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2017年5月

2017年5月31日 (水)

コスモス寺花だより  5・31

 

〔花ごよみ〕

○夏咲コスモス:≪五分咲き≫赤・白・ピンクの可憐な花が咲いています。

花の見ごろ・ 67月 

花数・ 5万本  

 

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。 

 満開は10月上旬です。

 

〇花菱草:≪見ごろ≫カリフォルニアポピー。

○桜うつぎ:≪見ごろ≫

〇紫陽花:≪咲きはじめ≫少しだけ青い色がついていますが、雨不足でこれからです。

○山アジサイ:≪咲きはじめ≫

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪咲きはじめ≫

 

≪ニュース≫

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「はいかいの 地獄はそこか 閑古鳥」一茶

訳:俳諧の地獄は、そこにあるのか、閑古鳥よ。

*閑古鳥=郭公の異名。ホトトギスの別名。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈新薬師寺の金堂にて〉

「たびびとに ひらくみだうの しとみより

       めきらがたちに あさひさしたり」

(旅人に開く御堂の蔀より 迷企羅が太刀に朝日射したり)

*迷企羅=薬師如来の脇侍、十二神将の一つ。

 

〈香薬師を拝して〉

「みほとけの うつらまなこに いにしへの

       やまとくにばら かすみてあるらし」

(御仏の現ら眼に古えの 大和国原霞みてあるらし)

*うつら=はっきりと。まざまざと。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.1ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇般若寺国宝楼門横の駐車場入り口門扉に、現在のところ3人の奈良市々議会議員選挙候補者(7月告示)の宣伝看板が掲示されています。寺と政治、本来なら距離を置くべきところですが、奈良は異常な政治がまかり通っています。市民憲章や、文化財保護条例に違反して、一部住民のご都合に合わせ国宝浄瑠璃寺のすぐ横でごみを焼くという、奈良市民にとって恥ずべき選択がまかり通っています。この誤った政治をただすため、以下の原則のもと看板掲示を認めました。

《◎看板掲示許可原則

古都奈良の歴史景観と文化遺産保全のために、

〈奈良市クリーンセンター東部移転計画に反対〉、

〈現在地(高の原地区)での建て替え許容〉を

公約表明する候補者のみを許可しています

 真言律宗般若寺住職 工藤良任 》

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。

〇奈良市のゴミ工場の移転計画は完全に行き詰っているのに、まだ移転推進を公約する候補者がいるとは驚きです。どこへ行けというのでしょうか。答えを聞きたいです。

〇奈良新聞記事(5/16)によると、7月の奈良市長選にはどうやら4人が立候補しそうです。元生駒市長山下氏に続き、16日には現市長の仲川氏、そして新聞予測では、自民党からも出そう、さらに共産党からも、と書いてあります。私たちの最大関心事は「ごみ焼却場移転問題」を誰がどう解決してくれるのかということです。今までの二期8年にわたる仲川市政では解決の目途が立っていません。しかし現市長はどうやら東部移転はあきらめているようではありますが。山下氏と自民党の方に関しては未知数。共産党はおそらく「移転賛成」、「現候補地反対」という意味不明無責任な政策を出すでしょう。現段階ではここまでの紹介としておきます。

〇昨日(5/21)の新聞報道では20日に山下、中川両氏の「2氏舌戦」があったと。論点は新火葬場建設問題で、仲川氏は住民を説得できてもいないのに、ごり押しした現計画を自画自賛しました。一方、山下氏は「再検証し候補地を確定」と、地元住民との対話を強調したようです。ごみ焼却場については今のところ触れられていませんが、手法の違いが鮮明になりそうです。片や「策定委員会」に乗っかって地元意見を無視して押し付けるやり方と、片や地元住民とひざ詰めで議論したいという姿勢に大きな違いがありそうです。

しかし、弁護士である山下氏には、移転計画の元凶である「公害調停」をどう扱うのか聞きたいところです。

〇東京日本橋三井美術館で行われている『奈良西大寺展』に浄瑠璃寺の吉祥天女像が特別出開帳されるのに合わせて、「浄瑠璃寺と当尾の里を守る会」主催で美術館近くの「ギャラリー梅むら」において写真展が行われます。京都府の写真家中淳志さんの作品です。6/6(火)-6/11(日) 10:00-18:00 入場無料。問い合わせは浄瑠璃寺へ。Tel.0774-76-2390

写真展の目的は、浄瑠璃寺とその周辺の仏教遺跡を奈良市による破壊から守るためです。

〇街宣トラックに設置する新しい看板。

【奈良市クリーンセンターの「現地建て替え」は、市民の声、天の声!】


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2017年5月30日 (火)

コスモス寺花だより  5・30

 

〔花ごよみ〕

○夏咲コスモス:≪五分咲き≫赤・白・ピンクの可憐な花が咲いています。

花の見ごろ・ 67月 

花数・ 5万本  

 

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。 

 満開は10月上旬です。

 

〇定家かずら:≪見ごろ≫芳香あり

〇花菱草:≪見ごろ≫カリフォルニアポピー。

○桜うつぎ:≪見ごろ≫

○山アジサイ:≪つぼみ≫

〇紫陽花:≪つぼみ≫

 

≪ニュース≫

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「三日月に 天窓(あたま)うつなよ ほととぎす」一茶

訳:有頂天になって頭をぶつけるなよ。ほととぎす。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈新薬師寺の金堂にて〉

「たびびとに ひらくみだうの しとみより

       めきらがたちに あさひさしたり」

(旅人に開く御堂の蔀より 迷企羅が太刀に朝日射したり)

*迷企羅=薬師如来の脇侍、十二神将の一つ。

 

〈香薬師を拝して〉

「みほとけの うつらまなこに いにしへの

       やまとくにばら かすみてあるらし」

(御仏の現ら眼に古えの 大和国原霞みてあるらし)

*うつら=はっきりと。まざまざと。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.1ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇般若寺国宝楼門横の駐車場入り口門扉に、現在のところ3人の奈良市々議会議員選挙候補者(7月告示)の宣伝看板が掲示されています。寺と政治、本来なら距離を置くべきところですが、奈良は異常な政治がまかり通っています。市民憲章や、文化財保護条例に違反して、一部住民のご都合に合わせ国宝浄瑠璃寺のすぐ横でごみを焼くという、奈良市民にとって恥ずべき選択がまかり通っています。この誤った政治をただすため、以下の原則のもと看板掲示を認めました。

《◎看板掲示許可原則

古都奈良の歴史景観と文化遺産保全のために、

〈奈良市クリーンセンター東部移転計画に反対〉、

〈現在地(高の原地区)での建て替え許容〉を

公約表明する候補者のみを許可しています

 真言律宗般若寺住職 工藤良任 》

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。

〇奈良市のゴミ工場の移転計画は完全に行き詰っているのに、まだ移転推進を公約する候補者がいるとは驚きです。どこへ行けというのでしょうか。答えを聞きたいです。

〇奈良新聞記事(5/16)によると、7月の奈良市長選にはどうやら4人が立候補しそうです。元生駒市長山下氏に続き、16日には現市長の仲川氏、そして新聞予測では、自民党からも出そう、さらに共産党からも、と書いてあります。私たちの最大関心事は「ごみ焼却場移転問題」を誰がどう解決してくれるのかということです。今までの二期8年にわたる仲川市政では解決の目途が立っていません。しかし現市長はどうやら東部移転はあきらめているようではありますが。山下氏と自民党の方に関しては未知数。共産党はおそらく「移転賛成」、「現候補地反対」という意味不明無責任な政策を出すでしょう。現段階ではここまでの紹介としておきます。

〇昨日(5/21)の新聞報道では20日に山下、中川両氏の「2氏舌戦」があったと。論点は新火葬場建設問題で、仲川氏は住民を説得できてもいないのに、ごり押しした現計画を自画自賛しました。一方、山下氏は「再検証し候補地を確定」と、地元住民との対話を強調したようです。ごみ焼却場については今のところ触れられていませんが、手法の違いが鮮明になりそうです。片や「策定委員会」に乗っかって地元意見を無視して押し付けるやり方と、片や地元住民とひざ詰めで議論したいという姿勢に大きな違いがありそうです。

しかし、弁護士である山下氏には、移転計画の元凶である「公害調停」をどう扱うのか聞きたいところです。

〇東京日本橋三井美術館で行われている『奈良西大寺展』に浄瑠璃寺の吉祥天女像が特別出開帳されるのに合わせて、「浄瑠璃寺と当尾の里を守る会」主催で美術館近くの「ギャラリー梅むら」において写真展が行われます。京都府の写真家中淳志さんの作品です。6/6(火)-6/11(日) 10:00-18:00 入場無料。問い合わせは浄瑠璃寺へ。Tel.0774-76-2390

写真展の目的は、浄瑠璃寺とその周辺の仏教遺跡を奈良市による破壊から守るためです。

〇街宣トラックに設置する新しい看板。

【奈良市クリーンセンターの「現地建て替え」は、市民の声、天の声!】


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2017年5月29日 (月)

コスモス寺花だより  5・29

 

〔花ごよみ〕

○夏咲コスモス:≪五分咲き≫高さ1mほどの青々とした緑葉のなかで赤・白・ピンクの可憐な花が咲いています。

花の見ごろ・ 67月 

花数・ 5万本  

 

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。 

 満開は10月上旬です。

 

〇定家かずら:≪見ごろ≫芳香あり

〇花菱草:≪見ごろ≫カリフォルニアポピー。

○桜うつぎ:≪見ごろ≫

○山アジサイ:≪つぼみ≫

〇紫陽花:≪つぼみ≫

 

≪ニュース≫

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「それでこそ 御時鳥(おんほととぎす) 松の月」一茶

訳:それでこそほととぎす様だ。月に松のたとえもある。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈新薬師寺の金堂にて〉

「たびびとに ひらくみだうの しとみより

       めきらがたちに あさひさしたり」

(旅人に開く御堂の蔀より 迷企羅が太刀に朝日射したり)

*迷企羅=薬師如来の脇侍、十二神将の一つ。

 

〈香薬師を拝して〉

「みほとけの うつらまなこに いにしへの

       やまとくにばら かすみてあるらし」

(御仏の現ら眼に古えの 大和国原霞みてあるらし)

*うつら=はっきりと。まざまざと。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.1ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇般若寺国宝楼門横の駐車場入り口門扉に、現在のところ3人の奈良市々議会議員選挙候補者(7月告示)の宣伝看板が掲示されています。寺と政治、本来なら距離を置くべきところですが、奈良は異常な政治がまかり通っています。市民憲章や、文化財保護条例に違反して、一部住民のご都合に合わせ国宝浄瑠璃寺のすぐ横でごみを焼くという、奈良市民にとって恥ずべき選択がまかり通っています。この誤った政治をただすため、以下の原則のもと看板掲示を認めました。

《◎看板掲示許可原則

古都奈良の歴史景観と文化遺産保全のために、

〈奈良市クリーンセンター東部移転計画に反対〉、

〈現在地(高の原地区)での建て替え許容〉を

公約表明する候補者のみを許可しています

 真言律宗般若寺住職 工藤良任 》

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。

〇奈良市のゴミ工場の移転計画は完全に行き詰っているのに、まだ移転推進を公約する候補者がいるとは驚きです。どこへ行けというのでしょうか。答えを聞きたいです。

〇奈良新聞記事(5/16)によると、7月の奈良市長選にはどうやら4人が立候補しそうです。元生駒市長山下氏に続き、16日には現市長の仲川氏、そして新聞予測では、自民党からも出そう、さらに共産党からも、と書いてあります。私たちの最大関心事は「ごみ焼却場移転問題」を誰がどう解決してくれるのかということです。今までの二期8年にわたる仲川市政では解決の目途が立っていません。しかし現市長はどうやら東部移転はあきらめているようではありますが。山下氏と自民党の方に関しては未知数。共産党はおそらく「移転賛成」、「現候補地反対」という意味不明無責任な政策を出すでしょう。現段階ではここまでの紹介としておきます。

〇昨日(5/21)の新聞報道では20日に山下、中川両氏の「2氏舌戦」があったと。論点は新火葬場建設問題で、仲川氏は住民を説得できてもいないのに、ごり押しした現計画を自画自賛しました。一方、山下氏は「再検証し候補地を確定」と、地元住民との対話を強調したようです。ごみ焼却場については今のところ触れられていませんが、手法の違いが鮮明になりそうです。片や「策定委員会」に乗っかって地元意見を無視して押し付けるやり方と、片や地元住民とひざ詰めで議論したいという姿勢に大きな違いがありそうです。

しかし、弁護士である山下氏には、移転計画の元凶である「公害調停」をどう扱うのか聞きたいところです。

〇東京日本橋三井美術館で行われている『奈良西大寺展』に浄瑠璃寺の吉祥天女像が特別出開帳されるのに合わせて、「浄瑠璃寺と当尾の里を守る会」主催で美術館近くの「ギャラリー梅むら」において写真展が行われます。京都府の写真家中淳志さんの作品です。6/6(火)-6/11(日) 10:00-18:00 入場無料。問い合わせは浄瑠璃寺へ。Tel.0774-76-2390

写真展の目的は、浄瑠璃寺とその周辺の仏教遺跡を奈良市による破壊から守るためです。

〇街宣トラックに設置する新しい看板。

【奈良市クリーンセンターの「現地建て替え」は、市民の声、天の声!】

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2017年5月28日 (日)

コスモス寺花だより  5・28

 

〔花ごよみ〕

○夏咲コスモス:≪五分咲き≫高さ1mほどの青々とした緑葉のなかで赤・白・ピンクの可憐な花が咲いています。

花の見ごろ・ 67月 

花数・ 5万本  

 

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。 

 満開は10月上旬です。

 

○カラタネオガタマ:≪満開≫「バナナの木」と呼ばれる。花は緑色で目立たないがバナナのような芳香あり。

〇定家かずら:≪見ごろ≫芳香あり

〇花菱草:≪見ごろ≫カリフォルニアポピー。

○桜うつぎ:≪見ごろ≫

○山アジサイ:≪つぼみ≫

〇紫陽花:≪つぼみ≫

 

≪ニュース≫

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「我ら儀は 只やかましい 時鳥」一茶

訳:私めでございますが、ただただやかましいだけの時鳥でございます。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈新薬師寺の金堂にて〉

「たびびとに ひらくみだうの しとみより

       めきらがたちに あさひさしたり」

(旅人に開く御堂の蔀より 迷企羅が太刀に朝日射したり)

*迷企羅=薬師如来の脇侍、十二神将の一つ。

 

〈香薬師を拝して〉

「みほとけの うつらまなこに いにしへの

       やまとくにばら かすみてあるらし」

(御仏の現ら眼に古えの 大和国原霞みてあるらし)

*うつら=はっきりと。まざまざと。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.1ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇般若寺国宝楼門横の駐車場入り口門扉に、現在のところ3人の奈良市々議会議員選挙候補者(7月告示)の宣伝看板が掲示されています。寺と政治、本来なら距離を置くべきところですが、奈良は異常な政治がまかり通っています。市民憲章や、文化財保護条例に違反して、一部住民のご都合に合わせ国宝浄瑠璃寺のすぐ横でごみを焼くという、奈良市民にとって恥ずべき選択がまかり通っています。この誤った政治をただすため、以下の原則のもと看板掲示を認めました。

《◎看板掲示許可原則

古都奈良の歴史景観と文化遺産保全のために、

〈奈良市クリーンセンター東部移転計画に反対〉、

〈現在地(高の原地区)での建て替え許容〉を

公約表明する候補者のみを許可しています

 真言律宗般若寺住職 工藤良任 》

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。

〇奈良市のゴミ工場の移転計画は完全に行き詰っているのに、まだ移転推進を公約する候補者がいるとは驚きです。どこへ行けというのでしょうか。答えを聞きたいです。

〇奈良新聞記事(5/16)によると、7月の奈良市長選にはどうやら4人が立候補しそうです。元生駒市長山下氏に続き、16日には現市長の仲川氏、そして新聞予測では、自民党からも出そう、さらに共産党からも、と書いてあります。私たちの最大関心事は「ごみ焼却場移転問題」を誰がどう解決してくれるのかということです。今までの二期8年にわたる仲川市政では解決の目途が立っていません。しかし現市長はどうやら東部移転はあきらめているようではありますが。山下氏と自民党の方に関しては未知数。共産党はおそらく「移転賛成」、「現候補地反対」という意味不明無責任な政策を出すでしょう。現段階ではここまでの紹介としておきます。

〇昨日(5/21)の新聞報道では20日に山下、中川両氏の「2氏舌戦」があったと。論点は新火葬場建設問題で、仲川氏は住民を説得できてもいないのに、ごり押しした現計画を自画自賛しました。一方、山下氏は「再検証し候補地を確定」と、地元住民との対話を強調したようです。ごみ焼却場については今のところ触れられていませんが、手法の違いが鮮明になりそうです。片や「策定委員会」に乗っかって地元意見を無視して押し付けるやり方と、片や地元住民とひざ詰めで議論したいという姿勢に大きな違いがありそうです。

しかし、弁護士である山下氏には、移転計画の元凶である「公害調停」をどう扱うのか聞きたいところです。

〇東京日本橋三井美術館で行われている『奈良西大寺展』に浄瑠璃寺の吉祥天女像が特別出開帳されるのに合わせて、「浄瑠璃寺と当尾の里を守る会」主催で美術館近くの「ギャラリー梅むら」において写真展が行われます。京都府の写真家中淳志さんの作品です。6/6(火)-6/11(日) 10:00-18:00 入場無料。問い合わせは浄瑠璃寺へ。Tel.0774-76-2390

写真展の目的は、浄瑠璃寺とその周辺の仏教遺跡を奈良市による破壊から守るためです。

〇街宣トラックに設置する新しい看板。

【奈良市クリーンセンターの「現地建て替え」は、市民の声、天の声!】

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2017年5月27日 (土)

コスモス寺花だより  5・27

 

〔花ごよみ〕

○夏咲コスモス:≪三分咲き≫赤・白・ピンクの可憐な花が咲いています。

花の見ごろ・ 67月 

花数・ 5万本  

 

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。 

 満開は10月上旬です。

 

○カラタネオガタマ:≪満開≫「バナナの木」と呼ばれる。花は緑色で目立たないがバナナのような芳香あり。

〇定家かずら:≪見ごろ≫芳香あり

〇花菱草:≪見ごろ≫カリフォルニアポピー。

○桜うつぎ:≪見ごろ≫

○山アジサイ:≪つぼみ≫

〇紫陽花:≪つぼみ≫

 

≪ニュース≫

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「我汝を 待こと久し ほととぎす」一茶

訳:わたしはお前を長らく待っていたのだ。ほととぎすよ。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈新薬師寺の金堂にて〉

「たびびとに ひらくみだうの しとみより

       めきらがたちに あさひさしたり」

(旅人に開く御堂の蔀より 迷企羅が太刀に朝日射したり)

*迷企羅=薬師如来の脇侍、十二神将の一つ。

 

〈香薬師を拝して〉

「みほとけの うつらまなこに いにしへの

       やまとくにばら かすみてあるらし」

(御仏の現ら眼に古えの 大和国原霞みてあるらし)

*うつら=はっきりと。まざまざと。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.1ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇般若寺国宝楼門横の駐車場入り口門扉に、現在のところ3人の奈良市々議会議員選挙候補者(7月告示)の宣伝看板が掲示されています。寺と政治、本来なら距離を置くべきところですが、奈良は異常な政治がまかり通っています。市民憲章や、文化財保護条例に違反して、一部住民のご都合に合わせ国宝浄瑠璃寺のすぐ横でごみを焼くという、奈良市民にとって恥ずべき選択がまかり通っています。この誤った政治をただすため、以下の原則のもと看板掲示を認めました。

《◎看板掲示許可原則

古都奈良の歴史景観と文化遺産保全のために、

〈奈良市クリーンセンター東部移転計画に反対〉、

〈現在地(高の原地区)での建て替え許容〉を

公約表明する候補者のみを許可しています

 真言律宗般若寺住職 工藤良任 》

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。

〇奈良市のゴミ工場の移転計画は完全に行き詰っているのに、まだ移転推進を公約する候補者がいるとは驚きです。どこへ行けというのでしょうか。答えを聞きたいです。

〇奈良新聞記事(5/16)によると、7月の奈良市長選にはどうやら4人が立候補しそうです。元生駒市長山下氏に続き、16日には現市長の仲川氏、そして新聞予測では、自民党からも出そう、さらに共産党からも、と書いてあります。私たちの最大関心事は「ごみ焼却場移転問題」を誰がどう解決してくれるのかということです。今までの二期8年にわたる仲川市政では解決の目途が立っていません。しかし現市長はどうやら東部移転はあきらめているようではありますが。山下氏と自民党の方に関しては未知数。共産党はおそらく「移転賛成」、「現候補地反対」という意味不明無責任な政策を出すでしょう。現段階ではここまでの紹介としておきます。

〇昨日(5/21)の新聞報道では20日に山下、中川両氏の「2氏舌戦」があったと。論点は新火葬場建設問題で、仲川氏は住民を説得できてもいないのに、ごり押しした現計画を自画自賛しました。一方、山下氏は「再検証し候補地を確定」と、地元住民との対話を強調したようです。ごみ焼却場については今のところ触れられていませんが、手法の違いが鮮明になりそうです。片や「策定委員会」に乗っかって地元意見を無視して押し付けるやり方と、片や地元住民とひざ詰めで議論したいという姿勢に大きな違いがありそうです。

しかし、弁護士である山下氏には、移転計画の元凶である「公害調停」をどう扱うのか聞きたいところです。

〇東京日本橋三井美術館で行われている『奈良西大寺展』に浄瑠璃寺の吉祥天女像が特別出開帳されるのに合わせて、「浄瑠璃寺と当尾の里を守る会」主催で美術館近くの「ギャラリー梅むら」において写真展が行われます。京都府の写真家中淳志さんの作品です。6/6(火)-6/11(日) 10:00-18:00 入場無料。問い合わせは浄瑠璃寺へ。Tel.0774-76-2390

写真展の目的は、浄瑠璃寺とその周辺の仏教遺跡を奈良市による破壊から守るためです。

〇街宣トラックに設置する新しい看板。

【奈良市クリーンセンターの「現地建て替え」は、市民の声、天の声!】

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2017年5月26日 (金)

コスモス寺花だより  5・26

 

〔花ごよみ〕

○夏咲コスモス:≪三分咲き≫赤・白・ピンクの可憐な花が咲いています。

花の見ごろ・ 67月 

花数・ 5万本  

 

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。 

 満開は10月上旬です。

 

○カラタネオガタマ:≪満開≫「バナナの木」と呼ばれる。花は緑色で目立たないがバナナのような芳香あり。

〇定家かずら:≪見ごろ≫芳香あり

〇花菱草:≪見ごろ≫カリフォルニアポピー。

○桜うつぎ:≪見ごろ≫

○山アジサイ:≪つぼみ≫

〇紫陽花:≪つぼみ≫

 

≪ニュース≫

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「朔日(ついたち)の しかも朝也 時鳥(ほととぎす)」一茶

訳:四月一日(旧暦)のしかも朝に鳴いたよ。時鳥。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈新薬師寺の金堂にて〉

「たびびとに ひらくみだうの しとみより

       めきらがたちに あさひさしたり」

(旅人に開く御堂の蔀より 迷企羅が太刀に朝日射したり)

*迷企羅=薬師如来の脇侍、十二神将の一つ。

 

〈香薬師を拝して〉

「みほとけの うつらまなこに いにしへの

       やまとくにばら かすみてあるらし」

(御仏の現ら眼に古えの 大和国原霞みてあるらし)

*うつら=はっきりと。まざまざと。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.1ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇般若寺国宝楼門横の駐車場入り口門扉に、現在のところ3人の奈良市々議会議員選挙候補者(7月告示)の宣伝看板が掲示されています。寺と政治、本来なら距離を置くべきところですが、奈良は異常な政治がまかり通っています。市民憲章や、文化財保護条例に違反して、一部住民のご都合に合わせ国宝浄瑠璃寺のすぐ横でごみを焼くという、奈良市民にとって恥ずべき選択がまかり通っています。この誤った政治をただすため、以下の原則のもと看板掲示を認めました。

《◎看板掲示許可原則

古都奈良の歴史景観と文化遺産保全のために、

〈奈良市クリーンセンター東部移転計画に反対〉、

〈現在地(高の原地区)での建て替え許容〉を

公約表明する候補者のみを許可しています

 真言律宗般若寺住職 工藤良任 》

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却場移設計画が根拠とする公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。

〇奈良市のゴミ工場の移転計画は完全に行き詰っているのに、まだ移転推進を公約する候補者がいるとは驚きです。どこへ行けというのでしょうか。答えを聞きたいです。

〇奈良新聞記事(5/16)によると、7月の奈良市長選にはどうやら4人が立候補しそうです。元生駒市長山下氏に続き、16日には現市長の仲川氏、そして新聞予測では、自民党からも出そう、さらに共産党からも、と書いてあります。私たちの最大関心事は「ごみ焼却場移転問題」を誰がどう解決してくれるのかということです。今までの二期8年にわたる仲川市政では解決の目途が立っていません。しかし現市長はどうやら東部移転はあきらめているようではありますが。山下氏と自民党の方に関しては未知数。共産党はおそらく「移転賛成」、「現候補地反対」という意味不明無責任な政策を出すでしょう。現段階ではここまでの紹介としておきます。

〇昨日(5/21)の新聞報道では20日に山下、中川両氏の「2氏舌戦」があったと。論点は新火葬場建設問題で、仲川氏は住民を説得できてもいないのに、ごり押しした現計画を自画自賛しました。一方、山下氏は「再検証し候補地を確定」と、地元住民との対話を強調したようです。ごみ焼却場については今のところ触れられていませんが、手法の違いが鮮明になりそうです。片や「策定委員会」に乗っかって地元意見を無視して押し付けるやり方と、片や地元住民とひざ詰めで議論したいという姿勢に大きな違いがありそうです。

弁護士である山下氏は、移転計画の元凶である「公害調停」をどう扱うのか聞きたいところです。

〇東京日本橋三井美術館で行われている『奈良西大寺展』に浄瑠璃寺の吉祥天女像が特別出開帳されるのに合わせて、「浄瑠璃寺と当尾の里を守る会」主催で美術館近くの「ギャラリー梅むら」において写真展が行われます。京都府の写真家中淳志さんの作品です。6/6(火)-6/11(日) 10:00-18:00 入場無料。問い合わせは浄瑠璃寺へ。Tel.0774-76-2390

写真展の目的は、浄瑠璃寺とその周辺の仏教遺跡を奈良市による破壊から守るためです。

〇街宣トラックに設置する新しい看板。

【奈良市クリーンセンターの「現地建て替え」は、市民の声、天の声!】

| | コメント (0)

2017年5月25日 (木)

コスモス寺花だより  5・25

 

〔花ごよみ〕

○夏咲コスモス:≪三分咲き≫赤・白・ピンクと可憐な花が咲きだしています。

花の見ごろ・ 67月 

花数・ 5万本  

 

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。 

 満開は10月上旬です。

 

○カラタネオガタマ:≪満開≫「バナナの木」と呼ばれる。花は緑色で目立たないがバナナのような芳香あり。

〇定家かずら:≪見ごろ≫芳香あり

〇花菱草:≪見ごろ≫カリフォルニアポピー。

○桜うつぎ:≪見ごろ≫

○山アジサイ:≪つぼみ≫

〇紫陽花:≪つぼみ≫

 

≪ニュース≫

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「しなのぢや 山の上にも 田植笠」一茶

訳:さすがに信濃路だなあ。ここでは山の上にまで田植笠。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈新薬師寺の金堂にて〉

「たびびとに ひらくみだうの しとみより

       めきらがたちに あさひさしたり」

(旅人に開く御堂の蔀より 迷企羅が太刀に朝日射したり)

*迷企羅=薬師如来の脇侍、十二神将の一つ。

 

〈香薬師を拝して〉

「みほとけの うつらまなこに いにしへの

       やまとくにばら かすみてあるらし」

(御仏の現ら眼に古えの 大和国原霞みてあるらし)

*うつら=はっきりと。まざまざと。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.1ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇般若寺国宝楼門横の駐車場入り口門扉に、現在のところ3人の奈良市々議会議員選挙候補者(7月告示)の宣伝看板が掲示されています。寺と政治、本来なら距離を置くべきところですが、奈良は異常な政治がまかり通っています。市民憲章や、文化財保護条例に違反して、一部住民のご都合に合わせ国宝浄瑠璃寺のすぐ横でごみを焼くという、奈良市民にとって恥ずべき選択がまかり通っています。この誤った政治をただすため、以下の原則のもと看板掲示を認めました。

《◎看板掲示許可原則

古都奈良の歴史景観と文化遺産保全のために、

〈奈良市クリーンセンター東部移転計画に反対〉、

〈現在地(高の原地区)での建て替え許容〉を

公約表明する候補者のみを許可しています

 真言律宗般若寺住職 工藤良任 》

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却場移設計画が根拠とする公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。

〇奈良市のゴミ工場の移転計画は完全に行き詰っているのに、まだ移転推進を公約する候補者がいるとは驚きです。どこへ行けというのでしょうか。答えを聞きたいです。

〇奈良新聞記事(5/16)によると、7月の奈良市長選にはどうやら4人が立候補しそうです。元生駒市長山下氏に続き、16日には現市長の仲川氏、そして新聞予測では、自民党からも出そう、さらに共産党からも、と書いてあります。私たちの最大関心事は「ごみ焼却場移転問題」を誰がどう解決してくれるのかということです。今までの二期8年にわたる仲川市政では解決の目途が立っていません。しかし現市長はどうやら東部移転はあきらめているようではありますが。山下氏と自民党の方に関しては未知数。共産党はおそらく「移転賛成」、「現候補地反対」という意味不明無責任な政策を出すでしょう。現段階ではここまでの紹介としておきます。

〇昨日(5/21)の新聞報道では20日に山下、中川両氏の「2氏舌戦」があったと。論点は新火葬場建設問題で、仲川氏は住民を説得できてもいないのに、ごり押しした現計画を自画自賛したようです。一方、山下氏は「再検証し候補地を確定」と、地元住民との対話を強調したようです。ごみ焼却場については今のところ触れられていませんが、手法の違いが鮮明になりそうです。片や「策定委員会」に乗っかって地元意見を無視して押し付けるやり方と、片や地元住民とのひざ詰めで議論したいという姿勢に大きな違いがありそうです。

〇東京日本橋三井美術館で行われている『奈良西大寺展』に浄瑠璃寺の吉祥天女像が特別出開帳されるのに合わせて、「浄瑠璃寺と当尾の里を守る会」主催で美術館近くの「ギャラリー梅むら」において写真展が行われます。京都府の写真家中淳志さんの作品です。6/6(火)-6/11(日) 10:00-18:00 入場無料。問い合わせは浄瑠璃寺へ。Tel.0774-76-2390

写真展の目的は、浄瑠璃寺とその周辺の仏教遺跡を奈良市による破壊から守るためです。

〇街宣トラックに設置する新しい看板。

【奈良市クリーンセンターの「現地建て替え」は、市民の声、天の声!】

| | コメント (0)

2017年5月24日 (水)

コスモス寺花だより  5・24

 

〔花ごよみ〕

○コスモス:≪咲きはじめ≫まだ5月なのに真夏のような高温が続きます。コスモスの花はおかげで場所によっては2・3分咲きほどに開花しています。

開花予定:・夏咲= 67月 3万本。

      見ごろは6月中旬ごろ  

     ・秋咲= 911月 15万本。 

     満開のピークは10月上旬です。

 

○カラタネオガタマ:≪満開≫「バナナの木」と呼ばれる。花は緑色で目立たないがバナナのような芳香あり。

〇花菱草:≪見ごろ≫カリフォルニアポピー。

○梅花うつぎ:≪見ごろ≫梅のような白い清楚な花、芳香あり。

○山アジサイ:≪つぼみ≫

〇紫陽花:≪つぼみ≫

 

≪ニュース≫

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「只(たつ)た今 旅から来しを 田植馬」一茶

訳:たった今旅から帰ったばかりなのに、田植えに駆り出されている馬よ。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈新薬師寺の金堂にて〉

「たびびとに ひらくみだうの しとみより

       めきらがたちに あさひさしたり」

(旅人に開く御堂の蔀より 迷企羅が太刀に朝日射したり)

*迷企羅=薬師如来の脇侍、十二神将の一つ。

 

〈香薬師を拝して〉

「みほとけの うつらまなこに いにしへの

       やまとくにばら かすみてあるらし」

(御仏の現ら眼に古えの 大和国原霞みてあるらし)

*うつら=はっきりと。まざまざと。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.1ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇般若寺国宝楼門横の駐車場入り口門扉に、現在のところ3人の奈良市々議会議員選挙候補者(7月告示)の宣伝看板が掲示されています。寺と政治、本来なら距離を置くべきところですが、奈良は異常な政治がまかり通っています。市民憲章や、文化財保護条例に違反して、一部住民のご都合に合わせ国宝浄瑠璃寺のすぐ横でごみを焼くという、奈良市民にとって恥ずべき選択がまかり通っています。この誤った政治をただすため、以下の原則のもと看板掲示を認めました。

《◎看板掲示許可原則

古都奈良の歴史景観と文化遺産保全のために、

〈奈良市クリーンセンター東部移転計画に反対〉、

〈現在地(高の原地区)での建て替え許容〉を

公約表明する候補者のみを許可しています

 真言律宗般若寺住職 工藤良任 》

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却場移設計画が根拠とする公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。

〇奈良市のゴミ工場の移転計画は完全に行き詰っているのに、まだ移転推進を公約する候補者がいるとは驚きです。どこへ行けというのでしょうか。答えを聞きたいです。

〇奈良新聞記事(5/16)によると、7月の奈良市長選にはどうやら4人が立候補しそうです。元生駒市長山下氏に続き、16日には現市長の仲川氏、そして新聞予測では、自民党からも出そう、さらに共産党からも、と書いてあります。私たちの最大関心事は「ごみ焼却場移転問題」を誰がどう解決してくれるのかということです。今までの二期8年にわたる仲川市政では解決の目途が立っていません。しかし現市長はどうやら東部移転はあきらめているようではありますが。山下氏と自民党の方に関しては未知数。共産党はおそらく「移転賛成」、「現候補地反対」という意味不明無責任な政策を出すでしょう。現段階ではここまでの紹介としておきます。

〇昨日(5/21)の新聞報道では20日に山下、中川両氏の「2氏舌戦」があったと。論点は新火葬場建設問題で、仲川氏は住民を説得できてもいないのに、ごり押しした現計画を自画自賛したようです。一方、山下氏は「再検証し候補地を確定」と、地元住民との対話を強調したようです。ごみ焼却場については今のところ触れられていませんが、手法の違いが鮮明になりそうです。片や「策定委員会」に乗っかって地元意見を無視して押し付けるやり方と、片や地元住民とのひざ詰めで議論したいという姿勢に大きな違いがありそうです。

〇東京日本橋三井美術館で行われている『奈良西大寺展』に浄瑠璃寺の吉祥天女像が特別出開帳されるのに合わせて、「浄瑠璃寺と当尾の里を守る会」主催で美術館近くの「ギャラリー梅むら」において写真展が行われます。京都府の写真家中淳志さんの作品です。6/6(火)-6/11(日) 10:00-18:00 入場無料。問い合わせは浄瑠璃寺へ。Tel.0774-76-2390

写真展の目的は、浄瑠璃寺とその周辺の仏教遺跡を奈良市による破壊から守るためです。

〇街宣トラックに設置する新しい看板。

【奈良市クリーンセンターの「現地建て替え」は、市民の声、天の声!】

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2017年5月23日 (火)

コスモス寺花だより  5・23

 

〔花ごよみ〕

○コスモス:≪咲きはじめ≫真夏のような気温の御陰で背丈は1m.程に伸び、3分咲きほどに開花したところもあります。

開花予定:・夏咲= 67月 3万本。

      見ごろは6月中旬ごろ  

     ・秋咲= 911月 15万本。 

     満開のピークは10月上旬です。

 

○カラタネオガタマ:≪満開≫「バナナの木」と呼ばれる。花は緑色で目立たないがバナナのような芳香あり。

○矢車菊:≪見ごろ≫別名、矢車草。ドイツの国花で「カイゼル(皇帝)菊」とも。

〇花菱草:≪見ごろ≫カリフォルニアポピー。

○梅花うつぎ:≪見ごろ≫梅のような白い清楚な花、芳香あり。

○山アジサイ:≪つぼみ≫

〇紫陽花:≪つぼみ≫

その他、スイカズラ、テイカカズラ、黄菖蒲、キンポウゲ、等の草花が咲いています。

 

≪ニュース≫

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「襟迄(えりまで)も 白粉(おしろい)ぬりて 田植哉」一茶

訳:襟元まで白粉をぬりつけて田植えをしているよ。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈新薬師寺の金堂にて〉

「たびびとに ひらくみだうの しとみより

       めきらがたちに あさひさしたり」

(旅人に開く御堂の蔀より 迷企羅が太刀に朝日射したり)

*迷企羅=薬師如来の脇侍、十二神将の一つ。

 

〈香薬師を拝して〉

「みほとけの うつらまなこに いにしへの

       やまとくにばら かすみてあるらし」

(御仏の現ら眼に古えの 大和国原霞みてあるらし)

*うつら=はっきりと。まざまざと。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.1ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇般若寺国宝楼門横の駐車場入り口門扉に、現在のところ3人の奈良市々議会議員選挙候補者(7月告示)の宣伝看板が掲示されています。寺と政治、本来なら距離を置くべきところですが、奈良は異常な政治がまかり通っています。市民憲章や、文化財保護条例に違反して、一部住民のご都合に合わせ国宝浄瑠璃寺のすぐ横でごみを焼くという、奈良市民にとって恥ずべき選択がまかり通っています。この誤った政治をただすため、以下の原則のもと看板掲示を認めました。

《◎看板掲示許可原則

古都奈良の歴史景観と文化遺産保全のために、

〈奈良市クリーンセンター東部移転計画に反対〉、

〈現在地(高の原地区)での建て替え許容〉を

公約表明する候補者のみを許可しています

 真言律宗般若寺住職 工藤良任 》

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却場移設計画が根拠とする公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。

〇奈良市のゴミ工場の移転計画は完全に行き詰っているのに、まだ移転推進を公約する候補者がいるとは驚きです。どこへ行けというのでしょうか。答えを聞きたいです。

〇奈良新聞記事(5/16)によると、7月の奈良市長選にはどうやら4人が立候補しそうです。元生駒市長山下氏に続き、16日には現市長の仲川氏、そして新聞予測では、自民党からも出そう、さらに共産党からも、と書いてあります。私たちの最大関心事は「ごみ焼却場移転問題」を誰がどう解決してくれるのかということです。今までの二期8年にわたる仲川市政では解決の目途が立っていません。しかし現市長はどうやら東部移転はあきらめているようではありますが。山下氏と自民党の方に関しては未知数。共産党はおそらく「移転賛成」、「現候補地反対」という意味不明無責任な政策を出すでしょう。現段階ではここまでの紹介としておきます。

〇昨日(5/21)の新聞報道では20日に山下、中川両氏の「2氏舌戦」があったと。論点は新火葬場建設問題で、仲川氏は住民を説得できてもいないのに、ごり押しした現計画を自画自賛したようです。一方、山下氏は「再検証し候補地を確定」と、地元住民との対話を強調したようです。ごみ焼却場については今のところ触れられていませんが、手法の違いが鮮明になりそうです。片や「策定委員会」に乗っかって地元意見を無視して押し付けるやり方と、片や地元住民とのひざ詰めで議論したいという姿勢に大きな違いがありそうです。

〇東京日本橋三井美術館で行われている『奈良西大寺展』に浄瑠璃寺の吉祥天女像が特別出開帳されるのに合わせて、「浄瑠璃寺と当尾の里を守る会」主催で美術館近くの「ギャラリー梅むら」において写真展が行われます。京都府の写真家中淳志さんの作品です。6/6(火)-6/11(日) 10:00-18:00 入場無料。問い合わせは浄瑠璃寺へ。Tel.0774-76-2390

写真展の目的は、浄瑠璃寺とその周辺の仏教遺跡を奈良市による破壊から守るためです。

〇街宣トラックに設置する新しい看板。

【奈良市クリーンセンターの「現地建て替え」は、市民の声、天の声!】

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2017年5月22日 (月)

コスモス寺花だより  5・22

 

〔花ごよみ〕

○コスモス:≪咲きはじめ≫真夏のような気温の御陰で背丈は1m.程に伸び、3分咲きほどに開花したところもあります。

開花予定:・夏咲= 67月 3万本。

      見ごろは6月中旬ごろ  

     ・秋咲= 911月 15万本。 

     満開のピークは10月上旬です。

 

○カラタネオガタマ:≪満開≫「バナナの木」と呼ばれる。花は緑色で目立たないがバナナのような芳香あり。

○矢車菊:≪見ごろ≫別名、矢車草。ドイツの国花で「カイゼル(皇帝)菊」とも。

○梅花うつぎ:≪見ごろ≫梅のような白い清楚な花、芳香あり。

○山アジサイ:≪つぼみ≫

〇紫陽花:≪つぼみ≫

その他、スイカズラ、テイカカズラ、黄菖蒲、花菱草、キンポウゲ、等の草花が咲いています。

 

≪ニュース≫

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「時めくや 世をうぢ山も 田植唄」一茶

訳:まさに初夏、この世のどこもかしこも田植唄。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈新薬師寺の金堂にて〉

「たびびとに ひらくみだうの しとみより

       めきらがたちに あさひさしたり」

(旅人に開く御堂の蔀より 迷企羅が太刀に朝日射したり)

*迷企羅=薬師如来の脇侍、十二神将の一つ。

 

〈香薬師を拝して〉

「みほとけの うつらまなこに いにしへの

       やまとくにばら かすみてあるらし」

(御仏の現ら眼に古えの 大和国原霞みてあるらし)

*うつら=はっきりと。まざまざと。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.1ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇般若寺国宝楼門横の駐車場入り口門扉に、現在のところ3人の奈良市々議会議員選挙候補者(7月告示)の宣伝看板が掲示されています。寺と政治、本来なら距離を置くべきところですが、奈良は異常な政治がまかり通っています。市民憲章や、文化財保護条例に違反して、一部住民のご都合に合わせ国宝浄瑠璃寺のすぐ横でごみを焼くという、奈良市民にとって恥ずべき選択がまかり通っています。この誤った政治をただすため、以下の原則のもと看板掲示を認めました。

《◎看板掲示許可原則

古都奈良の歴史景観と文化遺産保全のために、

〈奈良市クリーンセンター東部移転計画に反対〉、

〈現在地(高の原地区)での建て替え許容〉を

公約表明する候補者のみを許可しています

 真言律宗般若寺住職 工藤良任 》

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却場移設計画が根拠とする公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。

〇奈良市のゴミ工場の移転計画は完全に行き詰っているのに、まだ移転推進を公約する候補者がいるとは驚きです。どこへ行けというのでしょうか。答えを聞きたいです。

〇奈良新聞記事(5/16)によると、7月の奈良市長選にはどうやら4人が立候補しそうです。元生駒市長山下氏に続き、16日には現市長の仲川氏、そして新聞予測では、自民党からも出そう、さらに共産党からも、と書いてあります。私たちの最大関心事は「ごみ焼却場移転問題」を誰がどう解決してくれるのかということです。今までの二期8年にわたる仲川市政では解決の目途が立っていません。しかし現市長はどうやら東部移転はあきらめているようではありますが。山下氏と自民党の方に関しては未知数。共産党はおそらく「移転賛成」、「現候補地反対」という意味不明無責任な政策を出すでしょう。現段階ではここまでの紹介としておきます。

〇昨日(5/21)の新聞報道では20日に山下、中川両氏の「2氏舌戦」があったと。論点は新火葬場建設問題で、仲川氏は住民を説得できてもいないのに、ごり押しした現計画を自画自賛したようです。一方、山下氏は「再検証し候補地を確定」と、地元住民との対話を強調したようです。ごみ焼却場については今のところ触れられていませんが、手法の違いが鮮明になりそうです。片や「策定委員会」に乗っかって地元意見を無視して押し付けるやり方と、片や地元住民とのひざ詰めで議論したいという姿勢に大きな違いがありそうです。

〇東京日本橋三井美術館で行われている『奈良西大寺展』に浄瑠璃寺の吉祥天女像が特別出開帳されるのに合わせて、「浄瑠璃寺と当尾の里を守る会」主催で美術館近くの「ギャラリー梅むら」において写真展が行われます。京都府の写真家中淳志さんの作品です。6/6(火)-6/11(日) 10:00-18:00 入場無料。問い合わせは浄瑠璃寺へ。Tel.0774-76-2390

写真展の目的は、浄瑠璃寺とその周辺の仏教遺跡を奈良市による破壊から守るためです。

〇街宣トラックに設置する新しい看板。

【奈良市クリーンセンターの「現地建て替え」は、市民の声、天の声!】

| | コメント (0)

2017年5月21日 (日)

コスモス寺花だより  5・21

 

〔花ごよみ〕

○コスモス:≪咲きはじめ≫晴天と高温のおかげで草丈は伸び、花数も増えています。

開花予定:・夏咲= 67月 3万本。

      見ごろは6月中旬ごろ  

     ・秋咲= 911月 15万本。 

     満開のピークは10月上旬です。

 

○カラタネオガタマ:≪満開≫「バナナの木」と呼ばれる。花は緑色で目立たないがバナナのような芳香あり。

○矢車菊:≪見ごろ≫別名、矢車草。ドイツの国花で「カイゼル(皇帝)菊」とも。

○梅花うつぎ:≪見ごろ≫梅のような白い清楚な花、芳香あり。

○山アジサイ:≪つぼみ≫

〇紫陽花:≪つぼみ≫

その他、スイカズラ、テイカカズラ、黄菖蒲、花菱草、キンポウゲ、等の草花が咲いています。

 

≪ニュース≫

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「ばば達や おどけ咄(ばなし)で 田を植る」一茶

訳:婆々たちよ、おどけ咄をしながら田を植えている。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈新薬師寺の金堂にて〉

「たびびとに ひらくみだうの しとみより

       めきらがたちに あさひさしたり」

(旅人に開く御堂の蔀より 迷企羅が太刀に朝日射したり)

*迷企羅=薬師如来の脇侍、十二神将の一つ。

 

〈香薬師を拝して〉

「みほとけの うつらまなこに いにしへの

       やまとくにばら かすみてあるらし」

(御仏の現ら眼に古えの 大和国原霞みてあるらし)

*うつら=はっきりと。まざまざと。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.1ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇般若寺国宝楼門横の駐車場入り口門扉に、現在のところ3人の奈良市々議会議員選挙候補者(7月告示)の宣伝看板が掲示されています。寺と政治、本来なら距離を置くべきところですが、奈良は異常な政治がまかり通っています。市民憲章や、文化財保護条例に違反して、一部住民のご都合に合わせ国宝浄瑠璃寺のすぐ横でごみを焼くという、奈良市民にとって恥ずべき選択がまかり通っています。この誤った政治をただすため、以下の原則のもと看板掲示を認めました。

《◎看板掲示許可原則

古都奈良の歴史景観と文化遺産保全のために、

〈奈良市クリーンセンター東部移転計画に反対〉、

〈現在地(高の原地区)での建て替え許容〉を

公約表明する候補者のみを許可しています

 真言律宗般若寺住職 工藤良任 》

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却場移設計画が根拠とする公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。

〇奈良市のゴミ工場の移転計画は完全に行き詰っているのに、まだ移転推進を公約する候補者がいるとは驚きです。どこへ行けというのでしょうか。答えを聞きたいです。

〇奈良新聞記事(6/16)によると、7月の奈良市長選にはどうやら4人が立候補しそうです。元生駒市長山下氏に続き、16日には現市長の仲川氏、そして新聞予測では、自民党からも出そう、さらに共産党からも、と書いてあります。私たちの最大関心事は「ごみ焼却場移転問題」を誰がどう解決してくれるのかということです。今までの二期8年にわたる仲川市政では解決の目途が立っていません。しかし現市長はどうやら東部移転はあきらめているようではありますが。山下氏と自民党の方に関しては未知数。共産党はおそらく「移転賛成」、「現候補地反対」という意味不明無責任な政策を出すでしょう。現段階ではここまでの紹介としておきます。

〇東京日本橋三井美術館で行われている『奈良西大寺展』に浄瑠璃寺の吉祥天女像が特別出開帳されるのに合わせて、「浄瑠璃寺と当尾の里を守る会」主催で美術館近くの「ギャラリー梅むら」において写真展が行われます。京都府の写真家中淳志さんの作品です。6/6(火)-6/11(日) 10:00-18:00 入場無料。問い合わせは浄瑠璃寺へ。Tel.0774-76-2390

写真展の目的は、浄瑠璃寺とその周辺の仏教遺跡を奈良市による破壊から守るためです。

〇街宣トラックに設置する新しい看板。

【奈良市クリーンセンターの「現地建て替え」は、市民の声、天の声!】

 

| | コメント (0)

コスモス寺花だより  5・21

 

〔花ごよみ〕

○コスモス:≪咲きはじめ≫晴天と高温のおかげで草丈は伸び、花数も増えています。

開花予定:・夏咲= 67月 3万本。

      見ごろは6月中旬ごろ  

     ・秋咲= 911月 15万本。 

     満開のピークは10月上旬です。

 

○カラタネオガタマ:≪満開≫「バナナの木」と呼ばれる。花は緑色で目立たないがバナナのような芳香あり。

○矢車菊:≪見ごろ≫別名、矢車草。ドイツの国花で「カイゼル(皇帝)菊」とも。

○梅花うつぎ:≪見ごろ≫梅のような白い清楚な花、芳香あり。

○山アジサイ:≪つぼみ≫

〇紫陽花:≪つぼみ≫

その他、スイカズラ、テイカカズラ、黄菖蒲、花菱草、キンポウゲ、等の草花が咲いています。

 

≪ニュース≫

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「ばば達や おどけ咄(ばなし)で 田を植る」一茶

訳:婆々たちよ、おどけ咄をしながら田を植えている。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈新薬師寺の金堂にて〉

「たびびとに ひらくみだうの しとみより

       めきらがたちに あさひさしたり」

(旅人に開く御堂の蔀より 迷企羅が太刀に朝日射したり)

*迷企羅=薬師如来の脇侍、十二神将の一つ。

 

〈香薬師を拝して〉

「みほとけの うつらまなこに いにしへの

       やまとくにばら かすみてあるらし」

(御仏の現ら眼に古えの 大和国原霞みてあるらし)

*うつら=はっきりと。まざまざと。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.1ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇般若寺国宝楼門横の駐車場入り口門扉に、現在のところ3人の奈良市々議会議員選挙候補者(7月告示)の宣伝看板が掲示されています。寺と政治、本来なら距離を置くべきところですが、奈良は異常な政治がまかり通っています。市民憲章や、文化財保護条例に違反して、一部住民のご都合に合わせ国宝浄瑠璃寺のすぐ横でごみを焼くという、奈良市民にとって恥ずべき選択がまかり通っています。この誤った政治をただすため、以下の原則のもと看板掲示を認めました。

《◎看板掲示許可原則

古都奈良の歴史景観と文化遺産保全のために、

〈奈良市クリーンセンター東部移転計画に反対〉、

〈現在地(高の原地区)での建て替え許容〉を

公約表明する候補者のみを許可しています

 真言律宗般若寺住職 工藤良任 》

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却場移設計画が根拠とする公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。

〇奈良市のゴミ工場の移転計画は完全に行き詰っているのに、まだ移転推進を公約する候補者がいるとは驚きです。どこへ行けというのでしょうか。答えを聞きたいです。

〇奈良新聞記事(6/16)によると、7月の奈良市長選にはどうやら4人が立候補しそうです。元生駒市長山下氏に続き、16日には現市長の仲川氏、そして新聞予測では、自民党からも出そう、さらに共産党からも、と書いてあります。私たちの最大関心事は「ごみ焼却場移転問題」を誰がどう解決してくれるのかということです。今までの二期8年にわたる仲川市政では解決の目途が立っていません。しかし現市長はどうやら東部移転はあきらめているようではありますが。山下氏と自民党の方に関しては未知数。共産党はおそらく「移転賛成」、「現候補地反対」という意味不明無責任な政策を出すでしょう。現段階ではここまでの紹介としておきます。

〇東京日本橋三井美術館で行われている『奈良西大寺展』に浄瑠璃寺の吉祥天女像が特別出開帳されるのに合わせて、「浄瑠璃寺と当尾の里を守る会」主催で美術館近くの「ギャラリー梅むら」において写真展が行われます。京都府の写真家中淳志さんの作品です。6/6(火)-6/11(日) 10:00-18:00 入場無料。問い合わせは浄瑠璃寺へ。Tel.0774-76-2390

写真展の目的は、浄瑠璃寺とその周辺の仏教遺跡を奈良市による破壊から守るためです。

〇街宣トラックに設置する新しい看板。

【奈良市クリーンセンターの「現地建て替え」は、市民の声、天の声!】

 

| | コメント (0)

2017年5月20日 (土)

コスモス寺花だより  5・20

 

〔花ごよみ〕

○コスモス:≪咲きはじめ≫晴天と高温のおかげで草丈は伸び、花数も増えています。

開花予定:・夏咲= 67月 3万本。

      見ごろは6月中旬ごろ  

     ・秋咲= 911月 15万本。 

     満開のピークは10月上旬です。

 

○カラタネオガタマ:≪満開≫「バナナの木」と呼ばれる。花は緑色で目立たないがバナナのような芳香あり。

○矢車菊:≪見ごろ≫別名、矢車草。ドイツの国花で「カイゼル(皇帝)菊」とも。

○梅花うつぎ:≪咲きはじめ≫梅のような白い清楚な花、芳香あり。

○山アジサイ:≪つぼみ≫

その他、スイカズラ、テイカカズラ、黄菖蒲、花菱草、キンポウゲ、等の草花が咲いています。

 

≪ニュース≫

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「蕗の葉に いわしを配る 田植哉」一茶

訳:蕗の葉っぱに入れた鰯を配る田植だなあ。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈新薬師寺の金堂にて〉

「たびびとに ひらくみだうの しとみより

       めきらがたちに あさひさしたり」

(旅人に開く御堂の蔀より 迷企羅が太刀に朝日射したり)

*迷企羅=薬師如来の脇侍、十二神将の一つ。

 

〈香薬師を拝して〉

「みほとけの うつらまなこに いにしへの

       やまとくにばら かすみてあるらし」

(御仏の現ら眼に古えの 大和国原霞みてあるらし)

*うつら=はっきりと。まざまざと。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.1ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇般若寺国宝楼門横の駐車場入り口門扉に、現在のところ3人の奈良市々議会議員選挙候補者(7月告示)の宣伝看板が掲示されています。寺と政治、本来なら距離を置くべきところですが、奈良は異常な政治がまかり通っています。市民憲章や、文化財保護条例に違反して、一部住民のご都合に合わせ国宝浄瑠璃寺のすぐ横でごみを焼くという、奈良市民にとって恥ずべき選択がまかり通っています。この誤った政治をただすため、以下の原則のもと看板掲示を認めました。

《◎看板掲示許可原則

古都奈良の歴史景観と文化遺産保全のために、

〈奈良市クリーンセンター東部移転計画に反対〉、

〈現在地(高の原地区)での建て替え許容〉を

公約表明する候補者のみを許可しています

 真言律宗般若寺住職 工藤良任 》

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却場移設計画が根拠とする公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。

〇奈良市のゴミ工場の移転計画は完全に行き詰っているのに、まだ移転推進を公約する候補者がいるとは驚きです。どこへ行けというのでしょうか。答えを聞きたいです。

〇奈良新聞記事(6/16)によると、7月の奈良市長選にはどうやら4人が立候補しそうです。元生駒市長山下氏に続き、16日には現市長の仲川氏、そして新聞予測では、自民党からも出そう、さらに共産党からも、と書いてあります。私たちの最大関心事は「ごみ焼却場移転問題」を誰がどう解決してくれるのかということです。今までの二期8年にわたる仲川市政では解決の目途が立っていません。しかし現市長はどうやら東部移転はあきらめているようではありますが。山下氏と自民党の方に関しては未知数。共産党はおそらく「移転賛成」、「現候補地反対」という意味不明無責任な政策を出すでしょう。現段階ではここまでの紹介としておきます。

〇東京日本橋三井美術館で行われている『奈良西大寺展』に浄瑠璃寺の吉祥天女像が特別出開帳されるのに合わせて、「浄瑠璃寺と当尾の里を守る会」主催で美術館近くの「ギャラリー梅むら」において写真展が行われます。京都府の写真家中淳志さんの作品です。6/6(火)-6/11(日) 10:00-18:00 入場無料。問い合わせは浄瑠璃寺へ。Tel.0774-76-2390

写真展の目的は、浄瑠璃寺とその周辺の仏教遺跡を奈良市による破壊から守るためです。

〇街宣トラックに設置する新しい看板。

【奈良市クリーンセンターの「現地建て替え」は、市民の声、天の声!】

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2017年5月19日 (金)

コスモス寺花だより  5・19

 

〔花ごよみ〕

○コスモス:≪咲きはじめ≫晴天と高温のおかげで草丈も伸び、花数も増えています。

開花予定:・夏咲= 67月 3万本。

      見ごろは6月中旬ごろ  

     ・秋咲= 911月 15万本。 

     満開のピークは10月上旬です。

 

○カラタネオガタマ:≪満開≫「バナナの木」と呼ばれる。花は緑色で目立たないがバナナのような芳香あり。

○矢車菊:≪見ごろ≫別名、矢車草。ドイツの国花で「カイゼル(皇帝)菊」とも。

○梅花うつぎ:≪咲きはじめ≫梅のような白い清楚な花、芳香あり。

○山アジサイ:≪つぼみ≫

その他、スイカズラ、テイカカズラ、黄菖蒲、花菱草、キンポウゲ、等の草花が咲いています。

 

≪ニュース≫

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「明神の 烏も並ぶ 田うゑ飯」一茶

訳:明神様の烏も並んでいる、ちょうど田植えの飯時。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈新薬師寺の金堂にて〉

「たびびとに ひらくみだうの しとみより

       めきらがたちに あさひさしたり」

(旅人に開く御堂の蔀より 迷企羅が太刀に朝日射したり)

*迷企羅=薬師如来の脇侍、十二神将の一つ。

 

〈香薬師を拝して〉

「みほとけの うつらまなこに いにしへの

       やまとくにばら かすみてあるらし」

(御仏の現ら眼に古えの 大和国原霞みてあるらし)

*うつら=はっきりと。まざまざと。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『興正菩薩四百年忌諷誦文』

(こうしょうぼさつよんひゃくねんきふじゅうもん)

 

◆【伏願三昧施宝雨。懸注十類之昏旻。木叉護鵝珠。煽暎四生之冥衢。桂花馥郁。駢開金粟仏肉身。山月澄皓。露出灯明尊面目。宗幢再崛起。苦海均抜済。仍諷誦所修如件。衆僧等敬白。

  元禄二年八月廿五日】

 

〔伏して願わくは、三昧は宝の雨を施し、十類の昏旻(こんびん①)に懸け注ぐ。

木叉(もくしゃ②)は鵝珠(がしゅ③)を護り、四生(ししょう④)の冥衢(めいく⑤)を煽暎(せんえい⑥)す。桂花馥郁(けいかふくいく⑦)として、駢(なら)びて金粟仏(きんぞくぶつ⑧)の肉身(にくしん⑨)を開く。山月は澄晧(ちょうこう⑩)として灯明を露出し面目(めんぼく⑪)を尊ぶ。宗幢(そうとう⑫)は再び崛起(くっき⑬)して、苦海(くかい⑭)は均しく抜濟(ばっさい⑮)せり。仍って諷誦(ふうじゅ)修する所件のごとし。衆僧等敬って白す。

 

元禄二年(⑯)八月廿五日

 

 昏旻=日暮れの暗い空。

 木叉=波羅提木叉(はらだいもくしゃ)。比丘・比丘尼が守るべき戒律の条文。戒本。

 鵝珠=

 四生=生き物の生れ方で四つに分類される。胎生、卵生、湿生、化生。

 冥衢=暗い道。

 煽暎=あおり映す。

 桂花馥郁=木犀の花がさかんに香っている。

 金粟仏=維摩居士。

 肉身=父母より生を受けた生身の肉体。

 澄晧=すみきって白い。

 面目=姿かたち。世間の評価。

 宗幢=宗の教えのはた。

 崛起=高くそびえたつ。

 苦海=この世の苦しみの大きいことを海にたとえた語。

 抜濟=衆生の苦を取り去り、難を救うこと。

 元禄二年=西暦一六八九年

 

(附録巻上 終了)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇般若寺国宝楼門横の駐車場入り口門扉に、現在のところ3人の奈良市々議会議員選挙候補者(7月告示)の宣伝看板が掲示されています。寺と政治、本来なら距離を置くべきところですが、奈良は異常な政治がまかり通っています。市民憲章や、文化財保護条例に違反して、一部住民のご都合に合わせ国宝浄瑠璃寺のすぐ横でごみを焼くという、奈良市民にとって恥ずべき選択がまかり通っています。この誤った政治をただすため、以下の原則のもと看板掲示を認めました。

《◎看板掲示許可原則

古都奈良の歴史景観と文化遺産保全のために、

〈奈良市クリーンセンター東部移転計画に反対〉、

〈現在地(高の原地区)での建て替え許容〉を

公約表明する候補者のみを許可しています

 真言律宗般若寺住職 工藤良任 》

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却場移設計画が根拠とする公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。

〇奈良市のゴミ工場の移転計画は完全に行き詰っているのに、まだ移転推進を公約する候補者がいるとは驚きです。どこへ行けというのでしょうか。答えを聞きたいです。

〇奈良新聞記事(6/16)によると、7月の奈良市長選にはどうやら4人が立候補しそうです。元生駒市長山下氏に続き、16日には現市長の仲川氏、そして新聞予測では、自民党からも出そう、さらに共産党からも、と書いてあります。私たちの最大関心事は「ごみ焼却場移転問題」を誰がどう解決してくれるのかということです。今までの二期8年にわたる仲川市政では解決の目途が立っていません。しかし現市長はどうやら東部移転はあきらめているようではありますが。山下氏と自民党の方に関しては未知数。共産党はおそらく「移転賛成」、「現候補地反対」という意味不明無責任な政策を出すでしょう。現段階ではここまでの紹介としておきます。

〇東京日本橋三井美術館で行われている『奈良西大寺展』に浄瑠璃寺の吉祥天女像が特別出開帳されるのに合わせて、「浄瑠璃寺と当尾の里を守る会」主催で美術館近くの「ギャラリー梅むら」において写真展が行われます。京都府の写真家中淳志さんの作品です。6/6(火)-6/11(日) 10:00-18:00 入場無料。問い合わせは浄瑠璃寺へ。Tel.0774-76-2390

写真展の目的は、浄瑠璃寺とその周辺の仏教遺跡を奈良市による破壊から守るためです。

〇街宣トラックに設置する新しい看板。

【奈良市クリーンセンターの「現地建て替え」は、市民の声、天の声!】

 

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2017年5月18日 (木)

コスモス寺花だより  5・18

 

〔花ごよみ〕

○コスモス:≪咲きはじめ≫草丈は60㎝ほどですが、ちらほらと咲いています。

開花予定:・夏咲= 67月 3万本。

      見ごろは6月中旬ごろ  

     ・秋咲= 911月 15万本。 

     満開のピークは10月上旬です。

 

○カラタネオガタマ:≪満開≫「バナナの木」と呼ばれる。花は緑色で目立たないがバナナのような芳香あり。

○矢車菊:≪見ごろ≫別名、矢車草。ドイツの国花で「カイゼル(皇帝)菊」とも。

○梅花うつぎ:≪咲きはじめ≫梅のような白い清楚な花、芳香あり。

○山アジサイ:≪つぼみ≫

その他、黄菖蒲、花菱草、キンポウゲ、等の草花が咲いています。

 

≪ニュース≫

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「田草(たのくさ)や 投付(なげつけ)られし 所(とこ)に咲く」一茶

訳:ぬきさられた田草よ。投げつけられた所で咲いている。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈新薬師寺の金堂にて〉

「たびびとに ひらくみだうの しとみより

       めきらがたちに あさひさしたり」

(旅人に開く御堂の蔀より 迷企羅が太刀に朝日射したり)

*迷企羅=薬師如来の脇侍、十二神将の一つ。

 

〈香薬師を拝して〉

「みほとけの うつらまなこに いにしへの

       やまとくにばら かすみてあるらし」

(御仏の現ら眼に古えの 大和国原霞みてあるらし)

*うつら=はっきりと。まざまざと。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》928  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『興正菩薩四百年忌諷誦文』

(こうしょうぼさつよんひゃくねんきふじゅうもん)

 

◆【亜奏悦仏之舞楽。讃伽陀具人々莫匪被祖毓。各々曷不霑師徳。親修赤寸之精誠。用酬円極之雄恩。吾祖之霊如月耀天。大寂光中蓮眸洞鑑】

 

〔亞(ついで)仏を悦(した)うの舞楽を奏し、伽陀を讃し、具(つぶさ)に人々は彼の祖(おや)に毓(はぐく)まれるに匪(あら)ざるはなし。各々、曷(なんぞ)師の徳を霑(うるお)さん。親しく赤寸(せきすん①)の精誠(せいせい②)を修し、用(もって)円極の雄恩に酬(むく)いんや。吾が祖の霊、月の如く天に耀かん。大寂光中の蓮眸洞鑑(れんぼうとうかん③)たり。

 

 赤寸=尺寸。少しばかりの。

 精誠=真心を込めること。

 蓮眸洞鑑=蓮の実のような慈悲のひとみと、暗い洞の中で智恵の光を照らす鏡。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇般若寺国宝楼門横の駐車場入り口門扉に、現在のところ3人の奈良市々議会議員選挙候補者(7月告示)の宣伝看板が掲示されています。寺と政治、本来なら距離を置くべきところですが、奈良は異常な政治がまかり通っています。市民憲章や、文化財保護条例に違反して、一部住民のご都合に合わせ国宝浄瑠璃寺のすぐ横でごみを焼くという、奈良市民にとって恥ずべき選択がまかり通っています。この誤った政治をただすため、以下の原則のもと看板掲示を認めました。

《◎看板掲示許可原則

古都奈良の歴史景観と文化遺産保全のために、

〈奈良市クリーンセンター東部移転計画に反対〉、

〈現在地(高の原地区)での建て替え許容〉を

公約表明する候補者のみを許可しています

 真言律宗般若寺住職 工藤良任 》

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却場移設計画が根拠とする公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。

〇奈良市のゴミ工場の移転計画は完全に行き詰っているのに、まだ移転推進を公約する候補者がいるとは驚きです。どこへ行けというのでしょうか。答えを聞きたいです。

〇奈良新聞記事(6/16)によると、7月の奈良市長選にはどうやら4人が立候補しそうです。元生駒市長山下氏に続き、16日には現市長の仲川氏、そして新聞予測では、自民党からも出そう、さらに共産党からも、と書いてあります。私たちの最大関心事は「ごみ焼却場移転問題」を誰がどう解決してくれるのかということです。今までの二期8年にわたる仲川市政では解決の目途が立っていません。しかし現市長はどうやら東部移転はあきらめているようではありますが。山下氏と自民党の方に関しては未知数。共産党はおそらく「移転賛成」、「現候補地反対」という意味不明無責任な政策を出すでしょう。現段階ではここまでの紹介としておきます。

〇東京日本橋三井美術館で行われている『奈良西大寺展』に浄瑠璃寺の吉祥天女像が特別出開帳されるのに合わせて、「浄瑠璃寺と当尾の里を守る会」主催で美術館近くの「ギャラリー梅むら」において写真展が行われます。京都府の写真家中淳志さんの作品です。6/6(火)-6/11(日) 10:00-18:00 入場無料。問い合わせは浄瑠璃寺へ。Tel.0774-76-2390

浄瑠璃寺とその周辺の仏教遺跡を奈良市による破壊から護るために。

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2017年5月17日 (水)

コスモス寺花だより  5・17

 

〔花ごよみ〕

○コスモス:≪咲きはじめ≫草丈はまだ60㎝ほどですが、ちらほらと咲いています。

開花予定:・夏咲= 67月 3万本。

      見ごろは6月中旬ごろ  

     ・秋咲= 911月 15万本。 

     満開のピークは10月上旬です。

 

○カラタネオガタマ:≪満開≫「バナナの木」と呼ばれる。花は緑色で目立たないがバナナのような芳香あり。

○矢車菊:≪見ごろ≫別名、矢車草。ドイツの国花で「カイゼル(皇帝)菊」とも。

○梅花うつぎ:≪咲きはじめ≫梅のような白い清楚な花、芳香あり。

○山アジサイ:≪つぼみ≫

その他、黄菖蒲、花菱草、キンポウゲ、等の草花が咲いています。

 

≪ニュース≫

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「みちのくや 判官(ほうぐわん)どのを 田うゑ歌」一茶

訳:ここぞ陸奥だなあ。判官どのを田植歌でお慰めしよう。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈新薬師寺の金堂にて〉

「たびびとに ひらくみだうの しとみより

       めきらがたちに あさひさしたり」

(旅人に開く御堂の蔀より 迷企羅が太刀に朝日射したり)

*迷企羅=薬師如来の脇侍、十二神将の一つ。

 

〈香薬師を拝して〉

「みほとけの うつらまなこに いにしへの

       やまとくにばら かすみてあるらし」

(御仏の現ら眼に古えの 大和国原霞みてあるらし)

*うつら=はっきりと。まざまざと。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》927  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『興正菩薩四百年忌諷誦文』

(こうしょうぼさつよんひゃくねんきふじゅうもん)

 

◆【奈何。畴昔正応仲秋遽而寝化。其乗願輪。嘗痛慧日西墜。無由倒戈返照。星霜漸変。既届四百年之諱辰。龍象咸臻幾鳩数千指之海衆。丕建曼拏之法会。備伊蒲饍】

 

〔奈何(いかに)。疇昔(ちゅうせき①)正応仲秋(しょうおうちゅうしゅう②)、遽爾(にわかに)寝化(しんけ③)す。其の乗願(じょうがん④)の輪、嘗(かつ)て慧日の西に墜つる(⑤)を痛む。倒戈返照(とうかへんしょう⑥)に由無し。星霜漸く変じ、既に四百年の諱辰(きしん)、龍象(りゅうぞう⑦)咸(みな)臻(いた)り、幾(こいねがわくは)鳩数千指の海衆、丕(おおいに)曼拏(まんだ⑧)の法会を建て、伊蒲饍(いほぜん⑨)を備う。〕

 

 疇昔=過去のある日。昔。

 正応仲秋=正応三年八月。

 寝化=教化をやすむ。

 乗願=仏法の誓願

 慧日の西に堕つる=興正菩薩の遷化されたこと。

 倒戈返照=戈(ほこ)をさかさにする

 龍象=高徳の僧を龍と象にたとえる。

 曼拏=曼荼羅。

 伊蒲饍=伊蒲(伊水の菖蒲)の供え物。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇般若寺国宝楼門横の駐車場入り口門扉に、現在のところ3人の奈良市々議会議員選挙候補者(7月告示)の宣伝看板が掲示されています。寺と政治、本来なら距離を置くべきところですが、奈良は異常な政治がまかり通っています。市民憲章や、文化財保護条例に違反して、一部住民のご都合に合わせ国宝浄瑠璃寺のすぐ横でごみを焼くという、奈良市民にとって恥ずべき選択がまかり通っています。この誤った政治をただすため、以下の原則のもと看板掲示を認めました。

《◎看板掲示許可原則

古都奈良の歴史景観と文化遺産保全のために、

〈奈良市クリーンセンター東部移転計画に反対〉、

〈現在地(高の原地区)での建て替え許容〉を

公約表明する候補者のみを許可しています

 真言律宗般若寺住職 工藤良任 》

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却場移設計画が根拠とする公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。

〇奈良市のゴミ工場の移転計画は完全に行き詰っているのに、まだ移転推進を公約する候補者がいるとは驚きです。どこへ行けというのでしょうか。答えを聞きたいです。

〇奈良新聞記事(6/16)によると、7月の奈良市長選にはどうやら4人が立候補しそうです。元生駒市長山下氏に続き、16日には現市長の仲川氏、そして新聞予測では、自民党からも出そう、さらに共産党からも、と書いてあります。私たちの最大関心事は「ごみ焼却場移転問題」を誰がどう解決してくれるのかということです。今までの二期8年にわたる中川市政では解決の目途が立っていません。しかし現市長はどうやら東部移転はあきらめているようではありますが、まだわかりません。山下氏と自民党の方に関しては未知数。共産党はおそらく「移転賛成」、「現候補地反対」という意味不明な政策を出すでしょう。現段階ではここまでの紹介としておきます。

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2017年5月16日 (火)

コスモス寺花だより  5・16

 

〔花ごよみ〕

 

○コスモス:≪咲きはじめ≫ちらほらと咲いています。

開花予定:・夏咲= 67月 3万本。

      見ごろは6月中旬  

     ・秋咲= 911月 15万本。 

     満開のピークは10月上旬です。

 

○カラタネオガタマ:≪満開≫「バナナの木」と呼ばれる。花は緑色で目立たないがバナナのような芳香あり。

○矢車菊:≪見ごろ≫別名、矢車草。ドイツの国花で「カイゼル(皇帝)菊」とも。

○梅花うつぎ:≪咲きはじめ≫真っ白な清楚な花で芳香あり。

○山アジサイ:≪つぼみ≫

その他、黄菖蒲、花菱草、キンポウゲ、等の草花が咲いています。

 

≪ニュース≫

◇7月の奈良市長選挙に初めての出馬表明がありました。前生駒市長の山下真氏です。山梨県出身で東大文学部卒、元朝日新聞記者、京大法学部卒、弁護士の経歴がある方で、奈良市では今までにない優秀な人材です。昨日(5/13)の新聞発表なので政策公約など詳しいことはまだわかりません。将来を見据えた古都奈良の町づくりプランをぜひお聞きしたいですね。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「信濃路の 田植過けり 凧(いかのぼり)」一茶

訳:信濃路の田植えが過ぎてしまったなあ。時ならぬ凧があがっている。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈新薬師寺の金堂にて〉

「たびびとに ひらくみだうの しとみより

       めきらがたちに あさひさしたり」

(旅人に開く御堂の蔀より 迷企羅が太刀に朝日射したり)

*迷企羅=薬師如来の脇侍、十二神将の一つ。

 

〈香薬師を拝して〉

「みほとけの うつらまなこに いにしへの

       やまとくにばら かすみてあるらし」

(御仏の現ら眼に古えの 大和国原霞みてあるらし)

*うつら=はっきりと。まざまざと。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》926  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『興正菩薩四百年忌諷誦文』

(こうしょうぼさつよんひゃくねんきふじゅうもん)

 

◆【夫以。一心法界生滅氷如鎔。一切賢聖去来電如掃。闇華紅迸忽唱寂于跋河。棘林香擘時棲神於覩史。惟我祖師一代鴻徳。熾々然若火之燎。蕩々乎似風之偃。

 

〔夫れ以(おもん)みれば、一心法界(いっしんほっかい①)の生滅は氷の如く鎔(と)け、一切賢聖の去来は電の如く掃(なく)す。闇華紅迸(あんかこうほう②)、忽ちに寂を跋河(ばつが③)に唱う。棘林香擘(きょくりんこうはく④)の時、棲神於覩史(せいしんよとし⑤)、惟うに我が祖師一代の鴻徳(こうとく⑥)、熾々然(ししぜん⑦)として火の燎(かがりび)のごとし。蕩々乎(とうとうこ⑧)として風の偃(せき)に似たり。〕

 

 一心法界=唯心の世界。

 闇華紅逬=闇に華の紅がほとばしる。

 跋河=跋提河(ばつがいがわ)。釈尊が涅槃したクシナガラを流れる川。

 棘林香擘=いばらの林に香りがさける。

 棲神於覩史=神(こころ)は弥勒の浄土、兜率天(とそつてん)に棲む。

 鴻徳=大きな徳。

 熾熾然=火の勢いがさかんなさま。

 蕩蕩乎=ゆったりとしている。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇般若寺国宝楼門横の駐車場入り口門扉に、現在のところ3人の奈良市々議会議員選挙候補者(7月告示)の宣伝看板が掲示されています。寺と政治、本来なら距離を置くべきところですが、奈良は異常な政治がまかり通っています。市民憲章や、文化財保護条例に違反して、一部住民のご都合に合わせ国宝浄瑠璃寺のすぐ横でごみを焼くという、奈良市民にとって恥ずべき選択がまかり通っています。この誤った政治をただすため、以下の原則のもと看板掲示を認めました。

《◎看板掲示許可原則

古都奈良の歴史景観と文化遺産保全のために、

〈奈良市クリーンセンター東部移転計画に反対〉、

〈現在地(高の原地区)での建て替え許容〉を

公約表明する候補者のみを許可しています

 真言律宗般若寺住職 工藤良任 》

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却場移設計画が根拠とする公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。

〇奈良市のゴミ工場の移転計画は完全に行き詰っているのに、まだ移転推進を公約する候補者がいるとは驚きです。どこへ行けというのでしょうか。答えを聞きたいです。

 

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2017年5月15日 (月)

コスモス寺花だより  5・15

 

〔花ごよみ〕

 

○コスモス:≪つぼみ≫ちらほらと咲きだしました。

開花予定:・夏咲= 67月 3万本。  

     ・秋咲= 911月 15万本。 

     満開のピークは10月上旬です。

 

○カラタネオガタマ:≪満開≫「バナナの木」と呼ばれる。花は緑色で目立たないがバナナのような芳香あり。

○矢車菊:≪見ごろ≫別名、矢車草。ドイツの国花で「カイゼル(皇帝)菊」とも。

○梅花うつぎ:≪咲きはじめ≫真っ白な清楚な花で芳香あり。

○山アジサイ:≪つぼみ≫

その他、黄菖蒲、グラジオラス、花菱草、キンポウゲ、等の草花が咲いています。

 

≪ニュース≫

◇7月の奈良市長選挙に初めての出馬表明がありました。前生駒市長の山下真氏です。山梨県出身で東大文学部卒、元朝日新聞記者、京大法学部卒、弁護士の経歴がある方で、奈良市では今までにない優秀な人材です。昨日(5/13)の新聞発表なので政策公約など詳しいことはまだわかりません。将来を見据えた古都奈良の町づくりプランをぜひお聞きしたいですね。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「かつしかや 早乙女がちの 渉し舟」一茶

訳:葛飾よ、早乙女が目立つ渡し舟。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈新薬師寺の金堂にて〉

「たびびとに ひらくみだうの しとみより

       めきらがたちに あさひさしたり」

(旅人に開く御堂の蔀より 迷企羅が太刀に朝日射したり)

*迷企羅=薬師如来の脇侍、十二神将の一つ。

 

〈香薬師を拝して〉

「みほとけの うつらまなこに いにしへの

       やまとくにばら かすみてあるらし」

(御仏の現ら眼に古えの 大和国原霞みてあるらし)

*うつら=はっきりと。まざまざと。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》925  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『興正菩薩三百五十年忌表白』

(こうしょうぼさつさんびゃくごじゅうねんきひょうはく) 

 

◆【観夫秋風含匂。現香三昧。千花華鮮。似花菩薩。暁月皓々不異灯明。霧繞遠山。顕塗香印。自然供養。満於法界。諸尊納受豈空乎。仰願三宝久住。至三会暁。伽藍繁栄。永無傾伏。仍現前道俗。同成菩提。啓白不妄。三宝知見。敬白。〈小比丘全理草之。〉

 

〔観(かんがみ)れば夫れ、秋風は匂いを含み、香三昧(こうざんまい①)を現わす。千花は華鮮(あざ)やかにして、花菩薩(はなぼさつ②)に似たり。暁月(ぎょうげつ③)は皓皓(こうこう④)として灯明に異ならず。霧は遠山を繞(めぐ)り塗香の印を顕わす。自然供養は法界に満ちて諸尊の納受は豈に空しかるや。仰ぎ願わくは、三宝久住し、三会の暁(さんねのあかつき⑤)に至らん。伽藍繁栄して、永く傾伏(けいふく⑥)無からんことを。仍って現前の道俗、同じく菩提を成ぜんことを。啓白(けいびゃく⑦)妄(ぼう⑧)ならずして、三宝は知見したまえ。敬って白す。〈小比丘全理、之を草す。〉〕 

 

 香三昧=お香の中に悟りの境地である三昧を

 花菩薩=自然界の花にも仏性をみとめ、華が菩薩であると捉えられている。

 暁月=明け方の月。有明の月。

 皓々=白々と光り輝くさま。

 三会の暁=龍華三会。弥勒菩薩が兜率天から人間界へ下って衆生のために三度の説法をする会座。

 傾伏=傾き伏せること。衰退。

 啓白=仏に法会の趣旨、願意を述べること。

 妄=うそ、いつわり。

(終わり)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇般若寺国宝楼門横の駐車場入り口門扉に、現在のところ3人の奈良市々議会議員選挙候補者(7月告示)の宣伝看板が掲示されています。寺と政治、本来なら距離を置くべきところですが、奈良は異常な政治がまかり通っています。市民憲章や、文化財保護条例に違反して、一部住民のご都合に合わせ国宝浄瑠璃寺のすぐ横でごみを焼くという、奈良市民にとって恥ずべき選択がまかり通っています。この誤った政治をただすため、以下の原則のもと看板掲示を認めました。

《◎看板掲示許可原則

古都奈良の歴史景観と文化遺産保全のために、

〈奈良市クリーンセンター東部移転計画に反対〉、

〈現在地(高の原地区)での建て替え許容〉を

公約表明する候補者のみを許可しています

 真言律宗般若寺住職 工藤良任 》

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却場移設計画が根拠とする公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は偉大でした。

〇奈良市のゴミ工場の移転計画は完全に行き詰っているのに、まだ移転推進を公約する候補者がいるとは驚きです。どこへ行けというのでしょうか。答えを聞きたいです。

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2017年5月14日 (日)

コスモス寺花だより  5・14

 

〔花ごよみ〕

 

○コスモス:≪つぼみ≫ちらほらと咲きだしました。

開花予定:・夏咲= 67月 3万本。  

     ・秋咲= 911月 15万本。 

     満開のピークは10月上旬です。

 

○カラタネオガタマ:≪満開≫「バナナの木」と呼ばれる。花は緑色で目立たないがバナナのような芳香あり。

○矢車菊:≪見ごろ≫別名、矢車草。ドイツの国花で「カイゼル(皇帝)菊」とも。

○梅花うつぎ:≪咲きはじめ≫真っ白な清楚な花で芳香あり。

○山アジサイ:≪つぼみ≫

その他、グラジオラス、花菱草、キンポウゲ、等の草花が咲いています。

 

≪ニュース≫

◇7月の奈良市長選挙に初めての出馬表明がありました。前生駒市長の山下真氏です。山梨県出身で東大文学部卒、元朝日新聞記者、京大法学部卒、弁護士の経歴がある方で、奈良市では今までにない優秀な人材です。昨日(5/13)の新聞発表なので政策公約など詳しいことはまだわかりません。将来を見据えた古都奈良の町づくりプランをぜひお聞きしたいですね。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「もたいなや 昼寝して聞く 田うゑ唄」一茶

訳:もったいないことだよ。昼寝しながら、のうのうと聞く田植唄。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈新薬師寺の金堂にて〉

「たびびとに ひらくみだうの しとみより

       めきらがたちに あさひさしたり」

(旅人に開く御堂の蔀より 迷企羅が太刀に朝日射したり)

*迷企羅=薬師如来の脇侍、十二神将の一つ。

 

〈香薬師を拝して〉

「みほとけの うつらまなこに いにしへの

       やまとくにばら かすみてあるらし」

(御仏の現ら眼に古えの 大和国原霞みてあるらし)

*うつら=はっきりと。まざまざと。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》924  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『興正菩薩三百五十年忌表白』

(こうしょうぼさつさんびゃくごじゅうねんきひょうはく) 

 

◆【竊以此道場。六大法界宮曼荼形像刹塵集会梵唄歌讃。糸竹呂律声字實相陀羅尼門奇哉。心王諸仏魏々開青蓮眼。嬉鬘拍手。索鏁快心。諸天悦嘉。善神振威。】

 

〔竊(ひそか)にこの道場、六大法界宮、曼荼の形像、刹塵集会を以って、梵唄歌讃す。糸竹呂律、声字実相、陀羅尼門は奇なる哉。心王諸仏は魏々(ぎぎ①)として青蓮の眼を開き、嬉鬘(きまん②)拍手、索鏁(さくさ③)快心、諸天悦嘉し、善神威を振るう。〕

 

 魏々=巍々。雄大でおごそか。

 嬉鬘=うつくしい髪かざり。

 索鏁=くさりがつきる。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇般若寺国宝楼門横の駐車場入り口門扉に、現在のところ3人の奈良市々議会議員選挙候補者(7月告示)の宣伝看板が掲示されています。寺と政治、本来なら距離を置くべきところですが、奈良は異常な政治がまかり通っています。市民憲章や、文化財保護条例に違反して、一部住民のご都合に合わせ国宝浄瑠璃寺のすぐ横でごみを焼くという、奈良市民にとって恥ずべき選択がまかり通っています。この誤った政治をただすため、以下の原則のもと看板掲示を認めました。

《◎看板掲示許可原則

古都奈良の歴史景観と文化遺産保全のために、

〈奈良市クリーンセンター東部移転計画に反対〉、

〈現在地(高の原地区)での建て替え許容〉を

公約表明する候補者のみを許可しています

 真言律宗般若寺住職 工藤良任 》

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却場移設計画が根拠とする公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は偉大でした。

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2017年5月13日 (土)

コスモス寺花だより  5・13

 

〔花ごよみ〕

 

○カラタネオガタマ:≪満開≫「バナナの木」と呼ばれる。花は緑色で目立たないがバナナのような芳香あり。

○矢車菊:≪見ごろ≫別名、矢車草。ドイツの国花で「カイゼル(皇帝)菊」とも。

○梅花うつぎ:≪咲きはじめ≫真っ白な清楚な花で芳香あり。

○山アジサイ:≪つぼみ≫

その他、グラジオラス、花菱草、キンポウゲ、等の草花が咲いています。

 

○コスモス:≪つぼみ≫ちらほらと咲きだしました。

夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲= 67月 3万本。  

     ・秋咲= 911月 15万本。 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「姨捨(をばすて)の くらき中より 清水かな」一茶

訳:姨捨山の暗いなかからきよらかに湧き出る清水よ。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈帝室博物館にて〉

「はつなつの かぜとなりぬと みほとけは

       をゆびのうれに ほのしらすらし」

(初夏の風となりぬと御仏は 小指の末に仄知らすらし)

 

「こんでいの ほとけうすれし こんりょうの

だいまんだらに あぶのはねうつ」

(金泥の仏薄れし紺綾の 大曼荼羅に虻の羽打つ)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》924  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『興正菩薩三百五十年忌表白』

(こうしょうぼさつさんびゃくごじゅうねんきひょうはく) 

 

◆【况又依自誓遺教而受隨。且護持乎。並是菩薩薫功力。依之一門諸衆。步運本寺。恋慕渇仰表尊影前。良以知恩謝恩。大聖之誡。戴徳報徳。賢者之誨。仏祖歓喜無疑者乎。】

 

〔いわんやまた、自誓の遺教(じせいのゆいきょう①)に依りて受隨(じゅずい②)し、且は護持せんや。並びに是れ菩薩薫功の力。之に依り一門の諸衆、歩みを本寺に運び、恋慕渇仰を尊影(そんえい③)の前に表す。良(まこと)に以って恩を知り恩に謝す。大聖の誡め、徳を戴き徳に報ず。賢者の誨(おしえ)、仏祖の歓喜は疑い無きものか。〕

 

 自誓の遺教=自誓受戒を説いた経典、「占察経」。

 受隨=受戒によって戒体を吾身に具し、のち戒体に随って如法に戒行することを隨という。

 尊影=興正菩薩の八十歳のとき造られた肖像。西大寺に現存。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇般若寺国宝楼門横の駐車場入り口門扉に、現在のところ3人の奈良市々議会議員選挙候補者(7月告示)の宣伝看板が掲示されています。寺と政治、本来なら距離を置くべきところですが、奈良は異常な政治がまかり通っています。市民憲章や、文化財保護条例に違反して、一部住民のご都合に合わせ国宝浄瑠璃寺のすぐ横でごみを焼くという、奈良市民にとって恥ずべき選択がまかり通っています。この誤った政治をただすため、以下の原則のもと看板掲示を認めました。

《◎看板掲示許可原則

古都奈良の歴史景観と文化遺産保全のために、

〈奈良市クリーンセンター東部移転計画に反対〉、

〈現在地(高の原地区)での建て替え許容〉を

公約表明する候補者のみを許可しています

 真言律宗般若寺住職 工藤良任 》

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却場移設計画が根拠とする公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は偉大でした。

| | コメント (0)

2017年5月12日 (金)

コスモス寺花だより  5・12

 

〔花ごよみ〕

 

○カラタネオガタマ:≪満開≫「バナナの木」と呼ばれる。花は緑色で目立たないがバナナのような芳香あり。

○矢車菊:≪見ごろ≫別名、矢車草。ドイツの国花で「カイゼル(皇帝)菊」とも。

○梅花うつぎ:≪咲きはじめ≫真っ白な清楚な花で芳香あり。

○山アジサイ:≪つぼみ≫

その他、グラジオラス、花菱草、キンポウゲ、等の草花が咲いています。

 

○コスモス:≪つぼみ≫ちらほらと咲きだしました。

夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲= 67月 3万本。  

     ・秋咲= 911月 15万本。 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「つつじから 出てつつじの 清水哉」一茶

訳:つつじの根元から出て、つつじの根元に戻って行く清水よ。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈帝室博物館にて〉

「はつなつの かぜとなりぬと みほとけは

       をゆびのうれに ほのしらすらし」

(初夏の風となりぬと御仏は 小指の末に仄知らすらし)

 

「こんでいの ほとけうすれし こんりょうの

だいまんだらに あぶのはねうつ」

(金泥の仏薄れし紺綾の 大曼荼羅に虻の羽打つ)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》924  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『興正菩薩三百五十年忌表白』

(こうしょうぼさつさんびゃくごじゅうねんきひょうはく) 

 

◆【釈教之師子。密乗之応龍。毘尼与密蔵呑合有余力。契経与論文比于鏡明々。在世之利益。禹筆不能書。修得之霊験。誰人得計乎。然則徳薫甚厚。馥於三百余歳之空。法水連々門弟甚多。伽藍亦穏。】

 

〔釈教の師子(しゃっきょうのしし①)、密乗の応龍(みつじょうのおうりゅう②)。毘尼と密蔵(びにとみつぞう③)を呑合して余力有り。契経と論文(けいきょうとろんぶん④)とを鏡に比(ひ⑤)して明々。在世の利益(ざいせのりやく⑥)は禹筆(うひつ⑦)も書くこと能わず。修得の霊験、誰人か計ること得んや。然れば則ち徳薫甚だ厚く、三百余歳の空に馥(かんば)し。法水は連々として門弟甚だ多し。伽藍また穏やかなり。〕

 

 釈教の師子=釈尊の教えを獅子に例え、顕教としての戒律の教えを指している。

 密乗の応龍=真言密教の教えを龍に例える。

 毘尼と密蔵=毘尼は毘奈耶、仏が制定した禁戒。密蔵は密教の経蔵。戒と密教。

 契経と論文=三蔵の中の経と論。

 比=照らし出す。

 在世の利益=興正菩薩の在世中における衆生利益。

 禹筆=禹は中国古代の夏の国を建てたといわれる王の名前。禹の筆の意味不詳。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇般若寺国宝楼門横の駐車場入り口門扉に、現在のところ3人の奈良市々議会議員選挙候補者(7月告示)の宣伝看板が掲示されています。寺と政治、本来なら距離を置くべきところですが、奈良は異常な政治がまかり通っています。市民憲章や、文化財保護条例に違反して、一部住民のご都合に合わせ国宝浄瑠璃寺のすぐ横でごみを焼くという、奈良市民にとって恥ずべき選択がまかり通っています。この誤った政治をただすため、以下の原則のもと看板掲示を認めました。

《◎看板掲示許可原則

古都奈良の歴史景観と文化遺産保全のために、

〈奈良市クリーンセンター東部移転計画に反対〉、

〈現在地(高の原地区)での建て替え許容〉を

公約表明する候補者のみを許可しています

 真言律宗般若寺住職 工藤良任 》

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2017年5月11日 (木)

コスモス寺花だより  5・11

 

〔花ごよみ〕

 

○カラタネオガタマ:≪満開≫「バナナの木」と呼ばれる。花は緑色で目立たないがバナナのような芳香あり。

○矢車菊:≪見ごろ≫別名、矢車草。ドイツの国花で「カイゼル(皇帝)菊」とも。

○シャガ:≪見ごろ≫別名、胡蝶花。

○梅花うつぎ:≪咲きはじめ≫真っ白な清楚な花で芳香あり。

○山アジサイ:≪つぼみ≫

その他、グラジオラス、ニホンタンポポ、オドリコソウ、キンポウゲ、等の草花が咲いています。

 

○コスモス:≪つぼみ≫ちらほらと咲きだしました。

夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲= 67月 3万本。  

     ・秋咲= 911月 15万本。 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「ゆさゆさと 春が行(ゆく)ぞよ のべの草」一茶

訳:ゆさゆさと春が去って行くよ。野に咲く花。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈帝室博物館にて〉

「はつなつの かぜとなりぬと みほとけは

       をゆびのうれに ほのしらすらし」

(初夏の風となりぬと御仏は 小指の末に仄知らすらし)

 

「こんでいの ほとけうすれし こんりょうの

だいまんだらに あぶのはねうつ」

(金泥の仏薄れし紺綾の 大曼荼羅に虻の羽打つ)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》923  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『興正菩薩三百五十年忌表白』

(こうしょうぼさつさんびゃくごじゅうねんきひょうはく) 

 

◆【其旨趣如何。法性常然而遠離於三際。仏体無二而無生滅去来。機興即生縁謝即滅。以示滅故恋慕甚深。此故抽於懇棘。営此法会。爰先師興正菩薩者。実智朗心蔵。大悲照普天。】

 

〔其の旨趣はいかに。法性(ほっしょう①)は常然にして三際(さんさい②)を遠離す。仏体は無二にして生滅去来なし。機興即生、縁謝即滅。滅を示すを以っての故に恋慕甚深なり。此の故に懇棘(こんきょく③)を抽(ひ)き、この法会を営む。爰に先師興正菩薩は、実智(じっち④)にて心の蔵を朗(あき)らかにし、大悲は普天(ふてん⑤)を照らす。〕

 

 法性=すべての存在・現象の真の本性。真如、実相、法界。

 三際=天と地の間を分ける三段階。熱際、冷際、温際。

 懇棘=まごころのこもった心。

 実智=もののありのままの真実のすがたを明らかに知る智。

普天=あまねくおおう広大な天。全世界

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

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2017年5月10日 (水)

コスモス寺花だより  5・10

 

〔花ごよみ〕

 

○矢車菊:≪見ごろ≫別名、矢車草。ドイツの国花で「カイゼル(皇帝)菊」とも。

○シャガ:≪見ごろ≫別名、胡蝶花。

○梅花うつぎ:≪つぼみ≫

○山アジサイ:≪つぼみ≫

その他、ニホンタンポポ、オドリコソウ、キンポウゲ、等の草花が咲いています。

 

○コスモス:≪つぼみ≫

夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲= 67月 3万本。  

     ・秋咲= 911月 15万本。 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇春の秘仏公開

重要文化財・白鳳秘仏銅造阿弥陀如来立像とその胎内仏などの御開扉があります。

日程は429日~510日。時間帯は午前9時~午後4時。特別拝観料として200円を別途頂戴します。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「大和路や 翌(あす)なき春を なく烏(からす)」一茶

訳:大和路の行く春よ。明日になれば、春から夏へとかわると春を惜しんで鳴く烏。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈帝室博物館にて〉

「はつなつの かぜとなりぬと みほとけは

       をゆびのうれに ほのしらすらし」

(初夏の風となりぬと御仏は 小指の末に仄知らすらし)

 

「こんでいの ほとけうすれし こんりょうの

だいまんだらに あぶのはねうつ」

(金泥の仏薄れし紺綾の 大曼荼羅に虻の羽打つ)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》922  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『興正菩薩三百五十年忌表白』

(こうしょうぼさつさんびゃくごじゅうねんきひょうはく) 

 

◆【方今南瞻部州大日本国和州添下郡西大寺宝塔院現前諸衆等。謹先師興正菩薩之迎於三百五十光陰。為真恩報謝。厳秘密霊閣。勧請両部之摩訶曼荼羅。捧六種妙供。調舞楽讃嘆。修遮那内証三密之瑜伽。資祖師善願。】

 

〔方(まさ)に今、南贍部州(なんせんぶしゅう①)、大日本国和州添下郡、西大寺宝塔院(さいだいじほうとういん②)、現前の諸衆ら謹んで先師興正菩薩の三百五十光陰(こういん③)を迎え、真恩報謝のために、秘密の霊閣を厳かにし、両部の摩訶曼荼羅を勧請し、六種の妙供(ろくしゅのみょうく④)を捧げ、舞楽を調え讃嘆し、遮那(しゃな⑤)内証、三密の瑜伽を修し、祖師の善願を資(たす)けんとす。〕

 

 南贍部洲=南閻浮提(なんえんぶだい)。須弥山南方海上にある大陸とされ、人間の住む世界。

 西大寺宝塔院=奈良時代創建時の東塔のこと。興正菩薩が入寺したころは律僧達の活動拠点であった。

 光陰=歳月。

 六種の妙供=閼伽、塗香、華、焚香、飲食、灯明。これは六波羅蜜の布施、持戒、忍辱、精進、禅定、知恵を表す。

 遮那=摩訶毘盧遮那仏。大日如来。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

| | コメント (0)

2017年5月 9日 (火)

コスモス寺花だより  5・9

 

〔花ごよみ〕

 

○矢車菊:≪見ごろ≫別名、矢車草。ドイツの国花で「カイゼル(皇帝)菊」とも。

○紫雲蘭:≪見ごろ≫リナリアの野生種。

○シャガ:≪見ごろ≫別名、胡蝶花。

○梅花うつぎ:≪つぼみ≫

○山アジサイ:≪つぼみ≫

その他、ツルニチニチソウ、ニホンタンポポ、オドリコソウ、キンポウゲ、等の草花が咲いています。

 

○コスモス:≪つぼみ≫

夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲= 67月 3万本。  

     ・秋咲= 911月 15万本。 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇春の秘仏公開

重要文化財・白鳳秘仏銅造阿弥陀如来立像とその胎内仏などの御開扉があります。

日程は429日~510日。時間帯は午前9時~午後4時。特別拝観料として200円を別途頂戴します。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「行春の 町やかさ売 すだれ売」一茶

訳:過ぎ行く春の町よ。かさ売りやすだれ売りが、売り声をあげて通り過ぎて行く。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈帝室博物館にて〉

「はつなつの かぜとなりぬと みほとけは

       をゆびのうれに ほのしらすらし」

(初夏の風となりぬと御仏は 小指の末に仄知らすらし)

 

「こんでいの ほとけうすれし こんりょうの

だいまんだらに あぶのはねうつ」

(金泥の仏薄れし紺綾の 大曼荼羅に虻の羽打つ)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》922  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『興正菩薩三百五十年忌表白』

(こうしょうぼさつさんびゃくごじゅうねんきひょうはく) 

 

◆【右取香炉。左取念珠杵。】

 

〔右に香炉を取り左に念珠、杵(しょ①)を取る〕

 

 杵=五鈷杵。

 

◆【敬白三密教主三世常住浄妙法身摩訶毘盧遮那如来金剛胎蔵両部曼荼羅諸尊聖衆。殊三国伝灯諸大阿闍梨耶。惣浄法界宮密厳国土帝網重々一切三宝境界。毎驚而言。〈置香炉〉】

 

〔敬って三密教主、三世常住、淨妙法身、摩訶毘盧遮那如来、金剛胎蔵両部曼荼羅、諸尊聖衆、殊には三国伝燈、諸大阿闍梨耶、惣じては淨法界宮、密厳国土(みつごんこくど①)、帝網重々、一切三宝の境界に、毎驚(ばいけい②)、白(もう)して言(もう)さく。〈香炉を置く〉

 

 密厳国土=三密の万徳によって荘厳された大日如来の国土(浄土)。

 毎驚=常におどろいて。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

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2017年5月 8日 (月)

コスモス寺花だより  5・8

 

〔花ごよみ〕

 

○矢車菊:≪見ごろ≫別名、矢車草。ドイツの国花で「カイゼル(皇帝)菊」とも。

○紫雲蘭:≪見ごろ≫リナリアの野生種。

○シャガ:≪見ごろ≫別名、胡蝶花。

○梅花うつぎ:≪つぼみ≫

○山アジサイ:≪つぼみ≫

その他、ツルニチニチソウ、ニホンタンポポ、オドリコソウ、キンポウゲ、等の草花が咲いています。

 

○コスモス:≪つぼみ≫

夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇春の秘仏公開

重要文化財・白鳳秘仏銅造阿弥陀如来立像とその胎内仏などの御開扉があります。

日程は429日~510日。時間帯は午前9時~午後4時。特別拝観料として200円を別途頂戴します。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「瘦蛙 まけるな一茶 是に有」一茶

訳:痩せ蛙、負けるなよ。一茶が是にいるのだから。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈帝室博物館にて〉

「はつなつの かぜとなりぬと みほとけは

       をゆびのうれに ほのしらすらし」

(初夏の風となりぬと御仏は 小指の末に仄知らすらし)

 

「こんでいの ほとけうすれし こんりょうの

だいまんだらに あぶのはねうつ」

(金泥の仏薄れし紺綾の 大曼荼羅に虻の羽打つ)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》922  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『同願文』

◆【賁上綱広大恩恵。以之為緇素繁栄洪基。塵沙遍浴法雨。法界斉灑甘水。末弟敬白。

  天正十七年八月廿五日】

 

〔上綱(しょうこう①)の広大なる恩恵を賁(かざ)り、之を以って緇素(しそ②)繁栄の洪基(こうき③)と為す。塵沙(じんしゃ④)は遍く法雨(ほうう⑤)を浴び、法界(ほっかい⑥)は斉(ひと)しく甘水(かんすい⑦)を灑(そそ)ぐ。末弟(まってい⑧)敬って白す。

 

 天正十七年八月二十五日〕

 

 上綱=高僧。ここでは興正菩薩。

 緇素=道俗。出家人と在家人

 洪基=大きな事業の基礎。偉業のもとい。

 塵沙=無数の存在。

 法雨=のりのあめ。仏法があまねく衆生を救うのを、雨が万物を潤すことにたとえて言う。

 法界=世界、宇宙。

 甘水=甘露水。仏の教え。

 末弟=末の弟子。

(終わり)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

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2017年5月 7日 (日)

コスモス寺花だより  5・7

 

〔花ごよみ〕

 

○矢車菊:≪見ごろ≫別名、矢車草。ドイツの国花で「カイゼル(皇帝)菊」とも。

○紫雲蘭:≪見ごろ≫リナリアの野生種。

○シャガ:≪見ごろ≫別名、胡蝶花。

その他、牡丹、ツルニチニチソウ、ニホンタンポポ、キランソウ、オドリコソウ、キンポウゲ、等の草花が咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇春の秘仏公開

重要文化財・白鳳秘仏銅造阿弥陀如来立像とその胎内仏などの御開扉があります。

日程は429日~510日。時間帯は午前9時~午後4時。特別拝観料として200円を別途頂戴します。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「振り替る 柳の色や 雨あがり」一茶

訳:ふりかえってみて、青々とした柳の色に驚いたよ。この雨上がり。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈帝室博物館にて〉

「はつなつの かぜとなりぬと みほとけは

       をゆびのうれに ほのしらすらし」

(初夏の風となりぬと御仏は 小指の末に仄知らすらし)

 

「こんでいの ほとけうすれし こんりょうの

だいまんだらに あぶのはねうつ」

(金泥の仏薄れし紺綾の 大曼荼羅に虻の羽打つ)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》922  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『同願文』

◆【故今為厳興正菩薩深重本願。老少奉修曼荼羅大供。貴賎進飜廻雪鳳鸞袖。所修抽懇念。上綱垂哀憐。助衰末広廃。夫大樹幹堅者。杖葉修栄。本寺再昌者。末寺盍勇以之。】

 

〔故に今、興正菩薩の深重(じんじゅう①)なる本願(ほんがん②)を厳(おごそ)かにせんため、老いも少(わか)きも曼荼羅大供を修し奉る。貴きも賎しきも飜廻(ほんかい③)の雪鳳鸞袖(せつほうらんしゅう④)を進めん。修する所は懇念(こんねん⑤)を抽(ひ)き、上綱は哀憐(あいれん⑥)を垂れ、衰末広廃(すいまつこうはい⑦)を助く。夫れ大樹の幹堅ければ、杖葉も修栄す(ちょうようもしゅうえいす⑧)。本寺再び昌(さか)んなれば、末寺は盍(なん)ぞ勇みて以って之(ゆ)かざらんや。〕

 

 深重=深く大きい

 本願=もとからの誓願。

 飜廻=ひるがえりめぐる。

 雪鳳鸞袖=雪におおとり、鸞(鳳凰の一種、形は鶏に似て、羽毛は赤色を主として五色がまじり、声は音楽的で美しいという。)の袖。意味不詳。

 懇念=心をこめて念ずること。

 哀憐=悲しみ哀れむこと。

 衰末広廃=末世になれば世はおとろえ広く廃れていく。

 杖葉も修栄す=大きな木の幹が堅ければ枝葉も栄える。

 (つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男(たるたによしお)さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

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2017年5月 6日 (土)

コスモス寺花だより  5・6

 

〔花ごよみ〕

 

○矢車菊:≪見ごろ≫別名、矢車草。ドイツの国花で「カイゼル(皇帝)菊」とも。

○紫雲蘭:≪見ごろ≫リナリアの野生種。

○シャガ:≪見ごろ≫別名、胡蝶花。

その他、牡丹、ツルニチニチソウ、ニホンタンポポ、キランソウ、オドリコソウ、キンポウゲ、等の草花が咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇春の秘仏公開

重要文化財・白鳳秘仏銅造阿弥陀如来立像とその胎内仏などの御開扉があります。

日程は429日~510日。時間帯は午前9時~午後4時。特別拝観料として200円を別途頂戴します。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「是からも 未だ幾かへり まつの花」一茶

訳:これから先幾度も齢を重ねながら青々と若返り、末長く栄えてゆく見事な松の花。 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈帝室博物館にて〉

「はつなつの かぜとなりぬと みほとけは

       をゆびのうれに ほのしらすらし」

(初夏の風となりぬと御仏は 小指の末に仄知らすらし)

 

「こんでいの ほとけうすれし こんりょうの

だいまんだらに あぶのはねうつ」

(金泥の仏薄れし紺綾の 大曼荼羅に虻の羽打つ)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》921  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『同願文』

◆【今一戒之受持。無非師恩。栴檀微塵猶馥。堅樹之種無失。転識薫習頼耶摂蔵。浄頗梨影雖曇。感果因縁無朽。一犯可恐。一善可貯。軽重多少利害眼前。】

 

〔今、一戒の受持も、師恩に非ざるは無し。栴檀は微塵なれどもなお馥(かんば)し。堅樹(けんじゅ①)の種は失うこと無し。転識薫習(てんしきくんじゅう②)して頼那(らな③)に摂蔵(しょうぞう④)さる。淨頗梨(じょうはり⑤)の影は曇ると雖も、感果の因縁は無朽なり。一犯をも恐るべし、一善をも貯えるべし。軽重多少の利害は眼前たり。〕

 

 堅樹=かたい木質の木。

 転識薫習=眼・耳・鼻・舌・身・意識の六識の薫習(香りが物に沁みこむように心のはたらきが身に染む)。

 頼那=唯識でいう、第八識の阿頼耶識、第七識の末那識。

 摂蔵=収め蔵される。

 淨頗梨=曇りがない清らかな水晶またはガラスでできた浄玻璃の鏡は、閻魔庁において亡者の生前における善悪の所業を映し出すという。

 (つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男(たるたによしお)さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

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2017年5月 5日 (金)

コスモス寺花だより  5・5

 

〔花ごよみ〕

 

百花繚乱

○矢車菊:≪見ごろ≫別名、矢車草。ドイツの国花で「カイゼル(皇帝)菊」とも。

○紫雲蘭:≪見ごろ≫リナリアの野生種。

○シャガ:≪見ごろ≫別名、胡蝶花。

○日本桜草:≪見ごろ≫

その他、牡丹、ツルニチニチソウ、ニホンタンポポ、キランソウ、オドリコソウ、キンポウゲ、等の草花も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇春の秘仏公開

重要文化財・白鳳秘仏銅造阿弥陀如来立像とその胎内仏などの御開扉があります。

日程は429日~510日。時間帯は午前9時~午後4時。特別拝観料として200円を別途頂戴します。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「柳から ももんぐわとて 出る子哉」一茶

訳:柳の陰から「ももんがだあ」と言って出てくる子よ。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈帝室博物館にて〉

「はつなつの かぜとなりぬと みほとけは

       をゆびのうれに ほのしらすらし」

(初夏の風となりぬと御仏は 小指の末に仄知らすらし)

 

「こんでいの ほとけうすれし こんりょうの

だいまんだらに あぶのはねうつ」

(金泥の仏薄れし紺綾の 大曼荼羅に虻の羽打つ)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》920  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『同願文』

◆【為残是於来葉。集如来金口妙文。難解難入文讃釈易解。鳩杖之初修。無非迷津之摂受。雖然世下澆末。不辨盛衰。只入宝山空手。後必憂悔之誡遮眼。】

 

〔是を来葉(らいよう①)に残さんが為め、如来金口の妙文(こんくのみょうもん②)を集め、難解難入の文讃(なんげなんにゅうのぶんさん③)は、易解(いげ④)を釈す。鳩杖(きゅうじょう⑤)の修する所、迷津(めいしん⑥)の摂受(しょうじゅ⑦)に非ざるは無し。然りと雖も世は下り澆末(ぎょうまつ⑧)なり。盛衰を弁(わきま)えず、ただ宝山に入りても空手なり。後必憂悔の誡め(ごひつゆうげのいましめ⑨)は眼を遮る。〕

 

 来葉=のちの世、後世。

 金口の妙文=仏の金色の口より発せられた尊い教え。

 難解難入の文讃=解することも入ることも難しい偈頌の文章。

 易解=易しい解釈。

 鳩杖=昔、中国や日本で八十歳以上の老臣に下賜された鳩の彫刻を施した杖。高齢者のこと。

 迷津=衆生がさまよう三界六道の迷いの世界。

 摂受=衆生を導くため、その行為や心を受け入れること。

 澆末=道徳の薄れた人情軽薄な末の世、末世。

 後必憂悔の誡め=のちに必ず憂え悔いることになるという誡め。出典不詳。

 (つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

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2017年5月 4日 (木)

コスモス寺花だより  5・4

 

〔花ごよみ〕

 

百花繚乱

○矢車菊:≪見ごろ≫別名、矢車草。ドイツの国花で「カイゼル(皇帝)菊」とも。

○紫雲蘭:≪見ごろ≫リナリアの野生種。

○シャガ:≪見ごろ≫別名、胡蝶花。

○日本桜草:≪見ごろ≫

その他、牡丹、ツルニチニチソウ、ニホンタンポポ、キランソウ、オドリコソウ、キンポウゲ、等の草花も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇春の秘仏公開

重要文化財・白鳳秘仏銅造阿弥陀如来立像とその胎内仏などの御開扉があります。

日程は429日~510日。時間帯は午前9時~午後4時。特別拝観料として200円を別途頂戴します。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「鳥べのの 地蔵菩薩の 蕨哉」一茶

訳:鳥辺野の地蔵菩薩の傍らに出ている蕨よ。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈帝室博物館にて〉

「はつなつの かぜとなりぬと みほとけは

       をゆびのうれに ほのしらすらし」

(初夏の風となりぬと御仏は 小指の末に仄知らすらし)

 

「こんでいの ほとけうすれし こんりょうの

だいまんだらに あぶのはねうつ」

(金泥の仏薄れし紺綾の 大曼荼羅に虻の羽打つ)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》919  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『同願文』

◆【所以尋有縁於閻浮。得法器於貴賎。従三仏大戒三聚浄戒。至五篇七聚之制禁。隨機応根。施止作甘露妙薬。資三途八難苦悩。】

 

〔所以(ゆえん)は、有縁(うえん①)を閻浮(えんぶ②)に尋ね、法器(ほうき③)を貴賎(きせん④)に得る。三仏大戒(さんぶつたいかい⑤)の三聚浄戒(さんじゅじょうかい⑥)より五篇七聚(ごひんしちしゅう⑦)の制禁(せいきん⑧)に至るまで、機に随い根に応じ、止作(しさ⑨)甘露の妙薬を施し、三途八難(さんずはちなん⑩)の苦悩を資(たす)く。〕

 

 有縁=仏の教えを聞く機縁のあること。

 閻浮=閻浮提。人間世界、現世。

 法器=仏道修行をするに足る器量をそなえた人。

 貴賎=身分の上下にこだわらず。

 三仏大戒=法身、報身、応身

 三聚浄戒=菩薩戒。摂律儀、摂善法、摂衆生の三種類の戒。

 五篇七聚=四分律に説かれた具足戒。比丘ならば二百五十戒。

 制禁=きまりによってある行為を禁止すること。

 止作=諸悪をなさない止持戒と諸善を作す作善戒。

 三途八難=三途は熱苦を受ける火途(かず)、刀剣などで脅迫される刀途(とうず)、互いに相食む血途(けつず)。これを地獄、餓鬼、畜生の三悪道に配す。八難は三悪道に、長寿天、辺地、盲聾瘖亜、世智弁聡、仏前仏後を加える。これらの境界は、仏道修行の障碍となり仏法を聞くことができない。

 (つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

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2017年5月 3日 (水)

コスモス寺花だより  5・3

 

〔花ごよみ〕

 

百花繚乱

○矢車菊:≪見ごろ≫

○紫雲蘭:≪見ごろ≫

○シャガ:≪見ごろ≫

○日本桜草:≪見ごろ≫

その他、牡丹、ツルニチニチソウ、ニホンタンポポ、キランソウ、オドリコソウ、キンポウゲ、等の草花も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇春の秘仏公開

重要文化財・白鳳秘仏銅造阿弥陀如来立像とその胎内仏などの御開扉があります。

日程は429日~510日。時間帯は午前9時~午後4時。特別拝観料として200円を別途頂戴します。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「木々おのおの 名乗り出たる 木の芽哉」一茶

訳:木々がそれぞれ、おれだよわたしよ、と名乗り出たような木の芽だよ。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈帝室博物館にて〉

「はつなつの かぜとなりぬと みほとけは

       をゆびのうれに ほのしらすらし」

(初夏の風となりぬと御仏は 小指の末に仄知らすらし)

 

「こんでいの ほとけうすれし こんりょうの

だいまんだらに あぶのはねうつ」

(金泥の仏薄れし紺綾の 大曼荼羅に虻の羽打つ)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》919  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『同願文』

◆【倩尋抜苦与楽之大要。受地獄鬼畜之報。依毀戒師軽重。感浄土菩提之果。只是依性遮之戒善。微塵成覚之金文。因縁果満之詮要。眼前勝利者哉。】

 

〔倩(つらつら)抜苦与楽(ばっくよらく①)の大要(たいよう②)を尋ぬるに、地獄鬼畜(じごくきちく③)の報を受くるは毀戒の軽重(きかいのけいじゅう④)に依り、浄土菩提(じょうどぼだい⑤)の果を感ずるは、只是れ性遮(しょうしゃ⑥)の戒善(かいぜん⑦)に依る。微塵成覚(みじんじょうがく⑧)の金文、因縁果満⑨の詮要、眼前の勝利のものかな。

 

 抜苦与楽=衆生の苦を取り除いて、楽を与えること。慈悲のはたらきをいう。

 大要=ある物事のなかで、特に肝要とみられるもの。

 地獄鬼畜=地獄、餓鬼、畜生。悪業の結果堕ちる三つの悪道。三悪趣、三悪。

 毀戒の軽重=破戒の罪の軽重。

 浄土菩提=仏のお浄土に生まれ悟りを得ること。

 性遮=性戒と遮戒。性戒は仏の制戒を待たずとも人間として守るべき戒、例えば殺生・偸盗・邪婬・妄語の戒。遮戒は過失を生ずる故制止される戒、例えば飲酒などの戒。

 戒善=持戒善根の略。持戒によって得られる善根。五戒を保てば人間に生まれ、十善戒を保てば天子、国王に生まれるという教え。

 微塵成覚=きわめて微細なものもさとりを成ずること。

 因縁果満=因と縁に依って果が満つること。

 (つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

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2017年5月 2日 (火)

コスモス寺花だより  5・2

 

〔花ごよみ〕

 

百花繚乱

○矢車菊:≪見ごろ≫

○紫雲蘭:≪見ごろ≫

○山吹:≪満開すぎ≫黄色一重咲・八重咲、白山吹。

○シャガ:≪見ごろ≫

○日本桜草:≪見ごろ≫

その他、牡丹、ツルニチニチソウ、ニホンタンポポ、キランソウ、オドリコソウ、キンポウゲ、等の草花も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇春の秘仏公開

重要文化財・白鳳秘仏銅造阿弥陀如来立像とその胎内仏などの御開扉があります。

日程は429日~510日。時間帯は午前9時~午後4時。特別拝観料として200円を別途頂戴します。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「なの花の 中を浅間の けぶり哉」一茶

訳:菜の花が一面に咲く中を浅間山の煙が上がって行くよ。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈帝室博物館にて〉

「はつなつの かぜとなりぬと みほとけは

       をゆびのうれに ほのしらすらし」

(初夏の風となりぬと御仏は 小指の末に仄知らすらし)

 

「こんでいの ほとけうすれし こんりょうの

だいまんだらに あぶのはねうつ」

(金泥の仏薄れし紺綾の 大曼荼羅に虻の羽打つ)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》919  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『同願文』

 ◆【  弟子等敬白

  奉修舞楽曼荼羅大供一座

     右作善甄録如斯

観夫。一代半満之教。資八万四千群機。如来出世之本懐。只在穢悪利生之一門。爰我本師叡尊上綱。大慈大悲之弘濟。偏為善逝摂受之使。】

 

〔弟子等敬って白す。

舞楽曼荼羅大供一座を修し奉る。

   右、作善甄録(さぜんけんろく①)斯くの如し。

 

観(かんがみ)れば夫れ、一代半満の教(②)は、八万四千の群機(ぐんき③)を資(たす)く。如来出世の本懐(にょらいしゅっせのほんかい(④)は、只だ穢悪利生(えおりしょう⑤)の一門に在り。爰に我が本師叡尊上綱(しょうこう)は、大慈大悲の弘濟(こうさい⑥)、偏に善逝(ぜんぜい⑦)摂受(しょうじゅ⑧)の使いたり。)

 

 作善甄録=善業の詳細な記録。

 一代半満の教=半満は半字教(小乗)と満字教(大乗)釈尊一代のすべての教え。

 群機=群生。多くの衆生。

④如来出世の本懐=釈迦如来が衆生を救うためにこの世に現れ出られた本意、本願は。

⑤穢悪利生=煩悩が充満してけがれ罪深いこの世において衆生を済度すること。

⑥弘濟=広くすくう。

⑦善逝=如来十号の一つ。梵・スガタ。迷いの世界を去って、悟りの彼岸におもむき、再び迷いの生死海には戻ってこないもの。

⑧摂受=衆生を導くために、衆生の善を受け入れ、収めとること。

(つづく)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

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2017年5月 1日 (月)

コスモス寺花だより  5・1

 

〔花ごよみ〕

 

百花繚乱

○山吹:≪見ごろ≫黄色一重咲・八重咲、白山吹。

○シャガ:≪見ごろ≫

○日本桜草:≪見ごろ≫

○矢車菊:≪見ごろ≫

○紫雲蘭:≪見ごろ≫

その他、ツルニチニチソウ、ニホンタンポポ、キランソウ、オドリコソウ、キンポウゲ、等の草花も咲いています。

 

○コスモス:夏(6~7月)と秋(9~11月)に咲きます。

開花予定:・夏咲=3万本。 67月  

     ・秋咲=15万本 911月 

     満開のピークは10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇春の秘仏公開

重要文化財・白鳳秘仏銅造阿弥陀如来立像とその胎内仏などの御開扉があります。

日程は429日~510日。時間帯は午前9時~午後4時。特別拝観料として200円を別途頂戴します。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて、415日~611

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「なの花の とつぱづれ也 富士の」一茶

訳:菜の花の畑のとっぱづれにあるのだなあ。富士の山は。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈帝室博物館にて〉

「はつなつの かぜとなりぬと みほとけは

       をゆびのうれに ほのしらすらし」

(初夏の風となりぬと御仏は 小指の末に仄知らすらし)

 

「こんでいの ほとけうすれし こんりょうの

だいまんだらに あぶのはねうつ」

(金泥の仏薄れし紺綾の 大曼荼羅に虻の羽打つ)

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》919  

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

 

『同諷誦文』

◆【三世仏陀。照本末精勤之誠。十方冥衆。哀緇素懇念之志。上綱哀納故。帰在生弘濟之昔。再挑戒月灯。倍瑩慧日光。宗教弥一天。済生施四海。仍諷誦所修如件。

  天正十七年八月廿五日】

 

〔三世の仏陀は、本末精勤(ほんまつしょうごん①)の誠を照らし、十方の冥衆は、緇素懇念の志を哀れむ。上綱(しょうこう②)哀納するが故に、在生弘濟(ざいせこうさい)の昔に帰し、再び戒月の燈を挑(かか)げ、倍(ますます)慧日の光を瑩(かがや)かす。宗教(しゅうきょう④)は彌(いよいよ)、一天の生(いってんのせい⑤)を濟(すく)い四海に施さん。

仍って諷誦修する所、件の如し。

 

天正十七年八月廿五日

 

 本末精勤=本山西大寺と末寺が仏道修行に励むこと。

 上綱=碩学の僧、興正菩薩のこと。

 在世弘濟=仏が世に在り弘く衆生を済度すること。

 宗教=宗門の教え。

 一天の生=一天下(いってんげ)、すなわち世の中全体の衆生。

(終わり)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりですよ、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(4.5ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんですよ。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

数あります。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

仲川市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○京都の清水寺や奈良の東大寺、このすぐ横にごみ焼却場は建てられませんね。それでは同じ国宝の寺である浄瑠璃寺は価値が低いとでも言うのでしょうか。

奈良市民全体の知的レベルが問われている問題です。

○「奈良市クリーンセンター移設計画の白紙撤回を求める会」は、毎週木曜日の早朝7時から一時間、近鉄奈良駅・西大寺駅・学園前駅・新大宮駅・高の原駅などの各駅前の広場で反対署名の宣伝活動を行っています。またそのあとには住宅地へ入りスポット演説をします。主宰者は「奈良市のお財布を考える会」の樽谷佳男さんです。また日常的にノボリ旗と大看板を荷台に設置したトラックが奈良の町を走り回っています。その看板には「ストップ! 奈良市クリーンセンター移転計画」「文化財を壊す奈良市ゴミ工場の 東部移転断固反対」「奈良市はごみ焼却場で 国宝浄瑠璃寺を壊すのか!」の文句が踊っています。私たちは、7月の市長選、市議選では、「古都の文化財」を本気で守ってくれる候補者を応援します。

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