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2016年12月20日 (火)

コスモス寺花だより   12・20

 

〔花ごよみ〕

水仙:≪2~3分咲き≫

観音石仏の足下が小さな白い花でかざられ

芳しい香りが境内に漂っています。

花期:12月~2月 お正月ころには満開になります。

    種類:一重咲「日本水仙」、「寒水仙」とも言います。

        八重咲「チヤフルネス」

    株数:2万本

 

「其にほひ 桃より白し 水仙花」松尾芭蕉

 

○来年のコスモスは初夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

 

*「除夜の鐘」中止のお知らせ

毎年1231日大みそかに行っていました除夜の鐘は、梵鐘に「音割れ」

が生じてきたため、文化財保存の観点から本年は中止いたします。将来、勧進により新しい梵鐘が出来上がれば再開できると思います。あしからずご了承くださいませ。

 

〔俳句〕

「何として 忘れませうぞ かれ芒(すすき)」一茶

訳:どうして忘れることができましょうか。一緒に見た枯れ芒を。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈浄瑠璃寺にて〉

「びしやもんの ふりしころもの すそのうらに

        くれないもゆる はうそうげかな」

(毘沙門の古りし衣の裾の裏に 紅燃ゆる宝相華かな)

 

〈唐招提寺にて〉

「せんだんの ほとけほのてる ともしびの

       ゆららゆららに まつのかぜふく」

(栴檀の仏ほの照る灯火の ゆららゆららに松の風吹く)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》815

 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『西大寺中興思円上人行業記』凝然著)

(さいだいじちゅうこうしえんしょうにんぎょうごうき)

(西大寺蔵『興正菩薩伝記一巻』)

 

◆【欲鎖彌堅。孔芳還早。欲仰更高。儒風何比。不恨世属末法。唯貴時遇龍驎。無思処在辺隅。喜希見鸞鳳。八極台上。催龍顔之叡感。九重城内。騰象首之祥威。】

 

〔鎖(とざ)さんと欲するは彌(いよいよ)堅く、孔芳(こうほう①)は還って㫗(あつ)し。仰がんと欲するはさらに高し。儒風(じゅふう②)も何ぞ比せん。世の末法に属すことを恨まず、唯だ時に龍驎(りゅうりん③)に遇うことを貴ぶ。辺隅(へんぐう④)に処在するを思うこと無く、希(まれ)に鸞鳳(らんぽう⑤)を見ることを喜ぶ。八極(はっきょく⑥)の台上に龍顔(りゅうがん⑦)の叡感(えいかん⑧)を催し、九重(ここのえ⑨)の城内に象首(しょうしゅ⑩)の祥威(しょうい⑪)を騰(あ)ぐ。〕

 

 孔芳=大きな名声、ほまれ。

 儒風=儒者のならわし。

 龍驎=龍や優れた馬をいい、りっぱな指導者。

 辺隅=都から遠く離れた土地。国の片隅。

 鸞鳳=鸞鳥と鳳凰。君子のたとえ。

 八極=四方(東西南北)と四隅(乾坤艮巽)。全世界。

 龍顔=天子の顔。

 叡感=天子が感心なさること。

 九重=宮中。禁中。

 象首=仏陀、釈尊。

 祥威=吉祥のいきおいあること。

 

◆【太上天皇作受法之敬。国母太后致稟戒之礼。三公俱受訓誘之事。百官並以服膺之儀。射山之前無不蒙誉。紛水之辺無流美。況又五畿之境七道之間。問律者不少。訪道之輩甚多。】

 

〔太上天皇(だじょうてんのう①)は受法の敬(うやまい②)を作(な)したまう。国母太后(こくもたいこう③)は稟戒(ひんかい④)の礼を致したまう。三公(さんこう⑤)は倶に訓誘(くんゆう⑥)の事を受け、百官は並びに服膺(ふくよう⑦)の儀を以ってす。射山(しゃざん⑧)の前に誉を蒙(こうむ)らざること無し。紛水(ふんすい⑨)の辺に美を流さずということ無し。況や又、五畿(ごき⑩)の境、七道(しちどう⑪)の間に、律を問う者少なからず。道を訪(と)うの輩(ともがら)甚だ多し。〕

 

 太上天皇=亀山上皇

 受法の敬=仏法、特に真言密教の教えを受けるについての敬い。

 国母太后=天皇の母。皇太后。

 稟戒=受戒の礼。五戒または八斎戒を受けたもつこと

 三公=中国の官名。天子を補佐する最高の地位にある三人。

 訓誘=教え導く。

 服膺=他人の戒め、命令などをしっかりと心にとどめて忘れないこと。

 射山=「藐姑射(はこや)の山」の略を音読した語。上皇の御所。

 紛水=不詳。中国の川の名前か。

 五畿=五畿内。大和、山城、和泉、河内、摂津。

 七道=東海道、東山道、北陸道、山陰道、山陽道、南海道、西海道の総称。

 

◆【東域渺茫。山野分路。西国遼遠。江海凌波。北邦致朝宗之礼。南界作府集之事。所居之寺。常徒数百。所往之処。無不帰敬。門人不少。資輩是多。或湛智海而撃波瀾。或聳徳山而栄林木。】

 

〔東域は渺茫(びょうぼう①)として、山野路を分かつ。西国は遼遠(りょうえん②)として、江海(こうかい③)は波を凌(しの)ぐ。北邦(ほくほう④)は朝宗の礼(ちょうそうのれい⑤)を致し、南界(なんかい⑥)は府集の事(ふしゅうのじ⑦)を作(な)す。居する所の寺、常に徒は数百。所往の処にて帰敬(ききょう⑧)せずということ無し。門人は少なからず。資輩(しはい⑨)はこれ多し。或は智海(ちかい⑩)を湛(たた)えて、波瀾(はらん⑪)を撃つ。或いは徳山(とくざん⑫)を聳(そび)えて、林木(りんぼく⑬)を栄(さか)う。〕

 

 渺茫=広々として果てしないこと。

 遼遠=はるか遠いこと。

 江海=川と海。

 北邦=北の国。

 朝宗之礼=春と夏に諸侯や群臣が天子に拝謁すること。河川が集まって海に流れ込むこと。

 南界=南の世界。

 府集之事=都のように人が集まることを云う。

 帰敬=帰依恭敬の意。

 資輩=弟子たち。

 智海=智慧は海のように深く広く大きいこと。

 波瀾=大小の波。

 徳山=仏道修行で具わった徳は山のように高いこと。。

 林木=人材を樹木に例える。

 

◆【在于関東。在于鎭西。居寺中焉居畿内。末寺数千。源出昆山。叢(裔)院若干。本生葱(香)嶺。各弘律法。俱開戒宗。】

 

〔関東(かんとう①)に在り、鎭西(ちんぜい②)に在り、寺中(じちゅう③)に居(ご)し、畿内(きない④)に居す。末寺数千、源(みなもと)は昆山(こんざん⑤)より出ず。叢院(そういん⑥)若干、本は葱嶺(そうれい⑦)より生ず。おのおの律法(りっぽう⑧)を弘め、倶に戒宗(かいしゅう⑨)を開く。〕

 

 関東=鈴鹿の関、不破の関、愛発(あらち)の関の三関以東の地。ここでは鎌倉をさすか。

 鎭西=九州。

 寺中=西大寺の中。

 畿内=五畿内(山城、大和、河内、和泉、摂津の国)。都の周辺。

 昆山=中国江蘇州昆山市。同じ江蘇州の揚州市には鑑真和尚ゆかりの文峰寺がある。

 叢院=叢は草むら。多くの寺院。

 葱嶺=中央アジアのパミール高原。

 律法=律蔵に説かれた釈迦の教え。

 戒宗=戒律の宗。律宗。

 

 

◆【又伝法灌頂之者。彼此其数亦多。並開密蔵。互輝光暉。上人伝持密教。大飛精美。秉御戒法。高播声誉。定慧精研。経論譜練。平等心水。影浮万像(象)。】

 

〔又、伝法灌頂(でんぼうかんじょう①)の者、彼此(ひし②)その数亦多し。並びに密蔵(みつぞう③)を開き、互いに光輝(こうき④)を耀(かがや)かす。上人、密教を伝持して大いに精美(せいび⑤)を飛ばす。戒法を秉御(へいぎょ⑥)して、高く声誉(せいよ⑦)を播(あ)ぐ。定慧(じょうえ⑧)を精研(せいけん⑨)し、経論を譜練(ふれん⑩)す。平等心(びょうどうしん⑪)の水影に万像(まんぞう⑫)を浮かべる。

 

 伝法灌頂=真言密教で、密法を修行したすぐれた行者に対して、阿闍梨の位をつぐことを許すための灌頂。密教の法を伝えるため頭頂に大日如来の五智法水を灌ぐ儀式。

 彼此=かれもこれも。

 密蔵=密教の経蔵。

 光輝=ひかりかがやくこと。また、光。かがやき。

 精美=すぐれて美しいこと。純粋ですぐれていること。

 秉御=しっかり守り統御する。

 声誉=一世の誉れとなること。

 定慧=禅定と智慧。仏教の三学、戒定慧のうち瞑想の定学と慧学。

 精研=くわしく研究すること。

 譜練=順序だてて習練する。

 平等心=仏菩薩の、一切衆生を差別することなく平等に愛する慈悲心。

 万像=あらゆる事物。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

中川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

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