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2018年4月

2018年4月30日 (月)

コスモス寺花だより   4・30

 

白鳳秘仏公開:429日~510日。

  午前9時~午後4時。於・宝蔵堂。特別拝観料・200

 

「水晶の 念珠に映る 若葉かな」川端茅舍

 

初夏咲きのコスモスは30㎝ほどですが、もう78輪の花が咲いています。今年の花は気が早いですね、苗はまだ幼児のようなのに背伸びして花を咲かそうとしています。

 

〔いま咲いている花〕

〇射干(しゃが):≪見ごろ≫

〇蔓日日草(つるにちにちそう):≪見ごろ≫

〇矢車草:≪咲きはじめ≫

〇花菱草:≪咲きはじめ≫

〇梅花空木:≪つぼみ≫

〇紫陽花:≪つぼみ≫

〇コスモス:≪苗育成中、今年は開花が早く5月後半から≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(5月後半~6月)

   紫陽花(5月後半~6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「白髪同士(しらがどし) 春ををしむも ばからしや」

訳:白髪になった者同士が春を惜しむのもばからしいなあ。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈帝室博物館にて〉

「はつなつの かぜとなりぬと みほとけは

       をゆびのうれに ほのしらすらし」

(初夏の風となりぬと御仏は お指の末に仄知らすらし)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1028

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『西大寺光明真言会縁起』

(さいだいじこうみょうしんごんええんぎ)

 

◆【元暁大師釈云。雖他造自無受在縁起難思力。不可不信。後悔勿及事。次光明真言廿三字明。含五字真言。二字要縮終二字撰一阿字。極此一多円融惣持秘術広略無礙瑜伽妙法也。】

 

〔元暁(がんぎょう①)大師の釈に云う。他の造り、自ら受くること無しと雖も、縁起難思の力在り。信ぜざるべからず。後悔に及ぶこと勿れ。次に光明真言廿三字を明かす。五字真言を含む。二字を要縮すれば、終に二字は一阿字を撰ぶ。此の一多円融、惣持秘術、広略無礙の瑜伽の妙法なり。〕

 

 元曉=七世紀の新羅の僧。華厳を中心に多数の著作を残す。戒律では注釈書『菩薩戒本持犯要記』がある。

(つづく)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

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2018年4月29日 (日)

コスモス寺花だより   4・29

 

白鳳秘仏公開:429日~510日。

  午前9時~午後4時。於・宝蔵堂。特別拝観料・200

 

「水晶の 念珠に映る 若葉かな」川端茅舍

 

〔いま咲いている花〕

〇射干(しゃが):≪見ごろ≫

〇蔓日日草(つるにちにちそう):≪見ごろ≫

〇矢車草:≪咲きはじめ≫

〇花菱草:≪咲きはじめ≫

〇梅花空木:≪つぼみ≫

〇紫陽花:≪つぼみ≫

〇コスモス:≪苗育成中、今年は開花が早く5月後半から≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(6月)

   紫陽花(6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「是からも 未だ幾かへり まつの花」

訳:これから先幾度も齢を重ねながら青々と若返り、末長く栄えてゆく見事な松の花。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈帝室博物館にて〉

「はつなつの かぜとなりぬと みほとけは

       をゆびのうれに ほのしらすらし」

(初夏の風となりぬと御仏は お指の末に仄知らすらし)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1027

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『西大寺光明真言会縁起』

(さいだいじこうみょうしんごんええんぎ)

 

◆【有声鼓書此陀羅尼打之。四重五逆罪人聞之速滅罪。至見仏聞法位。是則法爾六大内証薫力遍一切処難思縁起也。】

 

〔声有りて鼓に此の陀羅尼を書いて之を打つに、四重五逆(しじゅうごぎゃく①)の罪人も之を聞き速やかに罪を滅し、見仏聞法(けんぶつもんぼう②)の位に至る。これ則ち法爾(ほうに③)六大内証の薫力は一切処に遍く、難思の縁起なり。〕

 

 四重五逆=四重は四重罪。殺生、偸盗、邪婬、妄語の四つの禁戒を犯した重罪。五逆は五逆罪。父、母、阿羅漢を殺すこと、僧の和合を破ること、仏身を傷つけることの五つ。これを犯すと無間地獄に落ちるとされる。

 見仏聞法=見仏は仏の姿、または光明、浄土の荘厳なさまを見ること。聞法は仏法を聴聞すること。

 法爾=本来あるがままの姿。

(つづく)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

 

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2018年4月28日 (土)

コスモス寺花だより   4・28

 

白鳳秘仏公開:429日~510日。

  午前9時~午後4時。於・宝蔵堂。特別拝観料・200

 

「水晶の 念珠に映る 若葉かな」川端茅舍

 

〔いま咲いている花〕

〇射干(しゃが):≪見ごろ≫

〇蔓日日草(つるにちにちそう):≪見ごろ≫

〇牡丹:≪見ごろ≫

〇紫雲蘭:≪見ごろ≫

〇矢車草:≪咲きはじめ≫

〇花菱草:≪咲きはじめ≫

〇梅花空木:≪つぼみ≫

〇紫陽花:≪つぼみ≫

〇コスモス:≪苗育成中、今年は開花が早く5月後半から≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(6月)

   紫陽花(6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「ゆさゆさと 春が行(ゆく)ぞよ のべの草」

訳: ゆさゆさと春が去って行くよ。野に咲く花。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈帝室博物館にて〉

「はつなつの かぜとなりぬと みほとけは

       をゆびのうれに ほのしらすらし」

(初夏の風となりぬと御仏は お指の末に仄知らすらし)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1026

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『西大寺光明真言会縁起』

(さいだいじこうみょうしんごんええんぎ)

 

◆【此陀羅尼誦一遍。成誦万億無量大乗経万億無量陀羅尼万億無量法門。是故無心砂。以此真言加持。六道四生亡者悉施徃生成仏益。】

 

〔此の陀羅尼を誦すること一遍なりとも、万億無量の大乗経、万億無量の陀羅尼、万億無量の法門を誦することに成る。是の故に無心に砂を、此の真言を以って加持すれば、六道四生の亡者に悉く往生成仏の益を施さん。〕

(つづく)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

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2018年4月27日 (金)

コスモス寺花だより   4・27

 

ゴールデンウィークが近づきました。しかし、春の花はほとんど終わり、新緑、青葉の季節になっています。この時期のみどりは目にやさしいです。

 

当山の秘仏公開は429日から510日までです。

 

「あらたふと 青葉若葉の 日の光」松尾芭蕉

 

〔いま咲いている花〕

〇射干(しゃが):≪見ごろ≫

〇蔓日日草(つるにちにちそう):≪見ごろ≫

〇牡丹:≪見ごろ≫

〇紫雲蘭:≪見ごろ≫

〇矢車草:≪咲きはじめ≫

〇花菱草:≪咲きはじめ≫

〇紫陽花:≪つぼみ≫

〇コスモス:≪苗育成中≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(6月)

   紫陽花(6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「大和路や 翌(あす)なき春を なく烏(からす)」

訳: 大和路の行く春よ。明日になれば、春から夏へとかわると春を惜しんで鳴く烏。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈帝室博物館にて〉

「はつなつの かぜとなりぬと みほとけは

       をゆびのうれに ほのしらすらし」

(初夏の風となりぬと御仏は お指の末に仄知らすらし)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1025

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『西大寺光明真言会縁起』

(さいだいじこうみょうしんごんええんぎ)

 

◆【何処非此真言哉。五智輪円何物可離此陀羅尼哉。此真言不出五大五仏約六大平等実体。明及上法身下六道。而猶具足六大。仏説六大為法界体性。】

 

〔何処(いづこ)にても此の真言に非ざる哉。五智輪円(ごちりんえん①)の何物かは此の陀羅尼を離るべき哉。此の真言は五大五仏(ごだいごぶつ②)を出でず。六大(ろくだい③)平等の実体を約す。明(みょう④)は上は法身、下は六道に及びて猶六大を具足す。仏は六大を法界体性(ほっかいたいしょう⑤)たりと説けり。〕

 

 五智輪円=五智は大日如来が備え持つという五種の智恵(法界体性智など)。輪円は輪円具足の曼荼羅。曼荼羅は諸仏如来の真実の功徳を円満具足して欠けることがないことをいう。

 五大五仏=五大は地・水・火・風・空の万物をつくり出す五元素。五仏は法身大日如来と、如来から生じた、それをとりまく四仏。

 六大=五大に識を加える。法界に遍満していて、一切のより所となる宇宙の主体として具体的実在であるとし、これによって大日如来を象徴する。

 明=密教の真言、陀羅尼。愚闇を除くところからいう。

 法界体性=無尽の諸法を法界と名づけ、その諸法の所依たる体性を法界体性と名づく。

(つづく)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

 

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2018年4月26日 (木)

コスモス寺花だより   4・26

 

もうすぐ春季の「秘仏特別公開」(4/29-5/10)

が始まります。秋に比べ会期は短いですが、新緑の季節に古代・中世の文化財を拝観して、日本の精神文化の粋に親しんでください。

 

「あしたより しづかにねむり 春深し」日野草城

 

〔いま咲いている花〕

〇射干(しゃが):≪見ごろ≫

〇蔓日日草(つるにちにちそう):≪見ごろ≫

〇牡丹:≪見ごろ≫

〇紫雲蘭:≪見ごろ≫

〇矢車草:≪咲きはじめ≫

〇花菱草:≪咲きはじめ≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(6月)

   紫陽花(6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「大和路や 翌(あす)なき春を なく烏(からす)」

訳: 大和路の行く春よ。明日になれば、春から夏へとかわると春を惜しんで鳴く烏。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈帝室博物館にて〉

「はつなつの かぜとなりぬと みほとけは

       をゆびのうれに ほのしらすらし」

(初夏の風となりぬと御仏は お指の末に仄知らすらし)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1024

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『西大寺光明真言会縁起』

(さいだいじこうみょうしんごんええんぎ)

 

◆【第三。第四。重々義。此神呪五智如来惣呪四種曼荼円満真言也。又六大法界源底法性塔婆玄極也。是故一一声字暦劫談不盡。一一名実塵滴仏無極。六大無礙也。】

 

〔第三、第四は重々の義。この神呪は五智如来の惣呪、四種曼荼円満の真言なり。また六大法界の源底(げんてい①)、法性塔婆の玄極なり。是の故、一々の声字は暦劫(りゃくごう②)に談じても尽きず。一々の名実は塵滴すれども仏は極り無く、六大は無礙(むげ③)なり。〕

 

 源底=根元のところ。根本。真底。

 暦劫=歴劫。多くの劫を経ること。

 無礙=さしさわりのないこと。

(つづく)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

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2018年4月25日 (水)

コスモス寺花だより   4・25

 

「散りたまる 花や般若の 紙の向き」向井去来

 

本日、25日は御本尊文殊師利菩薩の御会式です。鎌倉時代(754年前)から続く伝統行事で、旧暦では3月25日に行われていました。

中国から将来された一切経(5500巻)を転読して、天下泰平・諸願成就と過去精霊の追善を願う法要で、かつては一週間かけて全巻が転読されました。

現在はお経を仏前にお供えして、一切経供養法則にもとづく法要が執り行われます。

冒頭の去来の句は、この法要の様子を描写したもので、山吹や八重桜がちる中で転読されているお経本(本当は一切経であるが、去来は、般若寺だから般若経と考えられたのでしょう)が春風になびいているさまを詠んでいます。

 

残念ながら今年は全ての花が2週間ほど早く咲いたので、山吹も八重桜も終わってしまいました。

 

〔いま咲いている花〕

〇射干(しゃが):≪見ごろ≫

〇蔓日日草(つるにちにちそう):≪見ごろ≫

〇牡丹:≪見ごろ≫

〇紫雲蘭:≪見ごろ≫

〇矢車草:≪咲きはじめ≫

〇花菱草:≪咲きはじめ≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(6月)

   紫陽花(6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「大和路や 翌(あす)なき春を なく烏(からす)」

訳: 大和路の行く春よ。明日になれば、春から夏へとかわると春を惜しんで鳴く烏。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈帝室博物館にて〉

「はつなつの かぜとなりぬと みほとけは

       をゆびのうれに ほのしらすらし」

(初夏の風となりぬと御仏は お指の末に仄知らすらし)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1023

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『西大寺光明真言会縁起』

(さいだいじこうみょうしんごんええんぎ)

 

◆【心内所有廻向度衆生。是以法相。覚知心外在法輪廻生死。永離生死。又三論云。無有心下六塵。付理立是。塵識共自心自供養。色心不二故。】

 

〔心内に有するところを廻向して衆生を度す。ここを以って法相は、心外に法在りて生死を輪廻することを覚知し、永く生死を離る。また三論に云う。心外に六塵(ろくじん)有ること無し。理に付して是を立つ。塵識(じんしき②)は自心を共にして自ら供養す。色心(しきしん③)は不二なるが故に。〕

 

 六塵=六境のこと。心を汚して煩悩を起こさせるところから、塵という。眼耳鼻舌身意の六根による六識が認識する六つの対象、色境(色や形)・声境(言語や音声)香境(香り)・味境(味)・触境(堅さ・しめりけ・あたたかさなど)・法境(意識の対象となる一切のもの、また、上の五境以外の思想など)をいう。

 塵識=境と識。六境とそれを認識する六識。

 色心=物質存在と精神活動。

(つづく)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

 

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2018年4月24日 (火)

コスモス寺花だより   4・24

 

「春更けて 諸鳥啼くや 雲の上」前田普羅

 

〔いま咲いている花〕

 

〇射干(しゃが):≪見ごろ≫

〇蔓日日草(つるにちにちそう):≪見ごろ≫

〇牡丹:≪見ごろ≫

〇紫雲蘭:≪見ごろ≫

〇矢車草:≪咲きはじめ≫

〇花菱草:≪咲きはじめ≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(6月)

   紫陽花(6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「陽炎や 目につきまとふ わらひ顔」

訳: 陽炎がゆらめき、わが目に付きまとう子どもの笑い顔。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈帝室博物館にて〉

「はつなつの かぜとなりぬと みほとけは

       をゆびのうれに ほのしらすらし」

(初夏の風となりぬと御仏は お指の末に仄知らすらし)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1023

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『西大寺光明真言会縁起』

(さいだいじこうみょうしんごんええんぎ)

 

◆【第二。深秘釈者。斯真言者。一一字義句義皆演衆生一心中所具足万徳。委細如彼疏記経。又儀䡄云。此真言。万徳無数諸仏如来心中秘密呪也。誦此呪。断自心所具煩悩。証心中本有仏性本具菩提。】

 

〔第二の深秘釈にては、この真言は一々の字義句義は皆、衆生一心中に具足するところの万徳を演ぶ。委細はかの疏に記す経の如し。また儀軌に云う。この真言は万徳無数にして、諸仏如来の心中秘密の呪なり。この呪を誦せば、自心に具わるところの煩悩を断ち、心中本有の仏性、本具の菩提を証す。〕

(つづく)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

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2018年4月23日 (月)

コスモス寺花だより   4・23

 

まだ四月なのに夏のような陽気が続いています。そして五月の花が待ちきれず次々に咲き出しています。

境内にバナナのような香りを漂わせているのが「唐種小賀玉木(からたねおがたまのき)」です。いつの頃にか中国から伝わったそうですが、花は全く目立ちません。通称では「バナナの木」と呼ばれます。

 

「行春を 近江の人と をしみける」松尾芭蕉

 

〔いま咲いている花〕

 

〇山吹:≪散りはじめ≫

〇射干(しゃが):≪見ごろ≫

〇蒲公英(たんぽぽ):≪見ごろ≫

〇蔓日日草(つるにちにちそう):≪見ごろ≫

〇牡丹:≪見ごろ≫

〇紫雲蘭:≪見ごろ≫

〇矢車草:≪咲きはじめ≫

〇花菱草:≪咲きはじめ≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(6月)

   紫陽花(6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「陽炎や むつまじげなる つかと塚」

訳: 陽炎よ仲良さそうに並んでいる敦盛のつかと直実の塚。

・埼玉県熊谷市にある熊谷寺は熊谷直実が平敦盛の菩提を弔って建てた寺で、敦盛の塚と直実の塚がある。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈帝室博物館にて〉

「はつなつの かぜとなりぬと みほとけは

       をゆびのうれに ほのしらすらし」

(初夏の風となりぬと御仏は お指の末に仄知らすらし)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1022

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『西大寺光明真言会縁起』

(さいだいじこうみょうしんごんええんぎ)

 

◆【現世遂富貴長寿望。除鬼神病苦愁。乃至有縁無縁亡者等。皆離苦得楽無疑〈云云〉。不空三蔵両本儀䡄幷不空羂索経廿八巻之釈如此。】

 

〔現世にては富貴長寿の望みを遂げ、鬼神病苦の愁いを除く。乃至、有縁無縁の亡者等、皆な離苦得楽は疑いなし、云々。不空三蔵(ふくうさんぞう①)、両本儀軌幷に不空羂索経廿八巻の釈はかくの如し。〕

 

 不空三蔵=真言付法第六祖。(七〇五-七七四)

(つづく)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

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2018年4月22日 (日)

コスモス寺花だより   4・22

 

境内に自生する山野草で大きくなる草は、踊子草と金鳳華(きんぽうげ)です。踊子草はシソのような葉っぱに薄ピンクの花が踊り子が並んでいるように咲きます。金鳳華は別名、「馬の足形」と言いますが、足形のかたちをした葉っぱが付いた軸の先に、四弁の小さな黄色い花が咲きます。花弁はつやがあって緑の草の中で輝いています。

 

「だんだんに 己かがやき 金鳳華」中村汀女

 

〔いま咲いている花〕

 

〇山吹:≪散りはじめ≫

〇射干(しゃが):≪見ごろ≫

〇蒲公英(たんぽぽ):≪見ごろ≫

〇蔓日日草(つるにちにちそう):≪見ごろ≫

〇牡丹:≪見ごろ≫

〇紫雲蘭:≪見ごろ≫

〇矢車草:≪咲きはじめ≫

〇花菱草:≪咲きはじめ≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(6月)

   紫陽花(6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「我里は どうかすんでも いびつ也」

訳:おれの住む里はどんなに優雅に霞がかかっても、いびつだなあ。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈帝室博物館にて〉

「はつなつの かぜとなりぬと みほとけは

       をゆびのうれに ほのしらすらし」

(初夏の風となりぬと御仏は お指の末に仄知らすらし)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1022

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『西大寺光明真言会縁起』

(さいだいじこうみょうしんごんええんぎ)

 

◆【第一。浅略釈者。大日如来与阿弥陀如来。心中秘密呪也。三世三劫諸仏。此真言誦持成正覚。利益衆生。我等又誦持此真言。滅諸罪障。徃生極楽。】

 

〔第一に浅略釈(せんりゃくしゃく①)にては、大日如来と阿弥陀如来との心中秘密の呪也。三世三劫の諸仏は此の真言を受持し、正覚を成じ衆生を利益す。我等また此の真言を誦持し、諸の罪障を滅し、極楽に往生す。

 

 浅略釈=密教でいう四重秘釈の一つ。世間通途の釈義。顕教中に処々に説けり、とされる。

(つづく)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

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2018年4月21日 (土)

コスモス寺花だより   4・21

春から初夏にかけての野山には蕨(わらび)が出ます。日当たりのよい草原ならどこにでも生えています。新芽のころ、早蕨(さわらび)が食用に適し、どこでもワラビ採りの人の姿が見られます。夏場に食される「わらび餅」は元来、蕨の根に含まれるでんぷんを利用したのですが、少量しか取れないので今や高級品です。現在のわらび餅はサツマイモなどのでんぷんを代用しているそうです。冷やして黄な粉と蜜をかければ美味しいお菓子になります。

 

「或る寺の 築地の蕨 長(た)けし春」水原秋櫻子

 

〔いま咲いている花〕

 

〇山吹:≪散りはじめ≫

〇射干(しゃが):≪見ごろ≫

〇蒲公英(たんぽぽ):≪見ごろ≫

〇蔓日日草(つるにちにちそう):≪見ごろ≫

〇牡丹:≪見ごろ≫

〇紫雲蘭:≪見ごろ≫

〇矢車草:≪咲きはじめ≫

〇花菱草:≪咲きはじめ≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(6月)

   紫陽花(6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「かすむやら 目が霞やら ことしから」

訳:かすんでいるのだろうか、目が霞んでいるのだろうか、今年から。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈帝室博物館にて〉

「はつなつの かぜとなりぬと みほとけは

       をゆびのうれに ほのしらすらし」

(初夏の風となりぬと御仏は お指の末に仄知らすらし)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1021

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『西大寺光明真言会縁起』

(さいだいじこうみょうしんごんええんぎ)

 

◆(印字宮未来際。卜七日七夜氏光陰。賁瑜伽瑜祇之談場。令一結本末衆。昼夜不退之神呪。自開自始。至結願終。温座修連之時時大法。土砂納壇座々加持。其                                                                                                                                                                                                                                                                      利益不可勝計。此真言功力。言善無畏三蔵大日経疏中浅深重々四重釈。不思儀法師第七巻疏如是。】

 

〔茲に因りて未来際を窮め、七日七夜の光陰を卜し、瑜伽瑜祇(ゆがゆぎ①)の壇場を賁(かざ)り、本末の衆(②)を一結せしめ、昼夜不退の神呪を開白より始め、結願に至りて終る。温座修連(練ヵ)の時時の大法、土砂納壇座座の加持はその利益は勝計(しょうけい)すべからず(③)。此の真言の功力(くりき④)を言うは、善無畏三蔵(ぜんむいさんぞう⑤)の大日経疏中の浅深重々四重釈、不思儀法師第七巻疏に是の如し。〕

 

 瑜伽瑜祇=金剛峯楼閣一切瑜伽瑜祇経に説かれる金剛界の蘇悉地法。

 本末の衆=本山末寺の衆僧。

 勝計すべからず=数えきれない。

 功力=修行によって得た力。功徳の力。

 善無畏三蔵=真言宗八祖の第五。中国に本格的に密教を伝えた最初の人。(六三七-七三五)。

(つづく)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

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2018年4月20日 (金)

コスモス寺花だより   4・20

 

当寺の年中行事である御本尊文殊菩薩様のおまつり、「文殊会式(もんじゅえしき)」は今月25日です。例年ですとその頃が山吹の満開になるのですが、今年はもう散りはじめていますから御会式には終わっているでしょう。今年は全ての花が早く咲いてしまいました。

 

「八重もまた 散る山吹と なりしかな」荒木玉章

 

〔いま咲いている花〕

 

〇山吹:≪散りはじめ≫

〇射干(しゃが):≪見ごろ≫

〇蒲公英(たんぽぽ):≪見ごろ≫

〇蔓日日草(つるにちにちそう):≪見ごろ≫

〇牡丹:≪見ごろ≫

〇紫雲蘭:≪咲きはじめ≫

〇矢車草:≪咲きはじめ≫

〇花菱草:≪咲きはじめ≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(6月)

   紫陽花(6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「我と来て 遊べや親の ない雀」

訳:おれについて来て一緒に遊びなよ。親のない雀は。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈帝室博物館にて〉

「はつなつの かぜとなりぬと みほとけは

       をゆびのうれに ほのしらすらし」

(初夏の風となりぬと御仏は お指の末に仄知らすらし)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1020

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『西大寺光明真言会縁起』

(さいだいじこうみょうしんごんええんぎ)

 

◆【抑大会光明真言者。文永元年之始行。思円上人誓約云。且当寺之大檀那。為期再会於浄仏道。且六道四生皆是劫々父母鉄囲砂界。莫不世々明(朋)友。思彼楚痛。為我殷憂。】

 

〔そもそも大会光明真言は、文永元年の始行。思円上人の誓約に云う。且つは当寺の大檀那(①)、再会を淨仏道に期さんが為、且つは六道四生(ろくどうししょう②)は皆是れ劫々(こうごう③)の父母、鉄囲砂界(てっちしゃかい④)は世々(せぜ⑤)の明(朋ヵ)友ならざるはなし。彼の楚痛(そつう⑥)を思い、我が殷憂(いんゆう⑦)と為す。〕

 

 当寺の大檀那=西大寺を創建された称徳天皇。

 六道四生=六道は衆生が生前の業因によって生死を繰り返す六つの迷いの世界。地獄・餓鬼・畜生・阿修羅・人間・天上。四生は生物をその生れ方で分類。胎生・卵生・湿生・化生。

 劫劫=きわめて長い時間。

 鉄囲沙界=須弥山を囲む九山八海(くせんはっかい)の一つで最も外側の鉄でできた山を鉄囲山という。沙界はインドの恒河(ガンジス)にある砂の無量無数なように、宇宙にちらばっている多くの世界

 世々=多くの世。代々。「せせ」とも。

 楚痛=いたみ苦しむこと。「楚」も痛むこと。

 殷憂=大きな憂い、悲しみ。

(つづく)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

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2018年4月19日 (木)

コスモス寺花だより   4・19

仏さまのおられるお堂の内陣を荘厳(しょうごん)する仏具に華鬘(けまん)というのがあります。元は本物の花づなを飾ったのでしょうが、木製または銅製のものが多く華麗な彫刻が施されます。その華鬘をぶら下げたように咲くのが華鬘草で、花は桃色と白色があり、別名を鯛つり草とも言います。

 

「白華鬘 菩薩の慈悲を 偲ばせて」坂井建

 

〔いま咲いている花〕

 

〇山吹:≪見ごろ≫

〇射干(しゃが):≪見ごろ≫

〇蒲公英(たんぽぽ):≪見ごろ≫

〇蔓日日草(つるにちにちそう):≪見ごろ≫

〇牡丹:≪見ごろ≫

〇紫雲蘭:≪咲きはじめ≫

〇矢車草:≪咲きはじめ≫

〇花菱草:≪咲きはじめ≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(6月)

   紫陽花(6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「雀の子 そこのけそこのけ 御馬が通る」

訳:雀の子どもよ、そこ退け、そこを退け、 お馬さんが通るから。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

       こさめなかるる はるはきにけり」

(奈良坂の石の仏の頤に 小雨流るる春は来にけり)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1019

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『西大寺光明真言会縁起』

(さいだいじこうみょうしんごんええんぎ)

 

◆【誠続仏法寿命。是以九十年之化儀者。弾四八相妙果。遂熟思其遺跡。更匪直人。故贈寵輝。冝加崇飾。故号興正菩薩。贈号如此被下。彼上人。釈迦文殊両聖化身。春日五社之第一之御殿〈云云〉。】

 

〔誠に仏法の寿命を続けん。是を以って九十年の化儀は、四八相(しはっそう①)の妙果を弾ず。遂につらつら其の遺跡を思うに、更に直人(ただびと)に匪(あら)ず。故に寵輝(ちょうき②)を贈り、宜しく崇飾(すうしょく③)を加う。故に興正菩薩と号す。贈号はかくの如く下される。彼の上人は、釈迦文殊両聖の化身、春日五社の第一の御殿(④)〈云云〉。〕

 

 四八相=仏陀の瑞相である三十二相。

 寵輝=はえある輝き。栄誉。

 崇飾=尊び飾ること。立派にかざること。

 第一の御殿=祭神はタケミカヅチ、本地仏は不空羂索観音。

(つづく)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

 

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2018年4月18日 (水)

コスモス寺花だより   4・18

 

ドクダミは別名十薬と言い、薬草の一種です。所きらわず生えて来るので、どちらかというと嫌われる雑草です。スペード型の葉を持ち、花は真っ白で十字形をしている。日蔭でも目立つ花です。

 

「どくだみや 真昼の闇に 白十字」

 

〔いま咲いている花〕

 

〇山吹:≪見ごろ≫

〇射干(しゃが):≪見ごろ≫

〇蒲公英(たんぽぽ):≪見ごろ≫

〇蔓日日草(つるにちにちそう):≪見ごろ≫

〇紫雲蘭:≪咲きはじめ≫

〇矢車草:≪咲きはじめ≫

〇花菱草:≪咲きはじめ≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(6月)

   紫陽花(6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「夕暮れや 親なし雀 何と鳴」

訳:夕暮れの淋しさよ。親がいない雀は何と鳴くのだろう。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

       こさめなかるる はるはきにけり」

(奈良坂の石の仏の頤に 小雨流るる春は来にけり)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1018

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『西大寺光明真言会縁起』

(さいだいじこうみょうしんごんええんぎ)

 

◆【正安二年。持明院御宇。忝預菩薩勅号。其文云。伝灯大法師位叡尊者。一天四海大導師。濁世末代生身仏也。済度衆生為己任。大悲闡提為我願。仍王侯脇士之帰智行也。皆約現当値遇。勇猛精進之住堅固也。】

 

〔正安二年、持明院の御宇(じみょういんのぎょう①)、忝(かたじけな)くも菩薩の勅号に預かる。その文に云う。伝灯大法師位(でんとうだいほっしい②)叡尊は、一天四海の大導師、濁世末代の生身仏なり。済度衆生を己が任と為し、大悲闡提(だいひせんだい③)を我が願と為す。すなわち王侯脇(卿ヵ)士の智行に帰するや、皆現当(げんとう④)の値遇を約す。勇猛精進の住い堅固なり。〕

 

 持明院の御宇=当時は大覚寺統と持明院統が交互に天皇位を継いでいた。興正菩薩号は持明院統の後伏見天皇が勅諡されたことをいう。

 伝灯大法師位=奈良時代に置かれた僧の位階の一つ。四位九階の僧位の最高位。

 大悲闡提=菩薩は大慈悲心により一切衆生を済度するまでは成仏しないことをいう。

 現当=現在と未来。現世と来世。

(つづく)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

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2018年4月17日 (火)

コスモス寺花だより   4・17

 

今、境内のあちこちでシャガの花が満開です。シャガはあやめに似た花で、白い花の中に薄紫の斑があって清楚な感じがします。花の形が胡蝶の飛んでいるのに似るところから胡蝶花とも呼ばれます。少し日陰で水気のあるところを好みます。

 

「紫の 斑の仏めく 著莪の花 」高濱虚子

 

〔いま咲いている花〕

 

〇八重桜:≪見ごろ≫

〇山吹:≪見ごろ≫

〇射干(しゃが):≪見ごろ≫

〇蒲公英(たんぽぽ):≪見ごろ≫

〇蔓日日草(つるにちにちそう):≪見ごろ≫

〇紫雲蘭:≪咲きはじめ≫

〇矢車草:≪咲きはじめ≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(6月)

   紫陽花(6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「是からも 未だ幾かへり まつの花」

訳:これから先幾度も齢を重ねながら青々と若返り、末長く栄えてゆく見事な松の花。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

       こさめなかるる はるはきにけり」

(奈良坂の石の仏の頤に 小雨流るる春は来にけり)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1017

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『西大寺光明真言会縁起』

(さいだいじこうみょうしんごんええんぎ)

 

◆【自鏑目出光。如電響。同幡三流指西飛行。即時異賊破滅畢。右鏑矢者。上人御所持之愛染明王之御矢也。思円御誓願云。来生我成異国太子。異賊襲来之難可止〈云云〉。】

 

〔鏑目より光を出だし、雷響の如し。同じく幡三流(はたみながれ①)、西を指して飛行す。即時に異賊破滅し畢る。右の鏑矢は上人ご所持の愛染明王の御矢なり。思圓(しえん②)御誓願に云う。来生に我異国の太子と成り、異国襲来の難を止むべし〈云々〉〕。

 

 幡三流=白い旗にはそれぞれ、「妙法蓮華経」、「大般涅槃経」、「唯識三十頌」の五字が書かれ、金の光を放っていたという。

 思圓=興正菩薩は思圓房叡尊が仮名(房名)と実名(法名)。

(つづく)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

 

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2018年4月16日 (月)

コスモス寺花だより   4・16

 

山吹の花は昨日の雨がしんぱいでしたが大丈夫でした。

谷川など水辺がよく似合う花ですが、山に自生しているのは一重咲の種類で、庭に植えられるのは八重咲のほうです。それから白山吹は花が一重の山吹に似ているところから名づけられたようです。種類としては黄色は灌木であるのに対して、白色は低木のではありますが樹木にあたります。

 

「ほろほろと 山吹ちるか 滝の音」松尾芭蕉

 

〔いま咲いている花〕

 

〇八重桜:≪見ごろ≫

〇山吹:≪見ごろ≫

〇射干(しゃが):≪見ごろ≫

〇蒲公英(たんぽぽ):≪見ごろ≫

〇蔓日日草(つるにちにちそう):≪見ごろ≫

〇紫雲蘭:≪咲きはじめ≫

〇矢車草:≪咲きはじめ≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(6月)

   紫陽花(6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「是からも 未だ幾かへり まつの花」

訳:これから先幾度も齢を重ねながら青々と若返り、末長く栄えてゆく見事な松の花。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

       こさめなかるる はるはきにけり」

(奈良坂の石の仏の頤に 小雨流るる春は来にけり)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1017

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『西大寺光明真言会縁起』

(さいだいじこうみょうしんごんええんぎ)

 

◆【自鏑目出光。如電響。同幡三流指西飛行。即時異賊破滅畢。右鏑矢者。上人御所持之愛染明王之御矢也。思円御誓願云。来生我成異国太子。異賊襲来之難可止〈云云〉。】

 

〔鏑目より光を出だし、雷響の如し。同じく幡三流(はたみながれ①)、西を指して飛行す。即時に異賊破滅し畢る。右の鏑矢は上人ご所持の愛染明王の御矢なり。思圓(しえん②)御誓願に云う。来生に我異国の太子と成り、異国襲来の難を止むべし〈云々〉〕。

 

 幡三流=白い旗にはそれぞれ、「妙法蓮華経」、「大般涅槃経」、「唯識三十頌」の五字が書かれ、金の光を放っていたという。

 思圓=興正菩薩は思圓房叡尊が仮名(房名)と実名(法名)。

(つづく)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

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2018年4月15日 (日)

コスモス寺花だより   4・15

 

奈良の興福寺と春日大社は藤原氏の氏寺氏神なので藤の花が植えられています。春日社の「砂ずりの藤」や五重塔の横にある藤棚はよく整備されていて豪華ですが、藤本来の風情は、春日の森の古木にからまって伸び放題になっている山藤ののほうが風情があって藤らしいですね。かつて藤ヅルは籐細工(とうざいく)として生活必需品でした。また蔓はどこまでものび、種ははじけて遠くへ飛ばし、

生命力のたくましさを見せてくれます。

 

「草臥(くたびれ)て 宿かる比(ころ)や 藤の花」松尾芭蕉

 

〔いま咲いている花〕

 

〇八重桜:≪見ごろ≫

〇山吹:≪見ごろ≫

〇射干(しゃが):≪見ごろ≫

〇蒲公英(たんぽぽ):≪見ごろ≫

〇蔓日日草(つるにちにちそう):≪見ごろ≫

〇紫雲蘭:≪咲きはじめ≫

〇矢車草:≪咲きはじめ≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(6月)

   紫陽花(6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「雨あがり 朝飯過の やなぎ哉」

訳:雨上がり、朝飯を過ぎて見る青々とした柳よ。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

       こさめなかるる はるはきにけり」

(奈良坂の石の仏の頤に 小雨流るる春は来にけり)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1017

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『西大寺光明真言会縁起』

(さいだいじこうみょうしんごんええんぎ)

 

◆【然弘安四年七月廿日。為異賊降伏御祈祷後宇多院勅使光泰卿至当寺。下向及再三。然先師上人。男山八幡宮在参籠七日七夜。搆七壇。伴僧七百人。抽精誠処。七日〈八日朔日也〉満夜之戌刻。八幡宮玉殿振動。而放鏑箭。】

 

〔然れば弘安四年七月廿日、異賊降伏の御祈祷の為、後宇多院の勅使光泰卿、当寺に至り、下向は再三に及ぶ。然れば先師上人、男山八幡宮に参籠在ること七日七夜。七壇(しちだん①)を構える。伴僧七百人精誠(せいせい②)を抽(ひ)く処、七日〈八日朔日也〉満夜の戌の刻(いぬのこく③)、八幡宮玉殿振動して鏑箭(かぶらや④)を放つ。〕

 

 七壇=七壇護摩秘法。中壇は愛染明王尊勝法(叡尊師)、不動法(性瑜師)、軍荼利法(信空師)、降三世法(玄基師)、大威徳法(雙円師)、金剛夜叉法(禅海)

 精誠=純粋で誠実なこと。まごころをこめること。

 戌の刻=午後七時頃から九時頃まで。

 鏑箭=矢の先に鏑をつけ、その先に鏃をつけたもので、射ると鏑の穴から空気が入って大きな音響を発して飛ぶ。

(つづく)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

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2018年4月14日 (土)

コスモス寺花だより   4・14

 

花の形が矢車に似ているので通常「矢車草」と呼ばれている草花は、本当は「矢車菊」のことで、葉の形から名づけられた矢車草は別種です。矢車菊は青、紫、白、桃色と多彩で雨風日照りなどの気象変化に強い性質を持っています。

 

「驟雨来て 矢車草の みなかしぐ」皆川盤水

 

〔いま咲いている花〕

 

〇八重桜:≪見ごろ≫

〇山吹:≪見ごろ≫

〇射干(しゃが):≪見ごろ≫

〇蒲公英(たんぽぽ):≪見ごろ≫

〇蔓日日草(つるにちにちそう):≪見ごろ≫

〇紫雲蘭:≪咲きはじめ≫

〇矢車草:≪咲きはじめ≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(6月)

   紫陽花(6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「藤さくや 木辻の君が 夕粧(ゆうよそほ)ひ」

訳:藤の花が咲いているよ。木辻(きつじ)の遊女の夕化粧。

・木辻は奈良最古の遊女町である。奈良町と言われる古い街の一角にあった。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

       こさめなかるる はるはきにけり」

(奈良坂の石の仏の頤に 小雨流るる春は来にけり)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1016

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『西大寺光明真言会縁起』

(さいだいじこうみょうしんごんええんぎ)

 

◆【禁断殺生一千三百七十箇所。受菩薩戒之貴賎九万七千六百余人。及関東鎮西諸末律寺一千五百箇余寺。凡闕徳行不可勝計。唯一天泰平五穀成熟衆生快楽興法利生之外。無他念。】

 

〔殺生を禁断するところ一千三百七十箇所、菩薩戒を受くるの貴賎は九万七千六百余人。関東鎭西の諸末律寺は一千五百箇余寺に及ぶ。凡そ厥の徳行は勝計すべからず(しょうけいすべからず①)。唯、一天泰平、五穀成就、衆生快楽、興法利生の外に他念無し。〕

 

 勝計すべからず=数えきれないこと。

(つづく)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

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2018年4月13日 (金)

コスモス寺花だより   4・13

 

柳も芽吹いています。柳にもいろんな種類があるのですが、今では枝垂れ柳、別名糸柳が大半です。奈良の佐保川は柳が万葉歌に謳われ、石川啄木の歌にも、「やわらかに柳あをめる北上の・・」とあるように、花とは別に春を象徴する樹木です。細い緑の葉が春風になびくさまは風情があり絵になります。

 

「君ゆくや 柳みどりに 道長し」与謝蕪村

 

〔いま咲いている花〕

 

〇八重桜:≪見ごろ≫

〇山吹:≪見ごろ≫

〇射干(しゃが):≪見ごろ≫

〇蒲公英(たんぽぽ):≪見ごろ≫

〇蔓日日草(つるにちにちそう):≪見ごろ≫

〇紫雲蘭:≪咲きはじめ≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(6月)

   紫陽花(6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「藤さくや 木辻の君が 夕粧(ゆうよそほ)ひ」

訳:藤の花が咲いているよ。木辻(きつじ)の遊女の夕化粧。

・木辻は奈良最古の遊女町である。奈良町と言われる古い街の一角にあった。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

       こさめなかるる はるはきにけり」

(奈良坂の石の仏の頤に 小雨流るる春は来にけり)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1015

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『西大寺光明真言会縁起』

(さいだいじこうみょうしんごんええんぎ)

 

◆【受五戒八戒浄法。入近事近住之内道。是則播園塵不摂清浄説法。剰陪後嵯峨院等五朝国師。奉授大乗戒珠。崇六十余州戒律之棟梁。】

 

〔五戒八戒(ごかいはっかい①)の淨法を受け、近事近住(ごんじごんじゅう②)の内道(ないどう③)に入る。これ則ち播(うつ)り、園塵を摂(とら)ずして清浄説法す。剰(あまつさ)え後嵯峨院等五朝の国師を陪(かさ)ね、大乗の戒珠(だいじょうのかいしゅ④)を授け奉り、六十余州戒律の棟梁と崇めらる。〕

 

 五戒八戒=五戒は在家信者が守るべき五つのいましめ。不殺生、不偸盗、不邪婬、妄語、不飲酒。八戒は八斎戒ともいう。月に六日間八戒を守るので六斎日と云う。五戒に⒍不着華瓔珞、不香油塗身、不歌舞観聴。⒎不坐高広大牀。⒏不非時食。を加える。

 近事近住=近事は三宝に近づき仕える者の意。近住は三宝に親近して住すの意。五戒を受けた在家信者。

 内道=仏道。

 大乗の戒珠=大乗菩薩戒。

(つづく)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

 

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2018年4月12日 (木)

コスモス寺花だより   4・12

 

もみじ、楓(かえで)といえば秋の紅葉が愛でられますが、この時期、鮮やかな新緑と同時に花が咲いています。目立たない花には、咢(がく)の部分に赤色のかわいいプロペラが付いています。秋の終わりに種が実り、風に乗って竹トンボのプロペラのようにくるくる回り遠くまで飛んで行きます。初めからプロペラがあるなんて自然の不思議です。

 

「子雀に 楓の花の 降る日かな」長谷川かな女

 

〔いま咲いている花〕

 

〇八重桜:≪見ごろ≫

〇椿:≪見ごろ≫

〇山吹:≪見ごろ≫

〇射干(しゃが):≪見ごろ≫

〇蒲公英(たんぽぽ):≪見ごろ≫

〇蔓日日草(つるにちにちそう):≪咲きはじめ≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(6月)

   紫陽花(6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「なの花の とつぱづれ也 ふじの山」

訳:菜の花のとっぱずれにあるのだなあ、富士の山は。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

       こさめなかるる はるはきにけり」

(奈良坂の石の仏の頤に 小雨流るる春は来にけり)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1014

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『西大寺光明真言会縁起』

(さいだいじこうみょうしんごんええんぎ)

 

◆【誠是木刄日新正法練行戒場。抑又慧灯既挑密教修行霊地也。爰西明寺禅閣。仰召請於鎌倉。叡尊上人。趣利生於東土。然則禅儀囲鐃恭敬帰依渇仰不斜。】

 

〔誠に是れ木刄(叉ヵ。もくしゃ①)は日(ひび)に正法練行の戒場を新たにす。抑(そもそ)も又、慧灯(けいとう②)は既に密教修行の霊地を挑げる也。爰に西明寺禅閣(さいみょうじぜんかく③)、仰いで鎌倉に召請せんとす。叡尊上人は東土に利生に趣く。然れば則ち禅儀(ぜんぎ④)圍鐃(いにょう⑤)して恭敬帰依渇仰は斜め(ななめ⑥)ならず。

 

 木叉=波羅提木叉(はらだいもくしゃ)。戒本と訳される。比丘、比丘尼が守らねばならない条項をまとめたもの。

 慧灯=智慧のともしび。

 西明寺禅閣=禅閣は禅宗の寺のこと。北条時頼を指す。

 禅儀=僧侶。

 圍鐃=とり囲む。

 斜め=ひととおり。

(つづく)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

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2018年4月11日 (水)

コスモス寺花だより   4・11

 

奈良山丘陵の雑木林の中に薄紫のような、桃色のようなつつじの花が咲いています。葉っぱが三枚出るので「三つ葉つつじ」と呼ばれます。奈良の北、南山城地域の山間にある神童寺というお寺の境内は斜面一帯にこのつつじが群集しています。最盛期に行けば圧巻の花絵巻が見られます。ここは北吉野と言い、役行者ゆかりの寺でもあります。

 

「晴れ曇り おおよそ曇り つつじ燃ゆ」篠田悌二郎

 

〔いま咲いている花〕

 

〇八重桜:≪見ごろ≫

〇椿:≪見ごろ≫

〇山吹:≪見ごろ≫

〇射干(しゃが):≪見ごろ≫

〇蒲公英:≪見ごろ≫

〇蔓日日草:≪咲きはじめ≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(6月)

   紫陽花(6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「サホ姫の ばりやこぼして さく菫」

訳:春の女神である佐保姫の小便よ。それをこぼしてさく菫。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

       こさめなかるる はるはきにけり」

(奈良坂の石の仏の頤に 小雨流るる春は来にけり)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1013

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『西大寺光明真言会縁起』

(さいだいじこうみょうしんごんええんぎ)

 

◆【同二年。依表無表章之全文。設自誓受具之䡄則。遂正法興行曩願。忽学南山事鈔等律部。已談大賢古迹等菩薩戒。撰集顕密諸籍典。再興三聚円備受具戒法。開発七聚(衆)成満如法徳行。】

 

〔同二年、表無表章(ひょうむひょうしょう①)の全文に依り、自誓受具(じせいじゅぐ②)の軌則を設け、正法興行の曩願(のうがん③)を遂ぐ。忽ちに南山事鈔(なんざんじしょう④)等律部を学び、已に大賢古迹(たいけんこしゃく⑤)等の菩薩戒を談じ、顕密の諸藉典を撰集し、三聚圓備受具(さんじゅうえんびじゅぐ⑥)の戒法を再興し、七聚(衆ヵ。しちしゅう⑦)成満如法の徳行を開発す。〕

 

 表無表章=慈恩大師窺基の著作、『大乗法苑義林章』の中の戒律に関する一章。自誓受戒の根拠とされた。

 自誓受具=自誓受戒に依り具足戒

 曩願=前からの誓願。

 南山事鈔=南山大師道宣作の『四分律行事鈔』

 大賢古迹=八世紀の新羅の学僧太賢の著作、梵網経の注釈書「梵網経古迹記」

 三聚円備受具=菩薩戒(三聚浄戒)を円満に備えて四分律の具足戒(満分戒)を受戒すること

 七衆=僧伽を構成する出家、在家の仏教徒。比丘、比丘尼、沙弥、沙弥尼、式叉摩那、優婆塞、優婆夷。

(つづく)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

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2018年4月10日 (火)

コスモス寺花だより   4・10

 

花が桜に似た桜草には西洋桜草と日本桜草があります。西洋種はプリムラと言い、花は大きく豪華です。それに対し日本種は、丈はひくく花数は少ないが風雅の趣を持つ。江戸時代から多種の花が作られ、天保年間には300種もあったそうです。当寺では数十鉢を育てています。

 

「鉢の土 乾きてかなし 桜草」富安風生

 

〔いま咲いている花〕

 

〇八重桜:≪見ごろ≫

〇椿:≪見ごろ≫

〇山吹:≪見ごろ≫

〇射干(しゃが):≪見ごろ≫

〇蒲公英:≪見ごろ≫

〇蔓日日草:≪咲きはじめ≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(6月)

   紫陽花(6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「鳥べのの 地蔵菩薩の 蕨哉」

訳:鳥辺野の地蔵菩薩の傍らに出ている蕨よ。。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

       こさめなかるる はるはきにけり」

(奈良坂の石の仏の頤に 小雨流るる春は来にけり)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1012

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『西大寺光明真言会縁起』

(さいだいじこうみょうしんごんええんぎ)

 

◆【雖然星霜年旧。生住異滅理盛者。必衰習名耳在之。然自草創経四百六十九年。至嘉禎二年正月十六日。興正菩薩三十五歳。移住当寺宝塔院。搆三町四面寺内。聖皇鋳造之四天令金堂安置。為丈六之十一面観自在尊中尊。】

 

〔然りと雖も、星霜(せいそう①)年旧(ふ)り、生住異滅(しょうじゅういめつ②)の理(ことわり)盛んなれば、必衰の名のみ之れ在り。然れば草創より四百六十九年を経て、嘉禎二年正月十六日に至る。興正菩薩三十五歳にして、当寺宝塔院に移住し、三町四面の寺内を搆(かま)う。聖皇(しょうこう③)鋳造の四天を金堂に安置せしめ、丈六の十一面観自在尊を中尊と為す。〕

 

 星霜=(星は一年に天を一周し、霜は毎年降るところから)年月。歳月。

 生住異滅=すべての物が生じ、住〈とど〉まり、変化し、なくなってしまうという四つの相。

 聖皇=称徳天皇。

(つづく)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

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2018年4月 9日 (月)

コスモス寺花だより   4・9

 

奈良には天然記念物にもなっている八重桜があります。「奈良の八重桜」と言います。今も古木が東大寺知足院に現存しますが、かつては興福寺伽藍であった旧奈良師範学校の校門わきにもありました。今はバスターミナルとかでビルのようなものを建築中ですから桜木はどうなったものやら。般若寺にも奈良交通より奉納の記念木が一本だけ育っていて毎年花を咲かせています。

 

「奈良七重 七堂伽藍 八重ざくら」松尾芭蕉

 

〔いま咲いている花〕

 

〇八重桜:≪見ごろ≫

〇椿:≪見ごろ≫

〇山吹:≪見ごろ≫

〇射干(しゃが):≪見ごろ≫

〇蒲公英:≪見ごろ≫

〇蔓日日草:≪咲きはじめ≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(6月)

   紫陽花(6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「山吹や 先(まず)御先へと とぶ蛙」

訳:山吹が咲いたよ。まずお先に失礼と飛ぶ蛙。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

       こさめなかるる はるはきにけり」

(奈良坂の石の仏の頤に 小雨流るる春は来にけり)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1011

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『西大寺光明真言会縁起』

(さいだいじこうみょうしんごんええんぎ)

 

◆【加之。本願聖主手自鋳彰七尺四王之霊像。擬異賊之防禦。祈国土豊楽。繇茲弥顕密碩徳踵継。大小之讃仰並肩。八宗興于世。三学崇于国者也。】

 

〔加うるに、本願聖主(ほんがんしょうじゅ①)は手づから自ら七尺の四王の霊像を鋳彰(ちゅうしょう②)し、異賊の防禦を擬(なぞら)え、国土豊楽(こくどほうらく③)を祈る。茲に繇(より)ていよいよ顕密(けんみつ④)の碩徳(せきとく⑤)踵(きびす)を継ぎ、大小の鑚仰(だいしょうのさんぎょう⑥)、肩を並べ、八宗(はっしゅう⑦)は世に興り、三学(さんがく⑧)は国に崇めらるるもの也。〕

 

 本願聖主=西大寺を開基の本願主となった仏教に篤く帰依し徳の高い天皇、称徳天皇。

 鋳彰=鋳造して仏像のお姿をあらわすこと。

 国土豊楽=国に物資が豊かで、人々が暮らしを楽しむこと。

 顕密=顕教と密教。

 碩徳=高徳の僧。学徳ともにすぐれた僧。

 大小の鑚仰=大乗と小乗の仏教を深く研究しとうとぶこと。

 八宗=奈良時代に伝来の俱舎・成実・三論・法相・華厳・律の南都六宗と平安時代に新たに伝わった天台・真言の二宗。

 三学=仏教の学問、戒律・禅定・智慧の三学。

(つづく)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

 

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2018年4月 8日 (日)

コスモス寺花だより   4・8

 

国宝楼門の二階欄干の内側に毘沙門天像をおまつりしました。銅像で高さ50センチ足らずの小像です。毘沙門さんは四天王のお一人で北方世界を守る多聞天の別名で、独尊でまつる際は福徳を授ける仏として信仰を集めています。

楼門の二階は結構広い部屋がありますが、どういう使い方をしたのかわかりません。何か仏像をまつったか、廻廊門ですから集会を知らす太鼓または喚鐘があったかもしれません。東西両方向に5カ所の二枚扉があります。門前の京街道は伽藍の中心近くを貫いていたから太鼓や鐘の音は四方の伽藍全体へ鳴り渡ったと思われます。盛時には三面の僧坊に数百人の僧侶がおられたそうですから、法会の際には楼門をくぐって金堂へ参集されたのでしょう。

 

「山吹の 一重の花の 重なりぬ」高野素十

 

〔いま咲いている花〕

 

〇八重桜:≪見ごろ≫

〇椿:≪見ごろ≫

〇山吹:≪見ごろ≫

〇射干(しゃが):≪見ごろ≫

〇蒲公英:≪見ごろ≫

〇蔓日日草:≪咲きはじめ≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(6月)

   紫陽花(6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「さくら さくらと唄われし 老木(おいき)哉」

訳:さくらさくらと昔唄われた老木よ。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

       こさめなかるる はるはきにけり」

(奈良坂の石の仏の頤に 小雨流るる春は来にけり)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1010

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『西大寺光明真言会縁起』

(さいだいじこうみょうしんごんええんぎ)

 

◆【夫当寺者。称徳天皇御願。天平神護元年草創。南都七大寺隨一也。寺中三十二町四面建立四十九院伽藍。三百余宇紺殿。東西両塔之楼閣藍院磨甍。幷造立丈六等身之弥勒慈尊。誓約四十九重之摩尼上生。】

 

〔夫れ当寺は、称徳天皇(しょうとくてんのう①)の御願にして、天平神護元年(てんぴょうじんごがんねん②)草創、南都七大寺の隨一なり。寺中三十二町(ちょう③)、四面に建立の四十九院の伽藍は三百余宇の紺殿(こんでん④)たり。東西両塔の楼閣藍院(ろうかくらんいん⑤)は甍を磨き、ならびに丈六等身の弥勒慈尊を造立し、四十九重(しじゅうくじゅう⑥)の摩尼上生(まにじょうしょう⑦)を誓約す。〕

 

 称徳天皇=聖武天皇の第一皇女。はじめ天平勝宝元年(七四九)即位して孝謙天皇となり、のち淳仁天皇に在位十年で譲位したが、天平宝字八年(七六四)重祚して称徳天皇となる

 天平神護元年=西暦七六四年。

 町=面積の単位。平城京時代は四百尺平方。

 紺殿=紺宇。紺色の軒・屋根。仏寺をいう。

 楼閣藍院=楼閣はたかどの。高層な建物。藍院は伽藍、僧伽藍摩(そうがらんま)。寺の建物の総称。

 四十九重=弥勒菩薩の居所、兜率天(とそつてん)の内院にある四十九の宮殿。

 摩尼上生=摩尼宝珠で飾られた弥勒の兜率天にのぼって生まれかわること。

(つづく)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

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2018年4月 7日 (土)

コスモス寺花だより   4・7

 

「山吹色」と言えば黄金の色とされます。山吹の花は夕方や雨の日は黄金色と咲き緑の中で引き立って見えます。一重は盛りを過ぎましたが八重は今が盛りです。そして足元には胡蝶花ともいわれる射干(しゃが)が白い花を咲かせています。昨夜の雨が新緑のみどりを鮮やかにしてくれました。

 

「雨に咲く 山吹の黄の めさむる黄」山本岬人

 

〔いま咲いている花〕

 

〇八重桜:≪見ごろ≫

〇椿:≪見ごろ≫

〇山吹:≪見ごろ≫

〇射干(しゃが):≪見ごろ≫

〇蒲公英:≪見ごろ≫

〇蔓日日草:≪咲きはじめ≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(6月)

   紫陽花(6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「なまけるな イロハニホヘト 散桜」

訳:怠けるなイロハニホヘトを学んでいる内に桜が散っている。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

       こさめなかるる はるはきにけり」

(奈良坂の石の仏の頤に 小雨流るる春は来にけり)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1010

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『宇治紀事 幷序』  (出『艸山集』)

(うじきじ ならびにじょ) (しゅつ・そうざんしゅう)

 

・『艸山集』=『草山集』。江戸時代前期の漢詩人・歌人・日蓮宗の僧である元政(げんせい、1623-1668)の漢詩文集。元政は山城深草に住し、厳しい戒律生活を送った。その戒律復興運動を「草山律」「元政律」「法華律」という。

 

◆【菩薩願心深。高行不可攀。漁舟沈水底。仏塔湧波間。橋寺度存沒。茶房接往還。到今曝布地。河上白雲閑。】

 

〔菩薩の願心は深く、高行は攀(よ)じるべからず。漁舟は水底に沈み、仏塔は波間に湧く。橋寺は度たび存没し、茶房は往還に接す。今に到るも曝布の地なり。河上の白雲は閑(しずか)なり。〕

(終わり)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

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2018年4月 6日 (金)

コスモス寺花だより   4・6

 

境内から東の方角に若草山が間近に望めます。つい先日までは葉を落とした雑木林が灰色や茶色に見え、その枯れ枝の間に桜の花が浮き立つように咲いていました。花が終わったら、こんどは淡いグリーンの木の芽(このめ)がもこもこと茂りなだらかな山稜を様々な色合いで飾っています。春は自然界の移り変わりが早いです。

 

「大寺を 包みてわめく 木の芽かな」高濱虚子

 

〔いま咲いている花〕

 

〇椿:≪見ごろ≫

〇山吹:≪見ごろ≫

〇射干(しゃが):≪見ごろ≫

〇蒲公英:≪見ごろ≫

〇蔓日日草:≪咲きはじめ≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(6月)

   紫陽花(6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「花ちるや 末代無智の 凡夫衆」

訳:花が散るよ。末代まで無智のままの悟らない人々。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

       こさめなかるる はるはきにけり」

(奈良坂の石の仏の頤に 小雨流るる春は来にけり)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1010

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『宇治紀事 幷序』  (出『艸山集』)

(うじきじ ならびにじょ) (しゅつ・そうざんしゅう)

 

・『艸山集』=『草山集』。江戸時代前期の漢詩人・歌人・日蓮宗の僧である元政(げんせい、1623-1668)の漢詩文集。元政は山城深草に住し、厳しい戒律生活を送った。その戒律復興運動を「草山律」「元政律」「法華律」という。

 

◆【夫感身記。興正自録一生事業。至八十五歳絶筆。然興正年九十而卒。則其理舟造塔種々之事。盡在後五年之間。其所伝不妄矣。因賦詩記云。】

 

〔夫れ感身記は興正自ら一生の事業を録し、八十五歳に至り筆を絶つ。然れば興正、年九十にして卒す。則ち其の舟を埋め塔を造るなど種々の事は、ことごとく後の五年の間に在り。其の伝える所は妄(いつわり)ならず。賦詩(ふし①)の記に因りて云う。〕

 

 賦詩=詩歌。

(つづく)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

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2018年4月 5日 (木)

コスモス寺花だより   4・5

境内に蒲公英(たんぽぽ)が自生しています。いま全国では外来種に押されて日本タンポポが消えつつありますが、ここではまだ8割がた在来種が生育していて自然の姿が保たれています。当寺では除草剤を使っていないので、タンポポ、オドリコソウ、キランソウ、キンポウゲなど日本在来の野草が見られます。

 

「たんぽぽを 折ればうつろの ひびきかな」久保より江

 

〔いま咲いている花〕

 

〇椿:≪見ごろ≫

〇山吹:≪見ごろ≫

〇射干(しゃが):≪見ごろ≫

〇蒲公英:≪見ごろ≫

〇蔓日日草:≪咲きはじめ≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(6月)

   紫陽花(6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「散花(ちるはな)も つかみ込みけり ばくち銭」

訳:散っている花も一緒につかみ込んだよ博打の銭も。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

       こさめなかるる はるはきにけり」

(奈良坂の石の仏の頤に 小雨流るる春は来にけり)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1009

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『宇治紀事 幷序』  (出『艸山集』)

(うじきじ ならびにじょ) (しゅつ・そうざんしゅう)

 

・『艸山集』=『草山集』。江戸時代前期の漢詩人・歌人・日蓮宗の僧である元政(げんせい、1623-1668)の漢詩文集。元政は山城深草に住し、厳しい戒律生活を送った。その戒律復興運動を「草山律」「元政律」「法華律」という。

 

◆【其願力不可測也。余遊宇治之日。偶聞此事。嘗按興正感身記云。弘安七年正月。奏破宇治網代。蓋是年始宇治橋。未成時年八十四。】

 

〔その願力は測るべからざる也。余、宇治に遊ぶの日、偶々此の事を聞く。嘗て興正の感身記(かんじんき①)を按じて云う。弘安七年(こうあんしちねん②)正月、奏して宇治の網代(あじろ③)を破す。蓋し是の年、宇治橋を始め、未だ成らざる時、年は八十四。〕

 

 感身記=『感身学生記』。興正菩薩が自らの活動事績を日記風に記したもの。

 弘安七年=西紀1284

 網代=魚を取る設備。川の浅瀬に数百の杭を打ち並べ、竹の経緯(縦横に編んだもの)を構え、魚を呼び込む簗(やな)のようなもの。

(つづく)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

 

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2018年4月 4日 (水)

コスモス寺花だより   4・4

当寺境内の染井吉野はどんどん散っていますが、一本だけの山桜は今が盛りです。

この木は30年ほど前に、裏の文殊山(旧境内地)に自生した幼木を境内に移植したものです。文殊山のふもとに大正年間まで平重衡卿の首塚があったそうですから、供養の意味で「重衡桜」と名付けました。

 

「山又山 山桜又 山桜」阿波野青畝

 

〔いま咲いている花〕

 

〇椿:≪見ごろ≫

〇桜:≪散りはじめ≫

〇山吹:≪見ごろ≫

〇射干(しゃが):≪見ごろ≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(6月)

   紫陽花(6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「死支度(しにじたく) 致せ致せと 桜哉」

訳:死ぬ用意をしなさい、しなさいと桜が咲いているよ。 

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

       こさめなかるる はるはきにけり」

(奈良坂の石の仏の頤に 小雨流るる春は来にけり)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1008

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

『宇治紀事 幷序』  (出『艸山集』)

(うじきじ ならびにじょ) (しゅつ・そうざんしゅう)

 

・『艸山集』=『草山集』。江戸時代前期の漢詩人・歌人・日蓮宗の僧である元政(げんせい、1623-1668)の漢詩文集。元政は山城深草に住し、厳しい戒律生活を送った。その戒律復興運動を「草山律」「元政律」「法華律」という。

 

◆【乃教漁人。曝布為活業。又修橋寺。置茶房。恵存亡。接来往。其願力不可測也。余遊宇治之日。偶聞此事。】

 

〔乃(すなは)ち漁人に教え曝布(ばくふ①)を活業と為す。又橋寺(はしでら②)を修して茶房(さぼう③)を置き、存亡(そんぼう④)を恵し、来往(らいおう⑤)に接す。〕

 

 曝布=布をさらすこと。麻布の生産。

 橋寺=橋を維持管理する寺、その由緒を伝える真言律宗末寺、橋寺放生院が現存する。

 茶房=喫茶や食事を提供する施設。

 存亡=飢えに苦しむ人々。

 来往=京都へ往還する旅人。

(つづく)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

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2018年4月 3日 (火)

コスモス寺花だより   4・3

山吹と言えば、太田道灌の逸話がよく知られています。雨宿りして蓑を借りようとしたら、その家の娘さんが黙って山吹の枝をさし出しました。道灌はその意味が分からず腹を立てて帰ったといいます。後日、古典の和歌に出会って自分の不明を恥じたそうです。それは『後拾遺和歌集』にある兼明(かねあきら)親王の作で、

「七重八重花は咲けども山吹の 実の一つだに無きぞあやしき」という歌です。「実の一つ」と「蓑一つ」を掛けてあるのですね。また道灌の逸話では最後の句を「無きぞかなしき」に変えられていますが。

 

「山吹の いと濃きありて 遠くにあり」相馬黄枝

 

〔いま咲いている花〕

 

〇椿:≪見ごろ≫

〇桜:≪散りはじめ≫

〇山吹:≪見ごろ≫

〇桃:≪見ごろ≫

〇射干(しゃが):≪見ごろ≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(6月)

   紫陽花(6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「ちる花や 已(すで)におのれも 下り坂」

訳:散る花の哀れさよ。すでにおれも盛りを過ぎて下り坂。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

       こさめなかるる はるはきにけり」

(奈良坂の石の仏の頤に 小雨流るる春は来にけり)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1007

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)『宇治紀事 幷序』  (出『艸山集』)

(うじきじ ならびにじょ) (しゅつ・そうざんしゅう)

 

・『艸山集』=『草山集』。江戸時代前期の漢詩人・歌人・日蓮宗の僧である元政(げんせい、1623-1668)の漢詩文集。元政は山城深草に住し、厳しい戒律生活を送った。その戒律復興運動を「草山律」「元政律」「法華律」という。

 

◆【興正菩薩。新宇治橋。悉取魚舟。埋之水底。造石大塔。建于其上。】

 

〔興正菩薩、宇治橋(うじばし①)を新たにす。悉く漁舟を取り、之を水底に埋(うづ)み、石の大塔(だいとう②)を造り、その上に建つ。〕

 

 宇治橋=大化二年(646)、僧道登が勅を受けて初めて架橋。以後洪水や戦乱によって壊れ架け替えが行なわれた。弘安七年(1284)に興正菩薩が橋を新たにされた。

 石の大塔=宇治川の浮島(塔の島)に現存する十三重大石塔。興正菩薩が弘安九年(1286)に造立され、塔供養を行われた。高さ十五メートルの日本一の大石塔。初重の四方仏は密教四仏を梵字で表す。台石には千字をこえる銘文が刻まれるも、現在判読不能である。

(つづく)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

 

 

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2018年4月 2日 (月)

コスモス寺花だより   4・2

4・2

 

桜の花は昨夜の夜桜を最後にして散りはじめました。「花の命は短くて苦しきことのみ多かりき」。人の一生は花にたとえられます。「花と咲き花と散る」「散りぎわ」「花のある人」「花に嵐」「花をもたせる」などなど。

 

「一二片 散りてときには 花吹雪」山口波津女

 

〔いま咲いている花〕

 

〇椿:≪見ごろ≫

〇桜:≪散りはじめ≫

〇山吹:≪見ごろ≫

〇桃:≪見ごろ≫

〇射干(しゃが):≪見ごろ≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(6月)

   紫陽花(6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「御仏や 寝てござつても 花と銭」

訳:涅槃の仏様は、寝ていらしても花が手向けられ、お賽銭が上げられる。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

       こさめなかるる はるはきにけり」

(奈良坂の石の仏の頤に 小雨流るる春は来にけり)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1006

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

『京兆報恩寺仏牙記』  (出『洗雲集』)

(けいちょうほうおんじぶつげき) (せんうんしゅう)

 

*『洗雲集』は黄檗山万福寺の僧、高泉性潡(こうせん・しょうとん一六三三~一六九五)の詩文集。

 

◆【永為世福田。毎歳涅槃辰必修大法会。普使傾都人。無論男女等。一瞻一礼者。均植福慧根。以是勝功徳。上勗於恩有。我述此伽陀。真実不虚妄。仰願諸仏陀現前。為我証。

 

〔永く世の福田(ふくでん①)と為し、毎歳涅槃の辰(しん②)に必ず大法会を修せよ。普く都人を傾けしめ、男女等を論ずること無く、一瞻一礼(いっせんいちれい③)するものは均しく福慧の根を植うる。是を以って功徳勝り、上は恩有に勗(つと)める。我は此の伽陀を述べ、真実にして虚妄ならず。仰ぎ願わくは諸仏陀現前して我が証しと為らんことを。〕

 

 福田=福を生ずる田。仏を敬い布施を行うことにより世の人々に多くの福徳を生むことができる。「恭敬福田」「敬田」

 辰=とき。日。

 一瞻一礼=ひとたび仰ぎ見て、ひとたび礼拝すること。

(終わり)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

 

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2018年4月 1日 (日)

コスモス寺花だより   4・1

 

四月、卯月になりました。春たけなわですが、陰暦では夏の始まりです。

境内の山吹の花は、薄黄色の一重咲きが見頃。八重咲はまだ五分咲ていどですが。

山吹も桜と同じように日本の野山に自生していた花です。

万葉集にも「山吹の匂へる妹(いも)がはねず色の 赤裳のすがた夢に見えつつ」を始め、多くの歌が詠まれています。

 

「山吹や 葉に花に葉に 花に葉に」炭太祇

 

〔いま咲いている花〕

 

〇椿:≪見ごろ≫

〇連翹:≪見ごろ≫

〇桜:≪満開≫

〇山吹:≪見ごろ≫

〇桃:≪見ごろ≫

 

〔四季の花暦〕

・春:山吹(4月)

・夏:初夏咲きコスモス(6月)

   紫陽花(6月)

・秋:コスモス(9月~11月)

・冬:水仙(12月~2月)

 

その他、山茱萸、梅、蠟梅、侘助、桜、椿、紫雲蘭、射干、金鳳花、真弓木、樒、梅花空木、烏瓜、唐種小賀玉木、枇杷、定家葛、酔葛、黄菖蒲、山紫陽花、未草、百日紅、秋海棠等が咲いて四季を彩ります。

 

〔小林一茶の俳句〕

「喧嘩買(けんくわかひ) 花ふんづけて 通りけり」

訳:喧嘩を買って出る男。散った花を踏んづけて通っていったよ。

 

〔秋艸道人会津八一歌集『鹿鳴集』。奈良愛惜の名歌〕

〈奈良坂にて〉

「ならさかの いしのほとけの おとかひに

       こさめなかるる はるはきにけり」

(奈良坂の石の仏の頤に 小雨流るる春は来にけり)

 

≪ニュース≫

◇参詣入口の変更:

当寺の入口は、昨年8月までは旧道(京街道)に面して開かれた北門(裏口)でしたが、9月より県道754号線に面した東参道「東口」を入って、かつての中大門跡近くの「南表口」に変わり、本来の「四天王寺様式」の南面伽藍となりました。

なお、駐車場の場内安全管理のため従来の「西口」は閉鎖されています。旧道より来られた場合、ご足労ですが「たねや」さんの角を東へ曲がり、100メートルあまりの「東口」へお越しください。

バス停「般若寺」からはまっすぐ北へ50mです。

 

◇参詣駐車場ご利用について:ご参詣の方の駐車は1時間まで無料。

 

《真言律宗の祖、叡尊(えいそん)興正菩薩一代記を読む》1006

『西大勅謚興正菩薩行実年譜附録』巻の下

(さいだいちょくしこうしょうぼさつぎょうじつねんぷふろく)

如意輪精舎後裔苾芻慈光 編録

『京兆報恩寺仏牙記』  (出『洗雲集』)

(けいちょうほうおんじぶつげき) (せんうんしゅう)

 

*『洗雲集』は黄檗山万福寺の僧、高泉性潡(こうせん・しょうとん一六三三~一六九五)の詩文集。

 

◆【故世主嘗観礼。其如世不常。滄桑互変革。不能長保護。伝至大日国。国王処奉持。展転及十代。以至賜今寺。

 

〔故に世主(せいしゅ①)も嘗て観礼す。其れ世の常ならざるが如し。滄桑(そうそう②)は互いに変革し、長(とこ)しえに保護すること能わず。大日国(だいにちこく③)に伝え至り、国王処(こくおうしょ④)にて奉持せられ、展転(てんてん⑤)して十代に及ぶ。以って今寺に賜わるに至る。〕

 

 世主=国王。

 滄桑=「滄海桑田」の略。「蒼海変じて桑田となること。世の中の変遷が激しく予測がつかないこと。」をいう。

 大日国=大日本国。「大日の本国」と読み、日本が仏の本国であることをいう。

 国王処=天皇の住まう宮中。

 展転=ころがること。人から人へ伝わること。

(つづく)

 

《古都奈良の宗教的文化遺産とそれを取り巻く環境を守るために》

 

古都奈良は1300年の歴史と仏教伝来以来の宗教的、文化的伝統があります。仏教という宗教文化抜きには奈良の歴史は語れません。しかし長い歴史の中では人間の無知と欲望のため貴重な文化遺産が壊されてきました。現在を生きる私たちには、先祖から受け継いだ人類の宝としての宗教的文化遺産を未来へつなぐ責任があります。日本の文化遺産は世界に誇れる高度な精神文化のあかしです。古きよきものを大切にしましょう。

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