コスモス寺花だより 4・30
〔花ごよみ〕
百花繚乱
○山吹:≪見ごろ≫黄色一重咲・八重咲、白山吹。
○シャガ:≪見ごろ≫
○日本桜草:≪見ごろ≫
○矢車草:≪見ごろ≫
○紫雲蘭:≪見ごろ≫
その他、ツルニチニチソウ、ニホンタンポポ、キランソウ、オドリコソウ等の草花も咲いています。
○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。
開花予定:・夏咲=3万本。 6~7月
・秋咲=15万本 9~11月
満開のピークは10月上旬です。
≪ニュース≫
◇春の秘仏公開
重要文化財・白鳳秘仏銅造阿弥陀如来立像とその胎内仏などの御開扉があります。
日程は4月29日~5月10日。時間帯は午前9時~午後4時。特別拝観料として200円を別途頂戴します。
◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、
『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。
Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、4月15日~6月11日
Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、7月29日~9月24日
Ⅲ.山口県立美術館にて、10月20日~12月10日
大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。
〔俳句〕
「わか草や 我と雀と 遊ぶ程」一茶
訳:わか草が伸びたよ。オレと雀が遊ぶ程の丈まで。
〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕
〈帝室博物館にて〉
「はつなつの かぜとなりぬと みほとけは
をゆびのうれに ほのしらすらし」
(初夏の風となりぬと御仏は 小指の末に仄知らすらし)
「こんでいの ほとけうすれし こんりょうの
だいまんだらに あぶのはねうつ」
(金泥の仏薄れし紺綾の 大曼荼羅に虻の羽打つ)
《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》919
『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上
(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)
如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録
『同諷誦文』
◆【仰而有余。雖為草露之残命。一戒薫習。曠劫多生不可空。寧非如来広徳祖師大恩哉。故今為尊師酬恩謝徳。刷舞楽曼荼羅大会。絲竹呂律之荘厳。𠑊尊霊所居金台。両部讃嘆之威光。耀金胎不二玉殿。】
〔仰ぎても余り有り。草露の残命たりと雖も、一戒の薫習(くんじゅう①)は曠劫(こうごう②)に多生(たしょう③)すれども、空しかるべからず。寧ろ如来の広徳、祖師の大恩に非ざる哉。故に今、尊師の酬恩謝徳(しゅうおんしゃとく④)のため、舞楽曼荼羅大会を刷(かいつくろ)い、絲竹呂律(しちくりょりつ⑤)の荘厳は、尊霊所居の金台(きんだい⑥)を儼(おごそ)かにし、両部讃嘆の威光は金胎不二の玉殿(こんたいふにのぎょくでん⑦)を耀かす。〕
① 薫習=香が移り染むように、戒をまもる習慣が人の心身に影響・作用を植え付けること。
② 曠劫=非常に長い年月。永劫。
③ 多生=何度もこの世に生まれかわること。多くの生を輪廻すること。
④ 酬恩謝徳=恩に報い、徳に感謝すること。
⑤ 糸竹呂律=舞楽と声明のこと。糸竹は琴、琵琶などの弦楽器と笙、笛などの管楽器の総称。呂律は呂旋と律旋。
⑥ 金台=金で飾った台閣。美しい高楼。
⑦ 金胎不二の玉殿=金剛界曼荼羅、胎蔵曼荼羅世界は対立するものではなく絶対平等であることをいい、それは玉をちりばめたような美しい宮殿である。
(つづく)
《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》
瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。
「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」
日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。
*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点
1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。
2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。
3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。
❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。
〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。
またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。
このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。
〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。
中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。
○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。
もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。
またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多
数あります。
いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。
仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。
○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。
奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。
○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。