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2017年4月

2017年4月30日 (日)

コスモス寺花だより  4・30

〔花ごよみ〕

 

百花繚乱

○山吹:≪見ごろ≫黄色一重咲・八重咲、白山吹。

○シャガ:≪見ごろ≫

○日本桜草:≪見ごろ≫

○矢車草:≪見ごろ≫

○紫雲蘭:≪見ごろ≫

その他、ツルニチニチソウ、ニホンタンポポ、キランソウ、オドリコソウ等の草花も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇春の秘仏公開

重要文化財・白鳳秘仏銅造阿弥陀如来立像とその胎内仏などの御開扉があります。

日程は429日~510日。時間帯は午前9時~午後4時。特別拝観料として200円を別途頂戴します。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「わか草や 我と雀と 遊ぶ程」一茶

訳:わか草が伸びたよ。オレと雀が遊ぶ程の丈まで。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈帝室博物館にて〉

「はつなつの かぜとなりぬと みほとけは

       をゆびのうれに ほのしらすらし」

(初夏の風となりぬと御仏は 小指の末に仄知らすらし)

 

「こんでいの ほとけうすれし こんりょうの

だいまんだらに あぶのはねうつ」

(金泥の仏薄れし紺綾の 大曼荼羅に虻の羽打つ)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》919  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『同諷誦文』

◆【仰而有余。雖為草露之残命。一戒薫習。曠劫多生不可空。寧非如来広徳祖師大恩哉。故今為尊師酬恩謝徳。刷舞楽曼荼羅大会。絲竹呂律之荘厳。𠑊尊霊所居金台。両部讃嘆之威光。耀金胎不二玉殿。】

 

〔仰ぎても余り有り。草露の残命たりと雖も、一戒の薫習(くんじゅう①)は曠劫(こうごう②)に多生(たしょう③)すれども、空しかるべからず。寧ろ如来の広徳、祖師の大恩に非ざる哉。故に今、尊師の酬恩謝徳(しゅうおんしゃとく④)のため、舞楽曼荼羅大会を刷(かいつくろ)い、絲竹呂律(しちくりょりつ⑤)の荘厳は、尊霊所居の金台(きんだい⑥)を儼(おごそ)かにし、両部讃嘆の威光は金胎不二の玉殿(こんたいふにのぎょくでん⑦)を耀かす。〕

 

 薫習=香が移り染むように、戒をまもる習慣が人の心身に影響・作用を植え付けること。

 曠劫=非常に長い年月。永劫。

 多生=何度もこの世に生まれかわること。多くの生を輪廻すること。

 酬恩謝徳=恩に報い、徳に感謝すること。

 糸竹呂律=舞楽と声明のこと。糸竹は琴、琵琶などの弦楽器と笙、笛などの管楽器の総称。呂律は呂旋と律旋。

 金台=金で飾った台閣。美しい高楼。

 金胎不二の玉殿=金剛界曼荼羅、胎蔵曼荼羅世界は対立するものではなく絶対平等であることをいい、それは玉をちりばめたような美しい宮殿である。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

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2017年4月29日 (土)

コスモス寺花だより  4・29

 

〔花ごよみ〕

 

百花繚乱

○山吹:≪見ごろ≫黄色一重咲・八重咲、白山吹。

○シャガ:≪見ごろ≫

○日本桜草:≪見ごろ≫

○矢車草:≪見ごろ≫

○紫雲蘭:≪見ごろ≫

その他、ツルニチニチソウ、ニホンタンポポ、キランソウ、オドリコソウ等の草花も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇春の秘仏公開

重要文化財・白鳳秘仏銅造阿弥陀如来立像とその胎内仏などの御開扉があります。

日程は429日~510日。時間帯は午前9時~午後4時。特別拝観料として200円を別途頂戴します。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「神垣や 白い花には 白い蝶」一茶

訳:神社の垣根のすがすがしさよ。そこに咲く白い花には白い蝶。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈木津川の岸に立ちて〉

「みわたせば きづのかはらの しろたへに

       かがやくまでに はるたけにけり」

(見渡せば木津の河原の白妙に 輝くまでに春闌けにけり)

 

〈笠置山にのぼりて〉

「のびやかに みちによりふす このいはの

       ひとならましを われをろがまむ」

(伸びやかに道に寄り伏すこの岩の 人ならましを吾拝まむ)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》918  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『同諷誦文』

◆【夫以。牟尼八十之春花散沙羅梢。上綱九十之満月隠仲秋雲。彼過去後五百。此年満三百歳。共一天之能化。同一界之導師。恋慕浸袂。渇仰余袖。遠近雖異。大悲摂受。更無替不異於昔之誡。】

 

〔夫れ以(おもんみ)るに、牟尼(むに①)八十の春、花は沙羅(しゃら②)の梢に散り、上綱(しょうこう③)九十の満月は仲秋(ちゅうしゅう④)の雲に隠れる。彼の過去の後、五百(⑤)、この年は満三百歳。共に一天の能化(いってんののうけ⑥)、同じく一界の導師(いつかいのどうし⑦)たり。恋慕(れんぼ)は袂(たもと)を浸(ひた)し、渇仰(かつごう)は袖(そで)に余る。遠近異なると雖も、大悲摂受(だいひしょうじゅ⑧)は更に替わり無く、昔の誡め(いましめ⑨)に異ならず。

 

 牟尼=釈迦牟尼仏陀。牟尼は聖者。

 沙羅=サラとも。沙羅双樹。インド北部原産、フタバガキ科の常緑高木。釈尊が入滅涅槃された場所に二本づつ植えられていたという。

 上綱=碩学の僧に対する尊称。もとは三綱(さんごう)中の上座、またその位にある僧をさす。

 仲秋=旧暦(太陰暦)の八月。

 五百=「彼の過去」は釈尊をさすので、千五百年の間違いか。

 一天の能化=能化は師として他を教化できる人。一天世界の教化者。

 一界の導師=世界の衆生を導く大導師。

 大悲摂受=菩薩の大悲心をもって、相手の主張や行為を受け入れながら衆生を教え導くこと。

 誡め=釈尊の誡め、すなわち菩薩戒。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。


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2017年4月28日 (金)

コスモス寺花だより  4・28

 

〔花ごよみ〕

 

百花繚乱

○山吹:≪見ごろ≫黄色一重咲・八重咲、白山吹。

○シャガ:≪見ごろ≫

○日本桜草:≪見ごろ≫

○矢車草:≪咲きはじめ≫

○紫雲蘭:≪咲きはじめ≫

その他、華鬘草、ツルニチニチソウ、ニホンタンポポ、キランソウ、オドリコソウ等の草花も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇春の秘仏公開

重要文化財・白鳳秘仏銅造阿弥陀如来立像とその胎内仏などの御開扉があります。

日程は429日~510日。時間帯は午前9時~午後4時。特別拝観料として200円を別途頂戴します。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「此(この)方が 善光寺とや 蝶のとぶ」一茶

訳:こちらの方角が善光寺なのだろうか、蝶々が導くように飛んで行く。 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈木津川の岸に立ちて〉

「みわたせば きづのかはらの しろたへに

       かがやくまでに はるたけにけり」

(見渡せば木津の河原の白妙に 輝くまでに春闌けにけり)

 

〈笠置山にのぼりて〉

「のびやかに みちによりふす このいはの

       ひとならましを われをろがまむ」

(伸びやかに道に寄り伏すこの岩の 人ならましを吾拝まむ)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》917  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『興正菩薩三百年忌舞楽曼荼羅供表白』

(こうしょうぼさつさんびゃくねんきぶがくまんだらくひょうはく)

 

 西大寺圓秀律師作

 

◆【観夫早菊芬々而示華蔵世界之荘厳。暁月皓々而顕摩尼宝殿之色相。景色如是感応道交。仰願伽藍再造。及千仏出世之夕。人法繁栄。至三会説教之暁。殊者現前貴賎諸願成辨。啓白詞短。三宝知見。敬白。】

 

〔観(かんがみ)るに夫れ、早菊芬々(そうぎくふんぷん①)として華蔵世界(けぞうせかい②)の荘厳を示す。暁月は皓々(こうこう③)として摩尼宝殿(まにほ④)の色相を顕わす。景色はかくの如く感応道交(かんのうどうこう⑤)せり。仰ぎ願わくは伽藍を再造し、千仏出世の夕べに及び、人法繁栄し、三会説教(さんねせっきょう⑥)の暁に至らんことを。殊には現前の貴賎、諸願成辨(しょがんじょうべん⑦)せんことを。啓白(けいびゃく⑧)は詞(ことば)短かけれども、三宝知見(さんぼうちけん⑨)あれ。敬って白す。〕

 

 早菊芬々=早く咲いた菊は香気が高くかおるさまをいう。

 華蔵世界=蓮華蔵世界の略。毘盧遮那如来の願と行とによって飾られた浄土。

 皓々=白々と光り輝くさま。

 摩尼宝殿=天上世界の摩尼宝珠で飾られた宮殿。兜率天、他化自在天などにある宮殿。

 感応道交=仏と人間とが融和すること。人に応じた仏のはたらきかけと、それを感じとる人の心とが相交わり、合致すること。

 三会説教=弥勒菩薩が釈迦入滅後五十六億七千万年に兜率天から人間界に下って、龍華樹の下で悟りを開き、大衆のために三度、法を説くという説法の会座。龍華三会。

 諸願成辨=もろもろの願いが成就すること。

 啓白=敬って申し上げること。法会でその趣旨や願意を仏前で述べること。表白と同じ。

 三宝知見=三宝は仏法僧。知見は知ることと見ること。仏が衆生の姿や願いなどを知ること。

(終わり)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

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2017年4月27日 (木)

コスモス寺花だより  4・27

 

百花繚乱

○山吹:≪見ごろ≫黄色一重咲・八重咲、白山吹。

○シャガ:≪見ごろ≫

○日本桜草:≪見ごろ≫

○矢車草:≪咲きはじめ≫

○紫雲蘭:≪咲きはじめ≫

その他、華鬘草、ツルニチニチソウ、ニホンタンポポ、キランソウ、オドリコソウ等の草花も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇春の秘仏公開

重要文化財・白鳳秘仏銅造阿弥陀如来立像とその胎内仏などの御開扉があります。

日程は429日~510日。時間帯は午前9時~午後4時。特別拝観料として200円を別途頂戴します。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「むつまじや 生れかはらば のべの蝶」一茶

訳:仲むつまじいことだね。生まれ変わったならば、野辺の蝶になりたいね。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈木津川の岸に立ちて〉

「みわたせば きづのかはらの しろたへに

       かがやくまでに はるたけにけり」

(見渡せば木津の河原の白妙に 輝くまでに春闌けにけり)

 

〈笠置山にのぼりて〉

「のびやかに みちによりふす このいはの

       ひとならましを われをろがまむ」

(伸びやかに道に寄り伏すこの岩の 人ならましを吾拝まむ)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》916  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『興正菩薩三百年忌舞楽曼荼羅供表白』

(こうしょうぼさつさんびゃくねんきぶがくまんだらくひょうはく)

 

 西大寺圓秀律師作

 

◆【短声弥陀之三昧者。大悲利生之船筏也。大衆同誦之戒本者。専精護持之䡄範也。云彼云斯。盡美盡亊者乎。然則先師菩薩弥朗上求菩提之誓心。倍𠑊下化衆生之願海。悉是曼荼列座界会聖衆。】

 

〔短声弥陀(たんぜいみだ①)の三昧は大悲利生(だいひりしょう②)の船筏(せんばつ③)なり。大衆同誦の戒本(かいほん④)は専精護持の軌範なり。彼と云い斯と云い、美を盡し事を盡すものか。然れば則ち、先師菩薩は彌(いよいよ)上求菩提の誓心を朗(あきら)かにし、倍(ますます)下化衆生の願海(がんかい⑤)を儼(おごそ)かにす。悉く是れ曼荼(まんだ⑥)に列座する界会の聖衆なり。〕

 

 短声弥陀=天台声明の『短声阿弥陀経』。

 大悲利生=阿弥陀仏の慈悲心による衆生済度。

 船筏=舟やいかだ。

 戒本=大乗菩薩戒(梵網経)の戒条。

 願海=仏菩薩の誓願を深く広い海にたとえる。

 曼荼=曼荼羅。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

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2017年4月26日 (水)

コスモス寺花だより  4・26

 

〔花ごよみ〕

 

百花繚乱

○八重桜:≪みごろ≫

○山吹:≪見ごろ≫黄色一重咲・八重咲、白山吹。

○シャガ:≪見ごろ≫

○日本桜草:≪見ごろ≫

○矢車草:≪咲きはじめ≫

○紫雲蘭:≪咲きはじめ≫

その他、華鬘草、ツルニチニチソウ、ニホンタンポポ、キランソウ、オドリコソウ等の草花も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「蝶とぶや 此世に望み ないように」一茶

訳:蝶がとんでいるよ。この世に希望がないかのようにあちこちと。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈木津川の岸に立ちて〉

「みわたせば きづのかはらの しろたへに

       かがやくまでに はるたけにけり」

(見渡せば木津の河原の白妙に 輝くまでに春闌けにけり)

 

〈笠置山にのぼりて〉

「のびやかに みちによりふす このいはの

       ひとならましを われをろがまむ」

(伸びやかに道に寄り伏すこの岩の 人ならましを吾拝まむ)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》915  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『興正菩薩三百年忌舞楽曼荼羅供表白』

(こうしょうぼさつさんびゃくねんきぶがくまんだらくひょうはく)

 

 西大寺圓秀律師作

 

◆【於戯或向影像。断懐旧之膓。又詣聖跡。流恋慕之涙。蓋聞両部之極位。遮那内証之深儀。三密之行業。即身頓悟之真路。剰又七日不断之真言者。因円果満之肝要也。造立供養之塔婆者。仏凡一如之覚体也。】

 

〔於戯(ああ)、或は影像に向いては懐旧の膓を断ず(①)。又、聖跡(せいせき②)を詣しては恋慕の涙を流す。蓋し聞く、両部の極位、遮那内証(しゃなないしょう③)の深儀、三密の行業、即身頓悟の真路なり。剰(あまつさ)え又、七日不断の真言(④)は因円果満の肝要なり。造立供養の塔婆は仏梵一如の覚体(かくたい⑤)なり。〕

 

 懐旧の膓を断ず=膓は腸の俗字。昔をしのび懐かしむ思いを断つ。

 聖跡=興正菩薩が教化活動をされた寺院などの

 遮那内証=毘盧遮那仏のさとり

 七日不断の真言=光明真言土砂加持法会での光明真言読誦。

 覚体=さとりの当体。悟りそのもの。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

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2017年4月25日 (火)

コスモス寺花だより  4・25

 

〔花ごよみ〕

 

百花繚乱

○八重桜:≪みごろ≫

○山吹:≪見ごろ≫黄色一重咲・八重咲、白山吹。

○シャガ:≪見ごろ≫

○日本桜草:≪見ごろ≫

○矢車草:≪咲きはじめ≫

○紫雲蘭:≪咲きはじめ≫

その他、華鬘草、ツルニチニチソウ、ニホンタンポポ、キランソウ、オドリコソウ等の草花も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇本日は当山恒例の文殊菩薩御会式(もんじゅぼさつおえしき)です。

午前10時から諸願成就の御祈祷、塔婆供養があり、午後1時半より法要があります。山吹満開の中で700年の伝統を伝える文殊さまのおまつりです。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「文七と たがひ違ひに 小てふ哉」一茶

訳:組紐職人の文七が出て行くと行違いに小さな蝶が入ってきたことだよ。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈木津川の岸に立ちて〉

「みわたせば きづのかはらの しろたへに

       かがやくまでに はるたけにけり」

(見渡せば木津の河原の白妙に 輝くまでに春闌けにけり)

 

〈笠置山にのぼりて〉

「のびやかに みちによりふす このいはの

       ひとならましを われをろがまむ」

(伸びやかに道に寄り伏すこの岩の 人ならましを吾拝まむ)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》914  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『興正菩薩三百年忌舞楽曼荼羅供表白』

(こうしょうぼさつさんびゃくねんきぶがくまんだらくひょうはく)

 

 西大寺圓秀律師作

 

◆【雖然東西遠近之末弟。撿如是是四恩等之経文。帰符本寺。一分全分之道俗。拾法施為勝等之教詔。報謝厚恩。】

 

〔然りと雖も東西遠近の末弟、かくの如き四恩(しおん①)等の経文を撿(けん②)して、本寺に帰符(きふ③)す。一分全分(いちぶんぜんぶん④)の道俗、法施(ほっせ⑤)を拾(あつ)め勝等の教詔(きょうしょう⑥)と為し、厚恩に報謝すべし。〕

 

 四恩=衆生がこの世で受ける四種の恩。心地観経では、父母の恩、国王の恩、三宝の恩の四つ。

 撿=しらべる。

 帰符=帰府。都に帰ること。

 一分全分=すべて。

 法施=仏の教え。

 教詔=教えをみことのりとする。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

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2017年4月24日 (月)

コスモス寺花だより  4・24

 

〔花ごよみ〕

 

百花繚乱

○八重桜:≪みごろ≫

○山吹:≪見ごろ≫黄色一重咲・八重咲、白山吹。

○シャガ:≪見ごろ≫

○日本桜草:≪咲きはじめ≫

その他、華鬘草、ツルニチニチソウ、ニホンタンポポ、キランソウ、オドリコソウ等の草花も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇明日の25日は当山恒例の文殊菩薩御会式(もんじゅぼさつおえしき)です。

午前10時から諸願成就の御祈祷、塔婆供養があり、午後1時半より法要があります。山吹満開の中で700年の伝統を伝える文殊さまのおまつりです。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「寝ころんで 蝶泊らせる 外湯(そとゆ)哉」一茶

訳:寝ころんで息をひそめ蝶を止まらせる、ゆったりのんびりの外湯だなあ。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈木津川の岸に立ちて〉

「みわたせば きづのかはらの しろたへに

       かがやくまでに はるたけにけり」

(見渡せば木津の河原の白妙に 輝くまでに春闌けにけり)

 

〈笠置山にのぼりて〉

「のびやかに みちによりふす このいはの

       ひとならましを われをろがまむ」

(伸びやかに道に寄り伏すこの岩の 人ならましを吾拝まむ)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》913  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『興正菩薩三百年忌舞楽曼荼羅供表白』

(こうしょうぼさつさんびゃくねんきぶがくまんだらくひょうはく)

 

 西大寺圓秀律師作

 

◆【今遂使世下心薄。而正財難得。機衰法逼。而住持無便。所以内外之資縁実乏。進退之障礙尤多。】

 

〔今遂に、世下りて心薄からしめ、正財(しょうざい①)は得難く、機は衰え法は逼られ(きはおとろえほうはせまられ②)て住持(じゅうじ③)に便り無し。所以(ゆえん)は内外の資縁(しえん④)は実に乏しく、進退の障礙(しんだいのしょうげ)尤(もっと)も多からん。〕

 

 正財=寺院活動の主たる財源、喜捨による布施。

 機は衰え法は逼られ=仏道修行の機縁はおとろえ、仏法の衰微がさしせまってくる。

 住持=仏法をたもちまもること。

 資縁=仏道修行のたすけとなる生活上の物資。

 進退の障礙=所領をたもつのに障害となること。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

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2017年4月23日 (日)

コスモス寺花だより  4・23

 

〔花ごよみ〕

 

百花繚乱

○八重桜:≪みごろ≫

○山吹:≪見ごろ≫黄色一重咲・八重咲、白山吹。

○シャガ:≪見ごろ≫

○日本桜草:≪咲きはじめ≫

その他、華鬘草、ツルニチニチソウ、ニホンタンポポ、キランソウ、オドリコソウ等の草花も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「藤さくや 木辻の君が 夕粧(ゆふよそほ)ひ」一茶

訳:藤の花が咲いているよ。木辻の遊女の夕化粧。

・木辻=奈良の遊女町。室町時代からの歴史を伝え、いまに名残りの遊郭の建物が残る。

・君=遊女。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈木津川の岸に立ちて〉

「みわたせば きづのかはらの しろたへに

       かがやくまでに はるたけにけり」

(見渡せば木津の河原の白妙に 輝くまでに春闌けにけり)

 

〈笠置山にのぼりて〉

「のびやかに みちによりふす このいはの

       ひとならましを われをろがまむ」

(伸びやかに道に寄り伏すこの岩の 人ならましを吾拝まむ)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》912   

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『興正菩薩三百年忌舞楽曼荼羅供表白』

(こうしょうぼさつさんびゃくねんきぶがくまんだらくひょうはく)

 

 西大寺圓秀律師作

 

◆【加之大日如来之垂迹。太神宮之御託宣何疑。釈迦善逝之応化。三笠山之御示現誰快。依之七衆忽恢弘。門葉鎮繁昌。】

 

〔加之(くわうるに)、大日如来の垂跡(すいじゃく①)、太神宮(だいじんぐう②)の御託宣(ごたくせん③)を何ぞ疑わんや。釈迦善逝(ぜんぜい④)の応化(おうげ⑤)、三笠山の御示現(おんじげん⑥)、誰か怪しまん。之に依りて七衆(しちしゅう⑦)忽ちに恢弘(かいこう⑧)し、門葉(もんよう⑨)鎮(とこしなえ)に繁昌す。〕

 

 垂迹=仏菩薩が衆生を済度する目的で、仮に神や人間の姿となって現れること。

 太神宮=伊勢の皇大神宮(内宮)。天照大神のこと。

 御託宣=神のお告げ。

 善逝=如来十号の一つ。迷いの世界を去って、悟りの彼岸におもむき、再び迷いの生死海には戻ってこないことを言う。

 応化=仏菩薩が世の人を救うために、時機に応じて、いろいろなものに姿を変えて現れること。応現。

 御示現=仏菩薩が衆生済度のために、種々に身を変えてこの世に現れること。現化(げんけ)。

 七衆=仏教教団を形成する七種類の修行者、信者。比丘、比丘尼、沙弥、沙弥尼、式叉摩那、優婆塞、優婆夷。

 恢弘=広く大きくすること。

 門葉=同じ教えのもとに集まった一門の衆。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

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2017年4月22日 (土)

コスモス寺花だより  4・22

 

〔花ごよみ〕

 

百花繚乱

○八重桜:≪みごろ≫

○山吹:≪見ごろ≫黄色一重咲・八重咲、白山吹。

○シャガ:≪見ごろ≫

○日本桜草:≪咲きはじめ≫

その他、華鬘草、ツルニチニチソウ、ニホンタンポポ、キランソウ、オドリコソウ等の草花も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「山吹や 先(まず)御先へと とぶ蛙」一茶

訳:山吹が咲いたよ。まずお先にと飛ぶ蛙。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈木津川の岸に立ちて〉

「みわたせば きづのかはらの しろたへに

       かがやくまでに はるたけにけり」

(見渡せば木津の河原の白妙に 輝くまでに春闌けにけり)

 

〈笠置山にのぼりて〉

「のびやかに みちによりふす このいはの

       ひとならましを われをろがまむ」

(伸びやかに道に寄り伏すこの岩の 人ならましを吾拝まむ)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》911  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『興正菩薩三百年忌舞楽曼荼羅供表白』

(こうしょうぼさつさんびゃくねんきぶがくまんだらくひょうはく)

 

 西大寺圓秀律師作

 

◆【伝聞当寺者称徳天皇之御願。行雅僧正之旧跡。粤叡尊上人者。依御遺告之金言。既絶再興三聚円満之戒法。開瑜伽論之真文。将則成就自誓受具之大願。是以忝得一天四海之大導師。濁世末代之生身仏之詔詞。】

 

〔伝え聞く、当寺は称徳天皇(しょうとくてんのう①)の御願にして行雅僧正(ぎょうがそうじょう②)の旧跡なり。粤(ここ)に叡尊上人は御遺告(ごゆいごう③)の金言(きんげん)に依り、すでに絶えたる三聚円満の戒法(さんじゅうえんまんのかいほう④)を再興し、瑜伽論の真文(ゆがろんのしんもん⑤)を開き、将に則ち自誓受具(じせいじゅぐ⑥)の大願を成就せんとす。是を以って、忝(かたじけな)くも一天四海の大導師(いってんしかいのだいどうし⑦)、濁世末代の生身仏(じょくせまつだいのしょうしんぶつ⑧)、の詔詞(しょうし⑨)を得る。〕

 

 =称徳天皇。孝謙天皇が重祚された御名。聖武天皇と光明皇后の間に生まれられた女帝。

 行雅僧上=不詳。

 御遺告=弘法大師の遺告。弟子たちに戒律を重視することを告げられた。

 三聚円満の戒法=摂律儀戒、摂善法界、摂衆生戒(饒益有情戒)の三種からなる菩薩戒。

 瑜伽師地論=瑜伽行唯識を説く論書。弥勒または世親の作とされる。この論の「菩薩地」には菩薩戒が説かれる。

 自誓受具=自誓して菩薩戒を受け、その上で摂律儀戒として「四分律」(具足戒)を別受すること。

 一天四海の大導師=天下、全世界の教導者。仏と同等の導師。

 濁世末代の生身仏=濁り汚れた人間の世、五濁悪世の末法の世における生き仏。

 詔詞=亀山法皇の院宣。後伏見天皇の綸旨に依る興正菩薩号勅諡の詞。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

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2017年4月21日 (金)

コスモス寺花だより  4・21

 

〔花ごよみ〕

 

百花繚乱

○椿:≪見ごろ≫

○八重桜:≪みごろ≫

○山吹:≪5分咲き≫黄色一重咲・八重咲、白山吹。

○シャガ:≪見ごろ≫

○日本桜草:≪咲きはじめ≫

その他、華鬘草、ツルニチニチソウ、ニホンタンポポ、キランソウ、オドリコソウ等の草花も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「苦の娑婆や 桜が咲ば 咲いたとて」一茶

訳:苦しみのこの世の中だよ、桜が咲けば咲いたといって。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈木津川の岸に立ちて〉

「みわたせば きづのかはらの しろたへに

       かがやくまでに はるたけにけり」

(見渡せば木津の河原の白妙に 輝くまでに春闌けにけり)

 

〈笠置山にのぼりて〉

「のびやかに みちによりふす このいはの

       ひとならましを われをろがまむ」

(伸びやかに道に寄り伏すこの岩の 人ならましを吾拝まむ)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》910  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『興正菩薩三百年忌舞楽曼荼羅供表白』

(こうしょうぼさつさんびゃくねんきぶがくまんだらくひょうはく)

 

 西大寺圓秀律師作

 

◆【夫以澄々真如之性海。浮隨縁利物之月。峨々菩提之覚山。鮮機興即生之華。】

 

〔夫れ以(おもんみ)るに、澄澄(ちょうちょう①)たる真如の性海(しんにょのしょうかい②)は、隨縁利物(ずいえんりぶつ③)の月を浮かべ、峨峨(がが④)たる菩提の覚山は機興即生(きこうそくしょう)の華を鮮やかにす。

 

 澄澄=澄み渡っているさま。

 真如の性海=真如は一切存在の真実のすがた。性海は悟りのすべてである真如の深く広いことを海にたとえたもの。

 隨縁利物=縁に随って衆生を利益すること。

 峨峨=高くそびえているさま。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

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2017年4月20日 (木)

コスモス寺花だより  4・20

 

〔花ごよみ〕

 

百花繚乱

○椿:≪見ごろ≫

○八重桜:≪みごろ≫

○山吹:≪5分咲き≫黄色一重咲・八重咲、白山吹。

○シャガ:≪見ごろ≫

○日本桜草:≪咲きはじめ≫

その他、華鬘草、ツルニチニチソウ、ニホンタンポポ、キランソウ、オドリコソウ等の草花も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「さくらさくらと唄れし 老木(おいき)哉」一茶

訳:さくらさくらと昔唄われた老木よ。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈木津川の岸に立ちて〉

「みわたせば きづのかはらの しろたへに

       かがやくまでに はるたけにけり」

(見渡せば木津の河原の白妙に 輝くまでに春闌けにけり)

 

〈笠置山にのぼりて〉

「のびやかに みちによりふす このいはの

       ひとならましを われをろがまむ」

(伸びやかに道に寄り伏すこの岩の 人ならましを吾拝まむ)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》909  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『興正菩薩三百年忌舞楽曼荼羅供表白』

(こうしょうぼさつさんびゃくねんきぶがくまんだらくひょうはく)

 

 西大寺圓秀律師作

 

◆【敬白真言教主大日如来両部界会諸尊聖衆惣盡空法界一切三宝境界。而言。方今南部州扶桑朝西大寺宝塔院現前諸徳大衆等。餝両部曼荼之密壇。設舞楽呂律之法会。捧無想清浄之蘋繁。刷般遮于瑟之梵莚。】

 

〔敬って真言教主大日如来両部界会諸尊聖衆、

惣じては盡空法界一切三宝の境界に白して言さく。

方に今、南部州(なんぶしゅう①)扶桑朝(ふそうちょう②)西大寺寶塔院(ほうとういん③)現前の諸徳大衆ら、両部曼荼の密壇を錺(かざ)り、舞楽呂律(りょりつ④)の法会を設け、無想清浄の蘋繁(ひんぱん⑤)を捧げ、般遮于瑟(はんしゃうし⑥)の梵莚(ぼんえん⑦)を刷(かいつくろ)う。〕

 

 南部州=南閻浮提(なんえんぶだい)。梵・ジャンブドゥビーパ。須弥山をめぐる四洲の一つで南方海上にある大陸で人間の住む世界。南贍部洲(なんせんぶしゅう)、南浮とも言う。

 扶桑朝=日本。

 宝塔院=興正菩薩が西大寺へ入寺した際の活動拠点は、奈良時代創建伽藍の東塔を中心にした区域であった。

 呂律=音楽の旋律、呂の音と律の音。声明をいう。

 蘋繁=供え物。

 般遮于瑟=梵・パンチャバールシカ。五年会と訳される。五年ごとに設ける大斎会。一切の人を受容して遮らない無遮会。

 梵莚=法会。

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

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2017年4月19日 (水)

コスモス寺花だより  4・19

 

〔花ごよみ〕

 

百花繚乱

○椿:≪見ごろ≫

○八重桜:≪みごろ≫

○山吹:≪5分咲き≫黄色一重咲・八重咲、白山吹。

○シャガ:≪見ごろ≫

○日本桜草:≪咲きはじめ≫

その他、華鬘草、ツルニチニチソウ、ニホンタンポポ、キランソウ、オドリコソウ等の草花も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「なまけるな イロハニホヘト 散桜(ちるさくら)」一茶

訳:怠けるなイロハニホヘトを学んでいる内に桜が散っている。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈木津川の岸に立ちて〉

「みわたせば きづのかはらの しろたへに

       かがやくまでに はるたけにけり」

(見渡せば木津の河原の白妙に 輝くまでに春闌けにけり)

 

〈笠置山にのぼりて〉

「のびやかに みちによりふす このいはの

       ひとならましを われをろがまむ」

(伸びやかに道に寄り伏すこの岩の 人ならましを吾拝まむ)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》908  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『宇治孤嶋石塔供養式』

(うじことうせきとうくようしき)

 

*康応元年(一三八九)三月廿五日に、宇治橋寺放生院住持の深泉大徳が勧化して行った、興正菩薩一百年忌追賁と十三重石塔修復落慶を兼ねた石塔供養式の式次第と法会記録。衆僧六百人の舞楽大法会である。

 

◆引頭    西大寺     栄義坊仙秀大徳

       同寺      淵妙坊義春大徳

堂達             理圓坊  大徳

綱維             深光坊行盛大徳

               正道坊英空大徳

奉行             淨願坊良耀大徳

               圓道坊叡空大徳

衆僧            六百余人〈衲衆二百余口、二十夏已上。〉

楽頭

 

康応元年己巳(つちのと)卯月(うつき)十日之を記す。 

通別兼受比丘英源〈通三十七夏(げ①) 別二十七夏(②)〉〕

 

 通三十七夏=通受、三聚浄戒を通(総)じて受ける菩薩戒を受戒してから三十七歳の夏安居(げあんご)を経たことを表す法﨟。(通常は二十歳で受戒するので生年五十七歳か。)

 別二十七夏=別受は三聚浄戒のうち、摂律儀戒(四分律の戒、比丘の場合二百五十戒)を別して(単独に)受戒すること。二十七歳の夏数(法﨟)

(終わり)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

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2017年4月18日 (火)

コスモス寺花だより  4・18

 

〔花ごよみ〕

 

百花繚乱

○椿:≪見ごろ≫

○八重桜:≪みごろ≫

○山吹:≪5分咲き≫黄色一重咲・八重咲、白山吹。

○シャガ:≪見ごろ≫

○日本桜草:≪咲きはじめ≫

その他、華鬘草、ツルニチニチソウ、ニホンタンポポ、キランソウ、オドリコソウ等の草花も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「花ちるや 末代無智の 凡夫衆」一茶

訳:花が散るよ。末代まで無智のままの悟らない人々。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈木津川の岸に立ちて〉

「みわたせば きづのかはらの しろたへに

       かがやくまでに はるたけにけり」

(見渡せば木津の河原の白妙に 輝くまでに春闌けにけり)

 

〈笠置山にのぼりて〉

「のびやかに みちによりふす このいはの

       ひとならましを われをろがまむ」

(伸びやかに道に寄り伏すこの岩の 人ならましを吾拝まむ)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》907  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『宇治孤嶋石塔供養式』

(うじことうせきとうくようしき)

 

*康応元年(一三八九)三月廿五日に、宇治橋寺放生院住持の深泉大徳が勧化して行った、興正菩薩一百年忌追賁と十三重石塔修復落慶を兼ねた石塔供養式の式次第と法会記録。衆僧六百人の舞楽大法会である。

 

◆【 惣礼伽陀 大覚寺住持 浄色坊十算大徳

        西大寺   尊瑜坊  大徳

   讃    西大寺 良密坊理秀大徳

        同 寺   隆泉坊耀尊大徳

   唄師   西大寺   妙基坊作誉大徳

   散花   浄住寺住持 寂密坊興守大徳

        西大寺   慧春坊善通大徳

   梵音   長福寺住持 妙運坊智源大徳

   錫杖   西大寺   教印坊慈英大徳

        同 寺   宗観坊舜英大徳

   引頭   西大寺   栄義坊仙秀大徳

        同 寺   淵妙坊義春大徳

   堂達         理円坊  大徳

   綱維         深光坊行盛大徳

正道坊英空大徳

   奉行   浄願坊良耀大徳

円道坊叡空大徳

   衆僧  六百余人〈衲衆二百余口 二十夏已上〉

   楽頭

 

    康応元年己巳卯月十日記之 通別兼受比丘英源〈通三十七夏

別二十七夏〉

 

〔 惣礼伽陀 大覚寺住持 淨色坊十算大徳

       西大寺    尊瑜坊  大徳

  讃    西大寺   良密坊理秀大徳 

       同寺    隆泉坊耀尊大徳

  唄師   西大寺   妙基坊作誉大徳

  散花   淨住寺住持 寂密坊興守大徳

       西大寺   慧春坊善通大徳

  梵音   長福寺住持 妙運坊智源大徳

  錫杖   西大寺   教印坊慈英大徳               

       同寺    宗観坊舜英大徳

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

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2017年4月17日 (月)

コスモス寺花だより  4・17

 

〔花ごよみ〕

 

百花繚乱

○椿:≪見ごろ≫

○八重桜:≪みごろ≫

○山吹:≪三分咲き≫黄色一重咲・八重咲、白山吹。

○シャガ:≪見ごろ≫

○日本桜草:≪咲きはじめ≫

その他、日本桜草、華鬘草、ツルニチニチソウ、ニホンタンポポ、キランソウ、オドリコソウ等の草花も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「散花(ちるはな)も つかみ込みけり ばくち銭」一茶

訳:散っている花も一緒につかみ込んだよ博打の銭も。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈木津川の岸に立ちて〉

「みわたせば きづのかはらの しろたへに

       かがやくまでに はるたけにけり」

(見渡せば木津の河原の白妙に 輝くまでに春闌けにけり)

 

〈笠置山にのぼりて〉

「のびやかに みちによりふす このいはの

       ひとならましを われをろがまむ」

(伸びやかに道に寄り伏すこの岩の 人ならましを吾拝まむ)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》906  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『宇治孤嶋石塔供養式』

(うじことうせきとうくようしき)

 

*康応元年(一三八九)三月廿五日に、宇治橋寺放生院住持の深泉大徳が勧化して行った、興正菩薩一百年忌追賁と十三重石塔修復落慶を兼ねた石塔供養式の式次第と法会記録。衆僧六百人の舞楽大法会である。

 

◆【 右康応元己巳三月二十五日。奉追賁興正菩薩一百年忌。正当八月廿五日。今預奉執行之者也。

 

  導師   西大寺長老 慈朝唯覚上人

  呪願師  放生院住持 本仍坊深泉大徳 】

 

〔 右康応(こうおう①)元〈己巳(つちのとみ)〉三月廿五日。興正菩薩一百年忌を追賁(ついひ②)し奉る。

正当(しょうとう③)は八月廿五日なり。

今預(こんよ④)、奉執行のもの也。

 

  導師 西大寺長老 慈朝唯覚(じちょうゆいがく⑤)上人

  呪願師  放生院住持 本芿坊深泉(ほんじょうぼうしんせん⑥)大徳(だいとく⑦)〕

 

 康応元=北朝年号。後小松天皇の代。一三八九年。

 追賁=死後に供養してその功徳を飾ること。追善。

 正当=正しく忌日に当たること。

 今預=今、前もって。あらかじめ。

 慈朝唯学=唯学房慈朝、西大寺第十七代長老。

 本芿房深泉=実名(じつみょう)の読みはジンセンかも。慈朝和上を継いで西大寺第十八代長老となる。

 大徳=ダイトコとも。高徳の僧。律宗における比丘、比丘尼への敬称。律僧の位牌、墓碑にはこの称号を刻んでいる。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

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2017年4月16日 (日)

コスモス寺花だより  4・16

 

〔花ごよみ〕

 

百花繚乱

○椿:≪見ごろ≫

○桜:≪散りはじめ≫ソメイヨシノは盛りを越えました。

当寺鎮守社の傍らに咲く「重衡桜」(シゲヒラザクラ)は今が≪満開≫です。

かつて、寺の東側にある、「文殊山」(もんじゅやま)の裾に「重衡の首塚」と伝承される塚と石碑がありました。そこに自生していた山桜を移植したものです。樹齢は60年ほどで、壮年期にあり木に勢いがあります。

○山吹:≪三分咲き≫黄色一重咲・八重咲、白山吹。

○シャガ:≪見ごろ≫

○日本桜草:≪咲きはじめ≫

その他、シキミ、ツルニチニチソウ、タンポポ、キランソウ、イヌフグリ等の野草も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「隙(ひま)あれや 桜かざして 喧嘩買(けんくわかひ)」一茶

訳:ひまがあるからだなあ。桜の花を頭にかざして行く喧嘩買。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良にて〉

「いにしへの ならのみやびと いまあらば

       こしのえみしと あをことなさむ」

(古えの奈良の宮人いま在らば 越の蝦夷と彼を言成さん)

・ならのみやびと=奈良の都、平城京の都人。

・こしのえみし=越は北陸地方を言い、新潟県を含む。蝦夷は夷(えびす)とも言い、未開人野蛮人を指す。ここでは会津八一が自分のことを卑下し謙遜して言っている。

・あをことなさむ=あれこれと語り合うことでしょう。

 

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこえて さかるとも

       ゆめにしみえこ わかくさのやま」

(青丹よし奈良山越えてさかるとも 夢にし見えこ若草の山)

・さかる=離れる。遠ざかる。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》905  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『宇治孤嶋石塔供養式』

(うじことうせきとうくようしき)

 

*康応元年(一三八九)三月廿五日に、宇治橋寺放生院住持の深泉大徳が勧化して行った、興正菩薩一百年忌追賁と十三重石塔修復落慶を兼ねた石塔供養式の式次第と法会記録。衆僧六百人の舞楽大法会である。

 

◆【次両師下高座。於両高座中央三礼〈中礼〉

礼畢出堂前。著左右座。十弟子取法具。置両師辺。

  次打金。〈両師下高座訖即打。〉

  次入調。〈左右匝供舞。〉

  次舞了。衆僧三礼〈中礼〉

  次還列。〈於楽屋発楽。還城楽破。〉

 

〔次 両師、高座を下り、両高座の中央において三礼す〈中礼〉。

礼畢って、堂前に出で、左右の座に著す。十弟子、法具を取り、両師の辺に置く。

次 金を打つ。〈両師、高座を下り訖って、即打つ。〉

次 入調(じゅちょう①)。〈左右匝り、舞を供す。〉

次 舞了る。衆僧三礼〈中礼〉。

次 還列。〈楽屋において楽を発す。還城楽(げんじょうらく②)、破(は③)。〉〕

 

 入調=楽曲で、調子に合うこと。また、調子に合わせること。

 還城楽=カンジョウラクとも。雅楽。左方(唐楽)。太食(たいじき)調。古楽。一人舞。胡人の扮装に朱の仮面をつけ、桴(ばち)を持ち作り物の蛇を捕えて舞う。見蛇楽(げんじゃがく)。

 破=(再出)雅楽で、曲の構成単位およびその様式(曲風)の名称。拍子が細かくなり、ゆるやかな速度(延調子)で演奏される。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

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2017年4月15日 (土)

コスモス寺花だより  4・15

 

〔花ごよみ〕

 

百花繚乱

○椿:≪見ごろ≫

○桜:≪散りはじめ≫ソメイヨシノは盛りを越えました。

当寺鎮守社の傍らに咲く「重衡桜」(シゲヒラザクラ)は今が≪満開≫です。

かつて、寺の東側にある、「文殊山」(もんじゅやま)の裾に「重衡の首塚」と伝承される塚と石碑がありました。そこに自生していた山桜を移植したものです。樹齢は60年ほどで、壮年期にあり木に勢いがあります。

○桃:≪見ごろ≫

○山吹:≪三分咲き≫

○シャガ:≪咲きはじめ≫

○日本桜草:≪咲きはじめ≫

その他、シキミ、ツルニチニチソウ、タンポポ、キランソウ、イヌフグリ等の野草も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「此(この)やうな 末世を桜 だらけ哉」一茶

訳:このような末世にもかかわらずあちこち桜だらけだなあ。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良にて〉

「いにしへの ならのみやびと いまあらば

       こしのえみしと あをことなさむ」

(古えの奈良の宮人いま在らば 越の蝦夷と彼を言成さん)

・ならのみやびと=奈良の都、平城京の都人。

・こしのえみし=越は北陸地方を言い、新潟県を含む。蝦夷は夷(えびす)とも言い、未開人野蛮人を指す。ここでは会津八一が自分のことを卑下し謙遜して言っている。

・あをことなさむ=あれこれと語り合うことでしょう。

 

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこえて さかるとも

       ゆめにしみえこ わかくさのやま」

(青丹よし奈良山越えてさかるとも 夢にし見えこ若草の山)

・さかる=離れる。遠ざかる。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》904  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『宇治孤嶋石塔供養式』

(うじことうせきとうくようしき)

 

*康応元年(一三八九)三月廿五日に、宇治橋寺放生院住持の深泉大徳が勧化して行った、興正菩薩一百年忌追賁と十三重石塔修復落慶を兼ねた石塔供養式の式次第と法会記録。衆僧六百人の舞楽大法会である。

 

◆【次堂逹返取諷誦文。到呪願師高座前。乞呪願。

  次呪願師取香呂。唱呪願。

  次堂逹向仏前披読。少揖退去。

  次導師説法。〈置香炉。取如意。〉

  次六種廻向。〈置如意。取香炉。〉

  次発楽。〈千秋楽盤〉】

 

〔次 堂達、諷誦文を返し取る。呪願師(じゅがんし①)高座の前へ到り、呪願を乞う。

次 呪願師、香炉を取り、呪願を唱える。

次 堂達、仏前に向かい読を披(ひら)き、少揖(しょうゆう②)して退去す。

次 導師説法す。〈香炉を置き、如意(にょい③)を取る。〉

次 六種廻向。〈如意を置き、香炉を取る。〉

次 楽を発す。〈千秋楽(せんしゅうらく④)、盤(ばん⑤)。〉〕

 

 呪願師=呪願(祈願の法語)を唱える役の僧。

 少揖=小さくおじぎする。会釈。

 如意=説法・読経の時、導師が手に持つ仏具。先端が巻き曲がって蕨の形をしている。

 千秋楽=唐楽、新楽黄鐘調と盤渉調の小曲。舞はない。後三条天皇の大嘗会に監物頼吉が作ったという。千歳楽、せんじゅらく。

 盤=盤渉調。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

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2017年4月14日 (金)

コスモス寺花だより  4・14

 

〔花ごよみ〕

 

百花繚乱

○椿:≪見ごろ≫

○桜:≪散りはじめ≫ソメイヨシノは盛りを越えました。

当寺鎮守社の傍らに咲く「重衡桜」(シゲヒラザクラ)は今が≪満開≫です。

かつて、寺の東側にある、「文殊山」(もんじゅやま)の裾に「重衡の首塚」と伝承される塚と石碑がありました。そこに自生していた山桜を移植したものです。樹齢は60年ほどで、壮年期にあり木に勢いがあります。

○桃:≪見ごろ≫

○山吹:≪三分咲き≫

○シャガ:≪咲きはじめ≫

その他、シキミ、ツルニチニチソウ、タンポポ、キランソウ、イヌフグリ等の野草も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

 

〔俳句〕

「下々(しもじも)に 生れて夜も さくら哉」一茶

訳:死ぬ用意をしなさい、しなさいと桜が咲いているよ。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良にて〉

「いにしへの ならのみやびと いまあらば

       こしのえみしと あをことなさむ」

(古えの奈良の宮人いま在らば 越の蝦夷と彼を言成さん)

・ならのみやびと=奈良の都、平城京の都人。

・こしのえみし=越は北陸地方を言い、新潟県を含む。蝦夷は夷(えびす)とも言い、未開人野蛮人を指す。ここでは会津八一が自分のことを卑下し謙遜して言っている。

・あをことなさむ=あれこれと語り合うことでしょう。

 

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこえて さかるとも

       ゆめにしみえこ わかくさのやま」

(青丹よし奈良山越えてさかるとも 夢にし見えこ若草の山)

・さかる=離れる。遠ざかる。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》903  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『宇治孤嶋石塔供養式』

(うじことうせきとうくようしき)

 

*康応元年(一三八九)三月廿五日に、宇治橋寺放生院住持の深泉大徳が勧化して行った、興正菩薩一百年忌追賁と十三重石塔修復落慶を兼ねた石塔供養式の式次第と法会記録。衆僧六百人の舞楽大法会である。

 

 恒破=

 

◆【次導師作法神分表白。〈取香炉。〉

  次読願文。

  次堂逹進諷誦文於導師。

  次撃洪鐘。〈三下〉

  次導師諷誦文。

  次発願。〈四弘仏名教化如常。教化之時取如意。〉

 

〔次 導師作法、神分(じんぶん①)、表白(ひょうはく②)。〈香炉を取る。〉

次 願文(がんもん③)を読む。

次 堂達(どうだつ④)、諷誦文(ふじゅもん⑤)を導師に進ず。

次 洪鐘(こうしょう⑥)を撃つ。〈三下〉 

次 導師、諷誦文。

次 発願(ほつがん⑦)。〈四弘(しぐ⑧)、仏名(ぶつみょう⑨)、教化(きょう⑩け)、常の如し。教化の時、如意を取る。〉〕

 

 神分=法会で神祇に擁護を請い般若心経などを読誦して法施をすること。

 表白=導師が法会の趣旨を書いた文を仏前で読み上げて参会者に告げ知らせる。

 願文=仏事を修する時、願意を記した文を読む。

 堂達=法会で会行事の下で導師、呪願師に願文呪願文を渡す役僧。七僧の一人。

 諷誦文=主に追善供養のために、三宝衆僧に布施する意や法会の趣旨などを記して捧げる文章。

 洪鐘=大きなつりがね。

 発願=願をおこすこと。

 四弘=四弘誓願。衆生無辺誓願度、煩悩無量誓願断、法門無尽誓願学、仏道無上誓願証。総願ともいう。

 仏名=本尊、祖師の名を唱え祈願する声明曲。

 教化=教導利益の意を表す章句で、声明で唱えられる賛歌。四句を基本にして八句、十二句の漢文体、和文体がある。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

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2017年4月13日 (木)

コスモス寺花だより  4・13

 

〔花ごよみ〕

 

百花繚乱

○椿:≪見ごろ≫

○桜:≪散りはじめ≫ソメイヨシノは盛りを越えました。

当寺鎮守社の傍らに咲く「重衡桜」(シゲヒラザクラ)は今が≪満開≫です。

かつて、寺の東側にある、「文殊山」(もんじゅやま)の裾に「重衡の首塚」と伝承される塚と石碑がありました。そこに自生していた山桜を移植したものです。樹齢は60年ほどで、壮年期にあり木に勢いがあります。

○桃:≪見ごろ≫

○山吹:≪咲きはじめ≫

○シャガ:≪咲きはじめ≫

その他、シキミ、ツルニチニチソウ、タンポポ、キランソウ、イヌフグリ等の野草も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

 

〔俳句〕

「死支度(しにじたく) 致せ致せと 桜哉」一茶

訳:死ぬ用意をしなさい、しなさいと桜が咲いているよ。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良にて〉

「いにしへの ならのみやびと いまあらば

       こしのえみしと あをことなさむ」

(古えの奈良の宮人いま在らば 越の蝦夷と彼を言成さん)

・ならのみやびと=奈良の都、平城京の都人。

・こしのえみし=越は北陸地方を言い、新潟県を含む。蝦夷は夷(えびす)とも言い、未開人野蛮人を指す。ここでは会津八一が自分のことを卑下し謙遜して言っている。

・あをことなさむ=あれこれと語り合うことでしょう。

 

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこえて さかるとも

       ゆめにしみえこ わかくさのやま」

(青丹よし奈良山越えてさかるとも 夢にし見えこ若草の山)

・さかる=離れる。遠ざかる。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》903  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『宇治孤嶋石塔供養式』

(うじことうせきとうくようしき)

 

*康応元年(一三八九)三月廿五日に、宇治橋寺放生院住持の深泉大徳が勧化して行った、興正菩薩一百年忌追賁と十三重石塔修復落慶を兼ねた石塔供養式の式次第と法会記録。衆僧六百人の舞楽大法会である。

 

◆【次梵音。〈頭持香炉。余持花籠。〉

  次打金。〈梵音畢即打。不待降舞台。〉

  次供舞。〈延喜楽乎。〉

  次錫杖。〈頭持錫杖。自余持花筥。〉

  次発楽。〈恒破乎。〉

  次打金。〈楽畢即打。〉

 

〔次 梵音(ぼんのん①)。〈頭(とう②)は香炉を持ち、余は華籠(けこ)を持つ。〉

次 金を打つ。〈梵音畢り、即打つ。舞台を降りるを待たず。〉

次 舞を供す。〈延喜楽(えんぎらく③)乎。〉

次 錫杖(しゃくじょう④)。〈頭は錫杖を持ち、自余は花筥(けきょ⑤)を持つ。〉

次 楽を発す。〈恒破(こうは⑥)乎。〉

次 金を打つ。〈楽畢り、即打つ。〉〕

 

 梵音=声明、清浄な音声で四箇の法要で仏法僧の徳をたたえる意の歌唱。散華の次に唱える。

 頭=声明の曲のあたまを発声(発音・ほっとん)する役の人。頭人(とうにん)。

 延喜楽=右方の舞で、文の舞の代表曲の一つ。四人舞。前奏曲として「意調子」が奏され、次に高麗壱越(こまいちこつ)調の当曲(舞楽の中心となる曲)が奏され、鳥甲(とりかぶと)、襲(かさね)装束の舞人が登台して舞を舞う。法会においては、梵音衆の昇楽(のぼりがく)として用いられる。

 錫杖=四箇法要の一つ。偈を唱え一節の終りごとに錫杖を振ることからいう。三条錫杖と九条錫杖がある。

 花筥=花籠(けこ)。筥は、はこ、かご。

 恒破=

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

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2017年4月12日 (水)

コスモス寺花だより  4・12

 

〔花ごよみ〕

 

百花繚乱

○椿:≪見ごろ≫

○桜:≪散りはじめ≫

○桃:≪見ごろ≫

○山吹:≪咲きはじめ≫

○シャガ:≪咲きはじめ≫

その他、シキミ、ツルニチニチソウ、タンポポ、キランソウ、イヌフグリ等の野草も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

 

〔俳句〕

「夕ざくら けふも昔に なりにけり」一茶

訳:夕方の桜を見ていると今日も早くも昔になってしまったのだなあ。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良にて〉

「いにしへの ならのみやびと いまあらば

       こしのえみしと あをことなさむ」

(古えの奈良の宮人いま在らば 越の蝦夷と彼を言成さん)

・ならのみやびと=奈良の都、平城京の都人。

・こしのえみし=越は北陸地方を言い、新潟県を含む。蝦夷は夷(えびす)とも言い、未開人野蛮人を指す。ここでは会津八一が自分のことを卑下し謙遜して言っている。

・あをことなさむ=あれこれと語り合うことでしょう。

 

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこえて さかるとも

       ゆめにしみえこ わかくさのやま」

(青丹よし奈良山越えてさかるとも 夢にし見えこ若草の山)

・さかる=離れる。遠ざかる。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》902  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『宇治孤嶋石塔供養式』

(うじことうせきとうくようしき)

 

*康応元年(一三八九)三月廿五日に、宇治橋寺放生院住持の深泉大徳が勧化して行った、興正菩薩一百年忌追賁と十三重石塔修復落慶を兼ねた石塔供養式の式次第と法会記録。衆僧六百人の舞楽大法会である。

 

◆【次左右一者。更登舞台。鼓舞々畢。入楽屋

 次唄師複本座。

 次打金。〈鼓舞畢降舞台訖即打。〉

 次発楽。〈慶雲楽乎。〉

 次讃。〈頭持鈸。自余持花籠。最末持鐃也。〉

次打金。〈讃畢鈸突畢即打。不待降讃衆舞台。〉

次供楽。〈萬歳楽乎。〉

 

〔次 左右の一者(いちのもの)、更に舞台に登る。鼓舞、舞い終わり楽屋に入る。

次 唄師、本座に複(復)す。

次 金を打つ。〈鼓舞畢り、舞台を降り訖って、即打つ。〉

次 楽を発す。〈慶雲楽(きょううんらく①)乎。〉

次 讃。〈頭は鈸(はつ②)を持つ。自余は華籠(けこ)を持つ。最末は鐃(どう③)を持つ也。〉

次 金を打つ。〈讃畢りて、鈸を突き畢り、即打つ。〉

次 楽を供す。〈萬歳楽(まんざいらく④)乎。〉〕

 

 慶雲楽=唐楽、平調の曲。中曲、新楽、舞無し。慶雲年間(七〇四-七〇七)に伝えられたので、この曲名がある。

 鈸=銅鈸。銅製皿型の楽器。真中にひもをつけてあり、両手で合わせて鳴らす。

 鐃=どら(銅鑼)。

 萬歳楽=唐楽、平調の曲。六人または四人舞。めでたい文の舞として、武の舞の「太平楽」とともに即位礼、その他の賀宴に用いる。まざいらく。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

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2017年4月11日 (火)

コスモス寺花だより  4・11

 

〔花ごよみ〕

 

百花繚乱

○椿:≪見ごろ≫

○桜:≪見ごろ≫

○桃:≪見ごろ≫

○山吹:≪咲きはじめ≫

○シャガ:≪咲きはじめ≫

その他、シキミ、ツルニチニチソウ、タンポポ、キランソウ、イヌフグリ等の野草も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

 

〔俳句〕

「ちる花や 已(すで)におのれも 下り坂」一茶

訳:散る花の哀れさよ。すでにおれも盛りを過ぎて下り坂。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良にて〉

「いにしへの ならのみやびと いまあらば

       こしのえみしと あをことなさむ」

(古えの奈良の宮人いま在らば 越の蝦夷と彼を言成さん)

・ならのみやびと=奈良の都、平城京の都人。

・こしのえみし=越は北陸地方を言い、新潟県を含む。蝦夷は夷(えびす)とも言い、未開人野蛮人を指す。ここでは会津八一が自分のことを卑下し謙遜して言っている。

・あをことなさむ=あれこれと語り合うことでしょう。

 

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこえて さかるとも

       ゆめにしみえこ わかくさのやま」

(青丹よし奈良山越えてさかるとも 夢にし見えこ若草の山)

・さかる=離れる。遠ざかる。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》901  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『宇治孤嶋石塔供養式』

(うじことうせきとうくようしき)

 

*康応元年(一三八九)三月廿五日に、宇治橋寺放生院住持の深泉大徳が勧化して行った、興正菩薩一百年忌追賁と十三重石塔修復落慶を兼ねた石塔供養式の式次第と法会記録。衆僧六百人の舞楽大法会である。

 

◆【右方通南廻廊中。廻阿弥陀堂後。西北角作輪。付左方末座。経池北楽屋後。渡橋北頬。廻孤島塔北東南西。折返渡橋南頬。経楽屋後池南。通阿弥陀堂南廻廊中。至舞台西階際。左右同時昇舞台。自東階降。経台左右。左方折返経池北。入北廻廊著座。右方折返経池南。入南廻廊著座。】

 

〔右方は南の廻廊の中を通り、阿弥陀堂の後ろを廻り、西北の角に輪を作る。左方の末坐に付き、池北の楽屋の後ろを経て、橋の北頬を渡り、孤嶋の塔、北東南西を廻る。折り返し、橋の南頬を渡り、楽屋の後ろ、池の南を経て、阿弥陀堂の南廻廊の中を通り、舞台の西階の際に至り、左右同時に舞台へ昇る。

東階より降り、台の左右を経て、左方は折り返し池の北を経て、北廻廊に入り著座す。右方は折り返し池の南を経て、南廻廊に入り著座す。〕

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

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2017年4月10日 (月)

コスモス寺花だより  4・10

 

〔花ごよみ〕

 

百花繚乱

○椿:≪見ごろ≫

○桜:≪見ごろ≫

○桃:≪見ごろ≫

○山吹:≪咲きはじめ≫

○シャガ:≪咲きはじめ≫

その他、シキミ、ツルニチニチソウ、タンポポ、キランソウ、イヌフグリ等の野草も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

 

〔俳句〕

「一本の 桜持ちけり 娑婆(しやば)の役」一茶

訳:一本の桜の木を持っている。世間の役にたっている。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良にて〉

「いにしへの ならのみやびと いまあらば

       こしのえみしと あをことなさむ」

(古えの奈良の宮人いま在らば 越の蝦夷と彼を言成さん)

・ならのみやびと=奈良の都、平城京の都人。

・こしのえみし=越は北陸地方を言い、新潟県を含む。蝦夷は夷(えびす)とも言い、未開人野蛮人を指す。ここでは会津八一が自分のことを卑下し謙遜して言っている。

・あをことなさむ=あれこれと語り合うことでしょう。

 

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこえて さかるとも

       ゆめにしみえこ わかくさのやま」

(青丹よし奈良山越えてさかるとも 夢にし見えこ若草の山)

・さかる=離れる。遠ざかる。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》900  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『宇治孤嶋石塔供養式』

(うじことうせきとうくようしき)

 

*康応元年(一三八九)三月廿五日に、宇治橋寺放生院住持の深泉大徳が勧化して行った、興正菩薩一百年忌追賁と十三重石塔修復落慶を兼ねた石塔供養式の式次第と法会記録。衆僧六百人の舞楽大法会である。

 

◆【行道一匝。先左方経池北。楽屋後作輪。廻楽屋北。至舞台東階際。左右同時昇舞台東階。自西階降。左方通北廻廊中。経池北楽屋後。渡橋北頬。廻孤島塔北東南西。折返渡橋南頬。経楽屋後池南阿弥陀堂後。通北廻廊中。至舞台西階際。】

 

〔行道は一匝(いっそう①)、先ず左方は池の北を経て、楽屋の後ろに輪を作る。楽屋の北を廻って舞台東階の際に至り、左右同時に舞台の東階を昇る。

西階より降り、左方は北廻廊の中を通り、池の北、楽屋の後ろを経て、橋の北頬(きたほほ②)を渡り、孤嶋の塔の北東南西を廻る。

折り返り、橋の南頬(みなみほほ)を渡り、楽屋の後ろ、池の南、阿弥陀堂の後ろを経て、北廻廊の中を通り、舞台の西階の際に至る。〕

 

 一匝=一めぐり。

 北頬=ホオとも。橋の北側の渡り部分。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

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2017年4月 9日 (日)

コスモス寺花だより  4・9

 

〔花ごよみ〕

 

百花繚乱

○椿:≪見ごろ≫

○桜:≪見ごろ≫

○桃:≪見ごろ≫

○山吹:≪咲きはじめ≫

○シャガ:≪咲きはじめ≫

その他、シキミ、ツルニチニチソウ、タンポポ、キランソウ、イヌフグリ等の野草も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

 

〔俳句〕

「ばばが餅 ぢぢが桜 咲にけり」一茶

訳:婆が餅を作る頃になった。爺が自慢の桜が咲いたよ。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良にて〉

「いにしへの ならのみやびと いまあらば

       こしのえみしと あをことなさむ」

(古えの奈良の宮人いま在らば 越の蝦夷と彼を言成さん)

・ならのみやびと=奈良の都、平城京の都人。

・こしのえみし=越は北陸地方を言い、新潟県を含む。蝦夷は夷(えびす)とも言い、未開人野蛮人を指す。ここでは会津八一が自分のことを卑下し謙遜して言っている。

・あをことなさむ=あれこれと語り合うことでしょう。

 

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこえて さかるとも

       ゆめにしみえこ わかくさのやま」

(青丹よし奈良山越えてさかるとも 夢にし見えこ若草の山)

・さかる=離れる。遠ざかる。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》899  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『宇治孤嶋石塔供養式』

(うじことうせきとうくようしき)

 

*康応元年(一三八九)三月廿五日に、宇治橋寺放生院住持の深泉大徳が勧化して行った、興正菩薩一百年忌追賁と十三重石塔修復落慶を兼ねた石塔供養式の式次第と法会記録。衆僧六百人の舞楽大法会である。

 

 

◆【次楽人出楽屋前。吹調子。調子畢散花師発音。楽人発楽〈鳥向楽〉

 舞人楽人左右相分。経衆僧中央。降舞台西階。】

 

〔次 楽人、楽屋の前に出で、調子を吹く。調子畢って、散華師、発音(ほっとん①)す。楽人、楽を発す。〈鳥向楽(ちょうこうらく②)。〉舞人楽人、左右に相分れる。衆僧の中央を経て、舞台の西階を降る。〕

 

 発音=散華声明で頭人(とうにん)が最初の句の頭(とう)を出すこと。

 鳥向楽=雅楽、唐楽盤渉調の曲。現在の雅楽曲の中には含まれていない。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

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2017年4月 8日 (土)

コスモス寺花だより  4・8

 

今日は「花まつり」、仏教の開祖、お釈迦様の誕生日です。仏生会(ぶっしょうえ)、仏誕会(ぶったんえ)、降誕会(ごうたんえ)、灌仏会(かんぶつえ)など様々な呼び名で全国の寺院で法会があり、誕生仏に甘茶が注がれます。

 

〔花ごよみ〕

 

百花繚乱

○連翹(レンギョウ):≪見ごろ≫

○椿:≪見ごろ≫

○桜:≪見ごろ≫

○桃:≪見ごろ≫

○山吹:≪咲きはじめ≫

○シャガ:≪咲きはじめ≫

その他、シキミ、ツルニチニチソウ、タンポポ、キランソウ、イヌフグリ等の野草も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

 

〔俳句〕

「江戸衆に 見枯らされたる 桜哉」一茶

訳:江戸衆がよってたかっての花見、そのために枯れてしまった桜だよ。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良にて〉

「いにしへの ならのみやびと いまあらば

       こしのえみしと あをことなさむ」

(古えの奈良の宮人いま在らば 越の蝦夷と彼を言成さん)

・ならのみやびと=奈良の都、平城京の都人。

・こしのえみし=越は北陸地方を言い、新潟県を含む。蝦夷は夷(えびす)とも言い、未開人野蛮人を指す。ここでは会津八一が自分のことを卑下し謙遜して言っている。

・あをことなさむ=あれこれと語り合うことでしょう。

 

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこえて さかるとも

       ゆめにしみえこ わかくさのやま」

(青丹よし奈良山越えてさかるとも 夢にし見えこ若草の山)

・さかる=離れる。遠ざかる。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》898  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『宇治孤嶋石塔供養式』

(うじことうせきとうくようしき)

 

*康応元年(一三八九)三月廿五日に、宇治橋寺放生院住持の深泉大徳が勧化して行った、興正菩薩一百年忌追賁と十三重石塔修復落慶を兼ねた石塔供養式の式次第と法会記録。衆僧六百人の舞楽大法会である。

 

◆【次大行道。〈預二人居舞台。昇階左右。衆僧欲登之時。次第賦花籠。〉

 先散花師二人出自左右幄屋。各経池南〈右〉〈左〉

自東階登舞台上。並立西端。

次左右引頭率衆僧相従。】

 

〔次 大行道。〔預二人は舞台の昇階の左右に居り、衆僧之を登らんとする時、次第に花籠(けこ①)を賦(ふ②)す。〕

 先ず散花師(さんげし③)二人、左右の幄屋より出で、おのおの池の南〔右〕北〔左〕を経て、東階より舞台の上に登り、西の端に並立す。

次に、左右の引頭、衆僧を率いて相従う。

 

 華籠=法会のとき、散華の仏具として用いる、花を容れる器。竹製、金属製で飾りの紐をつける。はなざら、はなかご、けろうと言う。

 賦=配る。与える。

 散華師=法会で散華をつかさどり、声明の頭を出す役割の僧。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

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2017年4月 7日 (金)

コスモス寺花だより  4・7

 

百花繚乱

○連翹(レンギョウ):≪見ごろ≫

○椿:≪見ごろ≫

○桜:≪見ごろ≫

○桃:≪見ごろ≫

○山吹:≪咲きはじめ≫

○シャガ:≪咲きはじめ≫

その他、シキミ、ツルニチニチソウ、タンポポ、キランソウ、イヌフグリ等の野草も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

 

〔俳句〕

「見かぎりし 故郷の山の 桜哉」一茶

訳:見限ったはずの故郷の山の桜が見事に咲いている。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良にて〉

「いにしへの ならのみやびと いまあらば

       こしのえみしと あをことなさむ」

(古えの奈良の宮人いま在らば 越の蝦夷と彼を言成さん)

・ならのみやびと=奈良の都、平城京の都人。

・こしのえみし=越は北陸地方を言い、新潟県を含む。蝦夷は夷(えびす)とも言い、未開人野蛮人を指す。ここでは会津八一が自分のことを卑下し謙遜して言っている。

・あをことなさむ=あれこれと語り合うことでしょう。

 

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこえて さかるとも

       ゆめにしみえこ わかくさのやま」

(青丹よし奈良山越えてさかるとも 夢にし見えこ若草の山)

・さかる=離れる。遠ざかる。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》897  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『宇治孤嶋石塔供養式』

(うじことうせきとうくようしき)

 

*康応元年(一三八九)三月廿五日に、宇治橋寺放生院住持の深泉大徳が勧化して行った、興正菩薩一百年忌追賁と十三重石塔修復落慶を兼ねた石塔供養式の式次第と法会記録。衆僧六百人の舞楽大法会である。

 

◆【次打金〈伝供畢 即打。〉

  次発楽。〈宗明楽 盤。〉

  次唄師左右登舞台。敷坐具三礼〈中礼〉著座。

  次打金。〈唄師著座位。即打。〉

 

〔次 金を打つ。〈伝(奠)供(てんぐ①)畢り、即打つ。〉

次 楽を発す。〈宗明楽(そうめいらく②)、盤(ばん③)。〉

次 唄師(ばいし④)、左右より舞台に登り、坐具(ざぐ⑤)を敷き三礼〈中礼〉し、著座す。

次 金を打つ。〈唄師、座位に著せば、即打つ。〉〕

 

 伝供=奠供とも。法会の最初に導師の洒水を見て発音(ほっとん)四智梵語、大日讃、本尊の讃を唱えながら本尊聖衆に供物を捧げるのでこの名がある。三讃を唱えるのが本義であるが、略の時は四智梵語一讃とする。

 宗明楽=唐楽、盤渉調、中曲、新楽、舞なし。

 盤=盤渉調。

 唄師=大法会で、四箇の法要の一つである梵唄の任に当り、如来唄などを歌詠する役の僧。

 坐具=僧の所持すべき六物の一つ。坐臥する時に敷く、長方形の麻布製の敷物。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

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2017年4月 6日 (木)

コスモス寺花だより  4・6

 

○沈丁花:≪見ごろ≫

○黄水仙:≪見ごろ≫ラッパ水仙。

○連翹(レンギョウ):≪見ごろ≫

○椿:≪見ごろ≫

○桜:≪五分咲き≫

○桃:≪見ごろ≫

○山吹:≪咲きはじめ≫

その他、シキミ、ツルニチニチソウ、タンポポ、キランソウ、イヌフグリ等の野草も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

 

〔俳句〕

「親ありと こたへてもどる 桜哉」一茶

訳:親がいるんだ、と胸をはって答えて戻って行く。いつもより見事に咲いている桜よ。

*参考:「我と来て遊べや親のない雀」一茶(この有名な句は弥太郎と呼ばれた六歳の時に詠んだという)

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良にて〉

「いにしへの ならのみやびと いまあらば

       こしのえみしと あをことなさむ」

(古えの奈良の宮人いま在らば 越の蝦夷と彼を言成さん)

・ならのみやびと=奈良の都、平城京の都人。

・こしのえみし=越は北陸地方を言い、新潟県を含む。蝦夷は夷(えびす)とも言い、未開人野蛮人を指す。ここでは会津八一が自分のことを卑下し謙遜して言っている。

・あをことなさむ=あれこれと語り合うことでしょう。

 

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこえて さかるとも

       ゆめにしみえこ わかくさのやま」

(青丹よし奈良山越えてさかるとも 夢にし見えこ若草の山)

・さかる=離れる。遠ざかる。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》896  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『宇治孤嶋石塔供養式』

(うじことうせきとうくようしき)

 

*康応元年(一三八九)三月廿五日に、宇治橋寺放生院住持の深泉大徳が勧化して行った、興正菩薩一百年忌追賁と十三重石塔修復落慶を兼ねた石塔供養式の式次第と法会記録。衆僧六百人の舞楽大法会である。

 

◆【次振鉾。〈三節。〉

  次打金。〈引頭着座 已後打之。〉

  次発楽。〈十天楽 一越調〉

  次供花。〈左右舞人伝之。十弟子取之。備仏前。〉

 

〔次 振鉾(しんぼう①)。〈三節(せつ②)。〉

次 金(きん③)を打つ。〈引頭著座し、已後之を打つ。〉

次 楽を発す。〈十天楽(じってんらく④)、一越調(いちこつちょう⑤)。〉

次 供花。〈左右の舞人之を伝え、十弟子之を取り仏前に備(そな)う。〉

 

 振鉾=矛(ほこ)を振る。

 節=歌曲の調子、音調、ふし。

 金=磬。「きん」は「磬(けい)」の唐宋音。読経などで桴(ばち)で打ち鳴らす仏具。

 十天楽=唐楽で、曲名の由来は東大寺の講堂供養の日に、十人の天人が舞い降りて仏前に花を供えたことと伝える。

 一越調=雅楽六調子の一つ。壱越の音、すなわち洋楽の「ニ」の音(D)を主音とした音階。いちおつちょう、いちこちちょう、とも言う。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

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2017年4月 5日 (水)

コスモス寺花だより  4・5

〔花ごよみ〕

 

○沈丁花:≪見ごろ≫

○黄水仙:≪見ごろ≫ラッパ水仙。

○連翹(レンギョウ):≪見ごろ≫

○椿:≪咲きはじめ≫

○桜:≪咲きはじめ≫

○山吹:≪咲きはじめ≫

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

 

〔俳句〕

「剃捨(そりすて)て 花見の真似や ひのき笠」一茶

訳: 頭を剃って花見西行や芭蕉を真似て檜木笠をかぶり旅に出よう。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとがひに

       こさめながるる はるはきにけり」

(奈良坂の石の仏の頤に 小雨流るる春は来にけり)

*いしのほとけ=般若寺の南方500mにあり、京街道が「千坊坂」と呼ばれる急坂に沿って立つ大きな石造りの地蔵菩薩(室町時代)さま。夕陽がお顔を照らすので「夕日地蔵」と呼ばれている。

*おとがい=下あご。

 

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこえて さかるとも

       ゆめにしみえこ わかくさのやま」

(青丹よし奈良山越えてさかるとも 夢にし見えこ若草の山)

*さかる=離れる。遠ざかる。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》895  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『宇治孤嶋石塔供養式』

(うじことうせきとうくようしき)

 

*康応元年(一三八九)三月廿五日に、宇治橋寺放生院住持の深泉大徳が勧化して行った、興正菩薩一百年忌追賁と十三重石塔修復落慶を兼ねた石塔供養式の式次第と法会記録。衆僧六百人の舞楽大法会である。

 

◆【次引頭引両師。経楽屋左右。登舞台東階。並立舞台上。〈引頭此時迎両師。立舞台左右角。十弟子自両師退。立右左縁道。〉

左右一者各立還。向両師。奏台奚婁。奏畢。引頭引両師。降西階立両高座左右。待両師登高座。両師就礼盤三礼〈中礼〉之後。各登高座。〈十弟子置法具於前机。群立高座辺。〉

引頭両師登高座後。入幄屋着座。楽人止楽入楽屋。】

 

〔次 引頭、両師を引き、楽屋の左右を経て舞台の東階を登り、舞台の上に並び立つ。〈引頭、此の時両師を迎え、舞台左右の角に立つ。十弟子(じゅうでし①)は両師より退いて、右左の縁道に立つ。〉

左右の一者はおのおの立ち還り、両師に向かう。臺奚婁(だいけいろう②)を奏す。奏畢って、引頭、両師を引き、西の階を降り両高座(こうざ③)の左右に立ち、両師の高座に登るを待つ。両師、礼盤に就き三礼〔中礼〕の後、おのおの高座に登る。〈十弟子、法具を前机に置き、高座の辺りに群立す。〉

引頭は両師が高座に登りて後、幄屋(あくや④)に入りて著座す。楽人、楽を止め楽屋に入る。〕

 

 十弟子=釈迦如来の十大弟子にならって、大法会では導師に十人の従者がつく。人数が省略されることもある。

 臺奚婁=奚婁は奚婁鼓(けいろうこ)のことで、雅楽の楽器。首からひもで釣り下げ、バチで鼓面を打ち鳴らす。現在は舞楽の「一曲」だけに使用。台奚婁は台の上に置く形式のものであろうか。

 高座=釈尊が成道したとき坐っていたとされる金剛宝座にならい、法会の導師などが坐す一段高い座席。

 幄屋=天幕を張った仮屋。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。7月の市長選、市議選では「古都の文化財」を本気で守る候補者を応援します。

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2017年4月 4日 (火)

コスモス寺花だより  4・4

 

〔花ごよみ〕

○沈丁花:≪見ごろ≫

○黄水仙:≪見ごろ≫ラッパ水仙。

○連翹(レンギョウ):≪見ごろ≫

○椿:≪咲きはじめ≫

○桜:≪咲きはじめ≫

○山吹:≪咲きはじめ≫

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

今月15日(土)から東京で西大寺展が始まります。真言律宗の本山西大寺が称徳天皇による開創1250年を記念して全国3カ所で開催されます。西大寺だけではなく、著名な末寺からも宝物を出陳されます。

会期は415日~611

会場は日本橋の三井記念美術館

大阪はハルカス美術館、山口は県立博物館、ほぼ1年がかりの展覧会となります。

〔俳句〕

「華の世を 見すまして死ぬ 仏かな」一茶

訳:花が咲く春の世をしっかり見てから死んだ仏様だよなあ。

*自分は生きることへの未練があって、仏様のように花が咲いてから涅槃に入るような真似はできない。「死ぬ時も至極上手な仏哉」と併記される。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとがひに

       こさめながるる はるはきにけり」

(奈良坂の石の仏の頤に 小雨流るる春は来にけり)

*いしのほとけ=般若寺の南方500mにあり、京街道が「千坊坂」と呼ばれる急坂に沿って立つ大きな石造りの地蔵菩薩(室町時代)さま。夕陽がお顔を照らすので「夕日地蔵」と呼ばれている。

*おとがい=下あご。

 

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこえて さかるとも

       ゆめにしみえこ わかくさのやま」

(青丹よし奈良山越えてさかるとも 夢にし見えこ若草の山)

*さかる=離れる。遠ざかる。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》894  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『宇治孤嶋石塔供養式』

(うじことうせきとうくようしき)

 

*康応元年(一三八九)三月廿五日に、宇治橋寺放生院住持の深泉大徳が勧化して行った、興正菩薩一百年忌追賁と十三重石塔修復落慶を兼ねた石塔供養式の式次第と法会記録。衆僧六百人の舞楽大法会である。

 

◆【次衆僧降西階。入阿弥陀堂前幷左右廻廊。着座。次楽人止楽。入楽屋。

  次迎両師。〈行時引頭舞人楽人。引時舞人楽人引頭導師十弟子。〉

  引頭率舞人楽人。向両師所。発楽。〈秋風楽。左右一奏一曲〉】

 

〔次 衆僧、西の階を降りて、阿弥陀堂の前、幷に左右の廻廊に入り、着座す。

次 楽人、楽をやめ楽屋に入る。

次 両師(①)を迎える。〈行く時、引頭、舞人、楽人。引く時、舞人、楽人、引頭、導師、十弟子。〉

引頭、舞人楽人を率いて、両師の所に向かう。楽を発す。〔秋風楽(しゅうふうらく②)。左右一奏一曲。〕

 

 両師=導師 西大寺長老、慈朝唯覚上人。呪願師 放生院住持、本芿坊深泉大徳。

 秋風楽=雅楽の唐楽。盤渉調の曲。四人舞。現在廃曲。長殿楽、寿春楽とも。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。7月の市長選、市議選では「古都の文化財」を本気で守る候補者を応援します。

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2017年4月 3日 (月)

コスモス寺花だより  4・3

 

〔花ごよみ〕

○沈丁花:≪見ごろ≫

○黄水仙:≪見ごろ≫ラッパ水仙。

○山茱萸(サンシュ):≪見ごろ≫

○連翹(レンギョウ):≪見ごろ≫

○椿:≪咲きはじめ≫

○桜:≪つぼみ≫

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

今月15日(土)から東京で西大寺展が始まります。真言律宗の本山西大寺が称徳天皇による開創1250年を記念して全国3カ所で開催されます。西大寺だけではなく、著名な末寺からも宝物を出陳されます。

会期は415日~611

会場は日本橋の三井記念美術館

大阪はハルカス美術館、山口は県立博物館、ほぼ1年がかりの展覧会となります。

〔俳句〕

「花の陰 あかの他人は なかりけり」一茶

訳:花の陰で宴会、聞いてみれば、赤の他人じゃなくてどこかで円がつながっている。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとがひに

       こさめながるる はるはきにけり」

(奈良坂の石の仏の頤に 小雨流るる春は来にけり)

*いしのほとけ=般若寺の南方500mにあり、京街道が「千坊坂」と呼ばれる急坂に沿って立つ大きな石造りの地蔵菩薩(室町時代)さま。夕陽がお顔を照らすので「夕日地蔵」と呼ばれている。

*おとがい=下あご。

 

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこえて さかるとも

       ゆめにしみえこ わかくさのやま」

(青丹よし奈良山越えてさかるとも 夢にし見えこ若草の山)

*さかる=離れる。遠ざかる。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》893  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『宇治孤嶋石塔供養式』

(うじことうせきとうくようしき)

 

*康応元年(一三八九)三月廿五日に、宇治橋寺放生院住持の深泉大徳が勧化して行った、興正菩薩一百年忌追賁と十三重石塔修復落慶を兼ねた石塔供養式の式次第と法会記録。衆僧六百人の舞楽大法会である。

 

◆【次先楽人舞人。次引頭率衆僧。従惣門〈放生院〉出。経橋従平等院不開門入。

  右方廻本堂幷阿弥陀堂後。左方通本堂前釣殿。左右舞人楽人衆僧経楽屋左右。昇舞台東階楽人舞人列立舞台左右縁道。衆僧於舞台上向西折立。此時止楽。誦伽陀二頌。〈敬礼天人大覚尊等 願以香花雲等頌文。〉

唱訖。三礼。〈中礼。先引頭。次衆僧。〉

 

〔次 先ず楽人舞人。

次 引頭、衆僧を率い惣門〔放生院〕より出づ。橋を経て平等院不開門(ふかいもん①)より入る。

右方は本堂幷に阿弥陀堂(②)の後ろを廻る。左方は本堂前の釣殿(つりどの③)を通る。左右の舞人楽人衆僧は楽屋の左右を経て、舞台の東階(とうかい④)を昇る。楽人舞人は舞台の左右の縁道(えんどう⑤)に列立(れつりゅう⑥)す。衆僧は舞台上において西に向いて折立つ(⑦)。此のとき楽やむ。伽陀(かだ⑧)二頌を誦す。〈敬礼天人大覚尊等、願以香花雲等の頌文(じゅぶん⑨)〉

唱え訖って三礼。〈中礼(ちゅうらい⑩)。先ず引頭、次ぎ衆僧。〉

 

 不開門=あかずの門。ふだん使用していない門であろう。現在の存否は不明。

 本堂幷に阿弥陀堂=阿弥陀堂は鳳凰堂であろうと思われるが、本堂については不詳。

 釣殿=寝殿造りの場合、池の水辺にせり出した建物。

 東階=東の階段。

 縁道=舞台に沿って作られた縁の道。むしろを敷き、上に白い布を敷く場合もある。

 列立=列に並んで立つ。

 折立つ=狭い場所に大勢が立つ場合、列ではなく屏風折れに立ち並ぶ。

 伽陀=梵・ガーター。仏徳を讃嘆し教理を述べたもので、韻文で表される。諷誦、偈頌。

 誦文=「舎利講式」(高弁作)「往生講式」(永観作)の総礼伽陀か。

 中礼=起居せずに、立ったまま小揖(しょうゆう、腰を少し折って敬礼)すること。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。7月の市長選、市議選では「古都の文化財」を本気で守る候補者を応援します。

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2017年4月 2日 (日)

コスモス寺花だより  4・2

 

〔花ごよみ〕

○沈丁花:≪見ごろ≫

○黄水仙:≪見ごろ≫ラッパ水仙。

○山茱萸(サンシュ):≪見ごろ≫

○連翹(レンギョウ):≪見ごろ≫

○椿:≪咲きはじめ≫

○桜:≪つぼみ≫

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

今春の終わりごろに寺の南側に新駐車場が完成する予定です。今までは旧道の「京街道」からしか入れませんでしたが、新駐車場は東側の県道754号線に面しているので東西新旧の道、どちらからでも入場できます。バス10台、または乗用車80台程度が収容可能となります(元の駐車場台数を加えると120台)。また、それに合わせて拝観受付を「南正面口」に新たに設置いたしますので、バスを降りてすぐ寺に入れます。般若寺本来の参拝の形が復活します。そして鎌倉時代の伽藍配置を実感していただけると思います。

 

〔俳句〕

「御仏や 寝てござつても 花と銭」一茶

訳:仏様よ。寝ていらしても花が手向けられ、お賽銭が上げられる。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとがひに

       こさめながるる はるはきにけり」

(奈良坂の石の仏の頤に 小雨流るる春は来にけり)

*いしのほとけ=般若寺の南方500mにあり、京街道が「千坊坂」と呼ばれる急坂に沿って立つ大きな石造りの地蔵菩薩(室町時代)さま。夕陽がお顔を照らすので「夕日地蔵」と呼ばれている。

*おとがい=下あご。

 

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこえて さかるとも

       ゆめにしみえこ わかくさのやま」

(青丹よし奈良山越えてさかるとも 夢にし見えこ若草の山)

*さかる=離れる。遠ざかる。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》892  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『宇治孤嶋石塔供養式』

(うじことうせきとうくようしき)

 

*康応元年(一三八九)三月廿五日に、宇治橋寺放生院住持の深泉大徳が勧化して行った、興正菩薩一百年忌追賁と十三重石塔修復落慶を兼ねた石塔供養式の式次第と法会記録。衆僧六百人の舞楽大法会である。

 

◆【次迎衆僧。舞人楽人左右相分渡橋。向僧集会所。〈放生院惣門。〉

発楽。〈萬秋楽破。〉

次左右一者。奏一曲。】

 

〔次 衆僧を迎え、舞人楽人左右に相別れ橋(①)を渡り、僧の集会所に向かう。〈放生院惣門(そうもん②)〉楽を発す。〈萬秋楽(まんじゅうらく③)、破(は④)。〉

次 左右の一者(いちのもの⑤)、一曲(いっきょく⑥)を奏す。〕

 

 橋=宇治橋。

 放生院惣門=橋寺放生院の外構えの大門。正門。

 万秋楽=雅楽の曲名。唐楽、盤渉調の大曲。六人または四人で舞う。百済国から婆羅門僧正が伝えた。曼荼万秋楽。まんずらく、まんじゅらく、ばんしゅうらく、出世成道楽ともいう。

 破=雅楽の曲を、静から動へ、緩から急へ、の変化を「序・破・急」の三段階で表す。

 一者=楽所(がくそ)の職階の一つ。勾当の別称で、左楽と右楽にそれぞれ一人ずつ定めた最高の技芸者。

 一曲=雅楽の雑舞の一つ。諸寺勅会法事のときなどに、行列の道行に舞うもの。楽には鳥向楽(ちょうこうらく)や慶雲楽(きょううんらく)を用い、二人で舞う。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。7月の市長選、市議選では「古都の文化財」を本気で守る候補者を応援します。

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2017年4月 1日 (土)

コスモス寺花だより  4・1

 

〔花ごよみ〕

○沈丁花:≪見ごろ≫

○黄水仙:≪見ごろ≫ラッパ水仙。

○山茱萸(サンシュ):≪見ごろ≫

○連翹(レンギョウ):≪見ごろ≫

○椿:≪咲きはじめ≫

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

今春の終わりごろに寺の南側に新駐車場が完成する予定です。今までは旧道の「京街道」からしか入れませんでしたが、新駐車場は東側の県道754号線に面しているので東西新旧の道、どちらからでも入場できます。バス10台、または乗用車80台程度が収容可能となります(元の駐車場台数を加えると120台)。また、それに合わせて拝観受付を「南正面口」に新たに設置いたしますので、バスを降りてすぐ寺に入れます。般若寺本来の参拝の形が復活します。そして鎌倉時代の伽藍配置を実感していただけると思います。

 

〔俳句〕

「人に花 大からくりの うき世哉」一茶

訳:人には花、おおいなるからくりのこの世だなあ。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとがひに

       こさめながるる はるはきにけり」

(奈良坂の石の仏の頤に 小雨流るる春は来にけり)

*いしのほとけ=般若寺の南方500mにあり、京街道が「千坊坂」と呼ばれる急坂に沿って立つ大きな石造りの地蔵菩薩(室町時代)さま。夕陽がお顔を照らすので「夕日地蔵」と呼ばれている。

*おとがい=下あご。

 

〈東京にかへるとて〉

「あをによし ならやまこえて さかるとも

       ゆめにしみえこ わかくさのやま」

(青丹よし奈良山越えてさかるとも 夢にし見えこ若草の山)

*さかる=離れる。遠ざかる。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》891  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『宇治孤嶋石塔供養式』

(うじことうせきとうくようしき)

 

*康応元年(一三八九)三月廿五日に、宇治橋寺放生院住持の深泉大徳が勧化して行った、興正菩薩一百年忌追賁と十三重石塔修復落慶を兼ねた石塔供養式の式次第と法会記録。衆僧六百人の舞楽大法会である。

 

◆【次巳一点。打集会鍾。〈四十下二反〉

 次集会乱声。〈摧楽屋乱声〉

 次衆僧七百口取香炉。群立集会所。〈引頭以手文挍人数〉

  次楽人立楽屋前。吹調子。〈盤渉調〉

 

〔次 巳一点(みいってん①) 集会の鐘を打つ。〈四十下(しじゅうげ②) 二反。〉

次 集会乱声〈楽屋(がくや③)を催し乱声。〉

次 衆僧七百口、香炉を取り、集会所に群立(ぐんりゅう④)す。〈引頭(いんとう⑤)、手文(てぶみ⑥)を以って人数を挍(はか)る。〉

次 楽人楽屋の前に立ち、調子(ちょうし⑦)を吹く。〈盤渉調(ばんしきちょう⑧)。〉〕

 

 巳一点=今の午前九時から九時半まで。

 四十下=喚鍾の叩き方。

 楽屋=楽人の奏楽所。

 群立=行道するために並び立つ。

 引頭=法会の時、衆僧を先導する役の者。

 手文=法会に参列する衆僧の名簿帳。

 調子=音律の高低を調える。

 盤渉調=雅楽の唐楽、六調子の一つ。盤渉(洋楽のロ音)の音高を宮(きゅう、主音)とする律旋の調子。冬の調子といわれる。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。7月の市長選、市議選では「古都の文化財」を本気で守る候補者を応援します。

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