲き≫

観音石仏の足下が小さな白い花でかざられ

芳しい香りが境内に漂っています。

花期:12月~2月 お正月ころには満開になります。

    種類:一重咲「日本水仙」、「寒水仙」とも言います。

        八重咲「チヤフルネス」

    株数:2万本

 

「其にほひ 桃より白し 水仙花」松尾芭蕉

 

○来年のコスモスは初夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

 

*「除夜の鐘」中止のお知らせ

毎年1231日大みそかに行っていました除夜の鐘は、梵鐘に「音割れ」

が生じてきたため、文化財保存の観点から本年は中止いたします。将来、勧進により新しい梵鐘が出来上がれば再開できると思います。あしからずご了承くださいませ。

 

〔俳句〕

「跡とりや 大根一本 負(せな)におひ」一茶

訳:跡取り息子だねえ。大根一本を背中に背負って帰って行く。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈浄瑠璃寺にて〉

「びしやもんの ふりしころもの すそのうらに

        くれないもゆる はうそうげかな」

(毘沙門の古りし衣の裾の裏に 紅燃ゆる宝相華かな)

 

〈唐招提寺にて〉

「せんだんの ほとけほのてる ともしびの

       ゆららゆららに まつのかぜふく」

(栴檀の仏ほの照る灯火の ゆららゆららに松の風吹く)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》816  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『西大寺中興思円上人行業記』凝然著)

(さいだいじちゅうこうしえんしょうにんぎょうごうき)

(西大寺蔵『興正菩薩伝記一巻』)

 

◆【猛勢智火惑焼千薪。兼達瑜伽。博通唯識。三性二諦之奥堂。懸鏡玉而光麗。五重百法之霊苑(薗)。飾華蕚而色鮮。製作繁広。事亘顕密。開済慇懃義遍化制。何況済度六趣之願。傚大聖而深起。】

 

〔猛盛(もうせい)の智火(ちか)は千薪(せんしん①)を惑焼(或焼ヵ、こくしょう②)す。兼ねて瑜伽(ゆが③)に達し、博く唯識(ゆいしき④)に通ず。三性二諦(さんしょうにたい⑤)の奥堂(おうどう⑥)には鏡玉(きょうぎょく⑦)を懸けて光麗(うるわ)しく、五重百法(ごじゅうひゃくほう⑧)の霊苑(薗ヵ、れいえん⑨)には華蕚(かがく⑩)を飾って色鮮やかなり。製作するところは繁広なり。事(じ⑪)は顕密(けんみつ⑫)に亘る。慇懃(いんぎん⑬)の義を開濟(かいさい⑭)し、化制(けせい⑮)を遍くす。何ぞ況や六趣(ろくしゅ⑯)を済度するの願は、大聖(だいしょう⑰)に傚(なら)いて深く起こし、〕

 

 千薪=千は多いこと、薪は煩悩のこと。多くの煩悩。

 或焼=或はいつも、つねにの意。智慧の火が煩悩をつねに焼きつくすこと。

 瑜伽=瑜伽行唯識。梵語でヨーガ、精神統一して禅定に入る修行。

 唯識=法相宗。唯識宗ともいう。

 三性二諦=唯識三性観と真俗二諦説。

 奥堂=一番奥にある大切なお堂。奥深い、究極の教えをさす。

 鏡玉=鏡や玉。光を放つかざり。

 五重百法=五重は五重唯識のこと。唯識三性観を修するのに浅から深に至るに五重ありという。百法は唯識宗に於いて世間出世間の万象を説明するに、俱舎宗七十五法に対して百法を数える。

 霊薗=唯識によるさとりの花薗。

 華萼=美しい花びらと蕚。

 事=ことがら。相対的な現象。

 顕密=顕教と密教。

 慇懃=心をこめて念入りにする。

 開濟=開は始める。濟は成しとげる。物事を始めて、それを成就すること。

 化制=化制二教。律宗の教相判釈。釈迦一代の教えは、経論の二蔵はひろく因果の道理正邪の区別を説き道俗を化するので化教といい、戒律の一蔵は仏弟子の守るべき戒行を明らかにするで制教(行教とも)という。

 六趣=六道(地獄、餓鬼、畜生、阿修羅、人間、天)

 大聖=釈迦如来。

 

◆【興隆三学之誓。継宏覚而大立。誘化之事。不可知数。導引之儀。豈得測乎。于時報齢九十。示疾処床。志操強悍。無有衰色。正応三年庚寅八月二十五日酉剋、奄焉終于西大寺。】

 

〔三学(さんがく①)を興隆するの誓い、宏覚(こうかく②)を継いで大いに立つ。誘化(ゆうけ③)の事は数を知るべからず。導引(どういん④)の儀は、豈に測ることを得んや。時に報齢(ほうれい⑤)九十にして疾(しつ⑥)を示して床に処すも、志操強悍(しそうきょうかん⑦)にして衰色(すいしょく⑧)有ること無し。正応三年(⑨)庚寅(かのえとら)八月二十五日酉尅(とりのこく⑩)、奄焉(えんえん⑪)として西大寺に終(しま)う。〕

 

 三学=悟りを開くために必ず修めなければならない三種の実践修行。戒(戒律)、定(禅定)、慧(智慧)。

 宏覚=大きな悟りを開いた人、すなわち釈尊のこと。

 誘化=いざない教化すること。

 導引=教えみちびくこと。

 報齢=年齢。数え年。

 疾=やまい。急病。

 志操強悍=仏道修行の志を固く強く守っていること。

 衰色=おとろえた顔かたち。また、様子。

 正応三年=西暦一二九〇年。

 酉剋=現在の午後六時ごろ。また、その前後二時間。

 奄焉=にわかに。

 

◆【跏坐縛印姿色鮮麗。道俗悲歎。遠近来問。傷訓導之忽缺。慟律炬之卒滅。沙羅林之風。更起哀聲。跋提河之浪。再出悲音而已。】

 

〔跏坐縛印(かざばくいん①)の姿色鮮麗(ししょくせんれい②)なり。道俗悲歎し遠近より来り問う。訓導(くんどう③)の忽缺(こっけつ④)を傷(いた)み、律炬(りっきょ⑤)の卒滅(そつめつ⑥)を慟(なげ)く。沙羅林(しゃらりん⑦)の風は更に哀声(あいせい⑧)を起こし、跋提河(ばつだいが⑨)の浪は再び悲音(ひおん⑩)を出だす而已(のみ)。〕

 

 跏坐縛印=結跏趺坐(けっかふざ)して禅定(ぜんじょう)の印を結ぶ。

 姿色鮮麗=すがた顔だちがあざやかでうるわしいこと。

 訓導=教えみちびくこと。

 忽缺=たちまちに消えること。

 律炬=戒律のともしび。

 卒滅=ただちに滅びること。

 沙羅林=釈尊が涅槃した沙羅の林。

 哀声=悲しみのこもった声や音。いかにも悲しそうな声や音。

 跋提河=古代インドのマラ国の首都クシナガラを流れる川。釈尊はこの川の西岸で涅槃した。

 悲音=悲しみいたむ音。

 

◆【上人行業無量。威徳無窮。若細記之。紙墨難及。略陳萬一。以結来縁矣。

 

于時正応三年庚寅九月十八日。東大寺戒壇院沙門凝然謹誌。】

 

〔上人の行業(ぎょうごう①)は無量にして威徳(いとく②)は窮まり無し。若し細かく之を記せば、紙墨(しぼく③)は及び難し。略して万の一つを陳べ、以って来縁(らいえん④)を結ばんとす。

 

   時に、正応三年(⑤)庚寅九月十八日  

       東大寺戒壇院沙門凝然 謹誌    〕

 

 行業=仏道の修行。

 威徳=おごそかでおかしがたい徳。威厳と人徳。

 紙墨=墨で書いたもの。文書。

 来縁=来世での結縁。

 正応三年=伏見天皇代の年号。西暦一二九〇年。

(おわり)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

中川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

 

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