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2017年1月12日 (木)

コスモス寺花だより   1・12

 

〔花ごよみ〕

水仙:≪満開≫

冬の庭に清らに咲く花、水仙は見ごろを迎えました。

観音石仏の足下が真っ白な花でかざられています。

今、境内は甘くかぐわしい香りに満ちています。

 

花期:12月~2月 お正月には満開になります。

    種類:一重咲「日本水仙」、「寒水仙」とも言います。

        八重咲「チヤフルネス」

    株数:2万本

 

「水仙に 掃き寄せつ 癖の胸張りぬ」種田山頭火

 

○来年のコスモスは初夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

 

〔俳句〕

遊民(いうみん)遊民とかしこき人に叱られても今更せんすべなく

「又ことし 娑婆塞(しゃばふさ)ぎぞよ 草の家」一茶

訳: また今年もこの娑婆を塞いでいるだけだなあ。この草の家もおのれも。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良より東京なる某生へ〉

「あかきひの かたむくのらの いやはてに

       ならのみてらの かべのゑをおもへ」

(朱き日の傾く野良の弥果てに 奈良の御寺の画を想え)

 

〈奈良を去る時大泉生へ〉

「のこりなく てらゆきめぐれ かぜふきて

       ふるきみやこは さむくありとも」

(残りなく寺行き巡れ風吹きて 古き都は寒くありとも)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》830  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『興正菩薩講式』

(こうしょうぼさつこうしき) 

教興寺比丘阿一 謹草之

 

◆【其心即和上之已証也。依之正応第三天八月廿五。俗年満九十。僧臘五十四。心住無所不至。口誦秘明。身着僧伽梨衣。手結秘印。身心不動。如入禅定。奄然遷化。忽爾円寂。于時彩雲垂覆。及夜不移。三日安床。五体色鮮。】

 

〔その心即ち和上の已証(いしょう①)なり。之に依って正応第三の天(②)八月二十五、俗年九十に満ち、僧﨟(そうろう③)五十四。心は無所不至(むしょふし④)に住し、口に秘明(ひみょう⑤)を誦す。身に僧伽梨衣(そうぎゃりえ⑥)を着し、手には秘印を結し、身心不動にして禅定に入るが如し。奄然(えんぜん⑦)として遷化し、忽爾(こつじ⑧)として円寂したまう。時に彩雲垂れ覆いて、夜に及んでも移らず。三日床に安んずるに五体(ごたい⑨)色鮮(あざ)やかなり。〕

 

 已証=すでに悟りを得ている境地。

 正応第三の天=正応三年。一二九〇年。

 僧﨟=法﨟、夏﨟ともいう。具足戒を受戒してから参加した夏安居の回数を夏数と数え僧としての年齢とする。

 無所不至=大日如来の最極秘印の一つで、大日如来の音声は法界に遍満して至らぬところが無い意。その真言を『大日経』「悉地出現品」には、「一音声をもって四処に流出して一切法界に普遍す」と説く。

 秘明=秘密の真言。

 僧伽梨衣=三衣の一つ。説法や托鉢のために、王宮や集落に入る時には、必ずこれを付ける。重衣、大衣、雑砕衣ともいう。

 奄然=にわかに。

 忽爾=たちまちに。急なさま。

 五体=からだ全体。

 

◆【二十七日。葬于寺西。徒衆號慟。若喪考妣。異香薫風。妙音満天。奇花忽零。在火不萎。翌日拾遺骨。香気猶芬馥。一朝勅使撿校最後之戒。七寺高僧。隨喜臨終之体。本無生死妙徳忽顕。元是菩提大用速現者歟。先頌万行不二経文。当一会称揚伽陀。次可行礼拝。

 

仏以一音演説法 衆生隨類各得解 皆謂世尊同其語 斯則神力不共位。

 

南無戒法弘通興正菩薩】

 

〔二十七日、寺の西に葬す。徒衆号慟(こうとう①)して考妣(こうひ②)を喪えるがごとし。異香(いこう③)風に薫らん。妙音天に満ち、奇花忽ち零(お)ちて、火に在(あ)るとも萎(な)えず。翌日遺骨を拾うに、香気なお芬馥(ふんふく④)たり。一朝(いっちょう⑤)の勅使は最後の戒を撿挍(けんこう⑥)し、七寺の高僧は臨終の体に随喜す。本より生死無き妙徳(みょうとく⑦)は忽ちに顕われ、元より是れ菩提は大用(だいよう⑧)にして速やかに現れるものかな。先ず万行不二の経文を頌し、一会称揚の伽陀に当たり、次に礼拝を行ず可し。

 

仏は一音演説法を以って、衆生隨類は各(おのおの)解を得。皆、世尊は其語と同じと謂う。斯れ則ち神力不共の位。(⑨)

 

南無戒法弘通興正菩薩 〕

 

 号慟=歎き泣き叫ぶ。

 考妣=父と母。

 異香=よいかおり。

 芬馥=かんばしい良い香りがする。

 一朝=朝廷。

 撿挍=調べ考え合わせる。

 妙徳=すぐれてたえなる徳。

 大用=大きく用いること。大なるはたらき。

 仏以一音演説法・・・不共位=『維摩詰所説経』に出る偈文。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

中川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

 

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