コスモス寺花だより
10・31
10月末日。あまり秋らしくない10月でしたが、
明日からの11月も気温は高め、台風の接近もあるようです。
当寺の本堂にまつられる御本尊八字文殊菩薩様は後醍醐天皇の願いを込めて造顕されてから700年を迎えました。
『太平記』には大塔宮護良親王が当寺の経櫃に隠れ御危難を遁れられた話や、般若寺本性房の笠置山での活躍が記されます。
そして寺の創建(舒明天皇元年、629。三論宗の祖慧灌開基)からあと5年で1400年となります。
長い長い歴史が刻まれた般若寺です。
〇コスモスの開花状況:≪満開≫
コスモスは満開になっています。
今年の花は例年に比べ10日ほど遅れ、満開が10月後半になってしまいました。
でも遅れた分だけこれから11月中頃まで花をたのしめると思います。
「コスモスの花ゆれて来て唇に」星野立子
「コスモスの花あそびをる虚空かな」高濱虚子
「コスモスや花おとろへずみだれそめ」水原秋櫻子
うすい黄色のコスモス、「イエローガーデン」が
十三重大石塔(重文・鎌倉時代)の黒っぽい石檀を背景に咲き誇っています。
また、三十三番の観音石像のやさしいお顔を飾って、ピンクに白の斑が入ったピコティが咲いています。
これからは国宝・楼門への小径、お不動様のカンマン石、マカバラ石、重文・笠塔婆、般若寺型石灯籠、平重衡塔、藤原頼長塔のまわりでも「秋咲巨大輪」の大きな花が見られます。
今年は開花が遅れたのでコスモス花期を、
10月10日~11月17日
に変更しています。
〇マユミ(檀)の実:春に咲く花は葉っぱと同じ緑色なので目立ちませんが、秋の実はピンク色の袋状の覆いが四片に割れて中から濃い赤色の実がぶら下がります。
まるで花が咲いているように。
昔は弓の材料に使われたのでこの名前になったとか。
〔美緑(みりょく)の庭ご案内〕
この秋、般若寺の境内に小さな庭園が出来上がっています。
奈良在住の庭師、永井隆二さんの作品で、古い石材を再利用し、木立に苔と草花をうまく配置し、とくに珍しいのは版築(はんちく)土塀を復元して庭の景色としているところです。周囲の森の緑や鐘楼の丹塗りの柱を後景にして、清寂な境内空間にしっとりとよくなじんでいます。
そして観る人の心に潤いを与えてくれます。
どうぞ現代の庭芸術をお楽しみくださいませ。
〔花暦〕
・春:梅(2~3月)、椿・桜・桃(3~4月)、
山吹(4月)、梅花うつぎ(5月)
・夏:初夏のコスモス・紫陽花(5月~6月)
未草・百日紅・秋海棠(6月~8月)
・秋:萩・紫苑・彼岸花(9月)
コスモス(10月~11月)
お茶(10月~12月)
・冬:水仙(12月~2月)
〔花期特別拝観料のご案内〕
昨年と同じく、アジサイとコスモスの花期には特別拝観料を申し受けます。
◆「花期特別拝観料」
・期間;
(1) コスモス花期:9月下旬~11月上旬(9/21-11/10)を
10月上旬~11月中旬(10/10~11/17)に訂正します
(2) アジサイ花期:5月下旬~6月下旬(5/25-6/30)
・拝観料:(団体料金はありません。)
〇 大人 700円
〇 中・高生 300円
〇 小学生 200円
〈各種優遇割引〉
〇 奈良交通「ワンデイチケット」等割引券提示 650円
〇 身障者手帳・奈良市「ナナマルカード」提示 400円
◆「平常期拝観料」は現行通りです(大人500円)。
〔秘仏公開のご案内〕
白鳳阿弥陀如来と体内仏三尊、そのほかの宝物を特別公開いたします。以前は春秋二回でしたが、現在は秋のみとなっています。
日程:10月5日~11月4日
時間帯;午前10時~午後4時
特別拝観料:お一人様300円(入山拝観料とは別途に頂戴いたします)
会場:当寺宝蔵堂
〔駐車場ご利用について〕
《駐車料金》:乗用車・大型バイク
*当寺の参拝専用駐車場は「般若寺護持会」によって運営されています。護持会の取り決めにより、
◎ 1時間500円
を申し受けます。
(バスは1時間2000円)
*般若寺駐車場は一般駐車場ではございません。
あくまで般若寺参拝のために設けられた駐車場なので、
本駐車場に駐車して刑務所、牧場、奈良公園等、外へ出かけることは固くお断りいたします。
(この駐車場用地は明治維新で国に没収された旧境内地3万6千坪の一部737坪を、ほかの全てを犠牲にして、2度にわたり2億円を投じて失地回復したものです)
〔お茶と奈良晒の名産地であった般若寺〕
・茶の産地を記した日本最古の文献『異制庭訓往来』(いせいていきんおうらい)によると、般若寺は鎌倉時代、お茶栽培の七名山(栂尾、仁和寺、醍醐、宇治、葉室、般若寺、神尾寺)の一つに数えられていました。当時、病者救済の活動をされた高僧、良観上人忍性菩薩が薬種用に植えられたのが始まりと伝わります。
・また般若寺は中世から近世にかけて奈良晒(ならざらし・麻織物)の産地としても有名でした。『大和名所図会』によると、佐保川の河原で大釜でゆでて柔らかくした麻布を川の水で曝し、さらに般若寺の山に干して製品化していたようです。江戸期の『般若寺寺領絵地図』には「曝干場」の記載があり、門前には晒屋が軒を連ね、高品質と日本一の生産量を誇ったと伝えます。
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