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2017年7月

2017年7月31日 (月)

コスモス寺花だより  7・31

 

〔花だより〕

 

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪咲きはじめ≫

〇ヤブカンゾウ:(見ごろ)

〇鬼百合:≪見ごろ≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。20種類 

 満開は10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇御本尊文殊菩薩騎獅像は「あべのハルカス美術館」での『西大寺展』に出開帳のため、7月6日より9月24日までご不在になられます。その間、本堂のお厨子には秘仏の阿弥陀如来立像(平安時代)を安置し拝観していただきます。普段は拝めない仏様です。

◇「般若寺表参詣道」が整備されています。今年の9月1日には完成予定で、「表参道」から「正面口」の拝観受付を通ってご参詣していただけるようになります。これで旧街道の「京街道」と昭和の新道「県道754」(旧国道24号線)につながり、東西双方向からの参詣が可能となります。大型バスも入場可能となり、今まで御参詣の皆様におかけしたご不便が解消されます。従来の北口は一応閉鎖しますが、秋のコスモスシーズンには臨時に開きます。

 

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「せみなくや つくつく赤い 風車(かざぐるま)」一茶

訳:蝉がけたたましく鳴いているよ。しんそこから赤い風車。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈滝坂にて〉

「かけおちて いはのしたなる くさむらの

       つちとなりけむ ほとけかなしも」

(欠け落ちて岩のしたなる草叢の 土となりけむ仏悲しも)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。7月の選挙で選ばれる新市長は早期再建を断行すべし。

7/11の奈良新聞記事によると、新市長の仲川氏は当選後の記者取材に応じ、クリーンセンター問題で「今までは公害調停順守の立場で移転ありきのスタンスだったが、市全体の利益を考えれば現地建て替えを選択肢から除外するのは非現実的」と述べた。これは重大な方針転換の発言ではありますが、正論です。奈良市の厳しい財政事情をまじめに考えるならば移転など不可能なことです。現実を見据えた仲川市長の新提案が実現されるよう応援したいです。

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2017年7月30日 (日)

コスモス寺花だより  7・30

 

〔花だより〕

 

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪咲きはじめ≫

〇ヤブカンゾウ:(見ごろ)

〇鬼百合:≪見ごろ≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。20種類 

 満開は10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇御本尊文殊菩薩騎獅像は「あべのハルカス美術館」での『西大寺展』に出開帳のため、7月6日より9月24日までご不在になられます。その間、本堂のお厨子には秘仏の阿弥陀如来立像(平安時代)を安置し拝観していただきます。普段は拝めない仏様です。

◇「般若寺表参詣道」が整備されています。今年の9月1日には完成予定で、「表参道」から「正面口」の拝観受付を通ってご参詣していただけるようになります。これで旧街道の「京街道」と昭和の新道「県道754」(旧国道24号線)につながり、東西双方向からの参詣が可能となります。大型バスも入場可能となり、今まで御参詣の皆様におかけしたご不便が解消されます。従来の北口は一応閉鎖しますが、秋のコスモスシーズンには臨時に開きます。

 

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「蝉鳴や 天にひつつく 筑摩(ちくま)川」一茶

訳:蝉が鳴いているよ。天にひっつくように流れる千曲川。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈滝坂にて〉

「かけおちて いはのしたなる くさむらの

       つちとなりけむ ほとけかなしも」

(欠け落ちて岩のしたなる草叢の 土となりけむ仏悲しも)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。7月の選挙で選ばれる新市長は早期再建を断行すべし。

7/11の奈良新聞記事によると、新市長の仲川氏は当選後の記者取材に応じ、クリーンセンター問題で「今までは公害調停順守の立場で移転ありきのスタンスだったが、市全体の利益を考えれば現地建て替えを選択肢から除外するのは非現実的」と述べた。これは重大な方針転換の発言ではありますが、正論です。奈良市の厳しい財政事情をまじめに考えるならば移転など不可能なことです。現実を見据えた仲川市長の新提案が実現されるよう応援したいです。

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2017年7月29日 (土)

コスモス寺花だより  7・29

 

〔花だより〕

 

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪咲きはじめ≫

〇ヤブカンゾウ:(見ごろ)

〇鬼百合:≪見ごろ≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。20種類 

 満開は10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇御本尊文殊菩薩騎獅像は「あべのハルカス美術館」での『西大寺展』に出開帳のため、7月6日より9月24日までご不在になられます。その間、本堂のお厨子には秘仏の阿弥陀如来立像(平安時代)を安置し拝観していただきます。普段は拝めない仏様です。

◇「般若寺表参詣道」が整備されています。今年の9月1日には完成予定で、「表参道」から「正面口」の拝観受付を通ってご参詣していただけるようになります。これで旧街道の「京街道」と昭和の新道「県道754」(旧国道24号線)につながり、東西双方向からの参詣が可能となります。大型バスも入場可能となり、今まで御参詣の皆様におかけしたご不便が解消されます。従来の北口は一応閉鎖しますが、秋のコスモスシーズンには臨時に開きます。

 

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「恋をせよ こいをせよせよ 夏のせみ」一茶

訳:恋をしなさい、恋をしなさいと夏の蝉。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈滝坂にて〉

「かけおちて いはのしたなる くさむらの

       つちとなりけむ ほとけかなしも」

(欠け落ちて岩のしたなる草叢の 土となりけむ仏悲しも)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。7月の選挙で選ばれる新市長は早期再建を断行すべし。

7/11の奈良新聞記事によると、新市長の仲川氏は当選後の記者取材に応じ、クリーンセンター問題で「今までは公害調停順守の立場で移転ありきのスタンスだったが、市全体の利益を考えれば現地建て替えを選択肢から除外するのは非現実的」と述べた。これは重大な方針転換の発言ではありますが、正論です。奈良市の厳しい財政事情をまじめに考えるならば移転など不可能なことです。現実を見据えた仲川市長の新提案が実現されるよう応援したいです。

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2017年7月28日 (金)

コスモス寺花だより  7・28

 

〔花だより〕

 

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪咲きはじめ≫

〇ヤブカンゾウ:(見ごろ)

〇鬼百合:≪見ごろ≫

〇百日紅(さるすべり):≪見ごろ≫

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。20種類 

 満開は10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇御本尊文殊菩薩騎獅像は「あべのハルカス美術館」での『西大寺展』に出開帳のため、7月6日より9月24日までご不在になられます。その間、本堂のお厨子には秘仏の阿弥陀如来立像(平安時代)を安置し拝観していただきます。普段は拝めない仏様です。

◇「般若寺表参詣道」が整備されています。今年の9月1日には完成予定で、「表参道」から「正面口」の拝観受付を通ってご参詣していただけるようになります。これで旧街道の「京街道」と昭和の新道「県道754」(旧国道24号線)につながり、東西双方向からの参詣が可能となります。大型バスも入場可能となり、今まで御参詣の皆様におかけしたご不便が解消されます。従来の北口は一応閉鎖しますが、秋のコスモスシーズンには臨時に開きます。

 

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「逃(にげ)くらし くらしけり 夏のせみ」一茶

訳:逃げてはくらし逃げてはくらす夏の蝉。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈滝坂にて〉

「かけおちて いはのしたなる くさむらの

       つちとなりけむ ほとけかなしも」

(欠け落ちて岩のしたなる草叢の 土となりけむ仏悲しも)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。7月の選挙で選ばれる新市長は早期再建を断行すべし。

7/11の奈良新聞記事によると、新市長の仲川氏は当選後の記者取材に応じ、クリーンセンター問題で「今までは公害調停順守の立場で移転ありきのスタンスだったが、市全体の利益を考えれば現地建て替えを選択肢から除外するのは非現実的」と述べた。これは重大な方針転換の発言ではありますが、正論です。奈良市の厳しい財政事情をまじめに考えるならば移転など不可能なことです。現実を見据えた仲川市長の新提案が実現されるよう応援したいです。

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2017年7月26日 (水)

コスモス寺花だより  7・26

 

〔花だより〕

 

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪咲きはじめ≫

〇ヤブカンゾウ:(見ごろ)

〇鬼百合:≪見ごろ≫

〇百日紅(さるすべり):≪咲きはじめ≫

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。20種類 

 満開は10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇御本尊文殊菩薩騎獅像は「あべのハルカス美術館」での『西大寺展』に出開帳のため、7月6日より9月24日までご不在になられます。その間、本堂のお厨子には秘仏の阿弥陀如来立像(平安時代)を安置し拝観していただきます。普段は拝めない仏様です。

◇「般若寺表参詣道」が整備されています。今年の9月1日には完成予定で、「表参道」から「正面口」の拝観受付を通ってご参詣していただけるようになります。これで旧街道の「京街道」と昭和の新道「県道754」(旧国道24号線)につながり、東西双方向からの参詣が可能となります。大型バスも入場可能となり、今まで御参詣の皆様におかけしたご不便が解消されます。従来の北口は一応閉鎖しますが、秋のコスモスシーズンには臨時に開きます。

 

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「蝉なくや 我家も石に なるように」一茶

訳:蝉がけたたましく鳴いているよ。わが家も石になるほどに。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈滝坂にて〉

「かけおちて いはのしたなる くさむらの

       つちとなりけむ ほとけかなしも」

(欠け落ちて岩のしたなる草叢の 土となりけむ仏悲しも)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。7月の選挙で選ばれる新市長は早期再建を断行すべし。

7/11の奈良新聞記事によると、新市長の仲川氏は当選後の記者取材に応じ、クリーンセンター問題で「今までは公害調停順守の立場で移転ありきのスタンスだったが、市全体の利益を考えれば現地建て替えを選択肢から除外するのは非現実的」と述べた。これは重大な方針転換の発言ではありますが、正論です。奈良市の厳しい財政事情をまじめに考えるならば移転など不可能なことです。現実を見据えた仲川市長の新提案が実現されるよう応援したいです。

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2017年7月25日 (火)

コスモス寺花だより  7・25

 

〔花だより〕

 

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪咲きはじめ≫

〇ヤブカンゾウ:(見ごろ)

〇鬼百合:≪見ごろ≫

〇百日紅(さるすべり):≪つぼみ≫

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。20種類 

 満開は10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇御本尊文殊菩薩騎獅像は「あべのハルカス美術館」での『西大寺展』に出開帳のため、7月6日より9月24日までご不在になられます。その間、本堂のお厨子には秘仏の阿弥陀如来立像(平安時代)を安置し拝観していただきます。普段は拝めない仏様です。

◇「般若寺表参詣道」が整備されています。今年の9月1日には完成予定で、「表参道」から「正面口」の拝観受付を通ってご参詣していただけるようになります。これで旧街道の「京街道」と昭和の新道「県道754」(旧国道24号線)につながり、東西双方向からの参詣が可能となります。大型バスも入場可能となり、今まで御参詣の皆様におかけしたご不便が解消されます。従来の北口は一応閉鎖しますが、秋のコスモスシーズンには臨時に開きます。

 

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「蝉鳴や 今象潟(きさがた)が つぶれしと」一茶

訳:蝉が鳴いている。今、象潟がつぶれてしまったと。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈滝坂にて〉

「かけおちて いはのしたなる くさむらの

       つちとなりけむ ほとけかなしも」

(欠け落ちて岩のしたなる草叢の 土となりけむ仏悲しも)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。7月の選挙で選ばれる新市長は早期再建を断行すべし。

7/11の奈良新聞記事によると、新市長の仲川氏は当選後の記者取材に応じ、クリーンセンター問題で「今までは公害調停順守の立場で移転ありきのスタンスだったが、市全体の利益を考えれば現地建て替えを選択肢から除外するのは非現実的」と述べた。これは重大な方針転換の発言ではありますが、正論です。奈良市の厳しい財政事情をまじめに考えるならば移転など不可能なことです。現実を見据えた仲川市長の新提案が実現されるよう応援したいです。

 

 

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2017年7月24日 (月)

コスモス寺花だより  7・24

 

〔花だより〕

 

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪咲きはじめ≫

〇ヤブカンゾウ:(見ごろ)

〇鬼百合:≪見ごろ≫

〇百日紅(さるすべり):≪つぼみ≫

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。20種類 

 満開は10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇御本尊文殊菩薩騎獅像は「あべのハルカス美術館」での『西大寺展』に出開帳のため、7月6日より9月24日までご不在になられます。その間、本堂のお厨子には秘仏の阿弥陀如来立像(平安時代)を安置し拝観していただきます。普段は拝めない仏様です。

◇「般若寺表参詣道」が整備されています。今年の9月1日には完成予定で、「表参道」から「正面口」の拝観受付を通ってご参詣していただけるようになります。これで旧街道の「京街道」と昭和の新道「県道754」(旧国道24号線)につながり、東西双方向からの参詣が可能となります。大型バスも入場可能となり、今まで御参詣の皆様におかけしたご不便が解消されます。従来の北口は一応閉鎖しますが、秋のコスモスシーズンには臨時に開きます。

 

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「湖に 尻を吹かせて 蝉の声」一茶

訳:湖から吹いてくる風に尻を向けて蝉が鳴いている。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈滝坂にて〉

「かけおちて いはのしたなる くさむらの

       つちとなりけむ ほとけかなしも」

(欠け落ちて岩のしたなる草叢の 土となりけむ仏悲しも)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。7月の選挙で選ばれる新市長は早期再建を断行すべし。

7/11の奈良新聞記事によると、新市長の仲川氏は当選後の記者取材に応じ、クリーンセンター問題で「今までは公害調停順守の立場で移転ありきのスタンスだったが、市全体の利益を考えれば現地建て替えを選択肢から除外するのは非現実的」と述べた。これは重大な方針転換の発言ではありますが、正論です。奈良市の厳しい財政事情をまじめに考えるならば移転など不可能なことです。現実を見据えた仲川市長の新提案が実現されるよう応援したいです。

 

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2017年7月23日 (日)

コスモス寺花だより  7・23

 

〔花だより〕

 

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪咲きはじめ≫

〇ヤブカンゾウ:(見ごろ)

〇鬼百合:≪見ごろ≫

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。20種類 

 満開は10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇御本尊文殊菩薩騎獅像は「あべのハルカス美術館」での『西大寺展』に出開帳のため、7月6日より9月24日までご不在になられます。その間、本堂のお厨子には秘仏の阿弥陀如来立像(平安時代)を安置し拝観していただきます。普段は拝めない仏様です。

◇「般若寺表参詣道」が整備されています。今年の9月1日には完成予定で、「表参道」から「正面口」の拝観受付を通ってご参詣していただけるようになります。これで旧街道の「京街道」と昭和の新道「県道754」(旧国道24号線)につながり、東西双方向からの参詣が可能となります。大型バスも入場可能となり、今まで御参詣の皆様におかけしたご不便が解消されます。従来の北口は一応閉鎖しますが、秋のコスモスシーズンには臨時に開きます。

 

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「母恋し 恋しと蝉も 聞ゆらん」一茶

訳:「母恋し」「母恋し」と蝉も聞いているのだろうね。。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈滝坂にて〉

「かけおちて いはのしたなる くさむらの

       つちとなりけむ ほとけかなしも」

(欠け落ちて岩のしたなる草叢の 土となりけむ仏悲しも)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。7月の選挙で選ばれる新市長は早期再建を断行すべし。

7/11の奈良新聞記事によると、新市長の仲川氏は当選後の記者取材に応じ、クリーンセンター問題で「今までは公害調停順守の立場で移転ありきのスタンスだったが、市全体の利益を考えれば現地建て替えを選択肢から除外するのは非現実的」と述べた。これは重大な方針転換の発言ではありますが、正論です。奈良市の厳しい財政事情をまじめに考えるならば移転など不可能なことです。現実を見据えた仲川市長の新提案が実現されるよう応援したいです。

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2017年7月22日 (土)

コスモス寺花だより  7・22

 

〔花だより〕

 

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪咲きはじめ≫

〇ヤブカンゾウ:(見ごろ)

〇鬼百合:≪見ごろ≫

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。20種類 

 満開は10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇御本尊文殊菩薩騎獅像は「あべのハルカス美術館」での『西大寺展』に出開帳のため、7月6日より9月24日までご不在になられます。その間、本堂のお厨子には秘仏の阿弥陀如来立像(平安時代)を安置し拝観していただきます。普段は拝めない仏様です。

◇「般若寺表参詣道」が整備されています。今年の9月1日には完成予定で、「表参道」から「正面口」の拝観受付を通ってご参詣していただけるようになります。これで旧街道の「京街道」と昭和の新道「県道754」(旧国道24号線)につながり、東西双方向からの参詣が可能となります。大型バスも入場可能となり、今まで御参詣の皆様におかけしたご不便が解消されます。従来の北口は一応閉鎖しますが、秋のコスモスシーズンには臨時に開きます。

 

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「痩蚤(やせのみ)の かはいや留主(るす)に なる庵」一茶

訳:痩せた蚤が可愛らしく思われるなあ。これから主人が留守になる庵にいては。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈滝坂にて〉

「かけおちて いはのしたなる くさむらの

       つちとなりけむ ほとけかなしも」

(欠け落ちて岩のしたなる草叢の 土となりけむ仏悲しも)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。7月の選挙で選ばれる新市長は早期再建を断行すべし。

7/11の奈良新聞記事によると、新市長の仲川氏は当選後の記者取材に応じ、クリーンセンター問題で「今までは公害調停順守の立場で移転ありきのスタンスだったが、市全体の利益を考えれば現地建て替えを選択肢から除外するのは非現実的」と述べた。これは重大な方針転換の発言ではありますが、正論です。奈良市の厳しい財政事情をまじめに考えるならば移転など不可能なことです。現実を見据えた仲川市長の新提案が実現されるよう応援したいです。

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2017年7月21日 (金)

コスモス寺花だより  7・21

 

〔花だより〕

 

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪咲きはじめ≫

〇ヤブカンゾウ:(見ごろ)

〇鬼百合:≪見ごろ≫

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。20種類 

 満開は10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇御本尊文殊菩薩騎獅像は「あべのハルカス美術館」での『西大寺展』に出開帳のため、7月6日より9月24日までご不在になられます。その間、本堂のお厨子には秘仏の阿弥陀如来立像(平安時代)を安置し拝観していただきます。普段は拝めない仏様です。

◇「般若寺表参詣道」が整備されています。今年の9月1日には完成予定で、「表参道」から「正面口」の拝観受付を通ってご参詣していただけるようになります。これで旧街道の「京街道」と昭和の新道「県道754」(旧国道24号線)につながり、東西双方向からの参詣が可能となります。大型バスも入場可能となり、今まで御参詣の皆様におかけしたご不便が解消されます。従来の北口は一応閉鎖しますが、秋のコスモスシーズンには臨時に開きます。

 

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「飛び下手の 蚤のかわいさ まさりけり」一茶

訳:飛び下手の蚤がうろうろしている。その姿を見ていると可愛くなってしまったよ。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈滝坂にて〉

「かけおちて いはのしたなる くさむらの

       つちとなりけむ ほとけかなしも」

(欠け落ちて岩のしたなる草叢の 土となりけむ仏悲しも)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。7月の選挙で選ばれる新市長は早期再建を断行すべし。

7/11の奈良新聞記事によると、新市長の仲川氏は当選後の記者取材に応じ、クリーンセンター問題で「今までは公害調停順守の立場で移転ありきのスタンスだったが、市全体の利益を考えれば現地建て替えを選択肢から除外するのは非現実的」と述べた。これは重大な方針転換の発言ではありますが、正論です。奈良市の厳しい財政事情をまじめに考えるならば移転など不可能なことです。現実を見据えた仲川市長の新提案が実現されるよう応援したいです。

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2017年7月20日 (木)

コスモス寺花だより  7・20

 

〔花だより〕

 

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪咲きはじめ≫

〇ヤブカンゾウ:(見ごろ)

〇鬼百合:≪見ごろ≫

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。20種類 

 満開は10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇御本尊文殊菩薩騎獅像は「あべのハルカス美術館」での『西大寺展』に出開帳のため、7月6日より9月24日までご不在になられます。その間、本堂のお厨子には秘仏の阿弥陀如来立像(平安時代)を安置し拝観していただきます。普段は拝めない仏様です。

◇「般若寺表参詣道」が整備されています。今年の9月1日には完成予定で、「表参道」から「正面口」の拝観受付を通ってご参詣していただけるようになります。これで旧街道の「京街道」と昭和の新道「県道754」(旧国道24号線)につながり、東西双方向からの参詣が可能となります。大型バスも入場可能となり、今まで御参詣の皆様におかけしたご不便が解消されます。従来の北口は一応閉鎖しますが、秋のコスモスシーズンには臨時に開きます。

 

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「蚤の迹(あと) それもわかきは うつくしき」一茶

訳:蚤に食われたあと、そのあとも若い人は美しいなあ。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈滝坂にて〉

「かけおちて いはのしたなる くさむらの

       つちとなりけむ ほとけかなしも」

(欠け落ちて岩のしたなる草叢の 土となりけむ仏悲しも)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。7月の選挙で選ばれる新市長は早期再建を断行すべし。

7/11の奈良新聞記事によると、新市長の仲川氏は当選後の記者取材に応じ、クリーンセンター問題で「今までは公害調停順守の立場で移転ありきのスタンスだったが、市全体の利益を考えれば現地建て替えを選択肢から除外するのは非現実的」と述べた。これは重大な方針転換の発言ではありますが、正論です。奈良市の厳しい財政事情をまじめに考えるならば移転など不可能なことです。現実を見据えた仲川市長の新提案が実現されるよう応援したいです。

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2017年7月19日 (水)

コスモス寺花だより  7・19

 

〔花だより〕

 

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪咲きはじめ≫

〇ヤブカンゾウ:(見ごろ)

〇鬼百合:≪つぼみ≫

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。20種類 

 満開は10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇御本尊文殊菩薩騎獅像は「あべのハルカス美術館」での『西大寺展』に出開帳のため、7月6日より9月24日までご不在になられます。その間、本堂のお厨子には秘仏の阿弥陀如来立像(平安時代)を安置し拝観していただきます。普段は拝めない仏様です。

◇「般若寺表参詣道」が整備されています。今年の9月1日には完成予定で、「表参道」から「正面口」の拝観受付を通ってご参詣していただけるようになります。これで旧街道の「京街道」と昭和の新道「県道754」(旧国道24号線)につながり、東西双方向からの参詣が可能となります。大型バスも入場可能となり、今まで御参詣の皆様におかけしたご不便が解消されます。従来の北口は一応閉鎖しますが、秋のコスモスシーズンには臨時に開きます。

 

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「無常鐘 蠅虫めらも よつくきけ」一茶

訳:諸行無常の鐘の声を蠅どもも、よく聞け。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈香薬師を拝して〉

「みほとけの うつらまなこに いにしへの

       やまとくにばら かすみてあるらし」

(御仏のうつら眼に古への 大和国原霞みてあるらし

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。7月の選挙で選ばれる新市長は早期再建を断行すべし。

7/11の奈良新聞記事によると、新市長の仲川氏は当選後の記者取材に応じ、クリーンセンター問題で「今までは公害調停順守の立場で移転ありきのスタンスだったが、市全体の利益を考えれば現地建て替えを選択肢から除外するのは非現実的」と述べた。これは重大な方針転換の発言ではありますが、正論です。奈良市の厳しい財政事情をまじめに考えるならば移転など不可能なことです。現実を見据えた仲川市長の新提案が実現されるよう応援したいです。

 

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コスモス寺花だより  7・19

 

〔花だより〕

 

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪咲きはじめ≫

〇ヤブカンゾウ:(見ごろ)

〇鬼百合:≪つぼみ≫

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。20種類 

 満開は10月上旬です。

 

≪ニュース≫

◇御本尊文殊菩薩騎獅像は「あべのハルカス美術館」での『西大寺展』に出開帳のため、7月6日より9月24日までご不在になられます。その間、本堂のお厨子には秘仏の阿弥陀如来立像(平安時代)を安置し拝観していただきます。普段は拝めない仏様です。

◇「般若寺表参詣道」が整備されています。今年の9月1日には完成予定で、「表参道」から「正面口」の拝観受付を通ってご参詣していただけるようになります。これで旧街道の「京街道」と昭和の新道「県道754」(旧国道24号線)につながり、東西双方向からの参詣が可能となります。大型バスも入場可能となり、今まで御参詣の皆様におかけしたご不便が解消されます。従来の北口は一応閉鎖しますが、秋のコスモスシーズンには臨時に開きます。

 

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「無常鐘 蠅虫めらも よつくきけ」一茶

訳:諸行無常の鐘の声を蠅どもも、よく聞け。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈香薬師を拝して〉

「みほとけの うつらまなこに いにしへの

       やまとくにばら かすみてあるらし」

(御仏のうつら眼に古への 大和国原霞みてあるらし

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。7月の選挙で選ばれる新市長は早期再建を断行すべし。

7/11の奈良新聞記事によると、新市長の仲川氏は当選後の記者取材に応じ、クリーンセンター問題で「今までは公害調停順守の立場で移転ありきのスタンスだったが、市全体の利益を考えれば現地建て替えを選択肢から除外するのは非現実的」と述べた。これは重大な方針転換の発言ではありますが、正論です。奈良市の厳しい財政事情をまじめに考えるならば移転など不可能なことです。現実を見据えた仲川市長の新提案が実現されるよう応援したいです。

 

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2017年7月18日 (火)

コスモス寺花だより  7・18

 

〔花だより〕

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。20種類 

 満開は10月上旬です。

 

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪咲きはじめ≫

〇ヤブカンゾウ:(見ごろ)

〇鬼百合:≪つぼみ≫

 

≪ニュース≫

◇御本尊文殊菩薩騎獅像は「あべのハルカス美術館」での『西大寺展』に出開帳のため、7月6日より9月24日までご不在になられます。その間、本堂のお厨子には秘仏の阿弥陀如来立像(平安時代)を安置し拝観していただきます。普段は拝めない仏様です。

◇「般若寺表参詣道」が整備されています。今年の9月1日には完成予定で、「表参道」から「正面口」の拝観受付を通ってご参詣していただけるようになります。これで旧街道の「京街道」と昭和の新道「県道754」(旧国道24号線)につながり、東西双方向からの参詣が可能となります。大型バスも入場可能となり、今まで御参詣の皆様におかけしたご不便が解消されます。従来の北口は一応閉鎖しますが、秋のコスモスシーズンには臨時に開きます。

 

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「無常鐘 蠅虫めらも よつくきけ」一茶

訳:諸行無常の鐘の声を蠅どもも、よく聞け。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈香薬師を拝して〉

「みほとけの うつらまなこに いにしへの

       やまとくにばら かすみてあるらし」

(御仏のうつら眼に古への 大和国原霞みてあるらし

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。7月の選挙で選ばれる新市長は早期再建を断行すべし。

7/11の奈良新聞記事によると、新市長の仲川氏は当選後の記者取材に応じ、クリーンセンター問題で「今までは公害調停順守の立場で移転ありきのスタンスだったが、市全体の利益を考えれば現地建て替えを選択肢から除外するのは非現実的」と述べた。これは重大な方針転換の発言ではありますが、正論です。奈良市の厳しい財政事情をまじめに考えるならば移転など不可能なことです。現実を見据えた仲川市長の新提案が実現されるよう応援したいです。

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2017年7月16日 (日)

コスモス寺花だより  7・16

 

〔花だより〕

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。20種類 

 満開は10月上旬です。

 

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪咲きはじめ≫

〇ヤブカンゾウ:(見ごろ)

〇鬼百合:≪つぼみ≫

 

≪ニュース≫

◇御本尊文殊菩薩騎獅像は「あべのハルカス美術館」での『西大寺展』に出開帳のため、7月6日より9月24日までご不在になられます。その間、本堂のお厨子には秘仏の阿弥陀如来立像(平安時代)を安置し拝観していただきます。普段は拝めない仏様です。

◇「般若寺表参詣道」が整備されています。今年の9月1日には完成予定で、「表参道」から「正面口」の拝観受付を通ってご参詣していただけるようになります。これで旧街道の「京街道」と昭和の新道「県道754」(旧国道24号線)につながり、東西双方からの参詣が可能となります。大型バスも入場可能となり、御参詣の皆様のご不便が解消されます。今までの北口は一応閉鎖しますが、秋のコスモスシーズンには臨時に開きます。

 

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「やれ打な 蠅が手をすり 足をする」一茶

訳:やれ打つな、蠅が両手をすりあわせ、両足もすりあわせている。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈香薬師を拝して〉

「みほとけの うつらまなこに いにしへの

       やまとくにばら かすみてあるらし」

(御仏のうつら眼に古への 大和国原霞みてあるらし

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。7月の選挙で選ばれる新市長は早期再建を断行すべし。

7/11の奈良新聞記事によると、新市長の仲川氏は当選後の記者取材に応じ、クリーンセンター問題で「今までは公害調停順守の立場で移転ありきのスタンスだったが、市全体の利益を考えれば現地建て替えを選択肢から除外するのは非現実的」と述べた。これは重大な方針転換の発言ではありますが、正論です。奈良市の厳しい財政事情をまじめに考えるならば移転など不可能なことです。現実を見据えた仲川市長の新提案が実現されるよう応援したいです。

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2017年7月15日 (土)

コスモス寺花だより  7・15

 

〔花だより〕

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。20種類 

 満開は10月上旬です。

 

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪咲きはじめ≫

〇ヤブカンゾウ:(見ごろ)

〇鬼百合:≪つぼみ≫

 

≪ニュース≫

◇御本尊文殊菩薩騎獅像は「あべのハルカス美術館」での『西大寺展』に出開帳のため、7月6日より9月24日までご不在になられます。その間、本堂のお厨子には秘仏の阿弥陀如来立像(平安時代)を安置し拝観していただきます。普段は拝めない仏様です。

◇「般若寺参詣道」が整備されています。今年の9月1日には完成予定で、「表参道」から「正面口」の拝観受付を通ってご参詣していただけます。これで旧街道の「京街道」と昭和の新道「県道754」(旧国道24号線)につながり、東西双方から参詣が可能となります。大型バスも入場可能となり、御参詣の皆様のご不便が解消されます。今までの北口は一応閉鎖しますが、秋のコスモスシーズンには臨時に開きます。

 

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「やれ打な 蠅が手をすり 足をする」一茶

訳:やれ打つな、蠅が両手をすりあわせ、両足もすりあわせている。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈香薬師を拝して〉

「みほとけの うつらまなこに いにしへの

       やまとくにばら かすみてあるらし」

(御仏のうつら眼に古への 大和国原霞みてあるらし

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。7月の選挙で選ばれる新市長は早期再建を断行すべし。

7/11の奈良新聞記事によると、新市長の仲川氏は当選後の記者取材に応じ、クリーンセンター問題で「今までは公害調停順守の立場で移転ありきのスタンスだったが、市全体の利益を考えれば現地建て替えを選択肢から除外するのは非現実的」と述べた。これは重大な方針転換の発言であり、正論でしょう。仲川市長の新提案を応援します。

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2017年7月14日 (金)

コスモス寺花だより  7・14

 

〔花だより〕

○夏咲コスモス:≪ほぼ終わりました≫

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。20種類 

 満開は10月上旬です。

 

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪咲きはじめ≫

 

≪ニュース≫

◇御本尊文殊菩薩騎獅像は「あべのハルカス美術館」での『西大寺展』に出開帳のため、7月6日より9月24日までご不在になられます。その間、本堂のお厨子には秘仏の阿弥陀如来立像(平安時代)を安置し拝観していただきます。普段は拝めない仏様です。

◇「般若寺参詣道」が整備されています。今年の9月1日には完成予定で、「表参道」から「正面口」の拝観受付を通ってご参詣していただけます。これで旧街道の「京街道」と昭和の新道「県道754」(旧国道24号線)につながり、東西双方から参詣が可能となります。大型バスも入場可能となり、御参詣の皆様のご不便が解消されます。今までの北口は一応閉鎖しますが、秋のコスモスシーズンには臨時に開きます。

 

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「やれ打な 蠅が手をすり 足をする」一茶

訳:やれ打つな、蠅が両手をすりあわせ、両足もすりあわせている。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈香薬師を拝して〉

「みほとけの うつらまなこに いにしへの

       やまとくにばら かすみてあるらし」

(御仏のうつら眼に古への 大和国原霞みてあるらし

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。7月の選挙で選ばれる新市長は早期再建を断行すべし。

7/11の奈良新聞記事によると、新市長の仲川氏は当選後の記者取材に応じ、クリーンセンター問題で「今までは公害調停順守の立場で移転ありきのスタンスだったが、市全体の利益を考えれば現地建て替えを選択肢から除外するのは非現実的」と述べた。これは重大な方針転換の発言であり、正論でしょう。仲川市長の新提案を応援します。

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2017年7月13日 (木)

コスモス寺花だより  7・13

 

〔花だより〕

○夏咲コスモス:≪見ごろですが、秋コスモスの準備に入るため、夏コスモスは順次抜き取り、秋への衣替えをします。≫

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。20種類 

 満開は10月上旬です。

 

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪咲きはじめ≫

 

≪ニュース≫

◇御本尊文殊菩薩騎獅像は「あべのハルカス美術館」での『西大寺展』に出開帳のため、7月6日より9月24日までご不在になられます。その間、本堂のお厨子には秘仏の阿弥陀如来立像(平安時代)を安置し拝観していただきます。普段は拝めない仏様です。

◇今年3月に寺の南側に旧境内地が回復しましたが、7月3日から「般若寺参詣道」として整備されます。主に排水と舗装の工事で、参詣入口として「正面口」に「拝観受付」が設置されます。南から拝むのが般若寺の本来の伽藍配置(四天王寺様式)であり、少しだけではありますが、興正菩薩叡尊師のお言葉を借りれば、「本願(聖武天皇)の昔に復すと謂うべし」の状態が回復することになります。この工事が完成すれば、旧の「京街道」と昭和に新道として通じた国道24号線(現在は県道)につながるので、東西双方から参詣が可能となります。大型バスも入ることができるので、やっと御参詣の方におかけしていた不便が解消されます。8月末日完成予定、9月使用開始となります。今までの北口は一応閉鎖しますが、秋のシーズンには臨時に使用します。

新参道は「表参道」と呼び、南の入口は「正面口」と称することにします。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「やれ打な 蠅が手をすり 足をする」一茶

訳:やれ打つな、蠅が両手をすりあわせ、両足もすりあわせている。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈香薬師を拝して〉

「みほとけの うつらまなこに いにしへの

       やまとくにばら かすみてあるらし」

(御仏のうつら眼に古への 大和国原霞みてあるらし

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。7月の選挙で選ばれる新市長は早期再建を断行すべし。

7/11の奈良新聞記事によると、新市長の仲川氏は当選後の記者取材に応じ、クリーンセンター問題で「今までは公害調停順守の立場で移転ありきのスタンスだったが、市全体の利益を考えれば現地建て替えを選択肢から除外するのは非現実的」と述べた。これは重大な方針転換の発言であり、正論でしょう。仲川市長の新提案を応援します。

 

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2017年7月12日 (水)

コスモス寺花だより  7・12

 

〔花だより〕

○夏咲コスモス:≪見ごろですが、秋コスモスの準備に入るため、夏コスモスは順次抜き取り、秋への衣替えをします。≫

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。20種類 

 満開は10月上旬です。

 

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪咲きはじめ≫

 

≪ニュース≫

◇御本尊文殊菩薩騎獅像は「あべのハルカス美術館」での『西大寺展』に出開帳のため、7月6日より9月24日までご不在になられます。その間、本堂のお厨子には秘仏の阿弥陀如来立像(平安時代)を安置し拝観していただきます。普段は拝めない仏様です。

◇今年3月に寺の南側に旧境内地が回復しましたが、7月3日から「般若寺参詣道」として整備されます。主に排水と舗装の工事で、参詣入口として「正面口」に「拝観受付」が設置されます。南から拝むのが般若寺の本来の伽藍配置(四天王寺様式)であり、少しだけではありますが、興正菩薩叡尊師のお言葉を借りれば、「本願(聖武天皇)の昔に復すと謂うべし」の状態が回復することになります。この工事が完成すれば、旧の「京街道」と昭和に新道として通じた国道24号線(現在は県道)につながるので、東西双方から参詣が可能となります。大型バスも入ることができるので、やっと御参詣の方におかけしていた不便が解消されます。8月末日完成予定、9月使用開始となります。今までの北口は一応閉鎖しますが、秋のシーズンには臨時に使用します。

新参道は「表参道」と呼び、南の入口は「正面口」と称することにします。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「やれ打な 蠅が手をすり 足をする」一茶

訳:やれ打つな、蠅が両手をすりあわせ、両足もすりあわせている。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈香薬師を拝して〉

「みほとけの うつらまなこに いにしへの

       やまとくにばら かすみてあるらし」

(御仏のうつら眼に古への 大和国原霞みてあるらし

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。7月の選挙で選ばれる新市長は早期再建を断行すべし。

7/11の奈良新聞記事によると、新市長の仲川氏は当選後の記者取材に応じ、クリーンセンター問題で「今までは公害調停順守の立場で移転ありきのスタンスだったが、市全体の利益を考えれば現地建て替えを選択肢から除外するのは非現実的」と述べた。これは重大な方針転換の発言で、正論です。私たちの主張に近づいています。

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2017年7月11日 (火)

コスモス寺花だより  7・11

 

〔花だより〕

○夏咲コスモス:≪見ごろですが、秋コスモスの準備に入るため、夏コスモスは順次抜き取り、秋への衣替えをします。≫

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。20種類 

 満開は10月上旬です。

〇紫陽花:≪盛り過ぎる≫

○山アジサイ:≪盛り過ぎる≫

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪咲きはじめ≫

 

≪ニュース≫

◇御本尊文殊菩薩騎獅像は「あべのハルカス美術館」での『西大寺展』に出開帳のため、7月6日より9月24日までご不在になられます。その間、本堂のお厨子には秘仏の阿弥陀如来立像(平安時代)を安置し拝観していただきます。普段は拝めない仏様です。

◇今年3月に寺の南側に旧境内地が回復しましたが、7月3日から「般若寺参詣道」として整備されます。主に排水と舗装の工事で、参詣入口として「正面口」に「拝観受付」が設置されます。南から拝むのが般若寺の本来の伽藍配置(四天王寺様式)であり、少しだけではありますが、興正菩薩叡尊師のお言葉を借りれば、「本願(聖武天皇)の昔に復すと謂うべし」の状態が回復することになります。この工事が完成すれば、旧の「京街道」と昭和に新道として通じた国道24号線(現在は県道)につながるので、東西双方から参詣が可能となります。大型バスも入ることができるので、やっと御参詣の方におかけしていた不便が解消されます。8月末日完成予定、9月使用開始となります。今までの北口は一応閉鎖しますが、秋のシーズンには臨時に使用します。

新参道は「表参道」と呼び、南の入口は「正面口」と称することにします。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「世がよくば も一ツ留(とま)れ 飯(めし)の蠅」一茶

訳:世の中が良いならばもう一つとまれよ、飯にとまっている蠅。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈香薬師を拝して〉

「みほとけの うつらまなこに いにしへの

       やまとくにばら かすみてあるらし」

(御仏のうつら眼に古への 大和国原霞みてあるらし

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。7月の選挙で選ばれる新市長は早期再建を断行すべし。

7/9の奈良市長選挙で現職の仲川元庸氏が再選されました。氏は選挙戦の中で、各新聞社の政策アンケートに答え、また公約ともいえる選挙公報でも「ごみ焼却施設」について、「公害調停」締結の経緯、現環境整美工場の老朽化の進行などの状況も踏まえ、一日も早く新施設を稼働させたいと考えており、「広域化や現地建て替えも含め、あらゆる可能性を検討し解決を図ります。」と、他の候補が触れなかった「公害調停」と「現地建て替え」を初めて公言しました。今までにない大きな変化であり是非ともこの公約を守り、浄瑠璃寺横への移転ではなく、現地建て替えを推進してほしいと思います。「浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会」「移転計画の見直しを求める会」は、現地建て替えは大賛成ですから、新市長のごみ施設政策実現に協力することにやぶさかではありません。

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2017年7月10日 (月)

コスモス寺花だより  7・10

 

〔花だより〕

○夏咲コスモス:≪見ごろですが、秋コスモスの準備に入るため、夏コスモスは順次抜き取り、秋への衣替えをします。≫

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。20種類 

 満開は10月上旬です。

〇紫陽花:≪盛り過ぎる≫

○山アジサイ:≪盛り過ぎる≫

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪咲きはじめ≫

 

≪ニュース≫

◇御本尊文殊菩薩騎獅像は「あべのハルカス美術館」での『西大寺展』に出開帳のため、7月6日より9月24日までご不在になられます。その間、本堂のお厨子には秘仏の阿弥陀如来立像(平安時代)を安置し拝観していただきます。普段は拝めない仏様です。

◇今年3月に寺の南側に旧境内地が回復しましたが、7月3日から「般若寺参詣道」として整備されます。主に排水と舗装の工事で、参詣入口として「正面口」に「拝観受付」が設置されます。南から拝むのが般若寺の本来の伽藍配置(四天王寺様式)であり、少しだけではありますが、興正菩薩叡尊師のお言葉を借りれば、「本願(聖武天皇)の昔に復すと謂うべし」の状態が回復することになります。この工事が完成すれば、旧の「京街道」と昭和に新道として通じた国道24号線(現在は県道)につながるので、東西双方から参詣が可能となります。大型バスも入ることができるので、やっと御参詣の方におかけしていた不便が解消されます。8月末日完成予定、9月使用開始となります。今までの北口は一応閉鎖しますが、秋のシーズンには臨時に使用します。

新参道は「表参道」と呼び、南の入口は「正面口」と称することにします。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「武士(さむらひ)に 蠅を追(おは)する 御馬哉」一茶

訳:さむらいに蠅を追わせている、お馬ですなあ。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈香薬師を拝して〉

「みほとけの うつらまなこに いにしへの

       やまとくにばら かすみてあるらし」

(御仏のうつら眼に古への 大和国原霞みてあるらし

・あまたらす=天一杯に充満しておられる。

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。

 

〇7/9日の奈良市長選挙で現職の仲川元庸氏が再選されました。氏は選挙戦の中で、各新聞社の政策アンケートに答え、また公約ともいえる選挙公報でも「ごみ焼却施設」について、「公害調停」締結の経緯、現環境整美工場の老朽化の進行などの状況も踏まえ、一日も早く新施設を稼働させたいと考えており、「広域化や現地建て替えも含め、あらゆる可能性を検討し解決を図ります。」と、他の候補が触れない「公害調停」と「現地建て替え」を初めて公言しました。今までにない大きな変化であり是非ともこの公約を守り、浄瑠璃寺横への移転ではなく、現地建て替えを推進してほしいと思います。「浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会」「移転計画の見直しを求める会」は、現地建て替えは大賛成ですから、新市長のごみ施設政策実現に協力することにやぶさかではありません。

 

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2017年7月 9日 (日)

コスモス寺花だより  7・9

 

〔花だより〕

○夏咲コスモス:≪見ごろ≫

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。20種類 

 満開は10月上旬です。

〇紫陽花:≪盛り過ぎる≫

○山アジサイ:≪盛り過ぎる≫

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪咲きはじめ≫

 

≪ニュース≫

◇御本尊文殊菩薩騎獅像は「あべのハルカス美術館」での『西大寺展』に出開帳のため、7月6日より9月24日までご不在になられます。その間、本堂のお厨子には秘仏の阿弥陀如来立像(平安時代)を安置し拝観していただきます。

◇今年3月に寺の南側に旧境内地が回復しましたが、7月3日から「般若寺参詣道」として整備されます。主に排水と舗装の工事で、参詣入口として「正面口」に「拝観受付」が設置されます。南から拝むのが般若寺の本来の伽藍配置(四天王寺様式)であり、少しだけではありますが、興正菩薩叡尊師のお言葉を借りれば、「本願(聖武天皇)の昔に復すと謂うべし」の状態が回復することになります。この工事が完成すれば、旧の「京街道」と昭和に新道として通じた国道24号線(現在は県道)につながるので、東西双方から参詣が可能となります。大型バスも入ることができるので、やっと御参詣の方におかけしていた不便が解消されます。8月末日完成予定、9月使用開始となります。今までの北口は一応閉鎖しますが、秋のシーズンには臨時に使用します。

新参道は「表参道」と呼び、南の入口は「正面口」と称することにします。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「蠅一ツ 打てはなむあみだ仏哉」一茶

訳:蠅を一つ打ち殺しては唱える、なむあみだぶつ、なむあみだぶつ。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈東大寺にて〉

「おほらかに もろてのゆびを ひらかせて

       おほきほとけは あまたらしたり」

(おおらかにもろ手の指を開かせて 大き仏は天足らしたり。)

・あまたらす=天一杯に充満しておられる。

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。7月の選挙で選ばれる新市長は早期再建を断行すべし。

〇7月9日には奈良市長、奈良市議会議員は改選されます。奈良の将来を見据え、硬直化した財政再建、公共施設の真っ当な候補地での建設、市民憲章と文化財保護条例に謳われた文化財保護、などの課題に取り組める人になってほしいです。

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2017年7月 8日 (土)

コスモス寺花だより  7・8

 

〔花だより〕

○夏咲コスモス:≪見ごろ≫

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。20種類 

 満開は10月上旬です。

〇紫陽花:≪盛り過ぎる≫

○山アジサイ:≪盛り過ぎる≫

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪咲きはじめ≫

 

≪ニュース≫

◇御本尊文殊菩薩騎獅像は「あべのハルカス美術館」での『西大寺展』に出開帳のため、7月6日より9月24日までご不在になられます。その間、本堂のお厨子には秘仏の阿弥陀如来立像(平安時代)を安置し拝観していただきます。

◇今年3月に寺の南側に旧境内地が回復しましたが、7月3日から「般若寺参詣道」として整備されます。主に排水と舗装の工事で、参詣入口として「正面口」に「拝観受付」が設置されます。南から拝むのが般若寺の本来の伽藍配置(四天王寺様式)であり、少しだけではありますが、興正菩薩叡尊師のお言葉を借りれば、「本願(聖武天皇)の昔に復すと謂うべし」の状態が回復することになります。この工事が完成すれば、旧の「京街道」と昭和に新道として通じた国道24号線(現在は県道)につながるので、東西双方から参詣が可能となります。大型バスも入ることができるので、やっと御参詣の方におかけしていた不便が解消されます。8月末日完成予定、9月使用開始となります。今までの北口は一応閉鎖しますが、秋のシーズンには臨時に使用します。

新参道は「表参道」と呼び、南の入口は「正面口」と称することにします。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「蠅負(おふ)や 花なでしこに 及ぶ迄」一茶

訳:蠅を追い払っているよ。紫色のナデシコに及ぶまで。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈東大寺にて〉

「おほらかに もろてのゆびを ひらかせて

       おほきほとけは あまたらしたり」

(おおらかにもろ手の指を開かせて 大き仏は天足らしたり。)

・あまたらす=天一杯に充満しておられる。

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。7月の選挙で選ばれる新市長は早期再建を断行すべし。

〇7月9日には奈良市長、奈良市議会議員は改選されます。奈良の将来を見据え、硬直化した財政再建、公共施設の真っ当な候補地での建設、市民憲章と文化財保護条例に謳われた文化財保護、などの課題に取り組める人になってほしいです。

 

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2017年7月 7日 (金)

コスモス寺花だより  7・7

〔花だより〕

○夏咲コスモス:≪見ごろ≫

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。20種類 

 満開は10月上旬です。

〇紫陽花:≪盛り過ぎる≫

○山アジサイ:≪盛り過ぎる≫

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

〇秋海棠(しゅうかいどう):≪咲きはじめ≫

 

≪ニュース≫

◇御本尊文殊菩薩騎獅像は「あべのハルカス美術館」での『西大寺展』に出開帳のため、7月6日より9月24日までご不在になられます。その間、本堂のお厨子には秘仏の阿弥陀如来立像(平安時代)を安置し拝観していただきます。

◇今年3月に寺の南側に旧境内地が回復しましたが、7月3日から「般若寺参詣道」として整備されます。主に排水と舗装の工事で、参詣入口として「正面口」に「拝観受付」が設置されます。南から拝むのが般若寺の本来の伽藍配置(四天王寺様式)であり、少しだけではありますが、興正菩薩叡尊師のお言葉を借りれば、「本願(聖武天皇)の昔に復すと謂うべし」の状態が回復することになります。この工事が完成すれば、旧の「京街道」と昭和に新道として通じた国道24号線(現在は県道)につながるので、東西双方から参詣が可能となります。大型バスも入ることができるので、やっと御参詣の方におかけしていた不便が解消されます。8月末日完成予定、9月使用開始となります。今までの北口は一応閉鎖しますが、秋のシーズンには臨時に使用します。

新参道は「表参道」と呼び、南の入口は「正面口」と称することにします。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「蠅打て けふも聞也 山の鐘」一茶

訳:蠅を叩いて今日も山寺の鐘を聞いているなあ。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈東大寺にて〉

「おほらかに もろてのゆびを ひらかせて

       おほきほとけは あまたらしたり」

(おおらかにもろ手の指を開かせて 大き仏は天足らしたり。)

・あまたらす=天一杯に充満しておられる。

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。7月の選挙で選ばれる新市長は早期再建を断行すべし。

〇7月9日には奈良市長、奈良市議会議員は改選されます。奈良の将来を見据え、硬直化した財政再建、公共施設の真っ当な候補地での建設、市民憲章と文化財保護条例に謳われた文化財保護、などの課題に取り組める人になってほしいです。

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2017年7月 6日 (木)

コスモス寺花だより  7・6

 

○夏咲コスモス:≪見ごろ≫

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。20種類 

 満開は10月上旬です。

〇紫陽花:≪盛り過ぎる≫

○山アジサイ:≪盛り過ぎる≫

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

 

≪ニュース≫

◇御本尊文殊菩薩騎獅像は「あべのハルカス美術館」での『西大寺展』に出開帳のため本日、7月6日より9月24日までご不在になられます。その間、本堂のお厨子には秘仏の阿弥陀如来立像(平安時代)を安置し拝観していただきます。

◇今年3月に寺の南側に旧境内地が回復しましたが、7月3日から「般若寺参詣道」として整備されます。主に排水と舗装の工事で、参詣入口として「正面口」に「拝観受付」が設置されます。南から拝むのが般若寺の本来の伽藍配置(四天王寺様式)であり、少しだけではありますが、興正菩薩叡尊師のお言葉を借りれば、「本願(聖武天皇)の昔に復すと謂うべし」の状態が回復することになります。この工事が完成すれば、旧の「京街道」と昭和に新道として通じた国道24号線(現在は県道)につながるので、東西双方から参詣が可能となります。大型バスも入ることができるので、やっと御参詣の方におかけしていた不便が解消されます。8月末日完成予定、9月使用開始となります。今までの北口は一応閉鎖しますが、秋のシーズンには臨時に使用します。

新参道は「表参道」と呼び、南の入口は「正面口」と称することにします。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「蠅打て けふも聞也 山の鐘」一茶

訳:蠅を叩いて今日も山寺の鐘を聞いているなあ。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈東大寺にて〉

「おほらかに もろてのゆびを ひらかせて

       おほきほとけは あまたらしたり」

(おおらかにもろ手の指を開かせて 大き仏は天足らしたり。)

・あまたらす=天一杯に充満しておられる。

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。7月の選挙で選ばれる新市長は早期再建を断行すべし。

〇7月9日には奈良市長、奈良市議会議員は改選されます。奈良の将来を見据え、硬直化した財政再建、公共施設の真っ当な候補地での建設、市民憲章と文化財保護条例に謳われた文化財保護、などの課題に取り組める人になってほしいです。

 

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2017年7月 5日 (水)

コスモス寺花だより  7・5

〔花ごよみ〕

 

○夏咲コスモス:≪見ごろ≫

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。20種類 

 満開は10月上旬です。

〇紫陽花:≪盛り過ぎる≫

○山アジサイ:≪盛り過ぎる≫

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

 

≪ニュース≫

◇今年3月に寺の南側に旧境内地が回復しましたが、7月3日から「般若寺参詣道」として整備されます。主に排水と舗装の工事で、参詣入口として「正面口」に「拝観受付」が設置されます。南から拝むのが般若寺の本来の伽藍配置(四天王寺様式)であり、少しだけではありますが、興正菩薩叡尊師のお言葉を借りれば、「本願(聖武天皇)の昔に復すと謂うべし」の状態が回復することになります。この工事が完成すれば、旧の「京街道」と昭和に新道として通じた国道24号線(現在は県道)につながるので、東西双方から参詣が可能となります。大型バスも入ることができるので、やっと御参詣の方におかけしていた不便が解消されます。8月末日完成予定、9月使用開始となります。今までの北口は一応閉鎖しますが、秋のシーズンには臨時に使用します。

新参道は「表参道」と呼び、南の入口は「正面口」と称することにします。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「蠅打て けふも聞也 山の鐘」一茶

訳:蠅を叩いて今日も山寺の鐘を聞いているなあ。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈東大寺にて〉

「おほらかに もろてのゆびを ひらかせて

       おほきほとけは あまたらしたり」

(おおらかにもろ手の指を開かせて 大き仏は天足らしたり。)

・あまたらす=天一杯に充満しておられる。

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。7月の選挙で選ばれる新市長は早期再建を断行すべし。

〇7月9日には奈良市長、奈良市議会議員は改選されます。奈良の将来を見据え、硬直化した財政再建、公共施設の真っ当な候補地での建設、市民憲章と文化財保護条例に謳われた文化財保護、などの課題に取り組める人になってほしいです。

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2017年7月 4日 (火)

コスモス寺花だより  7・4

〔花ごよみ〕

 

○夏咲コスモス:≪見ごろ≫

花の見ごろ・ 67月 今月半ばから秋コスモス準備のため、夏咲きの茎を抜き秋の苗に植え替えます。夏から秋へとコスモスの衣替えです。

◉花数・ 5万本  

 

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。 

 満開は10月上旬です。

〇紫陽花:≪見ごろ≫

○山アジサイ:≪盛り過ぎる≫

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

 

≪ニュース≫

◇今年3月に寺の南側に旧境内地が回復しましたが、7月3日から「般若寺参詣道」として整備されます。主に排水と舗装の工事で、参詣入口として「正面口」に「拝観受付」が設置されます。南から拝むのが般若寺の本来の伽藍配置(四天王寺様式)であり、少しだけではありますが、興正菩薩叡尊師のお言葉を借りれば、「本願(聖武天皇)の昔に復すと謂うべし」の状態が回復することになります。この工事が完成すれば、旧の「京街道」と昭和に新道として通じた国道24号線(現在は県道)につながるので、東西双方から参詣が可能となります。大型バスも入ることができるので、やっと御参詣の方におかけしていた不便が解消されます。8月末日完成予定、9月使用開始となります。今までの北口は一応閉鎖しますが、秋のシーズンには臨時に使用します。

新参道は「表参道」と呼び、南の入口は「正面口」と称することにします。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「寐すがたの 蠅追ふもけふが かぎり哉」一茶

訳:寝ている姿の父にまとわりつく蠅を追い払うのもきょうだけとなってしまったなあ。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈東大寺にて〉

「おほらかに もろてのゆびを ひらかせて

       おほきほとけは あまたらしたり」

(おおらかにもろ手の指を開かせて 大き仏は天足らしたり。)

・あまたらす=天一杯に充満しておられる。

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。7月の選挙で選ばれる新市長は早期再建を断行すべし。

〇7月9日には奈良市長、奈良市議会議員は改選されます。奈良の将来を見据え、硬直化した財政再建、公共施設の真っ当な候補地での建設、市民憲章と文化財保護条例に謳われた文化財保護、などの課題に取り組める人になってほしいです。

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2017年7月 3日 (月)

コスモス寺花だより  7・3

 

〔花ごよみ〕

 

○夏咲コスモス:≪見ごろ≫

花の見ごろ・ 67月 今月半ばから秋コスモス準備のため、夏咲きの茎を抜き秋の苗に植え替えます。夏から秋へとコスモスの衣替えです。

◉花数・ 5万本  

 

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。 

 満開は10月上旬です。

〇紫陽花:≪見ごろ≫

○山アジサイ:≪盛り過ぎる≫

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

 

≪ニュース≫

◇今年3月に寺の南側に旧境内地が回復しましたが、7月3日から「般若寺参詣道」として整備されます。主に排水と舗装の工事で、参詣入口として「正面口」に「拝観受付」が設置されます。南から拝むのが般若寺の本来の伽藍配置(四天王寺様式)であり、少しだけではありますが、興正菩薩叡尊師のお言葉を借りれば、「本願(聖武天皇)の昔に復すと謂うべし」の状態が回復することになります。この工事が完成すれば、旧の「京街道」と昭和に新道として通じた国道24号線(現在は県道)につながるので、東西双方から参詣が可能となります。大型バスも入ることができるので、やっと御参詣の方におかけしていた不便が解消されます。8月末日完成予定、9月使用開始となります。今までの北口は一応閉鎖しますが、秋のシーズンには臨時に使用します。

新参道は「表参道」と呼び、南の入口は「正面口」と称することにします。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「通し給へ 蚊蠅の如き 僧一人」一茶

訳:お通し下さいな。蚊や蠅のような僧侶の一人でございますから。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈東大寺にて〉

「おほらかに もろてのゆびを ひらかせて

       おほきほとけは あまたらしたり」

(おおらかにもろ手の指を開かせて 大き仏は天足らしたり。)

・あまたらす=天一杯に充満しておられる。

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。7月の選挙で選ばれる新市長は早期再建を断行すべし。

〇7月9日には奈良市長、奈良市議会議員は改選されます。奈良の将来を見据え、硬直化した財政再建、公共施設の真っ当な候補地での建設、市民憲章と文化財保護条例に謳われた文化財保護、などの課題に取り組める人になってほしいです。

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2017年7月 2日 (日)

コスモス寺花だより  7・2

 

〔花ごよみ〕

 

○夏咲コスモス:≪見ごろ≫赤・白・ピンクの可憐な花が咲いています。種類はセンセーション、ピコティ、シーシェル、ベルサイユ、美色混合、など7種。

花の見ごろ・ 67月 今月半ばには秋コスモスの準備のため、夏咲きの茎を抜き取って行きます。

◉花数・ 5万本  

 

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。 

 満開は10月上旬です。

〇紫陽花:≪見ごろ≫

○山アジサイ:≪盛り過ぎる≫

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

 

≪ニュース≫

◇今年3月に寺の南側に旧境内地が回復しましたが、7月3日から「般若寺参詣道」として整備されます。主に排水と舗装の工事で、参詣入口として「正面口」に「拝観受付」が設置されます。南から拝むのが般若寺の本来の伽藍配置(四天王寺様式)であり、少しだけではありますが、興正菩薩叡尊師のお言葉を借りれば、「本願(聖武天皇)の昔に復すと謂うべし」の状態が回復することになります。この工事が完成すれば、旧の「京街道」と昭和に新道として通じた国道24号線(現在は県道)につながるので、東西双方から参詣が可能となります。大型バスも入ることができるので、やっと御参詣の方におかけしていた不便が解消されます。8月末日完成予定、9月使用開始となります。今までの北口は一応閉鎖しますが、秋のシーズンには臨時に使用します。

新参道は「表参道」と呼び、南の入口は「正面口」と称することにします。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「けふの日も 棒ふり虫よ 翌(あす)も又」一茶

訳:今日の日もぼうふらのように生き、明日も又同じ。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈東大寺にて〉

「おほらかに もろてのゆびを ひらかせて

       おほきほとけは あまたらしたり」

(おおらかにもろ手の指を開かせて 大き仏は天足らしたり。)

・あまたらす=天一杯に充満しておられる。

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。7月の選挙で選ばれる新市長は早期再建を断行すべし。

〇7月9日には奈良市長、奈良市議会議員は改選されます。奈良の将来を見据え、硬直化した財政再建、公共施設の真っ当な候補地での建設、市民憲章と文化財保護条例に謳われた文化財保護、などの課題に取り組める人になってほしいです。

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2017年7月 1日 (土)

コスモス寺花だより  7・1

 

○夏咲コスモス:≪満開≫赤・白・ピンクの可憐な花が咲いています。種類はセンセーション、ピコティ、シーシェル、ベルサイユ、美色混合、など7種。

花の見ごろ・ 67月 今月半ばには秋コスモスの準備のため、夏咲きの茎を抜き取って行きます。

◉花数・ 5万本  

 

〇秋咲コスモスは 911月 15万本。 

 満開は10月上旬です。

〇紫陽花:≪見ごろ≫

○山アジサイ:≪盛り過ぎる≫

〇ヒツジ草・姫スイレン:≪見ごろ≫

 

≪ニュース≫

◇今年3月に寺の南側に旧境内地が回復しましたが、7月3日から「般若寺参詣道」として整備されます。主に排水と舗装の工事で、参詣入口として「正面口」に「拝観受付」が設置されます。南から拝むのが般若寺の本来の伽藍配置(四天王寺様式)であり、少しだけではありますが、興正菩薩叡尊師のお言葉を借りれば、「本願(聖武天皇)の昔に復すと謂うべし」の状態が回復することになります。この工事が完成すれば、旧の「京街道」と昭和に新道として通じた国道24号線(現在は県道)につながるので、東西双方から参詣が可能となります。大型バスも入ることができるので、やっと御参詣の方におかけしていた不便が解消されます。8月末日完成予定、9月使用開始となります。今までの北口は一応閉鎖しますが、秋のシーズンには臨時に使用します。

新参道は「表参道」と呼び、南の入口は「正面口」と称することにします。

◇今年(2017)は、真言律宗本山西大寺の創建1250年を記念して、

『奈良西大寺展―叡尊と一門の名宝』と題する特別展覧会が開かれます。

Ⅰ.東京・三井記念美術館にて 6/11で終了。大変盛況でした。

Ⅱ.大阪・あべのハルカス美術館にて、729日~924

Ⅲ.山口県立美術館にて、1020日~1210

大阪と山口の会場では後醍醐天皇発願の般若寺本尊文殊菩薩騎獅像(重文)が特別御開帳されます。

 

〔俳句〕

「孑孑(ぼうふら)が 天上するぞ 三ケの月」一茶

訳:ぼうふらが天へ昇ってゆくぞ。天には三日月。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈帝室博物館にて〉

「こんでいの ほとけうすれし こんりょうの

       だいまんだらに あぶのはねうつ」

(金泥の仏薄れし紺綾の 大曼荼羅に 虻の羽打つ。)

 

真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》929 

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の上

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

(附録巻の上が終わりましたのでしばらく休みます)

 

《古都奈良と浄瑠璃寺・岩船寺の文化財、歴史的自然環境を守るために》

 

瀬戸内寂聴さんは〈浄瑠璃寺と当尾の里をまもる会〉に次のような賛同のことばを寄せられました。

「はじめて、歩いて浄瑠璃寺を訪れた時の感激を忘れません。寺を包みこむように静かに息づいていた美しい環境にも感動したものです。それらを守り続けるのは日本人としてのつとめです。」

 

日本中の、世界中の古都奈良を愛する人たちは、奈良市ごみ焼却場(クリーンセンター)を浄瑠璃寺南隣の「中ノ川・東鳴川」地区に移設することに怒りをもって反対しています。奈良市は非常識だと。

*奈良市クリーンセンター建設計画の問題点

1.奈良市クリーンセンター建設計画について、現環境清美工場からの排ガス等による科学的に立証される健康影響がなかったこと、公害調停に至る経過と公害調停自体に問題があること、候補地選定過程において歴史的・文化的遺産の保全等についての重要な議論がいっさいなされていないこと。

2.平安期の高僧、中ノ川実範(じつはん)上人開基の中川寺成身院跡など中ノ川地域の歴史的文化的、及び宗教的観点からの重要性を認識せず、その保全を全く考慮していないこと。

3.石仏の里として有名な当尾、平安時代の浄土式庭園(特別名勝及び史跡)、九体阿弥陀仏堂(本尊九体仏と本堂ともに国宝)、三重塔(国宝)など多数の国宝重要文化財を有する浄瑠璃寺、平安時代の丈六阿弥陀仏(重文)、木造三重塔(重文)、石造十三重塔(重文)、石龕不動明王(重文)など豊富な文化財を残す岩船寺を保存し後世に伝えるためには、周辺の自然生態系を含め、焼却施設からの有害ガス等による影響からこれらを保全する必要があること。

❍奈良市クリーンセンター建設予定地に隣接する当尾地区、数百メートルの距離にある浄瑠璃寺・岩船寺は、京都府の条例で「歴史的自然環境保全地域」に指定され、大切に保護されています。かつてこの地は南都仏教の奥ノ院的な聖地で山間修行の場でした。今も自然豊かな野山に巡礼者が歩いた石仏の道が残っています。

〇中ノ川町の山林には、平安時代の高僧実範(じっぱん)上人開基の「中川寺成身院」(なかがわじじょうしんいん)址があります。この寺は奈良における最古の本格的な密教寺院でありました。最近の研究では「灌頂堂」の指図(図面)が発見され高野山に匹敵するものであったことが判明。

またここは仏教音楽、声明(しょうみょう)の発祥の寺です。現在、高野山をはじめとする全国の真言寺院で唱えられる「南山進流」(なんざんしんりゅう)声明の流祖、大進(だいしん、宗観)上人は実範の弟子でした。さらに中世を通じて宗派を超えた総合的な仏教研究機関の役割を担っていました。浄土真宗の学僧、存覚上人(親鸞聖人のひ孫、覚如の長男)もここで修学されています。日本文化史上有数の、重要なお寺があったのです。

このような貴重な日本の歴史遺産を消滅させる権利が奈良市民(一部の)に許されているのでしょうか。

〇予定候補地の地元、東鳴川町には浄土真宗大谷派の「応現寺」があり、平安時代の重要文化財・木造不空羂索観音菩薩座像が安置されています。奈良県企画「巡る奈良 祈りの回廊」によると、興福寺南円堂御本尊の摸刻といわれ、地元観音講の方々により大切に守られてきたもので日本最古の尊像です。毎月第1日曜日(9時~16時)に特別公開されています。奈良はどんな山の中にも宝物が残されています。

中ノ川寺址、応現寺、浄瑠璃寺、岩船寺。ごみ焼却施設の移転推進者たちはこれだけの歴史文化遺産があっても「なにもないところ」と言い張るのでしょうか。策定委員会の先生方の見識が疑われます。応現寺は奈良市のHPでも、奈良市トップページ>観光>文化財>お知らせ>東鳴川町「木造不空羂索観音坐像」の公開、として出ています。

○膠着状態にある奈良市のゴミ焼却工場建て替えについて、最近よく聞く市民の声は、「今あるゴミ工場で建て替えるのがベストです。便利のいい場所だし、安上がりです、全市民の利益になるのでは。」という意見です。

もともと現工場には建て替え用地(5.2ha.)も確保されているそうです。

またこんな声も聞こえてきます。「工場周辺の土地はたいへん安く売りだされていたんです。工場があることを承知で後から来た人が立ち退きを求めるのは住民エゴではないのか、公害もないのに。」という、辛辣な意見を述べる人も多

いです。

いずれにしても浄瑠璃寺の文化財と歴史的自然環境、中川寺跡の遺構を破壊するような開発行為を公共の名においてすることは許されないことです。

奈良市長さん、移転を求める一部住民の皆さん、奈良市は歴史観光都市、古都奈良であることを忘れておられませんか。

○奈良新聞(5月3日付)第一面記事によれば、『奈良市クリーンセンター移転「行き詰まり」』のタイトルで、第57回のクリーンセンター建設計画策定委員会(本来公開であるのに今回は非公開)が昨年8月以来9か月ぶりに開かれ、どうやら移転案は地元同意が得られないことから膠着状態にあり、高の原地区での現地建て替えをめぐっての議論があったようだ。冒頭に「公害調停申請人の会」側の委員から「現地建て替えは許されない」、とか「公害調停は覆らない」と決めつける強い口調の発言があり、その剣幕に「市長は出かかった(現地建て替えの)言葉をのみ込んだ」との観測が報じられている。今までの、現地建て替えの議論が封じ込められていたことを考えると、委員会そのものにも多少の変化が見られ、真っ当な意見をいう人が現れてきたのかも。

〇奈良の未来に禍根を残すことになる、浄瑠璃寺直近へのゴミ焼却工場移設計画が根拠とする、公害無き『公害調停』は見直されるべきです。奈良の行政を呪縛し身動き取れなくしている「調停」を廃棄し、新工場を最新の設備にして「地元」への還元策を図るべし。これしか解決法はありません。立地条件(収集の効率)からみて現在地が最適地。ここに工場を創設した当時の鍵田忠三郎市長(故人)は先見の明があり偉大でした。7月の選挙で選ばれる新市長は早期再建を断行すべし。

〇7月9日には奈良市長、奈良市議会議員は改選されます。奈良の将来を見据え、硬直化した財政再建、公共施設の真っ当な候補地での建設、市民憲章と文化財保護条例に謳われた文化財保護、などの課題に取り組める人になってほしいです。


Dsc01991


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