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2016年12月26日 (月)

コスモス寺花だより   12・26

 

〔花ごよみ〕

水仙:≪三分咲き≫

観音石仏の足下が小さな白い花でかざられ

芳しい香りが境内に漂っています。

今年の水仙は雨が多いせいか、暖冬のためか、

花の丈が長いです。

花期:12月~2月 お正月ころには満開になります。

    種類:一重咲「日本水仙」、「寒水仙」とも言います。

        八重咲「チヤフルネス」

    株数:2万本

 

「うつくしき素足の冬の来りけり

ちらほらと咲く水仙の花」与謝野晶子

 

○来年のコスモスは初夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

 

*「除夜の鐘」中止のお知らせ

毎年1231日大みそかに行っていました除夜の鐘は、梵鐘に「音割れ」

が生じてきたため、文化財保存の観点から本年は中止いたします。将来、勧進により新しい梵鐘が出来上がれば再開できると思います。あしからずご了承くださいませ。

 

〔俳句〕

「猫の子が ちよいと押へる おち葉哉」一茶

訳:猫の子がちょっと押さえた落ち葉だね。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈浄瑠璃寺にて〉

「びしやもんの ふりしころもの すそのうらに

        くれないもゆる はうそうげかな」

(毘沙門の古りし衣の裾の裏に 紅燃ゆる宝相華かな)

 

〈唐招提寺にて〉

「せんだんの ほとけほのてる ともしびの

       ゆららゆららに まつのかぜふく」

(栴檀の仏ほの照る灯火の ゆららゆららに松の風吹く)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》818  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『西大寺中興思円上人行業記』(凝然著)

(さいだいじちゅうこうしえんしょうにんぎょうごうき)

(西大寺蔵『興正菩薩伝記一巻』)

 

*この行業記は、東大寺戒壇院の凝然大徳が興正菩薩御入滅後二十三日目にあたる、正応三年九月十八日に上梓したもの。文章は偈文に近い文体で、短い中に菩薩の御生涯を的確にまとめ、非常に格調高い歎徳文となっている。

凝然師(一二四〇~一三二一)は鎌倉時代の南都随一の学僧で、華厳・真言・律・浄土・禅等を研鑽し、自ら「華厳兼律金剛欣淨三経学士沙門」と名乗った。生涯に千巻を超える書物を著し、大半が失われるも、『八宗綱要』『律宗綱要』『内典塵露章』『三国仏法伝通縁起』など著名な書物が今に残る。

 

*原文は【】内に、読み下し文は〔〕内に入れ、注釈は①②③で標示した。なお原文は奈良国立文化財研究所刊の『西大寺叡尊伝記集成』と西大寺蔵の写本を校合し、更に私見を交えて勘校した。

 

◆【西大寺思円上人行業記】

 

〔西大寺思円上人(しえんしょうにん①)の行業記(ぎょうごうき②)〕

 

 思円上人=叡尊師は房名(字・あざな、仮名・けみょう)を思円房という。上人は智徳を備え、仏道の修行に励み、深大な慈悲心をそなえている高僧。

 行業記=仏道修行の業績を記した文章。

 

◆【西大寺住持伝法沙門叡尊上人者。中興戒法之宏匠。弘通密教之雄首也。神機冲邈。識量明敏。志操雅正。行業高卓。聞一達十得少通多。】

 

〔西大寺思円上人の行業の記

西大寺の住持(じゅうじ①)、伝法沙門(でんぼうしゃもん②)叡尊上人(えいそんしょうにん③)は、中興戒法の宏匠(ちゅうこうかいほうのこうしょう④)、弘通密教の雄首(ぐつうみっきょうのゆうしゅ⑤)なり。神機冲邈(しんきちゅうばく⑥)にして、識量明敏(しきりょうめいびん⑦)なり。志操雅正(しそうがせい⑧)にして、行業高卓(ぎょうごうこうたく⑨)なり。一を聞いて十に達し、少を得て多に通ず。〕

 

 住持=寺を統括する役をつとめる僧のこと。住持職(じゅうじしき)、住職。

 伝法沙門=法門(法灯)を相伝する僧。沙門は勤息(ごんそく)と訳され、善をすすめ悪をやめる意。

 叡尊上人=上人の敬称は通常、房名(仮名)につけられることが多く、浄土宗の源空を法然上人と称するように、叡尊師は「思円上人」と呼称されることもあり、どちらも正しいと思われる。

 中興戒法の宏匠=嘉禎二年の東大寺における自誓受戒に始まり、家原寺での別受受戒などの戒律復興の大導師であることをいう。

 弘通密教の雄首=菩薩流(西大寺流)の真言密教を広めた雄々しくすぐれたる頭首であることをいう。

 神機冲邈=不思議霊妙なはたらきは深遠で広大であること。

 識量明敏=学識と心の広さがあり、賢くてさとりの早いこと。

 志操雅正=志はかたく気高く正しいこと。

 行業高卓=仏道修行のおこないは崇高ですぐれていること。

 

◆【幼年落髪之後。隨師早入法林。壮齢染衣以来。尋友久遊教海。遂開秘蔵備見霊宝。】

 

〔幼年に落髪(らくはつ①)の後、師に隨って早く法林(ほうりん②)に入り、壮齢に染衣(ぜんね③)以来、友を尋ね久しく教海(きょうかい④)に遊ぶ。遂に秘蔵(ひぞう⑤)を開き、備(つぶさ)に霊宝(れいほう⑥)を見る。〕

 

 落髪=剃髪。出家得度して仏門に入ること。十七歳のとき、上醍醐金剛王院で円明房恵操の下で剃髪出家した。

 法林=仏の教え、仏法の林。

 染衣=僧衣、法衣を着ること。ここでは密教の修行を始めること。

 教海=真言密教の教えを海にたとえる。

 秘蔵=秘めたる宝蔵。ここでは密教の法蔵・経蔵のこと。

 霊宝=霊妙な宝物。密教の奥義・教法。

 

◆【然間六大法性之体。仰帰路而深解。三密瑜伽之業。開入門而大獲。即身大悟者。上人之内行也窮契合於法界之宮。当体頓証者。和上之眞杲也罄冥合(会)於仏智之都】

 

〔然る間、六大法性(ろくだいほっしょう①.)の体は、帰路を仰いで深く解(さと)り、三密瑜伽(さんみつゆが②)の業は、門を開き入りて大いに獲(え)たり。即身大悟は上人の内行(ないこう③)なり。契合(けいごう④)を法界の宮(ほっかいのみや⑤)に窮(きわ)む。当体頓証(とうたいとんしょう⑥)は和上の真果(しんか⑦)なり。冥合(みょうごう⑧)を仏智(ぶっち⑨)の都に罄(つく)す。〕

 

 六大法性=六大は宇宙の万象を形づくるとされる六種の根本要素。地・水・火・風・空・識をいう。法性は一切の存在、現象の真の本性、万有の本体。不改不変の真理。

 三密瑜伽=行者の三密が如来の三密と相応融和すること。また真言の行法をいう。

 内行=習熟するもの。

 契合=ぴったりと合うこと。統一融合すること。

 法界の宮=全宇宙を法の現れと見る。真如そのもの。

 当体頓証=あるがまま、そのままの本性がたちどころに悟りに達すること。

 真果=真の覚り。仏果。

 冥合=冥々のうちに合一すること。

 仏智=仏の智慧。真正で円満な智慧。無上正智。

 

◆【四曼両界(之)薗。開始覚修生之華。三部五智之林。結本有平等之菓。十住心之高梢。栄塵数眷属之枝葉。四重釈之沈室。輝無尽(量)交映之珠玉。遮情山峯。払三妄之惑塵。表徳洞内。顕四身之智財。】

 

〔四曼両界(しまんりょうがい①)の薗には始覚修生(しかくしゅしょう②)の華を開き、三部五智(さんぶごち③)の林には本有平等(ほんうびょうどう④)の果を結び、十住心(じゅうじゅうしん⑤)の高き梢に塵数眷属(じんすうけんぞく⑥)の枝葉を栄う。四重釈(しじゅうしゃく⑦)の深き室に無尽(量ヵ)交映(むりょうこうえい⑧)の珠玉を輝かす。遮情(しゃじょう⑨)の山の峯には三妄の惑塵(さんもうのわくじん⑩)を払い、表徳(ひょうとく⑪)の洞の内には四身の智財(ししんのちざい⑫)を顕わす。〕

 

 四曼両界=曼荼羅のこと。曼荼羅は輪円具足の意で、一切の相を色相、形象、名称、動作の四つによって示したことから「四曼」という。両界は金剛、胎蔵の両界曼荼羅。

 始覚修生=始覚は発心修行し、次第に迷いを捨て悟りをひらくこと(本覚に対する語)。修生は修行によって得ること(自然法爾に対する語)。

 三部五智=三部は胎蔵曼荼羅における蓮華部、金剛部、仏部の総称。仏の大定、大智、大悲の三徳を表す。五智は大日如来が備え持つ五種の智慧の総称。法界体性智、大円鏡智、平等性智、妙観察智、成所作智。

 本有平等=本有(ほんぬ)は本来固有の性徳。本来的に平等であること。

 十住心=心の十種の在り方を段階づけたもの。凡夫の心から始まり密教の心を最高のものとする。

 塵数眷属=ちり、ほこりの数ほど多くの仏の教えを受ける者。

 四重釈=四重秘釈。顕教の六合釈に対する密教の解釈法。第一重浅略釈、第二重深秘釈、第三重秘中深秘釈、第四重秘秘中深秘釈。

 無量交映=無量の光が照り輝く。

 遮情=迷情、つまり誤ったものの見方を遮遣(否定)することによって、消極的に真智に導くのを遮情という。

 三妄の惑塵=三つの妄執から生じる大きな煩悩、修行のさまたげ。

 表徳=真如にそなわる功徳、つまりものの真実の相、状態などを直接に表現することによって、積極的に真智を得させるのを表徳という。

 四身の智財=四種法身の智慧のたから。金剛頂経等に説く、自性身、受用身、変化身、等流身。

 

◆【海湛智潮。騰無竭之教波。泉沸慧水。流靡窮之辨(辯)河。顕密二宗。捜賾無遺。金胎両部。奮底有験。上人自謂。菩提薩埵之妙行。興法利生為本。自行化他之悪業。止悪修善為先。故悲律教之廃替。】

 

〔海は智潮(ちちょう①)を湛(たた)えて、無竭の教波(むけつのきょうは②)を騰(あ)げ、泉(いずみ)は慧水(けいすい③)を沸(わか)して、靡窮の辨(辯ヵ)河(びきゅうのべんが④)を流す。顕密の二宗は、賾(さく⑤)を捜して遺(のこ)すこと無く、金胎の両部は、奮底(ふんてい⑥)の験(しるし)あり。上人みずから謂く、菩提薩埵の妙行は興法利生(こうぼうりしょう⑦)を本となし、自行化他(じぎょうけた⑧)の悪業(浄業ヵ)といえども止悪修善(しあくしゅぜん⑨)を先となす。ゆえに律教(りっきょう⑩)の廃替(はいたい⑪)を悲しんで、〕

 

 智潮=潮の如き智慧。

 無竭之教波=尽きることない波のような仏のおしえ。

 慧水=智慧の水。

 靡窮之辯河=弁説で道理を明らかにすることが川のようで窮まることがないこと。

 賾=奥深い道理。をさがし求めること。

 奮底=奥底をふるいたて、明らかにすること。

 興法利生=釈尊の正しい教えを興し、衆生を利益すること。

 自行化他=上求菩提、下化衆生。自らを高め、他者を教化する菩薩行。

 止悪修善=悪行を止め、善行を修すること。

 律教=釈尊の誡め、戒律の教え。律宗。

 廃替=すたれおとろえること。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

中川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

 

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